JPH10134767A - 透明保温膜付きメタルハライドランプ - Google Patents

透明保温膜付きメタルハライドランプ

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JPH10134767A
JPH10134767A JP8304151A JP30415196A JPH10134767A JP H10134767 A JPH10134767 A JP H10134767A JP 8304151 A JP8304151 A JP 8304151A JP 30415196 A JP30415196 A JP 30415196A JP H10134767 A JPH10134767 A JP H10134767A
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JP
Japan
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metal halide
heat insulating
arc tube
insulating film
film
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JP8304151A
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English (en)
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Hiroshi Kawai
博 川井
Soichiro Horikoshi
創一郎 堀越
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Iwasaki Denki KK
Original Assignee
Iwasaki Denki KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可視光線領域の透過率を向上させながら発光
管の保温性を高め、色温度の安定性を図り発光管の失透
を抑制して効率を向上させたメタルハライドランプを提
供する。 【解決手段】 金属ハロゲン化物,水銀及び始動用ガス
を内部に封入し、両端に電極1,1を備えた発光管2の
一方の端部表面に、塗布型不透明金属酸化物保温膜3を
形成し、残りの発光管表面に、可視光線領域 380〜 780
nmの平均透過率が94%以上、 780〜1500nm及び 780〜40
00nmの赤外線領域の平均反射率がいずれも10〜30%とい
う特性を有する、Ta2 5 ,TiO2 等の金属酸化物より
選択した2種類以上の金属酸化物の3層以上の複数層か
らなる透明保温膜4を形成してメタルハライドランプを
構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、発光管の光放出
部全域に保温効果を有し、色温度の安定性に優れ、発光
管の失透の進行を抑制しながら効率の向上を図ることが
でき、且つ優れた可視光線領域の透過率特性をもつよう
にしたメタルハライドランプに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、メタルハライドランプは高効率及
び長寿命で、演色性に優れているため、様々な用途に利
用されてきた。特に近年、演色性の向上が著しく、ブテ
ィック、デパート等の、高品位の演色性が求められる商
業空間で多用されてきている。
【0003】もともと水銀灯やメタルハライドランプ
は、高速道路、野外のスポーツ施設、街路などの屋外用
として使用されてきたが、メタルハライドランプの小型
化、演色性の向上と共に、屋内の比較的天井の低い施設
での、同一フロアー内における多数のメタルハライドラ
ンプの使用、あるいは従来考えられなかった、光学用光
源として、OHPや液晶プロジェクター等への使用が増
加してきている。
【0004】そのため、従来の屋外空間や、屋内でも天
井の高いスポーツ施設などとは異なり、天井の低い同一
室内の同一空間に、同一特性の多数個のメタルハライド
ランプが並べて用いられるようになって来ている。とこ
ろが、本来同一特性であるはずのメタルハライドランプ
の特性に時間の経過と共に変化がみられるので、その結
果ランプ個々の特性のばらつきが違和感として感じられ
る場合がでてきた。特に、メタルハライドランプは点灯
初期の色温度の変化が大きいので、その差異による違和
感が顕著である。
【0005】メタルハライドランプの場合、ランプの色
温度は、一般的に時間と共に低下する傾向を示し、更に
同一の型式のランプでも、色温度の変化量も若干の相違
がある。特に違和感を感じるのは、同一フロアー内に同
