JP3843483B2 - 差動装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両のトルク伝達機構に使用される差動装置に関し、さらに詳しくは、トルク感応形の差動制限機能を備えた差動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジンから変速機を経て出力されるトルクを前後四輪に分配することにより、不整地の走破性などを高めた四輪駆動車が広く使用されているが、最近では、前後輪に対するトルクの分配率が回頭性や操縦安定性などに大きい影響することに鑑み、前後輪に対するトルク分配率を車両の走行状態に応じて逐次変更する制御が行われるようになってきている。そのトルク分配率の変更は、前後輪の差動を行うセンターディファレンシャル(中央差動装置)における差動制限を行うことにより、例えば後輪側のトルクの一部を前輪側に伝達することにより実行されている。
【0003】
そのための装置の一例が、特開平7−186768号公報に記載されている。この公報に記載された差動装置は、歯車をはす歯歯車とするとともに、その噛み合い面で生じるスラスト力によって摩擦トルクを発生させるよう構成したものである。具体的には、センターディファレンシャルを構成している遊星歯車機構のサンギヤを、該遊星歯車機構に隣接して配置された出力ギヤと一体化させ、その出力ギヤとプラネタリキャリヤとの間、および出力ギヤとをこれに隣接するビスカスカップリングのケーシングとの間にスラストワッシャを配置し、遊星歯車機構でトルク伝達することにより生じるスラスト力によってスラストワッシャを摺動回転させ、ここで生じる摩擦トルクによって差動制限を行うようになっている。また前記ビスカスカップリングは、出力ギヤとプラネタリキャリヤからトルクの伝達される部材との間に設けられており、前記遊星歯車機構で差動回転が生じた場合に、粘性流体のせん断などに伴うトルクが生じ、これによって差動制限を行うようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように差動装置は、一つの入力部材と二つの出力部材とを有し、出力部材の回転数の平均値が入力回転数となるよう作用することによって、出力部材同士の間の差動回転を許容するよう構成されたものであり、従来一般には、上述した遊星歯車機構や、同一軸線上に配置された一対のサイドギヤに対してこれらの間に配置したピニオンによってトルクを伝達するディファレンシャルギヤなどが用いられている。そして差動作用は、その構成要素同士の間の相対回転によって行われるので、その差動制限は、いずれか二つの要素の間に前述したスラストワッシャやビスカスカップリングなどの摩擦部材を設けることにより行われている。
【0005】
その摩擦部材は、回転によって摩擦力を発生するものであるから、遊星歯車機構などの差動装置と同一軸線上に配列することになる。そのために従来の装置では、差動制限を行うための手段が軸線方向に並んで追加配置されることになるので、少なくとも軸線方向での寸法を大きくせざるを得なくなり、結局は、装置の大型化を招来する不都合があった。
【0006】
この発明は、上記の事情を背景としてなされたものであり、差動制限機能を備え、しかも小型軽量化の容易な差動装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、外歯歯車であるサンギヤと、該サンギヤと同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤと、これらサンギヤとリングギヤとの間に配置されサンギヤとリングギヤとの間でトルクを伝達するピニオンギヤと、そのピニオンギヤを公転および自転可能に保持したプラネタリキャリヤとを備えた差動装置において、前記プラネタリキャリヤにその軸線方向に向けた筒状の収容部が形成され、前記ピニオンギヤがその収容部内に回転自在に収容されるとともに、その歯先面を該収容部の内周面に摺接させた状態で保持されていて、かつ、前記プラネタリキャリヤが、円周方向の荷重により半径方向に移動して前記サンギヤもしくはリングギヤの歯先面に摺接するカム機構を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
