JPH10273028A - 車両の挙動制御装置 - Google Patents

車両の挙動制御装置

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JPH10273028A
JPH10273028A JP7840097A JP7840097A JPH10273028A JP H10273028 A JPH10273028 A JP H10273028A JP 7840097 A JP7840097 A JP 7840097A JP 7840097 A JP7840097 A JP 7840097A JP H10273028 A JPH10273028 A JP H10273028A
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克司 松田
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正治 原田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 旋回制御の終了判断を簡単に且つ的確に行う
ことができ、しかも、旋回制御の終了後、安定した車両
の旋回挙動を損なうことのない車両の挙動制御装置を提
供する。 【解決手段】 車両の挙動制御装置は、車両の実ヨーレ
イトγを目標ヨーレイトγtに一致させるべく制御対象
車輪間に制動力差dFを付与して車両のヨーモーメント
制御を実行する。また、この制動力差dFは、制動エア
圧増減量dPに基づき決定される。制御回路64はこの
制動エア圧増減量dPが充分小さくなり、一定時間以上
継続したときヨーモーメント制御を終了させるようにな
っている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、旋回時、車両の
旋回挙動を安定化させる姿勢制御に好適な挙動制御装置
に関し、特に、自動ブレーキによる挙動制御の終了時期
を適切に設定した車両の挙動制御装置に関する。
【0002】
【関連する背景技術】車両の旋回時、所定の車輪間に制
動力差を付与して車両の旋回運動を制御するようにした
車両の旋回制御装置は、例えば特開平8−332932
号公報に開示されている。この旋回制御装置では、制御
対象車輪、即ち、左右の対角車輪におけるホイールブレ
ーキの制動圧を制御してこれら車輪間に制動力差を発生
させ、これにより、車両の実ヨーレイトを目標ヨーレイ
トに一致させるべく車両の旋回運動を制御している。ま
た、制御対象車輪間の制動力の大きさは、目標ヨーレイ
トと実ヨーレイトとの偏差に基づき決定されている。そ
して、これら制御対象車輪の制動力、つまり、ホイール
ブレーキの制動圧が一定時間以上に亘って保持されれ
ば、その制動力制御を終了することとしており、その制
動力制御の終了後は、制御対象車輪の制動圧を徐々に減
少させることで緩やかに制動力差を解消し、車両の挙動
が急変するのを避けるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の車
両の旋回制御、つまり、車両の運動状態を補正する制御
では、車両の旋回挙動が安定しても、それは旋回制御に
大きく依存している場合もあり得るため、車両の目標ヨ
ーレイトと実ヨーレイトとを単に比較して、これらの偏
差から旋回制御の終了を判断することは適当でない。
【0004】このため、車輪の制動圧がたとえ一定時間
以上に亘って保持されていても、より具体的には、旋回
制御中、上述のヨーレイト偏差が小さいため、車輪の制
動圧が変化しないような状況が一定時間以上継続してい
るとしても、この時点で、制動力制御を終了するのは適
当でないこともある。即ち、このような状況がその旋回
制御自体によってもたらされていると、その制動力制御
の終了により、車両の挙動が不所望に変化する虞があ
る。
【0005】この発明は上述した事情に基づいてなされ
たもので、その目的とするところは、簡便にして的確な
旋回制御の終了判断を行うことができ、しかも、その終
了判断に基づき制動力制御を解除しても、安定した車両
の旋回挙動を損なうことのない車両の挙動制御装置を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項1の車両の挙動制御装置は、運転者のブレー
キ操作とは独立して作動し、所定の車輪に作用する制動
力を調整可能に設けられた制動力調整手段と、車両の走
行状態を検出して出力する走行状態検出手段と、車両の
実運動状態を検出して出力する実運動状態検出手段と、
走行状態に基づき車両の目標運動状態を設定し、車両の
旋回時に実運動状態を目標運動状態に一致させるべく所
定車輪間に制動力差を付与するための目標制御量を演算
して、目標制御量に従って制動力調整手段の作動を制御
する制御手段とを備えている。そして、請求項1の車両
の挙動制御装置における制御手段は、目標制御量が所定
値以下である状態が所定時間継続したとき制御を終了す
るものとなっている。
【0007】請求項1の車両の挙動制御装置によれば、
旋回時、所定車輪における制動力が自動的に制御され、
車両の実運動状態を目標運動状態に一致させるべく、こ
れら車輪間に制動力差が付与される。つまり、この場合
の目標制御量は、このような車両の運動状態の制御に必
要な制動力差を発生させるための制御量として算出され
