JPH11332511A - 酵母エキスの製造法 - Google Patents

酵母エキスの製造法

Info

Publication number
JPH11332511A
JPH11332511A JP10149184A JP14918498A JPH11332511A JP H11332511 A JPH11332511 A JP H11332511A JP 10149184 A JP10149184 A JP 10149184A JP 14918498 A JP14918498 A JP 14918498A JP H11332511 A JPH11332511 A JP H11332511A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yeast
enzyme
yeast extract
under
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10149184A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichi Watabe
部 健 一 渡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kirin Brewery Co Ltd
Original Assignee
Kirin Brewery Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kirin Brewery Co Ltd filed Critical Kirin Brewery Co Ltd
Priority to JP10149184A priority Critical patent/JPH11332511A/ja
Publication of JPH11332511A publication Critical patent/JPH11332511A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Seasonings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 5′−ヌクレオチド含量の多い酵母エキスを
提供する。 【解決手段】 原料となる酵母菌体を、温度xが15〜
50℃、時間yが2〜72時間で、かつ15℃−72時
間と50℃−24時間の点を直線的に結ぶ範囲内の温度
−時間条件で加温処理した後に、核酸分解酵素の含まれ
る条件下で、かつ5′−ヌクレオチドを分解する酵素活
性が抑制される条件下で菌体成分を消化し抽出すること
を特徴とする酵母エキスの製造法。好ましくは、消化方
法として外部酵素剤(タンパク質分解酵素、核酸分解酵
素、多糖分解酵素、脂質分解酵素等)を添加して菌体内
成分を可溶化させる。また別の好ましい態様において、
菌体成分の消化工程に先立ち、酵母を物理的な手段(ホ
モジナイザー、ミル等)で破砕処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の背景〕
【発明の属する技術分野】本発明は,酵母エキスの製造
法に関し、より具体的には5′−ヌクレオチド含量の多
い酵母エキスの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】酵母エキスは、遊離アミノ酸、5′−ヌ
クレオチド、ペプチド、有機酸、糖類などによって生じ
る優れた呈味を持ち、コクや深みといった複雑な味を付
与するため食品工業において広く用いられている。また
消費者の自然、健康という近年の志向に伴い、その使用
量も増加傾向にあり注目されている。
【0003】酵母エキスの製造法には、酵母菌体内に本
来あるタンパク質分解酵素などを利用して菌体成分を可
溶化してエキス分を得る自己消化法、微生物や植物など
から得られる酵素製剤を添加して菌体成分を可溶化する
酵素分解法、酸やアルカリにより可溶化する加水分解法
や、これらを組み合わせた各種方法が知られている。
