JPH09153342A - メタルハライドランプ - Google Patents

メタルハライドランプ

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JPH09153342A
JPH09153342A JP33252495A JP33252495A JPH09153342A JP H09153342 A JPH09153342 A JP H09153342A JP 33252495 A JP33252495 A JP 33252495A JP 33252495 A JP33252495 A JP 33252495A JP H09153342 A JPH09153342 A JP H09153342A
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JP
Japan
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film
metal halide
lamp
color temperature
arc tube
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JP33252495A
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English (en)
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Soichiro Horikoshi
創一郎 堀越
Hiroshi Kawai
博 川井
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Iwasaki Denki KK
Original Assignee
Iwasaki Denki KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 演色性のばらつきが小さく、光の着色や減光
を伴わずに、色温度を所望値に低下させることの可能な
メタルハライドランプを提供する。 【解決手段】 内部にDyI3 ,NdI3 ,CsIと水銀とア
ルゴンガスとを封入し,内部の光の色温度がランプ点灯
時に6500Kで、外表面のうち電極2,3を囲繞する部分
の端部表面に酸化ジルコニウム等の微粒子からなる保温
膜4,5を被着した発光管1と、該発光管1を囲繞して
設けられたスリーブ7と、発光管1とスリーブ7とを内
蔵する外管12とを備えたメタルハライドランプ13におい
て、保温膜4,5によって挟まれた発光管1の外表面
に、酸化タンタルと二酸化珪素の12層膜からなる赤外線
反射膜6を設けて、低色温度のメタルハライドランプを
構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、光学特性として
のランプの光の色温度を改良したメタルハライドランプ
に関する。
【0002】
【従来の技術】光源を包囲する透光性基材の表面に光干
渉膜を設け、この光干渉膜によって光源の色温度を変換
するという技術は既に知られており、その一部は実用化
されている。例えば、色温度の高いメタルハライドラン
プは光干渉膜(通常、多層膜で構成されている)を適用
して、そのランプ効率と演色性を損なわずに、色温度を
所望の値に低下させることが実現されている。この場
合、発光管又は発光管を包囲するように配置した透光性
円筒管の表面に、多層光干渉膜を形成してメタルハライ
ドランプを構成すると、この光干渉膜の分光透過率特性
に応じて該光干渉膜を透過する光の分光分布が変化する
ため、色温度が低下する。
【0003】従来から知られている上記多層光干渉膜な
どの色温度変換機能を有する膜(以下「色温度変換膜」
という)は、可視光領域の特定の範囲の光だけを反射
し、その他の領域の光は大部分透過するという分光透過
率特性を有している。本件発明者も既に、詳細な限定条
件が加えられた分光透過率特性を有するいくつかのタイ
プの色温度変換膜をメタルハライドランプに適用するこ
とを提案しているが、それらの色温度変換膜は、いずれ
もおおむね 400〜 600nmの狭い波長範囲の光だけを反射
