JPH091754A - コンデンサ用ポリエステルフィルム - Google Patents

コンデンサ用ポリエステルフィルム

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JPH091754A
JPH091754A JP14901595A JP14901595A JPH091754A JP H091754 A JPH091754 A JP H091754A JP 14901595 A JP14901595 A JP 14901595A JP 14901595 A JP14901595 A JP 14901595A JP H091754 A JPH091754 A JP H091754A
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JP
Japan
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film
polyester
thickness
capacitor
coating
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JP14901595A
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Yoshiki Sato
嘉記 佐藤
Yoshio Meguro
義男 目黒
Shinichi Kinoshita
信一 木下
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Diafoil Co Ltd
Original Assignee
Diafoil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電極金属層との密着性に優れ、高度な電気特
性および耐湿熱性を与える、コンデンサ誘電体用二軸配
向ポリエステルフィルムを提供する。 【構成】 ポリエステル樹脂を50重量%以上含有する
組成物からなる厚み0.005〜1.0μmの塗布層を
少なくとも片面に有する二軸配向ポリエステルフィルム
であって、フィルムの厚み方向の屈折率(nα)が1.
490未満、面配向度(ΔP)が0.170を超え、フ
ィルムの長手方向のヤング率が5.0GPa以上である
ことを特徴とするコンデンサ用ポリエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンデンサ用二軸配向
ポリエステルフィルムに関する。詳しくは、本発明は電
極金属層との密着性に優れ、高度な電気特性および耐湿
熱性を与える、コンデンサ誘電体用二軸配向ポリエステ
ルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】二軸
配向ポリエステルフィルムは、機械的性質、耐熱性、電
気的特性、耐薬品性等、各種の特性を高度にバランス良
く有し、コストパフォーマンスの点で優れるため、磁気
テープ用、包装用、製版用等の産業用資材として広く用
いられている。中でもコンデンサ用に関しては、電気機
器の小型化に伴い、小型化が可能なポリエステルフィル
ムから製造されたコンデンサの需要が急増している。
【0003】特に近年は電子機器等の発達に伴い、かか
るコンデンサ用ポリエステルフィルムの高特性化が求め
られている。まずポリエステルフィルムの電気的特性が
良好であることが必要である。例えば耐電圧特性が良好
であり、絶縁欠陥が存在しないことが必要である。特に
フィルムの厚みが薄い場合は、フィルムに異物が存在し
たり厚み斑等により絶縁性が劣ってしまうことがある。
また、誘電率や誘電損失等コンデンサ誘電体としての基
本的な特性が良好であることが要求される。しかもこれ
らの特性は、常温から高温まで広い温度範囲で良好かつ
変化が少ないことが必要である。すなわち、かかる電気
的特性が高温、高湿の条件においても長時間にわたり安
定であり、いわゆる長期耐湿熱安定性が良好であること
も必要となる。
【0004】金属蒸着ポリエステルフィルムは、基材フ
ィルムと蒸着金属との接着性、特に、高温高湿環境下で
の接着性、いわゆる耐湿熱接着性が悪いという欠点を有
しているため、従来のコンデンサは、エポキシ樹脂によ
り十分な厚みに外装されているにもかかわらず、高温高
湿下に長時間保存すると、基材フィルムと蒸着金属との
界面で透湿し、蒸着電極の腐蝕に伴う静電容量の大幅な
低下を生じるなどの問題があり、長期安定性の点で、コ
ンデンサの耐湿熱特性改良が求めれていた。
【0005】この対策として、低粘度のエポキシ樹脂を
大気下で塗布する代わりに減圧下で処理し、大気圧との
圧力差でコンデンサ素子の内部奥深くまで樹脂を浸透さ
せる方法がある。しかしながら、この低粘度エポキシ樹
脂は減圧下で発泡し、リード線に付着し、コンデンサ素
子をプリント配線板にハンダ付けする際にハンダが付か
ないという重大な不良を招きやすく、また、過電圧が加
わったときの自己回復作用も劣り、コンデンサの耐電圧
特性が悪化する。
【0006】特公平2−59612号公報には、塩化ビ
ニリデン塗布層を有するフィルムからなるコンデンサ
が、また、特公平2−59613号公報には、メラミン
および/または尿素樹脂を必須成分として配合した塗布
層を有するフィルムからなるコンデンサが、それぞれ耐
湿熱性に優れるコンデンサとして開示されている。しか
しながら、上記の公報に記載された樹脂組成物を用いて
も、湿熱環境下では必ずしも十分にコンデンサの性能が
保持されない。例えば、40℃の湿熱雰囲気下で静電容
量の低下が抑制されても、60℃以上の湿熱雰囲気下で
は、急速に静電容量の低下が生ずるなどの問題点を抱え
ていた。
【0007】かかる問題点を解決するために、塗布層を
