JPH09280338A - 差動装置 - Google Patents

差動装置

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JPH09280338A
JPH09280338A JP11128096A JP11128096A JPH09280338A JP H09280338 A JPH09280338 A JP H09280338A JP 11128096 A JP11128096 A JP 11128096A JP 11128096 A JP11128096 A JP 11128096A JP H09280338 A JPH09280338 A JP H09280338A
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pinion gear
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和明 中村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 差動制限機能を備え、しかも小型軽量化の容
易な差動装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 サンギヤ14とリングギヤ15の間に、
サンギヤ14およびリングギヤ15に噛み合わされる複
数のピニオンギヤ13が配置され、かつ、複数のピニオ
ンギヤ13を接続したプラネタリキャリヤ11が設けら
れ、プラネタリキャリヤ11に、ピニオンギヤ13の歯
先面が当接される円弧状のピニオンギヤ保持面11Dが
設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両のトルク伝
達機構に使用される差動装置に関し、さらに詳しくは、
トルク感応形の差動制限機能を備えた差動装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】エンジンから変速機を経て出力されるト
ルクを前後四輪に分配することにより、不整地の走破性
などを高めた四輪駆動車が広く使用されているが、最近
では、前後輪に対するトルクの分配率が回頭性や操縦安
定性などに大きい影響することに鑑み、前後輪に対する
トルク分配率を車両の走行状態に応じて逐次変更する制
御が行われるようになってきている。そのトルク分配率
の変更は、前後輪の差動を行うセンターディファレンシ
ャル(中央差動装置)における差動制限を行うことによ
り、例えば後輪側のトルクの一部を前輪側に伝達するこ
とにより実行されている。
【0003】そのための装置の一例が、特開平7−18
6768号公報に記載されている。この公報に記載され
た差動装置は、歯車をはす歯歯車とするとともに、その
噛み合い面で生じるスラスト力によって摩擦トルクを発
生させるよう構成したものである。具体的には、センタ
ーディファレンシャルを構成している遊星歯車機構のサ
ンギヤを、該遊星歯車機構に隣接して配置された出力ギ
ヤと一体化させ、その出力ギヤとプラネタリキャリヤと
の間、および出力ギヤとをこれに隣接するビスカスカッ
プリングのケーシングとの間にスラストワッシャを配置
し、遊星歯車機構でトルク伝達することにより生じるス
ラスト力によってスラストワッシャを摺動回転させ、こ
こで生じる摩擦トルクによって差動制限を行うようにな
っている。また前記ビスカスカップリングは、出力ギヤ
とプラネタリキャリヤからトルクの伝達される部材との
間に設けられており、前記遊星歯車機構で差動回転が生
じた場合に、粘性流体のせん断などに伴うトルクが生
じ、これによって差動制限を行うようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述したように差動装
置は、一つの入力部材と二つの出力部材とを有し、出力
部材の回転数の平均値が入力回転数となるよう作用する
ことによって、出力部材同士の間の差動回転を許容する
よう構成されたものであり、従来一般には、上述した遊
星歯車機構や、同一軸線上に配置された一対のサイドギ
