JPH0956361A - 酵母エキスの製造方法 - Google Patents

酵母エキスの製造方法

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JPH0956361A
JPH0956361A JP8141798A JP14179896A JPH0956361A JP H0956361 A JPH0956361 A JP H0956361A JP 8141798 A JP8141798 A JP 8141798A JP 14179896 A JP14179896 A JP 14179896A JP H0956361 A JPH0956361 A JP H0956361A
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JP
Japan
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yeast
yeast extract
enzyme
pressure homogenizer
autolysis
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JP8141798A
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English (en)
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Makoto Kurihara
信 栗原
Kazuhiko Yamamoto
一彦 山本
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Kirin Brewery Co Ltd
Original Assignee
Kirin Brewery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 高圧ホモジナイザー処理した酵母菌体懸濁液
をpH6.5〜8.5の中〜弱アルカリ性にし、そこに
エンド型プロテアーゼを含む酵素剤を添加して自己消化
させることを特徴とする酵母エキスの製造方法。 【効果】 本発明によれば、遊離アミノ酸、ならびに
5’−ヌクレオチド、特に呈味性の5’−GMPを多く
含み、かつ両成分含量のバランスの良い酵母エキスを高
収率で製造することができる。該酵母エキスは食品工業
の分野において好適に使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は遊離アミノ酸、なら
びに5’−ヌクレオチド、特に呈味性の5’−GMPを
多く含む酵母エキスを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酵母エキスの主成分は遊離アミノ酸であ
り、同時に少量含まれる5’−ヌクレオチドと共に食品
にうま味を付与する効果を持つ。その他、酵母エキスに
はペプチド類、有機酸類、糖類、ミネラル類等も含ま
れ、これらは食品にコク、味の深みといった複雑な味を
付与する効果を持つため、食品工業において広く用いら
れている。
【0003】市販されている酵母エキスの多くは自己消
化法によって作られたものであり、自己消化を開始させ
るにあたっては、酵母菌体懸濁液に食塩、脂肪酸エステ
ル、有機酸、有機溶媒などの自己消化促進剤を添加した
り(特公昭54−13496号、特開昭55−3409
6号、特開昭59−109152号)、超高圧の静水圧
処理、超音波処理や高圧ホモジナイザー処理等の機械的
刺激(特開平2−255059号、特公昭50−255
39号)を与えることが知られている。
【0004】自己消化反応中は温度を通常37〜55℃
に保温することにより菌体内のタンパク質やRNAが自
己消化酵素群によりそれぞれアミノ酸や5’−ヌクレオ
チドに分解される。5’−ヌクレオチドのうち5’−G
MPはうま味を持つことが知られている。また、同時に
生成する5’−AMPはそのままではうま味を持たない
が、デアミナーゼを作用させて5’−IMPに変換すれ
ばうま味を発揮する。その際、酵母はデアミナーゼを持
たないため外部から添加する必要がある。一方、自己消
化時に細胞壁溶解酵素を共存させると、細胞壁中の糖類
が可溶化され、エキス収率が上昇することが知られてい
る。
【0005】また、自己消化反応時のpHによってエキ
スに含まれるうま味成分の組成が変わることが知られて
いる〔ジャパンフードサイエンス11,37,(198
7)〕。すなわち、弱アルカリ性では呈味性のある5’
−ヌクレオチドが多く生成されるが、遊離アミノ酸量が
低く、同時にエキス収率も低くなるという欠点がある。
自己消化に働くプロテアーゼの至適pHは4.5〜5.
