JP4075054B2 - 車両用流体封入式エンジンマウント - Google Patents

車両用流体封入式エンジンマウント Download PDF

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  • Vibration Prevention Devices (AREA)

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、内部に封入された非圧縮性流体の流動作用や圧力作用に基づいて防振効果が発揮される車両用流体封入式エンジンマウントに係り、特に非圧縮性流体の流動作用に基づく受動的な防振効果と、外部から及ぼされる空気圧作用に基づいて非圧縮性流体の圧力変動を制御することに基づく能動的な防振効果とを、入力振動に応じて使い分けることにより、複数の乃至は広い周波数域の振動に対して有効な防振効果を得ることのできる、新規な構造の車両用流体封入式エンジンマウントに関するものである。
【0002】
【背景技術】
自動車においては、そのボデーや各種部材における振動(振動に起因する騒音等を含む)が大きな問題となる場合が多く、その振動を低減するために、従来から、振動発生源の一つであるパワーユニットからボデーへの振動伝達を抑えるエンジンマウントが採用されている。
【0003】
そして、このような防振装置の一種として、内部に非圧縮性流体を封入して、振動入力時に流動せしめられる非圧縮性流体の共振作用を利用することにより受動的な防振効果を得るようにした流体封入式エンジンマウントが知られている。また、近年では、防振性能の更なる向上を目的として、非圧縮性流体が封入された流体室の壁部の一部を加振する電磁駆動手段を採用して、防振すべき振動に対応した周波数で壁部の一部を加振して流体室の圧力を制御することにより、能動的な防振効果を得るようにしたものも提案されている。例えば、特許文献1に記載のものが、それである。
【0004】
ところが、このような能動的な流体封入式エンジンマウントでは、電磁駆動手段を構成するコイルや永久磁石等を組み付けなければならないことから、部品点数が多く、構造が非常に複雑になって、組付作業が面倒で製造コストも高くなるという問題があり、また、エンジンマウント全体の重量やサイズが著しく大きくなることが避けられ難いという問題があった。
【0005】
そこで、一つの案として、封入流体の圧力を制御するための電磁駆動手段に代えて空気圧式アクチュエータを採用することが提案されている。例えば、特許文献2等がそれである。即ち、空気圧式アクチュエータは、車両の内燃機関の吸気系において発生する負圧と大気圧を利用することにより、簡単でコンパクトな構造をもって実現され得ることから、空気圧式アクチュエータを採用することにより、流体封入式エンジンマウント自体の構造の簡略化やコンパクト化が図られ得ると共に、製造も容易となり製造コストの低減も図られ得るのである。
【0006】
しかしながら、本発明者が検討した結果、空気圧加振式では、大きな問題があることが判った。即ち、電磁式駆動手段では、コイルへの通電電流を制御することにより、防振すべき振動に対応した略 sin波形の加振力を高精度に発生させることが可能となるが、空気圧式アクチュエータは、基本的に、電磁バルブ等を用いて作用空気室を負圧源と大気圧とに交互に切り換えることによって加振力を生ずるようになっていることから、発生する加振力がON/OFF的な矩形波形状のものとなる。そのために、発生する加振力が防振すべき振動の波形から外れてしまい、その対応しない部分の圧力変動分が、例えば高次の圧力変動成分となることにより、特に高次の周波数域で防振性能が反対に悪化してしまうおそれがあるのである。
【0007】
特に、自動車用エンジンマウントにおいては、車両走行状況等に応じて入力される振動が異なり、車両走行時には、エンジンシェイク等の低周波大振幅振動と走行時のこもり音等の高周波小振幅振動が問題となり易く、一方車両停車時には、アイドリング振動等の中周波中振幅振動が問題となり易いのであり、防振すべき振動が広い周波数域に亘るという特徴がある。そこにおいて、そのような広い周波数域の振動に対して、何れも有効な防振効果を発揮せしめるための有効な方策が、構造が簡単でコンパクトな上述の如き空気圧式アクチュエータを備えたエンジンマウントにおいては、少なくとも未だ実現されていなかったのである。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−213586号公報
【特許文献2】
特開平10−184769号公報
【0009】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、能動的な防振効果を利用することにより、エンジンシェイク等の低周波振動やアイドリング振動等の中周波振動およびこもり音等の高周波振動の何れに対しても有効な防振効果を発揮し得る、構造が簡単で且つコンパクトな流体封入式エンジンマウントを提供することにある。
【0010】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0011】
(本発明の態様1)
