JPH10119214A - コンデンサ用金属蒸着ポリエステルフィルム - Google Patents

コンデンサ用金属蒸着ポリエステルフィルム

Info

Publication number
JPH10119214A
JPH10119214A JP27357196A JP27357196A JPH10119214A JP H10119214 A JPH10119214 A JP H10119214A JP 27357196 A JP27357196 A JP 27357196A JP 27357196 A JP27357196 A JP 27357196A JP H10119214 A JPH10119214 A JP H10119214A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
capacitor
vapor deposition
polyester film
coating layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP27357196A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiki Sato
嘉記 佐藤
Yoshio Meguro
義男 目黒
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Diafoil Co Ltd
Original Assignee
Diafoil Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Diafoil Co Ltd filed Critical Diafoil Co Ltd
Priority to JP27357196A priority Critical patent/JPH10119214A/ja
Publication of JPH10119214A publication Critical patent/JPH10119214A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Organic Insulating Materials (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 蒸着金属層とのフィルムとの密着性および寸
法安定性に優れ、特にコンデンサの誘電体として用いた
ときに、高度な電気特性と耐湿熱特性を与えることがで
き、コンデンサの長期信頼性向上に寄与することができ
るフィルムを提供する。 【解決手段】 水溶性または水分散性樹脂からなる厚み
0.005μm〜0.5μmの塗布層をフィルムの少な
くとも片面に有し、前記塗布層を介して設けられた金属
蒸着層を少なくとも片面に有する二軸配向ポリエステル
フィルムであって、フィルムの長手方向の熱収縮応力が
下記式(1)および(2)を同時に満足し、全厚みが
1.0μm〜12μmであることを特徴とするコンデン
サ用金属蒸着ポリエステルフィルム。 【数1】S150 <120g/mm2 ………(1) Smax <500g/mm2 ………(2) (上記式中、S150 は、150℃におけるフィルムの単
位断面積あたりの収縮応力値、Smax は、150℃以上
フィルムの融点以下の温度範囲内での収縮応力値の最大
値を示す)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンデンサ用金属蒸着
ポリエステルフィルムに関する。詳しくは、本発明は、
蒸着金属層とフィルムとの密着性に優れ、熱寸法安定性
に優れるフィルムであって、コンデンサ誘電体に使用し
たときに高度な電気特性および耐湿熱性を付与すること
のできる金属蒸着ポリエステルフィルムに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフィルムは、優れた機械的
性質、耐熱性、電気的特性有することから、磁気テープ
用、包装用、製版用等の産業用資材として広く用いられ
ている。中でもコンデンサ用に関しては、電気機器の小
型化に伴い、小型化が可能なポリエステルフィルムから
製造されたコンデンサの需要が急増している。特に近年
は電子機器等の発達に伴い、かかるコンデンサ用ポリエ
ステルフィルムの高特性化が求められている。その高特
性化の要求項目の一つとして、長期耐湿熱安定性があ
る。すなわち、金属蒸着ポリエステルフィルムは、基材
フィルムと蒸着金属との接着性、特に高温高湿環境下で
の接着性、いわゆる耐湿熱接着性が悪いという欠点を有
している。このためコンデンサを高温高湿下に置くと、
基材フィルムと蒸着金属との界面で透湿し、コンデンサ
の静電容量が経時的に低下する等の問題があり、長期安
定性の点で、かかる耐湿熱特性改良が求められている。
【0003】また、電気特性を悪化させる原因のひとつ
として、コンデンサ製造工程で加わる熱によるフィルム
の寸法変化が挙げられる。したがって、電気特性を高度
に満足させるため、優れた熱寸法安定性が要求される。
最近の各種電子機器の発達は顕著であり、コンデンサに
求められる長期信頼性、特に長期耐湿熱安定性への要求
は、さらに増大している。したがって、かかる高信頼性
を有するコンデンサの誘電体に用いられるフィルムへの
要求特性も一段と厳しいものとなってきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、蒸着金属層
とのフィルムとの密着性および寸法安定性に優れ、特に
コンデンサの誘電体として用いたときに、高度な電気特
性と耐湿熱特性を与えることができ、コンデンサの長期
信頼性向上に寄与することができるフィルムを提供する
ことを解決課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
鑑み鋭意検討を行った結果、塗布層を有するポリエステ
ルフィルムの塗布層表面に金属蒸着層を有するフィルム
であって、高度な寸法安定性を有する場合に、特にコン
デンサ誘電体として用いた場合、優れた特性を有するこ
とを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明の要旨は、水溶性または水分散性樹脂からなる厚
み0.005μm〜0.5μmの塗布層をフィルムの少