5にあると言われており、弱アルカリ性で遊離アミノ酸
量とエキス収量が低い原因としてはこのようなプロテア
ーゼの性質によるものと考えられている。
【0006】それに対し、弱酸性では遊離アミノ酸量と
エキス収率は高いが、RNAは多くが呈味性のない3’
−ヌクレオチドに分解されるという欠点がある。また、
5’−ヌクレオチドは酸性で活性の強い脱リン酸酵素で
分解され易くく、製品中の5’−ヌクレオチドの含量が
低くなるという問題がある。
【0007】現在市販されている一般的な酵母エキスは
別に調製した5’−ヌクレオチドを添加したような特殊
なものを除くと5’−ヌクレオチド(主として5’−G
MP)含量は通常0.1〜0.3%程度である。5’−
GMP、5’−IMPはそれ自体うま味を持つだけでな
くグルタミン酸ナトリウムの共存下でうまみの相乗効果
を示す事が知られており、これらを多く含む食品はうま
味が強く好ましい。また、5’−GMP、5’−IMP
はうま味調味料としてよく用いられるグルタミン酸ナト
リウムやタンパク質塩酸加水分解物と組み合わせる事で
よりうま味が増強できることから、これらを多く含む酵
母エキスが望まれている。そこで、一般的な方法で製造
した酵母エキスに、別の方法で製造した5’−GMP、
5’−IMPを添加することが行われている。ここで別
の方法とは、RNAを多く含むキャンディダ属酵母など
から抽出、精製したRNAをペニシリウム属等により産
生される5’−ホスホジエステラーゼで加水分解して
5’−ヌクレオチドを製造する方法である。この時、生
成する5’−AMPはアスペルギルス属等によって産生
される5’−アデニル酸デアミナーゼによって5’−I
MPに変換しても良い。ところが、かかる方法により取
得した5’−GMP、5’−IMPは高価なため価格も
それに応じて高くなっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、遊離
アミノ酸、ならびに5’−ヌクレオチド、特に呈味性の
5’−GMPを多く含み、かつ両成分含量のバランスの
良い酵母エキスを高収率で提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、高圧ホモジナイザー
処理した酵母菌体懸濁液を中〜弱アルカリ性にし、そこ
にエンド型プロテアーゼを含む酵素剤を添加して自己消
化させることにより、遊離アミノ酸と5’−ヌクレオチ
ドをバランスよくかつ多く含み、エキス収率も高い酵母
エキスを製造できることを見い出した。さらに、自己消
化の際に細胞壁溶解酵素を添加し、酵素を加熱失活させ
た後にキトサンとポリアクリル酸塩を添加することで、
水不溶物がフロック状になり、容易に除去可能なことを
見いだした。
【0010】即ち、本発明は、 (1) 高圧ホモジナイザー処理した酵母菌体懸濁液をpH
6.5〜8.5の中性〜弱アルカリ性に調整し、該酵母
菌体懸濁液にエンド型プロテアーゼを含む酵素剤を添加
し、自己消化させることを特徴とする酵母エキスの製造
方法; (2) 高圧ホモジナイザーの処理圧が700kgf/cm
2 以上である上記(1)の酵母エキスの製造方法; (3) 高圧ホモジナイザー処理した後、自己消化酵素の変
性を起こさない程度に凍結乾燥処理することを特徴とす
る上記(1) または(2) 記載の酵母エキスの製造方法; (4) 自己消化が、酵母菌体懸濁液を30〜43℃で30
分〜1時間程度維持し、その後43〜50℃に加熱する
ことにより行われることを特徴とする上記(1) 〜(3) いずれかに記載の酵母エキスの製造方法;
【0011】(5) 自己消化が、酵母菌体懸濁液を3
0〜43℃で30分〜1時間程度維持し、その後45〜
47℃に加熱することにより行われることを特徴とする
上記(4)の酵母エキスの製造方法; (6) 自己消化の際にさらに酵母細胞壁溶解酵素も添加し
