JPH10139406A - 化学発光試薬及びそれを用いる過酸化水素の検出方法 - Google Patents

化学発光試薬及びそれを用いる過酸化水素の検出方法

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JPH10139406A
JPH10139406A JP8295184A JP29518496A JPH10139406A JP H10139406 A JPH10139406 A JP H10139406A JP 8295184 A JP8295184 A JP 8295184A JP 29518496 A JP29518496 A JP 29518496A JP H10139406 A JPH10139406 A JP H10139406A
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hydrogen peroxide
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dansyl
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JP8295184A
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Hitoshi Noda
均 能田
Hiroshi Satozono
浩 里園
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BUNSHI BIO PHOTONICS KENKYUSHO
Bunshi Biophotonics Kenkyusho KK
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BUNSHI BIO PHOTONICS KENKYUSHO
Bunshi Biophotonics Kenkyusho KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規な化学発光試薬、及びそれをもちいる過
酸化水素の検出方法を提供する。 【解決手段】本発明に係る化学発光試薬は、シュウ酸エ
ステルを用いた過酸化水素の検出に用いるための、分子
中に化学発光色素と化学発光触媒機能を有する基とを共
に有するものである。本発明に係る過酸化水素の検出方
法は、本発明に係る化学発光試薬及び、シュウ酸エステ
ルを用いるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シュウ酸エステル
を用いた化学発光測定方法において使用する自己触媒能
を有する化学発光試薬及びそれを用いた過酸化水素の検
出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】化学発光に基づき被検物質を高感度に検
出する方法は、励起光源が不要、励起効率が高いなどの
利点を持つことから広く行われている。これらの中で、
シュウ酸エステルによる化学発光は、シュウ酸エステル
と過酸化水素の反応で生じた化学エネルギーがエネルギ
ー移動によって共存する色素を励起し、この励起された
色素分子が発光するといった過程を経ることが知られて
いる。このエネルギー移動を経るというのがシュウ酸エ
ステル系化学発光の大きな特徴で、エネルギーを受け取
る色素分子の選択で様々な波長の発色が得られるという
特徴を持っている。特に後者については通常の化学発光
系で1個の分子から1回の発光しか得られないことを考
えると高感度分析に適用する場合大きな利点となる。
【0003】また、上記シュウ酸エステル系化学発光は
弱い発光が長く持続することが多く、そのままでは迅速
な測定という点で問題があり、実際の使用に際しては通
常、イミダゾールのような有機塩基を触媒として用いる
必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者の知見によれば、上記触媒を用いる場合には、(1)触
媒自体による発光も生じてバックグラウンドノイズを与
えることとなり、高感度測定する場合に問題となり、さ
らに、(2)発光特性(発光強度、発光持続性等)の再現
性にとぼしく、微量過酸化水素の定量分析において問題
となる。
【0005】以上の問題を解決するべく本発明者は鋭意