なくとも片面に有し、前記塗布層を介して設けられた金
属蒸着層を少なくとも片面に有する二軸配向ポリエステ
ルフィルムであって、フィルムの長手方向の熱収縮応力
が下記式(1)および(2)を同時に満足し、全厚みが
1.0μm〜12μmであることを特徴とするコンデン
サ用金属蒸着ポリエステルフィルムに存する。
【0006】
【数2】S150 <120g/mm2 ………(1) Smax <500g/mm2 ………(2) (上記式中、S150 は、150℃におけるフィルムの単
位断面積あたりの収縮応力値、Smax は、150℃以上
フィルムの融点以下の温度範囲内での収縮応力値の最大
値を示す)
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフィルムを構成するポリエステルとは、芳香族
ジカルボン酸またはそのエステルとグリコールとを主た
る出発原料として得られるポリエステルであり、繰り返
し構造単位の80%以上がエチレンテレフタレート単位
またはエチレン−2,6−ナフタレート単位を有するポ
リエステルを指す。そして、上記の範囲を逸脱しない条
件下であれば、他の第三成分を含有していてもよい。芳
香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸
および2,6−ナフタレンジカルボン酸以外に、例え
ば、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン
酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシエトキシ安
息香酸等)等を用いることができる。グリコール成分と
しては、エチレングリコール以外に、例えば、ジエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチ
ルグリコール等の一種または二種以上を用いることがで
きる。
【0008】本発明のポリエステルフィルムは、フィル
ム製造時のキズの発生防止や、フィルムに滑り性を与え
て取扱い性を向上する目的で、ポリエステルに粒子を含
有させ、フィルム表面に適度な突起を形成させる。かか
る粒子の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウ
ム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミ
ナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウ
ム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高
分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子、およびポ
リエステル重合時に生成させる析出粒子を挙げることが
できる。本発明のフィルムに含有させる粒子の平均粒径
は、好ましくは0.005〜5.0μm、さらに好まし
くは0.01〜3.0μmの範囲である。平均粒径が
5.0μmを超えると、粗面化により絶縁性が低下した
り、粒子がフィルム表面から脱落して絶縁欠陥の原因と
なる等の問題が生ずるようになる傾向がある。また、平
均粒径が0.005μm未満では、突起形成が不十分な
ためフィルムの表面にキズが発生したり、フィルムの取
扱い性が低下してしまうことがある。
【0009】また、粒子含有量はポリエステルに対し、
通常0.01〜3.0重量%、好ましくは0.05〜
2.0重量%、さらに好ましくは0.1〜1.0重量%
である。粒子含有量が0.01重量%未満では、フィル
ム表面の突起が不足して滑り性が不十分となる傾向があ
る。一方、粒子含有量が3.0重量%を超えると、粒子
の脱落が起こりやすくなったり、粒子が凝集して粗大突
起を形成し、絶縁欠陥等の問題が生ずるようになること
がある。フィルム中に、かかる粒子を2種類以上配合し
てもよく、同種の粒子で粒径の異なるものを配合しても
よい。いずれにしても、フィルムに含有する粒子全体の
平均粒径、および合計の含有量が上記した範囲を満足す
ることが好ましい。また、上記の突起形成剤以外の添加
剤として、必要に応じて、帯電防止剤、安定剤、潤滑
剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、着色
剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤などを、コンデンサ特性
を悪化させない範囲内で含有していてもよい。
【0010】本発明のポリエステルフィルムは、最終的
に得られる特性が本発明の要件を満足する限り、塗布以
外の方法で得られた多層構造となっていても構わない。
多層構造の場合、その一部の層はポリエステル以外の樹
脂からなる層であってもよい。本発明のフィルムは、蒸
着金属との接着性を高めるため、少なくとも一方のフィ
ルム表面に水溶性または水分散性樹脂からなる塗布層を
設ける。塗布層を構成する塗布剤の例として、ポリエス
テル系、ポリアミド系、ポリスチレン系、ポリアクリレ
ート系、ポリカーボネート系、ポリアリレート系、ポリ
塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリビニルブチ
ラール系、ポリビニルアルコール系、ポリウレタン系な
どの樹脂およびこれらの樹脂の共重合体や混合体などを
挙げることができる。これらの中で最も好ましい塗布剤
樹脂はポリウレタン系樹脂であり、ポリウレタン系樹脂
を用いた場合、極めて高度な接着性と長期耐湿熱安定性
を得ることができる。
【0011】以下、このポリウレタン系樹脂について詳
しく説明する。本発明の実施態様の一つであるポリウレ
タン系樹脂とは、ポリマー主鎖にウレタン結合を有する
高分子化合物を指し、ポリオール、ポリイソシアネー
ト、鎖延長剤、架橋剤等から構成される。ポリオールの
例としては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキ
シプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレング
リコールのようなポリエーテル類、ポリエチレンアジペ
ート、ポリエチレンーブチレンアジペート、ポリカプロ
ラクトン等を含むポリエステル類、カーボネート結合を
有するポリカーボネート類、アクリル系ポリオール、ひ