時に設置した同一色温度のメタルハライドランプの、点
灯開始 100時間乃至 300時間程度の点灯初期における色
温度の急激な変化である。そのため、同一フロアー内の
多数のランプの色温度に差異を生じ、その結果、違和感
を使用者が受けることとなる。更に問題となるのは、長
時間の使用後に一部のランプが切れて交換した場合であ
る。この場合は、上記の場合より更に違和感が大きくな
る。
【0006】また、光学用メタルハライドランプの場
合、例えば、近年その応用が増加している液晶用投影光
学系での使用においては、もし色温度が変化すると、ス
クリーンに投影される光線の青,緑,赤のバランスが変
化することとなって、極めて都合が悪く、映像を観賞中
の観客にも、不快感や自然の実像の色調との違和感とな
って受け取られることとなる。
【0007】従来、色温度の変化に対する対策として
は、例えば、発光管の両端より電極リード線を導出した
両口発光管の場合、酸化アルミニウムや酸化ジルコニウ
ムなどの金属酸化物の不透明な白色微粉末の被膜を、石
英発光管の両端の電極部の近傍の表面に塗布して不透明
保温膜を形成し、発光管端部の最低温度を上昇させ、金
属ハロゲン化物の蒸気圧を上げて、最冷点温度を上げて
保温効果を持たせ、色温度を保持するということが一般
に用いられてきた。
【0008】この従来からの方法は、ある程度の効果を
上げてきたが、この方法の欠点として、金属酸化物の塗
布面積が増加すると保温効果は増加するが、外部への発
光面積は減少し、発光面積を増やすと保温効果が減少す
るという問題点がある上、不透明な白色金属酸化物が塗
布されていない未処理の発光管部分の保温効果は全く期
待できないという問題点があった。
【0009】更に、発光管の材料物質として常用されて
いる石英が、紫外域の0.18μmから赤外域の 4.0μmま
での広い波長領域で透明であるため、本来外部に放出す
る有効な波長領域、すなわち可視光線のほかに、外部に
放出したくない赤外及び紫外領域の光線も透過するとい
う問題点があった。
【0010】そこで、発光管の保温効果を向上させるた
め、従来次のような提案がなされている。すなわち、発
光管表面のうち、上記不透明保温膜が塗布されていない
部分の表面に、金属酸化物からなる透明保温膜を形成
し、その保温効果によって発光管を保温しようという提
案がいくつかなされており、その一つとして、まず透明
保温膜を多層膜からなる赤外線反射膜で形成したものが
提案された(特公平7−101604号)。この多層の
赤外線反射膜は、酸化チタン(TiO2 )等の高屈折率の
薄膜と二酸化珪素(SiO2 )等の低屈折率の薄膜とを単
純に交互に積層して多層化したもので、CVD法、ディ
ツプ法、スパッタリング法等の既存の成膜方法を用い
て、発光管表面に形成されるようになっている。また一
方、多層膜からなる赤外線反射膜よりも保温効果の小さ
い酸化チタン等の金属酸化物からなる吸収膜(つや消し
膜)を用いて、熱線の多重反射により発光管内部の封入
物の蒸気圧の上昇を計るという提案もなされている(特
開平7−14550号)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記多層膜
からなる赤外線反射膜を用いた場合には、近赤外線領域
( 780nm〜1500nm)のある狭い範囲の光を効率的に反射
する(平均反射率約40%)が、これにより発光管内部が
高温になり過ぎて、点灯とともに発光管内部の失透が急
速に進み、光束の急激な低下を生じるという問題点があ
った。更に、発光管自体が高温になり過ぎるため、発光
管端部に微細なクラックがあった場合、発光管の破裂を
招くという大きな欠点があった。一方、金属酸化物から
なる吸収膜を設けたものにおいては、金属酸化物の吸収
膜を発光管の表面に形成することによって、赤外線反射
膜の場合よりも失透は抑制されるが、その吸収膜のもつ
吸収と高い屈折率のために、光束の大幅な低下、すなわ
ち効率の減少を避けられなかった。
【0012】このように、発光管表面に金属酸化物から
なる透明保温膜を適用し、その保温効果によって発光管
内部の封入物の蒸気圧の上昇を計るという従来の提案
は、その金属酸化物の透明保温膜(多層赤外線反射膜)
の適用によって発光管の失透を伴ったり、あるいは吸収
膜を構成する酸化が十分行われていない金属の低級酸化
物の存在や屈折率が高いことによってもたらされる吸収
や着色を伴うため、必ずしも金属酸化物の透明保温膜の
適用前よりも、発光管外部へ大きい光エネルギーを放出
させること、すなわち発光効率の向上に結びついていな
かった。
【0013】これに対して、本件出願人は先に、発光管
の表面に、光学的屈折率が発光管材料(石英)よりも高
いTa2 5 ,TiO2 などの金属酸化物を、光学膜厚がλ