研究し、シュウ酸エステルを用いた化学発光測定方法に
おいて、触媒を測定系に添加せずに十分な発光強度が得
られ、かつ得られる発光特性も安定で良好な再現性をも
示す化学発光試薬を見出すに至り本発明を完成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る化学発光試
薬は、分子中に化学発光色素と、化学発光触媒機能を持
つ基を有する構造を有する。すなわち、本発明は、過酸
化水素を検出するシュウ酸エステルを用いた化学発光測
定方法において用いる、分子内に触媒活性基と発光色素
団とを有することを特徴とする化学発光試薬に関するも
のである。
【0007】すなわち、本発明は、イミダゾール基又は
グアニジノ基を有する触媒活性基と、発光色素団とを有
することを特徴とする化学発光試薬を提供するものであ
る。
【0008】さらに、本発明は、前記発光色素団が、ダ
ンシル系色素、ローダミン系色素、又はシアニン系色素
である化学発光試薬を提供するものである。
【0009】さらに、本発明は、前記化学発光試薬が次
式(1)で表される化学発光試薬を提供するものであ
る。
【0010】
【化1】 (式中、Rは、次式(2)〜(5)で表される置換基の
いずれかを表す。)
【0011】
【化2】
【0012】
【化3】
【0013】
【化4】
【0014】
【化5】 また、本発明は、前記化学発光試薬と、シュウ酸ジアリ
ールエステルとを用いることを特徴とする過酸化水素の
検出方法を提供するものである。
【0015】さらに、本発明は、前記アリール基が、次
式(6)〜(9)で表されるものであることを特徴とす
る過酸化水素の検出方法を提供するものである。
【0016】
【化6】
【0017】
【化7】
【0018】
【化8】
【0019】
【化9】 以下本発明の実施の形態に即し詳細に説明する。
【0020】
【発明の実施の形態】
(化学発光試薬)本発明において測定される化学発光
は、適当な発蛍光色素の下で、シュウ酸エステルと過酸
化水素との反応により生じる前記色素からの蛍光であ
る。すなわち、シュウ酸エステルと過酸化水素との反応
が進行し、生じた化学反応エネルギーが上記色素に効率
的に移動して励起し、蛍光を発光するものである(図
1)。ここでイミダゾール(図1ではCatと表現され
ている。)のような触媒の存在でこの反応は促進され
る。推定される反応機構は以下のようである。まずシュ
ウ酸ジエステルと過酸化水素が触媒の存在の下で過シュ
ウ酸エステル中間体を形成し、この過シュウ酸エステル
中間体は分子内反応によりいわゆる高エネルギー中間体
であるジオキセタン中間体を形成する。このジオキセタ
ン中間体は不安定であり、自己分解的に二酸化炭酸へと
分解し、余分の化学エネルギーは熱エネルギー等へと変
換される。一方このジオキセタン中間体の近傍に上記発
蛍光色素(図ではFと表現されている)が存在する場合
には、上記分解反応により生じる化学エネルギーはこの
発蛍光色素にエネルギー移動し、励起状態(図ではF*
と表現されている)を形成する。従って、この励起状態
からの発光が観測されることになる。
【0021】この推定機構において、最初の反応にイミ
ダゾールのような触媒が必要であり、この触媒の存在
で、上記のジオキセタン中間体が高濃度に生成される。
従って、上記のジオキセタン中間体の主反応過程は、発
蛍光色素Fとの多分子間反応によるF*の生成過程より
は、上記のジオキセタンの自己分解反応の過程となる。
【0022】さらに、触媒としてのイミダゾールの濃度
は比較的高く維持する必要があり、pHが低い測定条件
においては困難となる。
【0023】図2には、本発明に係る化学発光試薬を用
いた場合の図1と同様の推定に基づく反応機構を示し
た。本発明に係る化学発光試薬は、上記反応の触媒作用
を有する基(Cat)を分子内の発光色素(F)の近傍
に結合したもの(図2ではCat−Fと表現されてい
る)である。従って、最初の反応が本発明に係る化学発
光試薬のCatにより進行し、図1の場合と同様の中間
体を形成する。この触媒反応がCatの活性中心で生じ
るものであることから、Catに結合されているFもこ
の中間体の近傍に存在する。従って、本発明に係る化学
発光試薬を用いた場合には、反応中間体の反応過程は、
主としてFへの化学エネルギー移動とそれに基づくF*
の生成過程となる。すなわち、化学反応エネルギーが上