するという共通の特徴をもっている。そのような色温度
変換膜の分光透過率特性の一例を図11に示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の色温度
変換膜が適用されたメタルハライドランプには、次のよ
うな欠点があった。すなわち、ランプ間に演色性のば
らつきが生じやすく不揃いになる、ランプの光が着色
しやすい、色温度変換膜を設けない状態と比べてラン
プの光束が減少する、という問題点があった。
【0005】次に、これらの問題点を検討すると、まず
については、色温度変換膜形成時における僅かな膜厚
ずれが、ランプ特性に大きな影響を与えるためと考えら
れる。一般に、色温度変換膜(多層膜)の各層の膜厚
が、目標値からずれて厚く又はす薄くなると、色温度変
換膜の分光透過率特性は波長軸に対して、全体的に右又
は左に少し変動する。一方、メタルハライドランプにお
いては、発光管内に封入した金属に基づく多数の発光ピ
ークが可視域全体にわたって存在しており、それらのピ
ークのいくつかは互いに接近して存在している。したが
って、僅かな膜厚ずれによってもたらされる色温度変換
膜の分光透過率特性の小さな変動が、該色温度変換膜に
よってカットされる発光ピークに差異を生じさせ、色温
度、演色性等のランプ特性に大きな影響を及ぼす結果と
なる。
【0006】例えば、ディスプロシウム(Dy )−タリ
ウム(Tl )系メタルハライドランプに、可視域の分光
透過率最小値が波長 445nmに存在する多層光干渉膜(図
11)を発光管表面に適用して色温度低下を計る場合、こ
のランプの主たる発光ピークが波長 420nmと 535nmに存
在するので、多層光干渉膜の分光透過率曲線が波長軸に
対して左右どちらの方向にずれても、ランプ特性に大き
な変動を与え、色温度も少なくとも 500K程度目標値か
らずれる。
【0007】次に、についても、上記と同様に、色
温度変換膜の分光透過率特性の僅かな変動に起因してい
る。一般照明用のメタルハライドランプは、ランプの色
温度座標が黒体放射軌跡上又はその近傍にあり、光が著
しく着色しないように設計されており、また、これまで
に膜付き後のランプにおいても、この性質が存続するよ
うに数々の工夫がなされてきた。しかし、色温度変換膜
付後のランプの色度座標を黒体放射軌跡近傍に維持する
ような、膜の分光透過率特性条件は、比較的狭い範囲に
限られており、例えば分光透過率曲線の谷のピーク波長
が50nmずれただけでも、眼で識別可能な程度に光が着色
する場合がある。
【0008】に関しては、従来の色温度変換膜の本質
的な欠点であり、色温度変換膜が可視光の一部をカット
するので当然の結果である。減光の度合いは色温度変換
膜の分光透過率特性によって異なるが、図11に示した特
性の色温度変換膜の場合、10%程度光束が減少する。一
般に、色温度変換幅を大きくすれば、減光という犠牲が
大きくなるという傾向がある。
【0009】このように、従来の色温度変換膜を適用し
たメタルハライドランプは、膜厚変動の許容範囲が狭い
ために、色温度変換膜形成時に厳密な膜厚制御が必要に
なるという難点と、可視光のカットという本質的な欠点
とを抱えていた。
【0010】本発明は、従来の色温度変換膜を適用した
メタルハライドランプの上記問題点を解消するためにな
されたもので、ランプ本来の高い色温度を光干渉膜の適
用によって所望の値に低下させるメタルハライドランプ
において、ランプ間相互の演色性のばらつきが小さく、
光の着色や減光が殆どないメタルハライドランプを提供
することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めには、色温度変換膜がその分光透過率曲線に関して、
可視光領域全体にわたり平坦か又はそれにほぼ近似し、
可視光領域に谷状の窪みをもたないという特性を有して
いればよい。そこで本発明では、光干渉膜として可視光
透過赤外線反射膜(以下、単に「赤外線反射膜」とい
う)を用い、その保温効果による色温度低下を利用する
ものである。
【0012】すなわち、請求項1記載の発明は、内部に
金属ハロゲン化物と水銀と希ガスとを封入し、内部の光
の色温度がランプ点灯時に4500〜7500Kであり、外表面
