JPH09201900A - 積層体 - Google Patents

積層体

Info

Publication number
JPH09201900A
JPH09201900A JP9661996A JP9661996A JPH09201900A JP H09201900 A JPH09201900 A JP H09201900A JP 9661996 A JP9661996 A JP 9661996A JP 9661996 A JP9661996 A JP 9661996A JP H09201900 A JPH09201900 A JP H09201900A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
copper
heat resistance
film
ito
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9661996A
Other languages
English (en)
Inventor
Takehiro Miyashita
武博 宮下
Akira Iwamori
暁 岩森
Masami Gotou
優実 後藤
Shin Fukuda
福田  伸
Nobuhiro Fukuda
信弘 福田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Toatsu Chemicals Inc filed Critical Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority to JP9661996A priority Critical patent/JPH09201900A/ja
Publication of JPH09201900A publication Critical patent/JPH09201900A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)
  • Physical Deposition Of Substances That Are Components Of Semiconductor Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 ポリマー基材1の少なくとも一方の面に
非晶質層2を形成した後、該非晶質層上に金属層3を形
成した積層体。 【効果】 150℃大気下3日の熱処理後においても金
属薄膜とポリマー基材のピール強度が1.0kg/cm
以上であり、回路加工時における金属層の剥離が防止さ
れ、かつ、高温耐久性に優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属薄膜とポリマ
ー基材との密着性の高温耐久性に優れ、かつ、電機、電
子および半導体産業の微細加工に対応した高温耐久性に
優れる回路基板に好適に使用しうる積層体に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】絶縁性ポリマーフィルム上に金属フィル
ムが形成されたフレキシブル回路基板は膜厚約10μm以
上の金属フィルムとポリマーフィルムとを接着剤で接合
したものがあるが、接着剤の熱的特性がポリマーフィル
ムの性能に劣ることや、金属フィルムの膜厚が10μm以
上と厚いために、数10μm以下の微細加工が困難である
等の理由から半導体産業における高密度配線に対応でき
ない、寸法安定性が悪い、製品にそりがある等の問題が
あった。
【0003】これを解決するために、接着剤なしでポリ
イミドフィルム上に金属フィルムを形成する技術が検討
されてきた。これは、真空蒸着、スパッタリング等の薄
膜形成方法により1μm以下の金属薄膜を形成した後、
回路パターンの形成を行うものである。この材料におい
ては金属薄膜の膜厚が1μm以下と薄いため数10μm幅
以下の微細加工も容易である。これは、上記のごとくし
て形成された回路パターンを基にして、電解メッキ等に
よりさらに金属を堆積、成長させることにより、微細加
工された導電体を形成する技術である。
【0004】また、近年は、ポリイミドフィルム上に1
μm以下の金属薄膜を形成した後に、10μm以下の金属
を電解メッキあるいは無電解メッキにより堆積させ、成
長させた後に回路パターンを形成する技術も用いられて
いる。この方法においては、回路パターン形成後のメッ
キ工程での回路パターンの溶解や微細パターンに電流を
流しメッキを行う困難さは生じない。この技術に用いら
れる材料においても金属薄膜の膜厚が10μm以下と薄い
ため数10μm幅以下の微細加工も容易である。
【0005】なお、接着剤なしでポリイミドフィルム上