る。
【0008】一方、車両が定常旋回運動状態を回復させ
つつあれば、所定車輪間での大きな制動力差は不要とな
り、このような状況では、目標制御量も減少傾向とな
る。従って、継続して目標制御量が所定値以下であれ
ば、もはや車両の運動状態を制御する必要性が少ないた
め、制動力差を付与するための制御も終了される。請求
項2の車両の挙動制御装置は、所定車輪に作用する実制
動圧を検出して出力する実制動圧検出手段を備えてお
り、制御手段は、実制動圧を目標制御量に基づき決定し
た目標制動圧に一致させるべくフィードバック制御する
ようになっている。この場合、制動圧の制御系では、決
定された目標制動圧と実制動圧との偏差が考慮されてい
るので、制御手段からの指令に対する実制動圧の応答度
合いを正確に反映した制御が行われる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の車
両の挙動制御装置の実施例を説明する。先ず、図1を参
照すると、実施例の車両の挙動制御装置が適用された車
両1におけるブレーキシステムの構成が概略的に示され
ている。なお、この車両1は、例えば、トラックやバス
などの大型車両であり、それ故、駆動車輪となる左右の
後輪WRL,WRRはともに並列2輪タイプとなっている。
一方、操舵車輪となる左右の前輪WFL,WFRは通常のタ
イプである。
【0010】車両1のブレーキシステムは、空圧を利用
してハイドロリックブレーキを作動させるエアオーバハ
イドロリックブレーキから構成されている。即ち、各車
輪WFL,WFR,WRL,WRRにそれぞれ設けられたホイー
ルシリンダ2は制動圧、つまり、油圧の供給を受けてホ
イールブレーキ(図示されていない)を作動させるよう
になっている。各ホイールシリンダ2には、油圧管路3
がそれぞれ接続されており、そして、これら油圧管路3
には、空圧を油圧に変換するエアオーバハイドロリック
ブースタ4がそれぞれ接続されている。各エアオーバハ
イドロリックブースタ4からは空圧管路8がそれぞれ延
びており、各空圧管路8はダブルチェックバルブ12の
出口ポートにぞれぞれ接続されている。また、各空圧管
路8には、圧力制御弁10がそれぞれ介挿されている。
【0011】そして、各ダブルチェックバルブ12の一
方の入口ポートには供給管路13がそれぞれ接続されて
おり、これら供給管路13は、2個のリレーバルブ14
に2本ずつ接続されている。即ち、前輪WFL,WFR側の
2つの供給管路13は一方のリレーバルブ14にそれぞ
れ接続されており、また、後輪WRL,WRR側の2つの供
給管路13は他方のリレーバルブ14にそれぞれ接続さ
れている。更に、各リレーバルブ14からは給気管路2
4がそれぞれ延びており、これら給気管路24は対応し
た空気タンク6にそれぞれ接続されている。つまり、ダ
ブルチェックバルブ12の一方の入口ポートからリレー
バルブ14を介して空気タンク6に至る空圧ラインは前
輪側及び後輪側のそれぞれにて共用されている。なお、
これら空気タンク6にはコンプレッサから空気が供給さ
れるようになっており、また、このコンプレッサはエン
ジンにより駆動される。
【0012】更に、各リレーバルブ14の入力ポートに
は信号圧管路16がそれぞれ接続されており、これら信
号圧管路16は、デュアル型のブレーキバルブ18を介
して対応する空気タンク6に接続されている。それ故、
ブレーキバルブ18から信号圧管路16を介してリレー
バルブ14に至る信号圧ラインもまた、前輪側及び後輪
側のそれぞれにて共用されている。
【0013】一方、各ダブルチェックバルブ12の他方
の入口ポートには、給気管路20がそれぞれ接続されて
おり、これら給気管路20は2個の給気弁22に2本ず
つ接続されている。つまり、前輪側の左右輪に対応する
2つの給気管路20は一方の給気弁22にそれぞれ接続
されており、後輪側の左右輪に対応する2つの給気管路
20は他方の給気弁22にそれぞれ接続されている。つ
まり、各給気管路24はその下流側の部位が分岐され、
対応する側のリレーバルブ14及び給気弁22にそれぞ
れ接続されている。従って、ダブルチェックバルブ12
の他方の入口ポートから給気弁22を介して空気タンク
6に至る給気ラインもまた前輪側及び後輪側のそれぞれ
にて共用されている。
【0014】車両1のブレーキシステムでは、上述した
空圧ライン、信号圧ライン及び油圧ラインからサービス
ブレーキ回路が形成されており、そして、給気及び空圧
ライン及び油圧ラインから自動ブレーキ回路が形成され
ている。サービスブレーキ回路では、公知のように、運
転者がブレーキペダル26を踏み込むと、その踏力及び
踏み込み量に応じた信号圧が、各リレーバルブ14の入
力ポートに供給される。リレーバルブ14はその信号圧
により開弁されると同時に、信号圧の大きさに応じて開
度が制御され、これにより空気タンク6から給気管路2
4、供給管路13及び空圧管路8を介してエアオーバハ
イドロリックブースタ4に流体圧、即ち、空圧が供給さ
れる。そして、エアオーバハイドロリックブースタ4に
て空圧が油圧に変換され、ここで立ち上げられた油圧に
よりホイールシリンダ2がホイールブレーキを作動させ
ることで、各車輪WFL,WFR,WFL,WFRに制動力が発
生される。なお、運転者がブレーキペダル26の踏力を
弱めたり、踏み込み量を減らすと、ブレーキバルブ18
