JPH10315954A - リザーバタンク - Google Patents

リザーバタンク

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JPH10315954A
JPH10315954A JP12890397A JP12890397A JPH10315954A JP H10315954 A JPH10315954 A JP H10315954A JP 12890397 A JP12890397 A JP 12890397A JP 12890397 A JP12890397 A JP 12890397A JP H10315954 A JPH10315954 A JP H10315954A
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JP
Japan
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fluid
reservoir
reservoir chamber
hydraulic
vehicle
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JP12890397A
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English (en)
Inventor
Nobuyuki Honda
伸行 本多
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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  • Transmission Of Braking Force In Braking Systems (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、油圧ブレーキ装置に用いられるリ
ザーバタンクに関し、車両が傾斜した場合にも、リザー
バ室間のフルードの移動を可能としつつ、各リザーバ室
に所要量のフルードを確保することを目的とする。 【解決手段】 リザーバタンク26は車両前方から順
に、第1リザーバ室30、第2リザーバ室32、及び第
3リザーバ室34を備える。第2リザーバ室32と第3
リザーバ室34とは隔壁28により区画される。隔壁2
8はその中央部にスリット200を備える。このため、
車両に横傾きが生じた場合にも、隔壁28を越えて移動
することが可能なフルードのレベルは一定に保たれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リザーバタンクに
係り、特に、油圧ブレーキ装置に用いるのに好適なリザ
ーバタンクに関する。
【0002】
【従来の技術】油圧ブレーキ装置に用いられるリザーバ
タンクとして、従来より、例えば実開平3−55362
号に開示される構成が公知である。上記従来のリザーバ
タンクは、所定の高さの隔壁により区画された、第1、
第2、及び第3のリザーバ室を備えている。第1、第
2、及び第3のリザーバ室は、車両前方から後方へ向け
てこの順に設けられている。第1及び第2のリザーバ室
は、それぞれ、タンデム型マスタシリンダの各液圧室に
連通し、油圧ブレーキ装置の各油圧系統へフルードを供
給する。また、第3のリザーバ室はハイドロブースタの
ポンプの吸入側と連通し、ハイドロブースタへフルード
を供給する。
【0003】上記従来のリザーバタンクにおいて、ハイ
ドロブースタの配管系統にフルード漏れが生ずると、第
3のリザーバ室からフルードが流出する。この場合、第
3のリザーバ室と第1及び第2のリザーバ室とが区画さ
れていることで、第1及び第2のリザーバ室には一定量
のフルードが確保される。同様に、第1及び第2のリザ
ーバ室が区画されていることで、フルード漏れによって
何れか一方のリザーバ室からフルードが流出した場合に
も、他方のリザーバ室には一定量のフルードが確保され
る。従って、上記従来のリザーバタンクによれば、フル
ード漏れによって何れか1つのリザーバ室からフルード
が流出した場合にも、油圧ブレーキ装置の少なくとも一
方の油圧系統にフルードを供給することができる。
【0004】上述の如く、上記従来のリザーバタンクに
おいて、第3のリザーバ室のフルードがハイドロブース
タに供給される。一方、ハイドロブースタに供給された
フルードは、ハイドロブースタの油圧回路の構成上、マ
スタシリンダの液圧室を介して第1又は第2のリザーバ
室へ回収されるのが望ましい。従って、この場合、第1
又は第2のリザーバ室に回収されたフルードが第3のリ
ザーバ室へ環流されなければ、ハイドロブースタの作動
に伴って第3のリザーバ室内のフルード量が減少し、ハ
イドロブースタのポンプが空気の吸い込みを起こす可能
性がある。
【0005】上記従来のリザーバタンクによれば、各リ
ザーバ室のフルードのレベルが隔壁の高さを上回ると、
フルードは隔壁を越えて各リザーバ室間を移動すること
ができる。すなわち、上記従来のリザーバタンクにおい
て、第2のリザーバ室内のフルードが、第2のリザーバ
室と第3のリザーバ室とを区画する隔壁(以下、主隔壁
と称す)を越えて第3のリザーバ室へ流入することで、
フルードの環流が実現される。
【0006】ところで、降坂走行時や制動時には、リザ
ーバタンクは車両前方へ傾斜する。リザーバタンクが車
両前方へ傾斜すると、第2のリザーバ室内のフルードの
液面はリザーバタンクに対して相対的に、車両後方側、
すなわち、主隔壁側での液面が低くなるように傾斜す
る。従って、かかる状況下においても、第2のリザーバ
室から第3のリザーバ室へのフルードの環流を可能とす
るには、主隔壁の高さを十分に低く設ける必要がある。
【0007】一方、上述の如く、主隔壁は、ハイドロブ