に金属フィルムを形成する後者の技術は、半導体産業に
おける高密度配線を可能にする技術であるが、回路形成
工程や電解メッキ工程等の後工程において接着性(密着
性)の低下が問題となっていた。特開平02−9899
4号公報には0.01〜5μmのクロム層をスパッタで形成
すること、特開昭62−181488号公報には5〜1
000nmのニッケル層やニッケル−クロム層を蒸着で
形成すること、特開昭62−62551号公報にはクロ
ム層を蒸着で形成すること、特公昭57−18357号
公報にはニッケル、コバルト、ジルコニウム、パラジウ
ム等の金属層をイオンプレーティング法で形成するこ
と、特公昭57−18356号公報にはニッケル、ニッ
ケル含有合金層をインオプレーティング法で形成するこ
とを等の技術がすでに開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の公知の技術は一部成功をおさめているものの、半導体
産業における高密度配線を可能にするための材料として
は、未だ満足される性能のレベルにあるとは言い難く、
実用化の足かせになっていた。すなわち、リソグラフィ
ー技術を用いる回路パターン形成工程や機械的強度向上
のための形成パターン上に金属層を積層する電解メッキ
工程等において金属層がポリイミドフィルムから剥離す
る問題は一部解決されたものの、金属層/ポリイミドフ
ィルムからなるフレキシブル回路基板の、本来の特徴で
ある耐熱性において、充分な性能が達成できなかった。
たとえば、回路のパターニング後の乾燥工程ならびに、
実装後の熱処理等の加熱が繰り返されるような場合には
金属薄膜とポリマー基材の剥離が生じてしまう。具体的
には、空気中で150 ℃程度の温度に24時間保持するだけ
で、金属層とポリイミドフィルムの密着性が著しく低下
するという問題が発生していた。また、従来、特に耐熱
性に優れるとされるクロム層を用いた場合には、エッチ
ング工程においてクロム層がポリイミドフィルム上に残
るために銅のエッチングに一般的に用いる塩化第二鉄を
用いたエッチング液のみでは不十分であり、過マンガン
酸液を用いなければならず工程が増える、また、重金属
を用いるために廃液処理に問題があった。
【0007】本発明者等は密着性低下の原因を鋭意調査
したところ、意外なことに、ポリイミドフィルムを通し
て透過する反応性の気体が密着性に影響を与えているこ
とを見いだした。そこで、銅とポリイミドの間に中間層
として種々の物質を形成し、ポリイミドフィルムを通し
て透過する反応性の気体を銅と遮断することを検討し
た。しかしながら、銅が該中間層中を拡散してポリイミ
ド側に達してしまうという予想されざる現象により、反
応性の気体と銅が遮断できず銅が反応し密着性が低下し
てしまうという意外な問題が生じていることをも見いだ
した。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
重ねたところ、ポリマー基材と導電層である金属薄膜の
間に耐熱性を付与するための中間層として非晶質層を形
成することにより金属層とポリマー基材の密着強度が少
なくとも150 ℃大気下3日、さらには180 ℃大気下3日
での耐熱試験後においても、ピール強度の値が1.0kg/cm
以上に保たれることを見いだし本発明を完成するに至っ
た。
【0009】すなわち、本発明は、以下の技術的事項に
より特定される。 (1) ポリマー基材の少なくとも一方の面に非晶質層
を形成し、該非晶質層上に金属層を形成した積層体、
(2) ポリマー基材と金属層とからなる積層体であっ
て、該積層体は、150 ℃大気下3日の耐熱試験後におい
てもポリマー基材と金属層間のピール強度が1.0kg/cm以
上であることを特徴とする(1)記載の積層体、(3)
ポリマー基材と金属層とからなる積層体であって、該
積層体は、180 ℃大気下3日の耐熱試験後においてもポ
リマー基材と金属層間のピール強度が1.0kg/cm以上であ
ることを特徴とする(1)または(2)記載の積層体、
(4) 非晶質層がインジウムを主体とする酸化物であ
ることを特徴とする(1)〜(3)の何れかに記載の積
層体、(5) 非晶質層がインジウを主体とする酸化物
であり、酸化錫に換算した錫の含有量が5〜50重量%で
あることを特徴とする(1)〜(4)の何れかに記載の
積層体、(6) 非晶質層が高酸素濃度雰囲気における
スパッタリング法により作製されたインジウムと錫を主
体とする酸化物であることを特徴とする(1)〜(5)
の何れかに記載の積層体、(7) 金属層が銅であるこ
とを特徴とする(1)〜(6)の何れかに記載の積層
体、(8) ポリマー基材がポリイミドであることを特
徴とする(1)〜(7)の何れかに記載の積層体、
