JPH10206436A - トンネル電流または微小力検出用の微小ティップの製造方法とプローブの製造方法、及びそのプローブ - Google Patents

トンネル電流または微小力検出用の微小ティップの製造方法とプローブの製造方法、及びそのプローブ

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JPH10206436A
JPH10206436A JP1782497A JP1782497A JPH10206436A JP H10206436 A JPH10206436 A JP H10206436A JP 1782497 A JP1782497 A JP 1782497A JP 1782497 A JP1782497 A JP 1782497A JP H10206436 A JPH10206436 A JP H10206436A
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microtip
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probe
tip
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JP1782497A
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Junji Oyama
淳史 大山
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】トンネル電流または微小力検出用の微小ティッ
プとプローブの製造方法、及びそのプローブにおいて、
ティップの雌型を後工程でエッチング除去することなく
ティップを形成でき、もしくは雌型除去に伴ってティッ
プ材料が雌型に残留することなく再利用し、生産性を向
上すると同時に、製造コストを低減でき、ティップとし
て再現性が良く、均一な形状が得られること。 【解決手段】第一基板の表面における凹部を含む剥離層
上に微小ティップを形成し、二基板の接合層上に、剥離
層上に形成された微小ティップを転写するトンネル電流
または微小力検出用の微小ティップまたはプローブの製
造方法であり、微小ティップと接合層との間にジスルフ
ィド結合を形成することを特徴としプローブは、基板上
に接合層と該微小ティップとに囲まれた中空の領域を有
するトンネル電流検出用のプローブであり、該微小ティ
ップと接合層とがジスルフィド結合により結合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走査型トンネル電
流顕微鏡、あるいは微小な力を検出する原子間力顕微鏡
等に用いられるトンネル電流または微小力検出用の微小
ティップ(探針)の製造方法とプローブの製造方法、及
びそのプローブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年において、導体の表面原子の電子構
造を直接観察できる走査型トンネル顕微鏡(以下、ST
Mと略す)が開発され(G.Binnig et a
l,Phys.Rev.Lett.,49,57(19
82))、単結晶、非晶質を問わず実空間像を高い分解
能をもって測定することができるようになった。しかも
試料に電流による損傷を与えずに低電力で観測できる利
点も有し、更に大気中でも動作し、種々の材料に対して
用いることができるので、今後広範囲な応用が期待され
ている。かかるSTMは金属のティップと導電性物質間
に電圧を加えて1nm程度の距離まで近づけるとトンネ
ル電流が流れることを利用している。この電流は両者の
距離変化に非常に敏感であり、かつ指数関数的に変化す
るので、トンネル電流を一定に保つようにティップを走
査することにより実空間の表面構造を原子オーダーの分
解能で観察することができる。このSTMを用いた解析
の対象物は導電性材料に限られていたが、導電性材料の
表面に薄く形成された絶縁層の構造解析にも応用され始
めている。更に、上述の装置、手段は微小電流を検知す
る方法を用いているため、媒体に損傷を与えず、かつ低
電力で観測できる利点をも有する。
【0003】また、大気中での作動も可能であるため、
STMの手法を用いて、半導体あるいは高分子材料等の
原子オーダー、分子オーダーの観察評価、微細加工
(E.E.Ehrichs,Proceedings
of 4th International Conf
erence on Scanning Tunnel
ing Microscopy/Spectrosco
py,”89,S13−3)、及び情報記録再生装置等
のさまざまな分野への応用が研究されている。例えば、
情報記録再生装置への応用を考えると、高い記録密度を
達成するためにSTMのティップの先端部の曲率半径が
小さいことが要求されている。また同時に、記録再生シ
ステムの機能向上、特に高速化の観点から、多数のプロ
ーブを同時に駆動すること(ティップのマルチ化)が提
案されているが、このために同一の基板上に特性のそろ
ったティップを作製することが必要となる。また、原子
間力顕微鏡(以下、AFMと略す)によれば物質の表面
に働く斥力、引力を検知するため導体、絶縁体を問わず
試料表面の凹凸像が測定できる。このAFMには片持ち
梁(カシチレバー)の自由端に微小ティップを形成した
ものが用いられておりSTMと同様にティップの先端部
の曲率半径が小さいことが要求されている。
【0004】従来、上記のような微小ティップの形成方
法として、半導体製造プロセス技術を使い単結晶シリコ
ンを用いて異方性エッチングにより形成した微小ティッ
プが知られている(米国特許第5,221,415号明
細書)。この微小ティップの形成方法は、図7に示すよ
うに、まず二酸化シリコン510、512のマスクを被
覆したシリコンウエハ514に異方性エッチングにより
ピット518を設け、二酸化シリコン510、512を
除去し、次に全面に窒化シリコン層520、521を被
覆してカンチレバー(片持ち梁)及び微小ティップとな
るピラミッド状ピット522を形成し、カンチレバー形
状にパターニングした後、裏面の窒化シリコン521を
除去し、ソウカット534とCr層532を設けたガラ