/2(λ:可視光線領域の任意の波長)となるように成
膜して形成した、可視光線領域において透明な特性を有
する単層の透明保温膜を設けたメタルハライドランプを
提案した。この提案による単層の透明保温膜を設けたメ
タルハライドランプにおいては、有効な石英発光管全領
域に亘って、可視光線領域の光線を殆ど減じることなく
赤外線領域の光線の一部の外部放出を抑えて発光管内に
おいて多重反射させることにより、より低い管壁負荷に
おいて高い発光効率を維持し、発光管内部の失透を防
ぎ、その結果色温度を安定に保ち、長期間に亘って光束
を維持できる。
【0014】このように、先に提案したメタルハライド
ランプは発光管の表面に単層の透明保温膜を形成するこ
とにより、保温効果を向上させ、色温度の安定性などメ
タルハライドランプ特有の発光特性を改善できるもので
あるが、単層透明保温膜により可視光線領域における透
過率が若干低下してしまうという問題点があった。
【0015】本発明は、従来及び先に提案したメタルハ
ライドランプにおける上記問題点を解消するためになさ
れたもので、従来及び先の提案と同様に金属酸化物から
なる透明保温膜を発光管表面に適用するが、発光管から
放射される光の利用効率を未処理の発光管より極力増大
させると共に、従来の赤外線反射膜よりも遙に広い領域
で緩やかな反射をさせることの可能な透明保温膜も用
い、色温度の安定性と共に、発光管の失透が抑制され且
つ保温膜の適用前よりも発光効率を向上させることの可
能なメタルハライドランプを提供することを目的とす
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め、本発明は、内部に金属ハロゲン化物,水銀及び始動
用ガスを封入し、且つ内部に一対の電極を配置してなる
石英発光管を有するメタルハライドランプにおいて、該
発光管の表面に、 380nm〜 780nmの可視光線領域の平均
透過率が94%以上であり、 780nm〜1500nmの赤外線領域
の平均反射率及び 780nm〜4000nmの赤外線領域の平均反
射率がいずれも10〜30%となる特性を有する、Ta
2 5 ,TiO2 ,ZrO2 ,HfO2 ,Nb2 5 ,Al
2 3 ,SiO2 の群より選択した2種類以上の金属酸化
物を成膜して形成した3層以上の複数層からなる多層透
明保温膜を設けるものである。ここで、多層透明保温膜
の平均透過率とは、発光管内部で発生した光が多層透明
保温膜が形成されている発光管基体(石英ガラスからな
る)の全体をその厚み方向に、基体裏面→基体→基体と
多層透明保温膜の界面→多層透明保温膜→多層透明保温
膜表面→外部の順序で直線的に通過するときの、各波長
毎の光透過率の平均値をさす。また、多層透明保温膜の
平均反射率とは、 100%から多層透明保温膜の平均透過
率を引いた値をさす。
【0017】このような構成の多層透明保温膜は、可視
光線領域に関しては極力光を透過するという、いわゆる
“反射防止膜”と同じ分光特性を有する(膜中の金属酸
化物は酸化が十分に行われているので可視光線領域での
吸収がほぼ零)。一方、赤外線領域に関しては、近赤外
線領域( 780nm〜1500nm)に対しても浅く幅広い反射帯
を有し、熱線の広い領域に渡って、その一部を反射する
特性をもっている。したがって、このような特性をもつ
多層透明保温膜は、可視光線領域の透過率の向上を実現
しながら、色温度の安定化と共に発光管内部の失透抑制
とランプ効率の向上を両立させる適度な保温効果を発揮
することができる。
【0018】なお、本発明において、多層透明保温膜の
可視光線領域の平均透過率を94%以上としているのは、
石英よりなる発光管自体の透過率(92%)より大にして
発光管から放射される光の利用効率を極力増大させるた
めであり、また 780nm〜1500nm及び 780nm〜4000nmの赤
外線領域の平均反射率をいずれも10〜30%としているの
は、平均反射率が10%未満であると反射率自体の不足の
ために保温効果が低減し、また平均反射率が30%を超え
る場合はかなりの積層数を必要とし、可視光線領域の分
光透過率曲線に大きなリップルが生じ、この可視光線領
域の平均反射率を94%以上に維持するのが困難になるた
めである。また、多層透明保温膜を3層以上の複層膜で
構成しているのは、2層膜では上記赤外線領域の平均反
射率が10%未満となる場合があるからである。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、実施の形態について説明す
る。図1は、本発明に係るメタルハライドランプの実施
の形態を示す図である。この実施の形態は、メタルハラ
イドランプを外球を用いずに発光管単体で構成した70W
のショートアークメタルハライドランプを示している。
