JPH10152167A - 包装体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 処理中に指に傷付けたり、誤って飲み込んで
も体内に傷付けることのない、錠剤を包装した安全な包
装体を提供する。 【解決手段】 包装体１０は上端が開口するとともに錠
剤１５を収納したエンボス部１２と、エンボス部１２の
上端開口に設けられたフランジ部１３とからなる底材１
１を備えている。底材１１はそのフランジ部１３を介し
て蓋材２０に接着されている。底材１１は個別に切離さ
れて独立している。フランジ部１３と蓋材２０に、各々
貫通穴１６ａ，１６ｂが設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は錠剤等の内容物を収
納した包装体に係り、とりわけ取扱いが安全な包装体に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、上端が開口した内容物収納用の多
数のエンボス部と、このエンボス部間を連結するフラン
ジ部とからなる底材を用いて錠剤が包装されている。す
なわち、錠剤はこの底材の各エンボス部内に収納され、
エンボス部内に錠剤が収納された底材は、蓋材をフラン
ジ部にヒートシールすることにより密封される。

【０００３】このように底材のエンボス部内に錠剤を収
納し、底材のフランジ部に蓋材をヒートシールすること
によりＰＴＰ（press through pack）包装体が得られ
る。包装体の底材および蓋材には、各エンボス部毎にミ
シン目やハーフカットが入れられ、包装体はミシン目や
ハーフカットに沿って各エンボス部毎に分離可能となっ
ている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、包装体のう
ち底材は塩化ビニル（ＰＶＣ）等からなり、錠剤を安定
して収納するため、および蓋材を破断しやすい強度を得
るためにその厚みは０．２〜０．３mmと比較的厚くなっ
ている。他方、蓋材は底材に比較してその厚みは０．１
mm以下と薄くなっている。

【０００５】使用者はミシン目から包装体を各エンボス
部毎に分離し、蓋材を破断してエンボス部内から錠剤を
取出している。

【０００６】ところで使用者は誤って包装体ごと錠剤を
飲んでしまうことがあり、この場合は比較的厚肉の底材
の分離端が使用者の体内に引掛ってしまい、大変危険な
状態となる。

【０００７】本発明はこのような点を考慮してなされた
ものであり、誤ってそのまま飲み込んでも安全で体内を
傷付けることのない包装体およびその製造方法を提供す
ることを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明は、
一端が開口するとともに内容物を収納したエンボス部
と、このエンボス部の開口に設けられたフランジ部とか
らなる底材と、前記フランジ部に接着される蓋材とを備
え、各底材は個別に切離されて独立し、そのフランジ部
を介して前記蓋材に接着され、前記底材のうちエンボス
部は、その平面形状が円形、楕円形、星形、ハート形お
よび多角形のいずれかであることを特徴とする包装体で
ある。

【０００９】請求項２記載の発明は、一端が開口すると
ともに内容物を収納したエンボス部と、このエンボス部
の開口に設けられたフランジ部とからなる底材と、前記
フランジ部に接着される蓋材とを備え、各底材は個別に
切離されて独立し、そのフランジ部を介して前記蓋材に
接着され、前記底材のフランジ部は、その外形が人間の
喉径より大きいことを特徴とする包装体である。

【００１０】請求項３記載の発明は、一端が開口すると
ともに内容物を収納したエンボス部と、このエンボス部
の開口に設けられたフランジ部とからなる底材と、前記
フランジ部に接着される蓋材とを備え、各底材は個別に
切離されて独立し、そのフランジ部を介して前記蓋材に
接着され、前記底材のフランジ部と蓋材に、これらフラ
ンジ部と蓋材を貫通する貫通穴を設けたことを特徴とす
る包装体である。

【００１１】請求項４記載の発明は、一端が開口すると
ともに内容物を収納したエンボス部と、このエンボス部
の開口に設けられたフランジ部とからなる底材と、前記
フランジ部に接着される蓋材とを備え、各底材は個別に
切離されて独立し、そのフランジ部を介して前記蓋材に
接着され、前記底材のエンボス部は、その側断面形状が
内容物を蓋材との間で密着保持できるよう非対称形とな
り、これにより内容物を取り出す時に蓋材にかかる力が
分散されることなく集中されより突き破り易くしたこと
を特徴とする包装体である。

【００１２】請求項１記載の発明によれば、底材のエン
ボス部の平面形状を円形、楕円形、星形、ハート形およ
び多角形のいずれかとしたことにより、多種多様の形状
をもつ内容物をエンボス部内に収納することができる。