ースター系統の失陥により第3のリザーバ室のフルード
量が減少した場合に、第1及び第2のリザーバ室のフル
ード量を確保する役割を有している。この場合、主隔壁
が高く設けられるほど、第1及び第2のリザーバ室には
多量のフルードが確保される。従って、第3リザーバ室
からフルードが流出した場合の第1及び第2のリザーバ
室のフルード量を確保する観点からは、主隔壁を高く設
けることが望ましい。
【0008】このように、上記従来のリザーバタンクに
おいて、主隔壁の高さは、車両の前傾時にも第2のリザ
ーバ室から第3のリザーバ室へのフルードの環流を実現
することと、第3のリザーバ室からフルードが流出した
場合に第1及び第2のリザーバ室のフルード量を確保す
ることとを勘案して設定される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、旋回走行時
等においては、車両に横傾きが生ずる。車両に横傾きが
生ずると、主隔壁は、フルードの液面に対して車両横方
向に傾斜する。この場合、主隔壁の高さがその片側にお
いて、フルードの液面に対して相対的に低下することに
なる。かかる状況下において、フルード漏れにより第3
のリザーバ室からフルードが流出した場合、第2のリザ
ーバ室のフルード量を十分に確保することができなくな
ってしまう。
【0010】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、リザーバタンクが傾斜した場合にも、リザーバ
室間のフルードの移動を可能としつつ、各リザーバ室に
所要量のフルードを確保することが可能なリザーバタン
クを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、隔壁により区画され、前記隔壁の上方
において互いに連通する複数のリザーバ室を有するリザ
ーバタンクにおいて、少なくとも1つの前記隔壁を、そ
の中央部が最も低くなるように構成したリザーバタンク
により達成される。
【0012】本発明において、少なくとも1つの隔壁
は、その中央部が最も低くなるように構成される。従っ
て、この隔壁に区画されたリザーバ室のフルードのレベ
ルが隔壁の中央部の高さを上回ると、フルードは隔壁を
越えて移動することができる。リザーバタンクが隔壁の
面内方向に傾斜した場合、隔壁の中央部においては、隔
壁の高さはフルードの液面に対して変化しない。従っ
て、隔壁が、その中央部が最も低くなるように構成され
ることで、リザーバタンクに上述の如き傾きが生じた場
合に、この隔壁を越えて移動することが可能なフルード
の液面の高さが変化することが防止される。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施例であるリ
ザーバタンクが適用された制動力制御装置のシステム構
成図である。本実施例の制動力制御装置は図示しない電
子制御ユニット(以下、ECUと称す)により制御され
る。図1に示す如く、制動力制御装置は、ブレーキペダ
ル12を備えている。ブレーキペダル12は、バキュー
ムブースタ14に連結されている。バキュームブースタ
14は、ブレーキペダル12が踏み込まれた場合に、ブ
レーキ踏力Fに対して所定の倍力比を有するアシスト力
Faを発生する。バキュームブースタ14には、マスタ
シリンダ16が固定されている。マスタリンダ16は、
その内部に第1油圧室18および第2油圧室20を備え
ている。第1油圧室18および第2油圧室20には、ブ
レーキ踏力Fとアシスト力Faとの合力に応じたマスタ
シリンダ圧PM/C が発生する。
【0014】マスタシリンダ16の上部にはリザーバタ
ンク24が配設されている。リザーバタンク24の内部
は、隔壁26及び28により、車両前方側から順に、第
1リザーバ室30、第2リザーバ室32、および第3リ
ザーバ室34に区画されている。第1リザーバ室30、
第2リザーバ室32、及び第3リザーバ室34は、隔壁
26、28の上方の空間により互いに連通している。第
1リザーバ室32はマスタシリンダ16の第1油圧室1
8と連通している。また、第2リザーバ室はマスタシリ
ンダ16の第2油圧室20と連通している。
【0015】リザーバタンク24の第3リザーバ室34
の底部近傍にはポート35が設けられている。第3リザ
ーバ室34にはポート35を介してフロントリザーバ通
路36、及び、リアリザーバ通路38が連通している。
フロントリザーバ通路36には、フロントリザーバカッ
トソレノイド40(以下、SRCF40と称す)が連通
している。同様に、リアリザーバ通路38には、リアリ
ザーバカットソレノイド42(以下、SRCR42と称
す)が連通している。
【0016】SRCF40には、更に、フロントポンプ
通路44が連通している。同様に、SRCR42には、
リアポンプ通路46が連通している。SRCF40は、
オフ状態とされることでフロントリザーバ通路36とフ
ロントポンプ通路44とを遮断し、かつ、オン状態とさ
れることでそれらを導通させる2位置の電磁弁である。
また、SRCR42は、オフ状態とされることでリアリ
ザーバ通路38とリアポンプ通路46とを遮断し、か
つ、オン状態とされることでそれらを導通させる2位置
の電磁弁である。
【0017】マスタシリンダ16の第1油圧室20、及
び、第2油圧室22には、それぞれ第1液圧通路48、
及び、第2液圧通路50が連通している。第2液圧通路
50には、右前マスタカットソレノイド52(以下、S
MFR52と称す)、及び、左前マスタカットソレノイ
ド54(以下、SMFL54と称す)が連通している。
一方、第1液圧通路48には、リアマスタカットソレノ
イド56(以下、SMR56と称す)が連通している。
また、第1液圧通路48には、その内部の油圧、すなわ
ち、マスタシリンダ圧PM/C を検出する油圧センサ58
が連通している。
【0018】SMFR52には、左前輪FRに対応して