を介してリレーバルブ14に供給される信号圧はその分
だけ減少され、ブレーキペダル26の踏み込みを完全に
リリースすると、信号圧の供給は完全に停止される。従
って、このような信号圧の減少又は停止に伴い、リレー
バルブ14を介してエアオーバハイドロリックブースタ
4に供給される空圧も減少又は停止される。
【0015】これに対して、自動ブレーキ回路では、運
転者のブレーキ操作とは独立して制動力を発生させるこ
とができる。即ち、各給気弁22は2つの電磁弁を内蔵
するバルブユニットからなり、これら2つの電磁弁は、
共に2位置の電磁方向切換弁からなっている。そして、
各電磁弁のソレノイドは電子コントロールユニット、つ
まり、制御手段をなすECU28にそれぞれ電気的に接
続されている。なお、図1には作図の都合上、ECU2
8と給気弁22との結線は1本の信号線だけで示されて
いる。より詳しくは、各給気弁22は入口ポート、2つ
の出口ポート及び排気ポートを有しており、その入口ポ
ートには前述した給気管路24が接続されており、ま
た、各給気弁22の2つの出口ポートには、図1からも
明らかなように、その一方には前後の左側車輪WFL,W
RL対応する給気管路20が、他方には前後の右側車輪W
FR,WRRに対応する給気管路20がそれぞれ接続されて
いる。なお、前述した2つの電磁弁は、左右の出口ポー
トに対して何れか一方が対応している。各給気弁22
は、2つの電磁弁が共に非作動位置にあるとき、その入
口ポートを閉止させて給気管路24からの空圧の流入を
遮断し、同時に2つの出口ポートと排気ポートとの間を
連通させ、各給気管路20内をそれぞれ大気に開放させ
ている。各給気弁22の2つの電磁弁がECU28から
の作動信号に応じてそれぞれの位置を切換えられると、
各給気弁22はその入口ポートと2つの出口ポートとの
間を連通させ、排気ポートを閉止させる。これにより、
空気タンク6から給気管路24,20及び空圧管路8を
介して空圧がエアオーバハイドロリックブースタ4に供
給され、サービスブレーキ回路と同様にホイールブレー
キが作動される。なお、このときECU28が各給気弁
22の2つの電磁弁のうち、左右何れか一方の車輪に対
応する電磁弁のみを作動させることで、その一方の車輪
に対応する給気管路20のみに空圧を出力することがで
きる。つまり、各給気弁22からは4輪それぞれに対応
するエアオーバハイドロリックブースタ4に対して独立
に空圧を供給可能である。従って、自動ブレーキ回路で
は、運転者のブレーキ操作とは別に、つまり、ブレーキ
ペダル26を介してブレーキバルブ18が作動されなく
ても、各車輪WFL,WFR,WRL,WRRに個別に制動力を
発生させることができる。
【0016】圧力制御弁10は、2種類の電磁弁を内蔵
するバルブユニットからなり、その概略的な構成が図2
に示されている。同図に示すように、圧力制御弁10は
入口ポート、出口ポート及び排気ポートの3つのポート
を有している。また、その内部には電磁開閉式の保持弁
10aと、電磁方向切換式の排気弁10bが備えられて
おり、それぞれのソレノイドはECU28に接続されて
いる。なお、図1には作図の都合上、ECU28と圧力
制御弁10との結線もまた1本の信号線だけで示されて
いる。
【0017】圧力制御弁10は通常時、つまり、2つの
ソレノイドの非通電時、図2に示すように保持弁10a
が開位置にあり、また、排気弁10bは非作動の位置に
あって、この状態で、圧力制御弁10は、その入口ポー
トと出口ポートとの間を連通させ、空圧管路8を開いて
いる。従って、給気弁22が開かれれば、空気タンク6
からエアオーバハイドロリックブースタ4に向けて空圧
を供給する、つまり、給気することができる。
【0018】一方この給気時、保持弁10aのみを作動
させれば、圧力制御弁10の入口ポートが閉止されてエ
アオーバハイドロリックブースタ4へのそれ以上の給気
は遮断される。しかしながら、既に供給された空圧はそ
の圧力のままで保持される。そして、ECU28が保持
弁10aに加えて排気弁10bのソレノイドにも通電す
ると、排気弁10bも作動位置に切り換わる。この状態
では、圧力制御弁10の出口ポートと排気ポートとの間
が連通される。これにより、エアオーバハイドロリック
ブースタ4に供給された圧縮空気は、圧力制御弁10の
出口ポートから排気ポートを介して排気、つまり、大気
に放出される。
【0019】従って、自動ブレーキ回路では、給気弁2
2を切換作動させてエアオーバハイドロリックブースタ
4に空圧を供給しつつ、圧力制御弁10の切換作動を制
御することで、運転者のブレーキ操作とは別にエアオー
バハイドロリックブースタ4内にて立ち上げられる油
圧、つまり、各ホイールシリンダ2に供給される制動圧
を調整することができる。なお、前述の各給気弁22及
び圧力制御弁10は制動力調整手段をなすものである。
【0020】このような自動ブレーキ回路の作動によ
り、各ホイールシリンダ2に供給される制動圧の調整作
動は、ECU28により制御することができる。ECU
28はその内部に記憶回路、信号処理回路、演算回路、
判定回路、制御回路及び指令回路等を備えている。この
ECU28による自動ブレーキ回路の作動制御は、車両
1の走行状態や運動状態等を総合的に判断して行われる
ようになっている。それ故、ECU28には、走行中の
車両1の運動状態や走行状態を検出するため、各種セン