本発明の態様1の特徴とするところは、(a)車両のパワーユニット側に取り付けられる第一の取付部材と、(b)該第一の取付部材に対して離隔配置されて、前記車両のボデー側に取り付けられる第二の取付部材と、(c)それら第一の取付部材と第二の取付部材を弾性連結する本体ゴム弾性体と、(d)該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる、非圧縮性流体が封入された受圧室と、(e)可撓性膜で壁部の一部が構成されて容積変化が許容される、非圧縮性流体が封入された平衡室と、(f)該平衡室を前記受圧室に接続せしめて、それら両室間で流動せしめられる流体の共振作用がエンジンシェイク等の低周波大振幅の振動周波数域で生ぜしめられるようにチューニングされた第一のオリフィス通路と、(g)前記受圧室の壁部の別の一部を構成して、走行時こもり音等の高周波小振幅の振動周波数域で該受圧室の圧力変動の吸収作用が発揮されるようにチューニングされた仕切ゴム弾性板と、(h)前記受圧室に対して該仕切ゴム弾性板を挟んで反対側に形成されて非圧縮性流体が封入された加振室と、(i)該加振室を前記受圧室に接続せしめて、それら両室間で流動せしめられる流体の共振作用がアイドリング振動等の中周波中振幅の振動周波数域で生ぜしめられるようにチューニングされた第二のオリフィス通路と、(j)前記仕切ゴム弾性板よりも小さな拡張ばねを有しており、前記加振室の壁部の一部を構成する加振ゴム弾性板と、(k)前記加振室に対して前記加振ゴム弾性板を挟んで反対側に形成された作用空気室と、(l)該作用空気室に接続されて、該作用空気室の圧力を外部から制御するための空気圧通路と、(m)該空気圧通路を通じて前記作用空気室に及ぼされる空気圧を制御せしめて、前記車両の停車時にはアイドリング振動に対応する周波数で該作用空気室に空気圧変動を及ぼす一方、車両走行時には該作用空気室を略大気圧とする空気圧制御手段とを、含んで構成されて、且つ、(n)前記第二の取付部材を筒体形状とし、該第二の取付部材の一方の開口部側に前記第一の取付部材を離隔配置せしめて、それら第一の取付部材と第二の取付部材を前記本体ゴム弾性体で連結することにより該第二の取付部材の一方の開口部を流体密に覆蓋すると共に、該第二の取付部材の他方の開口部を前記可撓性膜で流体密に覆蓋する一方、該第二の取付部材の内部において軸方向で互いに重ね合わせた第一の仕切部材と第二の仕切部材を該第二の取付部材によって固定的に支持せしめて、該第一の仕切部材と該本体ゴム弾性体の間に前記受圧室を形成すると共に、該第二の仕切部材と該可撓性膜の間に前記平衡室を形成し、更に該第二の仕切部材の該第一の仕切部材に対する重ね合わせ面側に設けた凹所を前記加振ゴム弾性板で流体密に覆蓋することにより前記作用空気室を形成すると共に、該加振ゴム弾性板と該第一の仕切部材の間に前記加振室を形成し、該加振室と該受圧室を仕切る該第一の仕切部材に設けた透孔を前記仕切ゴム弾性板で流体密に閉塞せしめて、(o)それら仕切ゴム弾性板及び加振ゴム弾性板をそれぞれ前記第一の仕切部材及び前記第二の仕切部材の各中央部分に円板形状をもって配設することにより離隔して対向位置せしめると共に、該仕切ゴム弾性板よりも該加振ゴム弾性板を大径として該仕切ゴム弾性板の全体を軸方向において該加振ゴム弾性板で覆い、更に、(p)前記仕切ゴム弾性板及び前記加振ゴム弾性板の外周側に位置して前記第一のオリフィス通路と前記第二のオリフィス通路を形成した車両用流体封入式エンジンマウントにある。
【0012】
このような本態様に従う構造とされた流体封入式エンジンマウントにおいては、車両の停車時には、アイドリング振動に対応する周波数で加振される作用空気室の圧力変動で加振ゴム弾性板が加振されて加振室に圧力変動が生ぜしめられると、受圧室と加振室の相対的な圧力差に基づいて第二のオリフィス通路を通じての流体流動が生ぜしめられることとなる。そして、第二のオリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて加振室の圧力変動が受圧室に効率的に及ぼされて、受圧室が能動的な圧力制御されることにより、第一の取付部材と第二の取付部材の間に入力される振動に対して相対的乃至は積極的な防振効果が発揮され得る。
【0013】
一方、車両の走行時には、主にエンジンシェイク等の低周波振動と走行時のこもり音等の高周波振動が問題となり易いが、低周波振動は、その入力に伴って受圧室と平衡室の間に惹起される相対的な圧力変動に基づいて第一のオリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて受動的な防振効果が有効に発揮され得る。また、高周波振動に対しては、第一のオリフィス通路が実質的に閉塞状態となるが、高周波振動の振幅は充分に小さいことから、受圧室の壁部の一部を構成する仕切ゴム弾性板の弾性変形に基づいて高周波振動に伴って惹起される受圧室の圧力変動が吸収低減されることとなって、低動ばね特性に基づく能動的な防振効果が有効に発揮されることとなる。
【0014】
それ故、本態様に係るエンジンマウントにあっては、空気圧式のコンパクトで簡単な構造のアクチュエータを利用して、低周波から中周波および高周波の広い周波数領域に亘る各種振動に対して、何れも有効な防振効果を得ることが出来るのである。