したがって請求項1の構成では、差動回転が生じていない場合には、その全体が一体となって回転するために、ピニオンギヤとプラネタリキャリヤとの間の相対動作がなく、摩擦摺動による差動制限力は生じない。これに対していずれか2要素の間で差動回転が生じると、すなわち差動作用を行うと、ピニオンギヤが自転するから、その歯先面がプラネタリキャリヤの収容部の内面に対して摺動し、それに伴って発生する摩擦トルクが差動制限トルクとして作用する。すなわち請求項1の発明では、ピニオンギヤをプラネタリキャリヤの収容部に回転可能に収容したことにより、これら両者の間で生じる摺動が差動制限作用を行い、差動装置を構成している部材に追加する部材を必要とせずに差動制限を行うことができ、差動制限機能のある差動装置を小型化することができる。
【0010】
さらに請項1の発明では、差動作用が生じることによってプラネタリキャリヤがサンギヤやリングギヤに対して相対回転し、サンギヤもしくはプラネタリキャリヤに対する摺動が生じ、その摩擦力が差動制限トルクとして作用する。
【0011】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明を具体例に基づいて説明する。図1に示す差動装置は、内歯歯車であるリングギヤ15と、リングギヤ15の内側に同心円上に配置された外歯歯車であるサンギヤ14と、これらのリングギヤ15およびサンギヤ14に噛み合わされた複数のピニオンギヤ13と、これらのピニオンギヤ13を支持するプラネタリキャリヤ11とを備えた遊星歯車式のものである。
【0012】
そのプラネタリキャリヤ11は、リングギヤ15の外径とほぼ同じ外径に設定され、かつ、軸穴12Aを備えた一対の環状のエンドプレート12と、一対のエンドプレート12同士の間に設けられた三つのブロック11Aとにより構成されている。これら三つのブロック11Aはエンドプレート12の同一円周上に、ほぼ120度の間隔で配置され、エンドプレート12の側面から軸線方向に突出している。なお、この実施例では、一方のエンドプレート12と三つのブロック11Aとが一体成形されており、他方のエンドプレート12と三つのブロック11Aとがねじ(図示せず)などにより固定される構成となっている。
【0013】
三つのブロック11Aは同一形状に構成されており、その外周にはほぼ同じ曲率に設定された円弧面11Bが別個に形成されている。そして、この円弧面11Bを接続して形成される円の直径は、リングギヤ15の内径よりも小さく設定されている。また、三つのブロック11A同士の内側には、外側に向けて湾曲され、かつ、ほぼ同一曲率に設定されたサンギヤ保持面11Cがそれぞれ形成されている。そして、サンギヤ保持面11C同士を接続して形成される円の直径は、サンギヤ14の外径よりも大きく設定されている。
【0014】
さらに、三つのブロック11A同士の円周方向の対向部位には、くぼみ状(凹形状)に湾曲され、かつ、ほぼ同一曲率に設定されたピニオンギヤ保持面11Dが別個に形成されている。そして、対向するピニオンギヤ保持面11D同士を接続して形成される円の直径は、ピニオンギヤ13の外径とほぼ等しく設定されている。すなわち互いに対向するピニオンギヤ保持面11Dが、エンドプレート12の半径方向での内周側と外周側とで切り開かれた筒状のピニオンギヤ収容部を形成している。
【0015】
上記のように構成された差動装置は、リングギヤ15の内方にプラネタリキャリヤ11が回転可能に配置され、サンギヤ保持面11C同士の間の空間にサンギヤ14が配置され、対向するピニオンギヤ保持面11D同士の間の空間にピニオンギヤ13がそれぞれ配置される。
【0016】
図2は、上記の差動装置の回転要素であるサンギヤ14、リングギヤ15、ピニオンギヤ13ならびにプラネタリキャリヤ11の相互の組立状態を示しており、サンギヤ14とリングギヤ15とが同心円上に配置され、これらのギヤ14,15の間にプラネタリキャリヤ11における前記ブロック11Aが軸線方向の一端側から挿入されている。そしてこのブロック11Aに形成された収容部すなわちピニオンギヤ保持面11Dによる筒状部分のそれぞれにピニオンギヤ13が挿入されている。この状態で各ピニオンギヤ13は、その収容部の切り開き部分から外側に突出し、その突出部分でサンギヤ14およびリングギヤ15に噛合している。また各ピニオンギヤ13は、これを保持しているピニオンギヤ保持面11Dに接触している。
【0017】