図1において、1は電極、2は石英発光管、3は従来と
同様な構成の不透明保温膜、4は本発明による多層透明
保温膜である。石英発光管2内には、主としてスカンジ
ウム(Sc )及びナトリウム(Na )のヨウ化物と、水
銀(Hg )と、アルゴンなどの不活性ガスからなる始動
用ガスとが封入されている。発光管2の球状部の長軸方
向の寸法は11mmで、アーク長は 2.7mmである。発光管2
の一方の末端部側に反射鏡を配置する構成とするため
に、発光管2の他方の末端部から球状部の2mmまでの領
域にかけて、不透明金属酸化物を塗布して、従来と同様
の不透明保温膜3とし、球状部の残り9mmの全領域に多
層透明保温膜4を、例えばCVD法により成膜してい
る。この実施の形態における多層透明保温膜4は、Ta2
5 膜とSiO2 膜とからなる4層構成の膜で構成されて
おり、各層の光学屈折率及び物理的膜厚を表1に示す。
なお、光学屈折率は波長 500nmにおける値である。
【0020】
【表1】
【0021】上記のように構成した発光管の管壁負荷は
55W/cm2 であり、この構成のショートアークメタルハ
ライドランプは反射鏡との組み合わせで良く用いられ、
その構成例を図2に示す。図2において、5は反射鏡
で、不透明保温膜3は反射鏡5と光線の利用効率を考慮
して、反射鏡5の開口側の、発光管2の片側にのみ塗布
形成されている。
【0022】次に、上記4層構成の多層透明保温膜の分
光透過特性について説明する。図3は可視光域の分光透
過特性を、図4は赤外域の分光透過特性を示しており、
いずれも、単層透明保温膜及び赤外線反射膜の分光透過
特性と対比して示し、更に図3においては膜のない未処
理状態の発光管自体の特性を合わせて示している。な
お、単層透明保温膜はTa2 5 からなる光学膜厚をλ/
2(ピーク波長λ: 510nm)とした透明保温膜であり、
また赤外線反射膜としては、Ta2 5 とSiO2 の光学膜
厚をλ/4(ピーク波長λ: 920nm)とした被膜を、交
互に6層積層して構成した交互多層膜を用いている。図
5は、図3及び図4に示した本実施の形態に係る多層透
明保温膜及び単層透明保温膜と赤外線反射膜の各分光透
過率の測定値に基づいて、可視光線領域及び赤外線領域
における平均反射率をプロットしたものである。なお、
可視光線領域は 380nm〜 780nmの波長範囲とし、赤外線
領域については、短波長端を 780nmに固定し、長波長端
λL を1500nmから4000nmまで500nm毎に変化させ、各波
長範囲における平均反射率を算出して示した。図5にお
いて、曲線aは本実施の形態に係る多層透明保温膜、曲
線bは単層透明保温膜、曲線cは赤外線反射膜の平均反
射率をそれぞれ示している。
【0023】この図5からわかるように、まず可視光線
領域については、本実施の形態における4層構成の多層
透明保温膜は平均透過率が95%(平均反射率5%)で、
3者の中で可視光の透過率が最も高く、保温膜形成前の
未処理の発光管自体の透過率(92%)よりも高い。一
方、赤外線領域については、可視光線領域の長波長端
(780nm)から波長1500nmまでの平均反射率では、本実
施の形態における4層構成の透明保温膜は18%で、3者
の中で最低であるが、石英発光管を透過する全赤外線領
域、すなわち 780nm〜4000nmまでの範囲での平均反射率
で比較すると、3者とも18%前後で、その差異は殆どな
い。このような傾向は、本実施の形態の4層構成の多層
透明保温膜ばかりでなく、他の3層以上の複数層構成の
多層透明保温膜でも、ほぼ同じである。
【0024】このように、本実施の形態によるメタルハ
ライドランプにおいては、上記構成の多層透明保温膜を
発光管表面に適用して、その高い可視光透過率によって
光束の低減を防いで効率を向上させ、一方、広範囲の赤
外線を穏やかに反射することによって、発光管の失透を
抑制し、且つ色温度の安定性を図っている。
【0025】図6は、図1に示した実施の形態と同様な
構成のメタルハライドランプの発光管に、いくつかの種
類の多層透明保温膜を形成したランプを作成し、近赤外
線領域( 780〜1500nm)における各膜の平均反射率と、
膜適用前後のランプ効率の変化率との関係を調査した結
果を示す図である。なお、ここで各膜の平均反射率とし
て、特に近赤外線領域( 780〜1500nm)における平均反
射率を用いているのは、図5からわかるように、膜の種
類による平均反射率の違いが最も大きく表れている領域
であるからである。
【0026】多層透明保温膜の層数としては、2層から
7層まで設計検討を行い、その中から、2層から5層の
透明保温膜を形成した5種類のランプを作成した。この
5種類のランプのうち、4種類は本発明に係る多層透明