サからのセンサ信号が入力されるようになっている。こ
れらのセンサのうち、運動状態を検出するためのセンサ
には、車体に加わる前後加速度を検出する前後加速度セ
ンサ32、同じく横加速度を検出する横加速度センサ3
4、そして、車体に働くヨーレイトを検出するヨーレイ
トセンサ36等がある。また、運転者の運転操作に基づ
く車両の走行状態を検出するためのセンサには、各車輪
WFL,WFR,WRL,WRRの回転速度を検出する車輪速セ
ンサ30、ブレーキペダル26の踏み込み量、つまり、
ペダルストロークを検出するペダルストロークセンサ3
8や、ステアリングホイール40の回転角度を検出する
ハンドル角センサ42等がある。
【0021】また、空圧管路8には、エアオーバハイド
ロリックブースタ4に供給される空圧、すなわち、実制
動エア圧を検出するブレーキエア圧センサ44が設置さ
れており、このブレーキエア圧センサ44からのセンサ
信号もまた、ECU28に入力されるようになってい
る。その他、燃料噴射量を制御する電子ガバナ46に対
し、直接に指令信号を出力する電子ガバナコントローラ
48もまた、ECU28に電気的に接続されている。
【0022】以上のように、この実施例の車両の挙動制
御装置は、上述の自動ブレーキ回路と、これを制御する
ECU28及びこれに結線される各種電子機器、そし
て、各種のバルブから構成されている。この車両挙動制
御装置は、前述したように旋回中の車両1の挙動を自動
的に安定化させるものであり、そのために実際には、圧
力制御弁10及び給気弁22の切換作動をそれぞれ制御
することで、各ホイールシリンダ2に供給される制動圧
を制御し、結果として各車輪WFL,WFR,WRL,WRRに
発生する制動力をそれぞれについて制御するようにして
いる。
【0023】図3を参照すると、車両挙動制御装置の制
御概念が示されている。この制御機能の概要は、先ず、
各種センサ(ブロック50)からのセンサ信号をフィル
タ52にてフィルタ処理した後、それらセンサ信号を演
算回路54〜60に読み込み、各演算回路で演算処理を
それぞれ実行する。そして、これら演算結果及びセンサ
信号に基づき、制御回路64は自動ブレーキのための目
標制御量をそれぞれ決定する。指令回路68では、これ
ら目標制御量に基づき最終的な指令信号が形成され、そ
して、その指令信号が制御対象70に向けて出力され
る。ここで、直接の制御対象となるのは、上述のように
圧力制御弁10及び給気弁22であり、また、その結
果、エアオーバハイドロリックブースタ4に供給される
制動エア圧が制御される。
【0024】なお、この実施例の車両の挙動制御装置で
は、演算回路58に示すように車両の目標運動状態とし
て車両の目標ヨーレイトを計算し、また、制御回路64
では、検出した車両の実運動状態、つまり、実ヨーレイ
トを目標ヨーレイトに一致させるべく車両のヨーモーメ
ントを制御するための目標制御量を決定するようになっ
ている。従って、上述のように制動エア圧が制御される
結果、車両の挙動制御装置によって実際の車両の運動状
態(ブロック72)が制御されることとなる。なお、制
御の出力結果である制動エア圧及び車両の運動状態、即
ち、実ヨーレイトは、ブレーキエア圧センサ44、ヨー
レイトセンサ36にてそれぞれに検出され、上述のフィ
ルタ処理を経て制御系にフィードバックされる。また、
以上の制御系の基本制御周期は、8msとしている。
【0025】ここで、ヨーモーメント制御については公
知の技術であるので、ここでは、ヨーモーメント制御に
ついて簡単に説明する。ヨーモーメント制御とは、旋回
時に、例えば前後の対角車輪(右旋回時においては左前
輪WFLと右後輪WRR、左旋回時においては右前輪WFLと
左後輪WRL)の間に制動力差を付与することで、車両に
旋回方向への回頭ヨーモーメント又は旋回逆方向への復
元ヨーモーメントを発生させ、これにより、車両の実際
のヨー運動を、目標とするヨー運動に一致させようとす
る姿勢制御技術である。なお、制御対象車輪は、前後の
対角車輪に限られず左前輪WFLと右前輪WFRであっても
よいし、左後輪WRLと右後輪WRRであってもよい。
【0026】従って、このようなヨーモーメント制御
は、上述の自動ブレーキ回路を制御することにより実現
可能であることがわかる。ところで、ヨーモーメント制
御が開始されて、車両が定常旋回状態に復帰すれば、車
両の旋回運動は自律的に安定化するため、そこでヨーモ
ーメント制御は終了される。
【0027】一方、ヨーモーメント制御は、不安定な傾
向にある車両の旋回運動を安定化させる方向に補正する
制御であり、具体的には、検出した実ヨーレイトを目標
ヨーレイトに一致させる制御である。従って、これらヨ
ーレイトの偏差が小さくなっても、未だヨーモーメント
制御が有効に機能している場合もある。このため、単に
ヨーレイト偏差に基づきヨーモーメント制御の終了条件
を設定すると、実際にはまだヨーモーメント制御が機能
しているにも関わらず、制御を途中で終了させてしまう
虞がある。
【0028】ここで図4を参照すると、ECU28が実
行する車両挙動制御のためのメイン制御ルーチンが示さ
れており、同図には、ヨーモーメント制御の開始及び終
了の処理を含む制御手順が示されている。以下、図4の
制御ルーチン及び図3の制御ブロック図について説明す
る。先ず、ステップS10では、種々の演算処理が実行
