JPH0853467A - ボロン酸基を有する発蛍光性化合物 - Google Patents

ボロン酸基を有する発蛍光性化合物

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JPH0853467A
JPH0853467A JP29387994A JP29387994A JPH0853467A JP H0853467 A JPH0853467 A JP H0853467A JP 29387994 A JP29387994 A JP 29387994A JP 29387994 A JP29387994 A JP 29387994A JP H0853467 A JPH0853467 A JP H0853467A
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fluorescent
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ジェイムス トニー
Sandanayake Saman
サンダナヤケ サマン
Seiji Shinkai
征治 新海
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 発蛍光性原子団(官能基)と、少なくとも1
つのフェニルボロン酸部位と、少なくとも1つのアミン
性窒素とを有し、アミン性窒素がフェニルボロン酸部位
の近傍に配置されて該フェニルボロン酸と分子内結合す
るような分子構造を有する発蛍光性化合物。 【効果】 糖類の存在下に強い蛍光を発するので、糖類
の検出に利用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な発蛍光性化合物
に関し、特にグルコース、その他の糖類の検出に用いる
ことができる発蛍光性化合物、あるいは、そのような発
蛍光性化合物を用いる糖類の検出法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】糖は、生体に必須の有機化合
物の一つであり、情報伝達、エネルギー代謝、構造体形
成などにおいて重要な役割を果たしている。たとえば、
グルコース(D−グルコース、ブドウ糖)は、体を構成
する各種の組織細胞のエネルギー源として大切である。
このグルコースは、グリコーゲンに変化して肝臓に蓄え
られ、必要に応じて体液中に放出されながらエネルギー
活動に消費され、正常なヒトの体内では、グルコースの
生産と消費のバランスが保たれ、体液中の濃度は一定の
範囲にある。したがって、血液や尿中のグルコースを測
定することにより、糖尿病や副腎疾患などの疾病を診断
することができる。
【0003】現在実用に供されている糖類の検出手段と
しては、酵素を用いるグルコースセンサーがよく知られ
ている。これは、酵素(グルコースオキシダーゼ)を用
いてグルコースを分解し、その際生じる過酸化水素を適
当な手段(たとえば、電極を用いる)で測定することに
よりグルコースの濃度を求めるものである。この方法は
確立された技術ではあるが、用いる酵素は生体由来であ
るので、不可逆的に経時変質し、再使用することはでき
ない。グルコースも分解してしまうので、サンプルを他
の測定に供するようなことはできない。また、そのよう
な糖センサーは生体外に取り出したサンプルについて測
定を行う。もし、生体内でそのまま(insitu)、糖類を
検出し、その挙動を知ることができれば、疾病の治療や
薬剤の開発などに非常に有用な情報を与えることになろ
う。しかしながら、現行のセンサーはそのような期待を
抱かせるものではない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、新規な発蛍光
性化合物に関し、本発明の発蛍光性化合物は、多くの用
途が考えられるが、特に、糖類の検出に好適である。
【0005】すなわち、本発明の化合物は、発蛍光性原
子団または官能基と、少なくとも1つのフェニルボロン
酸部位と、少なくとも1つのアミン性窒素とを有し、該
アミン性窒素が前記フェニルボロン酸部位の近傍に配置
されて該フェニルボロン酸と分子内結合するような分子
構造を有することを特徴としており、糖類と結合したと