【0015】
しかも、本態様においては、加振ゴム弾性板の拡張ばねが仕切ゴム弾性板よりも小さくされていることから、例えば、アイドリング振動等の中周波振動の防振に際して加振ゴム弾性板に加振力を及ぼして加振室に圧力変動を生ぜしめた場合に、仕切ゴム弾性板の弾性変形に基づいた加振室の圧力吸収が抑えられて、加振室に有効な圧力変動が生ぜしめられることにより、第二のオリフィス通路を通じての流体流動量が確保されて、第二のオリフィス通路を通じての圧力伝達に基づく能動的な防振効果が、有効に発揮されるようになっている。そこにおいて、第二のオリフィス通路が中周波数域にチューニングされていることにより、この第二のオリフィス通路がローパスフィルタのように作用して、防振すべき中周波振動の2次や3次、或いはそれ以上の高調波成分の受圧室への伝達が抑えられることとなり、それら高調波成分の受圧室への伝達に基づく能動的な防振効果が一層安定して発揮され得る。
【0016】
また、車両走行時にエンジンシェイク等の低周波大振幅振動が及ぼされた場合には、仕切ゴム弾性板の弾性変形量がそれ自体の大きなばね剛性で抑えられることにより、受圧室の低周波数域での圧力変動の仕切ゴム弾性板の弾性変形に伴う吸収が回避され得て、受圧室に有効な圧力変動が生ぜしめられることとなる。その結果、第一のオリフィス通路を通じての流体流動量が効率的に確保され得て、かかる流体の共振作用に基づく受動的な防振効果が一層効果的に発揮され得るのである。
【0017】
更にまた、車両走行時にこもり音等の高周波小振幅振動が及ぼされた場合には、第一及び第二のオリフィス通路が実質的に閉塞状態となってしまうが、仕切ゴム弾性板の微小弾性変形が許容されることにより、受圧室に惹起される微小な圧力変動が吸収され得て、良好な防振効果が発揮され得るのである。
【0018】
従って、本態様に係るエンジンマウントは、空気圧式アクチュエータを利用したことにより少ない部品点数で、簡単で且つコンパクトな全体構造を実現せしめ得たのであり、しかも、低周波数域から中周波数域更に高周波数域まで亘る広い周波数域の振動に対して、能動的防振効果と受動的防振効果を、適宜に採用して有効な防振効果を得ることが可能となるのである。なお、本態様において、拡張ばねとは、室を単位容積だけ変化させるのに必要な室壁部に及ぼされる圧力変動の大きさに対応するものである。
【0020】
また、本態様に従う構造とされた流体封入式エンジンマウントにおいては、それぞれ非圧縮性流体が封入された受圧室,平衡室及び加振室と、外部から空気圧変動が及ぼされる作用空気室を、効率的な配設スペースをもって形成することが出来るのであり、それによって、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置が、より一層コンパクトに実現可能となる。
【0021】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0022】
先ず、図1〜2には、本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が離隔配置されていると共に、それら第一の取付金具12と第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16で弾性連結された構造を有しており、第一の取付金具12が自動車のパワーユニット側に取り付けられる一方、第二の取付金具14が自動車のボデー側に取り付けられることによって、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。なお、以下の説明において、上下方向とは、原則として、図1中の上下方向をいうものとする。
【0023】
より詳細には、第一の取付金具12は、略逆円錐台形状を有しており、その大径側端部には、軸方向上方に向かって突出するナット部18が一体形成されている。そして、ナット部18のねじ穴20に螺着される図示しないボルトにより、第一の取付金具12がパワーユニット側に取り付けられるようになっている。
【0024】
また、第一の取付金具12には、本体ゴム弾性体16が加硫接着されている。かかる本体ゴム弾性体16は、下方に向かって拡径する全体として大径の略円錐台形状を呈していると共に、大径側端面に開口する逆すり鉢形状の凹部22を有している。そして、本体ゴム弾性体16の小径側端面から第一の取付金具12が軸方向下方に差し込まれた状態で同一中心軸上に配されて加硫接着されている。また、本体ゴム弾性体16の大径側端部外周面には、大径円筒形状の金属スリーブ24が重ね合わされて加硫接着されている。
【0025】
一方、第二の取付金具14は、大径の略段付き円筒形状を有しており、軸方向中間部分に形成された段差部26を挟んで、軸方向上部が大径部28とされていると共に、軸方向下部が小径部30とされている。また、これら大径部28および小径部30の内周面には、それぞれ、略全面を覆う薄肉のシールゴム層32が設けられて加硫接着されていると共に、小径部30側の開口部には、略薄肉の円板形状を有する薄肉ゴム膜からなるダイヤフラム34が配されており、このダイヤフラム34の外周縁部が第二の取付金具14の開口周縁部に加硫接着されることによって、第二の取付金具14の下側開口部が流体密に閉塞されている。なお、本実施形態では、ダイヤフラム34が、シールゴム層32と一体成形されており、かかるダイヤフラム34によって可撓性膜が構成されている。