【００１３】請求項２記載の発明によれば、底材のフラ
ンジ部の外形を人間の喉径より大きくしたことにより、
人間は包装体ごと飲み込むことはできず、安全性を向上
させることができる。

【００１４】請求項３記載の発明によれば、フランジ部
と蓋材に貫通穴を設けたことにより、包装体ごと飲み込
んでも貫通穴により呼吸が可能となっている。

【００１５】請求項４記載の発明によれば、底材のエン
ボス部はその側断面形状が非対称となり、これにより内
容物を取り出す時に、力に方向性が生じ、すなわち蓋材
にかかる力が集中されより突き破り易くなっている。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。図１乃至図５は本発明によ
る包装体の実施の形態を示す図である。

【００１７】図１および図３において、包装体１０は上
端が開口するとともに錠剤１５等の内容物を収納したエ
ンボス部１２と、このエンボス部１２の上端開口に設け
られたフランジ部１３とからなる底材１１を備えてい
る。

【００１８】底材１１は錠剤１５を収納したエンボス部
１２毎の単位に構成され、各底材１１は個別に切離され
て独立している。また各底材１１は、そのフランジ部１
３を介して蓋材２０にヒートシールされている。

【００１９】図３に示すように、各底材１１のフランジ
部１３は、その周縁が平面円形状となっており、これに
対応して内容物１５を収納するエンボス部１２も平面円
形状となっている。

【００２０】また蓋材２０には、各底材１１毎に切離し
容易なようにハーフカット２０ａが設けられている。な
お、このハーフカット２０ａの代わりにミシン目を設け
てもよい。

【００２１】ここで図３は包装体１０の平面図であり、
蓋材２０は便宜上透明体として示されている。

【００２２】図１および図３に示すように、底材１１の
フランジ部１３および蓋材２０に、フランジ部１３と蓋
材２０とを貫通する貫通穴１６ａ，１６ｂが設けられて
いる。この貫通穴１６ａ，１６ｂを設けることにより、
包装体１０ごと誤って飲み込んだ場合でも、呼吸できる
ようになっている。貫通穴１６ａ，１６ｂは各底材１１
毎に４個、平面からみて９０°ずつ離間して配置されて
いる（図３）。

【００２３】次に底材１１のエンボス部１２の平面形状
について述べる。上述のように、各底材１１のフランジ
部１３はその周縁が平面円形状となっており、これに対
応して内容物１５を収納するエンボス部１２も平面円形
状となっている（図３）。この他、図４に示すように、
フランジ部１３およびエンボス部１２の平面形状を楕円
形としてもよく（図４（ａ））、また星形としてもよい
（図４（ｂ））。さらにフランジ部１３およびエンボス
部１２の平面形状をハート形としてもよく（図４
（ｃ））、さらに三角形状（図４（ｄ））、四角形状
（図４（ｅ））、または五角形状としてもよい（図４
（ｆ））。このようにエンボス部１２の平面形状を多種
多様に定めることによって、多種多様の形状を有する錠
剤１１をエンボス部１２内に収納することができる。

【００２４】なお、図４において、便宜上蓋材２０が取
除かれ、底材１１のみが示されている。

【００２５】次に包装体１０の各構成部分の材質につい
て述べる。包装体１０のうち底材１１は、錠剤１５を収
納保持するため比較的厚肉材料からなっており、例えば
２００〜３４０μ厚のＰＶＣ、環状ポリオレフィン、Ｐ
Ｐ、またはＰＥＴ等を用いることができる。なお、底材
１１を構成する上記材料に透明蒸着またはアルミ蒸着を
施して底材１１にガスバリア性をもたせてもよい。

【００２６】他方、蓋材２０としては比較的薄肉の材
料、例えば１０〜３０μ厚の積層体を用いることがで
き、このような積層体の層構成としては、例えば、 ＯＰ層／アルミニウム層／ヒートシール層 が考えられる。

【００２７】このうちヒートシール層としては、例えば
ポリ酢酸ビニル、ＰＶＡ、ポリビニルブチラール、ポリ
塩化ビニル、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、
ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、セルロー
スエステル、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂の単独ある
いは共重合体および混合物や酸変成物等を用いることが
できる。なお、蓋材２０を構成する積層体に透明蒸着ま
たはアルミ蒸着を施して、蓋材２０にガスバリア性をも
たせてもよい。

