JP4755450B2 - 酵母エキスを用いた発酵飲料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酵母エキスを用いることを特徴とする、非麦穀物を原料とした発酵飲料の製造方法に関する。中でも、コーンを原料としたビールテイスト飲料に関する。
従来から、ビールテイスト飲料など発酵飲料において未発芽穀物原料100%使用で醸造する試みがしばしば行われてきている。しかしこれは従来のビールや発泡酒の仕込みと異なっており、麦芽に内在する酵素(例えばアミラーゼ類やプロテアーゼ類)が含まれておらず、それぞれ外部からの数種の酵素を組み合わせて作用させる必要があった。
上記の方法で製造した糖化液は、外部酵素の反応が充分に働かず、発酵工程での酵母の栄養源である糖類やアミノ酸類が発酵に必要な目的の量に達しない場合も生じる可能性があった。中でもとうもろこしは特にタンパクの分解が困難であることから、発酵飲料の原料として用いることは困難であった。
そこでこの不具合を解消するために本発明者らは、穀物原料から、デンプン画分とタンパク質画分を分画し、両画分をそれぞれ外部酵素で処理して、デンプン分解物およびタンパク分解物としてから、それらを組み合わせて仕込み液の原料として用いれば、仕込工程での不具合が解消することを見出し、特願2005−80708として出願している。
しかしながら、デンプン分解物およびタンパク分解物を主原料として発酵飲料を製造するときは、発酵が十分に進みにくいので、その問題を解決することが要望されている。
一方、ビタミンやミネラルを豊富に含む原料として、酵母エキスが知られている。

特願2005−80708〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、コーン等の穀物を分画加工した原料を使用して発酵飲料を製造する際、十分な発酵が行われる技術を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、原料として、コーン等の穀物を分画加工した原料を使用した場合にも十分な発酵を得る方法を追求した。その結果、穀物を分画加工した原料は酵母の増殖発酵に必要なビタミンやミネラルが欠乏していることをつきとめた。そこで更に、ビタミンやミネラルを補うことができ、しかも、ビールテイスト飲料の香味などの品質に悪影響を及ぼさない発酵助剤を鋭意検討した。
その結果、発酵助剤として、一定の要件を満たす酵母エキスを選択することで、発酵飲料の製造には僅かしか使用できないと考えられていた酵母エキスを主な発酵助剤として用いて、ビタミンやミネラルの欠乏による発酵不良を解消しつつ、香味などの品質に優れたビールテイスト飲料を提供できることを見出した。
すなわち、コーン等の穀物を分画加工した原料を使用した発酵飲料の製造においては、従来の酵母エキスの使用量よりも遥かに大量の酵母エキスが必要であるが、本発明によれば、特定の要件として、「低塩化ナトリウム含量」、「低濁度」、および「低酵母臭」の少なくとも一つ、好ましくは全部を満たす酵母エキスを穀物原料の発酵飲料の主要な発酵促進剤として使用することにより、酵母エキスの酵母増殖発酵促進剤としての機能を十分に発揮させながら、香味品質を損なわない、高嗜好度の発酵飲料を完成させるに至った。