のうち電極を囲繞する部分の端部表面に金属酸化物等の
微粒子から成る保温膜を被着してなる発光管と、該発光
管を内蔵する外管とを少なくとも具備してなるメタルハ
ライドランプにおいて、前記発光管外表面のうち前記保
温膜が被着されていない部分の表面、又は該発光管を包
囲するように配置した透光性部材の内外少なくとも一方
の表面に赤外線反射膜を設け、該赤外線反射膜は、層数
が4以上の金属酸化物からなる多層光干渉膜で構成さ
れ、且つ 400〜 700nmの波長領域の光を実質的に85%以
上透過し、該赤外線反射膜の分光透過率曲線が 900nm以
上の波長領域に少なくとも1つの谷状の窪みを形成し、
該谷状の窪みのうち少なくとも1つは光透過率が50%以
下の透過率最少値を有するという分光透過率特性をもつ
ように構成するものである。
【0013】このように色温度変換膜として(可視光透
過)赤外線反射膜を採用することにより、膜厚変動に基
づくランプ間相互の演色性のばらつきが小さく、また可
視光領域全体にわたり光を十分に透過するので、透過光
(ランプの光)が膜によって着色することはなく、光束
が削減されることもない色温度を低下させたメタルハラ
イドランプを実現することができる。
【0014】請求項2記載の発明は、請求項1記載のメ
タルハライドランプにおいて、前記金属ハロゲン化物
は、少なくともディスプロシウム(Dy ),ネオジウム
(Nd)及びセシウム(Cs )の各沃化物よりなり、前
記発光管内部の光の色温度はランプ点灯時に6000〜7500
Kであり、且つランプとしての色温度は3000〜6000Kの
範囲の任意の値を選定可能であり、更にランプの平均演
色評価数(Ra )が92以上となるように構成するもので
ある。
【0015】このように発光管内の金属ハロゲン化物と
して、Dy ,Nd 及びCs の各沃化物よりなるものを選
定することにより、発光管に基づくランプ間相互の特性
ばらつきが小さく、効率の高いランプを提供することが
でき、また赤外線反射膜を所定の分光透過率特性を有す
る多層光干渉膜で構成し、ランプのRa を92以上となる
ように構成したので、3000〜6000Kの広い範囲における
所望の色温度と高い演色性を有するメタルハライドラン
プを実現することができる。
【0016】請求項3記載の発明は、請求項1記載のメ
タルハライドランプにおいて、前記金属ハロゲン化物
は、少なくともディスプロシウム(Dy ),タリウム
(Tl )及びセシウム(Cs )の各沃化物よりなり、前
記発光管内部の光の色温度はランプ点灯時に4500〜6000
Kであり、且つランプとしての色温度は3000〜5000Kの
範囲の任意の値を選定可能であり、更にランプの平均演
色評価数(Ra )が92以上となるように構成するもので
ある。
【0017】このように発光管内の金属ハロゲン化物と
して、近年需要が増加しつつある3000〜4000Kの色温度
範囲に比較的近い色温度を与える、Dy ,Tl 及びCs
の各沃化物からなるものを選定することにより、赤外線
反射膜による色温度低下の幅が小さくて済み、したがっ
て赤外線反射膜の膜構成を簡単化することができ、また
赤外線反射膜を所定の分光透過率特性を有する多層光干
渉膜で構成し、ランプのRa を92以上となるように構成
したので、3000〜5000Kの範囲における所望の色温度と
高い演色性を有するメタルハライドランプを実現するこ
とができる。
【0018】請求項4記載の発明は、請求項1〜3のい
ずれか1項に記載のメタルハライドランプにおいて、前
記赤外線反射膜は、Ta2 5 −SiO2 ,TiO2 −Si
2 ,ZrO2 −SiO2 又はNb2 5 −SiO2 の膜物質の
組合せと、それら各々の組合せにAl2 3 を加えた膜物
質の組合せの計8種よりなる組合せのうちの1種又は2
種以上で構成するものである。このように赤外線反射膜
を上記金属酸化物で構成することにより、耐熱性に優
れ、長期にわたって初期特性を保持することができる赤
外線反射膜を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】次に発明の実施の形態について説
明する。図1は本発明に係るメタルハライドランプの第