【００２８】次に包装体の製造方法について、図２によ
り詳述する。図２に示すように、雌型（下型）２５と雄
型（上型）２６との間に、例えばＰＶＣシートが挿入さ
れ、雌型２５と雄型２６との間でＰＶＣシートが圧空成
形される。このように雌型２５と雄型２６との間で圧空
成形（エンボス成形）することにより、多数のエンボス
部１２を有するシート体３０が得られる（図２
（ａ））。

【００２９】次にシート体３０を保持した雌型２５は切
断装置２７まで搬送され、雌型２５上に保持されたシー
ト体３０は、各エンボス部１２の開口周縁にそって切断
装置２７により切断される。このようにしてエンボス部
１２とフランジ部１３を有する底材１１が成形される。
この場合、各底材１１のエンボス部１２は、雌型２５の
収納部２５ａ内に収納され、同時にシート体３０の打抜
きかす３０ａは図示しない巻取装置によって巻取られる
（図２（ｂ））。

【００３０】次に底材１１を保持した雌型２５は充てん
装置２８まで搬送され、雌型２５に保持された各底材１
１のエンボス部１２内に充てん装置２８から錠剤１５が
充てんされる。

【００３１】次に底材１１を保持した雌型２５はヒート
シール装置２９まで搬送され、雌型２５に保持された各
底材１１のフランジ部１３に対して、例えばＯＰ層／ア
ルミニウム層／ヒートシール層からなる蓋材２０がヒー
トシール装置２９によって加熱圧着される。このように
して各底材１１のフランジ部１３が蓋材２０によってヒ
ートシールされ、各底材１１のエンボス部１２内が密封
される。その後、蓋材２０に対してハーフカット２０ａ
が形成されるとともに、底材１１のフランジ部１３およ
び蓋材２０に各々貫通穴１６ａ，１６ｂが形成され、図
３および図４に示す包装体１０が得られる。

【００３２】使用にあたっては、蓋材２０がハーフカッ
ト２０ａに沿って切断され、各底材１１毎に分離され
る。次に各底材１１のエンボス部１２に対応する蓋材２
０の部分が破断され、底材１１のエンボス部１２内から
錠剤１５が取り出される。

【００３３】他方、錠剤１５を底材１１のエンボス部１
２内から取り出すことなく、錠剤１５を底材１１および
蓋材２０とともに包装体１０ごと誤って飲み込んでしま
うことがある。この場合、硬質の厚肉材料からなる底材
１１は、個別に切離されて独立し、フランジ部１３を介
して蓋材２０に接着されているので、フランジ部１３の
外形は蓋材２０の切断端縁より小さくなっている。この
ためフランジ部１３周縁が外部に露出することはない。
またフランジ部１３の周縁が円形状の場合、フランジ部
１３の周縁がたとえ外部に露出してもこのフランジ部１
３により体内を傷付けることはない。なお蓋材２０の切
断端縁は四角形状となるが、蓋材２０は軟質の薄肉材料
からなるので、蓋材２０によって体内を傷付けることは
ない。また包装体１０ごと誤って飲み込み、この包装体
１０が口径に引掛っても、フランジ部１３と蓋材２０に
貫通穴１６，１６ｂが設けられているので、この貫通穴
１６ａ，１６ｂによって呼吸が可能となる。

【００３４】また蓋材２０の切断端縁は四角形状となっ
ているが、蓋材２０は軟質の薄肉材料からなっているの
で、蓋材２０によって指等を傷付けることはない。

【００３５】次に図５により本発明の実施の形態の変形
例について説明する。図５に示す実施の形態において、
図１乃至図４に示す実施の形態と同一部分には同一符号
を付して詳細な説明は省略する。

【００３６】図５に示すように底材１１のエンボス部１
２は、その断面形状が非対称形となっている。すなわ
ち、図５においてエンボス部１２の一方側部分１７ａは
断面が緩やかに傾斜し、他方側部分１７ｂは断面が垂直
方向に延びている。この場合、たまご形の錠剤１５をエ
ンボス部１２の一方側部分１７ａから押し上げて取り出
す時に蓋材２０にかかる力が集中され、容易に蓋材２０
を突き破ってたまご型の錠剤１５を取り出すことができ
る。このため、包装体１０の搬送中に、エンボス部１２
内で錠剤１５が移動したり、エンボス部１２に当接して
（こすれて）錠剤１５に傷がつくことはない。