設けられた液圧通路62が連通している。同様に、SM
FL54には、左前輪FLに対応して設けられた液圧通
路66が連通している。更に、SMR56には、右後輪
RR及び左後輪RLにそれぞれ対応して設けられた液圧
通路72、74が連通している。SMFR52、SMF
L54及びSMR56の内部には、それぞれ逆止弁7
6、78、80が設けられている。SMFR52は、オ
フ状態とされた場合に第2液圧通路50と液圧通路62
とを導通状態とし、かつ、オン状態とされた場合に定圧
開放弁76を介して第2液圧通路50と液圧通路62と
を連通させる2位置の電磁弁である。また、SMFL5
4は、オフ状態とされた場合に第1液圧通路50と液圧
通路66とを導通状態とし、かつ、オン状態とされた場
合に逆止弁78を介して第2液圧通路50と液圧通路6
6とを連通させる2位置の電磁弁である。同様に、SM
R56は、オフ状態とされた場合に第1液圧通路48と
液圧通路72及び74とを導通状態とし、かつ、オン状
態とされた場合に逆止弁80を介して第1液圧通路48
と液圧通路72及び74とを連通させる2位置の電磁弁
である。
【0019】第2液圧通路50と液圧通路62との間に
は、第1液圧通路50側から液圧通路62側へ向かうフ
ルードの流れのみを許容する逆止弁82が配設されてい
る。同様に、第2液圧通路50と液圧通路66との間、
及び、第1液圧通路48と液圧通路72、74との間に
は、それぞれ第2液圧通路50側から液圧通路66側へ
向かう流体の流れのみを許容する逆止弁84、及び、第
1液圧通路48側から液圧通路72、74側へ向かう流
体の流れのみを許容する逆止弁86が配設されている。
【0020】液圧通路62、66、72、74には、そ
れぞれ、右前輪保持ソレノイド88(以下、SFRH8
8と称す)、左前輪保持ソレノイド90(以下、SFL
H90と称す)、右後輪保持ソレノイド92(以下、S
RRH92と称す)、及び、左後輪保持ソレノイド94
(以下、SRLH94と称す)が連通している。SFR
H88、SFLH90、SRRH92、及びSRLH9
4には、それぞれ、ホイルシリンダ96、98、10
0、102が連通している。
【0021】SFRH88は、オフ状態とされることに
より液圧通路62とホイルシリンダ96とを導通状態と
し、かつ、オン状態とされることにより液圧通路62と
ホイルシリンダ96とを遮断状態とする2位置の電磁弁
である。同様に、SFLH90、SRRH92、及びS
RLH94は、それぞれ、オン状態とされることによ
り、液圧通路66とホイルシリンダ98、液圧通路72
とホイルシリンダ100、及び液圧通路74とホイルシ
リンダ102を遮断状態とする2位置の電磁弁である。
【0022】液圧通路62とホイルシリンダ96との間
には、SFRH88をバイパスしてホイルシリンダ96
側から液圧通路62側へ向かうフルードの流れのみを許
容する逆止弁104が配設されている。同様に、液圧通
路66とホイルシリンダ98との間、液圧通路72とホ
イルシリンダ100との間、及び、液圧通路74とホイ
ルシリンダ102との間には、それぞれ、SFLH9
0、SRRH92、及びSRLH94をバイパスするフ
ルードの流れを許容する逆止弁106、108、110
が配設されている。
【0023】SFRH88、SFLH90、SRRH9
2、及びSRLH94には、それぞれ、右前輪減圧ソレ
ノイド112(以下、SFRR112と称す)、左前輪
減圧ソレノイド114(以下、SFLR114と称
す)、右後輪減圧ソレノイド116(以下、SRRR1
16と称す)、及び、左後輪減圧ソレノイド118(以
下、SRLR118と称す)が連通している。
【0024】なお、以下、SFRH88、SFLH9
0、SRRH92、及びSRLH94を総称する場合に
は「保持ソレノイドS**H」と称し、また、SFRR
104、SFLR106、SRRR108、及びSRL
R110を総称する場合には「減圧ソレノイドS**
R」と称する。前輪側のソレノイドSFRR112及び
SFLR114には、フロント減圧通路120が連通し
ている。更に、後輪側の減圧ソレノイドSRRR116
及びSRLR118にはリア減圧通路122が連通して
いる。SFRR112は、オフ状態とされることにより
ホイルシリンダ96とフロント減圧通路120とを遮断
状態とし、かつ、オン状態とされることによりホイルシ
リンダ96とフロント減圧通路120とを導通状態とす
る2位置の電磁弁である。同様に、SFLR114、S
RRR116、及びSRLR118は、それぞれ、オン
状態とされることにより、ホイルシリンダ98とフロン
ト減圧通路120、ホイルシリンダ100とリア減圧通
路122、及びホイルシリンダ102とリア減圧通路1
22を導通状態とする2位置の電磁弁である。
【0025】フロント減圧通路120及びリア減圧通路
122には、それぞれ、逆止弁124及び126を介し
て、フロントリザーバ128及びリアリザーバ130が
連通していると共に、逆止弁132及び134を介し
て、フロントポンプ136の吸入側、及び、リアポンプ
138の吸入側に連通している。また、フロントポンプ
136の吸入側、及び、リアポンプ138の吸入側に
は、フロントポンプ通路44及びリアポンプ通路46が
連通している。
【0026】フロントポンプ136の吐出側は、逆止弁
140を介して、右前輪FRに対応して設けられた右前
ポンプ通路142、及び左前輪FLに対応して設けられ
た左前ポンプ通路144に連通している。一方、リアポ
ンプ138の吐出側は、逆止弁146を介して液圧通路
72、74に連通している。右前ポンプ通路142は、
右前ポンプソレノイド146(以下、SPFL146と
称す)を介して液圧通路62に連通している。また、左
前ポンプ通路144は、左前ポンプソレノイド148
(以下、SPFR148と称す)を介して液圧通路66
に連通している。SPFL146は、オフ状態とされる