きに蛍光を発することができるものである。
【0006】このような本発明の技術思想に従う発蛍光
性化合物に属する代表的化合物は、次の一般式〔化5〕
で表すことができる。
【0007】
【化5】
【0008】上記の式〔化5〕において、Fは発蛍光性
の原子団または官能基(fluorophore)を示す。F(発
蛍光性の原子団または官能基)としては、π電子系を含
む多くの原子団ないしは官能基が適用可能である。好ま
しい発蛍光性原子団としては、ナフチル基、アンスリル
基、ピレニル基、またはフェナンスリル基を挙げること
ができ、これらは、それぞれ、次の構造式〔化6〕,
〔化7〕,〔化8〕,〔化9〕で表される。
【0009】
【化6】
【0010】
【化7】
【0011】
【化8】
【0012】
【化9】
【0013】上述したような発蛍光性の原子団または官
能基は、発蛍光性に影響を与えない限り、適当な置換基
を有していてもよく、そのような置換体(誘導体)も本
発明に含まれる。たとえば、スルホン酸基(SO3H)
が置換されていると化合物に水溶性が付与されるので、
該化合物をサンプル水溶液に溶かしてその中に含有して
いる糖類を検出するような場合に好ましい。発蛍光性原
子団として好ましい例は、良好な蛍光を与えるアンスリ
ル基である。
【0014】上記の式〔化5〕において窒素原子(N)
に結合しているRは、脂肪族または芳香族の官能基であ
り、一般には、炭素数が1〜4のアルキル基(メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基)またはフェニル
基である。
【0015】また、式〔化5〕におけるmは、0,1ま
たは2である。すなわち、本発明の化合物において窒素
原子は、ボロン酸部位に近接して配置されており、具体
的には、メチル基もしくはエチル基を介して、または直
接的に、フェニルボロン酸基のオルト位に結合してい
る。好ましくは、mは1であり、すなわち、窒素原子は
メチレン基を介してフェニル基に結合している。
【0016】さらに、式〔化5〕において、nも0,1
または2であり、ここで、n+mは2または3である。
すなわち、窒素原子およびボロン酸は、発蛍光性原子団
または官能基から遠く離れずに配置されている。好まし
くはnは1である。
【0017】フェニルボロン酸基を構成しているフェニ
ル基は、蛍光特性に悪影響を与えない限り、適当な置換
基で置換されていてもよい。そのような置換基として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェ
ニル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、フェノ
キシ基などが挙げられる。
【0018】上述の式〔化5〕で示されるような本発明
の化合物は、発蛍光性原子団を有していながら蛍光を発
しない。これは、この化合物においては、窒素原子の非
共有電子対の影響で発蛍光性原子団由来の蛍光が消光さ
れる−窒素原子の電子が発蛍光性原子団の基底状態準位
に移動して、本来の蛍光が起こらなくなる−ためと解さ
れる。これに対して、糖分子が存在すると、本発明の化
合物は非常に強力な蛍光を発する。この現象は次のよう
に理解される:糖分子が存在し、本発明化合物がそのボ
ロン酸部位を介して糖分子と安定なコンプレックス(錯
体)を形成すると、窒素原子(N)とホウ素原子(B)
との間に結合が生じ(ホウ素原子に電子欠如が生じ、電
子過剰の窒素原子と結合する)、もはや消光されなくな
る。すなわち、窒素原子の非共有電子対は、ホウ素との
結合に使われるので、電子移動して蛍光の消光に寄与す
るようなことはなくなり、本来の蛍光が回復する。
【0019】本発明の式〔化5〕に従う好ましい化合物
の具体例は、F(発蛍光性原子団)がアンスリル基、R
がメチル基、nおよびmのそれぞれが1であるような下
記の式〔化10〕で表される化合物である。
【0020】
【化10】
【0021】この化合物の特徴は、D−グルコースやD
−フルクトースのような単糖類が存在すると、蛍光強度
がきわめて増大することにある。したがって、この化合
物は単糖類の検出に用いることができ、この際、単糖類
の存在を一般的に検出するのに用いることができるのみ
ならず、複数の単糖類を含有するサンプルから特定の単