ス板530と窒化シリコン520を接合し、シリコンウ
エハ514をエッチング除去することによりマウンティ
ングブロック540に転写された窒化シリコンからなる
ティップとプローブを作製するものである。最後に、裏
面に光てこ式AFM用の反射膜となる金属膜542を形
成する。
【0005】また、図8(a)に示されるように、たと
えば基板201上の薄膜層202を円形にパターニング
し、それをマスクにして基板201をエッチングし、サ
イドエッチングを利用してティップ203を形成する方
法(O.Wolter,etal.,“Microma
chined silicon sensorsfor
scanning force microscop
y,”J.Vac.Sci.Technol.B9
(2),Mar/Apr,1991,pp1353−1
357)、さらには図8(b)に示されるように、逆テ
ーパーをつけたレジスト205のレジスト開口部206
に基板204を回転させながら導電性材料207を斜め
から蒸着し、リフトオフすることによりティップ208
を形成するスピント(Spindt)等により提案され
た方法(C.A.Spindt,et al.,“Ph
ysical properties of thin
film field emission catho
de with molybdenum cones”
J.Appl.Phys.,47.1976,pp52
48−5263)等がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図7に
示したような従来例の微小ティップの形成方法は以下の
ような問題点を有していた。 (1)ティップの雌型となったシリコン基板は、後工程
でエッチング除去されてしまうため再利用ができず、生
産性が低くなり製造コストが高くる。 (2)ティップの雌型となったシリコン基板をエッチン
グするため、プローブ表面のエッチング液によるティッ
プ部の材料劣化、形状劣化、及びエッチング液からの汚
染等が生じる可能性がある。 (3)ティップ表面上に導電性材料を被覆してSTMの
ティップとする場合には、ティップの先端部は鋭利に形
成されているが、このために導電性材料が被覆されにく
く、被覆した場合に成膜した導電体膜の粒塊が現れ、再
現性良く粒塊の制御をすることが困難である。 (4)さらに、薄膜カンチレバー上に微小ティップを形
成する場合には、AFMでは反射膜をプローブの裏面の
全面に形成するため、カンチレバーが反射膜の膜応力に
より反ってしまう。また、図8に示したような従来例の
微小ティップの製造方法では以下のような問題点があ
る。 (5)ティップを形成する際のシリコンのエッチング条
件やレジストのパターニング条件及び導電性材料の蒸着
条件等を一定にするには厳しいプロセス管理が必要とな
り、形成される複数の微小ティップの高さや先端曲率半
径等の正確な形状を維持するのが難しい。
【0007】そこで、本発明は、上記従来技術の有する
課題を解決し、ティップの雌型を後工程でエッチング除
去することなくティップを形成でき、もしくは雌型除去
に伴ってティップ材料が雌型に残留することなく再利用
できることにより、生産性を向上すると同時に、製造コ
ストを低減することができるトンネル電流または微小力
検出用の微小ティップの製造方法とプローブの製造方
法、及びそのプローブを提供することを目的としてい
る。また、本発明は、エッチング液もしくは雌型除去に
伴ってティップの材料劣化、形状劣化、及びエッチング
液からの汚染がないティップを形成することができるト
ンネル電流または微小力検出用の微小ティップの製造方
法とプローブの製造方法、及びそのプローブを提供する
ことを目的としている。また、本発明は、ティップの材
料として金属を用いることができ、導電性材料を被覆す
る必要のないトンネル電流または微小力検出用の微小テ
ィップの製造方法とプローブの製造方法、及びそのプロ
ーブを提供することを目的としている。また、本発明
は、ティップのみをカンチレバー先端に形成することが
でき、反射膜をプローブの裏面に形成する必要のないト
ンネル電流または微小力検出用の微小ティップの製造方
法とプローブの製造方法、及びそのプローブを提供する
ことを目的としている。また、本発明は、ティップとし
て再現性が良く、均一な形状が得られるトンネル電流ま
たは微小力検出用の微小ティップの製造方法とプローブ
の製造方法、及びそのプローブを提供することを目的と
している。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、トンネル電流または微小力検出用の微小テ
ィップの製造方法とプローブの製造方法、及びそのプロ
ーブをつぎのように構成したことを特徴としている。ま
ず、本発明の微小ティップの製造方法は、一方の基板で
ある第一基板の表面における凹部を含む剥離層上に微小
ティップを形成し、他方の基板である第二基板の接合層
上に、前記剥離層上に形成された微小ティップを転写す
るトンネル電流または微小力検出用の微小ティップの製
造方法であって、前記微小ティップと接合層との間にジ
スルフィド結合を形成させることを特徴としている。ま
た、本発明のこの微小ティップの製造方法は、(a)第
一基板の表面に凹部を形成する工程と、(b)前記第一
基板の凹部を含む基板上に剥離層を形成する工程と、
(c)前記剥離層上に微小ティップを形成する工程と、
(d)第二基板上に接合層を形成する工程と、(e)前
記第一基板における剥離層上に形成された微小ティップ
を、前記第二基板上の接合層に接合する工程と、(f)
前記剥離層と第一基板もしくは前記剥離層と微小ティッ
プ界面で剥離を行い、前記微小ティップと前記第二基板
の接合層との間にジスルフィド結合を形成させて該接合
層上に微小ティップを転写する工程と、を少なくとも有
することを特徴としている。また、本発明のプローブの
製造方法は、トンネル電流または微小力検出用のプロー
ブの製造方法であって、(a)第一基板の表面に凹部を
形成する工程と、(b)前記第一基板の凹部を含む基板
上に剥離層を形成する工程と、(c)前記剥離層上に微
小ティップを形成する工程と、(d)第二基板上に弾性
体材料を形成する工程と、(e)前記第二基板の弾性体
材料上に接合層を形成する工程と、(f)前記第一基板