て反応を行い、酵素を加熱失活させた後にキトサンとポ
リアクリル酸塩を添加して水不溶物の除去を行うことを
特徴とする上記(1) 〜(5) いずれかに記載の酵母エキス
の製造方法; (7) 細胞壁溶解酵素がアースロバクター菌由来のもので
ある上記(6) 記載の酵母エキスの製造方法; (8) 上記(1) 〜(7) いずれかに記載の方法によって製造
された酵母エキスである。 以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】
(1) 使用酵母 本発明で使用する酵母は、可食性のものであれば特に制
限はなく、ビール酵母、パン酵母、アルコール酵母、清
酒用酵母などを用いることができる。ビール酵母を用い
る際にはホップ由来の苦みを除去する為に脱苦味処理を
適宜施すことにより、より風味の良い酵母エキスを製造
できる。
【0013】(2) 高圧ホモジナイザー処理 本発明で使用する高圧ホモジナイザーとしては、細胞
壁、細胞膜に損傷を与え、菌体内液と菌体外液の交換を
起こす能力を持ち、処理圧が700kgf/cm2 以上
に上げられるものであれば良い。具体的には、ラニー
社、ゴーリン社、日本精機社のものなどが挙げられる。
【0014】特定の理論に拘泥するわけではないが、高
圧ホモジナイザーは細胞壁と細胞膜に孔を開け、菌体内
液と菌体外液の交換により通常pH6前後であると言わ
れている菌体内pHを、菌体の周辺に存在する液体のp
Hに近づける作用を持つものと考えられる。それと同時
に、添加した酵素について見れば、高圧ホモジナイザー
処理によって細胞壁と細胞膜に孔が開き、菌体内部まで
浸透することができるようになると考えられる。
【0015】高圧ホモジナイザー処理時の処理圧力は菌
体内のpHを外液に近づける為に必要な程度で良く、通
常700kgf/cm2 以上であれば5’−ヌクレオチ
ド、エキス収量、遊離アミノ酸量を増加させる効果が見
られる。処理回数は通常1回でよいが、2回以上行うと
きはサンプル過熱による自己消化酵素群の活性低下を防
ぐためサンプル出口に冷却管などを装着し、サンプルの
温度を充分低下させることが望ましい。
【0016】(3) エンド型プロテアーゼ添加による自
己消化 次に本発明で使用するプロテアーゼとしてはエンド型プ
ロテアーゼ活性を持つものであればよく、市販品のほ
か、植物や動物の組織、微生物菌体や微生物培養液等が
用いられる。
【0017】エンド型プロテアーゼを主成分にするもの
として、具体的には、アルカラーゼ2.4L、ニュート
ラーゼ0.5L、プロタメックスMG、エスペラーゼ
7.5L(以上、ノボインダストリー社製)、プロテア
ーゼN、プロテアーゼS、プロレザー、パンクレアチン
F、パパインW−40、ブロメラインF(以上、天野製
薬株式会社製)、オリエンターゼN(阪急共栄物産社
製)が例示される。また、エンド型プロテアーゼを主成
分にするものの他に、プロテアーゼA、プロテアーゼ
M、ペプチダーゼR、プロテアーゼP(以上、天野製薬
株式会社製)、コクラーゼSS(三共株式会社製)、フ
レーバーザイム(ノボインダストリー社製)の様にエン
ド型活性の他にエキソ型の活性を持つものであっても良
い。
【0018】エンド型のプロテアーゼ自体はタンパク質
からアミノ酸を直接遊離させる作用を持たないが、エキ
ソ型の酵素との相乗効果でアミノ酸の遊離量を増加させ
る作用が知られている。我々は本発明において、中〜弱
アルカリ性での自己消化時にエンド型酵素を新たに添加
することにより遊離アミノ酸が増えることを見いだし
た。これは自己消化プロテアーゼ群の中で、中〜弱アル
カリ性における活性低下の程度に違いがあることを示し
ている。すなわちエキス収率を上げる効果を持つエンド
型プロテアーゼは活性低下が著しいが、エキソ型プロテ
アーゼの活性はエンド型のものほど低下しないことを示
唆している。このため、新たにエンド型酵素を添加する
