JP3638397B2 - フライ用油脂 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は高安定で風味がよい特性が維持され油ぎれが悪いという特性が改善されたパーム系フライ用油脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
いわゆるフライ用油脂に最低限必要な特性は熱安定性、酸化安定性であるが、その他には風味がよい、安価であることも求められる。また、用途によってさらに油ぎれがよい、ドーナツの砂糖の泣き(ドーナツ表面に付着させた砂糖が溶解し、べとついた状態になること)を防ぐ、ハンドリング性がよいといった機能も求められる。酸化安定性が高いと油脂が劣化しにくいためフライ製品の日持ちが向上し、廃油も少なくできる。また、フライ用油脂の風味が淡泊であるとフライ製品素材自体の風味を活かすことができる。酸化安定性の高いパーム系油脂がフライ用油脂として以前より多用されている。しかし、パーム系油脂にはPOP(1,3位にパルミチン酸、2位にオレイン酸が結合したものをいう。)に由来する結晶固化の遅延、すなわち油ぎれが悪いといった問題がある。結晶固化の遅延は、結晶を大きく成長させ、パーム系油脂は固体と液体に分離する。そのため、加熱、溶解して使用しなければならず、ハンドリングの点でも問題があった。
【0003】
油ぎれが悪い原因としては、1)油脂の融点が低く、固体脂含量が低すぎる、2)固体脂含量は十分だが、油脂の固化速度が遅すぎる、といったことが考えられる。そこで比較的融点の高いパーム系油脂をフライ用油脂として用いる場合は上記2)の理由から油切れが悪いことが予想される。パーム系油脂の結晶固化遅延については、油脂vol.45,No.6,43−44(1992)およびJ.Am.Oil Chem.Soc.vol.62,No.2,409(1985)に、パーム油中のPOPが原因で、POPはPPOよりも結晶固化速度が遅いことが示されている。
【0004】
油ぎれが悪いとフライ製品製造時に油脂が長時間たれ落ち、製品の重量が減少して歩留まりが悪くなるという欠点があり、さらにたれた油脂で作業環境が不衛生となるといった問題も生じる。そこでパーム系油脂をフライ用油脂として用いる場合、上記の問題を解決する方法として水素添加をする方法などが用いられてきた。
【0005】
水素添加すると、酸化安定性は高くなるとともに、油の固化速度も速くなり油切れはよくなるが、トランス体脂肪酸が生成し、さらに独特の水添臭が発生し風味の点で問題がある。トランス体脂肪酸は天然の植物油脂には存在しない脂肪酸で、コレステロール代謝に関する栄養面で議論されているため、ない方が好ましい。また水添臭は、不飽和脂肪酸が水素添加される際に二重結合の位置が移動し、さらに過酸化脂質となり、次いで不飽和アルデヒドが生成された結果生ずる臭いで、6−nonenalなどが原因物質とされている。
【0006】
また、特開平2−219581号公報、特開昭55−110195号公報ではパーム系油脂をエステル交換し、対称型2飽和モノオレイックトリグリセリドを10%以下にする方法が示されている。しかし、特開平2−219581号公報に記載の方法ではエステル交換に1,3位置特異性リパーゼを用いており、PPO/POPは0.5以上にならない。そこで製造した油脂をフライ油として用いた場合、油ぎれのよい油脂とはならない。特開昭55−110195号公報に記載の方法は可塑性油脂の製造を目的とし、粗大結晶形成の防止を図ったもので、そこでは油ぎれに関して言及していない。さらにパーム油の配合率も30%以下と示してあり、酸化安定性の要求されるフライ油をこの方法で製造することは困難である。