される。これら演算処理は、図3に示す演算回路54,
56にて行われる。先ず、演算回路56では、より詳細
な車両1の走行状態が計算により求められる。即ち、こ
こでは、各車輪の車輪速VW、前後加速度GX、横加速度
GY及び実ヨーレイトγ等から車体速V、各車輪のスリ
ップ率S及び重心スリップ角速度dβ等の各種変数が算
出される。
【0029】一方、演算回路54では、ハンドル角セン
サ38の検出値により得られたハンドル角Thから、ハ
ンドル角速度VThが算出される。以上の演算処理が終了
すると、次にステップS12に進む。ステップS12で
は、車両の目標運動状態である目標ヨーレイトが計算さ
れる。この計算は図3の演算回路58にて行われ、ここ
では、先ず車体速Vとハンドル角Thが読み込まれる。
そして、線形2輪モデルから導かれる式から、車体速V
と、ハンドル角Thから求めた前輪の操舵角δとに基づ
き、目標ヨーレイトγtが求められる。
【0030】具体的には、目標ヨーレイトγtは、次式
(1)から算出される。 γt =(V/(1+A・V2)・(δ/L)) …(1) ここに、 A:スタビリティファクタ L:ホイールベース〔m〕 このように車両の目標ヨーレイトが計算されると、次に
ステップS14に進む。
【0031】ステップS14では、ヨーモーメント制御
を実行する必要があるか否かを判別する。より詳しく
は、この判別は演算回路60にて行われ、ここでは、目
標ヨーレイトγtと実ヨーレイトγとの偏差とヨーモー
メント制御の開始条件を決定する基準値、つまり、閾値
とを比較し、ヨーレイト偏差が閾値を超えたとき、ヨー
モーメント制御を実行する必要があるものと判定され
る。一方、ヨーレイト偏差が閾値以下ならば、ヨーモー
メント制御は実行されない。
【0032】ここで演算回路60では、ヨーレイト偏差
から車両1に付与すべき要求ヨーモーメントMdが求め
られる。また、このときのヨーレイト偏差の正負によっ
て要求ヨーモーメントMdの正負が決定され、要求ヨー
モーメントMdが正の値となれば、車両がアンダステア
傾向にあるということができ、また、要求ヨーモーメン
トMdが負の値となれば、オーバステア傾向にあるとい
える。従って、上述の閾値も正負方向にそれぞれ設定さ
れている。
【0033】演算回路60にてヨーモーメント制御を実
行する必要があると判定されなければ、ステップS14
での判別結果は偽(No)であり、ヨーモーメント制御
を実行することなく今回のルーチンを終了する。このよ
うに、ヨーレイト偏差が閾値を超えないうちは、車両挙
動制御装置が作動されてヨーモーメント制御が開始され
ることはない。
【0034】これに対し、ヨーレイト偏差が閾値を超
え、演算回路60にてヨーモーメント制御を実行する必
要があると判定されれば、ステップS14での判別結果
は真(Yes)となり、この場合、次にステップS16
に進む。ステップS16では、車両挙動制御装置が作動
され、ヨーモーメント制御が実行される。実際には、上
述のように制御回路64から制御対象70までの処理を
経て制御対象車輪の制動エア圧が制御され、これら車輪
間に制動力差が付与されることにより、車両1のヨーモ
ーメント制御が行われる。
【0035】ここで図5を参照すると、このときのヨー
モーメント制御系のブロック線図が詳細に示されてい
る。同図に示すように、この制御系に入力される目標ヨ
ーレイトγtは、制御系の各要素に伝達されて順次その
形式が変換される。そして、この制御系には、最終的に
出力される実ヨーレイトγがフィードバックされる閉ル
ープが形成されている。以下、同図を参照してヨーモー
メント制御の実行手順について説明する。
【0036】演算回路60での処理としては、上述した
ように、先ず、減算部74にて入力と出力の偏差、すな
わちヨーレイト偏差が求められる。そして、ヨーレイト
偏差にゲイン76をかけて要求ヨーモーメントMdが求
められる。次に、制御回路64では、要求ヨーモーメン
トMdから制御対象車輪間に制動力差を付与するための
目標制御量、つまり、制御対象車輪に対する制動エア圧
の増減量dPが求められる。
【0037】具体的には、制動エア圧の増減量dPは、
前輪及び後輪についてそれぞれ求められ、前後輪の制動
エア圧増減量dPf,dPrは、メインコントローラ78に
プログラムされた次の演算式(2.1),(2.2)か
らそれぞれ算出される。 dPf =Md/(Bf・Tf) …(2.1) dPr =Md/(Br・Tr) …(2.2) B:ブレーキ係数(前輪:Bf、後輪Br)〔kgf/kgf/cm
2〕 T:トレッド(前輪:Tf、後輪:Tr) 〔m〕 をそれぞれ得ることができる。
【0038】ここで、目標制御量としてメインコントロ
ーラから出力される制動エア圧の増減量dPf,dPrの符
号は、一方が正(+)であり、他方が負(−)である。
つまり、前後の制御対象車輪のうち、一方の車輪の制動
エア圧が増圧されれば、他方の車輪は減圧される。これ
により、制御対象車輪間に制動エア圧差|dPf|+|d
Pr|=dPによって発生する制動力差が付与される。
【0039】以上の処理を終えると、制御回路64から
は、目標制御量である制動エア圧増減量dPが指令回路
68に向けて出力される。指令回路68では、各給気弁
22及び圧力制御弁10に対する指令信号が形成され
る。先ず、制動エア圧増減量dPが加算機80にて非制
