JPH08250373A - コンデンサ用ポリエステルフィルム - Google Patents

コンデンサ用ポリエステルフィルム

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JPH08250373A
JPH08250373A JP5557995A JP5557995A JPH08250373A JP H08250373 A JPH08250373 A JP H08250373A JP 5557995 A JP5557995 A JP 5557995A JP 5557995 A JP5557995 A JP 5557995A JP H08250373 A JPH08250373 A JP H08250373A
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film
capacitor
polyester
coating
coating layer
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JP5557995A
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Yoshiki Sato
嘉記 佐藤
Shinichi Kinoshita
信一 木下
Yoshio Meguro
義男 目黒
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Diafoil Co Ltd
Original Assignee
Diafoil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電極金属層との密着性に優れ、金属蒸着フィ
ルムコンデンサの誘電体として用いたときに、高度な電
気特性と耐湿熱特性を与え、コンデンサの長期信頼性向
上できるポリエステルフィルムを提供する。 【構成】 少なくとも片面に水溶性または水分散性樹脂
からなる厚み0.005〜1.0μmの塗布層を有し、
かつフィルムの厚み方向の屈折率(nα)が1.490
未満、面配向度(ΔP)が0.170を超え、フィルム
の長手方向のヤング率が5.0GPa以上であることを
特徴とするコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィル
ム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンデンサ用二軸配向
ポリエステルフィルムに関する。詳しくは、本発明は、
電極金属層との密着性に優れ、高度な電気特性および耐
湿熱性を与える、コンデンサ誘電体用二軸配向ポリエス
テルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】二軸
配向ポリエステルフィルムは、機械的性質、耐熱性、電
気的特性、耐薬品性等、各種の特性を高度にバランス良
く有し、コストパフォーマンスの点で優れるため、磁気
テープ用、包装用、製版用等の産業用資材として広く用
いられている。中でもコンデンサ用に関しては、電気機
器の小型化に伴い、小型化が可能なポリエステルフィル
ムから製造されたコンデンサの需要が急増している。
【0003】特に近年は、電子機器等の発達に伴い、か
かるコンデンサ用ポリエステルフィルムの高特性化が求
められている。まずポリエステルフィルムの電気的特性
が良好であることが必要である。例えば耐電圧特性が良
好であり、絶縁欠陥が存在しないことが必要である。特
にフィルムの厚みが薄い場合は、フィルムに異物が存在
したり、厚み斑等により絶縁性が劣ってしまうことがあ
る。また、誘電率や誘電損失等コンデンサ誘電体として
の基本的な特性が良好であることが要求される。しかも
これらの特性は、常温から高温まで広い温度範囲で良好
かつ変化が少ないことが必要である。すなわち、かかる
電気的特性が高温、高湿の条件においても長時間にわた
り安定であり、いわゆる長期耐湿熱安定性が良好である
ことも必要となる。
【0004】金属蒸着ポリエステルフィルムは、基材フ
ィルムと蒸着金属との接着性、特に高温高湿環境下での
接着性、いわゆる耐湿熱接着性が悪いという欠点を有し
ているため、従来のコンデンサは、エポキシ樹脂により
十分な厚みに外装されているにもかかわらず、高温高湿
下に長時間保存すると、基材フィルムと蒸着金属との界
面で透湿し、蒸着電極の腐蝕に伴う静電容量の大幅な低
下を生じるなどの問題があり、長期安定性の点で、コン
デンサの耐湿熱特性改良が求めれている。
【0005】この対策として、低粘度のエポキシ樹脂を
大気下で塗布する代わりに減圧下で処理し、大気圧との
圧力差でコンデンサ素子の内部奥深くまで樹脂を浸透さ
せる方法がある。しかしながら、この低粘度エポキシ樹
脂は減圧下で発泡し、リード線に付着し、コンデンサ素
子をプリント配線板にハンダ付けする際に、ハンダが付
かないという重大な不良を招きやすく、また、過電圧が
加わったときの自己回復作用も劣り、コンデンサの耐電
圧特性が悪化する。
【0006】特公平2−59612号公報には、塩化ビ
ニリデン塗布層を有するフィルムからなるコンデンサ
が、また、特公平2−59613号公報には、メラミン
および/または尿素樹脂を必須成分として配合した塗布
層を有するフィルムからなるコンデンサが、それぞれ耐
湿熱性に優れるコンデンサとして開示されている。しか
しながら、上記の公報に記載された樹脂組成物を用いて
も、湿熱環境下では必ずしも十分にコンデンサの性能が
保持されない。例えば、40℃の湿熱雰囲気下で静電容
量の低下が抑制されても、60℃以上の湿熱雰囲気下で
は、急速に静電容量の低下が生ずるなどの問題点を抱え
ている。
【0007】かかる問題点を解決するために、塗布層を
設けたポリエステルフィルムを使用する方法が提案され
てきたが、その場合でも、いくつかの問題点が存在す