記発蛍光色素Fに効率的に移動して発光することとな
る。
【0024】上記説明した機能を有する本発明に係る化
学発光試薬の化学発光のための発蛍光色素団の種類は特
に制限されず、過酸化水素とシュウ酸エステルによる化
学発光に通常使用される発蛍光色素が好適に使用可能で
ある。具体的には、ダンシル系色素、ローダミン系色
素、又はシアニン系色素である。本発明に係る化学発光
試薬においては、特にダンシル系色素の使用が好まし
い。
【0025】さらに、本発明に係る化学発光試薬の触媒
機能を有する基としては特に制限はされず、従来の過酸
化水素とシュウ酸エステルによる化学発光に通常使用さ
れる有機塩基であればよい。本発明に係る化学発光試薬
においては、特に有機塩基触媒であるイミダゾール基、
又はグアニジノ基を有するものが好ましい。発光反応を
溶媒のpHが高い場合(pHが7以上)にはイミダゾー
ル基、又はグアニジノ基とも好適に使用可能であるが、
pHが小さい場合(pH6以下)では、グアニジノ基の
触媒作用は比較的小さくなる傾向があるがイミダゾール
基の場合はこのpH条件でも良好に作用する。さらに、
本発明に係る化学発光試薬において、上記の2種類の基
を結合する方法についても特に制限はない。通常公知の
化学反応により結合し得る基を用いた方法が好適に使用
できる。具体的には結合基として、アミド基、チオアミ
ド基、スルホンアミド基、エステル基、エーテル基があ
げられる。本発明に係る化学発光試薬では特にスルホン
アミド基による結合が好ましい。さらに、上記の2種類
の基間の構造の種類及び距離(発蛍光色素団と触媒基
間)についても特に制限はない。これらがあまりに離れ
ている場合には、生じる反応エネルギーが充分色素の移
動することができなくなり、発光強度が低下する等の問
題となる。また、上記の2種類の基があまりに近接して
結合されていると、生じる反応エネルギーの色素への移
動が有効に生じるための自由度がなくなりかえって発光
強度が低下する等の問題となる。従って、本発明にかか
る化学発光色素においては、メチレン基(−(CH2n
−)のnに換算して1〜10程度(より好ましくは1〜
7程度)が好ましい。
【0026】本発明にかかる化学発光試薬の合成方法に
ついても特に制限はなく、通常の有機化学反応を用い
て、発蛍光色素と触媒機能を有する基を結合可能であ
る。具体的には発蛍光色素に酸塩化物等の反応活性基を
導入し、触媒機能を有する基のアミノ基等の反応活性基
とを反応させて結合することができる。または、発蛍光
色素であらかじめラベル化されたアミノ酸と、触媒機能
を有する基(イミダゾール基、グアニジノ基)を含むア
ミノ酸(ヒスチジン、アルギニン等)とをペプチド合成
する方法が好ましく使用できる。
【0027】(過酸化水素検出方法)本発明に係る化学
発光試薬を用いた過酸化水素検出方法は、過酸化水素、
シュウ酸エステルの反応の自己触媒能を有しており他の
触媒の添加は不要である。従って、本発明に係る化学発
光試薬を用いた過酸化水素を検出する方法においてはバ
ックグラウンド発光を極端に小さくすることが可能とな
る。本発明に係る過酸化水素検出方法により検出可能な
過酸化水素を含む試料は、有機溶媒中のみならず、水中
のものであってもよい。本発明に係る化学発光試薬及び
シュウ酸エステルは通常水に不溶であり、従って水溶液
試料の場合には以下で説明する適当な有機溶媒と混合し
て実施することが好ましい。この場合、反応溶媒として
は非プロトン性極性溶媒が好ましく、具体的にはアセト
ニトリル、アセトン、酢酸エチルである。テトラヒドロ
フラン、ジオキサン、エーテル等も使用可能であるが、
これらの溶媒中には通常微量の過酸化物が混在し、水で
加水分解されて過酸化水素が発生し、これがバックグラ
ウンド発光の原因となることから、十分過酸化物を除去
することが望ましい。さらに、水が多量に存在する場合
には、発光量の減少の原因となることから、測定混合物
の水分は少なくとも30%以下であることが好ましい。
【0028】本発明に係る化学発光試薬を用いた過酸化
水素の検出に使用可能なシュウ酸エステルは特に制限は
ないが、シュウ酸ジアリールエステルが好ましく使用可
能である。本発明においては特にアリール基としては、
次式(6)〜(9)で表さ
【0029】
【化6】
【0030】
【化7】
【0031】
【化8】
【0032】