ことにより右前ポンプ通路142と液圧通路62とを導
通状態とし、かつ、オン状態とされることによりそれら
を遮断状態とする2位置の電磁弁である。同様に、SP
FR148は、オフ状態とされることにより左前ポンプ
通路144と液圧通路66とを導通状態とし、かつ、オ
ン状態とされることによりそれらを遮断状態とする2位
置の電磁弁である。
【0027】液圧通路62と右前ポンプ通路142との
間には、液圧通路62側から右前ポンプ通路142側へ
向かうフルードの流れのみを許容する逆止弁150が配
設されている。同様に、液圧通路66と左前ポンプ通路
144との間には、液圧通路66側から左前ポンプ通路
144側へ向かうフルードの流れのみを許容する逆止弁
152が配設されている。
【0028】次に、本実施例の制動力制御装置の動作を
説明する。本実施例の制動力制御装置は、油圧回路内に
配設された各種の電磁弁の状態を切り換えることによ
り、マスタシリンダ圧PM/C に応じた制動力を発生する
通常ブレーキ機能、車輪のロックを防止する機能(AB
S機能)、及び、制動力を制御することにより車両の挙
動を安定化する機能(VSC機能)を実現する。
【0029】通常ブレーキ機能は、図1に示す如く、制
動力制御装置が備える全ての電磁弁をオフ状態とするこ
とにより実現される。以下、図1に示す状態を通常ブレ
ーキ状態と称す。また、制動力制御装置において通常ブ
レーキ機能を実現するための制御を通常ブレーキ制御と
称す。図1に示す通常ブレーキ状態において、右前輪F
Rのホイルシリンダ96は、液圧通路62及び第2液圧
通路50を介してマスタシリンダ16の第2油圧室20
に連通している。同様に、左前輪FLのホイルシリンダ
98は、液圧通路66及び第2液圧通路50を介してマ
スタシリンダ16の第2油圧室20に連通している。ま
た、右後輪RRのホイルシリンダ100は、液圧通路7
2及び第1液圧通路48を介してマスタシリンダ16の
第1油圧室18に連通している。同様に、左後輪RLの
ホイルシリンダ102は、液圧通路74及び第1液圧通
路48を介してマスタシリンダ16の第1油圧室18に
連通している。この場合、ホイルシリンダ96〜102
のホイルシリンダ圧PW/C は、常にマスタシリンダ圧P
M/ C と等圧に制御される。従って、図1に示す状態によ
れば、通常ブレーキ機能が実現される。
【0030】ABS機能は、図1に示す状態において、
フロントポンプ136及びリアポンプ138を作動させ
し、かつ、保持ソレノイドS**H及び減圧ソレノイド
S**Rを車輪のスリップ状態に応じて適当に駆動する
ことにより実現される。以下、制動力制御装置において
ABS機能を実現するための制御をABS制御と称す。
【0031】ECUは、車両が制動状態にあり、かつ、
何れかの車輪について過剰なスリップ率が検出された場
合にABS制御を開始する。ABS制御は、ブレーキペ
ダル12が踏み込まれている状況下、すなわち、マスタ
シリンダ16が高圧のマスタシリンダ圧PM/C を発生し
ている状況下で開始される。ABS制御の実行中は、マ
スタシリンダ圧PM/C が、第1液圧通路48及び第2液
圧通路50を介して、それぞれ左右前輪に対応して設け
られた液圧通路66、62、及び、左右後輪に対応して
設けられた液圧通路74、72に導かれる。従って、か
かる状況下で保持ソレノイドS**Hを開弁状態とし、
かつ、減圧ソレノイドS**Rを閉弁状態とすると、各
車輪のホイルシリンダ圧PW/C を増圧することができ
る。以下、この状態を増圧モードと称す。
【0032】また、ABS制御の実行中に、保持ソレノ
イドS**H及び減圧ソレノイドS**Rの双方を閉弁
状態とすると、各車輪のホイルシリンダ圧PW/C を保持
することができる。以下、この状態を保持モードと称
す。更に、ABS制御の実行中に、保持ソレノイドS*
*Hを閉弁状態とし、かつ、減圧ソレノイドS**Rを
開弁状態とすると、各車輪のホイルシリンダ圧PW/C
減圧することができる。以下、この状態を減圧モードと
称す。
【0033】ECU10は、ABS制御中に、各車輪毎
に適宜上記の増圧モード、保持モード、及び、減圧モー
ドが実現されるように、各車輪のスリップ状態に応じて
保持ソレノイドS**H及び減圧ソレノイドS**Rを
制御する。保持ソレノイドS**H及び減圧ソレノイド
S**Rが上記の如く制御されると、全ての車輪のホイ
ルシリンダ圧PW/C が対応する車輪に過大なスリップ率
を発生させることのない適当な圧力に制御される。この
ように、上記の制御によれば、制動力制御装置において
ABS機能を実現することができる。
【0034】ABS制御の実行中に、各車輪で減圧モー
ドが行われる際にはホイルシリンダ96〜102内のブ
レーキフルードが、フロント減圧通路120及びリア減
圧通路122を通ってフロントリザーバ128及びリア
リザーバ130に流入する。フロントリザーバ128及
びリアリザーバ130に流入したブレーキフルードは、
フロントポンプ136及びリアポンプ138に汲み上げ
られて液圧通路62、66、72、74へ供給される。
【0035】液圧通路62、66、72、74に供給さ
れたブレーキフルードの一部は、各車輪で増圧モードが
行われる際にホイルシリンダ96〜102に流入する。
また、そのブレーキフルードの残部は、ブレーキフルー
ドの流出分を補うべくマスタシリンダ16に流入する。
このため、本実施例のシステムによれば、ABS制御の
実行中にブレーキペダル12に過大なストロークが生ず
ることはない。
【0036】VSC機能は、ブレーキペダル12が操作
されていない状態で、フロントポンプ136及びリアポ
ンプ138を液圧源として、ホイルシリンダ96〜10
2の液圧(以下、ホイルシリンダ圧PW/C と称す)を制
御することにより実現される。以下、VSC機能を実現
するための制御をVSC制御と称する。ECUは、車両