ヤに対してこれらの間に配置したピニオンによってトル
クを伝達するディファレンシャルギヤなどが用いられて
いる。そして差動作用は、その構成要素同士の間の相対
回転によって行われるので、その差動制限は、いずれか
二つの要素の間に前述したスラストワッシャやビスカス
カップリングなどの摩擦部材を設けることにより行われ
ている。
【0005】その摩擦部材は、回転によって摩擦力を発
生するものであるから、遊星歯車機構などの差動装置と
同一軸線上に配列することになる。そのために従来の装
置では、差動制限を行うための手段が軸線方向に並んで
追加配置されることになるので、少なくとも軸線方向で
の寸法を大きくせざるを得なくなり、結局は、装置の大
型化を招来する不都合があった。
【0006】この発明は、上記の事情を背景としてなさ
れたものであり、差動制限機能を備え、しかも小型軽量
化の容易な差動装置を提供することを目的とするもので
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、請求項1の発明は、外歯歯車であ
るサンギヤと、該サンギヤと同心円上に配置された内歯
歯車であるリングギヤと、これらサンギヤとリングギヤ
との間に配置されサンギヤとリングギヤと間でトルクを
伝達するピニオンギヤと、そのピニオンギヤを公転およ
び自転可能に保持したプラネタリキャリヤとを備えた差
動装置において、前記プラネタリキャリヤにその軸線方
向に向けた筒状の収容部が形成され、前記ピニオンギヤ
がその収容部内に回転自在に収容されるとともに、その
歯先面を該収容部の内周面に摺接させた状態で保持され
ていることを特徴とするものである。
【0008】また請求項2の発明は、請求項1の構成に
加えて、前記プラネタリキャリヤが、円周方向の荷重に
より半径方向に移動して前記サンギヤもしくはリングギ
ヤの歯先面に摺接するカム機構を備えていることを特徴
とするものである。
【0009】したがって請求項1の構成では、差動回転
が生じていない場合には、その全体が一体となって回転
するために、ピニオンギヤとプラネタリキャリヤとの間
の相対動作がなく、摩擦摺動による差動制限力は生じな
い。これに対していずれか2要素の間で差動回転が生じ
ると、すなわち差動作用を行うと、ピニオンギヤが自転
するから、その歯先面がプラネタリキャリヤの収容部の
内面に対して摺動し、それに伴って発生する摩擦トルク
が差動制限トルクとして作用する。すなわち請求項1の
発明では、ピニオンギヤをプラネタリキャリヤの収容部
に回転可能に収容したことにより、これら両者の間で生
じる摺動が差動制限作用を行い、差動装置を構成してい
る部材に追加する部材を必要とせずに差動制限を行うこ
とができ、差動制限機能のある差動装置を小型化するこ
とができる。
【0010】また請求項2の発明では、差動作用が生じ
ることによってプラネタリキャリヤがサンギヤやリング
ギヤに対して相対回転し、サンギヤもしくはプラネタリ
キャリヤに対する摺動が生じ、その摩擦力が差動制限ト
ルクとして作用する。
【0011】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明を具体例に基づ
いて説明する。図1に示す差動装置は、内歯歯車である
リングギヤ15と、リングギヤ15の内側に同心円上に
配置された外歯歯車であるサンギヤ14と、これらのリ
ングギヤ15およびサンギヤ14に噛み合わされた複数
のピニオンギヤ13と、これらのピニオンギヤ13を支
持するプラネタリキャリヤ11とを備えた遊星歯車式の
ものである。
【0012】そのプラネタリキャリヤ11は、リングギ
ヤ15の外径とほぼ同じ外径に設定され、かつ、軸穴1
2Aを備えた一対の環状のエンドプレート12と、一対
のエンドプレート12同士の間に設けられた三つのブロ
ック11Aとにより構成されている。これら三つのブロ
ック11Aはエンドプレート12の同一円周上に、ほぼ
120度の間隔で配置され、エンドプレート12の側面
から軸線方向に突出している。なお、この実施例では、
一方のエンドプレート12と三つのブロック11Aとが