【0004】核酸の分解物である5′−ヌクレオチドは
それ自体も優れた呈味性を持ち、遊離アミノ酸、特にグ
ルタミン酸との旨味の相乗効果もあることから、食品の
呈味を優れたものにするうえで非常に重要な要素であ
る。しかしながら、従来の酵母エキス製造法では核酸が
十分に抽出されない、あるいは過度に分解されてしまい
5′−ヌクレオチドはほとんど残存しない。
【0005】これまで5′−ヌクレオチド生成量を増や
す試みとして、酵母菌体、もしくはその抽出物を熱やア
ルカリで酵素失活させた後に核酸分解酵素を外部添加
し、その作用により菌体成分であるリボ核酸(RNA)
を5′−ヌクレオチドに分解して利用する方法(特開昭
62−201595号公報、特開平2−79954号公
報)、アルカリ性の条件下において自己消化することに
より5′−ヌクレオチドの過度の分解を抑制してエキス
分を得る方法(特公平3−24190号公報)などが知
られている。
【0006】しかしながらこれらの方法は、エキス分の
収率が低く十分に菌体成分を利用できない、多量の外部
添加酵素を必要としたり工程が複雑化することからコス
トがかかる、相乗効果を醸す5′−ヌクレオチドと遊離
アミノ酸のバランスが悪いなどの欠点がある。
【0007】また、これまで5′−ヌクレオチド生成量
を増加させるために原料である酵母の前処理に着目する
ような試みはこれまで行われていなかった。
【0008】酵母エキスの製造法における酵母菌体の前
処理という観点から見ると、酵母菌体を酸処理もしくは
アルカリ処理する方法(特公昭61−50592号公
報)や、エチルアルコール処理を行う方法(特公平02
−51587号公報)が提示されているが、これらはい
ずれも自己消化開始や汚染菌の除去、異臭の除去を目的
としているものであり、5′−ヌクレオチドの生成ある
いは生成量について示されているものではない。また、
実際にこれらの方法において、5′−ヌクレオチド生成
量は特に増加はしていない。
【0009】〔発明の概要〕
【発明が解決しようとする課題】本発明は、エキス抽出
の原料となる酵母菌体に対して前処理を行うことによっ
て、5′−ヌクレオチド含量の高い酵母エキスを製造す
る方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は酵母菌体の前
処理法を鋭意検討した結果、特定の条件で加温処理した
後に、核酸分解酵素の含まれる条件下で、かつ5´−ヌ
クレオチドを分解する酵素活性が抑制される条件下で菌
体成分を消化し抽出することによって、エキス抽出後の
5′−ヌクレオチド生成量が増加することを見いだし、
本発明を完成した。
【0011】すなわち、本発明は原料となる酵母菌体
を、下式 (i)〜(iv)で示される直線で囲まれる範囲内の
温度−時間条件で加温処理した後に、核酸分解酵素の含
まれる条件下で、かつ5´−ヌクレオチドを分解する酵
素活性が抑制される条件下で菌体成分を消化し抽出する
ことを特徴とする酵母エキスの製造法である。
【0012】 (i) x=15、 (ii)y=50 (iii) y=2、 (iv)y=−(48/35)x+648/7 [式中、xは温度(℃)であり、yは時間(時)であ
る。]
【0013】〔発明の具体的説明〕
【発明の実施の形態】本発明で用いる酵母は、可食性の
ものであれば特に制限はなく、例えばビール酵母、パン
酵母、アルコール酵母あるいはトルラ酵母など通常の食
品工業に用いられているものを単独または組合せで任意
に使用することができる。上記の具体的な酵母は、酵母
を販売しているメーカー等から容易に入手することがで
きる。原料としてビール酵母を用いる際には、ホップ由
来の苦みを除去するために通常の脱苦味処理を適宜施す
ことにより、さらに風味の良い酵母エキスを製造できる
ので好ましい。
【0014】本発明では、酵母菌体を消化工程に供する
前に、原料菌体の前処理としての加温処理を行う。酵母
菌体は内在酵素が失活していないもの(例えば生菌体)
であることが望ましく、通常凍結乾燥、凍結、湿潤、懸
濁液等での低温保存したものを使用する。加温処理は、
通常酵母菌体をフィルタープレス等による圧搾状(乾燥