の走行速度、加速度、横加速度、及びヨーレート等に基
づいて車両の挙動に不安定化傾向が生じているか否かを
判断する。
【0037】図2は、車両の挙動に不安定化傾向が生じ
ていると判断した場合に、ECUにより形成される制動
力制御装置の状態を示す。図2に示す状態は、図1に示
す通常ブレーキ状態においてSRCF40、SRCR4
2、及び、保持ソレノイドS**Hをオン状態とすると
共に、フロントポンプ136及びリアポンプ138を作
動させることにより実現される。図2に示す状態を、以
下、VSCプリチャージモードと称する。
【0038】図2に示すVSCプリチャージモードにお
いて、フロントポンプ136の吸入側は、フロントポン
プ通路44及びフロントリザーバ通路36を介して、リ
ザーバタンク24の第3リザーバ室34と連通する。ま
た、リアポンプ138の吸入側は、リアポンプ通路46
及びリアリザーバ通路38を介して、リザーバタンク2
4の第3リザーバ室34と連通する。従って、第3リザ
ーバ室34内のブレーキフルードはフロントポンプ13
6及びリアポンプ138によって、それぞれ、液圧通路
62、66、及び液圧通路72、74へ供給される。
【0039】このVSCプリチャージモードでは、液圧
通路62、66、72、74とホイルシリンダ96〜1
02とは、それぞれ、遮断状態とされているため、ホイ
ルシリンダ圧PW/C が昇圧されることはない。この場
合、液圧通路62、66に供給されたブレーキフルード
は、すべて、第2液圧通路50、及びマスタシリンダ1
6の第2油圧室20を通ってリザーバタンク24の第2
リザーバ室32へ回収される。また、液圧通路72、7
4に供給されたブレーキフルードは、すべて、第1液圧
通路48、及びマスタシリンダ16の第1油圧室18を
通ってリザーバタンク24の第1リザーバ室30へ回収
される。
【0040】ECUは、図2に示すVSCプリチャージ
モードを形成した後、車両の不安定化傾向が更に進行し
たことを検出するとVSC制御を開始する。VSC制御
は、図2に示すVSCプリチャージモードにおいて、保
持ソレノイドS**H、及び、減圧ソレノイドS**R
を車両の挙動に応じて適当に駆動することにより実現さ
れる。
【0041】図3は、VSCプリチャージモードにおい
て、保持ソレノイドS**Hがオフ状態とされた状態を
示す。以下、図3に示す状態を、VSC増圧モードと称
する。図3に示すVSC増圧モードでは、液圧通路6
2、66、72、74とホイルシリンダ96〜102と
は、それぞれ、導通状態となる。このため、液圧通路6
2、66、72、74に供給されたブレーキフルードの
一部がホイルシリンダ96〜102に供給されること
で、ホイルシリンダ圧PW/C は増圧される。
【0042】この場合、液圧通路62、66に供給され
たブレーキフルードの残部は、第2液圧通路50、及び
マスタシリンダ16の第2油圧室20を通ってリザーバ
タンク24の第2リザーバ室32に回収される。また、
液圧通路72、74に供給されたブレーキフルードの残
部は、第1液圧通路50、及びマスタシリンダ16の第
1油圧室18を通ってリザーバタンク24の第1リザー
バ室30に回収される。
【0043】VSC増圧モードにおいて、保持ソレノイ
ドS**Hがオン状態とされると、ホイルシリンダ圧P
W/C は増圧された状態で保持される。この状態を、以
下、VSC保持モードと称す。また、保持ソレノイドS
**H及び減圧ソレノイドS**Rが共にオン状態とさ
れると、ホイルシリンダ96〜102とフロントリザー
バ128又はリアリザーバ130とが連通することで、
ホイルシリンダ圧PW/Cは減圧される。以下、この状態
をVSC減圧モードと称する。
【0044】ECUは、VSC制御中に、各車輪毎に適
宜上記のVSC増圧モード、VSC保持モード、及び、
VSC減圧モードが実現されるように、車両の挙動に応
じて保持ソレノイドS**H及び減圧ソレノイドS**
Rを制御する。保持ソレノイドS**H及び減圧ソレノ
イドS**Rが上記の如く制御されると、全ての車輪の
ホイルシリンダ圧PW/C が、車両の挙動を安定化するよ
うに適当な圧力に制御される。このように、上記の制御
によれば、制動力制御装置においてVSC機能を実現す
ることができる。以下の記載においては、VSC制御に
は、制動力制御装置がVSCプリチャージモードとされ
ることが含まれるものとする。
【0045】なお、上記の説明において、液圧制御装置
がVSC制御を実行するものとしたが、本実施例の液圧
制御装置は、過大な駆動トルクに起因する車輪のスリッ
プを制動力を制御することにより防止するトラクション
コントロール制御(TRC制御)を実行することもでき
る。上述の如く、本実施例の制動力制装置において、リ
ザーバタンク24は第1リザーバ室30、第2リザーバ
室32、及び第3リザーバ室34に区画されている。そ
して、第1リザーバ室30からマスタシリンダ16の第
1油圧室18へ、第2リザーバ室32からマスタシリン
ダ16の第2油圧室20へ、第3リザーバ室34からフ
ロントポンプ136及びフロントポンプ138へ、それ
ぞれフルードが供給される。
【0046】このため、例えば、後輪側の系統にフルー
ド漏れが生ずることにより、後輪側に対応する第1リザ
ーバ室30からフルードが流出した場合に、第2リザー
バ室32のフルード量が減少することが防止される。従
って、後輪側の系統にフルード漏れが生じても前輪側に
ついては通常ブレーキ機能を実現することができる。同
様に、前輪側の系統にフルード漏れが生じても後輪側に
ついては通常ブレーキ機能を実現することができる。
【0047】また、第3リザーバ室34からフロントポ
ンプ136又はリアポンプ138に至る系統(以下、ポ
ンプ系統と称す)にフルード漏れが生ずることにより第
3リザーバ室34からフルードが流出した場合にも、同
様に、第1リザーバ室30及び第2リザーバ室32のフ