〔発明の効果〕
酵母エキスはビタミンやミネラルを豊富に含み、ビール等の発酵飲料製造のための発酵助剤として用いられる場合はあったが、発酵臭が強いため、水を除く発酵原料に対して、0.01重量%を超えて使用されることはなかった。これに対して、本発明により特定された一定の要件を備えた酵母エキスを主な発酵助剤として用いれば、穀物原料を分画加工した原料を発酵原料として使用する発酵飲料の製造において、酵母増殖発酵を良好ならしめ、しかも香味品質を損なわない高嗜好度のビールテイスト飲料を提供することが出来る。
酵母エキス
本発明でいう酵母エキスは、酵母を自己の酵素もしくは外来生物由来の酵素によりタンパク分解反応を施し濃縮して得たものをいう。または、酵母を酸などによる化学的タンパク分解反応を施して得ることもできる。酵母の菌種はとくに限定されないが、Saccharomyces属に由来する酵母であることが好ましい。
本発明で用いる酵母エキスは、低塩化ナトリウム含量、低濁度、または低酵母臭の少なくとも一つの要件を満たすものを用いる。
すなわち、塩化ナトリウムは、通常の酵母エキスの濃度(5〜30重量%)に比較して低濃度である、例えば1重量%以下のものが好ましい。そのような酵母エキスは、公知方法で得た酵母エキスを、例えばイオン交換膜を通すなどして脱塩することで得ることができる。
酵母エキスの5%水溶液での濁度は通常の酵母エキスの濁度である200NTU (Nephelometric Turbidity Unit)程度のものに比較して低濁度、例えば、50NTU程度以下のものが好ましい。そのような酵母エキスは、公知方法で得た酵母エキスを、例えば遠心分離して沈殿物を除去して得ることができる。
酵母エキスの臭いに関しては、通常の酵母エキスに比較して、酵母臭の低減されているものを好適に用いることができる。ビールテイスト飲料の原料として、水を除く原料中0.2〜5重量%、例えば1重量%用いても、製品に酵母臭を付与しない程度に低臭のものを用いることが好ましい。そのような酵母エキスは、公知方法で得た酵母エキスを、例えば、活性炭処理を施して得ることができる。
酵母エキスは、上述の3つの特定を同時に満たしているものを特に好適に用いることができる。そのような酵母エキスは、例えば、酵母を自己消化後、脱塩、遠心分離、活性炭処理を施して濃縮エキス化することで製造できる。
酵母エキスの使用量は、コーン等の穀物を分画加工した原料を発酵飲料製造のための発酵原料に使用した場合の発酵を、麦芽を発酵原料とした場合と匹敵しうる程度に改善できる量、例えば、水を除く原料中、約0.2〜5重量%、より好ましくは約1〜2重量%程度添加することが好ましい。

非麦穀物
本発明においては麦以外の各種穀物を分画して用いることができる。非麦穀物の例は、コーン、米、そば、ソルガム、粟、ひえ、および大豆やエンドウといった豆類である。なお、麦については、本発明の技術を用いなくとも、発芽・仕込み・発酵工程が容易に進行するため、本発明の対象としない。
非麦穀物のうち、コーンは、タンパクの構成アミノ酸中に、ロイシンを非常に豊富に含むことがわかっている。ロイシンは発酵飲料、特にビールテイスト飲料の良好な香味の前駆体であることから、コーンを好適に用いることができる。コーンは麦芽同様に発芽させて用いようとしても、発酵工程での発酵不良の問題を伴うが、本発明にしたがい、成分を分画してから用いると発酵不良の問題が解消される。コーンは発芽コーン、未発芽コーンのいずれも本発明に使用できるが、未発芽のコーンの使用が好適である。
コーンの種類はデントコーン、フリントコーン、ポップコーン、ワキシーコーン等特に限定されない。このうち、デントコーンがビールテイスト飲料の原料として適している。コーンは、粒状コーンを粉砕して用いてもよいし、デンプンやペプチドが未分画であれば、コーングリッツやコーンフラワーといった加工品を出発原料として用いても良い。
非麦穀物の成分の分画
本発明においては麦以外の各種穀物、例えばコーンを各成分に分画してから発酵原料とする。分画により、少なくともデンプン画分およびタンパク画分に分画する。分画方法に特別の制限はないが、例えば、以下の工程で行うことができる。
コーンを浸漬水に浸漬する(浸漬温度はほぼ室温、浸漬時間は48時間程度である);吸水したコーンを粉砕する(好ましい粉砕条件としては、ディスクミルである);粉砕後、水面に浮かんだ胚芽を分離する;胚芽を分離した粉砕コーンを磨砕する(好ましい磨砕条件はディスクミルである);磨砕後のコーンを篩に通し、篩上に残った繊維画分を分離する(好ましい篩は50〜100μm程度である)、遠心分離などで比重の違いに基づいてデンプン画分とタンパク画分とを分離回収する。あるいはこれを、遠心分離で分離しても良い。
分画成分の酵素分解
デンプン画分の糖化は、醸造用糖化液の調製のための公知の方法で行うことができる。例えば、外部酵素として液化酵素(アミラーゼ)を用い、スターチ分解物(コーン糖化スターチ)を調製することができる。液化酵素の種類、使用量、酵素反応温度、酵素反応時間は、製造すべき発酵飲料に応じて適宜決定できるが、ビールテイスト飲料の製造を目的とする場合で例示すると例えば、以下のとおりである。
pHを水酸化カルシウムを使いpH6に調整し、耐熱αアミラーゼ(ターマミル120L:ノボ社)を適量(0.025〜0.5%)添加し、よく混合し攪拌しながら103℃で5分間加熱を行う。温度を95℃に下げ、90分間保持する。温度を65℃に下げβアミラーゼ・プルラナーゼ酵素として、ビオザイムM5(アマノエンザイム社)やライスターゼPL(大和化成)を0.01〜0.1%添加して、約20時間攪拌する。それを80℃以上まで昇温を行い酵素類を失活させる。この糖液を珪藻土で濾過し、イオン交換樹脂を通して脱塩を行い、活性炭で脱色・脱臭し、デンプン分解物(コーン糖化スターチ)液を得ることができる。分解が酵母発酵に適する程度に達成されたか否かは資化性糖をHPLCで測定することにより調べることができる。
得られたデンプン分解物(コーン糖化スターチと称することもある)の溶液は、そのままでまたは適宜濃縮もしくは希釈して用いることもできるが、微生物的に安定な程度、例えば固形分75%まで減圧濃縮することが好ましい。
タンパク画分の分解は、発酵段階で酵母が利用するアミノ酸やペプチドといったタンパク分解物を得るために行う。分解のために使用可能な酵素および酵素反応方法は一般に公知であり、例えば以下の方法で分解することができる。
タンパク画分を固形分で30%になるように温水に懸濁し、殺菌のため95℃に昇温し20分間保持する。温度を50℃に下げ、水酸化ナトリウムと塩酸で中性になるようpHを調整し、フレーバーザイム(ノボ社)やプロチンFA(大和化成)といったプロテアーゼを0.1〜1.0%程度添加し20時間反応させる。分解度は遊離アミノ酸が20%以上になるのを目処とし、酵素失活のため95℃に昇温し20分間保持する。この反応液を、珪藻土で濾過し、活性炭で脱色・脱臭を行いコーン蛋白分解液を得る。酵母発酵に適するまで分解されたか否かはHPLCにより調べることができる。
得られたコーン蛋白分解液は、そのままでまたは適宜濃縮もしくは希釈して用いることもできるが、固形分30%まで減圧濃縮し、105℃にて5〜10秒間スプレードライしてコーン蛋白分解物の粉末としても良い。