る。すなわち、塗布層の厚みがフィルム厚みに対して薄
いものの場合、フィルムの電気的特性に対する影響は小
さく、問題は顕著にはならないが、ポリエステルフィル
ムの厚みが薄くなると、全体に対する塗布層の厚みの割
合が高くなってくるため、塗布層の特性の影響も考慮し
なければならなくなる。例えば耐電圧や誘電損失等の特
性は、通常、極性基を多く含む構造を有する塗布材では
不利な影響を与えてしまうという問題がある。
【0008】また、さらに高度な特性を得るためには、
フィルムに金属蒸着を行う工程におけるフィルムに与え
られるダメージの影響に考慮する必要がある。すなわ
ち、通常の金属蒸着工程ではフィルムの巻出し、巻取り
の間で蒸着を行うことになるため、フィルムは張力がか
かった状態で熱的なダメージを受けることになる。かか
る蒸着工程で機械的および熱的に過酷な状態にさらされ
ても、フィルムが優れた特性を保持し、コンデンサ特性
を低下させないことが必要である。
【0009】最近の各種電子機器の発達は顕著であり、
コンデンサに求められる長期信頼性、特に長期耐湿熱安
定性への要求は、さらに増大している。従って、かかる
高信頼性を有するコンデンサの誘電体に用いられるフィ
ルムへの要求特性も一段と厳しいものとなってきた。し
かも、近年の電気機器製品の小型化に伴うコンデンサ小
型化の要求も強く、その誘電体として用いるフィルムの
薄膜化は必須であり、上記した塗布層の影響までも含め
た総合的な特性向上が必要になってきている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み鋭意検討を行った結果、塗布層を有するポリエス
テルフィルムであって、当該フィルムが特定の配向の要
件を満たし、かつ機械的強度が大きい場合に、高度な電
気的特性と耐湿熱性を同時に満足でき、コンデンサ誘電
体として優れた特性を有することを見いだし、本発明を
完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明の要旨は、少なくとも片
面に水溶性または水分散性樹脂からなる厚み0.005
μm〜1.0μmの塗布層を有し、かつフィルムの厚み
方向の屈折率(nα)が1.490未満、面配向度(Δ
P)が0.170を超え、フィルムの長手方向のヤング
率が5.0GPa以上であることを特徴とするコンデン
サ用二軸配向ポリエステルフィルムに存する。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
フィルムを構成するポリエステルとは、芳香族ジカルボ
ン酸またはそのエステルとグリコールとを主たる出発原
料として得られるポリエステルであり、繰り返し構造単
位の80%以上がエチレンテレフタレート単位またはエ
チレン−2,6−ナフタレート単位を有するポリエステ
ルを指す。そして、上記の範囲を逸脱しない条件下であ
れば、他の第三成分を含有していてもよい。かかる第三
成分のうち芳香族ジカルボン酸成分としては、例えばテ
レフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸以外
に、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン
酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシエトキシ安
息香酸等)等を用いることができる。またグリコール成
分としては、エチレングリコール以外に、例えば、ジエ
チレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペン
チルグリコール等の一種または二種以上を用いることが
できる。
【0013】かかるポリエステルの極限粘度は、通常
0.45以上、好ましくは0.50〜1.0、さらに好
ましくは0.52〜0.80の範囲である。極限粘度が
0.45未満では、フィルム製造時の生産性が低下した
り、フィルムの機械的強度が低下するという問題が生ず
る。一方、ポリマーの溶融押出安定性の点から、極限粘
度は1.0を超えないことが好ましい。
【0014】本発明のポリエステルフィルムは、フィル
ム製造時のフィルムへの傷発生防止や、フィルムに滑り
性を与えて取扱い性を向上する目的で、ポリエステルに
粒子を含有させ、フィルム表面に適度な突起を形成させ
ることが好ましい。かかる粒子の例としては、炭酸カル
シウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タル
ク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カ
ルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデ
ン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム
等の有機粒子、およびポリエステル重合時に生成させる
析出粒子を挙げることができる。
【0015】本発明のフィルムに含有させる粒子の平均
粒径は、好ましくは0.005〜5.0μm、さらに好
ましくは0.01〜3.0μmの範囲である。平均粒径
が5.0μmを超えると、粗面化により絶縁性が低下し
たり、粒子がフィルム表面から脱落して絶縁欠陥の原因
となる等の問題が生ずるようになる傾向がある。また、
平均粒径が0.005μm未満では、突起形成が不十分
なためフィルムの表面に傷が発生したり、フィルムの取
扱い性が低下してしまう恐れがある。
【0016】また、粒子含有量はポリエステルに対し、
通常0.01〜5.0重量%、好ましくは0.05〜
2.0重量%、さらに好ましくは0.1〜1.5重量%
である。粒子含有量が0.01重量%未満では、フィル
ム表面の突起が不足して滑り性が不十分となる傾向があ
る。一方、粒子含有量が5.0重量%を超えると、粒子