まし油等がある。
【0012】ポリイソシアネートの例としては、トリレ
ンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。特に
本発明におけるポリウレタンは、耐熱性に優れる芳香族
ポリイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネート
から選択するか、両方を用いるのが好ましい。芳香族ポ
リイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートを
用いる場合、イソシアネート成分に占める、芳香族ポリ
イソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートまた
はその合計の割合が好ましくは50モル%以上、さらに
好ましくは70モル%以上である。
【0013】鎖延長剤あるいは架橋剤の例としては、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレン
グリコール、トリメチロールプロパン、ヒドラジン、エ
チレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレン
テトラミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、
4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、水等が挙
げられる。本発明における、ポリウレタン系樹脂の塗布
層に占める割合は、好ましくは50重量%以上、さらに
好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%
以上である。ポリウレタン系樹脂の含有量が50重量%
未満では、本発明の効果が得られないことがある。
【0014】本発明の塗布剤として用いる樹脂は、安全
衛生上、水を媒体とする塗布剤であることが望ましい
が、本発明の要旨を越えない範囲内で、水溶性または水
分散性樹脂の助剤として有機溶剤を含有していてもよ
い。水を媒体とする場合は、界面活性剤などによって強
制分散化した塗布剤であってもよいが、好ましくはポリ
エーテル類のような親水性のノニオン成分や、四級アン
モニウム塩のようなカチオン性基を有する自己分散型塗
布剤であり、さらに好ましくは、アニオン性基を有する
水溶性または水分散性の塗布剤である。アニオン性基を
有する水溶性または水分散性の塗布剤とは、アニオン性
基を有する化合物を共重合やグラフトなどにより樹脂に
結合させたものであり、スルホン酸、カルボン酸、リン
酸およびそれらの塩等から適宜選択される。
【0015】アニオン性基を有する水溶性または水分散
性の塗布剤のアニオン性基の量は、0.05〜10重量
%の範囲が好ましい。アニオン性基量が0.05重量%
未満では、樹脂の水溶性あるいは水分散性が劣ることが
あり、アニオン性基量が10重量%を超えると、塗布後
の下塗り層の耐水性が劣ったり、吸湿してフィルムが相
互に固着したり、耐湿熱接着性を低下させたりすること
がある。また、本発明における塗布液には、塗布層の固
着性(ブロッキング性)、耐水性、耐溶剤性、機械的強
度の改良のために架橋剤としてメチロール化あるいはア
ルキロール化した尿素系、メラミン系、グアナミン系、
アクリルアミド系、ポリアミド系等の化合物、エポキシ
系化合物、アジリジン化合物、ブロックポリイソシアネ
ート、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、
ジルコ−アルミネート系カップリング剤、過酸化物、熱
および光反応性のビニル化合物や感光性樹脂などを含有
してもよい。
【0016】また、固着性や滑り性改良のために、塗布
層中に無機系微粒子としてシリカ、シリカゾル、アルミ
ナ、アルミナゾル、ジルコニウムゾル、カオリン、タル
ク、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化チタン、
硫酸バリウム、カ−ボンブラック、硫化モリブデン、酸
化アンチモンゾルなどを、有機系微粒子としてポリスチ
レン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ
アクリル酸エステル、エポキシ樹脂、シリコ−ン樹脂、
フッ素樹脂などを含有していてもよい。さらに、必要に
応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、有
機系潤滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染
料、顔料などを含有していてもよい。
【0017】本発明で用いる塗布液中のアルカリ金属含
有量は、塗布液の固形分中好ましくは1000ppm以
下であり、さらに好ましくは500ppm以下、特に好
ましくは200ppm以下である。塗布層中のアルカリ
金属含有量が多くなると、コンデンサの耐湿熱特性が悪
くなることがあるので好ましくない。特にコンデンサに
直流電圧を印加しつつ高温高湿下に置くとコンデンサの
静電容量の低下が激しくなる。したがって、必要に応じ
て脱イオン処理を施すことで、所望の塗布液を得る場合
もある。上述の塗布液をポリエステルフィルムに塗布す
る方法としては原崎勇次著、槙書店、1979年発行、
「コーティング方式」に示されるリバースロールコータ
ー、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクター
コーターあるいはこれら以外の塗布装置を用いることが
できる。該塗布層は、フィルム製造工程内で設けてもよ
いし、フィルム製造後に塗布してもよい。特に塗布厚み
の均一性や、生産効率の点で、フィルム製造工程内で塗
布する方法が好ましい。
【0018】フィルム製造工程内で塗布する方法として
は、ポリエステル未延伸フィルムに塗布液を塗布し、逐
次あるいは、同時に二軸延伸する方法、一軸延伸された
ポリエステルフィルムに塗布し、さらに先の一軸延伸方
向と直角の方向に延伸する方法、あるいは二軸延伸ポリ
エステルフィルムに塗布し、さらに横および/または縦
方向に延伸する方法などがある。塗布層の厚さは、0.
005〜0.5μmの範囲であり、好ましくは0.01
〜0.3μmの範囲、さらに好ましくは0.03〜0.
