JPH09313104A - フライ用油脂 - Google Patents

フライ用油脂

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JPH09313104A
JPH09313104A JP9069901A JP6990197A JPH09313104A JP H09313104 A JPH09313104 A JP H09313104A JP 9069901 A JP9069901 A JP 9069901A JP 6990197 A JP6990197 A JP 6990197A JP H09313104 A JPH09313104 A JP H09313104A
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fat
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敏照 川端
Chie Uchida
千恵 内田
Takashi Yagi
隆 八木
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 パーム系油脂をフライ用油脂として利用する
に際し、パーム系油脂が持つフライ用油脂として望まし
い酸化安定性が高く風味が淡泊であるという特性を維持
しつつ、油ぎれが悪いという特性を解消するとともにハ
ンドリング性を改善すること。 【解決手段】 パーム系油脂単独由来のまたはパーム系
油脂および植物液体油由来の、飽和脂肪酸25〜48、
好ましくは30〜40重量%、モノ不飽和脂肪酸40〜
60、好ましくは44〜54重量%であって、ジパルミ
トイルモノオレオイルグリセリドの構成比率がPPO/
POP≧0.5〔ただし、PPOとはトリグリセリドを
構成する3つの脂肪酸のうち、1,2位(または2,3
位)にパルミチン酸が、3位(または1位)にオレイン
酸が結合したものをいい、POPとは1,3位にパルミ
チン酸、2位にオレイン酸が結合したものをいう。〕で
ある油脂組成物であることを特徴とするフライ用油脂。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高安定で風味がよい特性
が維持され油ぎれが悪いという特性が改善されたパーム
系フライ用油脂に関する。
【0002】
【従来の技術】いわゆるフライ用油脂に最低限必要な特
性は熱安定性、酸化安定性であるが、その他には風味が
よい、安価であることも求められる。また、用途によっ
てさらに油ぎれがよい、ドーナツの砂糖の泣き(ドーナ
ツ表面に付着させた砂糖が溶解し、べとついた状態にな
ること)を防ぐ、ハンドリング性がよいといった機能も
求められる。酸化安定性が高いと油脂が劣化しにくいた
めフライ製品の日持ちが向上し、廃油も少なくできる。
また、フライ用油脂の風味が淡泊であるとフライ製品素
材自体の風味を活かすことができる。酸化安定性の高い
パーム系油脂がフライ用油脂として以前より多用されて
いる。しかし、パーム系油脂にはPOP(1,3位にパ
ルミチン酸、2位にオレイン酸が結合したものをい
う。)に由来する結晶固化の遅延、すなわち油ぎれが悪
いといった問題がある。結晶固化の遅延は、結晶を大き
く成長させ、パーム系油脂は固体と液体に分離する。そ
のため、加熱、溶解して使用しなければならず、ハンド
リングの点でも問題があった。
【0003】油ぎれが悪い原因としては、1)油脂の融
点が低く、固体脂含量が低すぎる、2)固体脂含量は十
分だが、油脂の固化速度が遅すぎる、といったことが考
えられる。そこで比較的融点の高いパーム系油脂をフラ
イ用油脂として用いる場合は上記2)の理由から油切れ
が悪いことが予想される。パーム系油脂の結晶固化遅延
については、油脂vol.45,No.6,43−44
(1992)およびJ.Am.Oil Chem.So
c.vol.62,No.2,409(1985)に、
パーム油中のPOPが原因で、POPはPPOよりも結
晶固化速度が遅いことが示されている。
【0004】油ぎれが悪いとフライ製品製造時に油脂が
長時間たれ落ち、製品の重量が減少して歩留まりが悪く
なるという欠点があり、さらにたれた油脂で作業環境が