【００３７】上記各実施の形態において、雌型２５上に
シート体３０および底材１１を保持したまま、雌型２５
を雄型２６から切断装置２７および充てん装置２８を経
てヒートシール装置２９まで搬送した例を示したが、雌
型２５の代わりに別個の下型を用いてシート体３０およ
び底材１１を保持するとともに、別個の下型を切断装置
２７から充てん装置２８を経てヒートシール装置２９ま
で搬送してもよい。

【００３８】また、上記各実施の形態において、底材１
１のフランジ部１３の外形を人間の喉径より大きくして
おくことにより、包装体１０ごと誤って口に入れても、
包装体１０ごと飲み込むことができないようにしておく
ことができる。

【００３９】

【発明の効果】請求項１記載の発明によれば、底材のエ
ンボス部の平面形状を円形、楕円形、星形、ハート形お
よび多角形のいずれかとしたことにより、多種多様の形
状をもつ内容物をエンボス部内に収納することができ
る。このため、包装体の適用範囲を拡大することができ
る。

【００４０】請求項２記載の発明によれば、底材のフラ
ンジ部の外形を人間の喉径より大きくしたことにより、
包装体ごと飲み込むことはできない。このため包装体の
安全性を向上させることができる。

【００４１】請求項３記載の発明によれば、フランジ部
と蓋材に貫通穴を設けたことにより、包装体ごと飲み込
んでも貫通穴により呼吸が可能となっている。このた
め、包装体の安全性を確保することができる。

【００４２】請求項４記載の発明によれば、底材のエン
ボス部はその側断面形状が非対称となり、これにより内
容物を取り出す時に、力に方向性が生じ、すなわち蓋材
にかかる力が集中され、より突き破り易くなっている。
このため、内容物を安定して搬送することができ、搬送
中に内容物に傷付けることはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による包装体を示す側断面図。

【図２】本発明による包装体の製造方法を示す概略図。

【図３】包装体の平面図であって便宜上蓋材を透明体と
した状態を示す図。

【図４】包装体の変形例を示す平面図。

【図５】包装体の他の実施の形態を示す側断面図。

【符号の説明】

１０ 包装体 １１ 底材 １２ エンボス部 １３ フランジ部 １５ 錠剤 １６ａ，１６ｂ 貫通穴 １７ａ 一方側部分 １７ｂ 他方側部分 ２０ 蓋材 ２０ａ ハーフカット ２５ 雌型 ２６ 雄型 ３０ シート体 ３０ａ 打抜きかす

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一端が開口するとともに内容物を収納した
   エンボス部と、このエンボス部の開口に設けられたフラ
   ンジ部とからなる底材と、 前記フランジ部に接着される蓋材とを備え、 各底材は個別に切離されて独立し、そのフランジ部を介
   して前記蓋材に接着され、 前記底材のうちエンボス部は、その平面形状が円形、楕
   円形、星形、ハート形および多角形のいずれかであるこ
   とを特徴とする包装体。
2. 【請求項２】一端が開口するとともに内容物を収納した
   エンボス部と、このエンボス部の開口に設けられたフラ
   ンジ部とからなる底材と、 前記フランジ部に接着される蓋材とを備え、 各底材は個別に切離されて独立し、そのフランジ部を介
   して前記蓋材に接着され、 前記底材のフランジ部は、その外形が人間の喉径より大
   きいことを特徴とする包装体。
3. 【請求項３】一端が開口するとともに内容物を収納した
   エンボス部と、このエンボス部の開口に設けられたフラ
   ンジ部とからなる底材と、 前記フランジ部に接着される蓋材とを備え、 各底材は個別に切離されて独立し、そのフランジ部を介
   して前記蓋材に接着され、 前記底材のフランジ部と蓋材に、これらフランジ部と蓋
   材を貫通する貫通穴を設けたことを特徴とする包装体。
4. 【請求項４】一端が開口するとともに内容物を収納した
   エンボス部と、このエンボス部の開口に設けられたフラ
   ンジ部とからなる底材と、 前記フランジ部に接着される蓋材とを備え、 各底材は個別に切離されて独立し、そのフランジ部を介
   して前記蓋材に接着され、 前記底材のエンボス部は、その側断面形状が非対称とな
   っており、これにより内容物を取り出す時に蓋材にかか
   る力が分散されることなく集中され、より突き破り易く
   したことを特徴とする包装体。