設けたポリエステルフィルムを使用する方法が提案され
てきたが、その場合でも、いくつかの問題点が存在す
る。すなわち、塗布層の厚みがフィルム厚みに対して薄
いものの場合、フィルムの電気的特性に対する影響は小
さく、問題は顕著にはならないが、ポリエステルフィル
ムの厚みが薄くなると、全体に対する塗布層の厚みの割
合が高くなってくるため、塗布層の特性の影響も考慮し
なければならなくなる。例えば耐電圧や誘電損失等の特
性は、通常、極性基を多く含む構造を有する塗布材では
不利な影響を与えてしまうという問題があった。
【0008】また、さらに高度な特性を得るためには、
フィルムに金属蒸着を行う工程におけるフィルムに与え
られるダメージの影響に考慮する必要がある。すなわ
ち、通常の金属蒸着工程ではフィルムの巻出し、巻取り
の間で蒸着を行うことになるため、フィルムは張力がか
かった状態で熱的なダメージを受けることになる。かか
る蒸着工程で機械的および熱的に過酷な状態にさらされ
ても、フィルムが優れた特性を保持し、コンデンサ特性
を低下させないことが必要である。
【0009】最近の各種電子機器の発達は顕著であり、
コンデンサに求められる長期信頼性、特に長期耐湿熱安
定性への要求は、さらに増大している。したがって、か
かる高信頼性を有するコンデンサの誘電体に用いられる
フィルムへの要求特性も一段と厳しいものとなってき
た。しかも、近年の電気機器製品の小型化に伴うコンデ
ンサ小型化の要求も強く、その誘電体として用いるフィ
ルムの薄膜化は必須であり、上記した塗布層の影響まで
も含めた総合的な特性向上が必要になってきている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
鑑み鋭意検討を行った結果、特定の組成物からなる塗布
層を有するポリエステルフィルムであって、当該フィル
ムが特定の配向の要件を満たし、かつ機械的強度が大き
い場合に、高度な電気的特性と耐湿熱性を同時に満足す
る、コンデンサ誘電体として優れた特性が得られること
を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明の要旨は、ポリエステル
樹脂を50重量%以上含有する組成物からなる厚み0.
005〜1.0μmの塗布層を少なくとも片面に有する
二軸配向ポリエステルフィルムであって、フィルムの厚
み方向の屈折率(nα)が1.490未満、面配向度
(ΔP)が0.170を超え、フィルムの長手方向のヤ
ング率が5.0GPa以上であることを特徴とするコン
デンサ用ポリエステルフィルムに存する。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
フィルムを構成するポリエステルとは、芳香族ジカルボ
ン酸またはそのエステルとグリコールとを主たる出発原
料として得られるポリエステルであり、繰り返し構造単
位の80%以上がエチレンテレフタレート単位またはエ
チレン−2,6−ナフタレート単位を有するポリエステ
ルを指す。そして、上記の範囲を逸脱しない条件下であ
れば、他の第三成分を含有していてもよい。
【0013】芳香族ジカルボン酸成分としては、例え
ば、テレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン
酸以外に、例えば、イソフタル酸、フタル酸、アジピン
酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキ
シエトキシ安息香酸等)等を用いることができる。グリ
コール成分としては、エチレングリコール以外に、例え
ば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブ
タンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、
ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上を用い
ることができる。
【0014】かかるポリエステルの極限粘度は、通常
0.45以上、好ましくは0.50〜1.0、さらに好
ましくは0.52〜0.80の範囲である。極限粘度が
0.45未満では、フィルム製造時の生産性が低下した
り、フィルムの機械的強度が低下することがある。一
方、ポリマーの溶融押出安定性の点から、極限粘度は
1.0を超えないことが好ましい。
【0015】本発明のポリエステルフィルムは、フィル
ム製造時のキズの発生防止や、フィルムに滑り性を与え
て取扱い性を向上する目的で、ポリエステルに粒子を含
有させ、フィルム表面に適度な突起を形成させることが
好ましい。かかる粒子の例としては、炭酸カルシウム、
リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化
チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、
フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機
粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒
子、およびポリエステル重合時に生成させる析出粒子を
挙げることができる。
【0016】本発明のフィルムに含有させる粒子の平均
粒径は、好ましくは0.005〜5.0μm、さらに好
ましくは0.01〜3.0μmの範囲である。平均粒径
が5.0μmを超えると、粗面化により絶縁性が低下し
たり、粒子がフィルム表面から脱落して絶縁欠陥の原因
となる等の問題が生ずることがある。また、平均粒径が
0.005μm未満では、突起形成が不十分となる傾向
があり、フィルムの表面にキズが発生したり、フィルム