図3は、上記の差動装置をセンターディファレンシャルとして構成した四輪駆動装置のスケルトン図であり、プラネタリキャリヤ11に入力軸(図示しない変速機の出力軸)1が連結されており、これに対してサンギヤ14が、一対のスプロケット3Bおよびサイレントチェーン3Aを介して前輪出力軸12に連結され、さらにリングギヤ15が後輪出力軸4に連結されている。したがって入力軸1のトルクは、ピニオンギヤ13を介してサンギヤ14とリングギヤ15とに伝達されるが、ピニオンギヤ13とサンギヤ14およびリングギヤ15との噛み合い位置の回転中心からの半径(ピッチ円半径)の相違に基づいてトルクが、サンギヤ14とリングギヤ15とに不等配分される。
【0018】
前輪と後輪とに差動回転がない状態では、差動装置の全体が一体となって回転するために、上述した各回転要素の間に相対回転は生じない。これに対して、前輪もしくは後輪の一輪がスリップなどによって空転すると、前輪と後輪とに差動回転が生じる。この前後輪での回転数の差は、ピニオンギヤ13が自転することによって吸収されるが、ピニオンギヤ13は、その保持面11Aに接触しているから、自転することによって摩擦力が発生し、その摩擦力が差動制限力として作用する。例えば図4に示すように、サンギヤ14がリングギヤ15よりも高速で回転する差動状態が生じると、ピニオンギヤ13が図4に単線の矢印で示す方向に自転するが、プラネタリキャリヤ11がピニオンギヤ13を押圧していることによる接触荷重に応じて摩擦力が生じ、ピニオンギヤ13の自転が抑制される。すなわちサンギヤ14とリングギヤ15との差動回転を抑制する方向に差動トルクが生じ、サンギヤ14とリングギヤ15とのピッチ円半径に基づくトルク分配率が摩擦トルクに応じて変更された分配率になる。
【0019】
なお、各ギヤ13,14,15をはす歯歯車とすれば、トルクの伝達に基づいてスラスト力が発生し、各ギヤ13,14,15をエンドプレート12に押し付けることになるので、その接触面で摩擦トルクが発生する。この摩擦トルクも、差動装置の各要素の相対回転を抑制する方向に生じるから、前後輪の差動制限が行われる。
【0020】
したがって上述した図1ないし図4に示す構成の差動装置では、本来の構成要素であるピニオンギヤ13とプラネタリキャリヤ11との間で差動回転に基づく摩擦トルクを生じさせ、その摩擦トルクによって差動制限を行うので、差動制限のための特別な機構を必要としない。そのため付加機構がない分、構成を簡素化し、小型軽量化に有利になる。またトルク分配率は、ギヤ比(サンギヤの歯数とリングギヤの歯数との比)によって自由に設定できるので、センターディファレンシャル以外に左右の車輪の差動装置としても用いることができる。さらにピニオンギヤ13の支持剛性が高くなるので、ギヤの噛み合い精度を良好に維持し、騒音の発生を防止することができる。そしてセンターディファレンシャルとして使用した場合、ピニオンギヤ13がその保持面11Aに接触していてピニオンギヤ13の自転を抑制するように機能するので、差動制限の応答遅れが生じないばかりか、直進安定性を向上させることができる。また左右の車輪の差動装置として用いても差動制限の応答遅れが生じない。
【0021】
なお、この発明はダブルピニオン型の遊星歯車機構として構成することもできる。その例を図5に示してあり、サンギヤ14とリングギヤ15との間には、互いに噛合したピニオンギヤ13a,13bが配置されている。そして外周側のピニオンギヤ13bがリングギヤ15に噛合し、内周側のピニオンギヤ13bがサンギヤ14に噛合している。さらにプラネタリキャリヤ11は円周方向に分割された複数のブロック11Dを備えており、それぞれのブロック11Dの内周には円弧状に湾曲されたサンギヤ保持面11Eが別個に形成されているとともに、それぞれのブロック11Dの円周方向の対向面には円弧状に湾曲されたピニオンギヤ保持面11Fが形成されている。すなわちこれらのピニオンギヤ保持面11Fによってピニオンギヤ13a,13bの収容部が形成されている。
【0022】
そして上記構成のプラネタリキャリヤ11の組み立て状態においては、ピニオンギヤ保持面11Fにピニオンギヤ13a,13bの歯先面が接触している。そして、この差動装置の差動制限力は、ピニオンギヤ13a,13bの歯先面とピニオンギヤ保持面11Fとの摩擦抵抗により発生するため、差動制限力の大きさはピニオンギヤの個数、大きさ、ギヤのヘリカル角度等の変更により適宜調整可能である。このように、図5の実施例においても図1ないし図4の実施例と同様の効果を得られる。