糖類を検出するのにも使用することができる。後者の場
合は、通常、サンプルはそれぞれの単糖類を分離するた
めの前処理(たとえば、クロマトグラフィー)に供され
た後、本発明の発蛍光性化合物を用いる検出が行われ
る。
【0022】かくして、本発明の化合物を用いて糖類の
検出を行うには、糖類含有サンプルに本発明化合物を加
え、該化合物が糖類と結合したことに起因する蛍光の発
生あるいは蛍光強度の増加を分光学的に測定すればよ
い。別の態様として、本発明の蛍光性化合物を用いてク
ロマト法により糖の検出を行うことも可能である。この
場合には、本発明の化合物は適当な担体上に担持され、
糖類を含有するサンプルがその中を通ったときに、該化
合物と糖類との間に形成されるコンプレックスに由来す
る蛍光の発生または蛍光強度の増加を適当な検出手段で
検出すればよい。
【0023】さらに、本発明に従えば、特定の糖類と選
択的に結合して極めて強い蛍光を発するような化合物を
得ることも可能である。かくして、本発明に従えば、次
の一般式〔化11〕で表される発蛍光性化合物が提供さ
れる。
【0024】
【化11】
【0025】式〔化11〕中、nおよびmはいずれも整
数であり、n+mは2または3である。nおよびmはそ
れぞれ0から2までの整数(すなわち、0,1または
2)であり、nまたはmのいずれか一方が零となること
もある。n+mは2の場合が好ましく、特に、nおよび
mのいずれもが1の場合が好ましい。本発明の化合物は
メチレン基(CH2)の部分がこのような長さを有する
ことにより、2つのボロン酸基を介してグルコースと結
合するのに好適な分子構造を与えている。
【0026】式〔化11〕において、Fは、発蛍光性の
原子団または官能基(fluorophore)を示す。Fとして
は、π電子系を含む多くの原子団ないしは官能基が適用
可能である。好ましい発蛍光性原子団としては、ナフチ
ル基、アンスリル基、ピレニル基またはフェナンスリル
基を挙げることができ、これらはそれぞれ前述の構造式
〔化6〕,〔化7〕,〔化8〕,〔化9〕で表される。
発蛍光性原子団として特に好ましい例は、アンスリル基
である。
【0027】式〔化11〕で示されるような本発明の化
合物において、発蛍光性原子団(官能基)、および(ま
たは)ボロン酸B(OH)OHが結合しているフェニー
ル環(ベンゼン環)は、発蛍光性に影響を与えない限
り、適当な置換基を有していてもよく、そのような置換
体(誘導体)も本発明の化合物に含まれる。特に、本発
明の化合物をサンプル水溶液に溶かしてその中に含有し
ている糖類を検出するような場合には、該化合物の溶解
性を良好にする基、たとえばスルホン酸基(SO3H)
などで置換されているものは好ましい。
【0028】また、式〔化11〕において窒素原子
(N)に結合しているRは、脂肪族または芳香族の官能
基であり、一般には、炭素数が1〜4のアルキル基(メ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)またはフェ
ニル基である。Rの特に好ましい例はメチル基またはエ
チル基である。
【0029】かくして、〔化11〕で表される本発明に
従う化合物の好ましい例として、以下の式〔化12〕,
〔化13〕,〔化14〕,〔化15〕で示される化合物
などが挙げられ、このうち、〔化12〕の化合物が特に
好ましい。
【0030】
【化12】
【0031】
【化13】
【0032】
【化14】
【0033】
【化15】
【0034】驚くべきことに、式〔化11〕で表される
ような本発明の化合物は、中性付近のpH値の水溶液中
に存在し、しかも、ヒトの生体液中の測定濃度に対応す
る濃度(50−250mg/dl、ほぼ、0.0005
M−0.001M)のグルコース(D−グルコース)の
存在下において特に強い蛍光を発し、この蛍光強度は、
他の糖(たとえば、ガラクトースやフルクトース)が存
在しても変わらない。
【0035】〔化11〕で表されるような本発明の化合
物が、グルコースの存在下に特に強い蛍光を発するの
は、式〔化11〕で示される構造においては2つのボロ
ン酸部位が存し、その配置が、グルコースの1,2,
4,6位にある4つの水酸基(OH基)と共有結合する
のに至適であり、この結果、当該化合物とグルコースと
