JPH10196708A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

流体封入式防振装置

Info

Publication number
JPH10196708A
JPH10196708A JP352797A JP352797A JPH10196708A JP H10196708 A JPH10196708 A JP H10196708A JP 352797 A JP352797 A JP 352797A JP 352797 A JP352797 A JP 352797A JP H10196708 A JPH10196708 A JP H10196708A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fluid
movable member
vibration
chamber
liquid chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP352797A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiko Nagasawa
正彦 長澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP352797A priority Critical patent/JPH10196708A/ja
Publication of JPH10196708A publication Critical patent/JPH10196708A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Combined Devices Of Dampers And Springs (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 防振特性の能動的制御が、少ない部品点数と
簡単な構造をもって有利に実現され得る、軽量コンパク
トな流体封入式防振装置の提供。 【解決手段】 流体室60,66の壁部の一部を構成す
る可動部材30,49を、マス部材を有するゴム弾性板
32,50にて形成せしめて、防振すべき振動に対応し
た固有振動数を有する振動系を構成すると共に、該可動
部材30,49を挟んで、流体室60,66とは反対側
に作用空気室62,68を形成し、該作用空気室62,
68に外部から及ぼされる空気圧変化に基づいて、可動
部材30,49を加振することにより流体室60,66
の内圧を制御せしめるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、非圧縮性流体が封入された流体
室を備えており、該流体室における内圧や流体流動をコ
ントロールすることによって防振特性を適当に調節する
ことの出来る流体封入式防振装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】振動伝達系を構成する部材間に介装される
防振連結体や防振支持体等としての防振装置の一種とし
て、特開昭60−8540号公報,特開昭61−293
9号公報等に記載されているように、互いに離隔配置さ
れた第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体
で連結する一方、それら第一の取付部材と第二の取付部
材の間への振動入力時に本体ゴム弾性体の変形によって
内圧変化が生ぜしめられる、非圧縮性流体が封入された
主液室を設けると共に、かかる主液室の壁部の一部を可
動部材で構成し、防振すべき振動に対応した適当な周波
数で可動部材を加振せしめて主液室の内圧をコントロー
ルすることにより、防振特性を適当に調節できるように
した流体封入式防振装置が、知られている。
【0003】ところが、従来の流体封入式防振装置で
は、前記公報にも記載されているように、可動部材を加
振させるための電磁駆動手段を装置内部に組み込まなけ
ればならないために、永久磁石やコイル等の高価な部品
が多く必要となり、製作が難しく低コスト化が難しいと
いう問題があったのであり、サイズや重量の増大が避け
られないという不具合も有していた。しかも、電磁駆動
手段は、目的とする駆動力を安定して得るためには、永
久磁石やコイル等を高い寸法精度で組み込まなければな
らないことから、製作に高度な技術を要し、量産性にも
劣るという問題があった。更に、長時間に亘って連続し
た受圧室の内圧コントロールを行う必要がある場合や、
より大きな駆動力が必要とされる場合等では、コイルの
通電時の発熱に起因する温度上昇や、消費電力の確保等
が問題となるおそれもあったのである。
【0004】また、前述の如き流体封入式防振装置にお
いては、主液室の壁部の一部を構成する可動部材を加振
することによって、主液室の内圧を直接的に制御する必
要があり、可動部材に対して大きな加振力と変位量が必
要とされるために、要求される防振特性を実現しようと
すると、電磁駆動手段の大型化や消費電力の増大等の問
題が生じ易く、要求される防振特性の達成が難しいとい
う問題もあった。
【0005】そこで、防振特性の更なる向上を目的とし
て、実開昭61−191543号公報等には、主液室に
対してオリフィス通路を通じて連通された副液室を形成
し、それら主液室と副液室をオリフィス通路を通じて相
互に連通すると共に、副液室の壁部の一部を可動部材で
構成し、該可動部材を加振することにより副液室に圧力
変化が生ぜしめられるようにした流体封入式防振装置
が、提案されている。
【0006】このような防振装置においては、振動入力
時に主液室に惹起される内圧変動を考慮して、可動部材
の加振によって副液室に生ぜしめられる内圧変動を調節
することにより、オリフィス通路を通じての流体の流動
を制御することが出来るのであり、それ故、オリフィス
通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用等の流動
作用を利用したり、或いは副液室の内圧をオリフィス通
路を通じて及ぼして主液室の内圧を制御したりすること
によって、一層優れた防振効果を効果的に得ることが出
来る。
【0007】ところが、かくの如きオリフィス通路と副
液室を設けた流体封入式防振装置においても、可動部材
を加振するための電磁駆動手段が必要とされることに変
わりがなく、基本的に、前述の如きオリフィス通路を有
しない流体封入式防振装置と同様な問題点を内在してお
り、未だ改良の余地を有していたのである。
【0008】
【解決課題】ここにおいて、請求項1乃至6に記載の発
明は、何れも、上述の如き事情を背景として為されたも
のであって、その解決課題とするところは、封入流体の
圧力や流動のコントロールによるマウント防振特性の制
御性を充分に確保しつつ、簡単な構造をもって構成され
て、小型,軽量化や製作性の向上等が有利に図られ得る
と共に、発熱や電力消費の問題が有効に解消され得て、
防振特性の制御を長時間に亘って安定して行うことが出
来る、新規な可動部材の加振機構を備えた流体封入式防
振装置を提供することにある。
【0009】
【解決手段】そして、このような課題を解決するため
に、請求項1に記載の発明の特徴とするところは、互い
に離隔配置された第一の取付部材と第二の取付部材を本
体ゴム弾性体で連結する一方、非圧縮性流体が封入され
た流体室を形成すると共に、該流体室の壁部の一部を可
動部材で構成せしめて、該可動部材を加振することによ
り、該流体室の内圧を制御せしめて防振特性を調節する
ようにした流体封入式防振装置において、前記可動部材
をマス部材が固着された弾性板にて形成せしめて、該可
動部材によって防振すべき振動に対応した固有振動数を
有する振動系を構成する一方、該可動部材を挟んで前記
流体室とは反対側に密閉された作用空気室を形成せしめ
て、該作用空気室に外部から及ぼされる空気圧変化に基
づいて、該可動部材に加振力が及ぼされるようにしたこ
とにある。
【0010】このような請求項1に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式防振装置においては、作用空気室
に空気圧を及ぼすことにより、かかる空気圧の作用によ
って可動部材が変位せしめられることとなり、それによ
って流体室に圧力が及ぼされる。換言すれば、可動部材
を介して、作用空気室の空気圧が流体室に及ぼされるの
であり、作用空気室の空気圧を制御することによって、
流体室の内圧や流体流動を制御することが出来るのであ
る。
【0011】しかも、請求項1に記載の発明に従う構造
とされた流体封入式防振装置においては、可動部材を構
成する弾性板とマス部材によって一つの振動系が構成さ