ことにより、エキス収率が上昇すると同時に遊離アミノ
酸量の増加をもたらすと考えられる。
【0019】プロテアーゼの添加時期は特に限定しない
が、高圧ホモジナイザー処理の後に添加することで特に
問題はない。酵素添加量が多いほど、また添加時期が早
いほど遊離アミノ酸量は増える。
【0020】反応時間はエキスの品質を左右する要因と
なる。すなわち自己消化反応の過程で反応開始2から4
時間後に5’−ヌクレオチド量は最も多くなりその後減
少して行く。一方遊離アミノ酸量は時間とともに増加す
る。したがって、5’−ヌクレオチド量を重視するなら
短時間で自己消化反応を停止させ、アミノ酸量を多くし
たければ反応時間を長くすれば良い。呈味性の5’−ヌ
クレオチドとしては5’−GMPと5’−IMPが知ら
れている。5’−IMPは自己消化反応物中には含まれ
ていないが、例えばデアミザイム(天野製薬株式会社
製)などを添加すればこれに含まれるデアミナーゼの作
用によって5’−AMPから生成される。反応開始pH
については、呈味性の5’−ヌクレオチドを多く生成さ
せるようにpH6.5〜8.5で反応を開始するのがよ
い。反応開始と共にpHは低下するがアルカリ溶液を適
宜添加してpHを維持しても良い。pHが上記の範囲を
下回ると、5’−ヌクレオチド量が少なくなり、また上
記の範囲を上回ると遊離アミノ酸量が少なくなる傾向に
ある。したがって、両成分含量をできるだけ多くし、し
かもバランスを保つためには、pHを上記範囲とするの
が好ましい。
【0021】反応温度については30〜43℃で30分
から1時間程度維持し、その後43〜50℃、望ましく
は45〜47℃にすれば良い。品温をすみやかにに上昇
させるためには大規模な設備であれば熱交換器を用いる
ことができるが、実験室規模であれば所定の温度に設定
した恒温水槽に浸したステンレスチューブなどを通過さ
せることにより可能となる。例えば内径3mm、外径4
mmのステンレスチューブをコイル状に巻いたものの一
端にシリンジを接続し、もう片方から冷却したサンプル
を吸入し、コイルを恒温水槽に浸してやることによって
速やかにサンプルの温度を上昇させることができる。
【0022】プロテアーゼは、酵母液に対し0.05〜
0.5mg/ml、好ましくは0.125〜0.25m
g/ml程度の濃度で添加することが例示される。これ
以下であるとエキス収率が低下してエキソ型自己消化プ
ロテアーゼとの相乗効果が低くなり、これ以上であると
エキス収率が頭打ちとなる。
【0023】自己消化反応の停止は通常サンプルを加熱
処理して行う。この時の処理温度は通常90℃で10分
程度加熱すれば良い。サンプルを冷却後、遠心分離して
得られた上清画分は使用目的に応じて粉末状、ペースト
状、液状に加工できる。
【0024】また、5’−ヌクレオチドを多く遊離させ
るために、酵母菌体を固型分濃度5〜15%程度に懸濁
し、そこにK2 PO4 を添加する。添加濃度としては4
0mM以下が適当であり、それ以上になると遊離アミノ
酸量が低下するため、どのような品質の酵母エキスを得
たいかにより濃度を選択すれば良い。遊離アミノ酸量と
5’−ヌクレオチド量をバランス良く遊離させるために
は5〜20mMが適当である。また添加時期については
高圧ホモジナイザー処理の前後を問わない。
【0025】(4) 凍結乾燥処理 高圧ホモジナイザー処理した酵母懸濁液はそのまま自己
消化に供しても良いが、自己消化酵素の変性を起こさな
い程度に凍結保存したり、凍結乾燥処理したりして、必
要なときに水溶液に戻しても良い。凍結乾燥処理とその
後再溶解する過程を経ることにより、得られる酵母エキ
ス中の5’−GMP量が高まる。これは凍結乾燥処理前
には酵母菌体内液と菌体外液の交換が不十分な酵母菌体
が存在しているものが幾らか残っていたのが、凍結乾燥
処理によりほぼ全菌体の内部まで外液が浸透することが