【化9】 れるものである。これらのシュウ酸ジアリールエステル
は、市販されておりそれぞれTDPO、DOPO、TC
PO、DNPOと略されている。これらのシュウ酸ジア
リールのうち、本発明においては特にTDPOの使用が
好ましい。
【0033】さらに、本発明に係る化学発光試薬を用い
て過酸化水素を検出する測定方法の態様は特に限定され
ない。シュウ酸エステルと、本発明に係る化学発光試薬
をあらかじめ適当な有機溶媒中に溶解し、過酸化水素を
含む試料溶液を混合し、生じる化学発光を検出する方
法、または、シュウ酸エステルと過酸化水素を含む試料
とをあらかじめ適当な有機溶媒中に溶解し、本発明に係
る化学発光試薬を混合して生じる化学発光を検出する方
法が可能である。この際、混合の方法ついても特には限
定されない。通常公知の混合方法(手動、又は自動)が
好適に使用可能である。さらに生じる化学発光を検出す
る手段についても特に制限はなく、通常の発光測定装置
を用いることが可能である。
【0034】本発明に係る化学発光試薬を用いた化学発
光の発光特性は、過酸化水素を含む試料に含まれる水の
pHに依存する。本発明に係る化学発光が塩基触媒で加
速されることから、一般にpHが大きいほど(pH8以
上)好ましいが、pHが6以下でも、本発明に係る化学
発光試薬(例えば、ダンシルヒスタミン)を使用するこ
とにより充分測定可能となる。
【0035】具体的には、例えば、酢酸エチルとジオキ
サンの混合液に0.5mM程度の濃度になるよう本発明に係
る化学発光試薬を調製する。被検出物たる過酸化水素は
ジオキサンで1μM濃度に希釈する。過シュウ酸エステ
ル溶液(TDPO、1mM程度)と、前記化学発光試薬溶
液を混合し、これをルミノールメーターにセットした
後、過酸化水素溶液を注入し、発光の時間変化を測定す
るという手順で可能である。
【0036】以下実施例に基づき本発明を具体的に説明
するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例
に限定されるものではない。ここで使用した発光測定装
置はターナー社製ルミノメーター20eである。
【0037】
【実施例】
(実施例1ー1)ダンシルヒスタミンの合成 窒素ガス気流中で、ヒスタミン二塩酸塩1.39g(7.41mm
ol)のジクロロメタン(10ml)懸濁液中に、0℃で撹拌
しながらトリエチルアミン2.1ml(14.83mmol)を約10
分かけて滴下し、0℃で30分撹拌した。
【0038】得られた溶液を撹拌しつつ、ダンシルクロ
リド1g(3.7mmol)のジクロロメタン溶液(10ml)を
約30分かけて滴下した後、更に室温で13時間撹拌し
て反応を完結させた。
【0039】反応溶液をクロロホルム100mlで希釈した
後、1規定の水酸化ナトリウム水溶液100ml、次いで水1
00ml、最後に飽和食塩水100mlで洗浄した。クロロホル
ム層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留
去し粗生成物を得た。得られた粗生成物をカラムクロマ
トグラフ(シリカゲル100g、移動相;酢酸エチル:n-
ヘキサン=1:5)で分離精製し、黄色固体1.5g(59
%)を得た。TOFMS(島津製作所、MALDI−I
Vモデル):345(M+1)+1H−NMR(重ピリジン、
TMS、δppm):2.82(s,6H,N(CH3 )2)、7.12(d、1H、
ナフチル芳香族)、7.50-7.58(m、2H、ナフチル芳香
族)、8.54-8.59(m、2H、ナフチル芳香族)、8.89(d、1
H、ナフチル芳香族)、3.15(t,2H,NHCH2 )、3.67(m,2H,N
HCH2 CH2 )、7.26(s,1H,イミダゾール芳香族)、8.73(s,1
H,イミダゾール芳香族)。
【0040】薄層クロマトグラム: 条件;逆相分配型メルク社HPTLCRp-18、展開液
メタノール−水(9:1体積/体積)。
【0041】 (実施例1ー2)ダンシルヒスタミンの合成 ヒスタミン(2mmol)をジオキサン30mlに溶解
し、室温で撹拌しながらダンシルクロリド溶液(1.5
mmolをアセトニトリル30mlに溶解して用いた)
を約1時間で滴下する。滴下後更に室温で2時間撹拌す
る。反応終了後、アセトニトリルを留去し、水50ml
を加えたのち、2M炭酸水素ナトリウムを加えて中和す
る(pH6−8)。これにジエチルエーテル20mlを