ルード量は確保される。従って、かかる場合にも、前輪
側及び後輪側の両系統において通常ブレーキ機能を実現
することができる。
【0048】このように、本実施例の制動力制御装置
は、リザーバタンク24が3つのリザーバ室に区画され
ていることで、何れかの系統にフルード漏れが生じた場
合にも、前輪及び後輪の少なくとも一方について通常ブ
レーキ機能を実現することが可能な、フェールセーフ対
策が講じられたものとなっている。上述の如く、VSC
制御の実行中においては、リザーバ24の第3リザーバ
室34からリアポンプ138及びフロントポンプ136
により汲み上げられたフルードは、それぞれ、第1リザ
ーバ室30及び第2リザーバ室32へ回収される。従っ
て、フルードが第2リザーバ室32から第3リザーバ室
34へ環流されなければ、VSC制御の実行に伴って第
3リザーバ室34のフルード量は減少してゆくことにな
る。そして、第3リザーバ室34のフルードのレベル
が、ポート35の開口部の高さを下回ると、フロントポ
ンプ136及びリアポンプ138にフルードが供給され
なくなり、フロントポンプ136及びリアポンプ138
による空気の吸い込み(以下、エア吸い込みと称す)が
発生してしまう。
【0049】この場合、VSC制御が一定時間以上連続
して実行されることはないため、第3リザーバ室34内
に十分に多量のフルードを収容させることとすれば、第
3リザーバ室34へフルードが環流されなくともVSC
制御の実行に伴うエア吸い込みの発生を防止することが
できる。しかしながら、第3リザーバ室34内に多量の
フルードを収容させることとしたのでは、リザーバタン
ク24の大型化を招くことになるため好ましくない。
【0050】本実施例において、リザーバタンク24の
第2リザーバ室32と第3リザーバ室34とは隔壁28
の上方の空間を介して互いに連通している。従って、第
2リザーバ室32内のフルードが隔壁28を越えて第3
リザーバ室34へ流入することができれば、第2リザー
バ室32から第3リザーバ室34へのフルードの環流が
実現されることで、リザーバタンク24の大型化を招く
ことなくエア吸い込みの発生を防止することができる。
【0051】かかるフルードの環流を可能とするために
は、隔壁28の高さがリザーバタンク24内のフルード
のレベルよりも低くなければならない。また、リザーバ
タンク24内のフルードの、隔壁28に対する相対的な
レベルは、リザーバタンク24の傾斜状態、すなわち、
車両の傾斜状態によって変化する。従って、隔壁28の
高さを、フルードの環流が可能となるように設定するに
あたっては、リザーバタンク24内のフルード量、及
び、車両の傾斜によるフルードのレベル変化を考慮しな
ければならない。
【0052】図4及び図5は、それぞれ、車両が水平状
態にある場合、及び車両が前傾状態にある場合のリザー
バタンク24を車両側方から見た状態を示す。なお、リ
ザーバタンク24は、図4における左方が車両前方とな
るように車両に取り付けられている。図4及び図5に示
す如く、リザーバタンク24には、そのフルードの許容
下限量に対応するフルードのレベル(以下、下限レベル
と称す)が”min”レベルとして表示されている。ま
た、第2リザーバ室24にはフルードレベルを検出する
フロートセンサ(図示せず)が設けられている。なお、
図4及び図5には、リザーバタンク24内に許容下限量
のフルードが収容された状態を示している。
【0053】図4に示す如く、車両が水平状態にある場
合には、リザーバタンク24内のフルードのレベルと下
限レベルとは一致している。従って、隔壁28の高さが
下限レベルに比して低ければ、第2リザーバ室32内の
フルードは隔壁28を越えて第3リザーバ室34へ環流
することができる。一方、図5に示す如く、車両が前傾
状態となると、隔壁28の第2リザーバ室32側におけ
るフルードのレベルは、車両が水平状態にある場合に比
して低下する。このため、車両の前傾角がある程度以上
大きくなると、第2リザーバ室32内のフルードは第3
リザーバ室34へ環流することができなくなる。
【0054】VSC制御の実行中における車両の前傾
は、降坂走行、及び、エンジンブレーキによる減速によ
って生ずる。従って、第2リザーバ室32から第3リザ
ーバ室34へのフルードの環流を常に可能とするには、
VSC制御が連続的に実行されることが想定される降坂
路の最大傾斜角と、エンジンブレーキによる最大減速度
とが重畳するような状況(例えば、長いワインディング
急坂路をブレーキ操作を行なうことなくエンジンブレー
キのみで降坂するような状況)における車両の前傾角
(以下、最大前傾角αと称す)を求め、この最大前傾角
αだけ車両が前傾しても、隔壁28の第2リザーバ室3
2側におけるフルードのレベルが隔壁28の高さを下回
らないように、隔壁28の高さを十分に低く設定しなけ
ればならない。
【0055】一方、上述の如く、隔壁28は、ポンプ系
統のフルード漏れにより第3リザーバ室34からフルー
ドが流出した場合に、第1リザーバ室30及び第2リザ
ーバ室32のフルード量を確保する役割を有している。
この場合、第1リザーバ室30及び第2リザーバ室32
に確保されるフルード量は、隔壁28が高く設けられる
ほど多量となる。従って、ポンプ系統にフルード漏れが
生じた場合に、第1リザーバ室30及び第2リザーバ室
32に所要量のフルードを確保するためには、隔壁28
の高さを一定以上に設定する必要がある。
【0056】更に、VSC制御の実行中にエンジンブレ
ーキにより車両に大きな減速度が生ずると、リザーバタ
ンク24が前傾すると共に、減速に伴う慣性力によって
リザーバタンク24内のフルードは一時的に車両前方へ
移動する。図6は、車両に大きな減速度が生ずることに
よって、リザーバタンク24が前傾すると共にフルード
が車両前方へ移動した状態を示す。図6に示す如く、フ
ルードが車両前方へ移動することによって、隔壁28の