れており、その固有振動数域での加振時には、かかる振
動系の共振作用に基づき、小さな空気圧変化によって大
きな加振力が生ぜしめられることから、流体室の内圧や
流体流動の制御が効率的に且つ有効に為され得るのであ
る。
【0012】従って、かかる流体封入式防振装置におい
ては、装置内部に電磁駆動手段等のアクチュエータを組
み込むことなく、受圧室の内圧コントロールを有利に行
うことが出来るのであり、部品点数の減少と構造の簡略
化が図られて、製作性やコスト性の向上が達成され得る
と共に、装置のコンパクト化や軽量化も有利に達成され
得るのである。
【0013】また、かかる流体封入式防振装置において
は、外部の適当な空気圧源を利用して流体室が内圧制御
されることから、適当な空気圧源さえ確保されれば、長
時間に亘る連続的な使用に際しても、発熱による高温化
や消費電力の増大等が問題となるようなこともなく、目
的とする防振性能を安定して得ることが出来るのであ
り、特に、自動車用防振装置等として用いるような場合
には、内燃機関において負圧力を容易に得ることが可能
であることから、特別な空気圧源を新たに設ける必要も
なく、流体室の内圧コントロールが有利に為され得て、
目的とする防振性能を安定して得ることが可能である。
【0014】加えて、かかる流体封入式防振装置におい
ては、弾性板とマス部材で構成された振動系の共振作用
を利用することにより、装置の大型化や消費エネルギの
増大等の不具合を伴うことなく、防振性能の飛躍的な向
上が達成され得るのである。なお、可動部材を形成する
弾性板の材質としては、防振すべき振動周波数等に応じ
て、ゴム弾性体や合成樹脂、金属等の各種の弾性材が採
用され得る。
【0015】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の発明に従う構造とされた流体封入式防振装置に
おいて、前記流体室が、前記本体ゴム弾性体により壁部
の一部が構成されて振動入力時に内圧変化が生ぜしめら
れる主液室を含んで構成されていると共に、該主液室の
壁部の別の部分が前記可動部材にて構成されて、該可動
部材の加振によって該主液室に直接に内圧変化が及ぼさ
れるようになっていることを、特徴とする。
【0016】このような請求項2に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式防振装置においては、可動部材の
加振により主液室の内圧を直接的にコントロールせしめ
て、防振特性を制御することが出来るのである。その
際、弾性板とマス部材で構成された振動系の共振作用を
利用することによって、装置の大型化や消費エネルギの
増大等を伴うことなく、可動部材を効率的に加振するこ
とが出来ることから、主液室の内圧ひいては防振特性を
有利にコントロールすることが出来るのである。
【0017】また、請求項3に記載の発明は、請求項1
又は2に記載の発明に従う構造とされた流体封入式防振
装置において、前記流体室が、前記本体ゴム弾性体によ
り壁部が構成されて振動入力時に内圧変化が生ぜしめら
れる主液室と、前記可動部材で壁部の一部が構成されて
オリフィス通路を通じて該主液室に連通せしめられた副
液室を含んで構成されており、該可動部材の加振によっ
て該副液室に内圧変化が生ぜしめられるようになってい
ることを、特徴とする。
【0018】このような請求項3に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式防振装置においては、作用空気室
に空気圧変動を及ぼすことにより、可動部材が加振され
て副液室に圧力変化が及ぼされることから、振動入力に
よる主液室の圧力変動を考慮して、入力振動に対する適
当な位相差で可動部材を加振して副液室の内圧をコント
ロールすることにより、オリフィス通路を通じて流動せ
しめられる流体の流動作用やオリフィス通路を通じての
主液室の内圧制御に基づいて、目的とする防振特性を有
利に得ることが出来るのである。その際、弾性板とマス
部材で構成された振動系の共振作用を利用することによ
って、装置の大型化や消費エネルギの増大等を伴うこと
なく、可動部材を効率的に加振することが出来ることか
ら、副液室の内圧ひいては防振特性を一層有利にコント
ロールすることが出来るのである。
【0019】また、請求項4に記載の発明は、請求項2
又は3に記載の発明に従う構造とされた流体封入式防振
装置において、壁部の一部が可撓性膜で構成されて容積
変化が許容される平衡室を設けて、該平衡室に前記非圧
縮性流体を封入せしめると共に、該平衡室を前記主液室
に連通する流体連通路を設けたことを、特徴とする。
【0020】このような請求項4に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式防振装置においては、振動入力時
に主液室に圧力変化が生ぜしめられることにより、主液
室と平衡室の間に圧力差が生じて、それら両室間で、流
体連通路を通じての流体流動が生ぜしめられるのであ
り、そして、この流体連通路を通じて流動せしめられる
流体の共振作用等の流動作用に基づいて、有効な防振効
果が発揮されることとなる。
【0021】従って、かかる流体連通路に対して、主液
室と副液室の間に形成されたオリフィス通路とは異なる
チューニングを施せば、オリフィス通路による防振効果
が発揮される入力振動とは異なる振動に対して、有効な
防振効果を得ることが出来、防振性能の更なる向上が図
られ得るのである。
【0022】また、請求項5に記載の発明は、請求項1
乃至4の何れかに記載の発明に従う構造とされた流体封
入式防振装置において、前記可動部材を構成する前記弾
性板が、弾性に基づく一定形状への復元力を有している
ことを、特徴とする。
【0023】このような請求項5に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式防振装置においては、作用空気室
に及ぼされる空気圧を解除した状態下で、可動部材が略
一定位置に復帰,保持されることから、流体室の内圧コ
ントロールが容易となる。また、作用空気室に及ぼされ
る空気圧を解除した際、可動部材が所定位置に復帰せし
められることから、例えば、作用空気室に及ぼされる空
気圧として、負圧または正圧の何れか一方の側だけで変
動する空気圧や、或いは一定の大きさの負圧または正圧
の何れか一方と大気圧との交互の切り換えによる変動空
気圧等を採用して、可動部材を有利に加振せしめること
が出来るのである。
【0024】なお、弾性板の弾性に基づく一定形状への
復元力を補助するために、弾性板に対して特定方向の付
勢力を常時及ぼす付勢手段を設けることも可能であり、
例えば付勢手段としてコイルスプリング等を採用すれ
ば、弾性板の一定形状への復元性を極めて有利に且つ長
期間に亘って安定して得ることが出来る。
【0025】また、請求項6に記載の発明は、請求項1
乃至5の何れかに記載の発明に従う構造とされた流体封
入式防振装置において、前記作用空気室に及ぼされる空
気圧を、防振すべき振動の周波数に同期して変化せしめ
る空気圧制御装置が設けられていることを、特徴とす
る。
【0026】このような請求項6に従う構造とされた流
体封入式防振装置においては、流体室の内圧が防振すべ
き入力振動に対応して制御されることにより、入力振動
に対して有効な防振効果が発揮され得るのであり、例え
ば主液室の内圧制御による防振効果や、オリフィス通路
を通じて流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用
に基づく防振効果等が、極めて有効に発揮され得るので
ある。なお、防振すべき振動の周波数に同期して作用空
気室の空気圧を変動させるためには、例えば、作用空気
室を、切換弁の切り換え操作によって、負圧等の空気圧
源と大気中とに択一的に接続すること等によって、有利
に為され得る。また、その際、切換弁としては、制御が
容易で切換えを高速で行うことが出来るように、例えば
電磁切換弁等が好適に採用され得、例えば、加速度セン
サ等によって検出された振動信号に基づいて、作用空気
室への空気圧制御を行う切換弁を、公知の適応制御やマ
ップ制御で制御すること等によって、各作用空気室の空
気圧制御が有利に実施され得る。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、本発明の実施形態について、図面を参
照しつつ、詳細に説明する。
【0028】先ず、図1には、本発明の第一の実施形態
としての自動車用エンジンマウント10が、示されてい
る。このエンジンマウント10は、互いに所定距離を隔
てて対向配置された第一の取付部材および第二の取付部
材としての第一の取付金具12と第二の取付金具14を