の脱落が起こりやすくなったり、粒子が凝集して粗大突
起を形成し、絶縁欠陥等の問題が生ずるようになる恐れ
がある。
【0017】フィルム中に、かかる粒子を2種類以上配
合してもよく、同種の粒子で粒径の異なるものを配合し
てもよい。いずれにしても、フィルムに含有する粒子全
体の平均粒径、および合計の含有量が上記した範囲を満
足することが好ましい。粒子を含むポリエステルの製造
に際して、粒子はポリエステルの合成反応中に添加して
もポリエステルに直接添加してもよい。合成反応中に添
加する場合は、粒子をエチレングリコール等に分散させ
たスラリーとして、ポリエステル合成の任意の段階で添
加する方法が好ましい。一方、ポリエステルに直接添加
する場合は、乾燥した粒子として、または、水あるいは
沸点が200℃以下の有機溶媒中に分散したスラリーと
して、2軸混練押出機を用いてポリエステルに添加混合
する方法が好ましい。なお、添加する粒子は、必要に応
じ、こと前に解砕、分散、分級、濾過等の処理を施して
おいてもよい。
【0018】粒子の含有量を調節する方法としては、上
記した方法で高濃度に粒子を含有するマスター原料を作
っておき、それを製膜時に、実質的に粒子を含有しない
原料で希釈して粒子含有量を調節する方法が有効であ
る。また、上記の突起形成剤以外の添加剤として、必要
に応じて、帯電防止剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロ
ッキング防止剤、酸化防止剤、着色剤、光線遮断剤、紫
外線吸収剤などを、コンデンサ特性を悪化させない範囲
内で含有していてもよい。
【0019】本発明のポリエステルフィルムは、最終的
に得られる特性が本発明の構成を満足する限り、多層構
造となっていても構わない。また、本発明のフィルム
は、蒸着金属との接着性を高めるため、フィルム表面に
塗布層を設ける。塗布層を構成する塗布材の例として
は、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリア
クリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルアルコール、ポリウレタンなどの樹脂お
よびこれらの樹脂の共重合体や混合体などを挙げること
ができる。これらの中で最も好ましい塗布剤樹脂は、ポ
リウレタン系樹脂である。ポリウレタン系樹脂を用いた
場合、極めて高度な接着性と長期耐湿熱安定性を得るこ
とができる。以下、このポリウレタン系樹脂からなる塗
布層について詳しく説明する。
【0020】本発明におけるポリウレタン系塗布層は、
芳香族ポリウレタンを含有する塗布液、好ましくは芳香
族ポリウレタンと脂肪族ポリウレタンとを含有する塗布
液を塗布した後、乾燥して得られる。芳香族ポリウレタ
ンの塗布層中に占める割合は、通常20重量%以上、好
ましくは30〜90重量%、さらに好ましくは30〜8
0重量%の範囲である。塗布層中の芳香族ポリウレタン
の割合が少ないと所望のコンデンサ特性が得られないこ
とがある。
【0021】脂肪族ポリウレタンの塗布層中に占める割
合は、通常80重量%以下、好ましくは10〜70重量
%、さらに好ましくは20〜70重量%の範囲である。
脂肪族ポリウレタンを用いることにより、塗布層の耐加
水分解性が改良され、長期耐湿熱性が向上する。本発明
におけるポリウレタンを構成する成分として以下のよう
なポリオール、ポリイソシアネート、鎖長延長剤、架橋
剤などを例示できる。
【0022】ポリオールの例としては、ポリオキシエチ
レングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポ
リオキシプロピレントリオール、ポリオキシテトラメチ
レングリコールのようなポリエ−テル類、ポリエチレン
アジペート、ポリエチレン−ブチレンアジペート、ポリ
プロピレンアジペート、ポリヘキシレンアジペート、ポ
リカプロラクトンのようなポリエステル類、アクリル系
ポリオール、ひまし油などが挙げられる。
【0023】ポリイソシアネートの例としては、トリレ
ンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5
−ナフタレンジイソシアネートのような芳香族系ジイソ
シアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチ
レンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、4,
4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソ
ホロンジイソシアネートのような脂肪族系ジイソシアネ
ートなどが挙げられる。鎖延長剤あるいは架橋剤の例と
しては、エチレングリコール、プロピレングリコール、
ブタンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコ
ール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヒドラジ
ン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,
4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ
ジシクロヘキシルメタン、水などが挙げられる。
【0024】本発明における芳香族ポリウレタンとは、
上述のポリイソシアネート成分が芳香族であるポリウレ
タンであり、同様に脂肪族ポリウレタンとは、ポリイソ
シアネート成分が脂肪族であるポリウレタンを指す。ポ
リウレタンの合成時に 芳香族ポリイソシアネートと脂
肪族ポリイソシアネートの併用はしばしば行われるが、
1分子内に芳香族ポリイソシアネートと脂肪族ポリイソ
シアネートの2種類以上のポリイソシアネートを有する
ポリウレタンも特に好ましく用いられ得る。