第2リザーバ室32側でのフルードのレベルはほぼゼロ
まで低下している。かかる状況の下では、隔壁28の高
さをいかに低く設定したとしても、フルードは第2リザ
ーバ室32から第3リザーバ室34へ環流することはで
きない。
【0057】この場合、隔壁28の高さを低く設定する
と、図6に示す状態で第3リザーバ室34に収容されて
いるフルードは少量となる。かかる状態でVSC制御が
実行されると、フルードが通常の状態(すなわち図5に
示す状態)に戻る前に、第3リザーバ室34のフルード
レベルが、ポート35の連通口の高さを下回り、エア吸
い込みが発生してしまう可能性がある。このように、車
両に大きな減速度が生じた場合のエア吸い込みの発生を
防止する観点からも、隔壁28の高さを一定以上に設定
する必要がある。
【0058】従って、隔壁28の高さは、i)車両が前傾
した場合にも第2リザーバ室32から第3リザーバ室3
4へのフルードの環流を可能とすること、ii) ポンプ系
統にフルード漏れが生じた場合に、第2リザーバ室30
及び第2リザーバ室32のフルード量を確保すること、
及び、iii)車両に大きな減速度が作用した場合に第3リ
ザーバ室34内のフルード量を確保すること、の3つの
条件を満たすように設定される。これらの条件を満たす
ように設定された隔壁28の高さを、以下、要求高さh
と称する。
【0059】ところで、車両の旋回走行時には、横方向
の加速度が作用することによって、車両に横傾きが生ず
る。この場合、リザーバタンク24も車両と共に、車両
横方向に傾斜することになる。図7は、隔壁28を、そ
の高さが全幅にわたって要求高さhとなるように構成し
た場合(かかる構成の隔壁を符号28’で表す)におい
て、リザーバタンク24が車両横方向に傾斜した状態を
車両後方から見た際の構成を示す。
【0060】図7に示す如く、リザーバタンク24が車
両横方向に傾斜すると、隔壁28’の高さはその片側
(図7においては右側)において、フルードの液面に対
して低下する。かかる状態で、ポンプ系統のフルード漏
れにより第3リザーバ室34からフルードが流出する
と、第2リザーバ室32に確保されるフルード量が減少
してしまう。この点、図7に示す隔壁28’の構成は、
フェールセーフ対策上望ましいものではない。
【0061】また、図7に示す状態において、ポート3
5の連通口よりも上方の領域(図7に網線を付して示す
領域)にあるフルードの量、すなわち、エア吸い込みの
発生を招くことなく第3リザーバ室34から供給し得る
フルード量(以下、有効フルード量と称す)は、車両に
横傾きが生じていない場合に比して減少する。このた
め、車両に横傾きが生じた状態で、図6に示す如く車両
に大きな減速度が作用することによりフルードが車両前
方に移動すると、第3リザーバ室34内の有効フルード
量が減少したまま、第2リザーバ室32から第3リザー
バ室34へのフルードの環流が行なわれない状態が形成
される。かかる状態で、VSC制御が実行されると、第
3リザーバ室34のフルードレベルは短時間のうちにポ
ート35の開口部の高さを下回り、エア吸い込みが発生
する可能性がある。
【0062】本実施例のリザーバタンク24は、その大
型化を招くことなく、第2リザーバ室32から第3リザ
ーバ室34へのフルードの環流を可能としつつ、車両に
横傾きが生じた場合にも、各リザーバ室に所要量のフル
ードを確保し得る点に特徴を有している。図8は、本実
施例のリザーバタンク24を車両後方から見た際の構成
を示す。図8に示す如く、本実施例において、隔壁28
は、その中央部にスリット200を備えている。スリッ
ト200はその底部の高さが要求高さhとなるように形
成されている。従って、第2リザーバ室32及び第3リ
ザーバ室34のフルードレベルが要求高さhを上回る
と、フルードは両リザーバ室間を移動することができ
る。すなわち、本実施例において、車両に横傾きが生じ
ていない場合には、隔壁28の実効的な高さが要求高さ
hに一致しており、従って、フルードは第2リザーバ室
32から第3リザーバ室34へ環流することができる。
【0063】図9は、車両の横傾きに伴ってリザーバタ
ンク24が車両横方向に傾斜した状態を車両後方から見
た図である。図9に示す如く、本実施例においては、ス
リット200が隔壁28の中央に設けられていること
で、リザーバタンク24が車両横方向に傾斜しても、ス
リット200の底部のフルードの液面に対する相対的な
高さはほとんど変化しない。従って、本実施例によれ
ば、第2リザーバ室32から第3リザーバ室34へのフ
ルードの環流が可能な状態を確保しつつ、車両に横傾き
が生じた際に、第3リザーバ室34内の有効フルード量
が減少すること、及び、ポンプ系統でのフルード漏れに
起因して第1リザーバ室30及び第2リザーバ室32の
フルード量が減少することを防止することができる。
【0064】このように、本実施例によれば、リザーバ
タンク24の大型化を招くことなく、第2リザーバ室3
2から第3リザーバ室34へのフルードの環流を可能と
することができると共に、車両が傾斜した場合にも、第
1リザーバ室30、第2リザーバ室32、及び第3リザ
ーバ室34に所要量のフルードを確保することができ
る。従って、本実施例のリザーバタンク24によれば、
車両の傾斜状態にかかわらず、エア吸い込みの発生を防
止することができると共に、ポンプ系統にフルード漏れ
が生じた場合にも、制動力制御装置の通常ブレーキ機能
を確実に実現することができる。
【0065】ところで、車両走行時には、車両の振動に
伴ってリザーバタンク24内のフルードに波立ちが生ず
る。フルードに波立ちが生ずると、第2リザーバ室32
に設けられたフロートセンサが上下に振動するため、フ
ルードレベルを正確に検出することができなくなる。こ
れに対して、リザーバタンク24においては、隔壁28
が設けられていることで、第2リザーバ室32と第3リ
ザーバ室34との間での不必要なフルードの移動が抑制