有していると共に、それら両取付金具12,14が本体
ゴム弾性体16によって連結されており、第一の取付金
具12と第二の取付金具14の各一方が、パワーユニッ
ト側とボデー側の何れかに取り付けられることにより、
パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるよう
になっている。なお、かかるエンジンマウント10にお
いては、自動車への装着時にパワーユニット荷重が及ぼ
されることにより、本体ゴム弾性体16が圧縮変形せし
められる。また、そのような装着状態下、防振すべき振
動が、第一の取付金具12と第二の取付金具14の略対
向方向(図1中の上下方向)に入力されることとなる。
なお、以下の説明中、上方および下方とは、原則とし
て、図1中の上方および下方をいうものとする。
【0029】より詳細には、第一の取付金具12は、逆
カップ形状の上金具18と、テーパ筒形状の下金具20
が、軸方向に流体密に重ね合わされ、上金具18の開口
周縁部に形成されたフランジ部22と下金具20の大径
側の開口周縁部に形成されたフランジ部24がボルト連
結されることにより、中空構造をもって形成されてい
る。また、この第一の取付金具12の中空内部は、下金
具20の小径側の開口部26を通じて、下方に開口せし
められている。なお、上金具18の底壁部には、外方に
突出する取付ボルト28が固設されており、この取付ボ
ルト28によって、第一の取付金具12がパワーユニッ
ト側またはボデー側に取り付けられるようになってい
る。
【0030】また、第一の取付金具12の中空内部に
は、第一の可動部材30が収容配置されている。この第
一の可動部材30は、所定厚さの円板形状を有する第一
のゴム弾性板32を有しており、該第一のゴム弾性板3
2の中央部分に対して、円板形状の第一のマス金具34
が加硫接着されていると共に、該第一のマス金具34の
外周側に所定距離を隔てて同心的に拘束リング36が配
されて第一のゴム弾性板32に加硫接着されている。更
に、第一のゴム弾性板32の外周面には、圧入リング3
8が加硫接着されており、この圧入リング38が下金具
20の大径側開口部に圧入固定されることによって、第
一の可動部材30が、かかる大径側開口部を流体密に覆
蓋する状態で組み付けられている。これによって、第一
の取付金具12の中空内部が、第一の可動部材30で仕
切られて、上金具18側と下金具20側とに、流体密に
二分されている。
【0031】ここにおいて、第一の可動部材30は、第
一のゴム弾性板32の外周縁部が第一の取付金具12に
対して固定的に取り付けられることによって、第一のゴ
ム弾性板32のばね剛性に基づいて、全体として平板形
状に保持されるようになっており、仮に第一のゴム弾性
板32に大きな外力が及ぼされて変形せしめられた場合
でも、外力を除くことによって、第一のゴム弾性板32
の弾性による復元力に基づいて、全体として平板形状を
有する初期の状態に復元,保持されるようになってい
る。
【0032】また、第一の可動部材30が第一の取付金
具12に取り付けられることによって、第一のゴム弾性
板32をバネとし第一のマス金具34をマスとする第一
の振動系が構成されている。なお、第一のゴム弾性板3
2は、拘束リング36によって、ばね定数が調節されて
いると共に、不規則な変形が防止されて安定したばね特
性が発揮されるようになっている。そして、この第一の
振動系を構成する第一のゴム弾性板32のばね定数と第
一のマス金具34の質量を調節することによって、第一
の振動系における固有振動数が、防振すべき振動周波数
に対応してチューニング設定されている。
【0033】また一方、第二の取付金具14は、円環ブ
ロック形状の周壁金具40と円板形状の底壁金具42
が、互いに軸方向に重ね合わされてボルト連結されるこ
とによって構成されており、全体として、中央部分にお
いて上方に向かって開口する凹所44を備えた厚肉の有
底円筒形状を有している。なお、底壁金具42には、底
面上に突出する取付ボルト45が立設されており、この
取付ボルト45によって、第二の取付金具14がボデー
側またはパワーユニット側に取り付けられるようになっ
ている。
【0034】そして、この第二の取付金具14が、第一
の取付金具12の軸方向下方に所定距離を隔てて対向位
置せしめられており、それらの対向面間に介装された本
体ゴム弾性体16によって、両取付金具12,14が弾
性的に連結されている。かかる本体ゴム弾性体16は、
厚肉のテーパ筒形状を有しており、その小径側開口部
が、第一の取付金具12を構成する下金具20の外周面
に加硫接着されて固着されている一方、その大径側開口
部に連結リング46が加硫接着されており、この連結リ
ング46が第二の取付金具14を構成する周壁金具24
の上面に重ね合わされてボルト固定されることにより、
大径側開口部が第二の取付金具14に固着されている。
なお、本体ゴム弾性体16の軸方向中間部分には、弾性
変形の安定化を図り座屈等を防止するために、略円環形
状の拘束金具48が加硫接着されている。
【0035】また、第二の取付金具14における凹所4
4の開口部には、第二の可動部材49と仕切部材52
が、互いに軸方向に重ね合わされて配設されており、互
いに重ね合わされた外周縁部を、周壁金具40に対する
連結リング46の取付部位で挟持されることによって、
第二の取付金具14に組み付けられている。
【0036】かかる第二の可動部材49は、所定厚さの
円板形状を有する第二のゴム弾性板50を有しており、
該第二のゴム弾性板50の中央部分に対して、略円板形
状の第二のマス金具53が加硫接着されている。そし
て、第二のゴム弾性板50の外周縁部において第二の取
付金具14に固着されることにより、第二の可動部材4
9が、第二の取付金具14における凹所44の開口部を
流体密に覆蓋して配設されている。なお、第二のゴム弾
性板50は、第一のゴム弾性板32よりは薄肉である
が、外力によって引張変形せしめられた場合でも、外力
を除くことによって、その弾性による復元力に基づい
て、初期の状態に復元,保持されるようになっている。
【0037】また、第二の可動部材49が第二の取付金
具14に取り付けられることによって、第二のゴム弾性
板50をバネとし第二のマス金具53をマスとする第二
の振動系が構成されている。そして、この第二の振動系
を構成する第二のゴム弾性板50のばね定数と第二のマ
ス金具53の質量を調節することによって、第二の振動
系における固有振動数が、防振すべき振動周波数に対応
してチューニング設定されている。
【0038】一方、仕切部材52は、それぞれ略円板形
状を有する上仕切板54と下仕切板56が軸方向に重ね
合わされて構成されており、第二のゴム弾性板50の上
に重ね合わされて、外周縁部において第二の取付金具1
4に固着されることにより、本体ゴム弾性体16の大径
側開口部を流体密に覆蓋する状態で配設されている。ま
た、仕切部材52には、上下仕切板54,56の重ね合
わせ面間において、外周部分を周方向に所定長さで延び
るオリフィス通路58が形成されている。
【0039】これによって、仕切部材52に対する一方
の側(上側)には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16に
よって構成されて、第一の取付金具12と第二の取付金
具14の間への振動入力時に、本体ゴム弾性体16の弾
性変形に基づいて内圧変化が惹起される主液室60が形
成されている。そして、この主液室60には、水やアル
キレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコ
ーン油等の非圧縮性流体が封入されている。なお、この
封入流体としては、流体の共振作用を有効に得るために
は、0.1Pa・s以下の粘度を有する低粘性流体を用
いることが好ましい。
【0040】ここにおいて、かかる主液室60は、第一
の取付金具12において第一の可動部材30で仕切られ
た下金具20側の中空内部も含んで構成されており、壁
部の一部が第一の可動部材30で構成されている。ま
た、第一の取付金具12において、第一の可動部材30
で仕切られた上金具18側の中空内部には、第一の可動
部材30を挟んで主液室60と反対側に位置せしめられ
た第一の作用空気室62が形成されている。なお、上金
具18の周壁部には、第一の作用空気室62に連通せし
められた第一のポート部64が設けられている。
【0041】また、仕切部材52に対する他方の側(下
側)には、壁部の一部が第二の可動部材49によって構
成されて、内部に主液室60と同じ非圧縮性流体が封入
された副液室66が形成されている。そして、この副液
室66が、仕切部材52に設けられたオリフィス通路5
8を通じて、主液室60に連通せしめられており、それ