できるようになるためと考えられる。
【0026】(5) 細胞壁溶解酵素およびキトサン、ポ
リアクリル酸塩の添加 自己消化の際に細胞壁溶解酵素を添加することによりエ
キス収率を向上できるばかりではなく、加熱失活後のキ
トサンおよびポリアクリル酸塩の添加と組み合わせるこ
とにより、自己消化液中の水不溶物をフロック状にして
凝集させることが可能になる。細胞壁溶解酵素として
は、酵母の細胞壁を溶解可能な酵素であればいずれも使
用可能である。とくに効果の点でアースロバクター菌由
来の酵素が望ましい。商品としては、キリンビール株式
会社製のザイモリエイス(20T、100T) が挙げられる。
尚、細胞壁溶解酵素の別の商品としてはツニカーゼ(大
和化成株式会社製)、キタラーゼ(ケイアイ化成株式会
社製)、YL−5(天野製薬株式会社製)などがある。
【0027】効果を最大限に引き出すための添加量はザ
イモリエイス20Tの場合を例にとれば、酵素液に対
し、0.078 〜7.8 U/ml、好ましくは0.16〜3.9 U/ml程度
の濃度である。細胞壁溶解酵素の添加反応後、キトサ
ン、ポリアクリル酸塩の添加前に該酵素を加熱失活させ
る。加熱失活は、例えば70〜95℃、5〜30分間処
理することにより行う。キトサンの添加量は、1w/v% の
キトサン希塩酸溶液にして4 〜16 v/v% 程度である。ま
た、ポリアクリル酸塩とはポリアクリル酸ナトリウム、
ポリアクリル酸カリウム等のことをいうが、それらの添
加量は0.5w/v% のポリアクリル酸塩水溶液にして4 〜21
v/v%程度である。
【0028】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例等に限定されるものでは
ない。
【0029】〔実施例1〕 (1) 酵母エキスの製造 ビール醸造工程で副成する酵母(通常ビール酵母と呼ば
れるもの)を固型分濃度10%(W/V)に調製し、処
理圧力1000kgf/cm2 で高圧ホモジナイザー
(RANNIE社製、TYPE 10.51VH)で処
理し、これを一旦凍結乾燥粉末にした。使用時にそれを
固型分10%になるように、冷却した水道水に溶解した
後にpH5.5から9.0に調整し、10mMとなるよ
うにK2 HPO4 を、0.25mg/mlとなるように
プロタメックスMGをそれぞれ添加した。サンプル15
mlをステンレスチューブに吸い込み、35℃の恒温水
槽中に1分間浸した後プラスチック製の試験管にサンプ
ルを移し、合計30分間加温した。次に試験管ごと47
℃の恒温水槽に移してさらに7時間30分間加温した。
試験管は適宜振とう、撹拌をすれば良い。反応停止する
ために試験管を沸騰水中に入れて10分間加温した。遠
心分離により得られた上清を凍結乾燥し、以下の分析に
供した。
【0030】(2) 酵母エキスの分析 (1) で得られた酵母エキスサンプルについて分析を行っ
た。 (遊離アミノ酸量)遊離アミノ酸量はアミノ酸分析計によ
って求めた各アミノ酸量を総和することにより求めた。
【0031】(5’−GMP量)5’−GMP量は以下の
条件下で高速液体クロマトグラフィーにより求めた。 カラム:MCI GEL CDR−10 直径 :4.6mm×250mm(三菱化成株式会社
製) 溶離液:1M酢酸アンモニウム緩衝液(pH3.5) ポンプ:東ソーCCPD 流速 :1ml/min 検出器:東ソーUV8010 測定波長:254nm 計算機:東ソーSC−8010 遊離アミノ酸量と5’−ヌクレオチド量はエキス成分の
固型物量1g当たりに含まれるmg数(単位mg/g)
または反応容器中に含まれるmg数(mg/tube)
で表した。エキス収率は原料酵母固形物量に対するエキ
ス成分の固型物量を百分率で表した。
【0032】分析した結果を表1に示した。比較例とし
て酵素を添加せずに自己消化反応を行ったサンプルの分