保温膜で、その中には表1に示した膜構成のものが含ま
れており、調査結果は図6において○印で示されてい
る。そして残りの1種類の2層膜の透明保温膜を形成し
たランプは比較例として、その調査結果を●印で示して
いる。また、上記多層透明保温膜を施したランプと対比
するため、膜物質及び膜厚の異なる2種類の単層透明保
温膜をそれぞれ適用した2種類のメタルハライドラン
プ、及び層数の異なる2種類の赤外線反射膜をそれぞれ
適用した2種類のメタルハライドランプを作成し、同様
の調査を行った結果を、それぞれ□印及び△印で示して
いる。
【0027】図6からわかるように、本発明に係る多層
透明保温膜を用いたメタルハライドランプにおいては、
多層透明保温膜を構成する膜の層数、膜厚等が異なって
も、780〜1500nmにおける平均反射率が、10%以上30%
以下である場合には、ランプ効率が概ね1〜2%向上す
る。これに対して、単層透明保温膜及び赤外線反射膜を
設けたメタルハライドランプにおいては、ランプ効率は
概ね1%前後低下することが避けられないことがわか
る。なお、可視光線領域における平均透過率が94%以上
の同じ多層透明保温膜を用いた場合でも、 780〜1500nm
における平均反射率が10%未満(層数が2層以下)の場
合は、反射率自体の不足のために保温効果が不足し、ま
た30%超(層数が概ね20層以上)の場合は、可視光線領
域の分光透過率曲線に大きなリップルを生じるために、
この領域の平均反射率を94%以上に維持するのが難し
く、ランプ効率の向上が1%未満となって好ましくな
い。
【0028】図7は、多層透明保温膜形成後の本実施の
形態の発光管からなるメタルハライドランプの発光特性
(実線)を、多層透明保温膜形成前の発光管からなるメ
タルハライドランプの発光特性(破線)と対比して示す
図であり、また表2は同様に本実施の形態の多層透明保
温膜を形成したメタルハライドランプの諸特性を、多層
透明保温膜の形成前の発光管からなるメタルハライドラ
ンプの諸特性とを対比して示したものである。
【0029】
【表2】
【0030】図7からわかるように、本実施の形態にお
けるメタルハライドランプは、多層透明保温膜の保温効
果によって、Hg の発光が抑えられ、逆にメタルハライ
ドランプ特有の添加ハロゲン化金属Sc の発光が促進さ
れていることがわかる。またNa の発光については、N
a の蒸気圧が高くなると、自己吸収のためにピーク強度
が減少し、一方ピーク幅は幾分増加する。したがって、
図7に示すように、Na 発光のピーク強度の減少とピー
ク幅の増加が見られることにより、膜の保温効果が得ら
れていることがわかる。そして、このことは表2におい
て、膜形成前に比べ多層透明保温膜を形成した本実施の
形態において、色温度が低下し、演色評価数が向上する
というランプ特性変化と対応している。なお、表2では
更に全光束及び効率の向上、並びにランプ電圧及びDuv
(黒体軌跡からの距離)の変化が少ないことを示してい
る。
【0031】このように、本実施の形態における多層透
明保温膜は、可視光線領域において反射防止膜として機
能するだけでなく、赤外線領域の緩やかな反射機能によ
り発光管内の封入物の蒸気圧を増加させるという保温効
果を併有しており、その結果ランプ効率の改善と全光束
の若干の上昇にも寄与している。
【0032】また、本実施の形態に係るメタルハライド
ランプにおける失透の進行状況を調べるため、点灯試験
を行ったところ、この種のランプの通常の寿命である10
00時間を経過した時点でも発光管の失透は見られなかっ
た。
【0033】上記実施の形態では、表1に示した膜構成
の多層透明保温膜を用いたものを示したが、本発明は、
この膜構成のものに限らず、可視光線領域( 380〜 780
nm)における平均透過率が94%以上で、 780nm〜1500nm
の赤外線領域の平均反射率及び 780〜4000nmの赤外線領
域の平均反射率が、いずれも10〜30%となる特性を有す
るものであれば、上記実施の形態に示したものと同等の
効果があり、また、このような特性の多層透明保温膜を
用いた発光管の管壁負荷は40〜70W/cm2 の時に優れた
効果、すなわち発光管に対する多層透明保温膜の保温効
果が大きく現れ、金属の蒸気圧増加による発光特性の改
善やランプ効率の向上が図られ、また発光管管壁温度が
均一化することによりランプ点灯姿勢を任意に選定可能
となる等の利点が得られる。なお、管壁負荷が70W/cm
2 を超えると、光束維持率が小さくなって寿命が短くな
り、また演色評価数Ra が悪化し、一方管壁負荷が40W
/cm2 未満となると、封入金属の発光が起こらなくなっ
て色温度が極端に高くなり、また演色性が悪化するた
め、管壁負荷は40〜70W/cm2 に設定するのが好まし