1の実施の形態の一部切欠概略図である。図において、
1は石英からなる発光管で、その両端に電極2及び3を
封着し、内部に沃化ディスプロシウム(DyI3 ),沃化
ネオジウム(NdI3 ),沃化セシウム(CsI)と水銀と
アルゴンガスとを封入している。また発光管1の両端部
の外表面には、例えば酸化ジルコニウム(ZrO2 )等の
微粒子からなる保温膜4及び5を形成している。そし
て、保温膜4及び5によって挟まれた発光管1の外表面
には、赤外線反射膜6が設けられている。7は発光管の
破片飛散防止のために発光管1を囲繞して設けられた石
英ガラス製スリーブである。8及び9はリード線を兼ね
た発光管支柱であり、固定金具10,11を介して、外管12
内に発光管1を支持し、定格電力 150Wのメタルハライ
ドランプ13を構成している。
【0020】上記赤外線反射膜6は12層膜で構成され、
その膜構成は〔表1〕に示す構成を備えており、奇数番
目の高屈折率層は、例えば酸化タンタル(Ta2 5 )に
よって形成し、偶数番目の低屈折率層は、例えば二酸化
珪素(SiO2 )によって形成されている。また上記構成
の赤外線反射膜6の各層の膜形成は、既知の方法、例え
ば減圧CVD法を用いて形成される。なお、〔表1〕の
層番号におけるSは発光管を、Oは赤外線反射膜6の最
外層に接している外管内の空気を、それぞれ示してい
る。
【0021】
【表 1】
【0022】次に、第2〜第5の実施の形態について説
明する。これらの第2〜第5の実施の形態のメタルハラ
イドランプは、発光管の外表面に設ける赤外線反射膜の
構成を除いては、第1の実施の形態と同じ構成のもので
ある。第2〜第5の各実施の形態における赤外線反射膜
は、それぞれ18層膜,6層膜,8層膜及び10層膜で構成
され、その膜構成は、それぞれ〔表2〕,〔表3〕,
〔表4〕,〔表5〕に示す構成を備えており、高屈折率
層は、例えば酸化タンタル(Ta2 5 )によって形成
し、低屈折率層は、例えば二酸化珪素(SiO2 )によっ
て形成され、第1の実施の形態と同様に既知の方法で形
成されている。
【0023】
【表 2】
【0024】
【表 3】
【0025】
【表 4】
【0026】
【表 5】
【0027】次に、各実施の形態におけるランプ特性に
ついて説明する。まず、赤外線反射膜による色温度変換
効果について説明する。この色温度変換効果は、次のよ
うにして評価を行った。まず、発光管の外表面に赤外線
反射膜が形成されていない以外の構成は、上記各実施の
形態と同じ構成のメタルハライドランプを作製し、赤外
線反射膜がない状態におけるメタルハライドランプの色
温度、分光放射照度等のランプ特性を測定した。次に、
そのランプの外管を破壊して発光管のみを取り出し、そ
の発光管の外表面に既知の方法により、上記第1〜第5
の各実施の形態に対応する膜構成の赤外線反射膜を形成
した後、再び外管内に配置してランプを組み立て、第1
〜第5の各実施の形態のメタルハライドランプを完成さ
せ、赤外線反射膜を有する状態におけるメタルハライド
ランプの色温度、分光放射照度等のランプ特性を測定
し、両者のランプ特性を対比して評価を行った。
【0028】第1〜第5の実施の形態の各メタルハライ
ドランプの定格点灯時における色温度、赤外線反射膜を
有しないものと比べた場合の色温度変化、平均演色評価
数(Ra )、全光束、及び色温度座標を〔表6〕に示
す。なお赤外線反射膜を設けない場合の第1〜第5の実
施の形態に対応するランプの色温度は6460〜6530K,平
均演色評価数(Ra )はいずれも95,全光束は 11500〜
12000lm,色温度座標はx=0.312 〜0.313 ,y=0.33
0 〜0.333 である。
【0029】
【表 6】
【0030】次に、第1の実施の形態のメタルハライド
ランプについて測定した分光放射照度特性を、図2の実
線で示す。なお、比較のため赤外線反射膜を設けない第
1の実施の形態に対応するメタルハライドランプの分光
放射照度特性を破線で示す。
【0031】図2からわかるように、赤外線反射膜を備
えた第1の実施の形態のメタルハライドランプの場合の
400〜 700nmの可視光領域の放射照度は、膜を設けない