の取扱い性が低下する恐れがある。
【0017】また、粒子含有量はポリエステルに対し、
0.01〜5.0重量%、さらには0.05〜2.0重
量%、特に0.1〜1.5重量%であることが望まし
い。粒子含有量が0.01重量%未満では、フィルム表
面の突起が不足して滑り性が不十分となることがある。
一方、粒子含有量が5.0重量%を超えると、粒子の脱
落が起こりやすくなったり、粒子が凝集して粗大突起を
形成し、絶縁欠陥等の問題が生ずるようになる傾向があ
る。フィルム中に、上述の粒子を2種類以上配合しても
よく、同種の粒子で粒径の異なるものを配合してもよ
い。いずれにしても、フィルムに含有する粒子全体の平
均粒径、および合計の含有量が上記した範囲を満足する
ことが好ましい。
【0018】粒子を含むポリエステルの製造に際して、
粒子はポリエステルの合成反応中に添加してもポリエス
テルに直接添加してもよい。合成反応中に添加する場合
は、粒子をエチレングリコール等に分散させたスラリー
として、ポリエステル合成の任意の段階で添加する方法
が好ましい。一方、ポリエステルに直接添加する場合
は、乾燥した粒子として、または、水あるいは沸点が2
00℃以下の有機溶媒中に分散したスラリーとして、2
軸混練押出機を用いてポリエステルに添加混合する方法
が好ましい。なお、添加する粒子は、必要に応じ、こと
前に解砕、分散、分級、濾過等の処理を施しておいても
よい。
【0019】粒子の含有量を調節する方法としては、上
記した方法で高濃度に粒子を含有するマスター原料を作
っておき、それを製膜時に、実質的に粒子を含有しない
原料で希釈して粒子含有量を調節する方法が有効であ
る。また、上記の突起形成剤以外の添加剤として、必要
に応じて、帯電防止剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロ
ッキング防止剤、酸化防止剤、着色剤、光線遮断剤、紫
外線吸収剤などを、コンデンサ特性を悪化させない範囲
内で含有していてもよい。
【0020】本発明のポリエステルフィルムは、最終的
に得られる特性が本発明の要件を満足する限り、多層構
造となっていても構わない。本発明のフィルムは、蒸着
金属との接着性を高めるため、フィルム表面にポリエス
テル樹脂を50重量%以上含有する組成物からなる塗布
層を設ける。当該組成物はポリエステル樹脂以外の一種
または二種以上の樹脂を同時に含有してもよく、かかる
樹脂の例として、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアク
リレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルアルコール、ポリウレタンなどの樹脂お
よびこれらの樹脂の共重合体などを挙げることができ
る。かかる樹脂をポリエステル樹脂に混合してもよく、
ポリエステルに結合させて共重合化してもよい。
【0021】本発明における塗布層に用いるポリエステ
ル樹脂とは、ポリマー主鎖にエステル結合を有する樹脂
を指す。かかるポリエステル樹脂を構成する成分として
以下のような多価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合
物を例示できる。すなわち、多価カルボン酸としては、
テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル
酸、4,4’ージフェニルジカルボン酸、2,5ーナフ
タレンジカルボン酸、2,6ーナフタレンジカルボン
酸、1,4ーシクロヘキサンジカルボン酸、2ーカリウ
ムスルホテレフタル酸、5ーソジウムスルホイソフタル
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
ジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット
酸、トリメシン酸、無水トリメリット酸、無水フタル
酸、p−ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリ
ウム塩、およびこれらのエステル形成性誘導体などを用
いることができ、多価ヒドロキシ化合物としては、エチ
レングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,
3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペン
タンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シク
ロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコール、
ビスフェノールA−エチレングリコール付加物、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラ
メチレングリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリ
コール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリ
メチロールプロパン、ジメチロールエチルスルホン酸ナ
トリウム、ジメチロールプロピオン酸カリウムなどを挙
げることができる。
【0022】これらの化合物の中からそれぞれ適宜一つ
以上選択してポリエステル樹脂を常法の重縮合反応によ
って製造する。本発明の塗布剤として用いるポリエステ
ル樹脂は、安全衛生上、水を媒体とする塗布剤であるこ
とが望ましいが、本発明の要旨を超えない範囲内で、水
溶性または水分散性樹脂の助剤として有機溶剤を含有し
ていてもよい。水を媒体とする場合は、界面活性剤など