不衛生となるといった問題も生じる。そこでパーム系油
脂をフライ用油脂として用いる場合、上記の問題を解決
する方法として水素添加をする方法などが用いられてき
た。
【0005】水素添加すると、酸化安定性は高くなると
ともに、油の固化速度も速くなり油切れはよくなるが、
トランス体脂肪酸が生成し、さらに独特の水添臭が発生
し風味の点で問題がある。トランス体脂肪酸は天然の植
物油脂には存在しない脂肪酸で、コレステロール代謝に
関する栄養面で議論されているため、ない方が好まし
い。また水添臭は、不飽和脂肪酸が水素添加される際に
二重結合の位置が移動し、さらに過酸化脂質となり、次
いで不飽和アルデヒドが生成された結果生ずる臭いで、
6−nonenalなどが原因物質とされている。
【0006】また、特開平2−219581号公報、特
開昭55−110195号公報ではパーム系油脂をエス
テル交換し、対称型2飽和モノオレイックトリグリセリ
ドを10%以下にする方法が示されている。しかし、特
開平2−219581号公報に記載の方法ではエステル
交換に1,3位置特異性リパーゼを用いており、PPO
/POPは0.5以上にならない。そこで製造した油脂
をフライ油として用いた場合、油ぎれのよい油脂とはな
らない。特開昭55−110195号公報に記載の方法
は可塑性油脂の製造を目的とし、粗大結晶形成の防止を
図ったもので、そこでは油ぎれに関して言及していな
い。さらにパーム油の配合率も30%以下と示してあ
り、酸化安定性の要求されるフライ油をこの方法で製造
することは困難である。エステル交換には化学触媒を用
いてランダムにエステル交換する方法もあるが、この方
法では触媒除去の工程が必要で廃触媒の処理の問題があ
る。また、油が着色するため、脱色する必要もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は高安定で油ぎ
れがよく、かつ風味もよい(例えば水添脂を用いた場合
のような独特の水添臭により本来の風味が損なわれると
いうことがない)フライ用油脂を提供することを目的と
する。本発明はパーム系油脂をフライ用油脂として利用
するに際し、パーム系油脂が持つフライ用油脂として望
ましい酸化安定性が高く風味が淡泊であるという特性を
維持しつつ、油ぎれが悪いという特性を解消するととも
にハンドリング性の改善を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】酸化安定性が高く風味が
淡泊であるというパーム油の特性を維持しつつ油ぎれが
悪いというパーム油の特性を解消するには、酸化安定性
が高く風味が淡泊であるという特性を損なわない範囲の
適当な固体脂含量を持たせればよい。それを達成すべく
本発明者は鋭意研究し、脂肪酸組成を調整し位置特異性
のないリパーゼを用いてエステル交換すればよいことを
発見するに至った。
【0009】本発明は、パーム系油脂単独由来のまたは
パーム系油脂および植物液体油由来の、飽和脂肪酸25
〜48重量%、モノ不飽和脂肪酸40〜60重量%であ
って、ジパルミトイルモノオレオイルグリセリドの構成
比率がPPO/POP≧0.5〔ただし、PPOとはト
リグリセリドを構成する3つの脂肪酸のうち、1,2位
(または2,3位)にパルミチン酸が、3位(または1
位)にオレイン酸が結合したものをいい、POPとは
1,3位にパルミチン酸、2位にオレイン酸が結合した
ものをいう。〕である油脂組成物であることを特徴とす
るフライ用油脂である。
【0010】上記POP/PPOについて、パルミチン
酸残基とオレイン酸残基を規定するものである。パーム
油はパルミチン酸32〜59%、オレイン酸27〜52
%が主要な脂肪酸であり、トリグリセリドはPOP25
〜35%、POO15〜25%が主となる。また、植物
油を配合すると、POO,POP,OOOといったもの
が主要トリグリセリドとなる。POO,OOOについて
はパーム油の結晶固化遅延の問題に対する関与は低いた
め、本発明においてパルミチン酸が2つ、オレイン酸が
lつのトリグリセリドについて上記のとおり規定するも
のである。
【0011】本発明で用いるパーム系油脂は、パーム油
のほかにパームオレイン、パームステアリンなどの分別