の間に安定な1:1コンプレックス(錯体)が形成され
て窒素原子の消光機能を確実になくすためと解される。
これに対して、他の糖(たとえばフルクトース)は、一
方のボロン酸部位とのみ結合しているため蛍光が弱くな
るものと考えられる。事実、フルクトースやガラクトー
スは、生体液中で存在するような濃度においては、蛍光
は殆ど認められない。
【0036】このように本発明の化合物は、上述の式
〔化11〕で表されるように発蛍光性原子団、2つのフ
ェニルボロン酸および窒素原子を特定配置させた構造に
より、グルコースに対して特異的に強い蛍光を発するの
で、グルコースの検出に用いられる。溶液中のグルコー
スを検出するような場合においては、測定後、適当な酸
を用いてpHを変化させれば、グルコースと発蛍光性化
合物の結合は容易に解除され、グルコースは元の状態に
戻る。
【0037】本発明の化合物は、一般に、オルソ位がア
ルキルハロゲン化されたフェニルボロン酸と、発蛍光性
原子団(F)にアルキルアミノメチル基が結合された反
応試薬とを、塩基を用いて適当な溶媒中で混合・反応さ
せることによって得られる。
【0038】以上の説明から明らかなように、本発明に
従えば、安定な合成化合物を用いて糖の検出を行うの
で、従来の酵素法のように酵素の不安定性に起因する問
題は解消される。また、本発明の合成化合物を用いる糖
の検出においては、サンプルをそのままの状態で(inta
ct)測定を行い、酵素法のように分解することはないの
で、該サンプルを別の測定に供することも可能となる。
さらに、本発明に従う糖の検出は、中性付近のみならず
広範囲のpH域において可能である点においても有利で
ある。
【0039】将来の展望として、本発明は、糖類を分解
することなく測定するものであるから、体内の特定部位
(たとえば、特定の細胞表面)における糖をその組織を
破壊することなく測定するような技術に展開することも
可能である。その際、オプティカルファイバーのような
手段と結合させれば(たとえば、該ファイバーの先端に
本発明化合物を被覆しておく)、体内の糖に関する情報
を連続的にモニターして臨床学的に有用なデータを取得
することもできるであろう。また、合成化合物を用いる
本発明の糖の検出法は、該化合物を適宜変更することに
より、各種の糖に応じて適用可能なように設計変更する
途を開いたと言える。
【0040】以下、本発明の特徴を一層明らかにするた
め実施例に沿って本発明を説明する。
【0041】なお、本明細書中の説明に関連して示す構
造式においては、当該分野で慣用されているように、メ
チル基(CH3)やメチレン基(CH2)の炭素原子や水
素原子を省略して示していることもある。
【0042】
【実施例】
[実施例1:発蛍光性化合物の調製]
【0043】本発明に従う発蛍光性化合物として前述の
式〔化10〕の化合物を調製した。
【0044】合成ルートの概略は図1に示すとおりであ
る。まず、次のようにフェニルボロン酸(図中A)を調
製した。
【0045】ジエチレン中で25℃において、オルトブ
ロモトルエンをマグネシウム(1.1等量)と反応させ
た。このグリニャール試薬を、−78℃において、トリ
メチルボロン酸(10等量)のジエチルエーテル溶液中
に滴下した。得られた混合物を2時間撹拌した後、室温
にまで加温してさらに2時間撹拌した。ジエチルエーテ
ルを減圧除去し、水中で再結晶して固形生成物を得た。
この生成物(ボロン酸)を真空で一晩乾燥して無水ボロ
ン酸(A)を得た。
【0046】この無水ボロン酸にN−ブロモコハク酸イ
ミド(1.1等量)とアゾビスイソブチロニトリル(触
媒)を四塩化炭素溶媒中で混合した。得られた混合物を
200Wランプで2時間照射しながら還流した。得られ
た溶液を濾過して溶媒を除去することにより、ブロモメ
チルボロン酸無水物(B)を得た。
【0047】ブロモメチルボロン酸無水物をクロロホル
ム中で9−メチルアミノメチルアントラセン(2.1等
量)と反応させた。混合物を濾過し、溶媒を除去した。
固形の生成物をジエチルエーテルで洗浄し、酢酸エチル
中で再結晶することにより所望の化合物〔化10〕を得
た。
【0048】生成物の分析:プロトンNMR(CDCl
3,300MHz):ケミカルシフト(ppm) 2.
2(3H,S),3.9(2H,S),4.5(2H,
S),7.4(4H,m),8.0(4H,m),8.
4(1H,S)。 質量分析(SIMSネガティブ):
M+(グリセロール−2H2O)プロトン 410。
【0049】[実施例2:発蛍光試験]
【0050】実施例1で得られた化合物〔化10〕の発
蛍光実験を行い、糖類検出への適用性を調べた。
【0051】塩化ナトリウム(0.05M)を含有する
〔化10〕化合物の1.2/105M(0.00001
2M)水溶液を調製した。これに0.05Mとなるよう
に糖(D−グルコース、またはD−フルクトース)を加
え、全体として100mlに調製した。少量のHClを
加えることによってpHを12付近から徐々に減少させ
ながら測定を行った。すなわち、pHが安定した時点
で、溶液の一部をサンプルとして取り出し、蛍光スペク
トルの測定を行った。測定後、サンプルを元の溶液に戻
し、HClを添加してpHをさらに調整し、同様の測定
を行うことを繰り返した。蛍光スペクトルの測定は、日
立製蛍光分光光度計F−4500を用いて行った。発蛍
光のための励起はUV(紫外線)によって行われた。そ
の結果を図2に示す。
【0052】この図に示されるように、糖の存在しない
場合(ブランク)、〔化10〕の化合物はpH3付近か
ら高pHにわたって、蛍光強度が低く、アントラセン由
来の蛍光が消光されていることが理解される。しかしな
がら、糖が存在すると著しく蛍光強度は増大し、その効
果は特にpH4〜10の広範囲に及ぶ。このように、化
合物〔化10〕は、発蛍光により糖の検出に利用できる
ことが理解される。
【0053】[実施例3:発蛍光性化合物の調製]
【0054】本発明に従う発蛍光性化合物として前述の
式〔化12〕の化合物を調製した。
【0055】合成ルートの概略は図3に示すとおりであ
る。
【0056】まず、AIBN(アゾビスイソブチロニト
リル)を開始剤とし、還流下に3時間、オルソメチルボ
ロン酸を、四塩化炭素に溶かしたNBS(N−ブロモサ
クシンイミド)を用いて臭素化し、収率60%でオルソ
ブロモメチルボロン酸を得た(図中イの反応)。
【0057】得られたオルソブロモメチルボロン酸に
2,2−ジメチル−1.3−プロパンジオール(トルエ
ン中)を水を共沸除去しながら一昼夜反応させた(図中
ロの反応)。
【0058】このようにして得られた保護基のついたオ
ルソブロモメチルボロン酸に、還流条件下でアンスリル
ジアミンと炭酸カリウム(THF中)を一昼夜反応させ
ることにより、ボロン酸部位がエステルとして保護され
た所望のジボロン酸化合物を得た(収率5%、図中ハの
反応)。33.3%メタノール/水溶液を用いてpH
7.77、室温条件下で保護基を取り除いた(図中ニの
反応)。
【0059】所望のジボロン酸化合物(保護基を有す
る)の同定は、質量分析(MS)および核磁気共鳴(N
MR)を用いて行った。MS:SIMS(NPOE)
m+668。プロトンNMR(CDCl3)ケミカルシフ
ト(ppm):0.9(s,CH3(保護基),12
H),2.2(s,CH3N,6H),3.6(s,C
H2(保護基),8H),3.9(s,CH2(ベンジ
ル),4H),4.4(s,CH2(アンスリル),4
H),7.2−8.4(m,芳香環,16H)。
【0060】[実施例4:発蛍光試験]
【0061】実施例3で得られたジボロン酸化合物〔化
12〕の発蛍光実験を行い、グルコース検出への適応性
を調べた。
【0062】該ジボロン酸化合物を緩衝化(pH7.7
7,0.01M KCl,0.00262M KH2
O3,0.002642M Na2HPO3)メタノール
水溶液(水中33%メタノール)に溶解した。この溶液