によって強制分散化した塗布剤であってもよいが、好ま
しくはポリエ−テル類のような親水性のノニオン成分
や、四級アンモニウム塩のようなカチオン性基を有する
自己分散型塗布剤であり、さらに好ましくは、アニオン
性基を有する水溶性または水分散性の塗布剤である。ア
ニオン性基を有する水溶性または水分散性の塗布剤と
は、アニオン性基を有する化合物を共重合やグラフトな
どにより樹脂に結合させたものであり、スルホン酸、カ
ルボン酸、リン酸およびそれらの塩等から、適宜選択さ
れる。
【0023】樹脂に水溶性を付与するためには、アニオ
ン性基の対イオンをアルカリ金属イオンとするのがよい
が、後述するコンデンサの耐湿熱性の観点からアニオン
性基の対イオンはアンモニウムイオンを含むアミン系オ
ニウムイオンから選択するのが好ましい。アニオン性基
を有する水溶性または水分散性の塗布剤のアニオン性基
の量は、0.05〜10重量%の範囲が好ましい。アニ
オン性基量が0.05重量%未満では、樹脂の水溶性あ
るいは水分散性が劣ることがあり、アニオン性基量が1
0重量%を超えると、塗布後の下塗り層の耐水性が劣っ
たり、吸湿してフィルムが相互に固着したり、耐湿熱接
着性を低下させたりすることがある。
【0024】また、本発明における塗布液には、塗布層
の固着性(ブロッキング性)、耐水性、耐溶剤性、機械
的強度の改良のために架橋剤としてメチロール化あるい
はアルキロール化した尿素系、メラミン系、グアナミン
系、アクリルアミド系、ポリアミド系等の化合物、エポ
キシ系化合物、アジリジン化合物、ブロックポリイソシ
アネート、シランカップリング剤、チタンカップリング
剤、ジルコーアルミネート系カップリング剤、過酸化
物、熱および光反応性のビニル化合物や感光性樹脂など
を含有してもよい。
【0025】また、固着性や滑り性改良のために、塗布
層中に無機系微粒子としてシリカ、シリカゾル、アルミ
ナ、アルミナゾル、ジルコニウムゾル、カオリン、タル
ク、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化チタン、
硫酸バリウム、カ−ボンブラック、硫化モリブデン、酸
化アンチモンゾルなどを、有機系微粒子としてポリスチ
レン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ
アクリル酸エステル、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、
フッ素樹脂などを含有していてもよい。さらに、必要に
応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、有
機系潤滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染
料、顔料などを含有していてもよい。
【0026】上述の塗布液をポリエステルフィルムに塗
布する方法としては原崎勇次著、槙書店、1979年発
行、「コーティング方式」に示されるリバ−スロールコ
ーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドク
ターコーターあるいはこれら以外の塗布装置を用いるこ
とができる。塗布層は、フィルム製造工程内で設けても
よいし、フィルム製造後に塗布してもよい。特に塗布厚
みの均一性や、生産効率の点で、フィルム製造工程内で
塗布する方法が好ましい。
【0027】フィルム製造工程内で塗布する方法として
は、ポリエステル未延伸フィルムに塗布液を塗布し、逐
次あるいは、同時に二軸延伸する方法、一軸延伸された
ポリエステルフィルムに塗布し、さらに先の一軸延伸方
向と直角の方向に延伸する方法、あるいは二軸延伸ポリ
エステルフィルムに塗布し、さらに横および/または縦
方向に延伸する方法などがある。塗布層の厚さは、0.
005〜1.0μmの範囲であり、好ましくは0.01
〜0.5μmの範囲である。塗布層の厚さは、コンデン
サ小型化の要請からも薄くすることが好ましい。特に塗
布層厚みが1.0μmを超えると電気的特性を悪化させ
るので好ましくない。一方、塗布層の厚みが0.005
μm未満の場合には、塗布ムラや塗布ヌケが生じやすく
なり好ましくない。
【0028】上記のようにして形成された塗布層の水滴
接触角は60°以上であることが好ましい。水滴接触角
が60°未満であると、金属蒸着膜との耐水接着性が劣
ることがある。したがって、塗布剤の親水基量、乳化剤
量、親水性化合物量を適宜変更することが好ましい。ま
た、上記のように形成された塗布層表面の中心線平均粗
さ(Ra)は好ましくは0.005〜0.5μmの範囲
であり、さらに好ましくは0.01〜0.3μmの範囲
であり、特に好ましくは0.02〜0.1μmの範囲で
ある。Raが0.005μm未満では、フィルムの滑り
性が不十分となることがある。一方、Raが0.5μm
を超えると、表面が粗れすぎて耐電圧特性や耐湿熱特性
が悪化することがある。
【0029】上記したように、フィルムに塗布層を設け
ることにより耐湿熱特性を向上できるが、かかる塗布層
を設けるフィルムの配向特性が本発明の範囲内である場
合、耐湿熱安定性がさらに高度に達成される。すなわ
ち、フィルムの厚み方向の屈折率(nα)が1.490
未満、面配向度(ΔP)が0.170を超える場合、優
れた特性を得ることができる。面配向度は、フィルムの
主配向方向の屈折率をnγ、主配向方向と直角方向の屈
折率をnβ、厚み方向の屈折率をnαとすると、
【0030】
【数1】ΔP=(nγ+nβ)/2−nα で与えられる。
【0031】nαおよびΔPが本発明の条件を満足する
場合、フィルム自身や塗布層の厚み均一性が良好とな
り、また、金属蒸着時に受ける熱によるフィルムのダメ
ージが小さくなるため、得られる耐湿熱性が極めて高度