【0023】
さらにこの発明の他の例を図6に基づいて説明する。この図6に示す例は、サンギヤ14およびリングギヤ15に対しても摩擦トルクを生じさせるようカム機構を備えた構成としたものである。すなわちプラネタリキャリヤ11が、半径方向に二分割されカムフォロアーとして機能するインナーピース11Gとアウターピース11Hとを備えているとともに、インナーピース11Gとアウターピース11Hと間に、カムとして機能するくさび状のセンターピース11Jが嵌合されている。
【0024】
そのインナーピース11Gの内周側の面には、円弧状に湾曲されたサンギヤ接触面11Cが形成され、インナーピース11Gとアウターピース11Hとの円周方向の両端部には、円弧状に湾曲されたピニオンギヤ保持面11Dが形成されている。そして、ピニオンギヤ13の歯先面がピニオンギヤ保持面11Dに接触させられている。さらに、インナーピース11Gの外周側の面には、傾斜面11Mが設けられ、かつ、アウターピース11Hの内周側の面には、傾斜面11Nが設けられており、傾斜面11Mと傾斜面11Nとによりくさび状が形成されている。さらにアウターピース11Hの外周面に、リングギヤ15の歯先面に接触するリングギヤ接触面11Zが形成されている。
【0025】
上記センターピース11Jは、前述した例で示したエンドプレートに固定一体化されており、これに対してインナーピース11Gとアウターピース11Hとは、リングギヤ15とサンギヤ14との間に、半径方向に移動可能な状態で配置されている。なお、インナーピース11Gおよびアウターピース11Hとは、ガタ打ち音などを避けるために、エンドプレートに適宜の手段で移動自在に取り付けてもよい。センターピース11Jはほぼ2等辺3角形状に成形されており、その底辺11Kがほぼ半径方向に沿うように配置されている。また、センターピース11Jの他の傾斜面11Lにより、図6の矢印方向である回転方向に向けて先細りとなるくさび状に形成されている。
【0026】
したがって、入力側部分であってカムとして作用するセンターピース11Jの傾斜面11Lが、出力側部分であってカムフォロアーとして作用するインナーピース11Gの傾斜面11Mと、アウターピース11Hの傾斜面11Nとに別個に当接されている。このため、入力軸からセンターピース11Jに対して矢印方向のトルクが加えられると、センターピース11Jがインナーピース11Gおよびアウターピース11Hを図6の矢印方向である接線方向に押圧して図中右側のピニオンギヤ13に押し付る。これと同時に、斜面効果(つまりくさび効果)による半径方向の分力でインナーピース11Gおよびアウターピース11Hを半径方向に押圧し、インナーピース11Gをサンギヤ14の外周面に押し付ける一方、アウターピース11Hをリングギヤ15の内周面に押し付ける。そのため、これらの接触面で摺動摩擦抵抗力が発生し、これが各回転要素の相対回転を規制するように作用し、差動制限が行われる。このように、図6の実施例においても、図1ないし図4に示す実施例と同様の効果を得られる。
【0027】
さらに、センターピース11Jに作用するトルクの方向が逆になった場合には、傾斜面11Lによるくさび効果、つまり、インナーピース11Gがサンギヤ14に押し付けられる作用と、アウターピース11Hがリングギヤ15に押し付けられる作用とが発生しないため、差動制限力を前進時と後退時とで異ならせることが可能となる。また加速時と減速時とでトルクの入力方向が逆になるため、減速時の差動制限力を加速時に比べて小さくし、アンチロックブレーキシステムとの相性を向上させることができる。
【0028】
図7は図6に示す構成の一部を変更したものであり、プラネタリキャリヤ11が、円周方向に二分割されたピース11Pとピース11Qとを備えている。これらのピース11P,11Qは、リングギヤ15の半径方向に対して所定角度傾斜した傾斜面11R,11Sを別個に備えており、ピース11Pが前述した例におけるエンドプレートに固定されている。これに対して他方のピース11Qは、リングギヤ15とサンギヤ14との間に、少なくとも半径方向に移動可能な状態で配置されている。なお、この移動可能なピース11Qのガタ打ち音を防止するために、これをエンドプレートに保持させることは適宜に行えばよい。
【0029】