析結果を示す。表1より明らかなようにいずれのpHに
おいても酵素添加によりエキス収率、遊離アミノ酸量、
5’−GMP量は増加する。特に、pH6.5〜8.5
の範囲で酵素添加したものは、遊離アミノ酸量、5’−
GMP量が共に多くなっている。
【0033】
【表1】
【0034】〔実施例2〕実施例1と同様に調製した高
圧ホモジナイザー処理液を凍結乾燥することなしに10
mMとなるようにK2 HPO4 を添加し、pHを7.5
に調整した後にプロタメックスMGを0.25mg/m
lになるように添加した。このうち15mlを実施例1
に示したのと同様の方法で35℃で30分間加温し、そ
の後47℃で更に5時間30分加温して自己消化させ
た。反応停止、固液分離、粉末化の方法は実施例1の方
法に準じた。分析結果を表2に示した。表2に示される
ように、酵素添加により、エキス収率が増大した。ま
た、反応容器当たりの総遊離アミノ酸量の増大と共に総
5’−GMP量が増大した。
【0035】
【表2】
【0036】〔実施例3〕実施例1と同様に調製した高
圧ホモジナイザー処理液を一旦凍結乾燥粉末にし、それ
を固型分10%になるように水道水に溶解し、pH7.
5に調整したものを一旦15mlずつ反応容器に入れ
た。これに10mMとなるようにK2 HPO4 を添加
し、各種プロテアーゼ製剤(〈1〉〜〈13〉) を粉末品
の場合0.25mg/ml、液状品の場合0.25μl
/mlとなるように添加した。これを35℃の恒温水槽
中で30分間加温した後、更に47℃で5時間30分間
加温して自己消化反応をおこなった。自己消化反応中は
反応容器を適宜振とう、撹拌をすれば良い。反応停止、
固液分離、粉末化の方法は実施例1の方法に準じて実施
した。
【0037】得られた酵母エキス粉末の分析結果を表3
に示した。比較例として酵素を添加せずに自己消化反応
をおこなったサンプルの分析結果を示した。表3に示す
ように、中〜アルカリ性条件でエキソ型プロテアーゼ活
性を含む酵素製剤(〈10〉〜〈13〉)だけでなくエンド
型プロテアーゼ活性のみを含むプロテアーゼ製剤
(〈1〉〜〈9〉)においてもエキス収率、遊離アミノ酸
量の増加は顕著であった。
【0038】
【表3】
【0039】〔実施例4〕実施例1と同様に調製した高
圧ホモジナイザー処理液を一旦凍結乾燥粉末にし、それ
を固型分10%になるように水道水に溶解し、pHを
7.5に調整した。その液15mlに、10mMとなる
ようにK2 HPO4 を添加し、プロタメックスMGを
0.25mg/ml、またはニュートラーゼ0.5Lを
0.75μl/mlとなるように添加した。これを35
℃の恒温水槽につけて30分間加温した後、47℃に上
昇させ、更に5時間30分間加温して自己消化させた。
比較例として酵素を添加しないで同様に実施した。反応
停止、固液分離、粉末化の方法は実施例1の方法に準じ
た。分析結果を表4に示した。実施例2と同じく遊離ア
ミノ酸量の増大と共に5’−GMP量の増加がみられ
る。
【0040】
【表4】
【0041】〔実施例5〕ビール酵母懸濁液(固型分
6.25%)80Lを高圧ホモジナイザー処理し、30
0L容ステンレス製ジャーにいれた。高圧ホモジナイザ
ーの処理圧力は1000kgf/cm2 であった。これ
に25mlのニュートラーゼ0.5Lを添加し、10m
MになるようにK2 HPO4 を添加した。5Nの可性ソ
ーダを用いてpH7.5に調整した後に加温を開始し、
約1時間後に47℃に達した。さらに40分後に可性ソ
ーダを用いてpH7.5に調整し、16時間後にステン
レス製ジャーに装着されているジャケットに蒸気を通し
て90℃まで加温し、10分間保持して自己消化を停止
させた。冷却後遠心して上清を薄膜遠心濃縮機で濃縮
し、さらに粉末化して分析した。分析結果を表5に示し
た。
【0042】
【表5】