【0026】
そして、第二の取付金具14は、その大径部28が金属スリーブ24に外挿されて、圧入や絞り加工等で嵌着固定されることによって、本体ゴム弾性体16の外周面に固着されている。これにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14が、防振すべき振動の主たる入力方向となる略同一の中心軸上に位置するようにして、相互に離隔して配設されており、本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されている。また、第二の取付金具14の大径部28が本体ゴム弾性体16に固着されることにより、第二の取付金具14の上側開口部が本体ゴム弾性体16によって流体密に閉塞されている。
【0027】
さらに、第二の取付金具14には、図示しないブラケット等の支持部材が組み付けられて、該支持部材が図示しない自動車のボデーに対してボルト等で固定されることにより、第二の取付金具14がボデーに対して固定的に取り付けられるようになっている。
【0028】
また、第二の取付金具14には、その小径部30に仕切部材36が収容されており、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム34の対向面間に配されている。この仕切部材36は、金属や合成樹脂等の硬質材で形成されており、略厚肉円板状のブロック形状を有している。そして、かかる仕切部材36は、第二の取付金具14の小径部30に嵌め込まれて、該小径部30への圧入組付けや、該小径部30の絞り加工等によって、その外周面が、小径部30に対して、シールゴム層32を挟んで流体密に密着固定されている。このように仕切部材36が第二の取付金具14内に組み付けられることによって、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム34の間に形成されて、外部空間に対して密閉された領域が、該仕切部材36によって流体密に二分されており、以て、仕切部材36の上側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成された主液室38が形成されている一方、仕切部材36の下側には、壁部の一部がダイヤフラム34で構成されて、該ダイヤフラム34の変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室40が形成されている。
【0029】
そして、これら主液室38と平衡室40には、それぞれ、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等の非圧縮性流体が充填されて封入されている。特に、本実施形態では、後述する流体の共振作用に基づく防振効果を有利に得るために、0.1Pa・s以下の粘度を有する低粘性流体が好適に採用される。なお、仕切部材36の軸方向下端面には、中央部分に開口する下側凹所42が形成されており、平衡室40の容積がこの下側凹所42で有利に確保されるようになっている。
【0030】
また、仕切部材36には、凹所としての上面中央に開口する略すり鉢状の中央凹所44が形成されていると共に、該中央凹所44の開口周縁部には、仕切部材36の上方に向かって突出する環状の係止突部46が一体形成されている。そして、所定厚さの円板形状を有する加振ゴム弾性板48が、中央凹所44の開口部に重ね合わされており、加振ゴム弾性板48の外周面に加硫接着された円筒形状の係止金具50が、その下端開口部において仕切部材36の係止突部46に外嵌されて、該係止突部46に対して流体密にかしめ固定されている。これにより、中央凹所44の開口部が加振ゴム弾性板48によって流体密に覆蓋されており、以て、主液室38や平衡室40から独立した作用空気室52が形成されている。そして、後述するように、外部の空気圧源から空気圧変動が及ぼされるようになっており、作用空気室52の空気圧変動に基づいて加振ゴム弾性板48に加振力が作用せしめられるようになっている。
【0031】
更にまた、仕切部材36には、空気通路54が形成されており、この空気通路54の一方の開口端部が中央凹所44に開口して作用空気室52に連通せしめられている一方、空気通路54の他方の端部が、仕切部材36の外周面に突設されたポート部56に開口せしめられている。また、マウント装着状態下では、このポート部56に外部の空気管路58が接続されており、かかる空気管路58上に接続された切換弁60が空気圧制御装置63の制御信号に従って切換作動されるようになっている。そして、切換弁60の切換作動に基づいて作用空気室52が大気中と負圧源62とに択一的に接続されることにより、作用空気室52に大気圧と負圧が択一的に及ぼされて、作用空気室52の内圧が切換可能とされている。なお、このことからも明らかなように、本実施形態では、作用空気室52に接続されて、作用空気室52の圧力を外部から制御するための空気圧通路が、空気通路54や空気管路58を含んで構成されていると共に、作用空気室52に空気圧変動を及ぼす空気圧制御手段が、空気圧制御装置63や切換弁60を含んで構成されている。
