JPH10267093A - テンショナレバー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂製のシューの成形時の歪みを防止して形
状精度を高め、シュー面の摩耗やチェーンとの摩擦によ
る動力損失を低減できるテンショナレバーを提供する。 【解決手段】 先端部２Ｂ側が揺動できるように基端部
２Ａ側がピボット軸周りに回動自在に支持される金属製
のレバーベース２に、チェーンに摺動接触する樹脂製シ
ュー３が固定されているテンショナレバー１において、
シュー３の肉厚が厚くなっている部分に肉抜部３Ｆ，３
Ｈを形成することによって、シュー３の成形時その材料
となる樹脂が成形型内で均一に流動し、シュー３全体の
硬化速度が均一になるようにして、成形時の歪みを防止
し、シュー３の形状精度ならびにレバーベース２への取
付精度を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンのタイミ
ングチェーン等に用いるテンショナレバーの構造に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来より、エンジンのタイミングチェー
ン等には、チェーン走行時の振れを防止するために、テ
ンショナレバーでチェーンに張力を付与してその弛みを
防止する構造のテンショナ装置が広く用いられている。

【０００３】図６は、このようなテンショナレバーを有
するテンショナ装置をエンジンのタイミングチェーンに
使用した例を示す図であって、エンジンのクランクシャ
フトに固定されている駆動側スプロケット１０とカムシ
ャフトに固定されている被駆動側スプロケット１１，１
２との間にチェーン１３が掛け渡されており、クランク
シャフトの回転が駆動側スプロケット１０からチェーン
１３を介して被駆動側スプロケット１１，１２に伝達さ
れて、カムシャフトが回転駆動されるようになってい
る。チェーン１３の弛み側には、その弛みを除去して走
行時の振れを防止するためにテンショナ装置１４が配置
されている。

【０００４】前記テンショナ装置１４は、チェーン１３
の弛み側を押圧して前記チェーン１３に張力を付与する
ようにピボットピン１５回りに揺動自在に支持されてい
るテンショナレバー１６と、前記テンショナレバー１６
をチェーン１３へ押し付けるプランジャ１７を有するテ
ンショナ１８によって構成されている。

【０００５】図７は、前記テンショナレバー１６の側面
図であって、テンショナレバー１６は、厚手の金属板を
曲げ加工して形成されている金属製のレバーベース１９
を有しており、前記レバーベース１９のチェーン１３と
の対向面に沿って樹脂製のシュー２０が密着固定されて
いる。

【０００６】レバーベース１９の基端部１９Ａは、ルー
プ状に曲げられて、その内側に前記ピボットピン１５に
対して回動自在に外嵌される中空円筒状の金属製カラー
２１が挿し込まれている。

【０００７】また、前記レバーベース１９は、図６に示
すプランジャ１７先端が当接するためのチェーン１３側
と反対側に局部的に湾曲した湾曲部１９Ｂを有してお
り、全体形状としては、チェーン１３とは反対側に弓状
に反った細長い形状をしている。

【０００８】一方、レバーベース１９に固定されている
シュー２０は、チェーン１３に摺動接触するシュー面２
０Ａの裏面側がレバーベース１９のチェーン１３との対
向面に密着しており、レバーベース９の湾曲部１９Ｂに
隣接した位置には、湾曲部１９ｂの輪郭に沿うようにシ
ュー面２０Ａの反対側の面は輪郭が膨らんだパッド部２
０Ｂが形成され、この部分のシュー面２０Ａとその反対
側のレバーベース１９と対向している面との間における
肉厚Ｔは、他の部分よりもかなり厚くなっている。ま
た、シュー２０は金属製カラー２１の外周面に沿って曲
げられているレバーベース１９の基端部１９Ａ周囲にお
いても、他の部分よりも肉厚がやや厚く形成されてい
る。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
樹脂製のシューは、パッド部や金属製カラーが固定され
ているレバーベース基端部周囲を包囲している部分にお
いて、シュー面とその裏側のレバーベースと接している
面との間の厚さが他の部分よりも厚くなっているため、
シューを成形加工する際に樹脂の流れや硬化速度が不均
一になってその形状に歪みを生じ、レバーベースの輪郭
に正確に適合するような形状を得ることが困難であっ
た。