ランプの場合に比べて全般的にわずかに増加したに止ま
っている。これに対して、 700nm以上の長波長側では放
射照度は、かなり増加している。また第1の実施の形態
のメタルハライドランプは定格点灯時、色温度が4310K
であり、赤外線反射膜を設けない場合よりも2150K低下
している。一方、このメタルハライドランプのRa は94
で、膜を設けない場合と殆ど変化がないが、全光束は 1
2800lmで、膜を設けない場合よりも10%弱増加してお
り、色温度座標も黒体放射軌跡の近傍に存在している
(表6参照)。
【0032】次に、メタルハライドランプに適用した赤
外線反射膜の分光透過率特性について説明する。この特
性は次のようにして測定を行った。すなわち、発光管外
表面への赤外線反射膜の形成の際に、同時に同一仕様の
別の発光管にもその外表面に同一の赤外線反射膜を形成
し、その発光管を破壊して得た破片の表面の赤外線反射
膜の分光透過率を測定した。
【0033】このようにして測定を行った結果、第1の
実施の形態のメタルハライドランプにおける赤外線反射
膜(12層膜)は、図3に示す分光透過率特性が得られ
た。図3からわかるように、第1の実施の形態の赤外線
反射膜の分光透過率曲線においては、 400〜 700nmの可
視光領域の透過率が実質的に85%以上であり、 900nm以
上の波長領域に2つ以上の谷状の窪みを形成しており、
そのうち最大の窪みが1100nm付近に存在していて、その
窪みにおける透過率最小値は約10%である。
【0034】次に、第2の実施の形態のメタルハライド
ランプにおける赤外線反射膜の分光透過率特性について
説明する。この実施の形態における赤外線反射膜の膜構
成は〔表2〕で示すように18層膜で、その分光透過率特
性は図4に示すとおりである。第2の実施の形態のラン
プ特性は、膜を設けない場合のランプの定格点灯時に、
色温度が6150K,Ra が95,全光束が 11700lmであった
ものが、第2の実施の形態では〔表6〕に示されたとお
り、色温度が3520K,Ra が93,全光束が 13300lmとな
り、赤外線反射膜によって約3000Kの色温度低下がもた
らされていることがわかる。なお、Ra 値は赤外線反射
膜の有無によらず高い値が保持されており、また、色温
度座標も黒体放射軌跡の近傍に存在している。
【0035】また、第3〜第5の実施の形態のメタルハ
ライドランプの赤外線反射膜の分光透過率特性は、それ
ぞれ図5,図6及び図7に示すとおりである。
【0036】上記各実施の形態のメタルハライドランプ
では、赤外線反射膜の膜構成を、12層,18層,6層,8
層,10層としたものを示したが、本発明における赤外線
反射膜の膜構成は、これらに限られるものではなく、4
層以上の膜構成であれば、同等の効果が得られる。また
赤外線反射膜の層数と色温度低下の大きさとの関係で
は、層数の増加と共に、色温度低下の幅が大きくなる傾
向がある。これは〔表6〕に示す各実施の形態のランプ
特性が、その事実を表しており、赤外線反射膜を設けな
い場合に、6500K前後であった色温度が、赤外線反射膜
の層数の増加と共に、 700〜3000Kの幅で色温度低下が
大きくなっている。
【0037】本発明においては、赤外線反射膜の分光透
過率特性に関して、「 400〜 700nmの波長領域の光を実
質的に85%以上透過し、膜の分光透過率曲線が 900nm以
上の波長領域に少なくとも1つの谷状の窪みを形成し、
該谷状の窪みの少なくとも1つは光透過率が50%以下の
透過率最小値を有する」という条件を要するものである
が、次に、この点について説明する。この条件について
は、逆に、赤外線反射膜の分光透過率特性が上記の条件
を満たしていない場合には、そのような赤外線反射膜に
よっては目的とする 500〜3000Kの幅の色温度低下が達
成できないだけでなく、ランプの演色性の低下や全光束
の減少をも招くことになることを、次の比較例に基づい
て説明することとする。
【0038】次に述べる比較例1,2,及び3のメタル
ハライドランプは、反射膜の構成を除いて、前記第1〜
第5の実施の形態と同じ構成のものである。比較例1〜
3に適用されている赤外線反射膜の分光透過率特性は、
それぞれ図8,図9及び図10に示されている特性をもつ