なものになると考えられる。本発明のかかる効果を一層
高めるため、nαを1.487未満、ΔPを0.173
以上とすることが好ましい。
【0032】さらに本発明においてはかかる配向特性に
加え、フィルムの平均屈折率が1.6060未満、好ま
しくは1.6020を超え1.6050未満である場
合、フィルムの電気特性、例えば誘電率や誘電損失特性
が良好になり、塗布層が極性基を多数含有するため電気
特性を悪化させる可能性があるような場合でも、フィル
ム全体としての電気特性は極めて良好なものとなるため
好ましい。平均屈折率nave は、面配向度を求めた場合
と同じ屈折率を用いて、
【0033】
【数2】nave =(nα+nβ+nγ)/3 で与えられる。
【0034】かかるフィルムの配向条件に加え、本発明
のフィルムの長手方向のヤング率は5.0GPa以上で
ある必要があり、5.5GPa以上であることが好まし
い。かかる条件を満足する場合、高度な耐湿熱性が得ら
れる。すなわち、フィルムに金属蒸着を行う工程では、
フィルムを巻出し、一定の張力をかけて走行させながら
蒸着する。したがって、かかる張力に対して十分な強
度、すなわちヤング率を持っていなければ、フィルムは
張力に耐えられず、しかも蒸着による熱により大きなダ
メージを受けることになる。本発明者らの知るところに
よればかかるダメージを受けた場合、蒸着フィルムの耐
熱寸法安定性が低下するため、コンデンサ製造時の歩留
まりが低下したり、得られたコンデンサの電気的特性や
耐湿熱性が低下してしまう。フィルムの長手方向のヤン
グ率が本発明の範囲にあるならば、かかる電気特性や耐
湿熱性が高度に満足されるのである。これに加え、10
0℃におけるフィルムの長手方向のヤング率が1.0G
Pa以上、好ましくは1.2GPa以上である場合、か
かる蒸着時の熱によるダメージを受けにくくなるため、
コンデンサの電気特性と耐湿熱性がさらに高度に満足さ
れる。
【0035】また、本発明のフィルムは、120℃で3
0分間処理した後の長手方向の収縮率が3.0%未満で
あることが好ましく、2.5%未満がさらに好ましい。
かかる長手方向の熱収縮率が大きい場合は、コンデンサ
製造時の熱を受ける工程でフィルムが寸法変化を起こ
し、生産性が悪化したり、コンデンサの寿命が短縮され
てしまう等の問題が起こる。
【0036】次に、本発明のフィルムの製造法を具体的
に説明する。ポリエステル原料を、押出装置に供給し、
ポリエステルの融点以上の温度で溶融押出してスリット
状のダイから溶融シートとして押し出す。次に、溶融シ
ートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度
になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シ
ートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるた
め、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが
好ましく、本発明においては静電印加密着法および/ま
たは液体塗布密着法が好ましく採用される。
【0037】静電印加密着法とは、通常、シートの上面
側にシートの流れと直交する方向に線状電極を張り、当
該電極に約5〜10kVの直流電圧を印加することによ
りシートに静電荷を与え、ドラムとの密着性を向上させ
る方法である。また、液体塗布密着法とは、回転冷却ド
ラム表面の全体または一部(例えばシート両端部と接触
する部分のみ)に液体を均一に塗布することにより、ド
ラムとシートとの密着性を向上させる方法である。本発
明においては必要に応じ両者を併用してもよい。
【0038】本発明においてはこのようにして得られた
シートを二軸方向に延伸してフィルム化するが、その延
伸および熱処理条件を適切な範囲とすることにより本発
明のフィルムの特徴である配向とヤング率を達成させる
ことができる。二軸延伸条件について具体的に述べる
と、前記未延伸シートをまず第一軸方向にその複屈折率
(Δn)が0.08以上、好ましくは0.09以上とな
るように延伸する。延伸温度範囲は70〜150℃、延
伸倍率は2.5〜6倍の範囲とし、温度と倍率を適宜組
み合わせることにより、所望の複屈折率となるようにす
る。延伸は一段階又は二段階以上で行うことができる。
次に第二軸方向、すなわち第一軸方向と直交する方向に
一軸配向フィルムを一旦ガラス転移点以下に冷却する
か、または冷却することなく例えば80〜150℃の温
度範囲に予熱して、さらにほぼ同温度の下で2.5〜5
倍、好ましくは3.0〜4.5倍に延伸を行い、二軸に
配向したフィルムを得る。なお、第一軸方向の延伸を2
段階以上で行うことにより、良好な厚さ均一性を達成で
きるので好ましい。また、横延伸した後さらに長手方向
に再延伸する方法も可能であるが、いずれにしても長手
方向の総合延伸倍率を3.5倍以上とすることが好適で
ある。
【0039】かくして得られたフィルムを、30%以内
の伸長、制限収縮、または定長下で1秒〜5分間熱処理
する。この際、熱処理工程内または熱処理後に長手方向
または横方向、あるいは両方向に再延伸を行ってもよ
い。本発明においては、フィルム密度を1.3990g
/cm3 未満、さらには1.3980g/cm3 未満と
することが望ましく、かかる特性を満足するため、上記
した熱処理工程の温度を適宜選択する。熱処理温度は、
延伸条件にもよるが、好ましくは180〜250℃、さ
らに好ましくは200〜240℃の範囲である。熱処理
温度が250℃を超えるとフィルム密度が高くなりすぎ
て高度な電気的特性が得られなくなる。一方、180℃
未満ではフィルムの熱収縮率が大きくなって、コンデン