(9) 回路基板として好適に使用しうるものである
(1)〜(8)の何れかに記載の積層体に関するもので
ある。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明による積層体につい
て具体的な実施の態様について説明する。
【0011】まず、添付図面について説明するに、〔図
1〕は本発明の積層体の一例を示す断面図であり、〔図
2〕は本発明の積層体の他の一例を示す断面図である。
ここで1はポリマー基材、2は非晶質層、3は金属層で
ある。
【0012】本発明に用いることの出来るポリマー基材
としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、
ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポ
リアラミドイミド等のいわゆる耐熱性を有するフィルム
なら何れを用いても良いが、寸法安定性や、強度の面で
特にポリイミドが好ましい。
【0013】かかるポリマー基材の厚さは特に限定され
るものではないが、フレキシブル回路として用いる場合
には、通常、10μm〜125 μmの膜厚のポリマーフィル
ムが用途に応じて適宜選択されて用いられる。
【0014】なお、本発明に用いられるポリイミドとし
ては、特に限定されるものではなく、使用しうるポリイ
ミドとして具体的な例を示すとすれば、カプトンスーパ
ーV、カプトンV、カプトンE、カプトンH、ユーピレ
ックスS、ユーピレックスSGA、アピカルAH、アピ
カルNPI等の商品名として知られる市場で入手できる
ポリイミド基材等を有効に用いることができる。さら
に、ピロメリット酸無水物、ビフタル酸無水物、ベンゾ
フェノンテトラカルボン酸無水物、オキシジフタル酸無
水物、ハイドロフランジフタル酸無水物等の酸無水物
と、メトキシジアミノベンゼン、4,4’−オキシジア
ニリン、3,4’オキシジアニリン、3,3’オキシジ
アニリン、ビスジアニリノメタン、3,3’−ジアミノ
ゼンゾフェノン、p,p−アミノフェノキシベンゼン、
p,m−アミノフェノキシベンゼン、m,p−アミノフ
ェノキシベンゼン、m,m−アミオフェノキシベンゼ
ン、クロル−m−アミノフェノキシベンゼン、p−ピリ
ジンアミノフェノキシベンゼン、m−ピリジンアミノフ
ェノキシベンゼン、p−アミノフェノキシビフェニル、
m−アミノフェノキシビフェニル、p−ビスアミノフェ
ノキシベンジスルホン、m−ビスアミノフェノキシベン
ジスルフォンp−ビスアミノフェノキシベンジルケト
ン、m−ビスアミノフェノキシベンジルケトン、p−ビ
スアミノフェノキシベンジルヘキサフルオロプロパン、
m−ビスアミノフェノキシベンジルヘキサフルオロプロ
パン、m−ビスアミノフェノキシベンジルヘキサフルオ
ロプロパン、p−ビスアミノフェノキシベンジルプロパ
ン、o−ビスアミノフェノキシベンジルプロパン、m−
ビスアミノフェノキシベンジルプロパン、p−ジアミノ
フェノキシベンジルチオエーテル、m−ジアミノフェノ
キシベンジルチオエーテル、インダンジアミン、スピロ
ビジアミン、ジケトンジアミン等のアミンとを反応、イ
ミド化して形成されるポリイミドも本発明に効果的に用
いることができる。
【0015】本発明における積層体の製造方法は、ま
ず、上記のごとくポリマー基材の表面を非晶質層との密
着性を上げるために前処理行うことが好ましい。その方
法は、本積層体の好ましい用途や主な用途が回路基板で
あることを考えると、コロナ放電処理、プラズマ処理、
紫外線照射処理が好ましく、中でもプラズマ処理は合金
層の形成に用いられるスパッタリングと同一装置で行え
る場合が多くもっとも好ましい。とりわけ、酸素を含有
するプラズマによってポリイミド基材を処理した場合に
は、非晶質層とポリイミド基材間の高い密着性が得られ
るので特に好ましいのである。
【0016】プラズマを発生させることは、プラズマ発
生用電極に、直流または交流の電圧を印加することによ
り可能であり、交流の周波数としては、20Hz〜100MHzを
用いることが可能である。特に、商用電力の周波数であ
る50Hzや60Hz、電波法上使用が認められている13.56MHz
が、利用上好ましい周波数である。しかしながら、この
直流も含めたプラズマ発生用周波数の値は、本発明を実
施する上で、何等支障を与えるものではない。
【0017】プラズマを発生させるための電力は、電力
密度換算において、1mW/cm2 〜100W/cm2を用いる。プラ
ズマ発生用電極としては、平行平板型等の電極を用いる
ことができるが、当業者に周知の、DCスパッタ装置、RF
スパッタ装置、DCマグネトロンスパッタ装置、RFマグネ
トロンスパッタ装置においても、基板を設置するスパッ
タターゲットの対向電極側、すなわち基板ホルダー側