または湿潤酵母等)、ペースト状(湿潤または凍結融解
酵母等)、スラリー状あるいは懸濁液状(懸濁または凍
結融解酵母等)の状態で行う。
【0015】本発明における加温処理は、上述のように
式 (i)〜(iv)で示される直線で囲まれる範囲内の温度−
時間条件で行うものであり、この温度−時間条件は図1
の斜線領域として表すことができる。すなわち、該温度
−時間条件は、温度xが15〜50℃、時間yが2〜7
2時間で、かつ15℃−72時間と50℃−24時間の
点を直線的に結ぶ範囲内の条件であり、図1においては
下記の4点を結ぶ範囲内の温度−時間条件である。
【0016】 (i) 15℃−2時間、 (ii)15℃−72時間 (iii) 50℃−24時間、 (iv)50℃−2時間 図1に示されるように、上記加温処理時間は処理温度に
依存する。すなわち、加温処理は温度が高ければ短時間
で良く、温度が低い場合には長時間を要する。処理温度
が15℃未満では効果(特に5′−ヌクレオチド生成量
の増加効果)が弱く、要する時間が長すぎて実際の製造
現場で使用する上では現実的ではない。また50℃を超
えてもエキス抽出後の5′−ヌクレオチド生成量を増加
させる効果がないことが確認されている。処理温度は1
5℃〜50℃の範囲であるが、25〜40℃がより好ま
しい。加温処理操作は、通常適当な容器(タンクなど)
に入れた酵母菌体を恒温装置中に静置することにより行
うが(この際必要があれば攪拌(懸濁液)等の外力を加
えてもよい)、常温もしくは室温範囲においては恒温装
置外の環境放置もしくは保存も可能であり、加温処理に
包含される。
【0017】一方、加温処理する時間については2時間
以上で効果を発揮するが、72時間を超えると腐敗の懸
念があり異臭も付くため、何らかの防腐処理を施さない
かぎり72時間以内である必要がある。また図1に示す
ように、温度が高くなるほど許容される最大処理時間は
短くなり(式 (iv) に相当)、上限の50℃では最大2
4時間である。上記の処理時間のうち、特に4〜16時
間(より好ましくは温度25〜40℃において)の加温
処理がエキス抽出後の5′−ヌクレオチド生成量を増加
させる効果が高い。
【0018】上述のように、本発明における加温処理は
特定の式または図1で表すことができ、その範囲内であ
ればよいが、処理温度と保持時間(処理時間)の関係の
好ましい具体例は例えば下表のように示すことができる
(これらは例示であって本発明を限定するものではな
い)。
【0019】 加温処理の温度 保持時間 更に至適な保持時間 25℃ 2〜58時間 5〜20時間 35℃ 2〜45時間 4〜19時間 45℃ 2〜31時間 4〜15時間 なお、このような加温処理によって酵母菌体内の種々の
酵素(タンパク質分解酵素、核酸分解酵素、多糖分解酵
素、脂質分解酵素等)の失活はほとんどない。
【0020】本発明の酵母エキスの製造法は、上記のよ
うな加温処理を終えた酵母菌体を原料として、少なくと
も核酸分解酵素の含まれる条件下で、かつ5´−ヌクレ
オチドを分解する酵素活性が抑制される条件下で菌体成
分の消化(もしくは分解)が行われる方法である必要が
ある。ここで「核酸分解酵素の含まれる条件下」とは、
核酸分解酵素の存在は必須であり、必要に応じて他の消
化酵素が含まれてもよいこと、および、核酸分解酵素は
使用する酵母菌体自体に由来するものでもよいし外部よ
り添加してもよいことを意味する。また、「5´−ヌク
レオチドを分解する酵素活性が抑制される条件下」と
は、ヌクレオチダーゼ、ホスホモノエステラーゼ等の5
´−ヌクレオチドの分解能を有する酵素の活性を抑制す
る条件もしくは環境を意味する。
【0021】菌体成分の消化方法の一つは、酵母菌体内
酵素を用いる、いわゆる自己消化法である。自己消化法
は、原料としての酵母菌体(本発明においては上記加温
処理したもの)を加熱処理することにより菌体内の分解
酵素(タンパク質分解酵素、核酸分解酵素等)を作用さ
せて可溶化してエキス分を得る方法であるが、5´−ヌ
クレオチドの分解を抑制するために酵母菌体をpH6.