【0032】
また、負圧源62としては、例えばバキュームタンクやパワーユニットの吸気系統等が採用され得る。更に、切換弁60には、例えば電磁切換弁を採用し、空気圧制御装置63により、かかる電磁切換弁を防振すべき振動に対応した制御信号で切換作動せしめることによって、作用空気室52を負圧源62と大気に択一的に連通させる構造が好適に実現される。そこにおいて、空気圧制御装置63における電磁切換弁の制御信号の生成は、例えば、エンジン回転数やアクセル開度,走行速度等を各種センサで検出し、エンジンの点火信号を参照信号として、適応制御やマップ制御等で、防振すべき振動に対応した周期や位相,振幅を有する空気圧変動が作用空気室52に及ぼされるように考慮して行なわれる。
【0033】
さらに、本体ゴム弾性体16と仕切部材36の対向面間に形成された主液室38には、全体として略円板形状を有する隔壁部材64が収容配置されている。この隔壁部材64は、金属や合成樹脂等の硬質材で形成された、それぞれ略円板形状を呈する上下の隔壁板66,68を互いに軸方向に重ね合わせて固着した構造とされており、第二の取付金具14の軸直角方向に広がる状態で配設されている。そして、かかる隔壁部材64の外周縁部が、第二の取付金具14の段差部26と本体ゴム弾性体16の軸方向端面の間で挟圧保持されることによって、隔壁部材64が第二の取付金具14に固定されている。これにより、主液室38が、隔壁部材64を挟んで、本体ゴム弾性体16側と仕切部材36側とに流体密に仕切られている。而して、本体ゴム弾性体16と隔壁部材64の間には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に伴う圧力変化が生ぜしめられる受圧室70が形成されている一方、隔壁部材64と仕切部材36の間には、壁部の一部が加振ゴム弾性板48で構成されて、該加振ゴム弾性板48が作用空気室52の空気圧変動に基づいて加振されることにより圧力変動が直接に生ぜしめられる加振室72が形成されている。なお、上述の説明からも明らかなように、本実施形態では、第一の仕切部材が、上下の隔壁板66,68からなる隔壁部材64により形成されていると共に、第二の仕切部材が、仕切部材36により形成されている。
【0034】
また、仕切部材36には、軸方向中間部分を周方向に所定長さで延びる外周凹溝74が形成されており、この外周凹溝74が第二の取付金具14の小径部30で流体密に覆蓋されることによって流体流路が形成されている。そして、この外周凹溝74で形成された流体流路の一方の端部が、軸方向に延びる通孔76を通じて、仕切部材36の上端面において中央凹所44の外周側に開口せしめられている。また一方、外周凹溝74で形成された流体流路の他方の端部は、径方向内方に延びる図示しない通孔を通じて、下側凹所42に開口せしめられている。更にまた、下側隔壁板68の外周縁部には、上方に向かって開口する溝形断面で周方向に延びる環状溝78が形成されており、下方に向かって突設されたこの環状溝78の形成部位において、下側隔壁板68が係止金具50に対して流体密に外嵌固定されている一方、かかる環状溝78が上側隔壁板66で覆蓋されることによって環状流路が形成されている。そして、この環状溝78で形成された環状流路が、径方向で対向する一方の位置において上側隔壁板66に貫設された連通孔80を通じて受圧室70に接続されている。更にまた、かかる環状溝78で形成された環状流路において径方向で対向する他方の位置では、下側隔壁板68に貫設された接続孔82を通じて、仕切部材36の外周凹溝74で形成された流体流路に接続されている。また、該環状流路は、環状溝78の周方向中間部分に貫設された通孔84を通じて加振室72に接続されている。
【0035】
これにより、環状溝78で形成された環状流路と外周凹溝74で形成された流体流路が相互に直列的に接続されて、受圧室70と平衡室40を相互に連通せしめる第一のオリフィス通路86が形成されている。また、環状流路によって、受圧室70と加振室72を相互に連通せしめる第二のオリフィス通路88が形成されている。即ち、この第二のオリフィス通路88は、第一のオリフィス通路86が通路長さ方向の中間部分で加振室72に接続されることにより、第一のオリフィス通路86の一部を利用して形成されているのである。
【0036】
そして、振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて受圧室70に圧力変動が生ぜしめられた際に、受圧室70と平衡室40の間での相対的な圧力差に基づいて第一のオリフィス通路86を通じて、それら両室70,40間での流体流動が生ぜしめられるようになっている。特に、本実施形態では、かかる第一のオリフィス通路86が、エンジンシェイクに相当する例えば10Hz前後の低周波大振幅の振動周波数域にチューニングされている。それにより、低周波数域の入力振動に対して、第一のオリフィス通路86を流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づいて受動的な防振効果が発揮されるようになっている。