【0043】〔実施例6〕ビール酵母懸濁液(固型分1
0%)100Lに等量の1.25%NaCO3 溶液を加
えて30分間攪拌し、遠心にて上清を除いた。これに水
を加えて遠心にて上清を除いた。水を加え、固形分10
%に調整し、高圧ホモジナイザー処理して冷却後に30
0L容ステンレスジャーに入れた。高圧ホモジナイザー
処理圧力は1000kgf/cm2 であった。5Nの苛
性ソーダを用いてpHを7.5に調整し、プロタメック
スMG6gとザイモリエイス20T4gを添加した後に
加温を開始したところ、30分後に47℃に達した。加
温には熱交換機を用いた。加温開始から6時間後にジャ
ケットに蒸気を通し、品温を90℃にして10分間保持
した後に70℃まで冷却した。これにゆるやかに攪拌し
ながらキトサン希塩酸溶液15.6Lを加えた。キトサ
ン希塩酸溶液は、キトサン粉末156gを15.6Lの
水に懸濁した後に、12N塩酸156mlを加えて溶解
させて調製した。10分間攪拌した後に0.5w/v%
ポリアクリル酸ナトリウム液を20.8L加えた。溶液
中の水不溶物はフロック状になっていた。この水不溶物
をメッシュ等で除いた後に濃縮し、さらに粉末化して分
析した。分析結果を表6に示した。
【0044】
【表6】
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、食品工業の分野におい
て好適に利用される、遊離アミノ酸、ならびに5’−ヌ
クレオチド、特に呈味性の5’−GMPを多く含み、か
つ両成分含量のバランスの良い酵母エキスを高収率で製
造することができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高圧ホモジナイザー処理した酵母菌体懸
    濁液をpH6.5〜8.5の中性〜弱アルカリ性に調整
    し、該酵母菌体懸濁液にエンド型プロテアーゼを含む酵
    素剤を添加し、自己消化させることを特徴とする酵母エ
    キスの製造方法。
  2. 【請求項2】 高圧ホモジナイザーの処理圧が700k
    gf/cm2 以上である請求項1の酵母エキスの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 高圧ホモジナイザー処理した後、自己消
    化酵素の変性を起こさない程度に凍結乾燥処理すること
    を特徴とする請求項1または2記載の酵母エキスの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 自己消化が、酵母菌体懸濁液を30〜4
    3℃で30分〜1時間程度維持し、その後43〜50℃
    に加熱することにより行われることを特徴とする請求項
    1〜3いずれかに記載の酵母エキスの製造方法。
  5. 【請求項5】 自己消化が、酵母菌体懸濁液を30〜4
    3℃で30分〜1時間程度維持し、その後45〜47℃
    に加熱することにより行われることを特徴とする請求項
    4記載の酵母エキスの製造方法。
  6. 【請求項6】 自己消化の際にさらに酵母細胞壁溶解酵
    素も添加して反応を行い、酵素を加熱失活させた後にキ
    トサンとポリアクリル酸塩を添加して水不溶物の除去を
    行うことを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の酵
    母エキスの製造方法。
  7. 【請求項7】 細胞壁溶解酵素がアースロバクター菌由
    来のものである請求項6記載の酵母エキスの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7いずれかに記載の方法によ
    って製造された酵母エキス。
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