油も含まれ、単独で、好ましくは植物液体油を混合して
使用される。
【0012】パーム系油脂を混合して使用する植物液体
油は、パーム系油と混合したときに本発明で特定する脂
肪酸組成を達成できるものであれば特に限定されない
が、安定性が求められるフライ油を目的としているた
め、好ましくは多価不飽和脂肪酸含量の低いもの、例え
ばナタネ油、ダイズ油、コーン油、ハイオレイックサフ
ラワー油、ハイオレイックヒマワリ油が例示される。
【0013】本発明で特定する脂肪酸組成は、飽和脂肪
酸25〜48重量%、モノ不飽和脂肪酸40〜60重量
%であり、通常、上記パーム系油脂と植物液体油を混合
し上記脂肪酸組成となるようにする。飽和脂肪酸25重
量%以下、モノ不飽和脂肪酸60%重量以上であると、
パーム系油脂の配合率が限定されパーム系油脂の持つ安
定性が生かされない。また、飽和脂肪酸48重量%以
上、モノ不飽和脂肪酸40重量%以下であると、フライ
製品を食したとき油脂の口どけが悪く、食感の点で問題
がある。
【0014】本発明で定義する飽和脂肪酸25〜48重
量%およびモノ不飽和脂肪酸40〜60重量%は、具体
的に例示すると、パーム油とナタネ油あるいはハイオレ
イックサフラワー油を混合した場合、その配合率は5:
5〜10:0(重量比)、DFオレインとナタネ油ある
いはハイオレイックサフラワー油を混合した場合では
6:4〜10:0(重量比)で、達成される。
【0015】本発明で特定する脂肪酸組成は、好ましく
は飽和脂肪酸30〜40重量%、モノ不飽和脂肪酸44
〜54重量%である。すなわち本発明はパーム系油脂単
独由来のまたはパーム系油脂および植物液体油由来の、
飽和脂肪酸30〜40重量%、モノ不飽和脂肪酸44〜
54重量%であって、ジパルミトイルモノオレオイルグ
リセリドの構成比率がPPO/POP≧0.5である油
脂組成物であることを特徴とするフライ用油脂である。
【0016】本発明で定義する脂肪酸組成の好ましい態
様である飽和脂肪酸30〜40重量%およびモノ不飽和
脂肪酸44〜54重量%は、具体的に例示すると、パー
ム油とナタネ油あるいはハイオレイックサフラワー油を
混合した場合はその配合率は7:3〜8:2(重量
比)、DFオレインとナタネ油あるいはハイオレイック
サフラワー油を混合した場合は7:3〜10:0(重量
比)で、達成される。
【0017】油ぎれ特性を改善するためには、さらにジ
パルミトイルモノオレオイルグリセリドの構成比率がP
PO/POP≧0.5であることが必須である。ここ
で、PPOとはトリグリセリドを構成する3つの脂肪酸
のうち、1,2位(または2,3位)にパルミチン酸
が、3位(または1位)にオレイン酸が結合したものを
いい、POPとは1,3位にパルミチン酸、2位にオレ
イン酸が結合したものをいう。
【0018】本発明のフライ用油脂は、パーム系油脂単
独でまたはパーム系油脂と植物液体油を混合して、脂肪
酸組成が飽和脂肪酸25〜48重量%、モノ不飽和脂肪
酸40〜60重量%になるように調製し、ついでその油
脂組成物をエステル交換して組成物中のジパルミトイル
モノオレオイルグリセリドの構成比率をPPO/POP
≧0.5とすることにより製造することができる。
【0019】エステル交換にはリパーゼを用いる。リパ
ーゼには位置特異性のあるものとないものがある。位置
特異性とは、基質分子におけるエステル結合の位置を識
別して、いずれか一方のみを反応する特性をいい、sn
−1位とsn−3位の脂肪酸基と反応する1,3位置特
異性リパーゼとsn−2位の脂肪酸基のみと反応する2
位置特異性リパーゼは知られていない。1,3位置特異
性のものではPPO/POP≧0.5とはならないた
め、結晶固化遅延が改善されず、油ぎれ特性の改善効果
が期待できない。本発明においては、PPO/POP≧
0.5となる1,3位置特異性でないリパーゼ、実質的
には、位置特異性のないリパーゼを用いる。該リパーゼ
として、ガンジダ シリンドラセア(Candida cylindra
cea)由来リパーゼ、クロモバクテリウム ビスコシュ
ーム(Chromobacterium viscosum)由来リパーゼ、アル
カリゲネス属(Alcaligenes sp.)由来のリパーゼが例
示される。さらに好ましい該リパーゼとして、アルカリ
ゲネス属由来リパーゼを珪藻土に固定化した酵素剤が例
示される。1,3位置特異性でないリパーゼであれば形
態は問わない。粉末形態のものでもよいが、珪藻土、イ
オン交換樹脂などの担体に固定化したものがより好まし
い。さらに好ましい該リパーゼとしてはアルカリゲネス
属由来リパーゼを固定化した酵素剤が例示される。さら
に好ましくはアルカリゲネス属由来リパーゼを珪藻土に
固定化酵素剤が例示される。
【0020】本発明で用いるエステル交換反応はバッチ
式でも連続方式でもよい。しかし、バッチ式では副反応
として起こる加水分解により生成する遊離脂肪酸の量が
多くなるため、好ましくは固定化リパーゼを充填したカ
ラムによる連続方式がよい。
【0021】10〜30℃の範囲で固体脂含量が10〜
30%であるような油脂を完全融解して急冷し、さらに
必要であればテンパリングを行うという工程により流動
性を持たせるという手法は一般的な方法であるが、この
方法を本発明の特定の脂肪酸組成の油脂組成物に適用す
ることができる。すなわち、上記方法で製造したエステ
ル交換油のうち、その脂肪酸組成が飽和脂肪酸30〜4
0重量%、モノ不飽和脂肪酸44〜54重量%である油
脂を融点以上の温度で完全に融解した後−20℃以上/
分の速度で急冷し均一な結晶を析出させ、さらに必要で
あればテンパリングを行うことでハンドリング性に優れ
た流動状油脂を得ることができる。
【0022】すなわち本発明はパーム系油脂単独由来の
またはパーム系油脂および植物液体油由来の、飽和脂肪
酸30〜40重量%、モノ不飽和脂肪酸44〜54重量
%であって、ジパルミトイルモノオレオイルグリセリド
の構成比率がPPO/POP≧0.5である油脂組成物
であることを特徴とするフライ用油脂を完全融解後、急
冷し均一な結晶を析出させ、さらに必要であればテンパ
リングをおこなうことにより流動性を改善されたフライ
用油脂である。テンパリングを行うという工程により流
動性を持たせるという手法そのものは上記の通り一般的
な方法であるが、この方法を本発明の特定の脂肪酸組成
の油脂組成物に適用することにより、当該油脂を保存し
て実際に油脂を容器から出すときに固形油脂が底に残っ
てしまうことがない、ハンドリング性に優れた流動状油
脂を得ることができる。結晶が微細化するため、均一に
分散し、流動性が高くなる(粘性が低くなる)。その結
果、長期間分離することのない、ハンドリング性に優れ
た流動状油脂を得ることができる。
【0023】
【実施例】本発明を実施例によって説明する。本発明は
この実施例によって何ら限定されない。
【0024】実施例1 位置特異性のないアルカリゲネス属由来固定化リパーゼ
剤〔名糖産業(株)「Lipase QLC」〕を45
℃に保ったカラムに充填し、基質としてパーム油とナタ
ネ油を3:1(重量比)で混合した油をSV1.0で供
給しエステル交換反応を行った。エステル交換油は脱臭
により精製した。
【0025】比較例1 1,3位置特異性のリゾープス デレマール(Rhizopus
delemar)由来固定化リパーゼ剤〔天野製薬(株)「L
ipase D」〕を45℃に保ったカラムに充填し、
実施例1と同様にエステル交換し、脱臭した。
【0026】比較例2 パーム油とナタネ油を3:1(重量比)で混合し、脱臭
により精製した。表1に実施例1、比較例1、2の脂肪
酸組成、表2にPPO、POP含量およびPPO/PO
Pを示す。
【0027】
【表1】 C16 C18 C18:1 C18:2 C18:3 その他 ──────────────────────────────── 32.7 4.5 44.9 12.6 2.9 2.2 (%) ────────────────────────────────
【0028】
【表2】 実施例1 比較例1 比較例2 ─────────────────────────── PPO 9.3 5.8 2.9 POP 15.3 14.9 23.8 (%) ─────────────────────────── PPO/POP 0.60 0.39 0.12 ───────────────────────────
【0029】実施例2 アルカリゲネス属由来固定化リパーゼ剤〔名糖産業