ら主液室60と副液室66の間で、両室60,66間の
内圧差に基づくオリフィス通路58を通じての流体流動
が許容されるようになっている。
【0042】なお、本実施形態においては、オリフィス
通路58が、第二のゴム弾性板50と第二のマス金具5
3にて構成された第二の振動系における固有振動数に応
じてチューニングされている。それによって、第二の振
動系における固有振動数と略同じ周波数域で、オリフィ
ス通路58を通じて流動せしめられる流体の共振作用に
基づく防振効果が有効に発揮されるように、オリフィス
通路58の長さや断面積が設定されているのである。
【0043】更にまた、第二のゴム弾性板50を挟んで
副液室66と反対側には、第二の取付金具14の凹所4
4が第二の可動部材49で覆蓋されることにより、第二
の作用空気室68が形成されている。また、第二の取付
金具14には、第二の作用空気室68に連通せしめられ
たエア給排路69が、底壁金具42を貫通して設けられ
ていると共に、このエア給排路69の外側開口部に対し
て第二のポート部70が固設されている。
【0044】上述の如き構造とされたエンジンマウント
10は、自動車への装着状態下において、第一のポート
部64に第一の空気圧管路72が接続せしめられ、この
第一の空気圧管路72を通じて、第一の作用空気室62
が、第一の切換バルブ74と負圧タンク76に接続され
る。そして、第一の切換バルブ74の切換作動に従っ
て、第一の作用空気室62が負圧タンク76と大気中と
に択一的に連通せしめられるようにされる。
【0045】また、第二のポート部70には、第二の空
気圧管路78が接続せしめられ、この第二の空気圧管路
78を通じて、第二の作用空気室68が、第二の切換バ
ルブ80と負圧タンク82に接続される。そして、第二
の切換バルブ80の切換作動に従って、第二の作用空気
室68が負圧タンク82と大気中とに択一的に連通せし
められるようにされる。なお、第二の作用空気室68が
連通せしめられる負圧タンク82は、第一の作用空気室
62が連通せしめられる負圧タンク76と同じであって
良い。
【0046】すなわち、このようにして装着されたエン
ジンマウント10においては、第一の切換バルブ74の
切換操作によって、第一の作用空気室62に対して、負
圧と大気圧とが択一的に及ぼされると共に、第二の切換
バルブ80の切換操作によって、第二の作用空気室68
に対して、負圧と大気圧とが択一的に及ぼされることと
なる。それ故、第一の切換バルブ74や第二の切換バル
ブ80を適当な周期で切換作動せしめることによって、
第一の作用空気室62や第二の作用空気室68に対し
て、周期的な空気圧変動を生ぜしめることが出来るので
あり、この空気圧変動が第一の可動部材30や第二の可
動部材49に及ぼされることによって、それら第一の可
動部材30や第二の可動部材49が加振されることとな
る。
【0047】そこにおいて、第一の可動部材30は、第
一のゴム弾性板32の弾性に基づいて一定形状への復元
力が発揮される構造とされていることから、第一の作用
空気室62が大気中に接続された状態では、第一のゴム
弾性板32の弾性による復元力に基づいて、略平板形状
に保持されているが、第一の作用空気室62に負圧を及
ぼすと、第一のゴム弾性板32の弾性に抗して上方(第
一の作用空気室62側)に変形変位せしめられることと
なり、また、その状態から負圧を解除すると、第一のゴ
ム弾性板32の弾性に基づく復元力によって下方(主液
室60側)に復元変形変位せしめられることとなる。そ
の結果、第一の可動部材30が、第一の切換バルブ74
のバルブ操作に応じて、上下に往復変位(振動)せしめ
られるのであり、以て、主液室60に内圧変動が生ぜし
められることとなる。
【0048】従って、防振すべき入力振動の周波数に応
じた周期で第一の切換バルブ74を切り換えて主液室6
0に内圧変動を生ぜしめることにより、主液室60の内
圧制御に基づく能動的な防振効果を有効に得ることが出
来るのである。特に、第一の可動部材30は、第一のゴ
ム弾性板32と第一のマス金具34からなる第一の振動
系を構成していることから、その固有振動数の領域にお
いて、第一の可動部材30自体の共振現象に基づき、小
さな空気圧変動による加振力によって、主液室60に大
きな内圧変動を効率的に生ぜしめることが出来るのであ
り、以て、目的とする防振効果が極めて有効に発揮され
得るのである。
【0049】なお、第一の可動部材30にて構成された
第一の振動系の固有振動数は、何等限定されるものでな
く、マウントに要求される防振特性に応じて適宜に設定
されるものであるが、特に、第一の可動部材30は、主
液室60の壁部の一部を構成しており、その加振によっ
て主液室60に直接的な内圧変動を生ぜしめることが出
来ることから、こもり音等の高周波数域にも容易にチュ
ーニングすることが可能であり、高周波振動に対する防
振効果を有効に得ることが可能である。
【0050】また、第二の可動部材49も同様に、第二
のゴム弾性板50の弾性に基づいて一定形状への復元力
が発揮される構造とされていることから、第二の切換バ
ルブ80の切換操作によって第二の作用空気室68に負
圧と大気圧を交互に及ぼすことによって、上下に往復変
位(振動)せしめられるのであり、以て、副液室66に
内圧変動が生ぜしめられることとなる。それ故、振動入
力時に、振動周波数に対応した周期で第二の可動部材4
9を加振せしめて、副液室66に積極的な内圧変化を生
ぜしめることにより、主液室60と副液室66の間に大
きな内圧差を生ぜしめて、オリフィス通路58を通じて
の流体流動を積極的に生ぜしめることが出来るのであ
り、それによって、オリフィス通路58を通じて流動せ
しめられる流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効
果が一層有利に発揮されるのである。
【0051】特に、第二の可動部材49は、第二のゴム
弾性板50と第二のマス金具53からなる第二の振動系
を構成していることから、その固有振動数の領域におい
て、第二の可動部材49自体の共振現象に基づき、小さ
な空気圧変動による加振力によって、副液室66に大き
な内圧変動を効率的に生ぜしめることが出来る。それ
故、かかる第二の可動部材49の固有振動数に対応して
チューニングされたオリフィス通路58において、その
チューニング周波数域での流体流動量がより一層有利に
確保され得ることとなり、以て、オリフィス通路58を
通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効
果がより一層有利に発揮されるのである。
【0052】なお、第二の可動部材49にて構成された
第二の振動系の固有振動数およびオリフィス通路58の
共振周波数のチューニング域は、何等限定されるもので
なく、マウントに要求される防振特性に応じて適宜に設
定されるものであるが、好ましくは、これら第二の振動
系の固有振動数およびオリフィス通路58の共振周波数
が、第一の可動部材30にて構成された前記第一の振動
系の固有振動数よりも低く設定される。それによって、
低い周波数域の入力振動に対しては、オリフィス通路5
8を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく防
振効果を得ることが出来ると共に、高い周波数域の入力
振動に対しては、第一の可動部材30の加振による主液
室60の内圧制御に基づく防振効果を得ることが出来
る。具体的には、例えば、第二の振動系の固有振動数お
よびオリフィス通路58の共振周波数が、アイドリング
振動等の中周波振動域に対してチューニングされる一
方、第一の可動部材30の固有振動数が、こもり音等の
高周波振動域に対してチューニングされることとなる。
【0053】また、オリフィス通路58を通じて流動せ
しめられる流体の共振作用に基づく防振効果を得ようと
する場合には、第一の可動部材30を、第二の可動部材
49と略逆位相で加振することにより、主液室60と副
液室66の間の内圧差を高めて、オリフィス通路58を
通じての流体流動量を増大させることにより、流体の共
振作用に基づく防振効果の更なる向上を図ることも可能
である。
【0054】更にまた、例えば、オリフィス通路58の
チューニング周波数よりも低周波数域の振動入力時に
は、第一の可動部材30と第二の可動部材49を略同位
相で加振せしめて主液室60と副液室66に対して、入
力振動によって本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づい
て主液室60に惹起される内圧変動と略同位相の内圧変
動を生ぜしめることによって、有効な振動減衰効果を得
ることも可能となる。