1μmの範囲である。塗布層の厚さは、コンデンサ小型
化の要請からも薄くすることが好ましい。特に塗布層厚
みが0.5μmを超えると電気的特性を悪化させるため
好ましくない。一方、塗布層の厚みが0.005μm未
満の場合には、塗布ムラや塗布ヌケが生じ好ましくな
い。
【0019】本発明においては、かかる塗布層の表面
に、金属蒸着層を設ける。蒸着する金属として、アルミ
ニウム、パラジウム、亜鉛、ニッケル、金、銀、銅、イ
ンジウム、錫、クロム、チタン等が挙げられるが、特に
好ましい金属はアルミニウムである。なお、上記の金属
には金属の酸化物も含まれる。金属蒸着膜の厚さは10
〜2000Åの範囲が好ましい。かくして得られた金属
蒸着フィルムは、塗布層を設けることにより蒸着層とフ
ィルムの密着性が向上され、コンデンサ誘電体としたと
きの耐湿熱特性を向上できるが、かかるフィルムの収縮
特性が本発明で規定する特定範囲内である場合、長期耐
湿熱安定性がさらに高度に達成される。すなわち、金属
蒸着フィルムの長手方向の収縮応力が以下の式を満足す
る場合、優れた特性を得ることができる。
【0020】
【数3】S150 <120g/mm2 ………(1) Smax <500g/mm2 ………(2) (上記式中、S150 は、150℃におけるフィルムの単
位断面積あたりの収縮応力値、Smax は、150℃以上
フィルムの融点以下の温度範囲内での収縮応力値の最大
値を示す) S150 が120g/mm2 以上の場合は、フィルムの寸
法安定性が劣るため、コンデンサ誘電体とした時に電気
特性が悪化する。S150 は好ましくは100g/mm2
未満、さらに好ましくは70g/mm2 未満である。
【0021】また、収縮応力値は150℃以上、ポリエ
ステルの融点以下の温度範囲内で最大値(Smax )を有
するが、本発明においては、Smax が500g/mm2
未満の場合、寸法安定性が優れ、コンデンサ特性をさら
に高度に満足させることができる。Smax は、好ましく
は400g/mm2 未満、さらに好ましくは350g/
mm2 未満である。本発明の金属蒸着フィルムの全厚み
は、1.0〜12μmの範囲である。厚みが12μmを
超える場合は、フィルムを巻回してコンデンサとする際
のフィルムの変形が元々小さいため、本発明の効果が十
分に発揮されないし、より高品質、小型のコンデンサを
得ることができなくなる。厚みは好ましくは10μm以
下、さらに好ましくは9μm以下である。一方、全厚み
が1.0μm未満の場合は、塗布層の厚みが占める割合
が相対的に大きくなるため、電気的特性の改良効果が十
分とならないため好ましくない。フィルム全厚みの下限
は好ましくは2.0μm、さらに好ましくは3.0μm
である。
【0022】また、蒸着フィルム表面の中心線平均粗さ
(Ra)は好ましくは0.005〜0.5μmの範囲で
あり、さらに好ましくは0.01〜0.3μmの範囲で
あり、特に好ましくは0.02〜0.1μmの範囲であ
る。Raが0.005μm未満では、フィルムの滑り性
が不十分となり、コンデンサ製造等、フィルムの取り扱
い性が不十分になったり、蒸着層に傷が付きやすいとい
う問題が生ずることがある。一方、Raが0.5μmを
超えると、表面が粗れすぎてコンデンサとした時に耐電
圧特性や耐湿熱特性が悪化することがある。次に、本発
明のフィルムの製造法を具体的に説明する。ポリエステ
ル原料を、押出装置に供給し、ポリエステルの融点以上
の温度で溶融押出してスリット状のダイから溶融シート
として押し出す。次に、溶融シートを、回転冷却ドラム
上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化
し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。
【0023】得られたシートを二軸方向に延伸してフィ
ルム化するが、その延伸および熱処理条件を適切な範囲
とすることにより本発明のフィルムの特徴である収縮特
性を達成させることができる。二軸延伸条件について具
体的に述べると、前記未延伸シートをまず第一軸方向に
その複屈折率(Δn)が0.06以上、好ましくは0.
08以上となるように延伸する。延伸温度範囲は70〜
150℃、延伸倍率は2.5〜6倍の範囲とし、温度と
倍率を適宜組み合わせることにより、所望の複屈折率と
なるようにする。延伸は一段階または二段階以上で行う
ことができる。次に第二軸方向、すなわち第一軸方向と
直交する方向に一軸配向フィルムを一旦ガラス転移点以
下に冷却するか、または冷却することなく、例えば80
〜150℃の温度範囲に予熱して、さらにほぼ同温度の
下で2.5〜5倍、好ましくは3.0〜4.5倍に延伸
を行い、二軸に配向したフィルムを得る。
【0024】なお、第一軸方向の延伸を2段階以上で行
うことが、良好な厚さ均一性を達成できるので好まし
い。また、横延伸した後さらに長手方向に再延伸する方
法も可能であるが、いずれにしても長手方向の総合延伸
倍率を3.5倍以上とすることが好適である。かくして
得られたフィルムを、1秒〜5分間、180℃〜240
℃の温度範囲、好ましくは200℃〜240℃の温度範
囲で熱処理する。この際、熱処理工程内または熱処理後
に長手方向または横方向、あるいは両方向に再延伸を行
ってもよい。本発明の要件である、金属蒸着フィルムの
特定範囲の収縮応力特性を得るために、蒸着前のフィル
ムの収縮率を低くしておくことが好ましい。このためフ
ィルム製造時、熱処理工程で縦方向または横方向、ある
いは両方向に2〜20%、好ましくは3〜15%の範囲
で弛緩処理を行う方法や、フィルムをオフラインで低張
力下熱弛緩処理する方法等が好ましく採用される。
【0025】ただし、オフラインで熱処理する方法は、
工程が増えるためコスト的に不利である点、不純物が混
入しやすく耐電圧が低下することが多いこと、および薄
いフィルムの場合は張力を非常に低くする必要があり、
安定した処理が難しい等の問題点がある。一方、フィル
ム製造時の熱処理温度を高くする方法を用いても収縮率
を低下できるが、かかる方法を用いると、ポリエステル
フィルムの電気的特性、特に誘電損失特性が悪化するの
でコンデンサ誘電体として用いた場合好ましくない。具
体的には熱処理温度が240℃を超えるとフィルム密度
が高くなりすぎて高度な電気的特性が得られなくなる。
一方、180℃未満ではフィルムの熱収縮率が大きくな
って、コンデンサ製造時に熱を受ける工程で寸法変化を
起こし、コンデンサの生産性を悪化させたり、耐電圧等
のコンデンサ特性が低下する等の問題が生ずる。
【0026】いずれにしても、本発明においてはフィル
ムを弛緩しつつ熱処理することにより特定の収縮応力特
性を達成する方法が好ましい。本発明の蒸着フィルム
は、電気的特性を悪化させないために、密度を好ましく
は1.4000g/cm3 以下、さらに好ましくは1.