される。フルードの移動が抑制されると、フルードの波
立ちが抑制されることにより、フロートセンサによるフ
ルードレベルの検出を正確に行なうことが可能となる。
このように、隔壁28は、リザーバタンク24内のフル
ードの波立ちを抑制することで、フロートセンサによる
フルードレベルの正確な検出を可能とする役割をも有し
ている。
【0066】リザーバタンク24内のフルードの波立ち
を抑制する観点からは、隔壁28は高い方が好ましいと
いえる。本実施例は、隔壁28に形成したスリット20
0により、フルードを環流させる構成であるため、スリ
ット200以外の部位を十分に高く設けることができ
る。従って、本実施例のリザーバタンク24は、フルー
ドの波立ちを効果的に防止することにより、フロートセ
ンサによるフルードのレベルの検出をより正確に行い得
る点においても優れた性能を有していることになる。
【0067】なお、要求高さhを実現しつつフルードの
波立ちを防止する構成としては、図10に示す如く、隔
壁28の両側部にスリットを設けることも考えられる。
しかし、かかる構成をとった場合には、図11に示す如
く、車両に横傾きが生じた場合に、隔壁28の一方の端
部においてフルードの液面に対する高さが低下する。従
って、かかる構成によれば、車両に横傾きが生じた場合
に、各リザーバ室に所要のフルード量を確保することが
できない。
【0068】これに対して、本実施例のリザーバタンク
24においては、上述の如く、隔壁28の中央にスリッ
ト200が設けられていることで、車両に横傾きが生じ
た場合にも、各リザーバ室に所要量のフルードを確保す
ることが可能となっているのである。なお、上記実施例
においては、隔壁28にスリット200を設けることと
したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例え
ば図12及び図13に示す構成によっても同様の効果を
得ることができる。
【0069】図12は、隔壁28の中央部にV型のスリ
ットを設けた例を示す。また、図13は、隔壁28の上
縁を中央部が最も低くなるように湾曲させた例を示す。
図12及び図13に示す如く、隔壁28を、その中央部
が最も低くなるように構成することで、車両の横傾きに
よって、隔壁28を越えて移動することが可能なフルー
ドのレベルが変化するのを防止することができる。従っ
て、図12及び図134に示す隔壁28の構成によって
も、各リザーバ室に確保し得るフルード量を一定に維持
することができる。
【0070】なお、図8及び図12に示す如く、隔壁2
8にスリットを設ける構成においては、スリットの幅
は、フルードがスリットを通過する際に大きな抵抗が生
じない程度の大きさに設ければよい。また、図12に示
す構成においては、リザーバタンク24内のフルードの
波立ちを防止する効果は、スリットを設ける場合と比較
して縮減されている。従って、この場合には、例えば、
第2リザーバ室32に、リザーバタンク24の頂壁面か
ら下向きに延びる板状の部材を設けることで、フルード
の波立ちをより効果的に防止することとしてもよい。
【0071】
【発明の効果】上述の如く、本発明によれば、リザーバ
タンクが傾斜した場合にも、リザーバ室間のフルードの
移動を可能としつつ、各リザーバ室に所要量のフルード
を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるリザーバタンクが適用
された制動力制御装置のシステム構成図である。
【図2】図1に示す制動力制御装置がVSCプリチャー
ジモードにある状態を示す図である。
【図3】図1に示す制動力制御装置がVSC増圧モード
にある状態を示す図である。
【図4】本実施例のリザーバタンクを車両側方から見た
構成図である。
【図5】図4において車両が前傾した状態を示す図であ
る。
【図6】図5において車両の減速に伴ってフルードが車
両前方に移動した状態を示す図である。
【図7】隔壁の高さを一定に設けた場合において、車両
に横傾きが生じた状態のリザーバタンクを車両後方から
見た構成図である。
【図8】本実施例のリザーバタンクを車両後方から見た
構成図である。
【図9】図8において車両に横傾きが生じた状態を示す
図である。
【図10】隔壁の両側にスリットを設けた場合を示す図
である。
【図11】図10において車両に横傾きが生じた状態を
示す図である。
【図12】隔壁の中央にV型のスリットを設けた例を示
す図である。
【図13】隔壁の上縁を湾曲形状に構成した例を示す図
である。
【符号の説明】
16 マスタシリンダ 24 リザーバタンク 28 隔壁 32 第2リザーバ室 34 第3リザーバ室 136 フロントポンプ 138 リアポンプ 200 スリット

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 隔壁により区画され、前記隔壁の上方に
    おいて互いに連通する複数のリザーバ室を有するリザー
    バタンクにおいて、 少なくとも1つの前記隔壁を、その中央部が最も低くな
    るように構成したことを特徴とするリザーバタンク。
JP12890397A 1997-05-19 1997-05-19 リザーバタンク Pending JPH10315954A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010058667A (ja) * 2008-09-03 2010-03-18 Toyota Motor Corp 液圧ブレーキユニットと液圧ブレーキユニットの制御方法
TWI624390B (zh) * 2014-12-10 2018-05-21 睿能創意公司 用於交通工具之液體儲存器、煞車油儲存器及煞車液體儲存器

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