(株)「Lipase QLC」〕を40℃に保ったカ
ラムに充填し、基質としてDFオレインとナタネ油を
3:1(重量比)で混合した油をSV1.0で供給しエ
ステル交換反応を行った。エステル交換油は脱臭により
精製した。
【0030】比較例3 1,3位置特異性のムコール ミエハイ(Mucor miehe
i)由来固定化リパーゼ剤(ノボ・ノルディスク「Li
pozyme IM60」)を40℃に保ったカラムに
充填し、実施例2と同様にエステル交換し、脱臭した。
【0031】比較例4 DFオレインとナタネ油を3:1(重量比)で混合し、
脱臭により精製した。表3に実施例2、比較例3、4の
脂肪酸組成、表4にPPO、POP含量およびPPO/
POPを示す。
【0032】
【表3】 C16 C18 C18:1 C18:2 C18:3 その他 ──────────────────────────────── 28.3 3.5 47.4 15.6 3.3 1.6 (%) ────────────────────────────────
【0033】
【表4】 実施例2 比較例3 比較例4 ──────────────────────────── PPO 10.5 1.0 1.9 POP 5.3 13.9 17.3 (%) ──────────────────────────── PPO/POP 1.98 0.07 0.11 ────────────────────────────
【0034】比較例5 パーム油とコーン油の混合物(重量比5:5)を水素添
加した油脂(飽和脂肪酸35.2重量%、モノ不飽和脂
肪酸53.9重量%)を用いた。
【0035】比較例6 アルカリゲネス属由来固定化リパーゼ剤〔名糖産業
(株)「Lipase QLC」〕を40℃に保ったカ
ラムに充填し、基質としてDFオレインとハイオレイッ
クサフラワー油を6:4(重量比)で混合してSV1.
0で供給しエステル交換反応を行った。エステル交換油
は脱臭により精製した。脂肪酸組成を以下の表5に示
す。
【0036】
【表5】 C16 C18 C18:1 C18:2 C18:3 その他 ──────────────────────────────── 23.6 3.3 57.4 13.9 0.6 1.2 (%) ────────────────────────────────
【0037】試験例1 実施例1、2、比較例1〜4について下記の方法で結晶
固化速度を測定した。実施例1、比較例1〜2の結果を
図1に、実施例2、比較例3〜4の結果を図2に示す。方法 SFC測定用チューブに油を入れ、80℃で10
分保ち完全に融解させた後、10℃あるいは5℃のアル
ミブロックに入れパルスNMRを用いて固体脂含量を経
時的に測定する。
【0038】図1および図2より明らかなように、エス
テル交換により結晶固化速度は速くなり、1,3位置特
異性酵素よりも位置特異性のない酵素を用いたときの方
がその程度が大きかった。
【0039】実施例3 位置特異性のないガンジダ シリンドラセア(Candida
cylindracea)由来リパーゼ〔名糖産業(株)製「Li
pase OF」〕0.4gを20mlの蒸留水に懸濁
し、セラミックス担体〔日本ガイシ(株)製SM−1
0〕10gを加え攪拌後、一晩静置し水洗した。その
後、凍結乾燥して固定化リパーゼ剤を調製した。この固
定化リパーゼ剤を45℃に保ったカラムに充填し、実施
例1と同様にエステル交換し、脱臭した。
【0040】試験例2 実施例1、3比較例1、2、5を用いてイーストドーナ
ツ生地を揚げて、その直後にろ紙上にドーナツをのせ1
時間室温放置後のろ紙の油じみ量を観察した。また、油
っぽい風味について熟練したパネラー10人によって官
能試験を行い、その平均結果を表6に示す。なお、油じ
みについては◎:極めて少ない、○:少ない、△:多
い、×:極めて多いの4段階で評価し、官能試験につい
ては、○:油っぽくない、△:油っぽい、×:極めて油
っぽいの3段階で評価した。
【0041】
【表6】 油じみ 風味 ───────────────── 実施例1 ◎ ○ 実施例3 ◎ 〇 比較例1 △ ○ 比較例2 △ ○ 比較例5 ○ × ─────────────────
【0042】試験例3 実施例2、比較例3、4を用いて以下の方法でかき揚げ
を具材に天ぷらの油ぎれ試験を行った。また、保存後の
かき揚げを電子レンジで温め、油っぽい風味および食感
について熟練したパネラー10人により官能試験を行
い、油っぽさについては試験例2と同じく3段階で評価
し、食感については◎:極めて良好、○:良好、△:不
良、×:極めて不良の4段階で評価した。平均結果を表
7に示す。方法 具材約80gを170℃に熱した各油で表2分間
・裏1分間揚げる。表面温度が50℃程度になるまで油
切り・放冷した後、ろ紙を敷いたバットの上に移し5℃
で一晩保存する。その後バット重量を測定し油だれ量を
求める。
【0043】
【表7】
【0044】試験例4 実施例2、比較例3、4、6について各油脂100gを
マヨネーズ瓶に採り、80℃で10分間保ち完全融解さ
せ、−20℃/分の速度で5℃まで冷却し一晩保存す
る。その後25℃のインキュベーターに入れ流動状油脂
を調製した。また、実施例2を完全融解後徐冷して25
℃に保つものも調製した。流動状の程度を3ヶ月まで経
時的に観察し、つぎのように3段階で評価した。 ○:固体成分が均一に分散した流動状 △:やや固液分離 ×:完全な固液分離 その結果を表8に示す。
【0045】
【表8】 1週間後 2週間後 1ヶ月後 3ヶ月後 ────────────────────────────────── 実施例2 ○ ○ ○ ○ 比較例3 ○ △ × × 比較例4 × × × × 比較例6 △ × × × 実施例2(急冷なし) × × × × ──────────────────────────────────
【0046】
【発明の効果】高安定で油ぎれがよく、かつ風味もよい
フライ用油脂を提供することができる。パーム系油脂が
持つフライ用油脂として望ましい酸化安定性が高いとい
う特性が維持され、例えば水添脂を用いた場合のような
独特の水添臭により本来の風味が損なわれることがな
く、本来の風味が淡泊であるという特性を維持しつつ、
油ぎれが悪いという特性を解消したパーム系フライ用油
脂を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、比較例1〜2のフライ用油脂の結晶
固化速度の測定結果を表す図面である。
【図2】実施例2、比較例3〜4ののフライ用油脂結晶
固化速度の測定結果を表す図面である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パーム系油脂単独由来のまたはパーム系
    油脂および植物液体油由来の、飽和脂肪酸25〜48重
    量%、モノ不飽和脂肪酸40〜60重量%であって、ジ
    パルミトイルモノオレオイルグリセリドの構成比率がP
    PO/POP≧0.5〔ただし、PPOとはトリグリセ
    リドを構成する3つの脂肪酸のうち、1,2位(または
    2,3位)にパルミチン酸が、3位(または1位)にオ
    レイン酸が結合したものをいい、POPとは1,3位に
    パルミチン酸、2位にオレイン酸が結合したものをい
    う。〕である油脂組成物であることを特徴とするフライ
    用油脂。
  2. 【請求項2】 上記油脂組成物が、1,3位置特異性で
    ないリパーゼを用いてエステル交換することによって得
    られたものである請求項1のフライ用油脂。
  3. 【請求項3】 1,3位置特異性でないリパーゼがアル
    カリゲネス属由来のリパーゼである請求項2のフライ用
    油脂。
  4. 【請求項4】 飽和脂肪酸30〜40重量%、モノ不飽
    和脂肪酸44〜54重量%である請求項1、2または3
    のフライ用油脂。
  5. 【請求項5】 請求項4の油脂を完全融解後、急冷し、
    さらに必要であればテンパリングを行うことにより得ら
    れたハンドリング性に優れた流動性が改善されたフライ
    用油脂。
JP06990197A 1996-03-26 1997-03-24 フライ用油脂 Expired - Fee Related JP3638397B2 (ja)

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