【0055】なお、ゴム弾性板32やゴム弾性膜50の
加振制御に際しては、加速度センサ等で検出された入力
振動に対応した基準信号を用いた適応制御等のフィード
バック制御やマップ制御等が、何れも採用され得、要求
される防振性能が有利に実現されるように、周期や位相
差,加振力等が決定される。
【0056】また、そこにおいて、かかるエンジンマウ
ント10においては、それ自体に電磁駆動手段等のアク
チュエータ部材を組み込む必要がないことから、構造が
極めて簡単で製作が容易であり、軽量でコンパクト且つ
安価であるといった大きな利点がある。しかも、構造か
簡単であることから、耐久性や信頼性にも優れており、
故障した場合でも対処が容易であるといった利点もあ
る。
【0057】要するに、上述の如き本実施形態の構造に
従えば、主液室60および副液室66の内圧の能動的な
制御によって各種の入力振動に対して有効な防振効果を
得ることの出来るエンジンマウント10が、コンパクト
なサイズと簡単な構造をもって、有利に実現され得るの
である。しかも、第一の可動部材30および第二の可動
部材49が振動系を含んで構成されており、その共振作
用を利用することによって、第一の作用空気室62およ
び第二の作用空気室68に及ぼされる空気圧変化が小さ
くても、第一の可動部材30および第二の可動部材49
に対して大きな加振力が及ぼされて、主液室60および
副液室66において大きな内圧調節が可能となるのであ
り、以て、主液室60の内圧制御やオリフィス通路58
を通じての流体流動等に基づく防振効果が、極めて効率
的且つ有効に発揮され得るのである。
【0058】また、かかるエンジンマウント10では、
負圧力を利用して主液室60および副液室66の圧力コ
ントールを行うことが出来ることから、特に内燃機関を
利用した自動車等においては、吸気系等に生ずる負圧を
有効に活用することが出来るのであり、特別な駆動エネ
ルギの発生手段が必要ないといった利点もある。
【0059】さらに、かかるエンジンマウント10にお
いては、連続的な作動に際しても、通電発熱や電力消費
等が問題となるようなことがなく、長時間に亘って安定
した性能が発揮されるのである。
【0060】なお、圧縮エアが容易に得られる場合に
は、負圧力に代えて正圧力を利用して第一の可動部材3
0や第二の可動部材49を変位させても良く、また、負
圧乃至は正圧の範囲内で圧力を増減させることによって
ゴム弾性板32やゴム弾性膜50を変形変位させること
も、勿論可能である。
【0061】また、第一のゴム弾性板32の弾性による
復元力を補助し、長期間に亘って安定した特性を発揮さ
せるために、第一のゴム弾性板32と上金具18の間
に、コイルスプリング等の付勢手段を配設して、第一の
ゴム弾性板32を、常時、負圧力による変形方向とは反
対側に付勢することも、有効である。
【0062】さらに、第一の可動部材30および第二の
可動部材49の固有振動数を略同一周波数域に設定すれ
ば、それら両可動部材30,49を入力振動に応じた周
波数で且つ相互に略逆位相で加振することにより、それ
ら両可動部材30,49の振動系における共振作用を利
用して、オリフィス通路58を通じての流体流動量の更
なる増大を図ることも可能であり、それによって、オリ
フィス通路58のチューニング周波数域の入力振動に対
する、流体の共振作用に基づく防振効果の更なる向上が
達成され得る。
【0063】なお、上記第一の実施形態に係るエンジン
マウント10において、第一の可動部材30と第二の可
動部材49の何れか一方だけを採用することも可能であ
り、それによっても、マウント防振特性の向上効果が有
効に発揮され得る。具体的には、例えば、第一の取付金
具12を構成する下金具20に開口部26を設けない
で、下金具20の底壁部と仕切部材52の対向面間に主
液室60を形成することによって、第一の可動部材や第
一の作用空気室を有しないマウント構造を採用した場合
にも、第二のゴム弾性板50の加振に基づいて、オリフ
ィス通路58を通じての流体流動作用に基づく防振効果
が有効に発揮され得る。また、例えば、仕切部材52に
オリフィス通路を設けないで、第二の可動部材および第
二の作用空気室や副液室を有しないマウント構造を採用
した場合にも、第一のゴム弾性板32の加振に基づい
て、主液室60の内圧制御に基づく防振効果が有効に発
揮され得る。
【0064】次に、図2には、本発明の第二の実施形態
としてのエンジンマウント84が、示されている。な
お、本実施形態において、上記第一の実施形態としての
エンジンマウント10と同様な構造とされた部材および
部位については、それぞれ、図中に、第一の実施形態と
してのエンジンマウント10と同一の符号を付すること
により、それらの詳細な説明を省略する。
【0065】すなわち、本実施形態としてのエンジンマ
ウント84においては、第一の取付金具12を構成する
下金具20に開口部26が設けられておらず、下金具2
0の底壁部と仕切部材52の対向面間に主液室60が形
成されている。また、第一の取付金具12の中空内部に
は、可撓性膜としての変形容易な薄肉円板形状のゴム弾
性膜85が収容配置されており、外周縁部を上下金具1
8,20間で挟持されることによって、第一の取付金具
12の中空部内を、上金具84側と下金具86側とに流
体密に仕切るようにして配設されている。これにより、
ゴム弾性膜85に対する一方の側(下金具20側)に
は、主液室39と同じ非圧縮性流体が封入されてゴム弾
性膜85の変形に基づいて容積変化が容易に許容される
平衡室86が形成されていると共に、ゴム弾性膜85を
挟んで他方の側(上金具18側)には、外部空間に連通
されてゴム弾性膜85の変形を許容する空気室87が形
成されている。
【0066】さらに、第一の取付金具12を構成する下
金具20の底壁部には、円板形状の通路形成金具88が
重ね合わされてボルト固定されており、それら下金具2
0と通路形成金具88の重ね合わせ面間に、周方向に一
周弱の長さで延びて、主液室60と平衡室86を相互に
連通する流体連通路89が形成されている。
【0067】このような構造とされたエンジンマウント
84においては、前記第一の実施形態に係るエンジンマ
ウント(10)と同様、第二の可動部材49の加振によ
って、オリフィス通路58を通じての流体流動作用に基
づく防振効果が有効に発揮されるのであり、また、それ
に加えて、振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形
に基づいて主液室60に内圧変動が生ぜしめられると、
主液室60と平衡室86の内圧差に基づいて、流体連通
路89を通じての流体流動が生ぜしめられることから、
かかる流体の共振作用等の流動作用によっても、所定の
防振効果を得ることが出来るのである。
【0068】なお、この流体連通路89は、オリフィス
通路58と同様に、流路断面積や長さを調節することに
よって、流体の流動作用に基づく防振効果が目的とする
周波数域の入力振動に対して発揮されるようにチューニ
ングすることが可能であり、チューニング周波数は、要
求される防振特性等に応じて適宜に決定されるものであ
って、限定されるものでないが、好ましくは、オリフィ
ス通路58のチューニング周波数よりも低周波数域に、
流体連通路89がチューニングされる。具体的には、例
えば、流体連通路89がシェイク等の低周波振動に、オ
リフィス通路58がアイドリング振動等の中周波振動
に、それぞれ対応してチューニングされたり、或いは流
体連通路89がアイドリング振動等の中周波振動に、オ
リフィス通路58がこもり音等の高周波振動に、それぞ
れ対応してチューニングされる。それによって、オリフ
ィス通路58による防振効果と、流体連通路89による
防振効果とが、互いに異なる周波数域の入力振動に対し
て、何れも、有効に発揮されることとなる。なお、流体
連通路89による防振効果を得る場合にも、第二の可動
部材49を入力振動と同期して加振せしめて、副液室6
6の内圧変動をオリフィス通路58を通じて主液室60
に及ぼし、主液室60の内圧変動を積極的に生ぜしめる
ことにより、流体連通路89を通じての流体流通量の増
大による防振効果の更なる向上を図ることが可能であ
る。
【0069】さらに、図3〜5には、本発明の第三の実
施形態としての円筒形エンジンマウント90が、示され
ている。
【0070】このエンジンマウント90は、第一の取付
部材としての内筒金具92と第二の取付部材としての外
筒金具94が、径方向に所定距離を隔てて配設されてい
ると共に、それらの間に介装された本体ゴム弾性体96
によって連結されており、内筒金具92と外筒金具94
の各一方が、パワーユニット側とボデー側の何れかに取
り付けられることにより、パワーユニットをボデーに対
して防振支持せしめるようになっている。なお、かかる