を、カソードあるいはアノードとすることによっても、
容易にプラズマ処理は可能である。
【0018】酸素を含有するプラズマを発生させるに
は、プラズマを発生させるのに用いるガスとして、酸
素、酸素と他のガスとの混合ガス、あるいは分子内に酸
素を含有するガスを選択することにより可能である。酸
素との混合に用いられるガスとしては三フッ化窒素、四
フッ化炭素等のエッチング用ガスが挙げられる。これら
のガスの酸素との混合割合は特に限定されるものではな
く、1〜99%の割合で可能である。また、酸素を含有す
るガスとしては亜酸化窒素、一酸化炭素、二酸化炭素な
どが上げられる。
【0019】プラズマ処理時の圧力は特に限定されるも
のではないが、具体的には、大気圧〜1×10-5Torrの範
囲である。プラズマ処理時間については、プラズマ処理
時の電力密度、圧力、プラズマ処理を行う装置の形状、
機能により異なるので、表面粗さが5〜100nmとなるよ
うに適宜考慮して決定する。例えば、工業的な生産設備
に用いられるロールツーロール式のスパッタ装置におい
ては、フィルムの送り速度、プラズマ処理の後の工程で
行う金属薄膜の成膜膜厚、成膜速度等を考慮して適宜選
択する。
【0020】プラズマ処理後のポリイミドフィルムの表
面粗さがあまり小さい場合、例えば5nmより小さい場合
には、充分なピール強度の値が得られず、また、表面粗
さがあまり大なる場合、例えば100nmより大きい場合に
は、基材の凹凸が回路形成時の障害となる。表面粗さが
10nmから70nmにおいては一層効果的であり、高いピール
強度の値が得られる。
【0021】本発明における表面粗さとは、たとえば、
2乗平均粗さである。表面粗さの測定は、セイコー電子
工業製の原子間力顕微鏡(AFM)SFA300を用い
て、走査範囲2μ□、5μm□、10μm□あるいは20μ
m□を表面粗さに応じて適宜選択して、256 ライン、25
6 ピクセルの分解能で測定を行うものである。
【0022】本発明においては耐熱性を付与する目的で
中間層として非晶質層を用いる。ここで、非晶質層と
は、X線回折法において、結晶質特有の回折線が実質的
に測定されない材料を云う。
【0023】本発明において、ポリマー基材と金属層の
中間層として非晶質材料を用いることによる、ピール強
度の高温時の劣化が防止される理由は定かではないが、
以下のようなことが推定される。
【0024】耐熱性の低下の原因として、本発明者らが
推定しているように、耐熱性を付与するために用いる中
間層中を、銅が拡散してポリイミドに達し、これが酸化
することを挙げた。しかして、固体中を元素が拡散する
現象は、粒界中を拡散する粒界拡散と、結晶粒中等を拡
散する体積拡散に分けられ、粒界拡散における拡散係数
の値は、体積拡散の値に比べて数桁大きいとされてい
る。一般に、蒸着やスパッタ法などの手法により薄膜材
料を形成する場合、結晶が生じ難く、また、結晶が生じ
た場合にも多くの欠陥ならびに粒界が存在する為、これ
らの粒界や欠陥を通して他の元素が高速で拡散すること
が推定される。かかる現象を防止するためには、粒界の
存在しない、あるいは、粒界の少ない材料が耐熱性を付
与する中間層として用いるに好適な材料であると推定さ
れるが、このような材料は非晶質材料であるか、あるい
は、結晶性の優れた材料である。本発明における耐熱性
を付与するために用いる中間層は薄膜であることが好ま
しいため、結晶性に優れた材料を作製することは非常に
困難である。本発明においては、熱的に安定な非晶質材
料を耐熱性を付与するための中間層として形成せしめる
ことにより、粒界が存在しないため、あるいは、粒界が
少ないため銅の拡散が防止、あるいは、抑制されて、ピ
ール強度の高温時の劣化が防止されると推定される。
【0025】耐熱性を付与する目的で用いられる中間層
たる非晶質層としては、特に限定されるものではない
が、塩化第二鉄溶液でのエッチング工程を考慮した場
合、インジウムを主体とする酸化物が用いるに好ましい
非晶質材料である。本発明におけるインジウムを主体と
する酸化物とは、酸化インジウムを50wt%以上含有する
酸化物である。具体的には、酸化インジウムおよびITO
(Indium Tin Oxide) として知られるインジウムと錫を
主体とする酸化物は、エッチング可能な材料であり好適
な材料である。金属層側からポリイミド基材側への銅の
拡散を防止し、150 ℃大気下3日の耐熱試験におけるピ
ール強度の低下を防止する目的のためには、基本的には
酸化インジウムで充分である。しかしながら、本積層体
は、その主たる用途が回路用基材として用いるのもので
あるため、塩化第二鉄溶液を用いて回路パターンを作製
する際の条件如何によってはアンダーカットや回路パタ