発酵飲料
本発明の発酵飲料は酵母による発酵工程を経て製造される飲料を全て包含する。例えば、発泡酒、ビール、低アルコール発酵飲料(例えばアルコール分1%未満の発酵飲料)、雑酒、もしくはこの発酵飲料を原料としたリキュール類、スピリッツ類が挙げられる。そのなかでもビールテイスト飲料とは、炭素源、窒素源、ホップ類などを原料とし、酵母で発酵させた飲料であって、ビールのような風味を有するものをいう。ビールテイスト飲料としては、例えば、雑酒、低アルコール発酵飲料(例えばアルコール分1%未満の非麦芽発酵飲料)、もしくはこの発酵飲料を原料としたリキュール類、スピリッツ類などが挙げられる。
中でも本発明は、麦芽および大麦は全くまたは僅かしか使用しない発酵飲料に好適に用いることができる。その場合、米、とうもろこしなどの穀物類を糖化して得た糖液や、糖類そのものから得た糖液などに、酵母を添加し発酵させる工程を経るが、窒素源としては、麦芽以外の植物由来のタンパク質もしくはその加水分解物を利用する。
本発明の発酵飲料のアルコール分は特に限定されないが、1〜15%(v/v)であることが望ましい。特にビールや発泡酒といった麦芽発酵飲料として消費者に好んで飲用されるアルコールと同程度の濃度、すなわち、3〜8%(v/v)の範囲であることが望ましい。

発酵飲料の製造
本発明においては、発酵飲料の原料として、コーンを分画して加工したデンプン分解物およびタンパク分解物を用いて、場合によりホップ類を加えて混合し、混合液を煮沸し、固液分離した清澄な発酵原液に酵母を添加し酵母発酵を行う。なお、固液分離は発酵後にも或いは発酵後にのみ行ってもよい。
より詳細に説明すると、発酵飲料の製造のために下記の成分を用意して混合する:
(1) デンプン分解物の使用量は、水とホップ(使用される場合)を除く原料当たり、0.1〜99%程度使用することができる。デンプン分解物は、前述の方法でコーンを酵素処理して得たものが好ましいが、コーンを原料とする市販の糖化スターチや水飴などを用いても良い。
(2) 一方、タンパク分解物の使用量は、水とホップ(使用される場合)を除く原料当たり、0.1〜50%程度使用することができる。タンパク分解物は前述の方法でコーンから分画して外来酵素で分解して得たものが好ましいが、市販のコーンタンパク分解物(コーンペプチド)などを用いても良い。
また、発酵のための糖源として麦芽など多量の酵素を有する原料を用いない本発明の好ましい態様の場合、例えば、水とホップ(使用される場合)を除く原料当たり、95〜99.9%のスターチ分解物と、0.1〜5%のタンパク分解物を配合すると、発酵工程における発酵不良の回避や、得られる発酵飲料の優れた香味の面で好ましい。
(3) ホップの使用は、ビールテイスト飲料、発泡酒、リキュール類、スピリッツ類を含むビール等の製造の場合においては、ビール用の風味を与えるために必要である。ホップはビール等の製造に使用する通常のペレットホップ、粉末ホップ、ホップエキスを香味に応じて適宜選択使用する。さらに、イソ化ホップ、ヘキサホップ、テトラホップなどのホップ加工品を用いることもできる。その使用量は、糖液1L当たり0.1〜10gまでである。
(4) また所望成分として、非麦穀物の分画の途中で分離されたデンプン画分とタンパク画分以外の画分を、所望により適宜加工して用いることができる。この中でも、繊維画分は、例えば170℃から200℃程度の高温高圧水蒸気で処理することで、ビールテイスト飲料用の着味着香原料として好適に用いることができる。その添加量は水とホップ(使用される場合)を除く原料当たり、0.01〜1%程度が好ましい。
(5) 発酵原料には、また、発酵助剤として酵母エキスを添加する。その添加量は、水を除く原料中、約0.2〜5重量%、より好ましくは約1〜2重量%である。さらに、イーストフードなどの発酵助剤、その他の糖源、窒素源などを添加剤することもできる。
上記成分(1) 、(2)、および(5) 並びに必要に応じて(3)および/または(4) を混合し、水に分散して、約100℃に加熱滅菌し、必要なら上清を分離して発酵原液とする。
発酵飲料の製造に使用する酵母は、製造すべき発酵飲料の種類、目的とする香味や発酵条件などを考慮して自由に選択できる。例えばWeihenstephan-34株など、市販のビール酵母を用いることができる。
発酵飲料の製造における発酵時間、発酵温度は、製造すべき発酵飲料の種類、目的とする香味や発酵条件などを考慮して自由に選択できる。例えば、ビールテイスト飲料の製造においては、発酵温度を13℃に設定して、所定のアルコール濃度を得るまで発酵を行う。
発酵後の混合物は、そのままで発酵飲料としてもよく、濾過、加熱等の滅菌を行って発酵飲料としてもよい。発酵飲料には、必要に応じて色素や泡形成剤、香料、水溶性食物繊維などを添加することができる。色素についてはビール様の色を与えるために使用するものであり、カラメル色素などをビール様の色彩を呈する量添加する。ビール様の泡を形成させるため、大豆サポニン、キラヤサポニン等の植物抽出サポニン系物質、牛血清アルブミン等のタンパク質系物質などを適宜使用する。ビール様の風味付けのためにビール風味を有する香料を適量使用することができる。さらに難消化性デキストリン、ポリデキストロース、水溶性トウモロコシ繊維などの水溶性食物繊維を必要により添加することができる。


低糖質または低カロリー発酵飲料
本発明の発酵飲料の好ましい態様の一つは、低糖質または低カロリー発酵飲料である。
本発明の方法を用いて得られる発酵飲料は、そのまま飲用することができるが、糖質やカロリーをできるだけ摂取せずに楽しむことが可能な発酵飲料を製造するために、これを希釈して、低糖質ビールテイスト発酵飲料を製造することができる。それは、本発明で発酵原料中にとうもろこしのタンパク分解物を使用する場合はイソロイシンを豊富に含有し、醸造中に酢酸イソアミルが豊富に生成するためである。特に、酢酸イソアミルが発酵物上清中に、2.0ppmを超え且つ10.0ppm未満まで含まれるように条件を設定して発酵を行うと、得られた発酵飲料を5〜8倍に希釈しても、香味の優れた発酵飲料となることが判明した(特願2005-157921)。希釈は水により行うが、このとき低糖質発酵飲料に不足する呈味物質を補うため、酸味料、甘味料、苦味料、アルコールを一緒に添加してもよく、あるいは呈味物質の補足は、希釈操作後に別途行うこともできる(特願2005-157921)。
糖質の低下は希釈による方法の代わりに、または希釈による方法と組み合わせて、炭素源として酵母が資化しやすい3糖類、2糖類および単糖類の比率を高めた(例えば全炭素源の80%以上にした)、発酵原料を用いることで行うことも可能である。
低糖質とは、発酵飲料中の糖質濃度が、固形分換算で0.8重量%、特に0.5重量%未満であることを意味する。低糖質であることが好ましい発酵飲料には、清酒、ワイン、ビール、発泡酒、リキュール類、スピリッツ類、雑酒、ビールテイスト発酵飲料などが含まれる。特に発泡酒、ビールテイスト発酵飲料が好ましく、特にビールテイスト発酵飲料が好ましい。
また、本発明の別の好適な飲料の例として、低カロリー飲料、特にビールテイストの低カロリー発酵飲料が挙げられる。低カロリー飲料とは、20kcal/100ml未満の飲料で、低糖質および/または低アルコールとすることによって実現することができる。
低糖質または低カロリーのビールテイスト飲料は、香り付与が課題であることが多い。本発明の技術は、とうもろこしタンパク質画分を発酵原料の窒素源として用いる場合、十分な発酵により良好な発酵香を与えるものであることから、低糖質または低カロリーのビールテイスト飲料の製造に際し、本発明の技術を好適に用いることができる。
以下に実施により本発明をさらに説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
各種酵母エキスの添加が発酵工程や製品の香味に与える影響を検討した。
表1に記載の原料で各種ビールテイストの発酵飲料を調整した。酵母エキスは、以下の2種類を用いた。酵母エキスA:市販の酵母エキス(アロマイルド、興人製)を用いた。酵母エキスAは、塩化ナトリウム含量約10%、5%水溶液での濁度約150NTU、酵母臭が強いという特徴がある。また、酵母エキスBは、酵母エキスAを脱塩処理、遠心分離処理により、塩化ナトリウム含量0.8%、5%水溶液での濁度20NTU、弱い酵母臭があるという特徴のものを準備した。
各試料について、具体的配合比を表1に示す。
Figure 0004755450
これら6試料のうち、試料1は定法により糖化、麦汁ろ過、ホップ煮沸、清澄化、麦汁冷却、発酵、濾過瓶詰を行った。試料2-6は、定法によりホップ煮沸、清澄化、糖化液冷却、発酵、濾過瓶詰を行った。これらの操作により、6種類のビールテイスト飲料を得た。
発酵工程における酵母のアルコール生成挙動を評価するために、発酵終了時の炭素源の残量を密度計にて計測し、発酵の進行状況を観察した。更に、得られた飲料について、濁度および官能を評価した。濁度は濁度計(オルガノ製)を用いた。官能は、訓練されたパネラー10名で、塩味の有無および酵母臭の有無とした。評価の結果を表2に示す。
Figure 0004755450
この結果、コーン等の穀物を分画加工した原料を使用して発酵飲料を製造する際には、発酵不良を防止するには酵母エキスをある程度多く添加する必要性が示された。
また、ビールテイスト飲料として求められる品質である濁度の低さ、塩味の無さ、及び酵母臭の無さを付与するためには、酵母エキスBのような特定の要件を持たしている酵母エキスを用いるのが好ましいことが示された。

(製造例1)非麦ビールテイスト発酵飲料の製造例
市販の糖シロップを用いて100Lの10重量%の糖液を作成した。これにとうもろこしタンパク分解物0.2%、カラメル0.03%、ホップ0.03%を添加した後、酵母エキスBを0.2%添加し60-90分間煮沸し、静置にてホップ粕を除去して発酵原液を得た。
この発酵原液に0.5%の市販ビール酵母(Weihenstephan-34株)を添加し、10-15℃で約一週間発酵させた。その後0℃で3日保管したのち、フィルターにて酵母を除去し、炭酸ガスを添加してビールテイスト発酵飲料を作成した。
製造中、発酵不良は認められなかった。また、得られた発酵飲料は、好適な香味を有していた。

(製造例2)低糖質、低カロリー非麦ビールテイスト発酵飲料の製造例
仕込水85kgに対し、四糖類以上の糖組成が7%の糖シロップ(加藤化学製)を15kgを溶解して糖液を作成した。これにとうもろこしタンパク分解物200g、カラメル色素200g、ペレットホップ160g、とうもろこし繊維の高温高圧加工品を10g加えた。さらに実施例1で使用した酵母エキスBを200g加えた。これらを60分間煮沸した後、静置してとうもろこし繊維およびホップの粕を除き、発酵原液を得た。この発酵原液に、ビール酵母(Weihenstephan-34株)を生菌数20×106cells/mlになるように添加し、温度13℃にて8日間発酵させた。炭素源資化終了後、ろ過により酵母を取り除き、発酵液に対し4倍容量の脱気水にて希釈し、炭酸ガスを添加して低糖質、低カロリー発酵飲料を作成した。
なお、製造例2で用いたとうもろこしタンパク分解物およびとうもろこし繊維画分の高温高圧処理加工品は、本出願と同日に本出願人によりされた特許出願(発明の名称:分画したコーンを用いた発酵飲料)の実施例3および実施例4でそれぞれ製造されたものである。
製造中、発酵不良は全く認められず、得られた発酵飲料は好適な香味を有していた。また得られた発酵飲料の糖質濃度は0.46w/w%、カロリーは12kcal/100ml、アルコールは1.5v/v%であった。

Claims (15)

  1. 発酵飲料の製造方法であって、
    非麦穀物から分画したデンプン画分を分解してデンプン分解物を得る工程、
    別途非麦穀物から分画したタンパク画分を分解してタンパク分解物を得る工程、
    それらの分解物を混合したものを発酵原料に用いて醸造する工程、
    を含み、ここで酵母エキスを発酵助剤として用い、前記酵母エキスが塩化ナトリウムを1%未満の濃度で含み、かつ5%水溶液での濁度が50NTU以下である、前記方法。
  2. 酵母エキスが脱塩処理および遠心分離処理を施された酵母エキスである、請求項1記載の製造方法。
  3. 非麦穀物がコーンである、請求項1または2記載の製造方法。
  4. コーンが未発芽のコーンである請求項3記載の製造方法。
  5. 酵母エキスの使用量が、水を除く発酵原料中、0.2〜5重量%用いる、請求項1ないし4のいずれか1項記載の製造方法。
  6. 酵母エキスの使用量が、水を除く発酵原料中、1〜2重量%用いる、請求項5項記載の製造方法。
  7. 発酵原料にホップも添加する、請求項1ないし6のいずれか1項記載の製造方法。
  8. 発酵飲料がビールテイスト飲料である、請求項7記載の製造方法。
  9. 麦芽を含めて麦を原料として用いていない、請求項1ないし8のいずれか1項記載の製造方法。
  10. 発酵原料に高温高圧処理したコーンの繊維画分を添加する、請求項1ないし9のいずれか1項記載の製造方法。
  11. 高温高圧処理したコーンの繊維画分の添加量が、水を除く原料当たり、0.01〜1%である、請求項10記載の製造方法。
  12. 発酵飲料が低糖質発酵飲料または低カロリー発酵飲料である、請求項1ないし10のいずれか1項記載の製造方法。
  13. 発酵飲料が低糖質ビールテイスト飲料または低カロリービールテイスト飲料である請求項12記載の製造方法。
  14. 発酵飲料がビールテイスト飲料以外の低糖質または低カロリー発酵飲料である請求項12記載の製造方法。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項記載の製造方法で得られた発酵飲料。

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