における剥離層上に形成された微小ティップ材料を、前
記第二基板における弾性体材料上の接合層に接合する工
程と、(g)前記剥離層と第一基板あるいは前記剥離層
と微小ティップの界面で剥離を行い、前記微小ティップ
と前記接合層との間にジスルフィド結合を形成させて該
接合層上に微小ティップを転写する工程と、(h)前記
第二基板の一部を除去して弾性体材料から弾性体を形成
する工程と、を少なくとも有することを特徴としてい
る。また、本発明のプローブは、基板と、該基板上また
は基板におけるレバー上に形成された接合層と、該接合
層上に形成された微小ティップとからなり、該接合層と
該微小ティップとに囲まれた中空の領域を有するトンネ
ル電流検出用のプローブであって、該微小ティップと接
合層とがジスルフィド結合により結合されていることを
特徴としている。そして、本発明のこれらのトンネル電
流または微小力検出用の微小ティップの製造方法とプロ
ーブの製造方法、及びそのプローブにおいては、微小テ
ィップ及び接合層の間に形成されるジスルフィド結合
が、該微小ティップ表面及び該接合層表面に導入される
ところの、下記式(I)〜(IV)で表される化合物のメ
ルカプト基同志の反応でもたらされることを特微として
いる。
【0009】R、R’、R”:エチル基・メチル基・プ
ロピル基・ブチル基等アルキル(構造異性体を含む)、
エチレン・プロピレン・プチレン等アルケン(構造異性
体を含む)、エチリデン・プロピリデン・プチリデン等
アルキリデン(構造異性体を含む)等の炭化水素化合物
の少なくとも1種以上から構成され、該化合物の直鎖も
しくは環式もしくは複素環式化合物またはそれらが重合
または縮合した化合物 R1、R2、R3:アルコキシ基
【0010】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明における接合層と
ティップとに囲まれた中空の領域を有するトンネル電流
検出用または微小力検出用のプローブの製造工程の一つ
の実施形態について、図に基づいて説明する。図1はそ
の製造工程の一例を示す断面図である。以下、この図に
従い製造方法を説明する。
【0011】第一に、第一基板1の表面に凹部3を形成
する。第一基板としてはシリコンを用いることができ
る。これには、まず第一基板1に保護層2を形成し、次
に、保護層2の所望の箇所を、フォトリソグラフィとエ
ッチングによりパターニングしてシリコンの一部を露出
させ、次に、結晶軸異方性エッチング等を用いてシリコ
ンをエッチングして凹部3を形成する方法が用いられ
る。保護層2としては二酸化シリコンや窒化シリコンを
用いることができる。シリコンのエッチングにはティッ
プ先端部を鋭利に形成できる結晶軸異方性エッチングを
用いることが好ましい。エッチング液に水酸化カリウム
水溶液等を用いることにより(111)面と等価な4つ
の面で囲まれた逆ピラミッド状の凹部3を形成すること
ができる(図1(a)参照)。
【0012】第二に、上記凹部3を含む第一基板1上に
剥離層4を形成する。この剥離層4形成後の工程で、剥
離層4上に微小ティップ5材料を成膜した後、微小ティ
ップ5を剥離層4から剥離するため、微小ティップ5材
料が剥離しやすい剥離層4材料、即ち剥離層4の材料は
ティップ5材料との反応性・密着性が小さいことが好ま
しい。このような材料としては、金属、半金属、半導体
のそれぞれの酸化物あるいは窒化物等が使用できる。こ
れらの材料を用いて該剥離層4を各種酸化物形成法、ス
パッタリング法や真空蒸着法により形成することができ
る(図1(b)参照)。
【0013】第三に、前記凹部を含む剥離層上に微小テ
ィップ5を形成する。微小ティップ5の材料としては導
電性の高い金属系材料が必要であり、より好ましくは貴
金属または貴金属合金が良い。微小ティップ5材料の成
膜には既知の薄膜作製技術である真空蒸着法、スパッタ
リング法等が用いられる。成膜後既知のフォトリソグラ
フィーの手法を用いて微小ティップ5材料をパターニン
グし、微小ティップ部とする(図1(c)参照)。
【0014】第四に、第二基板8または第二基板8上に
形成されたカンチレバー等の弾性体9上に接合層7を形
成する。第二基板8および弾性体9は接合層7を介して
微小ティップ5を支持する部材である。
【0015】本発明における実施態様では前記微小ティ
ップ5と前記接合層7間にジスルフィド結合を有する。
該ジスルフィド結合は式(I)〜(III)で表される化合
物のメルカプト基同志の反応でもたらされる。 R、R’、R”:エチル基・メチル基・プロピル基・ブ
チル基等アルキル(構造異性体を含む)、エチレン・プ
ロピレン・ブチレン等アルケン(構造異性体を含む)、
エチリデン・プロピリデン・ブチリデン等アルキリデン
(構造異性体を含む)等の炭化水素化合物の少なくとも
1種以上から構成され、該化合物の直鎖もしくは環式も
しくは複素環式化合物またはそれらが重合または縮合し
た化合物 R1、R2、R3:アルコキシ基。
【0016】上記の化合物のうち好適な例として、ジメ
トキシ−3−メルカプトプロピルメチルシラン、メルカ
プトメチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピ
ルトリメトキシシラン等のメルカプト系アルコキシシラ
ン等をあげることができる。また、前記ジスルフィド結
合は式(IV)で表される化合物のメルカプト基同志の反
応でも同様にもたらされる。 HS−R−(COOH)n n≧1 (IV) R:エチル基・メチル基・プロピル基・ブチル基等アル
キル(構造異性体を含む)、エチレン・プロピレン・ブ
チレン等アルケン(構造異性体を含む)、エチリデン・
プロピリデン・ブチリデン等アルキリデン(構造異性体
を含む)等の炭化水素化合物の少なくとも1種以上から
構成され、該化合物の直鎖もしくは環式もしくは複素環
式化合物またはそれらが重合または縮合した化合物 上記の化合物のうち好適な例としてメチル−3−メルカ
プトプロピオン酸、2−メルカプトメチル酪酸等をあげ
ることができる。上記の様な物質から成る化合物層16
は、前記第一基板1の場合は微小ティップ5を前記剥離
層4上に形成した後、また前記第二基板8の場合は接合
層7を形成した後に、気相吸着もしくは浸漬もしくは塗
布で該微小ティップ5表面及び接合層7表面に上記の式