3990g/cm3 以下、特に好ましくは1.3985
g/cm3 以下とする。かかる特性を満足するため、上
記した熱処理工程の温度を適宜選択する。密度が1.4
000g/cm3を超えると、誘電損失が大きくなるた
めコンデンサの特性が大きく低下する。本発明の塗布層
を設ける方法としては、特に、ロール延伸法により第一
軸方向に延伸された一軸延伸ポリエステルフィルムに塗
布液を塗布し、適当な乾燥を施し、あるいは乾燥を施さ
ず、一軸延伸フィルムを直ちに第二軸方向に延伸し、熱
処理を行う方法が好ましい。
【0027】本方法によるならば、延伸と同時に塗布層
の乾燥が可能になるとともに塗布層の厚さを延伸倍率に
応じて薄くすることができ、かつ厚さの均一性が良好と
なり、しかもフィルムと塗布層との密着性も極めて強固
とすることができる。コスト的にも有利で、コンデンサ
誘電体用基材として好適なフィルムを安価に製造でき
る。 本発明における塗布層は、ポリエステルフィルム
の片面だけに設けてもよいが、両面に設けることが好ま
しい。また、片面にのみ塗布した場合、その反対面には
本発明における塗布液以外の塗布層を必要に応じて形成
し、本発明のポリエステルフィルムに他の特性を付与す
ることもできる。なお、塗布剤のフィルムへの塗布性、
接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理や
放電処理を施してもよい。処理効率やコスト、処理の簡
便さからコロナ放電処理を行うことが特に好ましい。ま
た、本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの塗布層の
接着性、塗布性などを改良するために、塗布層形成後に
塗布層に放電処理を施すこともできる。
【0028】かくして得られたフィルムの塗布層表面
に、金属を蒸着する。蒸着の方法は通常、真空蒸着法、
スパッタリング法等を用いる。蒸着工程においては、ロ
ール状のフィルムを巻きだし、冷却ドラムの表面に接触
させつつフィルムを走行させ、蒸着を行う。このときに
蒸着部でフィルムにかかる張力が高すぎると、蒸着時に
受ける熱と張力でフィルムが伸び、目的とする特定の収
縮応力が得られなくなる。一方、低張力の場合はフィル
ムと冷却ドラムとの接触が不十分になり、蒸着の熱によ
りフィルムにシワやたるみが発生するようになる。この
ため蒸着時の張力を適度に調節することが必要である。
【0029】なお、塗布層はフィルムの片面または両面
に設けられ、両面塗布の場合、金属蒸着層を片面または
両面に設ける。また、金属蒸着後に蒸着金属層の表面処
理や他の樹脂による被覆処理を行ってもよい。本発明の
金属蒸着ポリエステルフィルムを誘電体として用いてコ
ンデンサを作成する場合は、2枚重ね合わせて巻回(両
面金属蒸着ポリエステルフィルムと本発明におけるポリ
エステルフィルムを含む他のフィルムとの巻回も含
む)、または多数枚積層してコンデンサ素子を作り、常
法に従って、例えば、熱プレス、テ−ピング、メタリコ
ン、電圧処理、両端面封止、リード線取り付けなどを行
う。もちろんこれらに限定されるわけではない。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下
の実施例によって限定されるものではない。なお、実施
例中の評価方法は下記のとおりである。実施例および比
較例中、「部」とあるのは「重量部」を示す。 (1)粒子の平均粒径(μm) 島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP
3型)で測定した等価球形分布における積算体積分率5
0%の粒径を平均粒径とした。 (2)フィルム厚み(μm) フィルムを約100枚、10cm×10cmの正方形に
切り出し、その重量を測定する。その後枚数を数えて、
フィルムの密度とフィルム合計面積と重量とからフィル
ム厚みを算出する。
【数4】
【0031】(3)収縮応力特性 試料フィルムを幅5mm、長さ70mmの短冊状に切り
出し、片端を微小荷重検出器に、もう片端を固定チャッ
クにセットした。フィルムがたるまないようにチャック
位置を調節し、張力が発生する直前で位置を固定し、初
期張力を0gとして測定を開始した。試料フィルムの周
囲の温度を5℃/分の速度で昇温し、発生する収縮応力
とフィルムのごく近傍の温度との関係を曲線で描き、フ
ィルムの初期断面積あたりの収縮応力を求めた。すなわ
ち、S150 およびSmax は、得られた曲線の150℃、
およびピークでの収縮応力値として得られた。
【0032】(4)中心線平均粗さ(Ra) (μm) (株)小坂研究所製表面粗さ測定機(SE−3F)を用
いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲
線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の
部分を抜きとり、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦
倍率の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x)で表した
とき、次式で与えられた値を〔μm〕で表した。中心線
平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を
求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心
線平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は
2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08