一体成形されており、他方のエンドプレート12と三つ
のブロック11Aとがねじ(図示せず)などにより固定
される構成となっている。
【0013】三つのブロック11Aは同一形状に構成さ
れており、その外周にはほぼ同じ曲率に設定された円弧
面11Bが別個に形成されている。そして、この円弧面
11Bを接続して形成される円の直径は、リングギヤ1
5の内径よりも小さく設定されている。また、三つのブ
ロック11A同士の内側には、外側に向けて湾曲され、
かつ、ほぼ同一曲率に設定されたサンギヤ保持面11C
がそれぞれ形成されている。そして、サンギヤ保持面1
1C同士を接続して形成される円の直径は、サンギヤ1
4の外径よりも大きく設定されている。
【0014】さらに、三つのブロック11A同士の円周
方向の対向部位には、くぼみ状(凹形状)に湾曲され、
かつ、ほぼ同一曲率に設定されたピニオンギヤ保持面1
1Dが別個に形成されている。そして、対向するピニオ
ンギヤ保持面11D同士を接続して形成される円の直径
は、ピニオンギヤ13の外径とほぼ等しく設定されてい
る。すなわち互いに対向するピニオンギヤ保持面11D
が、エンドプレート12の半径方向での内周側と外周側
とで切り開かれた筒状のピニオンギヤ収容部を形成して
いる。
【0015】上記のように構成された差動装置は、リン
グギヤ15の内方にプラネタリキャリヤ11が回転可能
に配置され、サンギヤ保持面11C同士の間の空間にサ
ンギヤ14が配置され、対向するピニオンギヤ保持面1
1D同士の間の空間にピニオンギヤ13がそれぞれ配置
される。
【0016】図2は、上記の差動装置の回転要素である
サンギヤ14、リングギヤ15、ピニオンギヤ13なら
びにプラネタリキャリヤ11の相互の組立状態を示して
おり、サンギヤ14とリングギヤ15とが同心円上に配
置され、これらのギヤ14,15の間にプラネタリキャ
リヤ11における前記ブロック11Aが軸線方向の一端
側から挿入されている。そしてこのブロック11Aに形
成された収容部すなわちピニオンギヤ保持面11Dによ
る筒状部分のそれぞれにピニオンギヤ13が挿入されて
いる。この状態で各ピニオンギヤ13は、その収容部の
切り開き部分から外側に突出し、その突出部分でサンギ
ヤ14およびリングギヤ15に噛合している。また各ピ
ニオンギヤ13は、これを保持しているピニオンギヤ保
持面11Dに接触している。
【0017】図3は、上記の差動装置をセンターディフ
ァレンシャルとして構成した四輪駆動装置のスケルトン
図であり、プラネタリキャリヤ11に入力軸(図示しな
い変速機の出力軸)1が連結されており、これに対して
サンギヤ14が、一対のスプロケット3Bおよびサイレ
ントチェーン3Aを介して前輪出力軸12に連結され、
さらにリングギヤ15が後輪出力軸4に連結されてい
る。したがって入力軸1のトルクは、ピニオンギヤ13
を介してサンギヤ14とリングギヤ15とに伝達される
が、ピニオンギヤ13とサンギヤ14およびリングギヤ
15との噛み合い位置の回転中心からの半径(ピッチ円
半径)の相違に基づいてトルクが、サンギヤ14とリン
グギヤ15とに不等配分される。
【0018】前輪と後輪とに差動回転がない状態では、
差動装置の全体が一体となって回転するために、上述し
た各回転要素の間に相対回転は生じない。これに対し
て、前輪もしくは後輪の一輪がスリップなどによって空
転すると、前輪と後輪とに差動回転が生じる。この前後
輪での回転数の差は、ピニオンギヤ13が自転すること
によって吸収されるが、ピニオンギヤ13は、その保持
面11Aに接触しているから、自転することによって摩
擦力が発生し、その摩擦力が差動制限力として作用す
る。例えば図4に示すように、サンギヤ14がリングギ
ヤ15よりも高速で回転する差動状態が生じると、ピニ
オンギヤ13が図4に単線の矢印で示す方向に自転する
が、プラネタリキャリヤ11がピニオンギヤ13を押圧
していることによる接触荷重に応じて摩擦力が生じ、ピ
ニオンギヤ13の自転が抑制される。すなわちサンギヤ
14とリングギヤ15との差動回転を抑制する方向に差