(I)〜(IV)のメルカプト基を有しない末端を介して
付着させることができる。
【0017】前記化合物層16を付着させる接合層もし
くは微小ティップは例えば酸化され易い金属であっても
よく、従ってそのような場合でも該酸化部分を適当な溶
液処理もしくはスパッタ等で除去する工程を挿入する必
要がなく、前記接合層と前記微小ティップを室温にて強
固に密着させることが可能となる。即ち通常必要とされ
る合金化のための熱処理を省くことが可能となり、製造
工程を簡略化できる。
【0018】第五に、前記凹部3を含む剥離層4上の微
小ティップ5材料を接合層7に接合する。これには、そ
れぞれの基板を保持できるアライメント装置を用い、第
一基板1上の微小ティップ5と第二基板8上の接合層7
とを位置合わせして対向・接触させて、また必要に応じ
て荷重を加えて微小ティップ5と接合層7の接合を行
う。(図1(d)参照)。この時前記微小ティップ5と
接合層7に金属を用いれば、接合によって金属結合を得
ることができる。更にこの時微小ティップ5または接合
層7表面に付着させた前記化合物層16が、相対する接
合層7または微小ティップ5との界面ではない側にある
メルカプト基と反応してジスルフィド結合が形成され
る。その結果、前記微小ティップ5と前記接合層7間は
強固な密着状態となる。なお、トンネル電流を取り出す
ための配線10は、接合層7と同一材料で同一層に形成
しても良い。
【0019】第六に、前記剥離層4と第一基板界面で剥
離を行い接合層7上に微小ティップ5材料を転写する。
すなわち、第一基板1と第二基板8を引き離すことによ
り、剥離層4と第一基板との界面で剥離させる(図1
(e)参照)。
【0020】
【実施例】以下に、本発明の実施例について説明する
が、これらは本発明の範囲を何ら制限するものではな
い。 [実施例1]実施例1においては、STM用プローブ及
びその製造方法を構成した。図2にそのプローブを示
す。図において、基板上に形成された接合層7上に微小
ティップ5が接合されている。また、トンネル電流用配
線10が接合層7に接続されている。図1は本実施例の
プローブの製造工程を示す断面図である。以下この図に
従い製造方法を説明する。まず、面方位(100)の単
結晶シリコンウエハを第一基板1として用意した。次
に、保護層2としてシリコン熱酸化膜を1000Å形成
した。次に、保護層2の所望の箇所を、フォトリソグラ
フィとエッチングによりパターニングし、10μm平方
のシコンを露出した。次に、水酸化カリウム水溶液を用
いた結晶軸異方性エッチングによりパターニング部のシ
リコンをエッチングした。なお、エッチング条件は、濃
度30%の水酸化カリウム水溶液を用い、液温90℃、
エッチング時間は10分とした。このとき(111)面
と等価な4つの面で囲まれた深さ約7μmの逆ピラミッ
ド状の凹部3が形成された(図1(a)参照)。
【0021】次に、保護層2である熱酸化膜をフッ酸と
フッ化アンモニウムの混合溶液(HF:NH4F=1:
5)で除去した。次に、120℃に加熱した硫酸と過酸
化水素水の混合液、及び2%フッ酸水溶液を用いて第一
基板1の洗浄を行った。次に該第一基板1上に剥離層4
としてAgを真空蒸着法により全面に700Å成膜した
(図1(b)参照)。次に微小ティップ5材料としてP
dを真空蒸着法により成膜しフォトリソグラフィとエッ
チングによりパターン形成を行った。なお、このときの
Pdの膜厚は1.0μmとした。本実施例の如く、微小
ティップ材料として金属を直接用いることにより、米国
特許第5,221,415号明細書に記載の様な絶縁体
にて形成された微小ティップを形成後に導電性材料を被
覆する必要がなくなり、工程が簡素化された。
【0022】次にジメトキシ−3−メルカプトプロピル
メチルシランを小瓶に少量分取して密閉したガラスケー
スに置き、70℃に加熱・保温した。そのケース内に上
記で前記微小ティップ5を形成した第一基板1を1時間
静置し該ジメトキシ−3−メルカプトプロピルメチルシ
ラシを吸着させた後、該基板をエタノールにて洗浄し、
未吸着のジメトキシ−3−メルカプトプロピルメチルシ
ランを除去した(図1(c)参照)。次に第二基板8と
してシリコン基板を用意し、この表面にアルミニウムA
lを500Å真空蒸着法により成膜し、フォトリソグラ
フィとエッチングによりパターン形成を行い、接合層7
及び配線10とした。引き続き、ジメトキシ−3−メル
カプトプロピルメチルシランを小瓶に少量分取して密閉
したガラスケースに置き、70℃に加熱・保温した。そ
のケース内に上記で接合層7を形成した基板を1時間静
置し該ジメトキシ−3−メルカプトプロピルメチルシラ
ンを吸着させた後、該基板をエタノールにて洗浄し、未
吸着のジメトキシ−3−メルカプトプロピルメチルシラ
ンを除去した。
【0023】次に、上記で形成した第一基板上の微小テ
ィップ5と第二基板8上の接合層7とを位置合わせして
対向・接触させて微小ティップ5と接合層7の接合を行
った(図1(d)参照)。これにより前記微小ティップ
5及び接合層7の表面上に吸着されたジメトキシ−3−
メルカプトプロピルメチルシランのメルカプト基同志が
対向してジスルフィド結合17を形成し、該ジスルフィ
ド結合17が微小ティップ5と接合層7間に形成され
た。次に、第一基板1と第二基板8を引き離すことによ
り、剥離層4と第1基板1との界面で剥離させた(図1
(e)参照)。引き続き微小ティップ5上の剥離層であ
るAg及び対向するメルカプト基がないために前記ジス
ルフィド結合を形成し得なかった化合物層16の部分を
硝酸溶液を用いて除去することにより微小ティップを形
成した(図1(f)参照)。このとき、基板表面からの
ティップの高さは約8μmであった。
【0024】本実施例で示した如く、ジスルフィド結合
を介して該微小ティップ5と該接合層7が密着したため
に、該微小ティップ5は剥離層4を介して第一基板1即
ち雌型基板から単に機械的に剥離され、また該雌型基板
に何ら損傷或いは残留物がないために、再利用工程に回
すことができる(実施例5参照)。そればかりでなく、
エッチング処理によるティップ部の材料・形状の劣化、
及びエッチング液からの汚染等を考慮する必要が一切な
く、均質な微小ティップを再現性良く形成することがで
きた。
【0025】図3は本実施例の微小ティップを適用した