mmとした。
【数5】
【0033】(5)フィルムの密度(g/cm3) n−ヘプタンと四塩化炭素との混合液による密度勾配管
法により測定した。なお、測定温度は25℃で行った。 (6)電気的特性評価 耐電圧特性 JIS C−2319に準じて測定を行った。すなわ
ち、10kV直流耐電圧試験機を用い、23℃、50%
RHの雰囲気下にて、100V/秒の昇圧速度で上昇さ
せ、フィルムが破壊し短絡した時の電圧を読み取った。
【0034】コンデンサ特性の変化 (コンデンサの製造)フィルムの長手方向にマージン部
を有するストライプ状に蒸着した(蒸着部の幅8mm、
マージン部の幅1mmの繰り返し)ポリエステルフィル
ムを、左または右に幅0.5mmのマージン部を有する
4.5mm幅のテープ状にスリットした。得られた、左
マージンおよび右マージンの蒸着ポリエステルフィルム
各1枚づつを併せて巻回し、巻回体を得た。このとき、
幅方向に蒸着部分が、0.5mmづつはみ出すように2
枚のフィルムをずらして巻回した。この巻回体を温度1
40℃、圧力50kg/cm2 で5分間プレスした。プ
レス後の巻回体の両端面にメタリコンを溶射後リード線
を付し、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂による
含浸層、および粉末状エポキシ樹脂を加熱溶融すること
による最低厚さ0.5mmの外装を形成して、静電容量
0.1μFのフィルムコンデンサとした。
【0035】(静電容量変化の測定)コンデンサの電極
間に60V/μmの直流電圧を印加しつつ、温度60
℃、湿度95%RHの雰囲気下に1000時間放置し、
初期静電容量を基準値とする静電容量変化率を求めた。
すなわち、1000時間後の静電容量から初期静電容量
を差し引いた値を、初期静電容量で除して百分率で表記
した。 (誘電損失の変化)得られたコンデンサを150℃の雰
囲気下に24時間放置し、初期の誘電損失特性と放置後
の誘電損失特性とを比較した。誘電損失特性は、室温か
ら160℃の温度範囲での測定を行って評価した。すな
わち、誘電損失が急激に立ち上がる温度および100℃
〜160℃の範囲で示す誘電損失の最大値にて、以下の
基準で評価した。 ランクA:150℃放置後もほとんど特性変化しない ランクB:誘電損失が若干高くなる、或いは立ち上がり
温度が低くなる ランクC:誘電損失の変化が大きい、または数値のばら
つきが大きくなる
【0036】交流耐電圧 上記で得られたコンデンサの電極間に1kHzの交流電
圧を印加し、絶縁破壊が起こるまでの時間tを測定し
た。印加電圧Vを変えて同じ測定を行い、Vとtとの関
係をプロットし、t=15時間の時の印加電圧を交流耐
電圧とした。かかる交流耐電圧の100℃での値と25
℃での値を比較して、以下の基準で評価した。 ランクA:100℃でも交流耐電圧の低下は小さく、良
好 ランクB:100℃で交流耐電圧やや低下するが、実用
上問題ない ランクC:100℃での交流耐電圧の低下が大きく、実
用上問題がある
【0037】実施例1 (塗布層用ポリウレタンの合成)テレフタル酸650
部、イソフタル酸650部、1,4−ブタンジオール4
80部、ネオペンチルグリコール450部を出発原料と
してポリエステルポリオールを得、これにアジピン酸3
20部、ジメチロールプロピオン酸270部を加え、カ
ルボキシル基含有ポリエステルポリオールを得た。この
ポリエステルポリオール1880部にトリレンジイソシ
アネート160部を加えて芳香族ポリエステルポリウレ
タン溶液を得た。得られた溶液をアンモニア水溶液中に
投入しながら溶剤を除去し、芳香族ポリエステルポリウ
レタン水分散体(A)を得た。
【0038】(フィルム原料ポリエステルの製造)ジメ
チルテレフタレート100部、エチレングリコール60
部および酢酸カルシウム1水塩0.09部を反応器にと
り、加熱昇温するとともにメタノールを留去してエステ
ル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230
℃まで昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。
次いで、粒径1.2μmのシリカ粒子0.3部をエチレ
ングリコールスラリーとして添加した。スラリー添加
後、さらにリン酸0.06部、三酸化アンチモン0.0
4部を加え、徐々に反応系を減圧とし、温度を高めて重
縮合反応を4時間行い、極限粘度0.65のポリエステ
ル(a)を得た。
【0039】(ポリエステルフィルムの製造)ポリエス
テル(a)を常法により乾燥して押出機に供給し、29
0℃で溶融してシート状に押出し、静電印加密着法を用
いて冷却ロール上で急冷し、無定形シートとした。得ら
れたシートを、ロール延伸法を用いて縦方向に84℃で
2.9倍延伸した後、さらに72℃で1.25倍延伸し
た。該一軸延伸フィルムに上述の共重合ポリウレタン水
分散体をフィルムの両面に塗布し、次いでフィルムをテ
ンターに導いて、横方向に110℃で4.1倍延伸し、
140℃で熱処理を行った。さらに別個のテンターに導
き、横方向に8%弛緩しながら228℃で熱処理を行
い、塗布層の厚さ0.05μm 、フィルムの厚さ6μ
mの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
【0040】(蒸着フィルムの製造)抵抗加熱型金属蒸
着装置を用い、真空室の圧力を10-4Torr以下とし
て、フィルム表面にアルミニウムを450Åの厚みに蒸
着した。その際、ポリエステルフィルムの長手方向にマ
ージン部を有するストライプ状に蒸着した(蒸着部の幅
8mm、マージン部の幅1mmの繰り返し)。また、蒸