【0025】本発明におけるポリウレタンは、安全衛生
上、水を媒体とする塗布剤であることが望ましいが、本
発明の要旨を超えない範囲内で、水溶性または水分散性
樹脂の助剤として有機溶剤を含有していてもよい。水を
媒体とする場合は、界面活性剤などによって強制分散化
した塗布剤であってもよいが、好ましくはポリエーテル
類のような親水性のノニオン成分や、四級アンモニウム
塩のようなカチオン性基を有する自己分散型塗布剤であ
り、さらに好ましくは、アニオン性基を有する水溶性ま
たは水分散性の塗布剤である。アニオン性基を有する水
溶性または水分散性の塗布剤とは、アニオン性基を有す
る化合物を共重合やグラフトなどにより樹脂に結合させ
たものであり、スルホン酸、カルボン酸、リン酸および
それらの塩等から、適宜選択される。
【0026】樹脂に水溶性を付与するためには、アニオ
ン性基の対イオンをアルカリ金属イオンとするのがよい
が、後述するコンデンサの耐湿熱性の観点から、アニオ
ン性基の対イオンはアンモニウムイオンを含むアミン系
オニウムイオンから選択するのが好ましい。アニオン性
基を有する水溶性または水分散性の塗布剤のアニオン性
基の量は、0.05〜8重量%の範囲が好ましい。アニ
オン性基量が0.05重量%未満では、樹脂の水溶性あ
るいは水分散性が劣ることがあり、アニオン性基量が8
重量%を超えると、塗布後の下塗り層の耐水性が劣った
り、吸湿してフィルムが相互に固着したり、耐湿熱接着
性を低下させたりすることがある。
【0027】本発明における塗布液には、塗布層の固着
性(ブロッキング性)、耐水性、耐溶剤性、機械的強度
の改良のために架橋剤としてイソシアネート系化合物、
エポキシ系化合物、アミン系化合物、アジリジン化合
物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジ
ルコ−アルミネート系カップリング剤、過酸化物、熱お
よび光反応性のビニル化合物や感光性樹脂などを含有し
てもよい。
【0028】また、固着性や滑り性改良のために、塗布
層中に無機系微粒子としてシリカ、シリカゾル、アルミ
ナ、アルミナゾル、ジルコニウムゾル、カオリン、タル
ク、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化チタン、
硫酸バリウム、カーボンブラック、硫化モリブデン、酸
化アンチモンゾルなどを、有機系微粒子としてポリスチ
レン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ
アクリル酸エステル、エポキシ樹脂、シリコ−ン樹脂、
フッ素樹脂などを含有していてもよい。さらに、必要に
応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、有
機系潤滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染
料、顔料などを含有していてもよい。
【0029】塗布液中のアルカリ金属含有量は、塗布液
の固形分中、好ましくは1000ppm以下であり、さ
らに好ましくは500ppm以下であり、特に好ましく
は200ppm以下である。塗布液中のアルカリ金属含
有量が多くなると、コンデンサの耐湿熱特性が悪くなる
傾向がある。工業的実生産の原料合成から調液工程にお
いて塗布液中のアルカリ金属の不純物としての混入を避
けることは難しい。また商業的に入手可能な塗布剤に水
道水や、地下水が用いられることもしばしばである。さ
らには、本発明に好ましく用いられるアニオン系樹脂の
親水性官能基の対イオンとして、アルカリ金属が用いら
れることが樹脂の水溶化のために一般的である。したが
って、必要に応じて脱イオン処理を施すことで所望の塗
布液を得る場合もある。
【0030】上述の塗布液をポリエステルフィルムに塗
布する方法としては原崎勇次著、槙書店、1979年発
行、「コーティング方式」に示されるリバースロールコ
ータ−、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドク
ターコーターあるいはこれら以外の塗布装置を用いるこ
とができる。塗布層は、フィルム製造工程内で設けても
よいし、フィルム製造後に塗布してもよい。特に塗布厚
みの均一性や、生産効率の点で、フィルム製造工程内で
塗布する方法が好ましい。
【0031】フィルム製造工程内で塗布する方法として
は、ポリエステル未延伸フィルムに塗布液を塗布し、逐
次あるいは、同時に二軸延伸する方法、一軸延伸された
ポリエステルフィルムに塗布し、さらに先の一軸延伸方
向と直角の方向に延伸する方法、あるいは二軸延伸ポリ
エステルフィルムに塗布し、さらに横および/または縦
方向に延伸する方法などがある。
【0032】塗布層の厚さは、0.005〜1.0μm
の範囲であり、好ましくは0.01〜0.5μmの範囲
である。塗布層の厚さは、コンデンサ小型化の要請から
も薄くすることが好ましい。特に塗布層厚みが1.0μ
mを超えると、電気的特性を悪化させることがあるため
好ましくない。一方、塗布層の厚みが0.005μm未
満の場合には、塗布ムラや塗布ヌケが生じる。
【0033】上記のようにして形成された塗布層の水滴
接触角は60°以上であることが好ましい。水滴接触角
が60°未満であると、金属蒸着膜との耐水接着性が劣
ることがある。したがって、塗布剤の親水基量、乳化剤
量、親水性化合物量を適宜変更することが好ましい。ま
た、上記のように形成された塗布層表面の中心線平均粗
さ(Ra)は好ましくは0.005〜0.5μmの範囲
であり、さらに好ましくは0.01〜0.3μmの範囲
であり、特に好ましくは0.02〜0.1μmの範囲で
ある。Raが0.005μm未満では、フィルムの滑り
性が不十分となることがある。一方、Raが0.5μm
を超えると、表面が粗れすぎて耐電圧特性や耐湿熱特性
が悪化することがある。