また、可動ピース11Qの外周面には、リングギヤ15の歯先面に接触するリングギヤ接触面11Zが形成され、また可動ピース11Qの円周方向の端面に、ピニオンギヤ13の歯先面に接触するピニオンギヤ保持面11Dが形成されている。
【0030】
上記構成の差動装置は、入力軸からピース11Pに対して矢印方向(図中時計回り)のトルクが加えられると、ピース11Qが時計回りに押されてそのピニオンギヤ保持面がピニオンギヤ13の歯先面に押し付けられるとともに、傾斜面11Rと傾斜面11Sとの反発力によってピース11Qが外周側に移動させられてピース11Qの外周面がリングギヤ15の歯先面に当接され、その摩擦抵抗により差動制限力が発生する。このように、図7に示す実施例においても、図1ないし図4に示す実施例と同様の効果を得られる。
【0031】
また図7に示す例では、ピース11Pに対して逆方向のトルクが加えられた場合には、ピニオンギヤ13の歯先面とピニオンギヤ保持面11Dとの当接による摩擦抵抗で差動制限力が生じ、リングギヤ15との摩擦抵抗が生じないため、上記の場合とは発生する差動制限力が異なる。すなわちアンチロックブレーキシステムとの相性が良いことは、図6に示す例と同様である。
【0032】
なお、この発明は、上述した各実施例に限定されないのであり、ピニオンギヤの数は、2個もしくは4個以上であってもよく、また差動回転が生じた場合にサンギヤもしくはリングギヤとプラネタリキャリヤとの間で摺動摩擦力を生じさせ、もしくは増大させるカム機構は、上述した傾斜面効果もしくはくさび効果を利用したもの以外に、必要に応じて適宜の構成のものを採用することができ、要は、トルクを半径方向力に変換して回転要素同士の間の接触圧を高くするものであればよい。
【0033】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、プラネタリキャリヤのピニオンギヤ保持面とピニオンギヤの歯先面との摩擦抵抗により差動制限が行われ、そのプラネタリキャリヤが、遊星歯車機構式の差動装置に予め設けられている本来の構成部品であるため、差動制限を行うための格別の部品が不要となり、部品点数や組み立て工数を抑制でき、装置の小型化と製造コストの抑制とを実現できる。
【0034】
さらに請項1に記載された発明によれば、カム機構によってサンギヤもしくはリングギヤとの間の接触圧が増大させられ、差動回転による摺動抵抗がこれらのギヤとの間に生じ、より効果的に差動制限を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一例の差動装置を分解状態で示す斜視図である。
【図2】その差動装置の組立状態での一部を示す概略断面図である。
【図3】その差動装置を四輪駆動装置における差動装置として組み込んだ例のスケルトン図である。
【図4】そのプラネタリキャリヤとピニオンギヤとによる差動制限状態を説明するための模式図である。
【図5】この発明をダブルピニオン型遊星歯車機構に適用した例を示す部分概略断面図である。
【図6】この発明の他の例の要部を示す概略断面図である。
【図7】図6に示す例を更に変形した例を示す要部の概略断面図である。
【符号の説明】
14 サンギヤ
15 リングギヤ
13,13a,13b ピニオンギヤ
11 プラネタリキャリヤ
1 入力軸
4 アクスル軸
11D,11F ピニオンギヤ保持面
11J センターピース
11P ピース
11G インナーピース
11H アウターピース
11Q ピース
11L,11M,11N,11R,11S 傾斜面

Claims (1)

  1. 外歯歯車であるサンギヤと、該サンギヤと同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤと、これらサンギヤとリングギヤとの間に配置されサンギヤとリングギヤとの間でトルクを伝達するピニオンギヤと、そのピニオンギヤを公転および自転可能に保持したプラネタリキャリヤとを備えた差動装置において、
    前記プラネタリキャリヤにその軸線方向に向けた筒状の収容部が形成され、前記ピニオンギヤがその収容部内に回転自在に収容されるとともに、その歯先面を該収容部の内周面に摺接させた状態で保持されていて、かつ、前記プラネタリキャリヤが、円周方向の荷重により半径方向に移動して前記サンギヤもしくはリングギヤの歯先面に摺接するカム機構を備えていることを特徴とする差動装置。
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