着時にフィルムを走行させる際、冷却ドラムに接触する
部分でのフィルムにかかる張力を、蒸着後にたるみが発
生しない範囲で、かつ低張力になるように調節した。得
られた蒸着フィルムの特性は、ストライプ状の蒸着部を
切り出して測定した。蒸着フィルムの特性および該フィ
ルムから得られたコンデンサの特性は表1に示す通りで
あり、耐電圧特性に優れ、静電容量の変化の少ない、耐
湿熱特性に優れる金属蒸着ポリエステルフィルムコンデ
ンサが得られた。
【0041】比較例1 実施例1において塗布液を塗布しないこと以外は実施例
1と同様にしてポリエステルフィルムを得、同条件で蒸
着フィルムを製造した。該フィルムを用いて製造したコ
ンデンサは、実施例1と比較して、耐湿熱特性に劣って
いた。 実施例2 実施例1の塗布剤用ポリエステルポリウレタン製造で用
いたトリレンジイソシアネートの代わりに4,4’−ジ
シクロヘキシルメタンジイソシアネートを用いる以外は
実施例1と同様にして脂肪族ポリエステルポリウレタン
水分散体(B)を得た。実施例1における塗布剤を芳香
族ポリエステルポリウレタン(A)と脂肪族ポリエステ
ルポリウレタン(B)との重量比を60部/40部とし
て塗布処理を施したことおよび製膜時、熱処理工程を横
延伸と同じテンターで引き続き行い、弛緩率を10%と
したこと以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィ
ルムを得、同条件で蒸着フィルムを製造した。
【0042】実施例3 塗布剤として共重合ポリエステル樹脂を以下のように製
造した。すなわち、テレフタル酸ジメチル30部、イソ
フタル酸ジメチル70部、セバシン酸ジメチル15部、
ジメチル−5−スルホイソフタレートナトリウム塩6
部、エチレングリコール80部を出発原料とし、触媒と
して酢酸マンガン4水塩0.04部を加え、加熱昇温す
るとともにメタノールを留去してしてエステル交換反応
を行った。反応開始から3時間を要して230℃まで昇
温し、実質的にエステル交換反応を終了させた。次い
で、この反応物にリン酸0.01部を添加し、さらに三
酸化アンチモン0.04部を加えて重縮合反応を行い、
4時間後に極限粘度0.50の共重合ポリエステルを得
た。得られた共重合ポリエステル20部をテトラヒドロ
フラン80部に溶解させた液に、高速撹拌下で水180
部を加えた後、加温してテトラヒドロフランを揮散させ
て、共重合ポリエステル水分散体(C)を得た。得られ
た水分散体(C)と実施例1で製造したポリエステルポ
リウレタン分散体(A)とを混合して、固形分として共
重合ポリエステル/芳香族ポリエステルポリウレタンの
重量比が50部/40部となるように混合し、かつ架橋
剤としてトリエチレングリコールジグリシジルエーテル
を10部添加した塗布剤を用いたこと以外は実施例1と
同様にして塗布厚み0.05μm、フィルム厚み6μm
の二軸延伸フィルムを得、同条件で蒸着フィルムを製造
した。
【0043】実施例4 実施例2において、フィルムの熱処理温度を210℃と
したこと以外は実施例1と同様にして塗布厚み0.04
μm、フィルム厚み6μmの二軸配向フィルムを得た。 比較例2 実施例2において、熱処理時の弛緩率を1%としたこと
以外は実施例2と同様にして、塗布厚み0.04μm、
フィルム厚み9μmの二軸配向ポリエステルフィルムを
得、蒸着フィルムを製造した。該フィルムは収縮応力特
性が本発明の要件を満足しておらず、得られたコンデン
サの特性は不十分なものであった。 比較例3 比較例2で得られたフィルムを、蒸着時に速度および張
力を調整して150℃での収縮応力が小さい蒸着フィル
ムを得た。得られた蒸着フィルムは、若干のたるみが発
生しており、また最大収縮応力が大きいため、得られた
コンデンサの特性は不十分であった。
【0044】実施例5 比較例2で得たフィルムを、幅方向には拘束せず、高温
の空気を上下から吹きつけてフィルムを走行させながら
熱処理を行う、いわゆる加熱浮上熱処理を行った。フィ
ルム走行時、長手方向にかかる張力を1kg/cm2
し、処理温度を200℃、処理時間を5秒間、熱処理後
フィルムを70℃以下に冷却してから巻き取った。得ら
れたフィルムを用い、実施例1と同条件で蒸着し、蒸着
フィルムを得た。得られた蒸着フィルムを用いて製造し
たコンデンサは特性は良好であったが、工程が多くなる
ためコスト的に不利であり、また不純物の混入が起こり
やすく、耐電圧特性がやや低下した。
【0045】実施例6 実施例1において、製膜時のフィルムの熱処理温度を2
42℃とし、該温度での弛緩処理を行わず、後段の徐冷
却ゾーンで3%の弛緩を行ったこと以外は実施例1と同
様にして塗布厚み0.04μm、フィルム厚み6μmの
二軸配向フィルムを得、同条件で蒸着フィルムを製造し
た。得られた蒸着フィルムは、誘電損失特性が劣るた
め、これを用いて製造したコンデンサは交流耐電圧にや
や劣るものであった。
【0046】比較例4 実施例1において、フィルム厚みを0.9μmになるよ
うに製膜条件を調節して製造した。しかしながら、フィ
ルム厚みが薄すぎるため、塗布が均一にならず、フィル
ム破断が頻発して著しく生産性が悪化した。また、得ら
れたフィルムの電気特性、特に誘電損失が大きく、コン
デンサ用として使用できるものではなかった。以上、得
られた結果をまとめて下記表1および2に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】本発明の蒸着フィルムは、蒸着金属層と
のフィルムとの密着性に優れ、かつ寸法安定性に優れる
ため、特にコンデンサの誘電体として用いたときに、高
度な電気特性と耐湿熱特性を与え、コンデンサの長期信
頼性向上に寄与することができ、その工業的価値は高