5〜10の中〜アルカリ性、好ましくは6.5〜8.5
の中〜弱アルカリ性の条件下で行う必要がある。本発明
における自己消化は、前処理としての加温処理を施した
酵母菌体を通常水懸濁液の形でアルカリ剤(水酸化ナト
リウム等)あるいは緩衝剤等でpH6.5〜10に調整
した後、従来知られている条件下で、例えば40〜55
℃で36〜48時間程度加熱処理して行えばよい。しか
し、5′−ヌクレオチドの十分かつ安定した生成量の点
からすれば、自己消化法単独よりも更に外部酵素剤を添
加して菌体内成分を可溶化する方法、すなわち外部酵素
剤を添加した状態で自己消化を行う方法がより好まし
い。ここで外部酵素剤は、少なくとも酵母菌体の高分子
成分を分解することができる消化用の外来酵素であり、
このような酵素としては各種タンパク質分解酵素(プロ
テアーゼ:例えばプロタメックス(ノボ社))、核酸分
解酵素(ヌクレアーゼ(特に5´−pヌクレアーゼ):
例えばヌクレアーゼ「アマノ」(天野製薬社))、多糖
分解酵素(例えばザイモリエイス(キリンビール
社))、脂質分解酵素(例えばリパーゼA「アマノ」
(天野製薬社))等を単独または組合せ(例えばタンパ
ク質分解酵素+核酸分解酵素)で任意に使用できる。核
酸分解酵素としては、5′−ヌクレオチドを分解するホ
スファターゼ活性、ヌクレオチダーゼ活性の少ないもの
(例えばプロタメックスなど)もしくは5′−ヌクレオ
チドを生成するもの(例えば5′−ヌクレオチダーゼ)
が望ましい。酵素の組合わせにおいて、多種の酵素を組
合わせて用いることにより種々の分解産物(遊離アミノ
酸、5′−ヌクレオチド、有機酸など)による複雑な呈
味を付与することができ、また、例えばタンパク質分解
酵素と核酸分解酵素を組合わせて用いることにより、味
覚の相乗効果を示す5′−ヌクレオチドと遊離アミノ酸
のバランスが良好となる。
【0022】外部酵素剤としては、上記のような消化用
酵素以外に、デアミナーゼ(例えば5´−AMPを5´
−IMPに変換するAMPデアミナーゼ)など他の酵素
を更に使用することも可能である。
【0023】外部酵素剤を添加した自己消化工程は、通
常酵母菌体原料(本発明による加温処理したもの)の水
懸濁液中に、一種または複数種の外部酵素を添加して、
上述のようにpH6.5〜10、好ましくは6.5〜
8.5の中〜アルカリ性の条件下で酵素反応(自己消化
+外部酵素反応)を行わせる。
【0024】外部酵素の添加時期は特に限定されない
が、自己消化の初期が好ましい。
【0025】外部酵素の添加量は、酵素が有効に作用す
る量であれば特に限定されず、また酵素の種類により変
わりうるが、通常酵母液に対して0.1mg〜10mg
/ml程度の濃度である。
【0026】消化反応の停止は、通常反応酵母液を80
〜100℃で5〜15分程度加熱して行えばよい。
【0027】本発明において、消化工程は、上述のよう
に自己消化と外部酵素剤添加法とを組合せる方法の他
に、外部酵素剤添加法のみで行ってもよい。すなわち、
加温処理した酵母の菌体内酵素を失活させた後に、外部
酵素剤(1種または複数種の酵素)を添加して菌体内成
分を可溶化(消化)する方法を用いることも可能であ
る。この場合は酵母の種類、添加量等の因子を随意にコ
ントロールできるため所望の酵母エキスを得るための工
程管理がしやすいという利点がある。
【0028】菌体内酵素の失活は、加温処理後の酵母菌
体液を通常80〜100℃で5〜15分程度加熱して行
えばよい。
【0029】外部酵素の添加量は、酵母菌体内酵素を失
活させたことに起因して自己消化と組合わせた方法より
増加させることが望ましく、通常酵母液に対して0.2
mg〜20mg/ml程度の濃度である。その後の消化
工程(消化反応の停止を含む)の反応条件は自己消化の
場合と基本的に同じでよいが、pHは添加する酵素の作
用する範囲であればよく、必ずしも上記の6.5〜8.