御対象車輪の制動エア圧Poに加算され、目標制動エア
圧Ptが決定される。なお、このとき制動エア圧の増減
量dPの符号が正ならば、目標制動エア圧Pt=Po+dP
が与えられ、一方、増減量dPの符号が負ならば、Pt=
Po−dPがそれぞれ与えられる。
【0040】次の減算部82では、目標制動エア圧Pt
と制御対象車輪の実制動エア圧Pとの間の偏差Perが計
算される。このとき、実制動エア圧Pは、ブレーキエア
圧センサ44の検出値から得ることができる。なお、こ
のセンサ信号にも前述したフィルタ52でのフィルタ処
理、つまり、ローパスフィルタ84によるフィルタ処理
が施されている。
【0041】この後、偏差Perは不感帯(図示しない)
を介することで、ブレーキエア圧センサ44の信号中に
含まれるノイズや、実制動エア圧Pの微少変動等に対す
る過敏な応答が避けられる。従って、この不感帯の領域
内での偏差Perの僅かな変動は無視される。なお、不感
帯の閾値は、例えば正負方向にそれぞれ0.1kgf/
cm2に設定されている。
【0042】指令回路68は、各制御対象車輪に対応す
る給気弁22内の電磁弁の作動を制御する切り換え信号
を出力する。これにより、エアオーバハイドロリックブ
ースタ4に向けて空気タンク6から空圧が出力される。
また、指令回路68は、偏差Perと実制動エア圧Pをそ
れぞれ変数とした2変数マップ86から圧縮空気の給気
モード、排気モード及び保持モード毎の時間、つまり、
圧力制御弁10のソレノイドに通電するパルス幅を求め
る。なお、2変数マップ86は予め準備され、図3には
示されない記憶回路に記憶されている。
【0043】ここで、圧力制御弁10は1ms単位で駆
動可能であって、そのパルス幅は例えば20ms周期毎
に設定される。従って、指令回路68からは、図6に示
すような矩形パルスの制御信号Spが圧力制御弁10に
出力される。指令回路68から切り換え信号及び制御信
号Spが出力されると、これらの信号に基づき、各制御
対象車輪に対応する給気弁22及び圧力制御弁10がそ
れぞれ作動される。その結果、上述のように制御対象車
輪に対応するエアオーバハイドロリックブースタ4に圧
縮空気、すなわち、制動エア圧が供給される。このとき
の制動エア圧は、ブレーキエア圧センサ44により検出
され、ローパスフィルタ84を経た後、実制動エア圧P
として前述の減算部82及び2変数マップ86にフィー
ドバックされる。ここで、指令回路68から給気弁22
及び圧力制御弁10までの制動エア圧の制御系に注目す
れば、圧力制御系にもまた、出力フィードバックループ
が形成されている。
【0044】また、上述の各制御モード、すなわち、圧
縮空気の給気、保持及び排気モードについて説明すれ
ば、これら制御モードの選択は、各給気弁22及び圧力
制御弁10の切換作動により行われる。つまり、これら
弁の作動を切り換えることで、エアオーバハイドロリッ
クブースタ4に対する圧縮空気の給気又は排気を行った
り、そのときの制動エア圧を保持することができる。ま
た、これら制御モードの切換をフィードバック制御する
ことで、実際の制動エア圧を細かく制御することができ
る。
【0045】
【表1】
【0046】ここで表1には、上述の制御モードと、制
御対象車輪に対応する各弁の作動状態との関係が示され
ている。なお、表1中のON又はOFFは、その弁のソ
レノイドに対する通電又は非通電を表している。表2に
示すように、非制御、つまり、車両の挙動制御装置が作
動されていない場合、何れの弁の作動状態もOFFであ
る。この場合には、運転者によるブレーキ操作、つま
り、サービスブレーキによる制動のみが行われる。
【0047】これに対し、車両の挙動制御装置が作動さ
れると、給気弁22内の各制御対象車輪に対応した一方
の電磁弁がON、つまり、作動位置に切り換えられる。
そして、車両の挙動制御装置の作動中、保持弁10a及
び排気弁10bは、各制御モードに応じてON又はOF
Fに切り換えられる。より詳細には、先ず制動エア圧の
給気モードでは、1周期(20ms)において、その開
始から前述の2変数マップ80にて求められた給気時間
だけ、保持弁10a及び排気弁10bは共にOFFに維
持され、この後、その周期中の残りの時間は保持モード
に切り換えられ、保持弁10aのみがONとなり、排気
弁10bはOFFに維持される。従って、給気モードに
て、エアオーバハイドロリックブースタ4に前述した空
気タンク6からの圧縮空気が給気され、エアオーバハイ
ドロリックブースタ4内の制動エア圧が上昇する。
【0048】一方、排気モードでは、1周期の開始から
2変数マップ86にて求められた排気時間だけ、保持弁
10a及び排気弁10bは共にONとなり、そして、そ
の周期の残りの時間は同様に保持モードに切り換えられ
る。従って、この排気モードでは、エアオーバハイドロ
リックブースタ4内の圧縮空気が排気され、その制動エ
ア圧が下がる。
【0049】以上のように各制御対象車輪の制動エア圧
が制御される結果、エアオーバハイドロリックブースタ
4にて立ち上げられる油圧が調整される。そして、制御
対象車輪間には、ホイールブレーキ(ブロック88)の
作動による制動力差dFが生じる。そして、制御対象車
輪である前後の対角車輪間の制度力差dFにより、車体
(ブロック90)に要求ヨーモーメントMdに等しい回
頭ヨーモーメント又は復元ヨーモーメントMが発生す
る。これにより、旋回時の車両1の実ヨーレイトが目標