サ製造時に熱を受ける工程で寸法変化を起こし、コンデ
ンサの生産性を悪化させたり、耐電圧等のコンデンサ特
性が低下する等の問題が生ずる。本発明のフィルムの塗
布層を設ける方法としては、特に、ロール延伸法により
第一軸方向に延伸された一軸延伸ポリエステルフィルム
に塗布液を塗布し、適当な乾燥を施し、あるいは乾燥を
施さず一軸延伸フィルムを直ちに第二軸方向に延伸し、
熱処理を行う方法が好ましい。
【0040】本方法によるならば、延伸と同時に塗布層
の乾燥が可能になると共に塗布層の厚さを延伸倍率に応
じて薄くすることができ、かつ厚さの均一性が良好とな
り、しかもフィルムと塗布層との密着性も極めて強固と
することができる。コスト的にも有利で、コンデンサ誘
電体用基材として好適なフィルムを安価に製造できる。
なお、本方法により塗布を行う場合には、得られる塗布
層の厚みは好ましくは0.005〜0.5μm、さらに
好ましくは0.01μm〜0.2μmの範囲である。
0.5μmを超える厚みの塗布層を本方法で形成させよ
うとすると、塗布層の乾燥に多量の熱量が必要となり、
延伸斑の原因となってしまうため好ましくない。一方
0.005μm以下の厚みの塗布層を設けることは、塗
布ムラや塗布ヌケが生じやすくなるため好ましくない。
【0041】本発明における塗布層は、ポリエステルフ
ィルムの片面だけに設けてもよいが、両面に設けること
が好ましい。また、片面にのみ塗布した場合、その反対
面には本発明における塗布液以外の塗布層を必要に応じ
て形成し、本発明のポリエステルフィルムに他の特性を
付与することもできる。なお、塗布剤のフィルムへの塗
布性、接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学
処理や放電処理を施してもよい。処理効率やコスト、処
理の簡便さからコロナ放電処理を行うことが特に好まし
い。また、本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの塗
布層の接着性、塗布性などを改良するために、塗布層形
成後に塗布層に放電処理を施すこともできる。
【0042】本発明のフィルムを用いてコンデンサを製
造する際、金属蒸着により電極を形成する場合は、蒸着
する金属として、アルミニウム、パラジウム、亜鉛、ニ
ッケル、金、銀、銅、インジウム、錫、クロム、チタン
等が挙げられるが、特に好ましい金属はアルミニウムで
ある。なお、上記の金属には金属の酸化物も含まれる。
【0043】金属蒸着膜の厚さは10〜2000Åの範
囲が好ましく、蒸着の方法は、一般的には真空蒸着法に
よるが、エレクトロプレーティング法、スパッタリング
法等の方法によってもよい。なお、金属蒸着層はポリエ
ステルフィルムの両面に設けてもよい。また、金属蒸着
後に蒸着金属層の表面処理や他の樹脂による被覆処理を
行ってもよい。このようにして得られた金属蒸着ポリエ
ステルフィルムを2枚重ね合わせて巻回(両面金属蒸着
ポリエステルフィルムと本発明におけるポリエステルフ
ィルムを含む他のフィルムとの巻回も含む)、または多
数枚積層してコンデンサ素子を作り、常法に従って、例
えば、熱プレス、テーピング、メタリコン、電圧処理、
両端面封止、リード線取り付けなどを行ってコンデンサ
とすることができるが、もちろんこれらに限定されるわ
けではない。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下
の実施例によって限定されるものではない。なお、実施
例中の評価方法は下記のとおりである。実施例および比
較例中、「部」とあるのは「重量部」を示す。 (1)ポリマーの極限粘度 [η] (dl/g) ポリマー1gをフェノール/テトラクロロエタン=50
/50(重量比)の混合溶媒100mlに溶解し、30
℃で測定した。 (2)粒子の平均粒径(μm) 島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP
3型)で測定した等価球形分布における積算体積分率5
0%の粒径を平均粒径とした。
【0045】(3)中心線平均粗さ(Ra) (μm) (株)小坂研究所製表面粗さ測定機(SE−3F)を用
いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲
線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の
部分を抜きとり、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦
倍率の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x)で表した
とき、次式で与えられた値を〔μm〕で表した。中心線
平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を
求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心
線平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は
2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08
mmとした。
【0046】
【数3】
【0047】(4)面配向度(ΔP)、厚み方向の屈折
率(nα)および平均屈折率(nave) アタゴ光学社製アッベ式屈折計を用い、フィルム面内の
屈折率の最大値nγ、それに直角の方向の屈折率nβ、
およびフィルム厚さ方向の屈折率nαを測定し、次式よ
り面配向度ΔPを算出した。なお、屈折率の測定は、ナ
トリウムD線を用い、23℃で行った。
【0048】
【数4】
【0049】
【数5】