【0034】上記したように、フィルムに塗布層を設け
ることにより耐湿熱特性を向上できるが、かかる塗布層
を設けるフィルムの配向特性が特定範囲内である場合、
耐湿熱安定性が高度に達成される。すなわち、フィルム
の厚み方向の屈折率(nα)が1.490未満、面配向
度(ΔP)が0.170を超える場合、優れた特性を得
ることができる。面配向度は、フィルムの主配向方向の
屈折率をnγ、主配向方向と直角方向の屈折率をnβ、
厚み方向の屈折率をnαとすると下記式で与えられる。
【0035】
【数1】ΔP=(nγ+nβ)/2−nα nαおよびΔPがかかる条件を満足する場合、フィルム
自身や塗布層の厚み均一性が良好となり、また、金属蒸
着時に受ける熱によるフィルムのダメージが小さくなる
ため、得られる耐湿熱性が極めて高度なものになると考
えられる。本発明のかかる効果を一層高めるため、nα
は好ましくは1.487未満、ΔPは好ましくは0.1
73以上の範囲である。
【0036】さらにかかる配向特性を有することに加
え、フィルムの密度が1.3980g/cm3未満、好
ましく1.3960g/cm3未満である場合、フィル
ムの電気特性、例えば誘電率や誘電損失特性が良好にな
り、塗布層が極性基を多数含有するため電気特性を悪化
させる可能性があるような場合でもフィルム全体として
の電気特性は極めて良好なものとなるため好ましい。
【0037】かかるフィルムの配向条件に加え、フィル
ムの長手方向のヤング率が5.0GPa以上である必要
があり、好ましくは5.5GPa以上である。かかる条
件を満足する場合、高度な耐湿熱性が得られる。すなわ
ち、フィルムに金属蒸着を行う工程では、フィルムを巻
出し、一定の張力をかけて走行させながら蒸着する。し
たがって、かかる張力に対して十分な強度、すなわちヤ
ング率を持っていなければ、フィルムは張力に耐えられ
ず、しかも蒸着による熱により大きなダメージを受ける
ことになる。本発明者らの知るところによればかかるダ
メージを受けた場合、蒸着フィルムの耐熱寸法安定性が
低下するため、コンデンサ製造時の歩留まりが低下した
り、得られたコンデンサの電気的特性や耐湿熱性が低下
してしまう。フィルムの長手方向のヤング率が本発明の
範囲にあるならば、かかる電気特性や耐湿熱性が高度に
満足されるのである。
【0038】これに加え、100℃におけるフィルムの
長手方向のヤング率が1.0GPa以上、好ましくは
1.2GPa以上である場合、かかる蒸着時の熱による
ダメージを受けにくくなるため、コンデンサの電気特性
と耐湿熱性がさらに高度に満足される。また、本発明の
フィルムは、120℃で30分間処理した後の長手方向
の収縮率が2.0%未満であることが好ましく、1.5
%未満がさらに好ましい。かかる長手方向の熱収縮率が
大きい場合は、コンデンサ製造時の熱を受ける工程でフ
ィルムが寸法変化を起こし、生産性が悪化したり、コン
デンサの寿命が短縮されてしまう等の問題が起こる。次
に、本発明のフィルムの製造法を具体的に説明する。
【0039】ポリエステル原料を、押出装置に供給し、
ポリエステルの融点以上の温度で溶融押出してスリット
状のダイから溶融シートとして押し出す。次に、溶融シ
ートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度
になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シ
ートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるた
め、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが
好ましく、本発明においては静電印加密着法および/ま
たは液体塗布密着法が好ましく採用される。
【0040】ここで言う静電印加密着法とは、通常、シ
ートの上面側にシートの流れと直交する方向に線状電極
を張り、該電極に約5〜10kVの直流電圧を印加する
ことによりシートに静電荷を与え、ドラムとの密着性を
向上させる方法である。また、液体塗布密着法とは、回
転冷却ドラム表面の全体または一部(例えばシート両端
部と接触する部分のみ)に液体を均一に塗布することに
より、ドラムとシートとの密着性を向上させる方法であ
る。本発明においては必要に応じ両者を併用してもよ
い。
【0041】本発明においては、このようにして得られ
たシートを二軸方向に延伸してフィルム化するが、その
延伸および熱処理条件を適切な範囲とすることにより本
発明のフィルムの特徴である配向とヤング率を達成させ
ることができる。二軸延伸条件について具体的に述べる
と、前記未延伸シートをまず第一軸方向にその複屈折率
(Δn)が0.06以上、好ましくは0.08以上とな
るように延伸する。延伸温度範囲は70〜150℃、延
伸倍率は2.5〜6倍の範囲とし、温度と倍率を適宜組
み合わせることにより、所望の複屈折率となるようにす
る。延伸は一段階または二段階以上で行うことができ
る。次に第二軸方向、すなわち第一軸方向と直交する方
向に一軸配向フィルムを一旦ガラス転移点以下に冷却す
るか、または冷却することなく例えば80〜150℃の
温度範囲に予熱して、さらにほぼ同温度の下で2.5〜
5倍、好ましくは3.0〜4.5倍に延伸を行い、二軸
に配向したフィルムを得る。
【0042】なお、第一軸方向の延伸を2段階以上で行
うことは、良好な厚さ均一性を達成できるので好まし
い。また、横延伸した後さらに長手方向に再延伸する方
法も可能であるが、いずれにしても長手方向の総合延伸
倍率を3.0倍以上とすることが好適である。かくして
得られたフィルムを、30%以内の伸長、制限収縮、ま
たは定長下で1秒〜5分間熱処理する。この際、熱処理
工程内または熱処理後に長手方向または横方向、あるい
は両方向に再延伸を行ってもよい。
【0043】本発明においては、フィルム密度を1.3