ヨーレイトに近づけられる。
【0050】なお、以上のようなヨーモーメント制御
は、その終了条件が満足されるまで継続して実行され
る。すなわち、図4の制御ルーチンに示すように、ステ
ップS18ではヨーモーメントを終了するか否かの判別
が行われ、ステップS18での判別結果が偽、つまり、
ヨーモーメント制御の終了条件が満足されないうちは、
上述のステップS10からステップS16までの手順が
繰り返し実行される。
【0051】これに対し、ステップS18での判別結果
が真、つまり、ヨーモーメント制御の終了条件が満足さ
れた場合、ステップS20に進んでヨーモーメント制御
が終了されることとなる。以下、ステップS18におけ
るヨーモーメント制御の終了判断について説明する。図
5からも明らかなように、実際に制御対象車輪のホイー
ルブレーキ(ブロック88)に対する制御量、つまり、
制動エア圧Pは、メインコントローラ78から出力され
る目標制御量である制動エア圧増減量dPに依存する。
従って、最終的に車体(ブロック90)に及ぼすヨーモ
ーメントの大きさもまた、メインコントローラ78から
出力される制動エア圧増減量dPに依存することとな
る。このことは、言い換えれば、目標制御量が大きけれ
ば、ヨーモーメント制御がその機能を大いに発揮してお
り、車両1の運動状態に積極的な補正運動量を与えてい
るといえる。この場合、たとえヨーレイト偏差が小さく
なったとしても、ヨーモーメント制御を終了させること
はできない。
【0052】これに対し、目標制御量が一定値以下とな
り、且つ、その状態がある程度の時間以上継続すれば、
もはやヨーモーメント制御による車両1の運動状態への
寄与度は低い。この場合、ヨーモーメント制御を終了し
てもよい状況であると言える。従って、ステップS18
では、制動エア圧の増減量dPf,dPrが共に終了条件を
決定する基準エア圧以下となり、且つ、その状態が基準
時間以上継続したときヨーモーメント制御を終了するも
のと判定される。なお、この場合の基準エア圧は、その
基準エア圧以下にて生じる制動力差によっては車両の運
動状態に殆ど影響を与えることのない大きさに設定され
る。また、上述の基準時間は、例えばハンドル切り返し
時等、旋回方向の変更により制御対象車輪が左右で切り
換えられるような場合にヨーモーメント制御が終了され
ないようにするため、この制御対象車輪の切換を充分に
行うことができる時間に設定される必要がある。なお、
以上の終了条件とは別に、その他の終了条件として、例
えば、制御中に車速が基準車速以下の低速となった場合
にもヨーモーメント制御を終了することとする。この基
準車速は、ヨーモーメント制御を実行する必要のない低
速域にて設定される。
【0053】以上の制御終了の判断は制御回路64にて
行われる。すなわち、制御回路64では、目標制御量で
ある制動エア圧増減量dPf,dPrの出力値が基準エア圧
以下となり且つそのままの状態で基準時間以上経過した
とき、又は、車体速Vが基準車速以下となったとき、ヨ
ーモーメント制御を終了するものと判定される。この場
合、ステップS18の判別結果が真となり、次にステッ
プS20に進む。
【0054】ステップS20では、ヨーモーメント制御
の終了処理が実行される。先ず、制御回路64ではメイ
ンコントローラ78での演算が停止される。そして、E
CU28では、メイン制御ルーチンの他に設定されてい
る制御終了処理ルーチンが実行されて、ヨーモーメント
制御、つまり、車両挙動制御装置の作動が完全に停止さ
れる。
【0055】このように上述した実施例の車両の挙動制
御装置によれば、ヨーモーメント制御の機能が車両の運
動状態に与える影響が少なくなったことを的確に判断し
て自動ブレーキの作動を終了させることができる。従っ
て、ヨーモーメント制御の効果により車両の挙動が安定
している状況下で、車両挙動制御のための制動力制御が
停止されることがなく、安全性の高い制御終了条件を簡
単に設定することができる。
【0056】しかも、実際の制動エア圧を検出すること
でフィードバック制御を行い、制御回路から出力される
制動エア圧増減量dPf,dPrに基づき、各制御対象車輪
に適切な制動エア圧力が発生しているかどうかを常に監
視しているので、これら車輪間に付与される制動力差に
も誤差が少なく、ヨーモーメント制御の終了判断に高い
信頼性を保証することができる。また、このように制動
エア圧をフィードバック制御することにより、エアオー
バハイドロリックブレーキのエア系統における応答遅れ
を解消することができるため、トラックやバスなどブレ
ーキ系統に空圧を使用する車両にとって非常に好適とな
る。
【0057】この発明は上述した実施例に制約されるも
のではない。例えば、制動圧を検出する位置は、空圧管
路8上における制動エア圧に限られず、油圧管路3にお
ける油圧を検出するものであっても良い。この場合、指
令回路68における圧力フィードバック系では、油圧を
空圧に変換し直す比例ゲインが必要となる。また、車両
1のブレーキシステムは、エアオーバハイドロリックブ
レーキに限られず、フルエアブレーキでも良い。この場
合、エアオーバハイドロリックブースタ4から先の油圧
ラインは全て空圧ラインに置き換えられ、ホイールブレ
ーキはブレーキチャンバにより駆動される。
【0058】なお、図5には、一例としてヨーレイトフ