【0050】(5)フィルムの密度(g/cm3 ) n−ヘプタンと四塩化炭素との混合液による密度勾配管
法により測定した。なお、測定温度は25℃で行った。 (6)ヤング率(GPa) (株)インテスコ製 引張試験機インテスコモデル20
01型を用いて、温度23℃、湿度50%RHに調節さ
れた室内において測定した。すなわち、長さ300m
m、幅25mmの試料フィルムを、10%/分のひずみ
速度で引張り、引張応力−ひずみ曲線の初めの直線部分
を用いて次の式によって計算する。
【0051】
【数6】E=Δσ/Δε (上記式中、Eは引張弾性率、Δσは直線上の2点間の
元の平均断面積による応力差、Δεは同じ2点間のひず
み差) なお、平均断面積を求める際のフィルムの厚みは重量法
により求めた。すなわち、10cm×10cmの正方形
に切り出したフィルム100枚の合計重量を測定し、フ
ィルムの密度を用いて算出した。
【0052】(7)水滴接触角(゜) 温度23℃、湿度50%RH雰囲気下での試料フィルム
と蒸留水との接触角を接触角計(協和界面化(株)社
製、CA−DT−A型)を用いて測定した。接触角は、
左右2点、試料数3点で計6点測定し、平均値を求め接
触角とした。なお、水滴の直径は2mmとし、滴下後1
分後の数値を読み取った。
【0053】(8)電気的特性評価 (i)耐電圧特性 JIS C−2319に準じて測定を行った。すなわ
ち、10kV直流耐電圧試験機を用い、23℃、50%
RHの雰囲気下にて、100V/秒の昇圧速度で上昇さ
せ、フィルムが破壊し短絡した時の電圧を読み取った。
【0054】(ii)静電容量の変化 (コンデンサの製造)以下のようにしてコンデンサを製
造して評価した。すなわち、フィルム表面に、抵抗加熱
型金属蒸着装置を用い、真空室の圧力を10-4Torr
以下としてアルミニウムを450Åの厚みに蒸着した。
その際、ポリエステルフィルムの長手方向にマ−ジン部
を有するストライプ状に蒸着した(蒸着部の幅8mm、
マ−ジン部の幅1mmの繰り返し)。得られた蒸着ポリ
エステルフィルムは、左または右に幅1mmのマ−ジン
部を有する4.5mm幅のテ−プ状にスリットした。得
られた、左マ−ジンおよび右マ−ジンの蒸着ポリエステ
ルフィルム各1枚づつを併せて巻回し、巻回体を得た。
このとき、幅方向に蒸着部分が、0.5mmづつはみ出
すように2枚のフィルムをずらして巻回した。この巻回
体を温度140℃、圧力50kg/cm2 、で5分間プ
レスした。プレス後の巻回体の両端面にメタリコンを溶
射後リード線を付した後、液状のビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂による含浸層、および粉末状エポキシ樹脂を
加熱溶融することによる最低厚さ0.5mmの外装を形
成して、静電容量0.1μFのフィルムコンデンサとし
た。
【0055】(静電容量変化の測定)得られたコンデン
サの電極間に60V/μmの直流電圧を印加しつつ温度
60℃、湿度95%RHの雰囲気下に1000時間放置
し、初期静電容量を基準値とする静電容量変化率を求め
た。すなわち、1000時間後の静電容量から初期静電
容量を差し引いた値を、初期静電容量で除して百分率で
表記した。
【0056】(iii)交流耐電圧 上記で得られたコンデンサの電極間に1kHzの交流電
圧を印加し、絶縁破壊が起こるまでの時間tを測定し
た。印加電圧Vを変えて同じ測定を行い、Vとtとの関
係をプロットし、t=15時間の時の印加電圧を交流耐
電圧とした。かかる交流耐電圧の100℃での値と25
℃での値を比較して、以下の基準で評価した。 ランクA:100℃でも交流耐電圧の低下は小さく、良
好 ランクB:100℃で交流耐電圧やや低下するが、実用
上問題ない ランクC:100℃での交流耐電圧の低下が大きく、実
用上問題がある
【0057】実施例1 (塗布層用ポリエステルの合成)テレフタル酸ジメチル
30部、イソフタル酸ジメチル70部、セバシン酸ジメ
チル15部、ジメチル−5−スルホイソフタレートナト
リウム塩6部、エチレングリコール80部を出発原料と
し、触媒として酢酸マンガン四水塩0.04部を加え、
加熱昇温するとともにメタノールを留去してエステル交
換反応を行い、反応開始から3時間を要して230℃ま
で昇温し、実質的にエステル交換反応を終了させた。次
いで、この反応混合物にリン酸0.005部を添加し、
さらに、三酸化アンチモン0.04部を加えて重縮合反
応を行い、4時間後に極限粘度0.50の共重合ポリエ
ステルを得た。得られた共重合ポリエステル20部をテ
トラヒドロフラン80部に溶解させた液に、高速攪拌下
で水180部を加えた後、加温してテトラヒドロフラン
を揮散させて、共重合ポリエステル水分散体(a)を得
た。
【0058】(フィルム原料ポリエステルの製造)ジメ
チルテレフタレート100部、エチレングリコール60
部および酢酸カルシウム1水塩0.09部を反応器にと
り、加熱昇温するとともにメタノールを留去してエステ
ル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230
℃まで昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。
次いで、粒径1.0μmのシリカ粒子0.3部をエチレ
ングリコールスラリ−として添加した。スラリー添加
後、さらにリン酸0.06部、三酸化アンチモン0.0
4部を加え、徐々に反応系を減圧とし、温度を高めて重
縮合反応を4時間行い、極限粘度0.65のポリエステ
ル(A)を得た。
【0059】(ポリエステルフィルムの製造)ポリエス
テル(A)を常法により乾燥して押出機に供給し、29
0℃で溶融してシート状に押出し、静電印加密着法を用
いて冷却ロール上で急冷し、無定形シートとした。得ら