ものである。すなわち、比較例1の赤外線反射膜は、図
8に示すように、 400〜 700nmの波長領域の透過率が85
%以上保たれているが、分光透過率曲線の主たる谷状の
窪みが 700〜 900nmに存在していて、 900nm以上の波長
領域に存在する複数の谷状の窪みは規模が小さく、窪み
の深さが不足しており、透過率最小値が50%以下である
ような谷状の窪みが 900nm以上の波長領域に存在しない
という特性をもつものである。比較例2の赤外線反射膜
は、図9に示すように、分光透過率曲線の主たる谷状の
窪みが 900nm以上の波長領域に存在するが、その窪みの
透過率最小値が50%以下となっていないという特性をも
つものである。比較例3の赤外線反射膜は、図10に示す
ように、 900nm以上の波長領域に透過率最小値が50%以
下となる分光透過率曲線の谷状の窪みが存在するが、 4
00〜 700nmにおけるリップルが大きく、この波長領域の
平均透過率が80%を下回るという特性をもつものであ
る。
【0039】このような分光透過率特性をもつ赤外線反
射膜を備えた比較例1〜3のメタルハライドランプのラ
ンプ特性を測定した結果、比較例1及び2においては色
温度低下の幅が 500K未満で不十分であり、また比較例
3においてはランプの光が幾分着色し、Ra が85未満と
なるなど、演色性が大きく低下していることが判明し
た。
【0040】これらの事実から、赤外線反射膜の分光透
過率曲線が、 900nm以上の波長領域に、最小値が50%以
下となるような深さの谷状の窪みをもつということが、
所定の大きさ、すなわち 500K以上の色温度低下をもた
らすことが明らかになった。
【0041】本発明において適用する赤外線反射膜は、
単にこの赤外線反射膜の赤外線反射によりもたらされる
発光管を保温する効果だけで、ランプの色温度を制御す
る機能を備えているものである。そして、本発明で赤外
線反射膜を適用することにより、可視光領域の光を全域
でほぼ完全に透過するので、膜厚変動に基づくランプ間
相互の演色性のばらつきをもたらすことがなく、またラ
ンプの光は赤外線反射膜によって着色することがなく、
本来の光の色が保持されるという利点が得られる。更
に、ランプの色温度について4000K以下の同じ低い色温
度を実現しようとするとき、従来の可視光選択透過膜を
適用した場合は、該膜を設けることによって全光束の最
大10〜20%の減少がもたらされるのに対し、本発明にお
いて赤外線反射膜を適用した場合は、全光束が減少する
ことはなく、むしろ幾分増加し、最大10%強の増加が期
待できるという利点が得られる。
【0042】なお、上記条件において、「 400〜 700nm
の波長領域の光を実質的に85%以上透過する」という要
件は、この波長領域で分光透過率曲線がリップル等のた
めに局部的に透過率85%を下回る部分があっても、それ
が概ね80%を下回るような極端に透過率の低い部分がな
く、且つこの領域の平均透過率が85%以上であるならば
よいという意味である。
【0043】赤外線反射膜においては、複数光軸型にす
るなどして膜構成を複雑化させると、可視光領域での局
部的なリップルの発生が起きる場合があり、この領域の
光透過率の低下が無視できなくなるので、できるだけ単
純な膜構成とするのが好ましい。
【0044】上記第1〜第5の実施の形態においては、
赤外線反射膜の形成部位を全てメタルハライドランプの
発光管の外表面としたものを示したが、本発明において
は赤外線反射膜の形成部位は、この他にランプの外管の
外表面又は発光管を囲繞する透光性部材の表面であって
もよいことは勿論である。
【0045】また、上記各実施の形態においては、発光
管内への封入金属ハロゲン化物として、DyI3 −NdI3
−CsIの組合せのものを用い、ランプ点灯時の発光管の
光の色温度が6000〜7500Kとなるような発光管を対象に
したものを示したが、金属ハロゲン化物としてDyI3
TlI−CsIの組合せのものを封入し、色温度が4500〜60
00Kとなるような発光管を用いて赤外線反射膜を適用す
るようにしてもよい。また、安定したランプ特性を有し
所望の色温度を呈するものであれば、他の組合せの金属
ハロゲン化物を封入した発光管を用いてもよい。色温度
が6000〜7500Kとなる発光管の好ましい封入金属ハロゲ
ン化物の例としては、他に、DyI3 −NdI3 −GaI3
組合せ等があり、4500〜6000Kとなる好ましい例として
は、他に、DyI3 −TlI−InI3 の組合せ等がある。
【0046】更に上記各実施の形態においては、赤外線
反射膜を構成する高屈折率層の膜物質としては全てTa2
5 を用いたものを示したが、高屈折率層の膜物質とし
ては、この他に酸化チタン(TiO2 ),酸化ジルコニウ
ム(ZrO2 )又は酸化ニオブ(Nb2 5 )を用いてもよ
く、したがって赤外線反射膜の膜構成としては、Ta2
5 −SiO2 ,TiO2 −SiO2 ,ZrO2 −SiO2 及びNb2
5 −SiO2 の膜物質の組合せの中から適当なものを選
択すればよい。あるいはまた、中間屈折率層を含む膜構
成とする場合は、Ta2 5 −SiO2 −Al2 3 ,TiO2
−SiO2 −Al23 ,ZrO2 −SiO2 −Al2 3 及びNb
2 5 −SiO2 −Al2 3 の膜物質の組合せの中から適
当なものを選択すればよい。
【0047】なお、本発明では、メタルハライドランプ
の構成要件(構成部材の種類、寸法、形状、ランプの定
格電力、保温膜の有無等)が、前記各実施の形態だけに
限定されるものではないことは言うまでもない。
【0048】
【発明の効果】以上実施の形態に基づいて説明したよう
に、請求項1記載の発明によれば、ランプ点灯時に内部
の色温度が4500〜7500Kとなる発光管を備えたメタルハ
ライドランプに、所定の分光透過率特性を有する赤外線
反射膜を適用したので、該反射膜によるランプ効率、演
色性及び光束の低下を伴うことなく、 500〜3000Kの範
囲の任意の大きさの色温度低下を容易に実現でき、3000
〜6000Kの範囲の色温度を有するメタルハライドランプ
を容易に提供することができる。更に、赤外線反射膜の
形成時に膜厚ばらつきが生じても、これに影響されてラ
ンプ間相互の演色性に大きなばらつきが生じることはな
く、また赤外線反射膜を用いたことにより、むしろ膜を
設けない場合よりも、全光束が幾分増加するという付帯
的な効果も得られる。
【0049】また請求項2記載の発明によれば、発光管
内の封入金属ハロゲン化物がDyI3−NdI3 −CsIで発
光管内の色温度が6000〜7500Kであるメタルハライドラ
ンプに、所定の分光透過率特性を有する赤外線反射膜を
適用したので、3000〜6000Kの広範囲の色温度につい
て、高い演色性を有するメタルハライドランプを提供す
ることができる。また請求項3記載の発明によれば、発
光管内の封入金属ハロゲン化物がDyI3 −TlI−CsIで
発光管内の色温度が4500〜6000Kであるメタルハライド
ランプに、所定の分光透過率特性を有する赤外線反射膜
を適用したので、近年、需要の多い3000〜4000Kの範囲
の色温度について、高い演色性を有するメタルハライド
ランプを提供することができる。また請求項4記載の発
明によれば、適用する赤外線反射膜を構成する膜物質の
組合せを所定の組合せに限定することにより、耐熱性に
優れ、長期にわたって初期特性を保持することができる
赤外線反射膜を備えたメタルハライドランプを実現する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るメタルハライドランプの第1の実
施の形態の一部切欠概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の分光放射照度と、
発光管外表面に赤外線反射膜を形成していないメタルハ
ライドランプの分光放射照度を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態のメタルハライドラ
ンプに適用した赤外線反射膜の分光透過率特性を示す図
である。
【図4】本発明の第2の実施の形態のメタルハライドラ
ンプに適用した赤外線反射膜の分光透過率特性を示す図
である。
【図5】本発明の第3の実施の形態のメタルハライドラ
ンプに適用した赤外線反射膜の分光透過率特性を示す図
である。
【図6】本発明の第4の実施の形態のメタルハライドラ
ンプに適用した赤外線反射膜の分光透過率特性を示す図
である。
【図7】本発明の第5の実施の形態のメタルハライドラ
ンプに適用した赤外線反射膜の分光透過率特性を示す図
である。
【図8】比較例1のメタルハライドランプに適用した赤
外線反射膜の分光透過率特性を示す図である。
【図9】比較例2のメタルハライドランプに適用した赤
外線反射膜の分光透過率特性を示す図である。
【図10】比較例3のメタルハライドランプに適用した赤
外線反射膜の分光透過率特性を示す図である。
【図11】従来の色温度変換膜の分光透過率特性の一例を
示す図である。
【符号の説明】
1 発光管 2,3 電極 3,4 保温膜 6 赤外線反射膜 7 スリーブ 8,9 リード線 10,11 固定金具 12 外管 13 メタルハライドランプ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に金属ハロゲン化物と水銀と希ガス
    とを封入し、内部の光の色温度がランプ点灯時に4500〜
    7500Kであり、外表面のうち電極を囲繞する部分の端部
    表面に金属酸化物等の微粒子から成る保温膜を被着して
    なる発光管と、該発光管を内蔵する外管とを少なくとも
    具備してなるメタルハライドランプにおいて、前記発光
    管外表面のうち前記保温膜が被着されていない部分の表
    面、又は該発光管を包囲するように配置した透光性部材
    の内外少なくとも一方の表面に赤外線反射膜を設け、該
    赤外線反射膜は、層数が4以上の金属酸化物からなる多
    層光干渉膜で構成され、且つ 400〜 700nmの波長領域の
    光を実質的に85%以上透過し、該赤外線反射膜の分光透
    過率曲線が 900nm以上の波長領域に少なくとも1つの谷
    状の窪みを形成し、該谷状の窪みのうち少なくとも1つ
    は光透過率が50%以下の透過率最少値を有するという分
    光透過率特性を備えていることを特徴とするメタルハラ
    イドランプ。
  2. 【請求項2】 前記金属ハロゲン化物は、少なくともデ
    ィスプロシウム,ネオジウム及びセシウムの各沃化物よ
    りなり、前記発光管内部の光の色温度はランプ点灯時に
    6000〜7500Kであり、且つランプとしての色温度は3000
    〜6000Kの範囲の任意の値を選定可能であり、更にラン
    プの平均演色評価数(Ra )が92以上であることを特徴
    とする請求項1記載のメタルハライドランプ。
  3. 【請求項3】 前記金属ハロゲン化物は、少なくともデ
    ィスプロシウム,タリウム及びセシウムの各沃化物より
    なり、前記発光管内部の光の色温度はランプ点灯時に45
    00〜6000Kであり、且つランプとしての色温度は3000〜
    5000Kの範囲の任意の値を選定可能であり、更にランプ
    の平均演色評価数(Ra )が92以上であることを特徴と
    する請求項1記載のメタルハライドランプ。
  4. 【請求項4】 前記赤外線反射膜は、Ta2 5 −Si
    2 ,TiO2 −SiO2 ,ZrO2 −SiO2 又はNb2 5
    SiO2 の膜物質の組合せと、それら各々の組合せにAl2
    3 を加えた膜物質の組合せの計8種よりなる組合せの
    うちの1種又は2種以上から構成されていることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のメタルハラ
    イドランプ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103346063A (zh) * 2013-07-10 2013-10-09 常熟华泰照明有限公司 镀膜氙气灯
CN103367095A (zh) * 2013-07-10 2013-10-23 常熟华泰照明有限公司 氙气灯结构
CN104658876A (zh) * 2013-11-22 2015-05-27 海洋王(东莞)照明科技有限公司 灯具的高压气体放电光源

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