5(あるいは10)の範囲にある必要はない。
【0030】なお、本発明において、上述したような酵
素による消化工程に必要に応じて通常の酸やアルカリに
よる加水分解法を組合わせることもできる。
【0031】また本発明においては、加温処理工程後
に、上記消化工程に先立って酵母を物理的な手段、特に
ホモジナイザーやミル(例えばボールミル)などの物理
的手段を使用して酵母菌体を破砕処理し、その後自己消
化あるいは外部酵素を添加して自己消化を行うことによ
って菌体内成分を可溶化する方法を用いることにより、
エキス抽出後の5′−ヌクレオチド生成量がさらに顕著
に増加する。物理的手段による処理は、酵母菌体が物理
的に破砕される条件でよいが、好ましい方法として以下
にホモジナイザーによる処理の条件を例示する。
【0032】・ホモジナイザー:RANNIE社製、T
ype 10.51VH 処理条件:200〜1000kgf/cm(1パス) 上記消化工程(好ましくは物理的手段による破砕処理
後)に付して可溶化させた酵母菌体成分を、その後抽出
工程に付して不溶性の菌体成分を分離することにより目
的の酵母エキス、すなわち5′−ヌクレオチド含量の多
い酵母エキスを得ることができる。このような抽出工程
は、合目的的な任意の方法により行うことができるが、
具体的には遠心分離法(例えば1000〜3000rp
mで3〜10分)、フィルタープレス、凝集沈殿法等が
例示される。
【0033】抽出工程で得られた上清画分はそのままあ
るいは希釈または濃縮して酵母エキスとすることができ
るが、使用目的に応じて粉末状、ペースト状、半流動状
等に加工できる。
【0034】上述したように、本発明の方法によれば、
特定の温度−時間条件で予め加温処理した原料酵母菌体
を5′−ヌクレオチドを分解する酵素活性が抑制される
条件下で酵母菌体成分を消化抽出することにより、5′
−ヌクレオチド含量の多い酵母エキスを得ることができ
る。
【0035】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例等に限定されるもの
ではない。 〔実施例1および比較例1〕ビール醸造工程で副生する
酵母(通常ビール酵母と呼ぶ)を固形分濃度10%(w
/v)のスラリーの状態で35℃で12時間保持し、そ
の後氷冷した。その比較対照として温度処理を施さず4
℃保存したものも用意した。
【0036】それぞれをガラス製ビーカーに入れ、沸騰
水浴により80℃以上で10分間保持し、酵母中の総じ
た酵素を失活させた。冷却した後に核酸分解酵素ヌクレ
アーゼアマノ(天野製薬)を乾燥固形分1g当たり50
mgとなるように添加した。45℃で6時間保持した
後、沸騰水浴により80℃以上で10分間保持して酵素
を失活させた。その後に遠心分離により固形分を分離、
エキス分を得た。
【0037】5′−ヌクレオチドのうち、呈味性の5′
−GMPの定量は以下の条件で高速液体クロマトグラフ
ィーにより求めた。
【0038】 カラム :MCI GEL CDR−10、4.6m
m X 250mm(三菱化学株式会社製) 溶離液 :1M酢酸アンモニウム緩衝液(pH3.5) ポンプ :東ソー CCPD 流速 :1ml/min 検出器 :東ソー UV8010 測定波長:254 nm 計算機 :東ソー SC−8010 5′−ヌクレオチド量はエキス成分の固形物量1g当た
りに含まれるmg数で表した(下表)。 生成5′−GMP量(mg/g) 比較例1 1.03 実施例1 1.75
【0039】〔実施例2および比較例2〕ビール酵母で
実施例1および比較例1と同様に35℃12時間の温度
処理を施した酵母と施さない酵母を用意した。
【0040】それぞれのサンプルを処理圧力1000k
gf/cm2 で高圧ホモジナイザー(RANNIE社
Type 10.51VH)で破砕処理した。それら処
理液を水酸化ナトリウムでpH7.5に調整して30℃
〜47℃で8時間保持した。酵素反応停止のため80℃
以上で10分保持し、次いで遠心分離器により固液分離
を行い、エキス分を得た。
【0041】このエキス分に含まれる5′−GMP生成
量を実施例1に記載の方法と同様に分析した結果を以下
に示す。 生成5′−GMP量(mg/g) 比較例2 0.05 実施例2 3.31
【0042】〔実施例3および比較例3〕実施例2と同
様に温度処理を施した酵母と施さない酵母をホモジナイ
ズし、pHを7に調整した後にタンパク質溶解酵素のプ
ロタメックスMG(ノボインダストリー社)を0.25
mg/mlになるように添加して30℃〜47℃で8時
間保持した。実施例2と同様に酵素反応停止、遠心分離
によりエキス分を得た。
【0043】このエキス分に含まれる5′−GMP生成
量を実施例1に記載の方法と同様に分析した結果を以下
に示す。
【0044】〔実施例4および比較例4〕培養したトル
ラ酵母(Candida utilis)を材料にし
て、実施例1と同様に35℃12時間の温度処理を行っ
たものと行わないものを用意した。
【0045】実施例2と同様に高圧ホモジナイザーを使
用して破砕処理を行い、pH7.5にて30℃〜45℃
で8時間保持し、次いで80℃10分間で酵素失活した