【0037】
また、本実施形態では、第二のオリフィス通路88が、自動車の停車時のアイドリング振動に相当する例えば30〜50Hz程度の中周波中振幅の振動周波数域にチューニングされている。そして、中周波数域の振動入力時には、空気管路58上の切換弁60がアイドリング振動に対応した周期と位相で繰り返し切換作動されることにより、大気圧と負圧源62の圧力差に相当する振幅で圧力変動が作用空気室52に及ぼされることとなる。作用空気室52の空気圧変動に基づいて加振室72に生ぜしめられる圧力変動を、第二のオリフィス通路88を流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づいて受圧室70に対して効率的に及ぼしめて、受圧室70の圧力変動を積極的に調節することにより、能動的な防振効果が発揮されるようになっている。
【0038】
なお、第一及び第二のオリフィス通路86,88のチューニングは、例えば、受圧室70や平衡室40,加振室72の壁ばね剛性(単位容積だけ変化させるのに必要な圧力変化量に対応する特性値)等を考慮しつつ、通路長さと通路断面積を調節することによって行うことが可能であり、一般に、オリフィス通路86,88を通じて伝達される圧力変動の位相が変化して略共振状態となる周波数を、当該オリフィス通路86,88のチューニング周波数として把握することが出来る。
【0039】
さらに、隔壁部材64を構成する上下の隔壁板66,68には、それぞれ中央部分に大径の透孔90が形成されており、この透孔90内に仕切ゴム弾性板92が配設されている。かかる仕切ゴム弾性板92は、薄肉の略円板形状を有していると共に、外周縁部には周方向全体に亘って略一定の球状断面で延びる嵌着ゴム94が一体形成されている。一方、透孔90の内周縁部には、上下の隔壁板66,68が相互に離隔せしめられることによって、径方向内方に向かって開口する嵌着溝96が、周方向の全周に亘って連続して形成されている。そして、この嵌着溝96に嵌着ゴム94が嵌め込まれて、上下の隔壁板66,68が流体密にかしめ固定されることにより、仕切ゴム弾性板92が軸直角方向に広がるようにして隔壁部材64に組み付けられている。これにより、仕切ゴム弾性板92を挟んで軸方向一方の側に形成された受圧室70と他方の側に形成された加振室72が流体密に仕切られている。
【0040】
特に本実施形態では、仕切ゴム弾性板92が、受圧室70の壁部の別の一部を構成して、自動車の走行時のこもり音に相当する例えば50〜200Hz程度の高周波小振幅の振動周波数域で受圧室70の圧力変動の吸収作用が発揮されるようにチューニングされていると共に、仕切ゴム弾性板92の拡張ばねが加振ゴム弾性板48のそれよりも大きくされている。
【0041】
上述の如き構造とされた本実施形態のエンジンマウント10においては、エンジンシェイク等の低周波数域の振動入力時には、前述の如く、第一のオリフィス通路86を通じて受圧室70と平衡室40の間で流動せしめられる流体の共振作用に基づいて高減衰効果が発揮されることにより、そのような低周波大振幅振動に対して有効な防振効果が発揮され得る。
【0042】
また、アイドリング振動等の中周波数域の振動入力時には、切換弁60がアイドリング振動に応じた周期と位相で繰り返し切換作動されることに伴い大気圧と負圧源62の圧力差に相当する振幅で圧力変動が作用空気室52に及ぼされて、加振ゴム弾性板48が加振されて加振室72に圧力変動が生ぜしめられると、受圧室70と加振室72の相対的な圧力差に基づいて第二のオリフィス通路88を通じての流体流動が生ぜしめられることとなる。そして、第二のオリフィス通路88を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて加振室72の圧力変動が受圧室70に効率的に及ぼされて、受圧室70が能動的に圧力制御されることにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に入力される振動に対して相対的乃至は積極的な防振効果が発揮され得る。しかも、第二のオリフィス通路88は、アイドリング振動に対してチューニングされていることから、それより高周波数域の振動に対する流通抵抗が***振作用等によって著しく大きくなって、実質的には加振室72から受圧室70への高周波数域の圧力伝達が防止されて、所謂フィルタ効果が発揮され得る。
【0043】
従って、特に発生加振力として、入力振動と対応関係が高い高精度制御可能な電磁式アクチュエータを採用することなく、空気圧式のアクチュエータを採用した形態であっても、加振室72に発生する矩形波的な圧力変動のうち、高調波成分が第二のオリフィス通路88によって伝達低減されて、受圧室70には防振すべき振動に対応した一次成分が高精度に及ぼされるのであり、以て、目的とするアイドリング振動に対してより効果的な能動的防振効果が発揮され得るのである。
【0044】
さらに、本実施形態では、仕切ゴム弾性板92の拡張ばね乃至は壁ばね剛性が加振ゴム弾性板48のそれよりも大きくされていることにより、アイドリング振動に対する能動的な防振効果が仕切ゴム弾性板92によって低下してしまうことがなく有利に発揮され得るのである。