980g/cm3未満、好ましくは1.3960g/c
3未満とすることが望ましく、かかる特性を満足する
ため、上記した熱処理工程の温度を適宜選択する。熱処
理温度は、延伸条件にもよるが、好ましくは180〜2
40℃、さらに好ましくは200〜225℃の範囲であ
る。熱処理温度が240℃を超えると、フィルム密度が
高くなりすぎて高度な電気的特性が得られなくなる恐れ
がある。一方、180℃未満ではフィルムの熱収縮率が
大きくなって、コンデンサ製造時に熱を受ける工程で寸
法変化を起こし、コンデンサの生産性を悪化させたり、
耐電圧等のコンデンサ特性が低下する等の問題が生ずる
ことがある。
【0044】本発明の塗布層を設ける方法としては、特
に、ロール延伸法により第一軸方向に延伸された一軸延
伸ポリエステルフィルムに塗布液を塗布し、適当な乾燥
を施し、あるいは乾燥を施さず一軸延伸フィルムを直ち
に第二軸方向に延伸し、熱処理を行う方法が好ましい。
本方法によるならば、延伸と同時に塗布層の乾燥が可能
になると共に塗布層の厚さを延伸倍率に応じて薄くする
ことができ、かつ厚さの均一性が良好となり、しかもフ
ィルムと塗布層との密着性も極めて強固とすることがで
きる。コスト的にも有利で、コンデンサ誘電体用基材と
して好適なフィルムを安価に製造できる。
【0045】なお、本方法により塗布を行う場合には、
得られる塗布層の厚みは好ましくは0.005μm〜
0.5μm、さらに好ましくは0.01μm〜0.2μ
mの範囲である。0.5μmを超える厚みの塗布層を本
方法で形成させようとすると、塗布層の乾燥に多量の熱
量が必要となり、延伸斑の原因となってしまうため好ま
しくない。一方0.005μm以下の厚みの塗布層を設
けることは、塗布ムラや塗布ヌケが生じやすくなるため
好ましくない。
【0046】本発明における塗布層は、ポリエステルフ
ィルムの片面だけに設けてもよいが、両面に設けること
が好ましい。また、片面にのみ塗布した場合、その反対
面には本発明における塗布層以外の塗布層を必要に応じ
て形成し、本発明のポリエステルフィルムに他の特性を
付与することもできる。なお、塗布剤のフィルムへの塗
布性、接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学
処理や放電処理を施してもよい。処理効率やコスト、処
理の簡便さからコロナ放電処理を行うことが特に好まし
い。また、本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの塗
布層の接着性、塗布性などを改良するために、塗布層形
成後に塗布層に放電処理を施すこともできる。
【0047】本発明において、蒸着する金属としては、
アルミニウム、パラジウム、亜鉛、ニッケル、金、銀、
銅、インジウム、錫、クロム、チタン等が挙げられる
が、特に好ましい金属はアルミニウムである。なお、上
記の金属には金属の酸化物も含まれる。金属蒸着膜の厚
さは10〜5000Åの範囲が好ましく、蒸着の方法
は、一般的には真空蒸着法によるが、エレクトロプレー
ティング法、スパッタリング法等の方法によってもよ
い。なお、金属蒸着層はポリエステルフィルムの両面に
設けてもよい。また、金属蒸着後に蒸着金属層の表面処
理や他の樹脂による被覆処理を行ってもよい。
【0048】このようにして得られた金属蒸着ポリエス
テルフィルムを2枚重ね合わせて巻回(両面金属蒸着ポ
リエステルフィルムと本発明におけるポリエステルフィ
ルムを含む他のフィルムとの巻回も含む)、または多数
枚積層してコンデンサ素子を作り、常法に従って、例え
ば熱プレス、テーピング、メタリコン、電圧処理、両端
面封止、リード線取り付けなどを行ってコンデンサとす
ることができるが、これらに限定されるわけではない。
コンデンサの長期信頼性の点から、本発明におけるコン
デンサは、その電極間に60V/μmの直流電圧を印加
しながら温度60℃、湿度95%RH雰囲気下に100
0時間放置した後の静電容量変化率が−10〜10%で
あることが好ましい。
【0049】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下
の実施例によって限定されるものではない。なお、実施
例中の評価方法は下記のとおりである。実施例および比
較例中、「部」とあるのは「重量部」を示す。
【0050】(1)ポリマーの極限粘度 [η] (d
l/g) ポリマー1gをフェノール/テトラクロロエタン=50
/50(重量比)の混合溶媒100mlに溶解させて、
30℃で測定した。 (2)粒子の平均粒径(μm) 島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP
3型)で測定した等価球形分布における積算体積分率5
0%の粒径を平均粒径とした。
【0051】(3)中心線平均粗さ(Ra) (μm) (株)小坂研究所製表面粗さ測定機(SE−3F)を用
いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲
線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の
部分を抜きとり、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦
倍率の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x)で表した
とき、次式で与えられた値を〔μm〕で表した。中心線
平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を
求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心
線平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は