後遠心分離によりエキス分を得た。
【0046】このエキス分に含まれる5′−GMP生成
量を実施例1に記載の方法と同様に分析した結果を以下
に示す。
【0047】〔実施例5〕ビール酵母を使用して加熱温
度および処理時間を変えて前処理を行った後に、実施例
3と同様の方法で酵母エキスを調製して、生成した5′
−GMP量を実施例1に記載の方法により分析した。結
果を以下の表にまとめた。なお、55℃で前処理した場
合には、短時間の処理であっても異臭が発生してしまう
ので本発明方法には、適さないと判断した。
【0048】 18℃ 24℃ 30℃ 35℃ 40℃ 45℃ 0時間 1.58 1.58 1.58 1.58 1.58 1.58 4時間 − − − 3.28 4.97 2.69 8時間 − − − 6.69 8.42 2.67 12時間 − − − 17.3 7.05 1.76 16時間 4.33 6.51 13.3 15.4 2.05 nd 40時間 7.82 12.8 12.9 8.60 nd nd 72時間 (異臭) (異臭) (異臭) (異臭) (異臭) (異臭) (−:未測定 nd:検出せず)
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、特に、特定の温度条件
下で加温処理した原料酵母菌体を、5′−ヌクレオチド
を分解する酵素活性が抑制される条件下で菌体成分を消
化抽出することにより、5′−ヌクレオチド含量の多い
酵母エキスを提供することができる。
【0050】消化方法として外部酵素剤を添加して菌体
内成分を可溶化させることにより、5′−ヌクレオチド
含量の多い酵母エキスを安定して供給することができ
る。
【0051】さらに、菌体成分の消化工程に先立って、
酵母を物理的な手段で破砕処理することにより、菌体成
分の可溶化の効果はさらに増強される。
【0052】上記のような特定条件での加温処理による
前処理を施した酵母菌体を消化工程の原料とすること、
および5′−ヌクレオチドを分解する酵素活性が抑制さ
れる条件下で消化工程を行うことを組合わせることによ
り、エキス抽出後の5′−ヌクレオチド含量を著しく高
めることができたことは当業者にとって思いがけなかっ
たことと解される。
【図面の簡単な説明】
【図1】加温処理における温度と時間の関係を示すグラ
フである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原料となる酵母菌体を、下式 (i)〜(iv)で
    示される直線で囲まれる範囲内の温度−時間条件で加温
    処理した後に、核酸分解酵素の含まれる条件下で、かつ
    5´−ヌクレオチドを分解する酵素活性が抑制される条
    件下で菌体成分を消化し抽出することを特徴とする、酵
    母エキスの製造法。 (i) x=15、 (ii)y=50 (iii) y=2、 (iv)y=−(48/35)x+648/7 [式中、xは温度(℃)であり、yは時間(時)であ
    る。]
  2. 【請求項2】菌体成分の消化方法が、菌体内酵素を失活
    させた後に外部酵素剤を添加して菌体内成分を可溶化さ
    せる方法である、請求項1記載の酵母エキスの製造法。
  3. 【請求項3】菌体成分の消化方法が、酵母菌体をpH
    6.5〜10の中〜アルカリ性の条件下で自己消化させ
    る方法である、請求項1記載の酵母エキスの製造法。
  4. 【請求項4】外部酵素剤を添加して自己消化を行う、請
    求項3記載の酵母エキスの製造法。
  5. 【請求項5】菌体成分の消化工程に先立ち、酵母を物理
    的な手段で破砕処理することを特徴とする、請求項1〜
    4のいずれか1項記載の酵母エキスの製造法。
JP10149184A 1998-05-29 1998-05-29 酵母エキスの製造法 Pending JPH11332511A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10149184A JPH11332511A (ja) 1998-05-29 1998-05-29 酵母エキスの製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10149184A JPH11332511A (ja) 1998-05-29 1998-05-29 酵母エキスの製造法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11332511A true JPH11332511A (ja) 1999-12-07

Family

ID=15469644

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10149184A Pending JPH11332511A (ja) 1998-05-29 1998-05-29 酵母エキスの製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11332511A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020003991A (ko) * 2000-06-28 2002-01-16 백철언 정미성 핵산 효모 엑기스의 제조법 개발