【0045】
更にまた、本実施形態では、低周波大振幅の振動入力時にも、受圧室70の圧力変動の振幅が大きくされることから、高ばね剛性の仕切ゴム弾性板92の弾性変形が、それ自体の弾性に基づいて制限されることとなり、振動入力に伴う受圧室70の圧力変動が仕切ゴム弾性板92の弾性変形で吸収されてしまうことが防止されることとなり、それによって、第一のオリフィス通路86の流体流動量が有効に確保されて、上述の如き低周波大振幅振動に対して有効な防振効果が発揮され得る。
【0046】
また、走行こもり音等の高周波数域の入力振動に対しては、第一のオリフィス通路86が実質的に閉塞状態となるが、高周波振動の振幅は充分に小さいことから、受圧室70の壁部の一部を構成する仕切ゴム弾性板92の弾性変形に基づいて高周波振動に伴って惹起される受圧室70の圧力変動が低減されることとなって、低動ばね特性に基づく能動的な防振効果が有利に発揮され得る。なお、走行こもり音等の高周波振動やエンジンシェイク等の低周波振動が及ぼされることとなる車両走行時には、空気圧制御装置63で切換弁60を制御して、作用空気室52を大気中に連通状態とするか、或いは切換弁60を閉じて作用空気室52を大気圧で密閉状態とすること等によって、作用空気室52が略大気圧に維持されるようにされる。
【0047】
それ故、本実施形態のエンジンマウント10においては、空気圧式アクチュエータを採用したことにより、少ない部品点数で、簡単で且つコンパクトな全体構造が実現され得るのであり、しかも、低周波数域から中周波数域更に高周波数域まで亘る広い周波数域の振動に対して、能動的防振効果と受動的防振効果を適宜に採用して有効な防振効果が発揮され得るのである。
【0048】
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。
【0049】
例えば、第一のオリフィス通路86や第二のオリフィス通路88のそれぞれのチューニング周波数は、要求される防振特性に応じて適宜に設定されるものであって、何等、限定されるものでないことは言うまでもない。
【0050】
更にまた、第一のオリフィス通路86や第二のオリフィス通路88の具体的な構造は、何等限定されるものでなく、マウント本体の構造や、マウントサイズ等を考慮して、適宜に変更可能である。そこにおいて、例えば前記実施形態では、第一のオリフィス通路86の一部を利用する形態で第二のオリフィス通路88が形成されていたが、それら第一のオリフィス通路86と第二のオリフィス通路88を、互いに独立した流路構造をもって形成しても良い。
【0051】
加えて、前記実施形態では、本発明を自動車用のエンジンマウントに適用したものの具体例を示したが、その他、本発明は、特に複数の乃至は広い周波数域に亘る振動に対して防振効果が要求される各種振動部材における防振装置に対して、何れも、有効に適用され得る。
【0052】
【実施例】
次に、本発明に係る車両用流体封入式エンジンマウントの防振特性についてより具体的に明らかにするために、以下に本発明の一実施例を説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものでない。
【0053】
先ず、実施例として、前記実施形態に示される如きエンジンマウント10を準備すると共に、比較例として、エンジンマウント10における隔壁部材64に透孔90を設けないで、受圧室70と加振室72の隔壁全体を剛性部材としたエンジンマウントを準備する。そして、これら実施例および比較例について、それぞれ、受動的な防振特性を実測した。その結果を図2に示す。なお、かかる実験に際しては、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間にパワーユニットの支持荷重に相当する初期荷重を及ぼした状態下で、それら第一および第二の取付金具12,14を軸方向に加振した際の絶対ばね定数を測定した。
【0054】
図2の結果からも、本実施例のエンジンマウントにおいては、仕切ゴム弾性板92を設けていない比較例のエンジンマウントに比して、アイドリング振動を越えた高周波数域での受動的な防振効果が極めて有効に発揮されることが認められる。
【0055】
また、前記実施形態におけるエンジンマウント10の能動的な防振特性についても測定した。その結果を図3に示す。なお、かかる実験に際しては、第一および第二の取付金具12,14間にパワーユニットの支持荷重に相当する初期荷重を及ぼした状態下で、切換弁60を切換作動せしめる周期を低周波数域から高周波数域まで変化せしめて、大気圧と負圧源の圧力差に相当する振幅で圧力変動を作用空気室52に及ぼした際の発生加振力と加振周波数の関係について調べた。
【0056】
図3からも、第二のオリフィス通路88のチューニング周波数である略30Hzを越えた高周波数域では、加振周波数の高調波成分(2次と3次)の発生加振力の伝達力が充分に小さく抑えられていることが明らかである。
【0057】
それ故、高調波成分の伝達に起因する、高次周波数域での振動の悪化が回避されると共に、アイドリング周波数域(30〜50Hzあたり)では、大きな加振力が効率的に発揮されており、能動的防振効果が有効に発揮されることが認められる。