い。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性または水分散性樹脂からなる厚み
    0.005μm〜0.5μmの塗布層をフィルムの少な
    くとも片面に有し、前記塗布層を介して設けられた金属
    蒸着層を少なくとも片面に有する二軸配向ポリエステル
    フィルムであって、フィルムの長手方向の熱収縮応力が
    下記式(1)および(2)を同時に満足し、全厚みが
    1.0μm〜12μmであることを特徴とするコンデン
    サ用金属蒸着ポリエステルフィルム。 【数1】S150 <120g/mm2 ………(1) Smax <500g/mm2 ………(2) (上記式中、S150 は、150℃におけるフィルムの単
    位断面積あたりの収縮応力値、Smax は、150℃以上
    フィルムの融点以下の温度範囲内での収縮応力値の最大
    値を示す)
  2. 【請求項2】 密度が1.4000g/cm3 以下であ
    ることを特徴とする請求項1記載のコンデンサ用金属蒸
    着ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 塗布層を形成する樹脂の50重量%以上
    がポリウレタン系樹脂であることを特徴とする請求項1
    または2記載のコンデンサ用金属蒸着ポリエステルフィ
    ルム。
JP27357196A 1996-10-16 1996-10-16 コンデンサ用金属蒸着ポリエステルフィルム Pending JPH10119214A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27357196A JPH10119214A (ja) 1996-10-16 1996-10-16 コンデンサ用金属蒸着ポリエステルフィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27357196A JPH10119214A (ja) 1996-10-16 1996-10-16 コンデンサ用金属蒸着ポリエステルフィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10119214A true JPH10119214A (ja) 1998-05-12

Family

ID=17529665

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27357196A Pending JPH10119214A (ja) 1996-10-16 1996-10-16 コンデンサ用金属蒸着ポリエステルフィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10119214A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5494727A (en) Metallized polyester film capacitor
US5540974A (en) Metallized polyester film capacitor
JP3279660B2 (ja) ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムコンデンサ
US6287667B1 (en) Polyester film and capacitor using the same
US5738926A (en) Metallized polyester film capacitor
KR100458212B1 (ko) 폴리에스테르필름및그를사용한커패시터
JP3114364B2 (ja) 金属蒸着ポリエステルフィルムコンデンサ
JP2002079638A (ja) ポリエステルフィルムおよびそのポリエステルフィルムを用いた巻取り型コンデンサー
JPH08250373A (ja) コンデンサ用ポリエステルフィルム
JPH10244646A (ja) コンデンサ用積層ポリエステルフィルム
JPH10315418A (ja) コンデンサ用ポリエステルフィルム
JPH10119214A (ja) コンデンサ用金属蒸着ポリエステルフィルム
JPH10315416A (ja) コンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム
JPH10144565A (ja) コンデンサ用ポリエステルフィルム
JPH1034851A (ja) コンデンサ用ポリエステルフィルム
JP2000150298A (ja) コンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム
JP2003142332A (ja) コンデンサー用熱接着性ポリエステルフィルムおよびコンデンサー
JPH10114040A (ja) コンデンサ用二軸配向ポリエステルフイルム
JPH08290537A (ja) 二軸配向積層ポリエステルフィルム
JPH08250372A (ja) コンデンサ用ポリエステルフィルム
JPH09194603A (ja) コンデンサ用ポリエステルフィルム
JPH11170464A (ja) コンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム
JP3044795B2 (ja) 金属蒸着ポリエステルフィルムコンデンサ
JPH091754A (ja) コンデンサ用ポリエステルフィルム
JP4864178B2 (ja) コンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム