JPH0953569A - 小型ポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明はダイヤフラムを用いたポンプで、
加圧ポンプ、減圧ポンプのいずれにも使用可能で、ダイ
ヤフラム部等の耐久性の優れた小型ポンプを提供するこ
とにある。 【構成】 本発明の小型ポンプは、円周に沿って等間
隔に配置されたポンプ室を構成する複数のダイヤフラム
部を有し、このダイヤフラム部を一定の位相差をもって
のピストン運動によりポンプ作用を行なうもので、ピス
トン運動を行なう駆動部がポンプ室内へ突出しているこ
とを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、夫々ポンプ室を形
成する複数のダイヤフラム部を一体に構成したダイヤフ
ラム本体を備えたポンプで、ダイヤフラム部を改良した
小型ポンプに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の複数のダイヤフラム部を有する小
型ポンプは、例えば図３乃至図８に示す通りである。

【０００３】これら図において図３は要部断面正面図、
図４はその平面図である。又図５は図４のＡーＡ線で切
断した図である。

【０００４】これらの図において、１は小型直流モー
タ、２はモータ１の出力軸、３はモータ１とほぼ同径の
カップ形に形成され底面がねじ４によりモータ１の出力
軸側の面に取付けられたケース、５は出力軸２に固定さ
れたカラー、６は出力軸２に対して所定角度傾斜し、か
つその先端が出力軸２の中心軸上に存在するようにカラ
ー５に固定された駆動軸、７は円板形に形成され１２０
度間隔に設けられた３個の穴８を有する駆動体、９は駆
動体７の中心に下方に伸びて一体に形成された筒形の支
持部、１０は駆動軸６と駆動体７の間の摩擦を小さくす
るためのスチールボールである。ここで支持部９は駆動
部６にゆるくはめ込まれており、出力軸２が回転すると
駆動軸６が傾斜した状態で回転するため、駆動体７は中
心に対して穴８のある周辺部が順次上下動し、いわゆる
皿回し運動をする。

【０００５】１１はカップ形に形成され、底面（図３で
は上面になっている）に１２０度間隔で３個の筒形の穴
１２が形成され、その開口辺がケース３の開口辺に螺合
されているケースであり、図５にその平面を示すよう
に、各穴１２の中間の位置に３個のねじ孔１３が形成さ
れている。

【０００６】１４は柔らかいゴムからなる円板状に形成
されたダイヤフラム本体で、その平面を図６に、底面を
図７に示す。１５は１２０度間隔で本体から下方に伸び
て一体に形成されたつり鐘形（カップ状）の３個のダイ
ヤフラム部、１６はその中心の駆動部、１７は駆動部１
６の先端に細い頚部を介して形成された頭部、１８は本
体の中心部から上方に伸びて一体に形成された円筒形の
弁体部である。尚頭部１７は駆動体７の穴８を貫通して
駆動体７の下面側に突出ており、これによって駆動部１
６は駆動体７に保持されている。ダイヤフラム本体１４
の各ダイヤフラム部１５の中間の位置にはねじを通すた
めの３個の穴１９が形成されている。

【０００７】上記のようなダイヤフラム本体１４は、三
つのダイヤフラム部１５、弁体部１８等を一体に構成し
たものでゴム等の弾性材料にて形成されている。

【０００８】２０は１２０度間隔で底面に３個形成され
た円形の凹部２１を有する蓋体で、その底面図を図８に
示す。２２は凹部２１の中心に形成された孔、２３は孔
２２の周囲に各６個形成された吸気孔、２４は蓋体２０
の中心部に上方に向かって形成された弁室部、２５は弁
室部２４の先端が細くなって形成された排気孔である。
なお、図４、図８に示された２６は各孔２２の中間の位
置にねじを通すために３個形成された孔である。２７は
孔２６、穴１９を貫通してねじ孔１３にねじ込まれるね
じである。このねじ込みによって、蓋体２０はダイヤフ
ラム本体１４を挟んでケース１１に固定され、蓋体２０
の凹部２１とダイヤフラム部１５とによって３個のポン
プ室２８が形成される。蓋体２０は弁室部２４内に共通
室２９が形成され、各凹部２１は内方（蓋体の中心の方
向）に切欠き状の溝部３０が形成されてそれぞれ共通室
２９につながっている。従って、各ポンプ室２８は共通
室２９に中心部で共通に連通されていることになる。な
お、弁体部１８は弁室部２４の内周面に接触しており、
この連通路を塞ぐようになっている。

【０００９】３１は柔らかいゴムからなる傘形の弁体、
３２は弁体３１の中心に上方に伸びて一体に形成された
支持柱、３３は支持柱３２の先端に形成されたこれより
太い頭部である。弁体３１は吸気孔２３を十分に覆うよ
うな大きさに形成されており、支持柱３２が孔２２を貫
通して頭部３３が外側に出て蓋体２０に抜けないように
取り付けられている。

【００１０】次に、このように構成された小型ポンプの
動作について説明する。モータ１が通電されて出力軸２
が回転すると駆動軸６も回転し、これにより駆動体７が
皿まわし運動をして各ダイヤフラム部１５の駆動部１６
は１２０度の位相差で上下方向に振動する。このダイヤ
フラム部のピストン運動で、ポンプ室２８は容積が周期
的に変化する。駆動部１６が下方に移動して容積が増え
るときは、ポンプ室２８は減圧されて弁体部１８は弁室
部２４に密着して閉じ、反対に弁体３１は開いて吸気孔
２３から空気が流入する。次に、駆動部１６が上方に移
動して容積が減るときは、ポンプ室２８は増圧されて弁
体３１は蓋体２０に密着して閉じ、反対に弁体部１８は
このポンプ室２８の溝部３０を塞いでいる部分が開いて
ポンプ室２８の空気は溝部３０、共通室２９を通って排
気孔２５から排出される。

【００１１】この小型ポンプは、三つのダイヤフラム部
が一定の位相差をもって夫々上記の運動を繰り返すこと
により夫々別々の吸気孔２３より空気を吸入し、共通の
弁室２９を通り排出口２５より排出され、これによりポ
ンプ作用をする。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】上記のような構成の小
型ポンプは、これを排気型の加圧ポンプとして使用する
場合は、極めて効率よく高い圧力を発生させることが出
来るが、吸引用の減圧ポンプとして使用する場合は、図
９に示すようにカップ状をしたダイヤフラム部１５の壁
部１５ａがゴム等の薄肉弾性材料にて形成されているた
めに、ポンプ室内が減圧された時に図示するように内側
へ変形し、ポンプ効果が大幅に低下すると共にダイヤフ
ラム自体耐久性に影響を及ぼす欠点がある。

【００１３】この欠点を解消するために図１０に示すよ
うにダイヤフラム部１５の壁部のうち上方の部分を肉厚
１５ｂにしたものが知られている。しかしこのような構
成のダイヤフラム部を用いた小型ポンプも、ダイヤフラ
ム部１５の駆動部１６に接続する付近（図示する１５ｃ
の部分）の変形はさけられず、図１０に示すような変形
が生ずる。そして、図１０に示す状態から駆動部１６を
上昇させると変形した部分が完全に折れ曲がり蛇腹のよ
うに折りたたまれ、元に戻らなくなり一層好ましくな
い。

【００１４】本発明は、上記のようなダイヤフラム部の
駆動部との接続付近においての変形を防止して加圧ポン
プ、減圧ポンプのいずれにも使用可能な小型ポンプを提
供するものである。

【００１５】

【課題を解決するための手段】本発明の小型ポンプは、
円周に沿って等間隔に配置されていて夫々がポンプ室を
構成する複数のダイヤフラム部とこれらダイヤフラム部
に設けられている駆動部とをゴム等の弾性材料にて一体
に形成したダイヤフラム本体と、円周に沿って配置され
ている複数のダイヤフラム部の中央つまりこれらダイヤ
フラム部の内側である円周の中心部分に設けられている
吐出口へ通ずる共通の弁室部とよりなり、各ポンプ室が
溝等により共通の弁室部に夫々連通され又この連通部分
には弁が配置された構成で、各ダイヤフラム部の駆動部
を一定の位相差をもってピストン運動させることによっ
てポンプ作用を行なうポンプであって、各ダイヤフラム
部がほぼ円筒状（カップ状）をなしその下端部分に駆動
部が一体に形成されている構造で、カップ状壁の上半分
程が厚肉部を構成し、又駆動部がダイヤフラム部内（カ
ップ状の内部）へ突出する突出部を有するものである。

【００１６】本発明の小型ポンプは、各ダイヤフラム部
がその上半分程厚肉にしてあるため減圧の際も変形を生
じないばかりか、駆動部に突出部を設けたことによりダ
イヤフラム部の駆動部との境界付近での変形もこの突出
部により阻止され最小限に抑えることができるため折り
たたまれることなく、減圧時の効率低下がなく耐久性が
優れている。

【００１７】

【発明の実施の形態】本発明の小型ポンプの全体の基本
構成は、図１に示す通りであって、図３等に示す従来例
と基本的には同じである。そして本発明は、ダイヤフラ
ム本体１４のダイヤフラム部１５のカップ状の下端部に
一体に形成された駆動部１６を一部ポンプ室２８内へ突
出させた突出部１６ａを形成した形状としたものであ
る。

【００１８】このように駆動部１６にポンプ室内に突出
させた突出部１６ａを設けたことにより、ダイヤフラム
部１５の駆動部１６周囲の薄肉部分の変形が阻止されこ
の部分が折りたたまれたような状態になることがない。

【００１９】上記のような構成の本発明の小型ポンプに
おいて、図３等に示す従来の小型ポンプと同様にモータ
ー１を回転させて駆動体７にすりこぎ運動をさせると、
それに応じて各ダイヤフラム部の駆動部１６は夫々一定
の位相差をもってピストン運動を行ないポンプ作用が行
なわれる。ここで駆動部１６が下降してポンプ室２８内
が減圧されダイヤフラム部１５のカップ状部分の壁面に
ポンプ室側へ向かう力が働いても肉厚部により変形せず
更に駆動体１６の突出部１６ａによりダイヤフラム部１
５の駆動部の周囲も変形を最小限に抑えることが出来
る。

【００２０】上記の本発明の小型ポンプにおいてポンプ
室内の減圧が大である場合にはダイヤフラム部が若干変
形することがある。その状態を示すのが図２である。こ
の図のようにダイヤフラム部１５の駆動部１６への接続
部付近において若干の変形はみられるもののポンプの効
率やダイヤフラム部等の耐久性において全く問題がな
い。

【００２１】尚、以上の説明は従来例を含めてダイヤフ
ラム部を三つ有するポンプにもとづき述べたが、三つに
限ることなく円周上に沿って互いに等間隔にて配置した
複数のダイヤフラム部を有する小型ポンプに対しても本
発明は適用し得る。

【００２２】

【発明の効果】本発明の小型ポンプは、ダイヤフラム部
と一体に形成する駆動部にポンプ室内に突出する突出部
を設けることによってダイヤフラム部の駆動部周辺の変
形を少なくし加圧、減圧のいずれのポンプとしても良い
効率にての使用が可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の小型ポンプの構成を示す図

【図２】 図１に示す小型ポンプで減圧が大である場
合を示す図

【図３】 従来のダイヤフラムを用いた小型のポンプ
を示す図

【図４】 図３のポンプの平面図

【図５】 図３のポンプのケースの平面図

【図６】 図３のポンプのダイヤフラム本体の平面図

【図７】 図３のポンプのダイヤフラム本体の底面図

【図８】 図３のポンプの蓋体の底面図

【図９】 従来のポンプにおけるダイヤフラム部の変
形の状態を示す図

【図１０】 従来のポンプにおけるダイヤフラム部の他
の変形の状態を示す図

【符号の説明】

１５ ダイヤフラム部 １６ 駆動部 １６ａ 突出部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 円周に沿って等間隔に配置されている
   ポンプ室を構成する上方に開口を有するカップ状の複数
   のダイヤフラム部と、前記各ダイヤフラム部に設けられ
   た駆動部とを一体にしたダイヤフラム本体と、前記複数
   のダイヤフラム部の中央に設けられた吐出口へ通ずる共
   通の弁室部よりなり、前記各ポンプ室が前記弁室部に弁
   を介して接続されていて、前記各駆動部の一定の位相差
   をもってのピストン運動によりポンプ作用を行なうポン
   プで、前記ダイヤフラム部のカップ状壁の上半分が厚肉
   部をなし又前記駆動部がポンプ室内へ突出する突出部を
   有する小型ポンプ。