動トルクが生じ、サンギヤ14とリングギヤ15とのピ
ッチ円半径に基づくトルク分配率が摩擦トルクに応じて
変更された分配率になる。
【0019】なお、各ギヤ13,14,15をはす歯歯
車とすれば、トルクの伝達に基づいてスラスト力が発生
し、各ギヤ13,14,15をエンドプレート12に押
し付けることになるので、その接触面で摩擦トルクが発
生する。この摩擦トルクも、差動装置の各要素の相対回
転を抑制する方向に生じるから、前後輪の差動制限が行
われる。
【0020】したがって上述した図1ないし図4に示す
構成の差動装置では、本来の構成要素であるピニオンギ
ヤ13とプラネタリキャリヤ11との間で差動回転に基
づく摩擦トルクを生じさせ、その摩擦トルクによって差
動制限を行うので、差動制限ための特別な機構を必要と
しない。そのため付加機構がない分、構成を簡素化し、
小型軽量化に有利になる。またトルク分配率に設定は、
ギヤ比(サンギヤの歯数とリングギヤの歯数との比)に
よって自由に設定できるので、センターディファレンシ
ャル以外に左右の車輪の差動装置としても用いることが
できる。さらにピニオンギヤ13の支持剛性が高くなる
ので、ギヤの噛み合い精度を良好に維持し、騒音の発生
を防止することができる。そしてセンターディファレン
シャルとして使用した場合、ピニオンギヤ13がその保
持面11Aに接触していてピニオンギヤ13の自転を抑
制するように機能するので、差動制限の応答遅れが生じ
ないばかりか、直進安定性を向上させることができる。
また左右の車輪の差動装置として用いても差動制限の応
答遅れが生じない。
【0021】なお、この発明はダブルピニオン型の遊星
歯車機構として構成することもできる。その例を図5に
示してあり、サンギヤ14とリングギヤ15との間に
は、互いに噛合したピニオンギヤ13a,13bが配置
されている。そして外周側のピニオンギヤ13bがリン
グギヤ15に噛合し、内周側のピニオンギヤ13bがサ
ンギヤ14に噛合している。さらにプラネタリキャリヤ
11は円周方向に分割された複数のブロック11Dを備
えており、それぞれのブロック11Dの内周には円弧状
に湾曲されたサンギヤ保持面11Eが別個に形成されて
いるとともに、それぞれのブロック11Dの円周方向の
対向面には円弧状に湾曲されたピニオンギヤ保持面11
Fが形成されている。すなわちこれらのピニオンギヤ保
持面11Fによってピニオンギヤ13a,13bの収容
部が形成されている。
【0022】そして上記構成のプラネタリキャリヤ11
の組み立て状態においては、ピニオンギヤ保持面11F
にピニオンギヤ13a,13bの歯先面が接触してい
る。そして、この差動装置の差動制限力は、ピニオンギ
ヤ13a,13bの歯先面とピニオンギヤ保持面11F
との摩擦抵抗により発生するため、差動制限力の大きさ
はピニオンギヤの個数、大きさ、ギヤのヘリカル角度等
の変更により適宜調整可能である。このように、図5の
実施例においても図1ないし図4の実施例と同様の効果
を得られる。
【0023】さらにこの発明の他の例を図6に基づいて
説明する。この図6に示す例は、サンギヤ14およびリ
ングギヤ15に対しても摩擦トルクを生じさせるようカ
ム機構を備えた構成としたものである。すなわちプラネ
タリキャリヤ11が、半径方向に二分割されカムフォロ
アーとして機能するインナーピース11Gとアウターピ
ース11Hとを備えているとともに、インナーピース1
1Gとアウターピース11Hと間に、カムとして機能す
るくさび状のセンターピース11Jが嵌合されている。
【0024】そのインナーピース11Gの内周側の面に
は、円弧状に湾曲されたサンギヤ接触面11Cが形成さ
れ、インナーピース11Gとアウターピース11Hとの
円周方向の両端部には、円弧状に湾曲されたピニオンギ
ヤ保持面11Dが形成されている。そして、ピニオンギ
ヤ13の歯先面がピニオンギヤ保持面11Dに接触させ
られている。さらに、インナーピース11Gの外周側の
面には、傾斜面11Mが設けられ、かつ、アウターピー
ス11Hの内周側の面には、傾斜面11Nが設けられて
おり、傾斜面11Mと傾斜面11Nとによりくさび状が
形成されている。さらにアウターピース11Hの外周面
に、リングギヤ15の歯先面に接触するリングギヤ接触
面11Zが形成されている。
【0025】上記センターピース11Jは、前述した例
で示したエンドプレートに固定一体化されており、これ
に対してインナーピース11Gとアウターピース11H
とは、リングギヤ15とサンギヤ14との間に、半径方
向に移動可能な状態で配置されている。なお、インナー
ピース11Gおよびアウターピース11Hとは、ガタ打
ち音などを避けるために、エンドプレートに適宜の手段
で移動自在に取り付けてもよい。センターピース11J
はほぼ2等辺3角形状に成形されており、その底辺11
Kがほぼ半径方向に沿うように配置されている。また、
センターピース11Jの他の傾斜面11Lにより、図6
の矢印方向である回転方向に向けて先細りとなるくさび
状に形成されている。
【0026】したがって、入力側部分であってカムとし
て作用するセンターピース11Jの傾斜面11Lが、出
力側部分であってカムフォロアーとして作用するインナ
ーピース11Gの傾斜面11Mと、アウターピース11
Hの傾斜面11Nとに別個に当接されている。このた
め、入力軸からセンターピース11Jに対して矢印方向
のトルクが加えられると、センターピース11Jがイン
ナーピース11Gおよびアウターピース11Hを図6の
矢印方向である接線方向に押圧して図中右側のピニオン
ギヤ13に押し付る。これと同時に、斜面効果(つまり
くさび効果)による半径方向の分力でインナーピース1
1Gおよびアウターピース11Hを半径方向に押圧し、
インナーピース11Gをサンギヤ14の外周面に押し付
ける一方、アウターピース11Hをリングギヤ15の内
周面に押し付ける。そのため、これらの接触面で摺動摩
擦抵抗力が発生し、これが各回転要素の相対回転を規制
するように作用し、差動制限が行われる。このように、
図6の実施例においても、図1ないし図4に示す実施例
と同様の効果を得られる。
【0027】さらに、センターピース11Jに作用する
トルクの方向が逆になった場合には、傾斜面11Lによ
るくさび効果、つまり、インナーピース11Gがサンギ
ヤ14に押し付けられる作用と、アウターピース11H
がリングギヤ15に押し付けられる作用とが発生しない
ため、差動制限力を前進時と後退時とで異ならせること
が可能となる。また加速時と減速時とでトルクの入力方
向が逆になるため、減速時の差動制限力を加速時に比べ
て小さくし、アンチロックブレーキシステムとの相性を
向上させることができる。
【0028】図7は図6に示す構成の一部を変更したも
のであり、プラネタリキャリヤ11が、円周方向に二分
割されたピース11Pとピース11Qとを備えている。
これらのピース11P,11Qは、リングギヤ15の半
径方向に対して所定角度傾斜した傾斜面11R,11S
を別個に備えており、ピース11Pが前述した例におけ
るエンドプレートに固定されている。これに対して他方
のピース11Qは、リングギヤ15とサンギヤ14との
間に、少なくとも半径方向に移動可能な状態で配置され
ている。なお、この移動可能なピース11Qのガタ打ち
音を防止するために、これをエンドプレートに保持させ
ることは適宜に行えばよい。
【0029】また、可動ピース11Qの外周面には、リ
ングギヤ15の歯先面に接触するリングギヤ接触面11
Zが形成され、また可動ピース11Qの円周方向の端面
に、ピニオンギヤ13の歯先面に接触するピニオンギヤ
保持面11Dが形成されている。
【0030】上記構成の差動装置は、入力軸からピース
11Pに対して矢印方向(図中時計回り)のトルクが加
えられると、ピース11Qが時計回りに押されてそのピ
ニオンギヤ保持面がピニオンギヤ13の歯先面に押し付
けられるとともに、傾斜面11Rと傾斜面11Sとの反
発力によってピース11Qが外周側に移動させられてピ
ース11Qの外周面がリングギヤ15の歯先面に当接さ
れ、その摩擦抵抗により差動制限力が発生する。このよ
うに、図7に示す実施例においても、図1ないし図4に
示す実施例と同様の効果を得られる。
【0031】また図7に示す例では、ピース11Pに対
して逆方向のトルクが加えられた場合には、ピニオンギ
ヤ13の歯先面とピニオンギヤ保持面11Dとの当接に
よる摩擦抵抗で差動制限力が生じ、リングギヤ15との
摩擦抵抗が生じないため、上記の場合とは発生する差動
制限力が異なる。すなわちアンチロックブレーキシステ
ムとの相性が良いことは、図6に示す例と同様である。
【0032】なお、この発明は、上述した各実施例に限
定されないのであり、ピニオンギヤの数は、2個もしく
は4個以上であってもよく、また差動回転が生じた場合
にサンギヤもしくはリングギヤとプラネタリキャリヤと
の間で摺動摩擦力を生じさせ、もしくは増大させるカム
機構は、上述した傾斜面効果もしくはくさび効果を利用
したもの以外に、必要に応じて適宜の構成のものを採用
することができ、要は、トルクを半径方向力に変換して
回転要素同士の間の接触圧を高くするものであればよ
い。
【0033】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明
によれば、プラネタリキャリヤのピニオンギヤ保持面と
ピニオンギヤの歯先面との摩擦抵抗により差動制限が行
われ、そのプラネタリキャリヤが、遊星歯車機構式の差
動装置に予め設けられている本来の構成部品であるた
め、差動制限を行うための格別の部品が不要となり、部
品点数や組み立て工数を抑制でき、装置の小型化と製造
コストの抑制とを実現できる。
【0034】また請求項2に記載された発明によれば、
請求項1と同様の効果を得られるほか、カム機構によっ
てサンギヤもしくはリングギヤとの間の接触圧が増大さ
せられ、差動回転による摺動抵抗がこれらのギヤとの間
に生じ、より効果的に差動制限を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一例の差動装置を分解状態で示す斜
視図である。
【図2】その差動装置の組立状態での一部を示す概略断
面図である。
【図3】その差動装置を四輪駆動装置における差動装置
として組み込んだ例のスケルトン図である。
【図4】そのプラネタリキャリヤとピニオンギヤとによ
る差動制限状態を説明するための模式図である。
【図5】この発明をダブルピニオン型遊星歯車機構に適
用した例を示す部分概略断面図である。
【図6】この発明の他の例の要部を示す概略断面図であ
る。
【図7】図6に示す例を更に変形した例を示す要部の概
略断面図である。
【符号の説明】
14 サンギヤ 15 リングギヤ 13,13a,13b ピニオンギヤ 11 プラネタリキャリヤ 1 入力軸 4 アクスル軸 11D,11F ピニオンギヤ保持面 11J センターピース 11P ピース 11G インナーピース 11H アウターピース 11Q ピース 11L,11M,11N,11R,11S 傾斜面

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外歯歯車であるサンギヤと、該サンギヤ
    と同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤと、
    これらサンギヤとリングギヤとの間に配置されサンギヤ
    とリングギヤとの間でトルクを伝達するピニオンギヤ
    と、そのピニオンギヤを公転および自転可能に保持した
    プラネタリキャリヤとを備えた差動装置において、 前記プラネタリキャリヤにその軸線方向に向けた筒状の
    収容部が形成され、前記ピニオンギヤがその収容部内に
    回転自在に収容されるとともに、その歯先面を該収容部
    の内周面に摺接させた状態で保持されていることを特徴
    とする差動装置。
  2. 【請求項2】 前記プラネタリキャリヤが、円周方向の
    荷重により半径方向に移動して前記サンギヤもしくはリ
    ングギヤの歯先面に摺接するカム機構を備えていること
    を特徴とする請求項1の記載の差動装置。
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