い。
【0034】また上記実施の形態においては、70Wのラ
ンプを示したが、ランプの出力は 150W以下であれば、
上記多層透明保温膜を形成することにより、同様の効果
が得られる。但し 150Wを超えるランプ出力のランプで
は、管壁負荷が70W/cm2 を超え演色評価数Ra を悪化
させる場合が生じるので、ランプ出力は 150W以下とす
るのが好ましい。また上記実施の形態においては、発光
管のアーク長を 2.7mmとしたものを示したが、1〜5mm
のアーク長の発光管に対して上記多層透明保温膜を形成
した場合にも、同等の効果が得られる。
【0035】
【発明の効果】以上実施の形態に基づいて説明したよう
に、本発明によれば、可視光線領域の平均透過率が94%
以上であり、 780nm〜1500nmの赤外線領域の平均反射率
及び 780〜4000nmの赤外線領域の平均反射率が、いずれ
も10〜30%となる特性の3層以上の複数層からなる透明
保温膜を用いているので、可視光線領域の透過率を向上
させながら発光管の保温性を高め、色温度の安定性を図
り発光管の失透を抑制してランプ効率を向上させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るメタルハライドランプの実施の形
態を示す図である。
【図2】図1に示した実施の形態に係るメタルハライド
ランプを反射鏡と組み合わせて用いた場合の態様を示す
図である。
【図3】図1に示した実施の形態における多層透明保温
膜の可視光線領域の分光透過特性を、単層透明保温膜及
び赤外線反射膜の分光透過特性と対比して示す図であ
る。
【図4】同じく多層透明保温膜の赤外線領域の分光透過
特性を、単層透明保温膜及び赤外線反射膜の分光透過特
性と対比して示す図である。
【図5】多層透明保温膜の平均反射率を、単層透明保温
膜及び赤外線反射膜の平均反射率と対比して示す図であ
る。
【図6】多層透明保温膜、単層透明保温膜及び赤外線反
射膜を用いたメタルハライドランプの近赤外線領域の平
均反射率の変化に対するランプ効率の変化率の変化を示
す図である。
【図7】図1に示した実施の形態におけるメタルハライ
ドランプにおいて、多層透明保温膜の形成前後における
発光管の発光特性を示す図である。
【符号の説明】
1 電極 2 発光管 3 不透明保温膜 4 多層透明保温膜 5 反射鏡

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に金属ハロゲン化物,水銀及び始動
    用ガスを封入し、且つ内部に一対の電極を配置してなる
    石英発光管を有するメタルハライドランプにおいて、該
    発光管の表面に、 380nm〜 780nmの可視光線領域の平均
    透過率が94%以上であり、 780nm〜1500nmの赤外線領域
    の平均反射率及び 780nm〜4000nmの赤外線領域の平均反
    射率がいずれも10〜30%となる特性を有する、Ta
    2 5 ,TiO2 ,ZrO2 ,HfO2 ,Nb2 5 ,Al
    2 3 ,SiO2 の群より選択した2種類以上の金属酸化
    物を成膜して形成した3層以上の複数層からなる多層透
    明保温膜を備えていることを特徴とするメタルハライド
    ランプ。
  2. 【請求項2】 前記発光管は外球を備えておらず露出し
    ており、その管壁負荷は40〜70W/cm2 で、ランプ出力
    が 150W以下であることを特徴とする請求項1記載のメ
    タルハライドランプ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6734628B2 (en) 2000-05-31 2004-05-11 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Discharge lamp, lamp unit and image display apparatus
JP2005527089A (ja) * 2002-05-24 2005-09-08 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ 高圧ガス放電ランプ
JP2005309372A (ja) * 2004-03-22 2005-11-04 Seiko Epson Corp ランプ装置およびそれを備えたプロジェクタ
US7549771B2 (en) 2006-02-15 2009-06-23 Seiko Epson Corporation Light source device and projector

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