2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08
mmとした。
【0052】
【数2】
【0053】(4)面配向度(ΔP)および厚み方向の
屈折率(nα) アタゴ光学社製アッベ式屈折計を用い、フィルム面内の
屈折率の最大値nγ、それに直角の方向の屈折率nβ、
およびフィルム厚さ方向の屈折率nαを測定し、次式よ
り面配向度ΔPを算出した。なお、屈折率の測定は、ナ
トリウムD線を用い、23℃で行った。
【0054】
【数3】
【0055】(5)フィルムの密度(g/cm3 ) n−ヘプタンと四塩化炭素との混合液による密度勾配管
法により測定した。なお、測定温度は25℃で行った。 (6)ヤング率(GPa) (株)インテスコ製 引張試験機インテスコモデル20
01型を用いて、温度23℃、湿度50%RHに調節さ
れた室内において測定した。すなわち、長さ300m
m、幅25mmの試料フィルムを、10%/分のひずみ
速度で引張り、引張応力−ひずみ曲線の初めの直線部分
を用いて次の式によって計算する。
【0056】
【数4】E=Δσ/Δε (上記式中、Eは引張弾性率、Δσは直線上の2点間の
元の平均断面積による応力差、Δεは同じ2点間のひず
み差である) なお、平均断面積を求める際のフィルムの厚みは重量法
により求めた。すなわち、10cm×10cmの正方形
に切り出したフィルム100枚の合計重量を測定し、フ
ィルムの密度を用いて算出した。
【0057】(7)水滴接触角(゜) 温度23℃、湿度50%RH雰囲気下での試料フィルム
と蒸留水との接触角を接触角計(協和界面化(株)社
製、CA−DT−A型)を用いて測定した。接触角は、
左右2点、試料数3点で計6点測定し、平均値を求め接
触角とした。なお、水滴の直径は2mmとし、滴下後1
分後の数値を読み取った。
【0058】(8)アルカリ金属イオンの分析 バリアン社製原子吸光分析計(スペクトロAA)を用い
て、Li,Na,K,Rb,Cs,Frについて検量線
法により定量した。
【0059】(9)電気的特性評価 (i)耐電圧特性 JIS C−2319に準じて測定を行った。すなわ
ち、10kV直流耐電圧試験機を用い、23℃、50%
RHの雰囲気下にて、100V/秒の昇圧速度で上昇さ
せ、フィルムが破壊し短絡した時の電圧を読み取った。
【0060】(ii)静電容量の変化 (コンデンサの製造)以下のようにしてコンデンサを製
造して評価した。すなわち、フィルム表面に、抵抗加熱
型金属蒸着装置を用い、真空室の圧力を10-4Torr
以下としてアルミニウムを450Åの厚みに蒸着した。
その際、ポリエステルフィルムの長手方向にマージン部
を有するストライプ状に蒸着した(蒸着部の幅8mm、
マージン部の幅1mmの繰り返し)。得られた蒸着ポリ
エステルフィルムは、左または右に幅1mmのマージン
部を有する4.5mm幅のテープ状にスリットした。得
られた、左マージンおよび右マージンの蒸着ポリエステ
ルフィルム各1枚づつを合わせて巻回し、巻回体を得
た。このとき、幅方向に蒸着部分が、0.5mmずつは
み出すように2枚のフィルムをずらして巻回した。この
巻回体を温度140℃、圧力50kg/cm2 、で5分
間プレスした。プレス後の巻回体の両端面にメタリコン
を溶射後リ−ド線を付した後、液状のビスフェノールA
型エポキシ樹脂による含浸層、および粉末状エポキシ樹
脂を加熱溶融することによる最低厚さ0.5mmの外装
を形成して、静電容量0.1μFのフィルムコンデンサ
とした。
【0061】(静電容量変化の測定)得られたコンデン
サの電極間に60V/μmの直流電圧を印加しつつ温度
60℃、湿度95%RHの雰囲気下に1000時間放置
し、初期静電容量を基準値とする静電容量変化率を求め
た。すなわち、1000時間後の静電容量から初期静電
容量を差し引いた値を、初期静電容量で除して百分率で
表記した。
【0062】(iii)交流耐電圧 上記で得られたコンデンサの電極間に1kHzの交流電
圧を印加し、絶縁破壊が起こるまでの時間tを測定し
た。印加電圧Vを変えて同じ測定を行い、Vとtとの関
係をプロットし、t=15時間の時の印加電圧を交流耐
電圧とした。かかる交流耐電圧の100℃での値と25
℃での値を比較して、以下の基準で評価した。 ランクA:100℃でも交流耐電圧の低下は小さく、良
好 ランクB:100℃で交流耐電圧やや低下するが、実用
上問題ない ランクC:100℃での交流耐電圧の低下が大きく、実
用上問題がある
【0063】実施例1 (ポリウレタンの合成)テレフタル酸660部、イソフ
タル酸635部、1,4−ブタンジオール472部、ネ
オペンチルグリコール447部を出発原料としてポリエ
ステルポリオールを得、これにアジピン酸321部、ジ
メチロールプロピオン酸268部を加え、カルボキシル
基含有ポリエステルポリオールを得た。このポリエステ
ルポリオール1880部にトリレンジイソシアネート1
60部を加えて芳香族ポリエステルポリウレタン溶液を
得た。得られた溶液をアンモニア水溶液中に投入しなが
ら溶剤を除去し、芳香族ポリエステルポリウレタン水分
散体(A)を得た。一方、トリレンジイソシアネートの
代わりに4,4’ージシクロヘキシルメタンジイソシア
ネートを用いる以外は上記と同様にして脂肪族ポリエス
テルポリウレタン水分散体(B)を得た。
【0064】(フィルム原料ポリエステルの製造)ジメ
チルテレフタレート100部、エチレングリコール60
部および酢酸マグネシウム4水塩0.09部を反応器に
とり、加熱昇温するとともにメタノールを留去してエス
テル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して23
0℃まで昇温し、実質的にエステル交換反応を終了し
た。次いで、粒径1.3μmのシリカ粒子0.3部をエ
チレングリコールスラリーとして添加した。スラリー添
加後、さらにリン酸0.05部、三酸化アンチモン0.