エンジンマウント90においては、内外筒金具92,9
4が所定量だけ偏心位置せしめられており、自動車への
装着時にパワーユニット荷重で本体ゴム弾性体96が圧
縮変形せしめられることにより、それら内外筒金具9
2,94が略同軸的に位置せしめられるようになってい
る。また、防振すべき振動は、内外筒金具92,94の
略偏心方向(図3中の上下方向)に入力されることとな
る。
【0071】より詳細には、内筒金具92は、厚肉の小
径円筒形状を有しており、その径方向外方には、所定距
離を隔てて且つ所定量だけ偏心して、金属スリーブ98
が配設されている。この金属スリーブ98は、薄肉の大
径円筒形状を有しており、軸方向両端部近くには、それ
ぞれ、僅かに小径とされた段差部100が、周方向に連
続して形成されている。また、かかる金属スリーブ98
には、偏心方向における離隔距離の大なる側に位置して
窓部102が設けられている一方、偏心方向における離
隔距離の小なる側には、中央部分で外周側に開口するポ
ケット状の凹部104が形成されている。
【0072】そして、これら内筒金具92と金属スリー
ブ98の間に本体ゴム弾性体96が介装されており、本
体ゴム弾性体96に対して内筒金具92の外周面と金属
スリーブ98の内周面がそれぞれ加硫接着されている。
また、内筒金具92と金属スリーブ98の間には、偏心
方向における離隔距離の小なる側に位置して、周方向に
略半周に亘って延び、軸方向に貫通するスリット106
が設けられており、このスリット106によって、本体
ゴム弾性体96が、実質的に、内筒金具92と金属スリ
ーブ98の径方向対向面間のうち偏心方向で離隔距離が
大なる側だけに介装されている。これにより、パワーユ
ニット荷重入力時における本体ゴム弾性体96の引張応
力が軽減されている。また、内筒金具92におけるスリ
ット106側の表面には、緩衝ゴム108が設けられて
おり、内筒金具92が、緩衝ゴム108を介して、金属
スリーブ98の凹部104に当接することによって、本
体ゴム弾性体96における過大な引張変形が防止される
ようになっている。
【0073】また、本体ゴム弾性体96には、内筒金具
92と金属スリーブ98の偏心方向における離隔距離が
大なる側に開口するポケット部110が形成されてお
り、金属スリーブ98の窓部102を通じて外周面に開
口せしめられている。更にまた、金属スリーブ98の外
周面には、薄肉のシールゴム層112が、本体ゴム弾性
体96と一体的に形成されている。
【0074】そして、かくの如く内筒金具92と金属ス
リーブ98を有する本体ゴム弾性体96の一体加硫成形
品には、それぞれ略半円筒形状を有するオリフィス部材
114と取付金具116が、全体として円筒形状となる
ように径方向両側から嵌め合わされて、金属スリーブ9
8の軸方向中央部分の外周面上に組み付けられていると
共に、それらオリフィス部材114と取付金具116の
外周面を覆って支持するように、大径円筒形状を有する
外筒金具94が外挿されて、金属スリーブ98に外嵌固
定されている。
【0075】かかるオリフィス部材114は、厚肉の半
円筒形状を有しており、内筒金具92と金属スリーブ9
8の偏心方向における離隔距離の大なる側において、金
属スリーブ98の外周面上に配設され、軸方向両端部お
よび周方向両端部を金属スリーブ98における窓部10
2の周縁部で支持されると共に、外周面を外筒金具94
で支持されることによって、ポケット部110の開口部
である金属スリーブ98の窓部102を覆うようにして
固定的に配設されている。そして、このようにポケット
部110の開口が流体密に覆蓋されることによって、水
やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,
シリコーン油等の非圧縮性流体が封入されて、振動入力
時に本体ゴム弾性体96の弾性変形に伴って内圧変化が
生ぜしめられる主液室118が形成されている。
【0076】さらに、オリフィス部材114には、主液
室118に面する中央部分に位置して貫通孔120が設
けられていると共に、この貫通孔120を流体密に覆蓋
して第一の可動部材122が配設されている。この第一
の可動部材122は、所定厚さの略円板形状を有する第
一のゴム弾性板126の中央部分に対して、略有底円筒
形状の第一のマス金具124が加硫接着されており、第
一のゴム弾性板126の外周縁部がオリフィス部材11
4に加硫接着されることによって、第一のゴム弾性板1
26のばね剛性に基づいて、オリフィス部材114の貫
通孔120からポケット部110に入り込む形状に保持
せしめられ、仮に大きな外力が及ぼされて変形せしめら
れた場合でも、外力を除くことによって、第一のゴム弾
性板126の弾性による復元力に基づいて、図示された
初期の状態に復元,保持されるようになっている。これ
により、主液室118の壁部の一部が第一の可動部材1
22で構成されていると共に、該第一の可動部材122
を挟んで主液室118と反対側には、第一の可動部材1
22と外筒金具94の間において、密閉された第一の作
用空気室128が形成されている。
【0077】また、第一の作用空気室128には,コイ
ルスプリング132が収容されており、外筒金具94と
第一のマス金具124の間に配設されている。そして、
コイルスプリング132の付勢力が、第一のマス金具1
24を外筒金具94から離隔させる方向、換言すれば第
一の可動部材122を主液室118側に変位せしめる方
向に、常時およぼされており、第一のゴム弾性板126
の弾性による復元力が、コイルスプリング132の付勢
力によって補助されて、長期間に亘って有利に確保され
るようになっている。
【0078】要するに、本実施形態においては、第一の
可動部材122において、第一のマス金具124をマス
とし、第一のゴム弾性板126とコイルスプリング13
2の弾性による復元力をバネとする第一の振動系が構成
されている。そして、この第一の振動系における固有振
動数が、防振すべき振動周波数に対応して設定されてい
るのである。
【0079】なお、外筒金具94には、第一の作用空気
室128に連通せしめられた第一のポート部130が設
けられており、自動車へのマウント装着状態下、この第
一のポート部130に対して空気圧管路134が接続せ
しめられ、この空気圧管路134を通じて、第一の作用
空気室128が、第一の切換バルブ136を介して、負
圧タンク138と大気中とに切換接続せしめられるよう
になっている。それによって、前記第一の実施形態にお
ける第一の作用空気室(62)と同様、第一の切換バル
ブ136の切換操作に従って第一の作用空気室128に
周期的な空気圧変動が生ぜしめられて、第一の可動部材
122が加振されるようになっているのである。
【0080】また一方、取付金具116は、薄肉の半円
筒形状を有しており、内筒金具92と金属スリーブ98
の偏心方向における離隔距離の小なる側において、金属
スリーブ98の外周面上に配設され、軸方向両縁部を金
属スリーブ98の段差部100,100で支持されると
共に、外周面を外筒金具94で支持されることによっ
て、金属スリーブ98における凹部104の開口部を覆
うようにして固定的に配設されている。また、取付金具
116には、周方向中央部分において径方向内方に突出
する仕切壁140が固設されており、この仕切壁140
が金属スリーブ98の凹部104内に入り込んで凹部1
04の内周面に密接されることにより、かかる凹部10
4内が仕切壁140を挟んだ周方向両側に流体密に二分
されている。なお、仕切壁140の凹部104への当接
面は、流体密性を確保するためにシールゴム142で覆
われている。
【0081】更に、取付金具116には、周方向両側に
おいて第一の開口部144と第二の開口部146が、互
いに独立して形成されていると共に、それら第一の開口
部144および第二の開口部146を流体密に覆蓋し
て、可撓性膜148と第二の可動部材150が、それぞ
れ配設されている。
【0082】かかる可撓性膜148は、一方の面側に膨
らんだ略円板形状を有する変形容易な薄肉のゴム弾性膜
にて構成されており、外周縁部が、取付金具116にお
ける第一の開口部144の内周縁部に加硫接着されるこ
とによって、第一の開口部144が流体密に覆蓋されて
いる。これにより、凹部104における周方向一方の側
の開口部が、可撓性膜148で流体密に覆蓋されて、内
部に主液室118と同じ非圧縮性流体が封入された平衡
室152が形成されている。
【0083】また一方、第二の可動部材150は、一方
の面側に膨らんだ所定厚さの略円板形状を有する第二の
ゴム弾性板153の中央部分に対して、略円板形状の第
二のマス金具155が加硫接着されており、第二のゴム
弾性板153の外周縁部が、取付金具116における第