エステル交換には化学触媒を用いてランダムにエステル交換する方法もあるが、この方法では触媒除去の工程が必要で廃触媒の処理の問題がある。また、油が着色するため、脱色する必要もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は高安定で油ぎれがよく、かつ風味もよい(例えば水添脂を用いた場合のような独特の水添臭により本来の風味が損なわれるということがない)フライ用油脂を提供することを目的とする。本発明はパーム系油脂をフライ用油脂として利用するに際し、パーム系油脂が持つフライ用油脂として望ましい酸化安定性が高く風味が淡泊であるという特性を維持しつつ、油ぎれが悪いという特性を解消するとともにハンドリング性の改善を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
酸化安定性が高く風味が淡泊であるというパーム油の特性を維持しつつ油ぎれが悪いというパーム油の特性を解消するには、酸化安定性が高く風味が淡泊であるという特性を損なわない範囲の適当な固体脂含量を持たせればよい。それを達成すべく本発明者は鋭意研究し、脂肪酸組成を調整し位置特異性のないリパーゼを用いてエステル交換すればよいことを発見するに至った。
【0009】
本発明は、パーム系油脂単独由来のまたはパーム系油脂および植物液体油由来の、飽和脂肪酸25〜48重量%、モノ不飽和脂肪酸40〜60重量%であって、ジパルミトイルモノオレオイルグリセリドの構成比率がPPO/POP≧0.5〔ただし、PPOとはトリグリセリドを構成する3つの脂肪酸のうち、1,2位(または2,3位)にパルミチン酸が、3位(または1位)にオレイン酸が結合したものをいい、POPとは1,3位にパルミチン酸、2位にオレイン酸が結合したものをいう。〕である油脂組成物であることを特徴とするフライ用油脂である。
【0010】
上記POP/PPOについて、パルミチン酸残基とオレイン酸残基を規定するものである。パーム油はパルミチン酸32〜59%、オレイン酸27〜52%が主要な脂肪酸であり、トリグリセリドはPOP25〜35%、POO15〜25%が主となる。また、植物油を配合すると、POO,POP,OOOといったものが主要トリグリセリドとなる。POO,OOOについてはパーム油の結晶固化遅延の問題に対する関与は低いため、本発明においてパルミチン酸が2つ、オレイン酸がlつのトリグリセリドについて上記のとおり規定するものである。
【0011】
本発明で用いるパーム系油脂は、パーム油のほかにパームオレイン、パームステアリンなどの分別油も含まれ、単独で、好ましくは植物液体油を混合して使用される。
【0012】
パーム系油脂を混合して使用する植物液体油は、パーム系油と混合したときに本発明で特定する脂肪酸組成を達成できるものであれば特に限定されないが、安定性が求められるフライ油を目的としているため、好ましくは多価不飽和脂肪酸含量の低いもの、例えばナタネ油、ダイズ油、コーン油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックヒマワリ油が例示される。
【0013】
本発明で特定する脂肪酸組成は、飽和脂肪酸25〜48重量%、モノ不飽和脂肪酸40〜60重量%であり、通常、上記パーム系油脂と植物液体油を混合し上記脂肪酸組成となるようにする。飽和脂肪酸25重量%以下、モノ不飽和脂肪酸60%重量以上であると、パーム系油脂の配合率が限定されパーム系油脂の持つ安定性が生かされない。また、飽和脂肪酸48重量%以上、モノ不飽和脂肪酸40重量%以下であると、フライ製品を食したとき油脂の口どけが悪く、食感の点で問題がある。
【0014】
本発明で定義する飽和脂肪酸25〜48重量%およびモノ不飽和脂肪酸40〜60重量%は、具体的に例示すると、パーム油とナタネ油あるいはハイオレイックサフラワー油を混合した場合、その配合率は5:5〜10:0(重量比)、DFオレインとナタネ油あるいはハイオレイックサフラワー油を混合した場合では6:4〜10:0(重量比)で、達成される。
【0015】
本発明で特定する脂肪酸組成は、好ましくは飽和脂肪酸30〜40重量%、モノ不飽和脂肪酸44〜54重量%である。すなわち本発明はパーム系油脂単独由来のまたはパーム系油脂および植物液体油由来の、飽和脂肪酸30〜40重量%、モノ不飽和脂肪酸44〜54重量%であって、ジパルミトイルモノオレオイルグリセリドの構成比率がPPO/POP≧0.5である油脂組成物であることを特徴とするフライ用油脂である。
【0016】