JP2006187231A (ja) * 2005-01-05 2006-07-20 Shimadzu Corp 酵母エキスの製造方法
WO2008023425A1 (fr) 2006-08-24 2008-02-28 Kirin Holdings Kabushiki Kaisha Composition pour l'amélioration de l'état de la peau
JP2010532981A (ja) * 2007-07-10 2010-10-21 ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. 酵母自己消化物

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020003991A (ko) * 2000-06-28 2002-01-16 백철언 정미성 핵산 효모 엑기스의 제조법 개발
JP2006187231A (ja) * 2005-01-05 2006-07-20 Shimadzu Corp 酵母エキスの製造方法
WO2008023425A1 (fr) 2006-08-24 2008-02-28 Kirin Holdings Kabushiki Kaisha Composition pour l'amélioration de l'état de la peau
JP2010532981A (ja) * 2007-07-10 2010-10-21 ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. 酵母自己消化物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0354610B1 (en) Method for the preparation of a yeast extract, said yeast extract, its use as a food flavour, and a food composition comprising the yeast extract
EP1124441B1 (en) Method for the isolation of a beta-glucan composition from oats and products made therefrom
JPH07115A (ja) 改良されたコ−ヒ−エキスの製造方法
CN112105267A (zh) 酵母蛋白质
EP3466275A1 (en) Nucleic-acid-containing fermented flavoring and production method therefor
US20050054058A1 (en) Process for producing nucleic acid-rich yeast extract and nucleic acid-rich yeast extract
JP2009161448A (ja) 麦芽根抽出物、その製造方法、およびそれを含んでなる微生物の発酵促進剤
JPH0956361A (ja) 酵母エキスの製造方法
JP5518434B2 (ja) ビール風味飲料用風味改善剤
JPH11332511A (ja) 酵母エキスの製造法
US9115379B2 (en) Process for the production of a composition containing 5′-ribonucleotides
JP2022535695A (ja) トレハロースに富む酵母エキス
JP2004049145A (ja) 麦茶飲料および麦茶抽出液の製造方法
JPH0534939B2 (ja)
JP4414837B2 (ja) 自己消化酵母エキスの製造方法
JPS60196195A (ja) イ−ストグルカンの製造法
KR100198753B1 (ko) 효모 엑기스의 제조방법
JPS62289161A (ja) 酵母エキス組成物
US20040258800A1 (en) Brewer' s yeast or brewer' s yeast extract with improved flavor, process for producing the same and flavor improving agent therefor
CN106659178A (zh) 茶饮料的混浊抑制剂
US20150366245A1 (en) Malt extract
JP2009213395A (ja) 酵母エキスの製造方法
JPH04144667A (ja) 澄明な酵母エキスの製造法
US9192184B2 (en) Process for the production of yeast extracts having low turbidity
JPH10262605A (ja) 酵母エキスの製造方法