一の開口部144の内周縁部に加硫接着されることによ
って、第一の開口部144が流体密に覆蓋されている。
これにより、凹部104における周方向他方の側の開口
部が、第二の可動部材150で流体密に覆蓋されて、内
部に主液室118と同じ非圧縮性流体が封入された副液
室154が形成されている。
【0084】また、かかる第二の可動部材150は、第
二のゴム弾性板153のばね剛性に基づいて、取付金具
116における第二の開口部146から凹部104に入
り込む形状に保持せしめられ、仮に大きな外力が及ぼさ
れて変形せしめられた場合でも、外力を除くことによっ
て、第二のゴム弾性板153の弾性による復元力に基づ
いて、図示された初期の状態に復元,保持されるように
なっている。そして、このような第二の可動部材150
によって、副液室154の壁部の一部が構成されている
と共に、該第二の可動部材150を挟んで副液室154
と反対側には、第二の可動部材150と外筒金具94の
間において、密閉された第二の作用空気室156が形成
されている。
【0085】また、そこにおいて、第二の可動部材15
0においては、第二のマス金具155をマスとし、第二
のゴム弾性板153の弾性による復元力をバネとする第
二の振動系が構成されている。そして、この第二の振動
系における固有振動数が、防振すべき振動周波数に対応
して設定されているのである。
【0086】さらに、外筒金具94には、第二の作用空
気室156に連通せしめられた第二のポート部158が
設けられており、自動車へのマウント装着状態下、この
第二のポート部158に対して空気圧管路160が接続
せしめられ、この空気圧管路160を通じて、第二の作
用空気室156が、第二の切換バルブ162を介して、
負圧タンク164と大気中とに切換接続せしめられるよ
うになっている。それによって、前記第一の実施形態に
おける第二の作用空気室(68)と同様、第二の切換バ
ルブ162の切換操作に従って第二の作用空気室156
に周期的な空気圧変動が生ぜしめられて、第二の可動部
材150が往復変位(振動)せしめられるようになって
いるのである。
【0087】さらに、前記オリフィス部材114には、
外周面に開口してそれぞれ周方向に所定長さで延びる第
一の凹溝166と第二の凹溝168が形成されており、
これら凹溝166,168が外筒金具94で覆蓋される
ことによって、主液室118を平衡室152に連通せし
める流体連通路170と、主液室118を副液室154
に連通せしめるオリフィス通路172が、互いに独立し
て形成されている。そして、振動入力時に、これら流体
連通路170とオリフィス通路172を通じて主液室1
18と平衡室152または副液室154の間を流動せし
められる流体の共振作用等の流動作用に基づいて、所定
の防振効果が発揮されるようになっているのである。
【0088】なお、これら流体連通路170およびオリ
フィス通路172は、例えば前記第二の実施形態におけ
る流体連通路(89)およびオリフィス通路(58)と
同様に、防振すべき振動周波数に応じてチューニングさ
れる。
【0089】従って、このような構造とされたエンジン
マウント90においても、前記第一の実施形態と同様、
振動入力時に、振動周波数に対応した周期で第一の作用
空気室128や第二の作用空気室156に空気圧変動を
及ぼして、第一の可動部材122や第二の可動部材15
0を加振せしめ、主液室118や副液室154の内圧を
調節することにより、主液室118の内圧制御やオリフ
ィス通路172を通じての流体流動作用等に基づいた防
振効果を有効に得ることが出来るのである。そして、そ
こにおいて、第一及び第二の可動部材122,150
は、何れも、防振すべき振動周波数に対応して固有振動
周波数が設定された振動系を構成していることから、か
かる第一及び第二の可動部材122,150の共振作用
に基づいて、主液室118の内圧制御やオリフィス通路
172を通じての流体流動作用等に基づいた防振効果
が、一層有効に発揮され得るのである。
【0090】また、本実施形態に係るエンジンマウント
90においては、主液室118に対して流体連通路17
0を通じて連通された容積可変の平衡室152を備えて
いることから、前記第二の実施形態と同様、かかる流体
連通路170を通じて流動せしめられる流体の流動作用
によっても、有効な防振効果を得ることが出来るのであ
る。
【0091】しかも、本実施形態のエンジンマウント9
0においても、前記第一の実施形態と同様、それ自体に
電磁駆動手段等のアクチュエータ部材を組み込む必要が
ないことから、構造が極めて簡単で製作が容易であり、
軽量でコンパクト且つ安価である等といった効果が、何
れも有効に達成されるのである。
【0092】なお、本実施形態のエンジンマウント90
においても、前記第一の実施形態と同様、負圧力に代え
て正圧力を利用したり、負圧力と正圧力の何れか一方だ
けを用いて、可動部材122,150を加振制御するこ
とも可能である。
【0093】また、第一の作用空気室128に配設され
たコイルスプリング132は、必ずしも必要ではなく、
第一のゴム弾性板126の弾性に基づく復元力だけを利
用する構成も採用可能である。
【0094】さらに、本実施形態のエンジンマウント9
0においても、前記第一の実施形態に係るエンジンマウ
ントと同様、第一の可動部材122と第二の可動部材1
50の何れか一方だけを採用することも可能であり、そ
れによっても、マウント防振特性の向上効果が有効に発
揮され得る。また、平衡室152や流体連通路170等
も、マウント要求特性に応じて採用されるものであっ
て、必ずしも設ける必要はない。
【0095】以上、本発明の実施形態について詳述して
きたが、これらは文字通りの例示であって、本発明は、
これらの具体的な実施形態の記載によって、何等、限定
的に解釈されるものではない。
【0096】例えば、前記第一及び第三の実施形態で
は、第一の可動部材を介して主液室の圧力制御を行う第
一の作用空気室が一つだけ形成されていたが、それを複
数設けることも可能である。そして、複数の第一の作用
空気室と第一の可動部材を設けて、各作用室に同期的な
空気圧変化を及ぼすようにすれば、各第一の作用空気室
への空気給排量ひいては第一の可動部材の変位量が小さ
くても、主液室に有効な圧力変化を及ぼすことが可能と
なって、主液室の圧力制御ひいてはマウント防振特性の
制御の応答性が向上される。
【0097】また、主液室に対してオリフィス通路を通
じて連通せしめられると共に、第二の作用空気室により
第二の可動部材を介して内圧制御される副液室も、要求
される防振特性等に応じて、複数設けることが可能であ
る。また、複数の副液室を、それぞれ、独立したオリフ
ィス通路を通じて主液室に連通せしめると共に、それら
各オリフィス通路に対して互いに異なるチューニングを
施せば、各第二の作用空気室への空気圧の作用を適当に
制御することによって、入力振動に応じて各オリフィス
通路による防振効果を選択的に発揮せしめて、より一層
広い周波数域の入力振動に対して有効な防振効果を得る
ことが可能となる。なお、その際には、例えば、何れか
一つの第二の作用空気室に対して、入力振動周波数に対
応した周期の空気圧変動を及ぼすことにより、一つの副
液室と主液室の間で一つのオリフィス通路を通じての流
体流動を生ぜしめる一方、他の第二の作用空気室に一定
の空気圧を及ぼすことにより、他のオリフィス通路を通
じての流体流動を阻止せしめることによって、複数のオ
リフィス通路のうちの一つを選択的に利用することが出
来る。
【0098】さらに、上記実施形態では、自動車用エン
ジンマウントを例示したが、その他、自動車用ボデーマ
ウントやデフマウント,サスペンションブッシュ、或い
は自動車以外の各種装置用の防振装置等に対して、何れ
も、本発明が適用可能であることは、言うまでもない。
【0099】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等
を加えた態様において実施され得るものであり、また、
そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限
り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであること
は、言うまでもないところである。
【0100】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、請求項
1乃至6に記載の発明に従う構造とされた流体封入式防
振装置においては、何れも、空気圧作用で可動部材を加
振することにより、流体室の内圧制御やオリフィス通路
を通じての流体流動に基づく能動的な防振効果を得るこ
とが出来るのであり、特に、可動部材によって振動系が