100mlに、グルコースその他の糖を添加して蛍光ス
ペクトル(423nm)の測定を行った。蛍光スペクト
ルの測定は、日立製蛍光分光光度計F−4500(ヒュ
ーレットパッカード VETRA 286/12コンピ
ュータ配備)を用いて行った。発蛍光のための励起スペ
クトルの波長は370nmであった。
【0063】その結果を図4のグラフに示す。横軸は、
Log(糖のモル濃度(M))であり、縦軸は相対蛍光
強度である。図に示すようにグルコースは比較的低濃度
から強い蛍光を発し、特にヒトの生体液中の測定濃度に
対応する0.0005Mから0.001Mの濃度におい
ては濃度上昇に応じて直線的に蛍光が増加している。こ
の傾向は、グルコースが単独で存在する場合のみなら
ず、ガラクトースやフルクトースのような他の糖が共存
しても変わらない。
【0064】これに対して、対照として用いたエチレン
グリコールは蛍光が殆ど認められず、また、ガラクトー
スやフルクトースのような糖はヒトの生体液中でみられ
る最高濃度0.0001M程度では殆ど蛍光を発せず、
1桁ないしは2桁濃度が高くなって初めて蛍光が観察さ
れる。
【0065】これらの結果から、本発明に従う化合物
〔化12〕は、グルコースの存在下において特に強力な
蛍光を発し、グルコースの検出に有用であることが理解
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う発蛍光性化合物の具体例の合成ル
ートを概示する。
【図2】本発明に従う発蛍光性化合物の単糖類存在下に
おける蛍光強度を示す。
【図3】本発明に従う発蛍光性化合物の他の具体例の合
成ルートを示す。
【図4】グルコースその他の糖の存在下において、本発
明に従う発蛍光性化合物の蛍光強度の変化を示す。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発蛍光性原子団または官能基と、少なく
    とも1つのフェニルボロン酸部位と、少なくとも1つの
    アミン性窒素とを有し、該アミン性窒素が前記フェニル
    ボロン酸部位の近傍に配置されて該フェニルボロン酸と
    分子内結合するような分子構造を有することを特徴とす
    る発蛍光性化合物。
  2. 【請求項2】 次の一般式〔化1〕で表されることを特
    徴とする発蛍光性化合物。 【化1】 式中、Fは発蛍光性原子団または官能基、Rは低級脂肪
    族または芳香族の官能基であり、nおよびmは、それぞ
    れ、0,1または2であり、n+mは2または3であ
    る。
  3. 【請求項3】 F(発蛍光性原子団または官能基)が、
    ナフチル基、アンスリル基、ピレニル基、またはフェナ
    ンスリル基から選ばれることを特徴とする請求項2に記
    載の発蛍光性化合物。
  4. 【請求項4】 次式〔化2〕で表される請求項2に記載
    の発蛍光性化合物。 【化2】
  5. 【請求項5】 次の一般式〔化3〕で表されることを特
    徴とする発蛍光性化合物。 【化3】 式中、Fは発蛍光性原子団または官能基、Rは低級脂肪
    族または芳香族の官能基であり、nおよびmは、それぞ
    れ、0,1または2であり、n+mは2または3であ
    る。
  6. 【請求項6】 F(発蛍光性原子団または官能基)が、
    ナフチル基、アンスリル基、ピレニル基、またはフェナ
    ンスリル基から選ばれることを特徴とする請求項5に記
    載の発蛍光性化合物。
  7. 【請求項7】 次式〔化4〕で表される請求項5に記載
    の発蛍光性化合物。 【化4】
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