【0058】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた車両用流体封入式エンジンマウントにおいては、エンジンシェイクやアイドリング振動、走行こもり音等の複数の乃至は広い周波数域に亘る入力振動に応じて、受動的防振効果と能動的防振効果を適宜に採用されることから、有効な防振効果が発揮され得るのであり、しかも、空気圧式アクチュエータを利用したことにより、少ない部品点数で、簡単で且つコンパクトな全体構造が実現され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す縦断面説明図である。
【図2】本発明の一実施例としてのエンジンマウントの受動的な防振特性について測定した結果を、比較例と共に併せ示すグラフである。
【図3】本発明の一実施例としてのエンジンマウントの能動的な防振特性について測定した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
10 エンジンマウント
12 第一の取付金具
14 第二の取付金具
16 本体ゴム弾性体
34 ダイヤフラム
40 平衡室
48 加振ゴム弾性板
52 作用空気室
54 空気通路
58 空気管路
60 切換弁
62 負圧源
63 空気圧制御装置
70 受圧室
72 加振室
86 第一のオリフィス通路
88 第二のオリフィス通路
92 仕切ゴム弾性板

Claims (1)

  1. 車両のパワーユニット側に取り付けられる第一の取付部材と、
    該第一の取付部材に対して離隔配置されて、前記車両のボデー側に取り付けられる第二の取付部材と、
    それら第一の取付部材と第二の取付部材を弾性連結する本体ゴム弾性体と、
    該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる、非圧縮性流体が封入された受圧室と、
    可撓性膜で壁部の一部が構成されて容積変化が許容される、非圧縮性流体が封入された平衡室と、
    該平衡室を前記受圧室に接続せしめて、それら両室間で流動せしめられる流体の共振作用がエンジンシェイク等の低周波大振幅の振動周波数域で生ぜしめられるようにチューニングされた第一のオリフィス通路と、
    前記受圧室の壁部の別の一部を構成して、走行時こもり音等の高周波小振幅の振動周波数域で該受圧室の圧力変動の吸収作用が発揮されるようにチューニングされた仕切ゴム弾性板と、
    前記受圧室に対して該仕切ゴム弾性板を挟んで反対側に形成されて非圧縮性流体が封入された加振室と、
    該加振室を前記受圧室に接続せしめて、それら両室間で流動せしめられる流体の共振作用がアイドリング振動等の中周波中振幅の振動周波数域で生ぜしめられるようにチューニングされた第二のオリフィス通路と、
    前記仕切ゴム弾性板よりも小さな拡張ばねを有しており、前記加振室の壁部の一部を構成する加振ゴム弾性板と、
    前記加振室に対して前記加振ゴム弾性板を挟んで反対側に形成された作用空気室と、
    該作用空気室に接続されて、該作用空気室の圧力を外部から制御するための空気圧通路と、
    該空気圧通路を通じて前記作用空気室に及ぼされる空気圧を制御せしめて、前記車両の停車時にはアイドリング振動に対応する周波数で該作用空気室に空気圧変動を及ぼす一方、車両走行時には該作用空気室を略大気圧とする空気圧制御手段とを、
    し、且つ
    前記第二の取付部材を筒体形状とし、該第二の取付部材の一方の開口部側に前記第一の取付部材を離隔配置せしめて、それら第一の取付部材と第二の取付部材を前記本体ゴム弾性体で連結することにより該第二の取付部材の一方の開口部を流体密に覆蓋すると共に、該第二の取付部材の他方の開口部を前記可撓性膜で流体密に覆蓋する一方、該第二の取付部材の内部において軸方向で互いに重ね合わせた第一の仕切部材と第二の仕切部材を該第二の取付部材によって固定的に支持せしめて、該第一の仕切部材と該本体ゴム弾性体の間に前記受圧室を形成すると共に、該第二の仕切部材と該可撓性膜の間に前記平衡室を形成し、更に該第二の仕切部材の該第一の仕切部材に対する重ね合わせ面側に設けた凹所を前記加振ゴム弾性板で流体密に覆蓋することにより前記作用空気室を形成すると共に、該加振ゴム弾性板と該第一の仕切部材の間に前記加振室を形成し、該加振室と該受圧室を仕切る該第一の仕切部材に設けた透孔を前記仕切ゴム弾性板で流体密に閉塞せしめて、
    それら仕切ゴム弾性板及び加振ゴム弾性板をそれぞれ前記第一の仕切部材及び前記第二の仕切部材の各中央部分に円板形状をもって配設することにより離隔して対向位置せしめると共に、該仕切ゴム弾性板よりも該加振ゴム弾性板を大径として該仕切ゴム弾性板の全体を軸方向において該加振ゴム弾性板で覆い、更に、
    前記仕切ゴム弾性板及び前記加振ゴム弾性板の外周側に位置して前記第一のオリフィス通路と前記第二のオリフィス通路を形成したことを特徴とする車両用流体封入式エンジンマウント。
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