構成されていることから、その共振作用を利用すること
により、小さな空気圧作用で可動部材に対して大きな加
振力が及ぼされ得て、流体室の内圧制御やオリフィス通
路を通じての流体流動に基づく防振効果が、一層有利に
発揮されるのである。
【0101】しかも、かかる流体封入式防振装置におい
ては、装置内部に電磁駆動手段等のアクチュエータを組
み込むことなく、流体室の内圧コントロールによる防振
特性の能動的制御が実現されるのであり、それ故、部品
点数の減少と構造の簡略化が図られて、製作性やコスト
性が向上されると共に、装置のコンパクト化や軽量化も
有利に達成され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としてのエンジンマウ
ントを示す縦断面説明図である。
【図2】本発明の第二の実施形態としてのエンジンマウ
ントを示す縦断面説明図である。
【図3】本発明の第三の実施形態としてのエンジンマウ
ントを示す横断面説明図である。
【図4】図3におけるIV−IV断面図である。
【図5】図3におけるV−V断面図である。
【符号の説明】
10,84,90 エンジンマウント 12 第一の取付金具 14 第二の取付金具 16,96 本体ゴム弾性体 30,122 第一の可動部材 32,126 第一のゴム弾性板 34,124 第一のマス金具 49,150 第二の可動部材 50,153 第二のゴム弾性板 53,155 第二のマス金具 60,118 主液室 62,128 第一の作用空気室 66,154 副液室 68,156 第二の作用空気室 92 内筒金具 94 外筒金具

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに離隔配置された第一の取付部材と
    第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結する一方、非圧
    縮性流体が封入された流体室を形成すると共に、該流体
    室の壁部の一部を可動部材で構成せしめて、該可動部材
    を加振することにより、該流体室の内圧を制御せしめて
    防振特性を調節するようにした流体封入式防振装置にお
    いて、 前記可動部材をマス部材が固着された弾性板にて形成せ
    しめて、該可動部材によって防振すべき振動に対応した
    固有振動数を有する振動系を構成する一方、該可動部材
    を挟んで前記流体室とは反対側に密閉された作用空気室
    を形成せしめて、該作用空気室に外部から及ぼされる空
    気圧変化に基づいて、該可動部材に加振力が及ぼされる
    ようにしたことを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 【請求項2】 前記流体室が、前記本体ゴム弾性体によ
    り壁部の一部が構成されて振動入力時に内圧変化が生ぜ
    しめられる主液室を含んで構成されていると共に、該主
    液室の壁部の別の部分が前記可動部材にて構成されて、
    該可動部材の加振によって該主液室に直接に内圧変化が
    及ぼされるようになっている請求項1に記載の流体封入
    式防振装置。
  3. 【請求項3】 前記流体室が、前記本体ゴム弾性体によ
    り壁部が構成されて振動入力時に内圧変化が生ぜしめら
    れる主液室と、前記可動部材で壁部の一部が構成されて
    オリフィス通路を通じて該主液室に連通せしめられた副
    液室を含んで構成されており、該可動部材の加振によっ
    て該副液室に内圧変化が生ぜしめられるようになってい
    る請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 【請求項4】 壁部の一部が可撓性膜で構成されて容積
    変化が許容される平衡室を設けて、該平衡室に前記非圧
    縮性流体を封入せしめると共に、該平衡室を前記主液室
    に連通する流体連通路を設けた請求項2又は3に記載の
    流体封入式防振装置。
  5. 【請求項5】 前記可動部材を構成する前記弾性板が、
    弾性に基づく一定形状への復元力を有している請求項1
    乃至4の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  6. 【請求項6】 前記作用空気室に及ぼされる空気圧を、
    防振すべき振動の周波数に同期して変化せしめる空気圧
    制御装置が設けられている請求項1乃至5の何れかに記
    載の流体封入式防振装置。
JP352797A 1997-01-13 1997-01-13 流体封入式防振装置 Pending JPH10196708A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP352797A JPH10196708A (ja) 1997-01-13 1997-01-13 流体封入式防振装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP352797A JPH10196708A (ja) 1997-01-13 1997-01-13 流体封入式防振装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10196708A true JPH10196708A (ja) 1998-07-31

Family

ID=11559863

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP352797A Pending JPH10196708A (ja) 1997-01-13 1997-01-13 流体封入式防振装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10196708A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103047336A (zh) * 2012-12-25 2013-04-17 重庆市电力公司电力科学研究院 基于复合式隔振装置的结构传声控制方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103047336A (zh) * 2012-12-25 2013-04-17 重庆市电力公司电力科学研究院 基于复合式隔振装置的结构传声控制方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3557837B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP3637710B2 (ja) 流体封入式防振装置
JPH04277338A (ja) 流体封入式マウント装置
JP2002031184A (ja) 流体封入式防振装置
JP4075054B2 (ja) 車両用流体封入式エンジンマウント
JP3551673B2 (ja) 流体封入式防振装置
US6352249B2 (en) Fluid-filled vibration damping device having pneumatically oscillated cylindrical member
JP2002174288A (ja) 空気圧式能動型防振装置
JP3715230B2 (ja) 能動型流体封入式防振装置
JP3551671B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP3787818B2 (ja) 空気圧加振式の能動型防振装置を用いた防振方法
JP2004069005A (ja) 流体封入式防振装置
JP4158108B2 (ja) 空気圧切換型の流体封入式エンジンマウント
JP2000310274A (ja) 流体封入式防振装置
JP3407616B2 (ja) 流体封入式防振装置
JPH10196708A (ja) 流体封入式防振装置
JP3487129B2 (ja) 空気圧制御型流体封入式防振装置
JPH11101294A (ja) 流体封入式マウント装置
JPH10238586A (ja) 流体封入式防振装置
JP3601228B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP2002357239A (ja) 空気圧制御型の流体封入式防振装置
JP2002005226A (ja) 能動型流体封入式防振装置
JP2001200884A (ja) 流体封入式防振装置
JP3700556B2 (ja) 空気圧式能動型防振装置
JP3903979B2 (ja) 空気圧加振式の能動型防振装置