ィードバックの手法による車両の旋回運動制御が示され
ているが、ここで設定される入力、すなわち目標運動状
態は車両の目標ヨーレイトに限られず、その他の運動状
態、例えば、旋回時の車両の横加速度であってもよい。
この場合、車両の目標横加速度は、車両が旋回横力を受
けることによりスピンやドリフトアウト、ロールオーバ
等を起こさないような横加速度以下に設定される。そし
て、自動ブレーキのための目標制御量は、車両の横加速
度を目標横加速度以下に制限する制動力を発生させる制
動エア圧として設定される。
【0059】その他、この車両の挙動制御装置は、実施
例の後1軸タイプの車両に限られず、例えば後2軸タイ
プの車両であっても適用可能である。この場合、左右の
後輪WRL,WRRのホイールシリンダ2に接続される油圧
管路3をそれぞれ分岐させて、この分岐した油圧管路を
左右の後後輪のホイールシリンダに接続すれば、上述し
た実施例の制動力制御が同様に可能となる。ただし、後
輪の制動力が大きくなる分、制動エア圧の増減量を決定
する際、上述の式(2.1),(2.2)の後輪ブレー
キ係数Brの値が適正に設定される必要がある。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の車両の
挙動制御装置によれば、車両が自律的に安定した旋回運
動に復帰するときと、制動力制御による制動力差が解消
されるときがほぼ同時期であり、車両の挙動制御装置の
作動が停止された後で車両の安定した旋回挙動が損なわ
れることはない。また、特別な制御終了判定回路を設け
ることなく、車両の挙動制御装置の制御終了条件を容易
に設定することができる。従って、旋回制御の開始から
終了にかけて、車両の挙動制御装置による車両の旋回挙
動の安定化に高度な信頼性を保証することができる。
【0061】請求項2の車両の挙動制御装置によれば、
目標制御量に基づく制御指令に対する応答遅れを補償し
て確実に制動力差を付与することができるので、制御の
終了条件と実際の車両の挙動との間にずれがなく、旋回
制御の安全性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両1のブレーキシステムの構成を表した概略
図である。
【図2】圧力制御弁10の詳細な構成を示す図である。
【図3】実施例の車両の挙動制御装置の制御手順を示す
ブロック図である。
【図4】車両の挙動制御装置のメイン制御ルーチンを示
すフローチャートである。
【図5】ECU28のヨーモーメント制御系におけるヨ
ーレイトフィードバックループ及び圧力フィードバック
ループを示すブロック線図である。
【図6】指令回路68から出力されるパルス信号を示す
図である。
【符号の説明】
2 ホイールシリンダ 3 油圧管路 4 エアオーバハイドロリックブースタ 6 空気タンク 8 空圧管路 10 圧力制御弁 20 給気管路 22 給気弁 24 給気管路 28 ECU(制御手段) 30 車輪速センサ 36 ヨーレイトセンサ 42 ハンドル角センサ 44 ブレーキエア圧センサ 56 演算回路 60 演算回路 64 制御回路 68 指令回路 78 メインコントローラ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 運転者のブレーキ操作とは独立して作動
    し、所定の車輪に作用する制動力を調整可能に設けられ
    た制動力調整手段と、 車両の走行状態を検出して出力する走行状態検出手段
    と、 車両の実運動状態を検出して出力する実運動状態検出手
    段と、 前記走行状態に基づき車両の目標運動状態を設定し、車
    両の旋回時に前記実運動状態を前記目標運動状態に一致
    させるべく前記所定車輪間に制動力差を付与するための
    目標制御量を演算して、前記目標制御量に従って前記制
    動力調整手段の作動を制御する制御手段とを備え、 前記制御手段は、前記目標制御量が所定値以下である状
    態が所定時間継続したとき前記制御を終了することを特
    徴とする車両の挙動制御装置。
  2. 【請求項2】 前記所定車輪に作用する実制動圧を検出
    して出力する実制動圧検出手段を備え、前記制御手段
    は、前記実制動圧を前記目標制御量に基づき決定した目
    標制動圧に一致させるべくフィードバック制御すること
    を特徴とする請求項1に記載の車両の挙動制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006298211A (ja) * 2005-04-21 2006-11-02 Advics:Kk 車両のローリング運動安定化制御装置
JP2007131062A (ja) * 2005-11-08 2007-05-31 Fuji Heavy Ind Ltd 車両挙動制御装置
DE102008060097A1 (de) 2007-12-20 2009-09-10 Mitsubishi Fuso Truck and Bus Corp., Kawasaki Fahrverhalten-Steuereinrichtung
JP2015123836A (ja) * 2013-12-26 2015-07-06 日信工業株式会社 車両挙動制御装置

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