STM装置のブロック図を示す。図3において、微小テ
ィップ5と試料11との間にバイアス電圧を印加し、こ
の間を流れるトンネル電流Itを検出し、Itが一定と
なるようにフィードバックをかけ、XYZ駆動ピエゾ素
子12のZ方向を駆動しティップ5と試料11との間隔
を一定に保っている。更に、XYZ駆動ピエゾ素子12
のXYを駆動することにより試料の2次元像であるST
M像が観察される。この装置で試料としてHOPG(高
配向熱分解グラファイト)基板の劈開面をバイアス電流
1nAで観察したところ、良好な原子像を得ることがで
きた。
【0026】[実施例2]実施例2においては、AFM
用カンチレバー型プローブ及びその製造方法を構成し
た。図4にそのプローブを示す。図においてカンチレバ
ー29上に形成された接合層27上に微小ティップ25
が接合されている。図5は本実施例のプローブの製造工
程を示す断面図である。以下、この図に従い製造方法を
説明する。まず、面方位(100)の単結晶シリコンウ
エハを第一基板21として用意した。次に、保護層2と
してシリコン熱酸化膜を1000Å形成した。次に、保
護層22の所望の箇所を、フォトリソグラフィとエッチ
ングによりパターニングし、10μm平方のシリコンを
露出した。次に、水酸化カリウム水溶液を用いた結晶軸
異方性エッチングによりパターニング部のシリコンをエ
ッチングした。なお、エッチング条件は、濃度30%の
水酸化カリウム水溶液を用い、液温90℃、エッチング
時間は10分とした。このとき(111)面と等価な4
つの面で囲まれた深さ約7μmの逆ピラミッド状の凹部
23が形成された(図5(a)参照)。
【0027】次に、保護層22である熱酸化膜をフッ酸
とフッ化アンモニウムの混合溶液(HF:NH4F=
1:5)で除去した。次に、120℃に加熱した硫酸と
過酸化水素水の混合液、及び2%フッ酸水溶液を用いて
第一基板21の洗浄を行った。次に該第一基板21上に
剥離層24としてAgを真空蒸着法により全面に700
Å成膜した(図5(b)参照)。微小ティップ25は第
一基板21上に実施例1と同様の工程にて作成する。即
ち微小ティップ25材料としてPdを真空蒸着法により
成膜しフォトリソグラフィとエッチングによりパターン
形成を行った。なお、このときのPdの膜厚は1.0μ
mとした。本実施例の如く、微小ティップ材料として金
属を直接用いることにより、米国特許第5,221,4
15号明細書のような絶緑体にて形成された微小ティッ
プを形成後に導電性材料を被覆する必要がなくなり、工
程が簡素化された。
【0028】次に第二基板28として単結晶シリコン基
板を用意し、第二基板28両面に二酸化シリコン23を
0.3μm、窒化シリコン34を0.5μm成膜した。
次に表面の窒化シリコン34をフォトリソグラフィとエ
ッチングによりカンチレバー29(片持ち梁)の形状に
パターニングした。このとき、カンチレバーの寸法は幅
50μm、長さ300μmとした。次に、裏面の窒化シ
リコン34及び二酸化シリコン33を同様にエッチング
マスク形状にパターニングした。次にメルカプトメチル
トリメトキシシランを小瓶に少量分取して密閉したガラ
スケースに置き、70℃に加熱・保温した。そのケース
内に上記で形成した第一基板を1時間静置してメルカプ
トメチルトリメトキシシランを吸着させた後、該基板を
エタノールにて洗浄し、未吸着のメルカプトメチルトリ
メトキシシランを除去した(図5(c)参照)。
【0029】次に、カンチレバー表面にアルミニウムA
lを500Å真空蒸着法により成膜し、フォトリソグラ
フィとエッチングによりパターン形成を行い、接合層2
7とした。引き続き、メルカプトメチルトリメトキシシ
ランを小瓶に少量分取して密閉したガラスケースに置
き、70℃に加熱・保温した。そのケース内に上記で接
合層27を形成した基板を1時間静置し該メルカプトメ
チルトリメトキシシランを吸着させた後、該基板をエタ
ノールにて洗浄し、未吸着のメルカプトメチルトリメト
キシシランを除去した。次に、第一基板21上の微小テ
ィップ25と第二基板28上の接合層27とを位置合わ
せして対向・接触させて微小ティップ25と接合層27
の接合を行った(図5(d)参照)。これにより前記微
小ティップ25及び接合層27の表面上に吸着されたメ
ルカプトメチルトリメトキシシランのメルカプト基同志
が対向してジスルフィド結合37を形成し、該ジスルフ
ィド結合37が微小ティップ25と接合層27間に形成
された。
【0030】次に、第一基板21と第二基板28を引き
離すことにより、剥離層24と第一基板21との界面で
剥離させた。引き続き微小ティップ25上の剥離層であ
るAg及び対向するメルカプト基がないために前記ジス
ルフィド結合を形成し得なかった化合物層16の部分を
硝酸溶液を用いて除去することにより微小ティップを形
成した(図5(e)参照)。このとき、基板表面からの
ティップの高さは約8μmであった。本実施例で示した
如く、ジスルフィド結合を介して該微小ティップ25と
該接合層27が密着したために、該微小ティップ25は
剥離層24を介して第一基板21即ち雌型基板から単に
機械的に剥離され、また該雌型基板に何ら損傷或いは残
留物がないために、再利用工程に回すことができた。そ
ればかりでなく、エッチング処理によるティップ部の材
料・形状の劣化、及びエッチング液からの汚染等を考慮
する必要が一切なく、均質な微小ティップを再現性良く
形成することができた。
【0031】次に、表面保護層としてポリイミド層をス
ピンコートにより塗布し、ベークして形成した。次に、
裏面の窒化シリコン34をエッチングマスクにして、9
0℃に加熱した30%水酸化カリウム水溶液により裏面
からシリコン基板28のエッチングを行った。次に、フ
ッ酸とフッ化アンモニウム混合水溶液により二酸化シリ
コン層33を除去した。最後に、酸素プラズマを用いて
表面保護層を除去してカンチレバー型プローブを形成し
た(図5(f)参照)。最終的には、本実施例により微
小ティップのみをカンチレバー先端に形成することがで
き、AFM信号検出用に反射膜をプローブの裏面に新た
に形成する必要がなくなり、工程の簡素化と微小ティッ
プの均質化を実現した。
【0032】上記で形成した本実施例のプローブを用い