本発明で定義する脂肪酸組成の好ましい態様である飽和脂肪酸30〜40重量%およびモノ不飽和脂肪酸44〜54重量%は、具体的に例示すると、パーム油とナタネ油あるいはハイオレイックサフラワー油を混合した場合はその配合率は7:3〜8:2(重量比)、DFオレインとナタネ油あるいはハイオレイックサフラワー油を混合した場合は7:3〜10:0(重量比)で、達成される。
【0017】
油ぎれ特性を改善するためには、さらにジパルミトイルモノオレオイルグリセリドの構成比率がPPO/POP≧0.5であることが必須である。ここで、PPOとはトリグリセリドを構成する3つの脂肪酸のうち、1,2位(または2,3位)にパルミチン酸が、3位(または1位)にオレイン酸が結合したものをいい、POPとは1,3位にパルミチン酸、2位にオレイン酸が結合したものをいう。
【0018】
本発明のフライ用油脂は、パーム系油脂単独でまたはパーム系油脂と植物液体油を混合して、脂肪酸組成が飽和脂肪酸25〜48重量%、モノ不飽和脂肪酸40〜60重量%になるように調製し、ついでその油脂組成物をエステル交換して組成物中のジパルミトイルモノオレオイルグリセリドの構成比率をPPO/POP≧0.5とすることにより製造することができる。
【0019】
エステル交換にはリパーゼを用いる。リパーゼには位置特異性のあるものとないものがある。位置特異性とは、基質分子におけるエステル結合の位置を識別して、いずれか一方のみを反応する特性をいい、sn−1位とsn−3位の脂肪酸基と反応する1,3位置特異性リパーゼとsn−2位の脂肪酸基のみと反応する2位置特異性リパーゼは知られていない。1,3位置特異性のものではPPO/POP≧0.5とはならないため、結晶固化遅延が改善されず、油ぎれ特性の改善効果が期待できない。本発明においては、PPO/POP≧0.5となる1,3位置特異性でないリパーゼ、実質的には、位置特異性のないリパーゼを用いる。
該リパーゼとして、ガンジダ シリンドラセア(Candida cylindracea)由来リパーゼ、クロモバクテリウム ビスコシューム(Chromobacterium viscosum)由来リパーゼ、アルカリゲネス属(Alcaligenes sp.)由来のリパーゼが例示される。さらに好ましい該リパーゼとして、アルカリゲネス属由来リパーゼを珪藻土に固定化した酵素剤が例示される。1,3位置特異性でないリパーゼであれば形態は問わない。粉末形態のものでもよいが、珪藻土、イオン交換樹脂などの担体に固定化したものがより好ましい。
さらに好ましい該リパーゼとしてはアルカリゲネス属由来リパーゼを固定化した酵素剤が例示される。さらに好ましくはアルカリゲネス属由来リパーゼを珪藻土に固定化酵素剤が例示される。
【0020】
本発明で用いるエステル交換反応はバッチ式でも連続方式でもよい。しかし、バッチ式では副反応として起こる加水分解により生成する遊離脂肪酸の量が多くなるため、好ましくは固定化リパーゼを充填したカラムによる連続方式がよい。
【0021】
10〜30℃の範囲で固体脂含量が10〜30%であるような油脂を完全融解して急冷し、さらに必要であればテンパリングを行うという工程により流動性を持たせるという手法は一般的な方法であるが、この方法を本発明の特定の脂肪酸組成の油脂組成物に適用することができる。すなわち、上記方法で製造したエステル交換油のうち、その脂肪酸組成が飽和脂肪酸30〜40重量%、モノ不飽和脂肪酸44〜54重量%である油脂を融点以上の温度で完全に融解した後−20℃以上/分の速度で急冷し均一な結晶を析出させ、さらに必要であればテンパリングを行うことでハンドリング性に優れた流動状油脂を得ることができる。
【0022】
すなわち本発明はパーム系油脂単独由来のまたはパーム系油脂および植物液体油由来の、飽和脂肪酸30〜40重量%、モノ不飽和脂肪酸44〜54重量%であって、ジパルミトイルモノオレオイルグリセリドの構成比率がPPO/POP≧0.5である油脂組成物であることを特徴とするフライ用油脂を完全融解後、急冷し均一な結晶を析出させ、さらに必要であればテンパリングをおこなうことにより流動性を改善されたフライ用油脂である。
テンパリングを行うという工程により流動性を持たせるという手法そのものは上記の通り一般的な方法であるが、この方法を本発明の特定の脂肪酸組成の油脂組成物に適用することにより、当該油脂を保存して実際に油脂を容器から出すときに固形油脂が底に残ってしまうことがない、ハンドリング性に優れた流動状油脂を得ることができる。結晶が微細化するため、均一に分散し、流動性が高くなる(粘性が低くなる)。その結果、長期間分離することのない、ハンドリング性に優れた流動状油脂を得ることができる。
【0023】
【実施例】
本発明を実施例によって説明する。本発明はこの実施例によって何ら限定されない。
【0024】
実施例1
位置特異性のないアルカリゲネス属由来固定化リパーゼ剤〔名糖産業(株)「Lipase QLC」〕を45℃に保ったカラムに充填し、基質としてパーム油とナタネ油を3:1(重量比)で混合した油をSV1.0で供給しエステル交換反応を行った。エステル交換油は脱臭により精製した。
【0025】
比較例1
1,3位置特異性のリゾープス デレマール(Rhizopus delemar)由来固定化リパーゼ剤〔天野製薬(株)「Lipase D」〕を45℃に保ったカラムに充填し、実施例1と同様にエステル交換し、脱臭した。
【0026】
比較例2
パーム油とナタネ油を3:1(重量比)で混合し、脱臭により精製した。
表1に実施例1、比較例1、2の脂肪酸組成、表2にPPO、POP含量およびPPO/POPを示す。
【0027】
【表1】
Figure 0003638397
【0028】
【表2】
Figure 0003638397
【0029】
実施例2
アルカリゲネス属由来固定化リパーゼ剤〔名糖産業(株)「Lipase QLC」〕を40℃に保ったカラムに充填し、基質としてDFオレインとナタネ油を3:1(重量比)で混合した油をSV1.0で供給しエステル交換反応を行った。エステル交換油は脱臭により精製した。
【0030】
比較例3
1,3位置特異性のムコール ミエハイ(Mucor miehei)由来固定化リパーゼ剤(ノボ・ノルディスク「Lipozyme IM60」)を40℃に保ったカラムに充填し、実施例2と同様にエステル交換し、脱臭した。
【0031】
比較例4
DFオレインとナタネ油を3:1(重量比)で混合し、脱臭により精製した。表3に実施例2、比較例3、4の脂肪酸組成、表4にPPO、POP含量およびPPO/POPを示す。
【0032】
【表3】
Figure 0003638397
【0033】
【表4】
Figure 0003638397
【0034】
比較例5
パーム油とコーン油の混合物(重量比5:5)を水素添加した油脂(飽和脂肪酸35.2重量%、モノ不飽和脂肪酸53.9重量%)を用いた。
【0035】
実施例3
アルカリゲネス属由来固定化リパーゼ剤〔名糖産業(株)「Lipase QLC」〕を40℃に保ったカラムに充填し、基質としてDFオレインとハイオレイックサフラワー油を6:4(重量比)で混合してSV1.0で供給しエステル交換反応を行った。エステル交換油は脱臭により精製した。脂肪酸組成を以下の表5に示す。
【0036】
【表5】
Figure 0003638397
【0037】
試験例1
実施例1、2、比較例1〜4について下記の方法で結晶固化速度を測定した。実施例1、比較例1〜2の結果を図1に、実施例2、比較例3〜4の結果を図2に示す。
方法 SFC測定用チューブに油を入れ、80℃で10分保ち完全に融解させた後、10℃あるいは5℃のアルミブロックに入れパルスNMRを用いて固体脂含量を経時的に測定する。
【0038】
図1および図2より明らかなように、エステル交換により結晶固化速度は速くなり、1,3位置特異性酵素よりも位置特異性のない酵素を用いたときの方がその程度が大きかった。
【0039】
実施例3
位置特異性のないガンジダ シリンドラセア(Candida cylindracea)由来リパーゼ〔名糖産業(株)製「Lipase OF」〕0.4gを20mlの蒸留水に懸濁し、セラミックス担体〔日本ガイシ(株)製SM−10〕10gを加え攪拌後、一晩静置し水洗した。その後、凍結乾燥して固定化リパーゼ剤を調製した。この固定化リパーゼ剤を45℃に保ったカラムに充填し、実施例1と同様にエステル交換し、脱臭した。
【0040】
試験例2
実施例1、3比較例1、2、5を用いてイーストドーナツ生地を揚げて、その直後にろ紙上にドーナツをのせ1時間室温放置後のろ紙の油じみ量を観察した。また、油っぽい風味について熟練したパネラー10人によって官能試験を行い、その平均結果を表6に示す。
なお、油じみについては◎:極めて少ない、○:少ない、△:多い、×:極めて多いの4段階で評価し、官能試験については、○:油っぽくない、△:油っぽい、×:極めて油っぽいの3段階で評価した。
【0041】
【表6】
Figure 0003638397
【0042】
試験例3
実施例2、比較例3、4を用いて以下の方法でかき揚げを具材に天ぷらの油ぎれ試験を行った。また、保存後のかき揚げを電子レンジで温め、油っぽい風味および食感について熟練したパネラー10人により官能試験を行い、油っぽさについては試験例2と同じく3段階で評価し、食感については◎:極めて良好、○:良好、△:不良、×:極めて不良の4段階で評価した。平均結果を表7に示す。
方法 具材約80gを170℃に熱した各油で表2分間・裏1分間揚げる。表面温度が50℃程度になるまで油切り・放冷した後、ろ紙を敷いたバットの上に移し5℃で一晩保存する。その後バット重量を測定し油だれ量を求める。
【0043】
【表7】
Figure 0003638397
【0044】
試験例4
実施例2、比較例3、4、実施例3、について各油脂100gをマヨネーズ瓶に採り、80℃で10分間保ち完全融解させ、−20℃/分の速度で5℃まで冷却し一晩保存する。その後25℃のインキュベーターに入れ流動状油脂を調製した。また、実施例2を完全融解後徐冷して25℃に保つものも調製した。
流動状の程度を3ヶ月まで経時、的に観察し、つぎのように3段階で評価した。 ○:固体成分が均一に分散した流動状
△:やや固液分離
×:完全な固液分離その結果を表8に示す。
【0045】
【表8】
Figure 0003638397
【0046】
【発明の効果】
高安定で油ぎれがよく、かつ風味もよいフライ用油脂を提供することができる。パーム系油脂が持つフライ用油脂として望ましい酸化安定性が高いという特性が維持され、例えば水添脂を用いた場合のような独特の水添臭により本来の風味が損なわれることがなく、本来の風味が淡泊であるという特性を維持しつつ、油ぎれが悪いという特性を解消したパーム系フライ用油脂を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、比較例1〜2のフライ用油脂の結晶固化速度の測定結果を表す図面である。
【図2】実施例2、比較例3〜4ののフライ用油脂結晶固化速度の測定結果を表す図面である。

Claims (5)

  1. パーム系油脂単独由来のまたはパーム系油脂および植物液体油由来の、飽和脂肪酸25〜48重量%、モノ不飽和脂肪酸40〜60重量%であって、ジパルミトイルモノオレオイルグリセリドの構成比率がPPO/POP≧0.5〔ただし、PPOとはトリグリセリドを構成する3つの脂肪酸のうち、1,2位(または2,3位)にパルミチン酸が、3位(または1位)にオレイン酸が結合したものをいい、POPとは1,3位にパルミチン酸、2位にオレイン酸が結合したものをいう。〕である油脂組成物であることを特徴とするフライ用油脂。
  2. 上記油脂組成物が、1,3位置特異性でないリパーゼを用いてエステル交換することによって得られたものである請求項1のフライ用油脂。
  3. 1,3位置特異性でないリパーゼがアルカリゲネス属由来のリパーゼである請求項2のフライ用油脂。
  4. 飽和脂肪酸30〜40重量%、モノ不飽和脂肪酸44〜54重量%である請求項1、2または3のフライ用油脂。
  5. 請求項4の油脂を完全融解後、急冷し、さらに必要であればテンパリングを行うことにより得られたハンドリング性に優れた流動性が改善されたフライ用油脂。
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