れたシートを、ロール延伸法を用いて縦方向に84℃で
2.9倍延伸した後、さらに70℃で1.7倍延伸し
た。該一軸延伸フィルムに上述の共重合ポリエステル水
分散体(a)をフィルムの両面に塗布し、次いでフィル
ムをテンターに導いて、横方向に110℃で4.1倍延
伸し、230℃で熱処理を行い、塗布層の厚さ0.04
μm 、フィルムの厚さ5.0μm の二軸延伸ポリエス
テルフィルムを得た。塗布層の水滴接触角は62°、中
心線平均粗さ(Ra)は0.045μm であった。得
られたフィルムを用いて作成した金属蒸着フィルムコン
デンサは、下記表1に示すとおり、耐電圧特性に優れ、
静電容量の変化の少ない、耐湿熱特性に優れる金属蒸着
ポリエステルフィルムコンデンサであった。
【0060】実施例2 塗布剤として芳香族ポリエステルポリウレタンを以下の
ように製造した。すなわち、テレフタル酸660部、イ
ソフタル酸635部、1,4−ブタンジオール72部、
ネオペンチルグリコール447部を出発原料としてポリ
エステルポリオールを得、これにアジピン酸320部、
ジメチロールプロピオン酸270部を加え、カルボキシ
ル基含有ポリエステルポリオールを得た。このポリエス
テルポリオール1880部にトリレンジイソシアネート
160部を加えて芳香族ポリエステルポリウレタン溶液
を得た。得られた溶液をアンモニア水溶液中に投入しな
がら溶剤を除去し、芳香族ポリエステルポリウレタン水
分散体(b)を得た。得られた水分散体(b)と実施例
1で製造した共重合ポリエステル水分散体(a)とを混
合して、固形分として共重合ポリエステル/芳香族ポリ
エステルポリウレタンの重量比が60/40となるよう
にした塗布剤を両面に塗布し、フィルム製造条件は実施
例1と同様にして塗布厚み0.04μm、フィルム厚み
5.0μmの二軸延伸フィルムを得た。
【0061】実施例3 実施例2において、共重合ポリエステル/芳香族ポリエ
ステルポリウレタンの重量比が固形分として70部/3
0部となるように混合し、かつ架橋剤としてトリエチレ
ングリコールジグリシジルエーテルを10部添加した塗
布剤を用いたこと以外は実施例2と同様にして塗布厚み
0.05μm、フィルム厚み5.0μmの二軸延伸フィ
ルムを得た。
【0062】実施例4 実施例1において、フィルムの熱処理温度を205℃と
したこと以外は実施例1と同様にして塗布厚み0.04
μm、フィルム厚み5.0μmの二軸配向フィルムを得
た。 実施例5 実施例1において、フィルムの熱処理温度を245℃と
したこと以外は実施例1と同様にして、塗布厚み0.0
4μm、フィルム厚み5.0μmの二軸配向ポリエステ
ルフィルムを得た。該フィルムを用いて製造したコンデ
ンサは、交流耐電圧にやや劣るものであった。
【0063】比較例1 実施例1において塗布液を塗布しないこと以外は実施例
1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。得られた
フィルムを用いて製造したコンデンサは、実施例1と比
較して、耐湿熱特性に劣っていた。 比較例2 実施例1において、フィルム延伸条件を次のように変更
した。すなわち、ロール延伸法による縦方向の延伸を、
まず85℃にて2.4倍、次いで75℃にて1.1倍と
し、塗布層形成後、テンターで110℃にて4.5倍横
延伸し、さらに230℃で熱処理を行った。なお、塗布
剤の組成は実施例1と同じとした。得られたフィルムを
用いて製造したコンデンサは、交流耐電圧に劣るもので
あった。
【0064】比較例3 アクリル酸エチル50部、メタクリル酸メチル40部、
メタクリル酸10部、ドデシルメルカプタン0.3部、
水1部に溶解したラウリル硫酸ソーダ0.25部を均一
に混合し、単量体エマルジョンを得た。この単量体エマ
ルジョンと、水1.5部に溶解した過硫酸アンモニウム
0.8部とを各々別個に、温度75℃の水190部中に
滴下して反応を行い、この間反応温度を75〜85℃に
維持した。滴下終了後、さらに3分間80℃に維持しつ
つ、この中に28%アンモニア水を加え反応液のpHを
7.5に調節し、そのまま30分間熟成を行い、ポリア
クリル水分散体(c)を得た。
【0065】得られたポリアクリル水分散体(c)と実
施例1で製造した共重合ポリエステル水分散体(a)と
を混合して、固形分として共重合ポリエステル/ポリア
クリルの重量比が30/70となるようにした塗布剤を
両面に塗布し、フィルム製造条件は実施例1と同様にし
て塗布厚み0.04μm、フィルム厚み5.0μmの二
軸延伸フィルムを得た。以上、得られた結果をまとめて
下記表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【発明の効果】本発明のフィルムは、電極金属層との密
着性に優れ、金属蒸着フィルムコンデンサの誘電体とし
て用いたときに、高度な電気特性と耐湿熱特性を与え、
コンデンサの長期信頼性向上に寄与することができ、そ
の工業的価値は高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 9:00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル樹脂を50重量%以上含有
    する組成物からなる厚み0.005〜1.0μmの塗布
    層を少なくとも片面に有する二軸配向ポリエステルフィ
    ルムであって、フィルムの厚み方向の屈折率(nα)が
    1.490未満、面配向度(ΔP)が0.170を超
    え、フィルムの長手方向のヤング率が5.0GPa以上
    であることを特徴とするコンデンサ用ポリエステルフィ
    ルム。
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