た光てこ方式のAFM装置を作製した(図6)。本実施
例により作製したAFM用のプローブでは、変位測定の
ためのレーザーの反射をカンチレバー先端に設けた接合
層27の裏面にて行うことができ、反射膜の代用とな
る。これにより、カンチレバーの裏面の全面に反射膜を
コーティングする必要がなく、その膜応力により反るこ
とがなくなった。本AFM装置のブロック図を図6に示
す。AFM装置はカンチレバー29と接合層27と接合
層48に接合した微小ティップ25からなるプローブ
と、レーザー光61と、カンチレバー自由端の接合層裏
面にレーザー光を集光するためのレンズ62とカンチレ
バーのたわみ変位による光の反射角の変化を検出するポ
ジションセンサー63と、ポジションセンサーからの信
号により変位検出を行う変位検出回路66と、XYZ軸
駆動ピエゾ素子65と、XYZ軸駆動ピエゾ素子をXY
Z方向に駆動するためのXYZ駆動用ドライバー67と
からなる。このAFM装置を用い、マイカからなる試料
64にプローブを接近させた後に、XYZ軸駆動ピエゾ
素子65のXY方向を駆動することにより試料表面のA
FM像を観察したところ、マイカ表面のステップ像を観
察することができた。
【0033】[実施例3]実施例3においては、STM
用プローブ及びその製造方法を構成した。本実施例のプ
ローブは実施例1と同様の図2に示す様式を有してい
る。図1に示した実施例1と同様の手法により保護層の
形成、凹部の形成、剥離層の形成、Pdを用いた微小テ
ィップ5の形成を行なった。ジスルフィド結合を形成さ
せるために用いた化合物として3−メルカプトプロピル
トリメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様の工
程にてプローブを作成した。即ち該3−メルカプトプロ
ピルトリメトキシシラン中に微小ティップを形成した基
板を浸漬して5分静置して引き上げ、該基板をエタノー
ルにて洗浄し、未吸着の3−メルカプトプロピルトリメ
トキシシランを除去して形成した。
【0034】次に第二基板8としてシリコン基板を用意
し、この表面にニッケルNi50Å、アルミニウムAl
を500Å真空蒸着法により成膜し、フォトリソグラフ
ィとエッチングによりパターン形成を行い、接合層7及
び配線10とした。該基板を用い、上記で形成した第一
基板上の微小ティップ5と第二基板8上の接合層7とを
位置合わせして対向・接触させて、実施例1と同様の方
法で微小ティップ5と接合層7の接合を行った。次に、
第一基板と第二基板8を引き離すことにより、剥離層と
第一基板との界面で剥離させた。引き続き微小ティップ
5上の剥離層であるAg及び対向するメルカプト基がな
いために前記ジスルフィド結合を形成し得なかった化合
物層16の部分を硝酸溶液を用いて除去することにより
微小ティップを形成した。このとき、基板表面からのテ
ィップの高さは約8μmであった。次に、実施例1と同
様のSTM装置に本実施例で作製した微小ティップ5を
装着し、試料としてHOPG(高配向熱分解グラファイ
ト)基板の劈開面を実施例1と同様の観察条件で観察し
たところ、良好な原子像を得ることができた。
【0035】[実施例4]実施例4においては、STM
用プローブ及びその製造方法を構成した。図2にそのプ
ローブを示す。図において基板上に形成された接合層7
上に微小ティップ5が接合されている。また、トンネル
電流用配線10が接合層7に接続されている。まず、実
施例1と同様に第一基板1上の保護層2、凹部3の形成
を行った。引き続き保護層2をフッ酸とフッ化アンモニ
ウムの混合溶液(HF:NH4F=1:5)で除去し
た。次に120℃に加熱した硫酸と過酸化水素水混合
液、及び2%フッ酸水溶液を用いて第一基板1の洗浄を
行った。つぎに、熱酸化炉を用いて第一基板1を酸素及
び水素雰囲気中で1000℃に加熱し、剥離層4である
二酸化シリコンを5000Å堆積した。次に微小ティッ
プ材料5として白金Ptを真空蒸着法により成膜し、フ
ォトリソグラフィとエッチングによりパターン形成を行
った。この時のPtの膜厚は1.0μmとした。次にメ
チル−3−メルカプトプロピオン酸を小瓶に少量分取し
て密閉したガラスケースに置き、70℃に加熱・保温し
た。そのケース内に上記で形成した第一基板を1時間静
置し該メチル−3−メルカプトプロピオン酸を吸着させ
た後、該基板をエタノールにて洗浄し、未吸着のメチル
−3−メルカプトプロピオン酸を除去した。
【0036】本実施例の如く微小ティップ材料として金
属を直接用いることにより、微小ティップ形成後に導電
性材料を被覆する必要がなくなり、工程が簡素化され
た。次に第二基板8上に真空蒸着法によりアルミニウム
Alを500Å、接合層7及び配線10として形成し
た。引き続きメナル−3−メルカプトプロピオン酸を小
瓶に少量分取して密閉したガラスケースに置き、70℃
に加熱・保温した。そのケース内に上記で接合層7及び
配線10を形成した前記第二基板8を1時間静置した
後、該基板をエタノールにて洗浄し、未吸着のメチル−
3−メルカプトプロピオン酸を除去した。次に、上記で
形成した第一基板1上の微小ティップ5と該第二基板8
上の接合層7とを位置合わせして対向・接触させて実施
例1と同様の方法で微小ティップ5と接合層7の接合を
行った。
【0037】次に、第一基板1と第二基板8を引き離す
ことにより、剥離層4と微小ティップ5との界面で剥離
させた。引き続き対向するメルカプト基がないために前
記ジスルフィド結合を形成し得なかった化合物層16の
部分をUV−オゾン処理で除去することにより微小ティ
ップを形成した。このとき、基板表面からのティップの
高さは約8μmであった。上記で形成した微小ティップ
を実施例1で用いたSTM装置に装着してでHOPG
(高配向熱分解グラファイト)基板の劈開面をバイアス
電流1nAで観察したところ、実施例1と同様の原子像
を得ることができた。
【0038】[実施例5]実施例5においては、第一基
板の再利用によるSTM用プローブ及びその製造方法を
構成した。本実施例においては、第一基板1と第二基板
8を引き離すことにより、剥離層4と第一基板1との界
面で剥離させ、引き続き微小ティップ5上の剥離層であ
るAgを硝酸溶液を用いて除去することにより微小ティ
ップを形成した。即ち、雌型基板であるところの第一基
板1の除去にはエッチング等の不可逆処理を用いていな
いため、該第一基板は再利用できる。そこで上記の引き
離し操作を終了した後、該第一基板をクロム酸混液に浸
漬し一昼夜経過させ水洗した。また、1%RBS洗剤
(Fluka社)で洗浄・水洗の後UV−オゾン処理を
行なっても同様の効果を得た。引き続きフッ酸とフッ化
アンモニウムの混合溶液(1:5)で処理し、実施例1
と同様に次に剥離層4の形成、微小ティップ5の形成、
該微小ティップ5と接合層7の接合、剥離層4と微小テ
ィップ5との剥離を行なった。本実施例で形成した微小
ティップを実施例1と同様のSTM装置に装着し、実施
例1と同様にHOPG(高配向熱分解グラファイト)基
板の劈開面をバイアス電流1nAで観察しところ、実施
例1と全く変わらない原子像を得ることができた。本実
施例は、一度使した第一基板1を洗浄後、再び使用して
微小ティップを形成しても、新規使用の第一基板で形成
した微小ティップと何ら性質の変わらない微小ティップ
を形成することができたことを示す。
【0039】
【発明の効果】以上のように、本発明の製造方法による
と、凹部を形成した第一基板である微小ティップの雌型
基板を、製造工程でエッチング除去することなく繰り返
し使用することによって、微小ティップを容易に形成す
ることが可能となるから、生産性の向上と製造コストの
低減を図ることができ、また、微小ティップがエッチン
グによらず転写により形成されるため、エッチング液に
よる微小ティップの材料劣化、形状劣化、汚染等を防ぐ
ことができる。また、本発明の製造方法によると、先端
の鋭利な微小ティップを再現性良く均一に形成すること
ができ、微小ティップのマルチ化(複数化)が容易に図
れ、AFMやSTM用の優れた特性の微小ティップを製
造することができ、これを金属材料により形成すること
により、STM用微小ティップとして一層再現性の良い
安定な微小ティップを実現することができる。また、本
発明においては、微小ティップ材料に酸化しやすい金属
を用い、また接合層にそのような金属を用いた場合であ
っても、微小ティップと接合層との間にジスルフィド結
合を形成させることにより、両者を強固な密着状態によ
って結合することができ、微小ティップと雌型基板を完
全剥離することができ、また、合金化のための熱工程を
省くことが可能となり、製造工程を簡略化できる。ま
た、本発明の製造方法においては、第二基板上に接合層
を有する薄膜カンチレバーをあらかじめ形成させておく
ことにより、ティップを有する薄膜カンチレバーからな
るAFM用のプローブを作製することが容易になるだけ
でなく、接合層を薄膜カンチレバーに形成することによ
って反射膜を形成する必要がなくなり、また反射膜を形
成したことに伴う薄膜カンチレバーの反りを回避するこ
とができる。また、本発明においては、そのプローブを
接合層と微小ティップとに囲まれた中空の領域を有する
構成とすることによって、軽量で強固なプローブを形成
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1によるプローブの製造方法を
示す図である。
【図2】本発明の実施例1によるプローブを示す図であ
る。
【図3】本発明の実施例1によるプローブを用いたST
M装置のブロック図である。
【図4】本発明の実施例2によるプローブを示す図であ
る。
【図5】本発明の実施例2によるプローブの製造方法を
示す図である。
【図6】本発明の実施例2によるプローブを用いたAF
M装置のブロック図である。
【図7】従来例による微小ティップを示す図である。
【図8】従来例による微小ティップを示す図である。
【符号の説明】
1、21:第一基板 2、22:保護層 3、23:凹部 4、24:剥離層 5、25:微小ティップ 7、27:接合層 8、28:第二基板 29:弾性体(カンチレバー) 10:配線 33:二酸化シリコン 34:窒化シリコン 16、36:化合物層 17、37:ジスルフィド結合を有する部分 61:レーザー光 62:レンズ 63:ポジションセンサ 64:試料 65:XYZ軸駆動ピエゾ素子 66:変異検出回路 67:XYZ駆動用ドライバ 201:基板 202:薄膜層 203:ティップ 204:基板 205:レジスト 206:レジスト開口部 207:導電性材料 208:ティップ 510、512:二酸化シリコン 514:シリコンウエハ 518:ピット 520、521:窒化シリコン 522:ピラミッド状ピット 532:Cr層 534:ソウカット 540:マウンティングブロック 542:金属膜
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 21/308 H01L 21/308 B

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一方の基板である第一基板の表面における
    凹部を含む剥離層上に微小ティップを形成し、他方の基
    板である第二基板の接合層上に、前記剥離層上に形成さ
    れた微小ティップを転写するトンネル電流または微小力
    検出用の微小ティップの製造方法であって、前記微小テ
    ィップと接合層との間にジスルフィド結合を形成させる
    ことを特徴とする微小ティップの製造方法。
  2. 【請求項2】前記微小ティップの製造方法は、(a)第
    一基板の表面に凹部を形成する工程と、(b)前記第一
    基板の凹部を含む基板上に剥離層を形成する工程と、
    (c)前記剥離層上に微小ティップを形成する工程と、
    (d)第二基板上に接合層を形成する工程と、(e)前
    記第一基板における剥離層上に形成された微小ティップ
    を、前記第二基板上の接合層に接合する工程と、(f)
    前記剥離層と第一基板もしくは前記剥離層と微小ティッ
    プ界面で剥離を行い、前記微小ティップと前記第二基板
    の接合層との間にジスルフィド結合を形成させて該接合
    層上に微小ティップを転写する工程と、を少なくとも有
    することを特徴とする微小ティップの製造方法。
  3. 【請求項3】前記微小ティップ及び接合層の間に形成さ
    れるジスルフィド結合が、該微小ティップ表面及び該接
    合層表面に導入されるところの、下記式(I)〜(IV)
    で表される化合物のメルカプト基同志の反応でもたらさ
    れることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の
    微小ティップの製造方法。 R、R’、R”:エチル基・メチル基・プロピル基・ブ
    チル基等アルキル(構造異性体を含む)、エチレン・プ
    ロピレン・ブチレン等アルケン(構造異性体を含む)、
    エチリデン・プロピリデン・ブチリデン等アルキリデン
    (構造異性体を含む)等の炭化水素化合物の少なくとも
    1種以上から構成され、該化合物の直鎖もしくは環式も
    しくは複素環式化合物またはそれらが重合または縮合し
    た化合物 R1、R2、R3:アルコキシ基
  4. 【請求項4】トンネル電流または微小力検出用のプロー
    ブの製造方法であって、(a)第一基板の表面に凹部を
    形成する工程と、(b)前記第一基板の凹部を含む基板
    上に剥離層を形成する工程と、(c)前記剥離層上に微
    小ティップを形成する工程と、(d)第二基板上に弾性
    体材料を形成する工程と、(e)前記第二基板の弾性体
    材料上に接合層を形成する工程と、(f)前記第一基板
    における剥離層上に形成された微小ティップ材料を、前
    記第二基板における弾性体材料上の接合層に接合する工
    程と、(g)前記剥離層と第一基板あるいは前記剥離層
    と微小ティップの界面で剥離を行い、前記微小ティップ
    と前記接合層との間にジスルフィド結合を形成させて該
    接合層上に微小ティップを転写する工程と、(h)前記
    第二基板の一部を除去して弾性体材料から弾性体を形成
    する工程と、を少なくとも有することを特徴とするプロ
    ーブの製造方法。
  5. 【請求項5】前記微小ティップ及び接合層の間に形成さ
    れるジスルフィド結合が、該微小ティップ表面及び該接
    合層表面に導入されるところの、下記式(I)〜(IV)
    で表される化合物のメルカプト基同志の反応でもたらさ
    れることを特微とする請求項4に記載のプローブの製造
    方法。 R、R’、R”:エチル基・メチル基・プロピル基・ブ
    チル基等アルキル(構造異性体を含む)、エチレン・プ
    ロピレン・ブチレン等アルケン(構造異性体を含む)、
    エチリデン・プロピリデン・ブチリデン等アルキリデン
    (構造異性体を含む)等の炭化水素化合物の少なくとも
    1種以上から構成され、該化合物の直鎖もしくは環式も
    しくは複素環式化合物またはそれらが重合または縮合し
    た化合物 R1、R2、R3:アルコキシ基
  6. 【請求項6】基板と、該基板上に形成された接合層と、
    該接合層上に形成された微小ティップとからなり、該接
    合層と該微小ティップとに囲まれた中空の領域を有する
    トンネル電流検出用のプローブであって、該微小ティッ
    プと接合層とがジスルフィド結合により結合されている
    ことを特徴とするトンネル電流検出用のプローブ。
  7. 【請求項7】前記微小ティップが、基板上に形成された
    レバーの接合層上に形成されていることを特徴とする請
    求項6に記載のトンネル電流検出用のプローブ。
  8. 【請求項8】前記微小ティップ及び接合層の間に形成さ
    れるジスルフィド結合が、該微小ティップ表面及び該接
    合層表面に導入されるところの、下記式(I)〜(IV)
    で表される化合物のメルカプト基同志の反応でもたらさ
    れることを特微とする請求項6または請求項7に記載の
    プローブ。 R、R’、R”:エチル基・メチル基・プロピル基・ブ
    チル基等アルキル(構造異性体を含む)、エチレン・プ
    ロピレン・ブチレン等アルケン(構造異性体を含む)、
    エチリデン・プロピリデン・ブチリデン等アルキリデン
    (構造異性体を含む)等の炭化水素化合物の少なくとも
    1種以上から構成され、該化合物の直鎖もしくは環式も
    しくは複素環式化合物またはそれらが重合または縮合し
    た化合物 R1、R2、R3:アルコキシ基
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007114033A (ja) * 2005-10-20 2007-05-10 Seiko Instruments Inc プローブ及び走査型プローブ顕微鏡並びにプローブの製造方法
JP2009222528A (ja) * 2008-03-14 2009-10-01 National Univ Corp Shizuoka Univ プローブ針、カンチレバー及びそれらの製造方法

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JP3697034B2 (ja) 微小開口を有する突起の製造方法、及びそれらによるプローブまたはマルチプローブ
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JP3524343B2 (ja) 微小開口の形成方法と微小開口を有する突起、及びそれらによるプローブまたはマルチプローブ、並びに該プローブを用いた表面観察装置、露光装置、情報処理装置
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JP3044424B2 (ja) 情報処理装置及び微小ティップの製造方法
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JPH10253642A (ja) 微小ティップの製造方法と微小電流または微小力検出用プローブの製造方法、及びその製造に用いる雌型基板、並びにその微小ティップとプローブ
JPH09138238A (ja) トンネル電流または微小力検出用の微小ティップの製造方法及びその製造に用いる雌型基板、並びにその微小ティップ及び該微小ティップを有するプローブ
JPH10332714A (ja) 微小ティップの製造方法、及びシールド電極付きプローブの製造方法、または電界放出型電子放出素子の製造方法と描画装置の製造方法