加えて、ダンシルヒスタミンを抽出する(2回)。抽出
液を水20mlで3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウ
ムを加えて乾燥させる。硫酸マグネシウムを除き、得ら
れた濾液を濃縮し(約5ml)、これにエタノール5m
l及び濃塩酸0.1mlを加えて、4℃で1昼夜放置す
る。析出したダンシルヒスタミン塩酸塩(mp.145
−150℃)を濾取する。
【0042】(実施例2)イミダゾール誘導体の触媒作
用 イミダゾールおよびイミダゾール誘導体を触媒として用
いたときの発光強度のピーク値および半値幅を下表にま
とめた。この実験では色素としてローダミン6Gを用い
た。
【0043】 触媒 化学発光強度 半値幅/10sec ==================================== イミダゾール 1.0 13 ヒスタミン 1.5 12 L-ヒスチジン 1.1 24 4,5-イミダゾールカルボキサミド 0 − ウロカニン酸 2.4 0.39 ==================================== 以上の結果は、4,5-イミダゾールカルボキサミド以外は
全て触媒作用を持つことを示す。
【0044】4,5-イミダゾールカルボキサミドが触媒作
用をもたない理由はこの分子のC=O2重結合とイミダ
ゾール環が共役しているためとも考えられる。またウロ
カニン酸では発光持続時間は極端に短かった。ウロカニ
ン酸も側鎖の部分にある2重結合とイミダゾール環があ
る程度共役していると考えられる。 4,5-イミダゾール
カルボキサミドの結果と考えあわせるとイミダゾール環
と共役するような側鎖は、化学発光触媒活性に大きな影
響を及ぼすことが明らかとなる。
【0045】実験結果から色素に触媒活性を付加するた
めにイミダゾールを導入する場合、イミダゾール環の共
役系に影響を及ぼさないことが、イミダゾールの触媒活
性を損なうことなく触媒活性の付加を可能とすることを
意味する。
【0046】(実施例3)化学発光特性 本発明に係る化学発光試薬としてダンシルアルギニン、
ダンシルヒスタミンの化学発光特性を図3に示す。比較
のためにイミダゾール基を持たないダンシルアスパラギ
ン酸(Sigma社製)を用いた。
【0047】測定条件:シュウ酸エステル(TDPO、
0.5mM)50μl、色素(ダンシルヒスチジン、又はダン
シルアルギニン(Sigma製)、0.1mM)20μl、イミダゾ
ール緩衝液(50mM、pH5.5)20μl又は水の混合液に、
過酸化水素(三菱ガス化学社製、1mM)中50μlを自動
注入してルミノメーター(ターナー社製20e)発光を
測定した。ボレート緩衝液(pH8)以外はすべてアセ
トンを溶媒として用いた。
【0048】触媒を添加しないダンシルアスパラギンの
みの場合(図3中の3で示される)でも僅かな発光が見
られるが、これはダンシル基自体のもつジメチルアミノ
基や、pH8のボレート緩衝液による塩基性による反応
に基づく発光と考えられ、この条件でのバックグラウン
ド発光となる。
【0049】本発明にかかる化学発光試薬であるダンシ
ルヒスタミン及びダンシルアルギニンの場合(図3中の
1および2で示される)には極めて強い発光が持続する
ことが示され、イミダゾールのような触媒を加えること
なくシュウ酸エステルによる過酸化水素の検出が高感度
で行えることを示すものである。ダンシルヒスタミンと
ダンシルアルギニンではこのpH条件(pH8)ではほ
とんど同じ発光特性を示している。
【0050】比較例としてダンシルアスパラギンに過剰
のイミダゾールを触媒として添加した場合(図3中4で
示される)、初期の発光強度はほぼダンシルヒスタミン
又はダンシルアルギニンの場合と同様であるが、発光の
減衰が極めて速い。発光総量は、本発明にかかる化学発
光試薬ダンシルヒスタミンを用いた場合の約半分以下で
あることが示されている。この結果は、上記で説明した
推定反応機構において、高エネルギー中間体の自己分解
反応が主に生じてしることを意味するものである。
【0051】以下に混合後5〜60秒間の総発光量を測
定した結果を示す。
【0052】 =================================== 発光試薬 総発光量 ダンシルヒスタミン 43400 ダンシルアルギニン 25900 ダンシルアスパラギン(イミダゾールなし) 9680 ダンシルアスパラギン(イミダゾールあり)18600 =================================== 従って、pH8においては本発明にかかるダンシルヒス
タミンは、過酸化水素の定量においては、イミダゾール
過剰の条件でのダンシルアスパラギンよりも優れたもの
であることが明らかである。すなわち、本発明にかかる
化学発光試薬は、イミダゾール触媒を加えていないにも
拘らず、持続時間の長い極めて強い発光が観測され、総
発光量も大きい。これは本発明にかかる化学発光試薬が
化学反応のエネルギーが非常に効率よく色素に伝達する
ことを意味しており、微量の過酸化水素の検出に好適に
使用できることを示している。
【0053】(実施例4)過酸化水素分析 本発明に係る化学発光試薬を用いて種々の濃度の過酸化
水素の定量を行った。本発明に係る化学発光試薬として
は、ダンシルアルギニン(グアニジニウム基が塩基触媒
として作用する)、ダンシルヒスタミン(イミダゾール
基が塩基触媒として作用する)、ダンシルトリプトファ
ン(インドール基が塩基触媒として作用する)、比較例
としてダンシルアラニン(塩基触媒イミダゾールなし)
を用いた。
【0054】分析方法は、ホウ酸塩緩衝液(0.1M、pH6,
7,8)10μl又はイミダゾール緩衝液(0.1M、pH7)、色
素(ダンシルヒスチジン、又はダンシルアルギニン、0.
1mM)20μl、及び過酸化水素(各濃度)の混合液に対
し、TDPO(0.5mM)を自動注入して発光特性を測定
した。発光特性はターナー社製ルミノモニター20e装
置を用いて行った。
【0055】発光特性は、pHが8で測定し、混合後約
20秒までの発光強度及びその減衰を過酸化水素の各濃
度で測定し、総発光量として積分値を用いた(図4)。
【0056】本発明にかかるダンシルアルギニン及びダ
ンシルヒスタミンは充分な総発光量を示し過酸化水素濃
度に対する直線性も良好であった。
【0057】比較例として用いたダンシルアスパラギン
酸、ダンシルトリプトファン、ダンシルフェニルアラニ
ンの場合には発光量が極めて少なく(約1/10〜1/
100)、かつ過酸化水素の濃度に対する直線性も十分
でない。ダンシルアスパラギン酸、ダンシルトリプトフ
ァンの発光特性からは過酸化水素の分析には十分ではな
いことが明らかである。ダンシルフェニルアラニンの場
合にも、発光強度は十分大きいが、極めてすみやかな強
度の減衰(ダンシルヒスタミンに比較して約2倍の減衰
速度)がみられ、さらに、過酸化水素の濃度変化に対し
てもダンシルヒスタミンに比較して、十分な直線性、再
現性を示さない。
【0058】pH7での同様の測定結果が図5に示され
ている。ダンシルアルギニンの発光強度はpH8のそれ
と比較して約1/10程度となるが、過酸化水素の濃度
に対する直線性はほとんど変化しない。一方、ダンシル
ヒスタミンはpH7でもpH8の条件とほぼ同程度であ
り安定した過酸化水素分析が可能であることを示してい
る。また、ダンシルフェニルアラニンとイミダゾールの
場合には、pHが7では発光強度の減衰が速く、さら
に、過酸化水素の濃度に対する直線性も触媒(イミダゾ
ール)の添加量等に依存(図示せず)し、再現性に欠け
る結果を与えた。従って、ダンシルフェニルアラニンに
イミダゾールを過剰量添加する場合は、過酸化水素の高
感度分析には十分ではない。
【0059】pH6での結果が図6に示されている。こ
のpHでは、ダンシルヒスタミンのみが影響をうけずに
良好な化学発光特性を示し、過酸化水素分析に適してい
ることが示された。ダンシルアルギニン、及びダンシル
フェニルアラニンとイミダゾールは全く発光を示さず、
このpHでは、過酸化水素分析には使用できないことが
明らかである。
【0060】(実施例5)過酸化水素定量方法 本発明に係る化学発光試薬を用いた発光特性を、種々の
過酸化水素濃度(0〜1mM)においての発光特性を調
べた。
【0061】pHが8においては、ダンシルアルギニン
(図7)、及びダンシルヒスタミン(図8)は極めて発
光量も多く、かつ定量性も良好であることが示された。
【0062】一方、ダンシルフェニルアラニン・イミダ
ゾール(図9)、ダンシルアスパラギン(図10)、ダ
ンシルトリプトファン(図11)は定量性は良いけれど
も発光量がダンシルアルギニンの場合に比較して約1/
10〜1/100程度と少ない。
【0063】pH7においては(図示せず)、ダンシル
フェニルアラニン及びイミダゾールがダンシルアルギニ
ン、又はダンシルヒスタミンよりも発光総量は大きい
が、定量性においては、ダンシルアルギニン又はダンシ
ルヒスタミンの方が良いことが示された。
【0064】pH6においては(図12)、ダンシルア
ルギニンの発光は極めて小さく、定量性も十分でない。
【0065】一方、ダンシルヒスタミンのはこのpHに
おいても十分な発光量及び定量性を示すことが明らかで
ある。
【0066】さらに、本発明にかかる化学発光試薬を用
いて過酸化水素の微量分析(総発光量の積分値を用い
て)においては、検出可能な過酸化水素の濃度として
は、1nM程度である。
【0067】
【発明の効果】本発明に係る化学発光試薬は、分子中に
化学発光色素と、化学発光触媒機能を有する基を共に有
することにより、過酸化水素を検出する化学発光測定方
法においては化学発光用触媒を必要としない。従って、
バックグラウンドノイズの少ない高感度な、定量性の良
い検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シュウ酸エステルを用いる過酸化水素の発光の
機構を示す図である。
【図2】本発明に係る化学発光試薬の作用機構を示す図
である。
【図3】本発明に係る化学発光試薬を用いた過酸化水素
との反応における発光特性を示す図である。
【図4】本発明に係る化学発光試薬を用いた、pH8で
の過酸化水素との反応における総発光量を示す図であ
る。
【図5】本発明に係る化学発光試薬を用いた、pH7で
の過酸化水素との反応における総発光量を示す図であ
る。
【図6】本発明に係る化学発光試薬を用いた、pH6で
の過酸化水素との反応における総発光量を示す図であ
る。
【図7】本発明に係る化学発光試薬であるダンシルアル
ギニンを用いた、pH8での種々の濃度の過酸化水素と
の反応における発光特性を示す図である。
【図8】本発明に係る化学発光試薬であるダンシルヒス
タミンを用いた、pH8での種々の濃度の過酸化水素と
の反応における発光特性を示す図である。
【図9】比較例としてのダンシルフェニルアラニンを用
いた、pH8での種々の濃度の過酸化水素との反応にお
ける発光特性を示す図である。
【図10】比較例としてのダンシルアスパラギンを用い
た、pH8での種々の濃度の過酸化水素との反応におけ
る発光特性を示す図である。
【図11】比較例としてのダンシルトリプトファンを用
いた、pH8での種々の濃度の過酸化水素との反応にお
ける発光特性を示す図である。
【図12】本発明に係る化学発光試薬であるダンシルヒ
スタミンを用いた、pH6での種々の濃度の過酸化水素
との反応における発光特性を示す図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イミダゾール基又はグアニジノ基を有す
    る触媒活性基と、発光色素団とを有することを特徴とす
    る化学発光試薬。
  2. 【請求項2】 前記発光色素団が、ダンシル系色素、ロ
    ーダミン系色素、又はシアニン系色素である請求項1に
    記載の化学発光試薬。
  3. 【請求項3】 前記の化学発光試薬が次式(1)で表さ
    れる化合物である、請求項1に記載の化学発光試薬。 【化1】 (式中、Rは、次式(2)〜(5)で表される置換基の
    いずれかを表す。) 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1つの請求項に
    記載の前記化学発光試薬と、シュウ酸ジアリールエステ
    ルとを用いることを特徴とする過酸化水素の検出方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の前記アリール基が、次
    式(6)〜(9)のいずれかで表されるものであること
    を特徴とする過酸化水素の検出方法。 【化6】 【化7】 【化8】 【化9】
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009179623A (ja) * 2008-02-01 2009-08-13 Akita Univ アルギニンとクーマリン色素から合成した蛍光性化合物

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