04部を加え、徐々に反応系を減圧とし、温度を高めて
重縮合反応を4時間行い、極限粘度0.65のポリエス
テル(a)を得た。
【0065】(ポリエステルフィルムの製造)ポリエス
テル(a)を常法により乾燥して押出機に供給し、29
0℃で溶融してシート状に押出し、静電印加密着法を用
いて冷却ロール上で急冷し、無定形シートとした。得ら
れたシートを、ロール延伸法を用いて縦方向に85℃で
2.6倍延伸した後、さらに95℃で1.8倍延伸し
た。得られた一軸延伸フィルムに上述の芳香族ポリエス
テルポリウレタン(A)50部(固形分重量、以下同
様)、脂肪族ポリエステルポリウレタン(B)50部か
らなり、水を媒体とする塗布液をフィルムの両面に塗布
し、次いでフィルムをテンターに導いて、横方向に11
2℃で4.1倍延伸し、210℃で熱処理を行い、塗布
層の厚さ0.04μm、基材ポリエステルフィルムの厚
さ4.5μm の二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
塗布液中のアルカリ金属含有量は塗布液の固形分換算値
で、Naが40ppm、Kが5.0ppmであり、その
他のアルカリ金属は検出限界以下であった。また、塗布
層の水滴接触角は63°、中心線平均粗さ(Ra)は
0.023μmであった。得られたフィルムを用いて製
造した金属蒸着フィルムコンデンサは、下記表1に示す
とおり、耐電圧特性に優れ、静電容量の変化の少ない、
耐湿熱特性に優れる金属蒸着ポリエステルフィルムコン
デンサであった。
【0066】比較例1 実施例1において、塗布液を塗布しないこと以外は実施
例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。得られ
たフィルムを用いて製造したコンデンサは、実施例1と
比較して、耐湿熱特性に劣っていた。
【0067】実施例2〜5 実施例1における塗布剤の芳香族ポリエステルポリウレ
タンと脂肪族ポリエステルポリウレタンとの比を表1に
示す組成として塗布処理を施したこと以外は実施例1と
同様にしてポリエステルフィルムを得た。
【0068】実施例6 実施例1において、塗布剤中の塩化ナトリウム含有量が
塗布液の固形分換算値として、ナトリウムが2000p
pm、カリウムが10.0ppmである塗布液であるこ
と以外は、実施例1と同様の塗布剤組成物を使用し、フ
ィルム製造条件も実施例1と同様にしてポリエステルフ
ィルムを得た。得られたフィルムを用いて製造したコン
デンサは、実施例1と比較して、耐湿熱特性がやや劣っ
ていた。
【0069】比較例2 実施例1において、横方向に延伸した後の熱処理温度を
245℃としたこと以外は実施例1と同様にして、塗布
層を有するポリエステルフィルムを得た。得られたフィ
ルムを用いて製造したコンデンサは、交流耐電圧に劣る
ものであった。
【0070】比較例3 実施例1において、フィルム延伸条件を次のように変更
した。すなわち、ロール延伸法による縦方向の延伸を、
まず85℃にて2.4倍、次いで75℃にて1.1倍と
し、塗布層形成後、テンターで110℃にて4.5倍横
延伸し、さらに230℃で熱処理を行った。なお、塗布
剤の組成は実施例1と同じとした。得られたフィルムを
用いて製造したコンデンサは、交流耐電圧に劣るもので
あった。以上、得られた結果をまとめて下記表1〜3に
示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【発明の効果】本発明のフィルムは、電極金属層との密
着性に優れ、金属蒸着フィルムコンデンサの誘電体とし
て用いたときに、高度な電気特性と耐湿熱特性を与え、
コンデンサの長期信頼性向上に寄与することができ、そ
の工業的価値は高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 67:00 B29L 7:00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも片面に水溶性または水分散性
    樹脂からなる厚み0.005〜1.0μmの塗布層を有
    し、かつフィルムの厚み方向の屈折率(nα)が1.4
    90未満、面配向度(ΔP)が0.170を超え、フィ
    ルムの長手方向のヤング率が5.0GPa以上であるこ
    とを特徴とするコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィ
    ルム。
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