【００１０】そのため、テンショナレバーとして組み立
てた場合にチェーンに摺動接触するシュー面がピボット
ピン回りに揺動するテンショナレバーの揺動面に対して
傾斜してシュー面に局部的な摩耗が生じたり、シュー面
とチェーンとの摩擦が大きくなって動力損失を生じる問
題があった。

【００１１】そこで、本発明は、前述したような従来技
術の問題を解決し、樹脂製のシューの成形時の歪みを防
止して形状精度を高め、シュー面の摩耗やチェーンとの
摩擦による動力損失を低減できるテンショナレバーを提
供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】前記目的のため、本発明
は先端部側が揺動できるように基端部側がピボット軸周
りに回動自在に支持されるレバーベースに、チェーンに
摺動接触する樹脂製シューが固定されているテンショナ
レバーにおいて、シューの肉厚が厚くなっている部分に
シュー成形時の歪みを防止する肉抜部を形成したもので
ある。

【００１３】

【作用】シューの肉厚が厚い部分に肉抜部を形成するこ
とによって、シューを成形する際に、その材料となる樹
脂が成形型内で均一に流動し、また、樹脂の各部分が均
一且つ効率良く冷却されるため、硬化速度がシューの各
部分で均一になる。その結果、シューの形状精度が向上
するとともにレバーベースに対する取付精度が向上す
る。

【００１４】

【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明
する。図１は本発明のチェーン用テンショナレバーの第
１実施例を示す側面図、図２は図１のＡ−Ａ線位置にお
ける矢印方向に見た断面図、図３は図１のＢ−Ｂ線位置
における矢印方向に見た断面図であって、テンショナレ
バー１は、金属製の厚板を曲げ加工して形成されている
金属製のレバーベース２に樹脂製のシュー３が一体的に
固定されて構成されている。

【００１５】レバーベース２は、前述した図６及び図７
に示す従来のテンショナレバーに用いられているレバー
ベースと構造上相違するところはなく、レバーベース２
の基端部２Ａは、ループ状に曲げられて、その内側に図
示しないエンジン側に取り付けられているピボットピン
に対して回動自在に外嵌される中空円筒状の金属製カラ
ー４が挿し込まれており、また、先端部２Ｂに近い位置
にテンショナのプランジャ先端が当接する局部的に湾曲
した湾曲部２Ｃが形成されている。

【００１６】一方、シュー３は、チェーンと摺動接触す
るシュー面３Ａの裏側の面がレバーベース２のチェーン
側の面に密着して装着されていて、シュー３の先端部に
一体に形成されている先端受部３Ｂがレバーベース２の
先端部２Ｂに被嵌されている。

【００１７】また、シュー３の基端部３Ｃは、レバーベ
ース２の基端部２Ａのループ状に湾曲された外周面に沿
うように形成されており、また、テンショナレバー１が
支持されている図示していないエンジン側の取付面と対
向している側の基端部３Ｃの端縁からは、板状部３Ｄが
一体に連設されている。

【００１８】前記板状部３Ｄは、レバーベース２の基端
部２Ａのエンジン側の取付面と対向する側の端縁に当接
され、また、金属製カラー４の外周面が密着して貫通す
るカラー挿通孔３Ｅが形成されている。

【００１９】シュー３の基端部３Ｃは、シュー面３Ａに
連続した外側の面と、その裏側のレバーベース２の基端
部２Ａ外周面に当接している面との間の肉厚Ｔ１がシュ
ー３の長手方向中間部分の肉厚Ｔ２よりも厚く形成され
ており、そのレバーベース２との対向面には、シュー３
の長手方向に短い間隔で複数個所にスリット状の肉抜部
３Ｆが形成されている。

【００２０】また、レバーベース２の湾曲部２Ｃの位置
では、その輪郭に沿うようにシュー面３Ａの裏側の面が
円弧状に膨らんだパッド部３Ｇが形成されている。前記
パッド部３Ｇにはレバーベース２に両側に多数の肉抜部
３Ｈが形成されており、これらの肉抜部３Ｈによって形
成された櫛状のリブＲの端面がレバーベース２の湾曲部
２Ｃに当接して支持されている。

【００２１】シュー３のこれらの肉厚が厚くなっている
部分に肉抜部３Ｆ，３Ｈを形成したことによって、シュ
ー３の厚肉部における実質的な肉厚が減少して、他の部
分の肉厚との差を小さくすることができ、樹脂製のシュ
ー３を射出成形で製造する際に、金型内での樹脂の流れ
が均一化されるとともに樹脂の硬化速度が均一化され、
硬化後のシューの形状の歪みを防止することができる。

【００２２】次に、図４は本発明の第２実施例を示す側
面図、図５は図４のＣ−Ｃ線位置における矢印方向に見
た側面図であって、これらの図中、図１〜図３中のもの
と同一の番号や符号で示している部分は、第１実施例の
ものと同一の構成となっている。

【００２３】すなわち、本実施例のテンショナレバー
１’はシュー３’のパッド部３Ｇ’に形成されている肉
抜部３’Ｈの構成だけが前述した第１実施例のテンショ
ナレバー１と相違し、肉抜部３’Ｈは、パッド部３’Ｇ
の両側にそれぞれ２つずつ配置された凹部によって形成
されており、前述した第１実施例における肉抜部３Ｇよ
りも形状を簡略化している。

【００２４】なお、本発明のテンショナレバーのシュー
に設けられる肉抜部の形状は、前述した各実施例に例示
したものに限定するものではなく、シューの肉厚の差を
少なくして、シューを成形する際に樹脂の流れを均一化
することができ、また、硬化速度を均一化して硬化後に
歪みを生じさせない形状であればよい。

【００２５】

【発明の効果】以上に説明したように、本発明のチェー
ン用テンショナレバーによれば、シューの厚肉部分に肉
抜部を設けているため、樹脂製のシューを成形する際に
樹脂の流れが均一化されるとともに樹脂の硬化速度が均
一化され、硬化後のシューの形状の歪みを防止すること
ができる。

【００２６】その結果、シューの形状精度が向上すると
ともにレバーベースに対する取付精度が向上し、シュー
面がチェーンに対して傾いた状態で当接することを防止
できるので、シュー面に局部的な摩耗を生じることがな
く、また、チェーンとシュー面との間の摺動摩擦による
動力損失を低減することができる。

【００２７】また、肉抜部を設けたことによって、チェ
ーン摺動時に発生する摩擦熱の放熱面積が増大してシュ
ーの冷却効率を向上することができるため、熱による樹
脂の劣化に起因するシュー面の早期の摩耗を防止できる
とともに、シューに使用する樹脂材料の量を節減するこ
とができるため、テンショナレバーのコストダウンと軽
量化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のチェーン用テンショナレバーの第１
実施例を示す側面図。

【図２】 図１のＡ−Ａ線位置における矢印方向に見た
断面図。

【図３】 図１のＢ−Ｂ線位置における矢印方向に見た
断面図。

【図４】 本発明のチェーン用テンショナレバーの第２
実施例を示す側面図。

【図５】 図５のＣ−Ｃ線位置における矢印方向に見た
断面図。

【図６】 テンショナレバーを有するテンショナ装置の
使用例を示す図。

【図７】 従来のテンショナレバーの側面図。

【符号の説明】

１，１’ テンショナレバー ２ レバーベース ２Ａ 基端部 ２Ｂ 先端部 ２Ｃ 湾曲部 ３，３’ シュー ３Ａ シュー面 ３Ｂ 先端受部 ３Ｃ 基端部 ３Ｄ 板状部 ３Ｅ カラー挿通部 ３Ｆ，３Ｈ，３’Ｈ 肉抜部 ３Ｇ，３’Ｇ パッド部 ４ カラー

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 先端部側が揺動できるように基端部側が
   ピボット軸周りに回動自在に支持される金属製のレバー
   ベースに、チェーンに摺動接触する樹脂製シューが固定
   されているテンショナレバーにおいて、 シューの肉厚が厚くなっている部分にシュー成形時の歪
   みを防止する肉抜部が形成されていることを特徴とする
   テンショナレバー。