ーンのポリマーフィルム基材からの剥離の防止などを目
的としてエッチングに対する耐性が要求される場合があ
る。このような場合においては、非晶質材料をITO 等と
することにより、錫の含有量を増加させてエッチングに
対する耐性を向上させることができる。すなわち、ITO
におけるインジウムと錫の比率は任意に選択可能であ
り、具体的には、酸化錫に換算した錫の含有量は0〜50
wt%の範囲で適宜選択可能である。
【0026】さらに、ITO は、酸化インジウムのみを用
いた場合には高いピール強度を得ることが困難であるユ
ーピレックス(商標)にも、1kg/cm以上のピール強度で
容易に密着可能であるとともに優れた耐熱性を示すこと
を見いだした。ITO を用いた場合にこのように密着性が
向上する理由は定かではないが、錫あるいは酸化錫がポ
リイミドに対する高い密着性を有するためと推定され
る。密着性の向上効果を発現させるのに必要とされる錫
の含有量は酸化錫に換算して、高々、5重量%であり、
酸化錫含有量5〜50wt%、好ましくは10〜50wt%の範囲
において金属層のポリイミドに対する高い密着性が実現
可能である。
【0027】さらに、インジウムを主体とする酸化物の
耐熱性を損なわない程度に、他の元素や酸化物を添加す
ることは本発明を何等妨げるものではない。具体的に
は、炭素、窒素、亜鉛、珪素、アルミニウム、クロム、
マンガン、モリブデン、チタン、鉄、コバルト、ニッケ
ル、バナジウム、ビスマス、ガリウム、ゲルマニウム、
燐、ホウ素等の元素あるいはこれらの酸化物をインジウ
ム酸化物および酸化錫に換算したインジウムと錫の合計
量の重量を100とした場合に対して0〜10重量%程
度を添加することは本発明による耐熱性を何等妨げるも
のではない。クロム、マンガン等の重金属あるいはこれ
らの酸化物を添加することは環境上の観点からは好まし
くない。また、クロムを添加した場合には、塩化第二鉄
液を用いたエッチング時に問題が生ずる。
【0028】また、本発明に用いられるインジウムを主
体とする酸化物は非晶質であるので、必ずしも化学量論
から推定される酸素を含有するものではないことは、当
業者が容易に類推するところである。
【0029】インジウムを主体とする酸化物が非晶質で
あることを確認する手段としては、X線として波長λ=
1.5405AのCuK α1線を用いたθ−2θ法によるX線回
折パターンにおいて、結晶性であることを示す2θ=30
゜〜31゜のIn2O3 あるいはSnが固溶したIn2O3(222)ピー
クや2θ=35゜〜36゜のIn2O3 あるいはSnが固溶したIn
2O3(400)ピークや2θ=50゜〜51゜のIn2O3 あるいはSn
が固溶したIn2O3(440)ピークを示さないことを確認する
方法が挙げられる。〔図3〕に非晶質のインジウムを主
体とする酸化物および結晶質のもののパターンの一例を
示す。非晶質のものでは、結晶質のものに認められるIn
2O3 あるいはSnが固溶したIn2O3(222)のピークが実質的
に認められない。
【0030】本発明においては、耐熱性を付与するため
に、中間層である非晶質層を用いるが、かかる耐熱性を
付与するために用いられる中間層である非晶質層の形成
方法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法、
スパッタリング法、CVD法、イオンクラスタービーム
法等乾式の形成方法を好適に利用することができる。ポ
リマー基材と非晶質層との密着性および製造プロセスを
考えた場合、成膜前にポリマー基材をプラズマ処理など
による前処理を行った方が好ましいこと等からスパッタ
による成膜方法が用いるに好ましい方法である。スパッ
タリングの方法については、特に限定される条件はな
い。形成すべき薄膜に対応させて適宜ターゲットならび
に導入ガスなどを選択して用いることは当業者の理解す
るところである。なお、非晶質層を形成する条件として
は、酸素濃度を考慮しつつ、形成温度と印加パワーを主
要な因子とし、それが結晶化しない範囲の値を実験的に
容易に形成することができる。
【0031】例えば、非晶質層として酸化インジウムや
ITO を成膜する場合には、酸化インジウムあるいはITO
焼結体ターゲット、導入ガスとしてアルゴンを用いるこ
とによるスパッタ成膜、酸化インジウムあるいはITO 焼
結体ターゲット、錫、インジウム、インジウム−錫合金
ターゲットを用い、導入ガスとしてアルゴンと酸素の混
合ガスを用いることによる反応性スパッタ、さらにはこ
れらのターゲットや導入ガスを用いての2源スパッタ等
により該非晶質酸化物が形成できることは、当業者が容
易に理解するところである。
【0032】また、導入ガスとしては、アルゴンガスの
代わりに、ヘリウム、ネオン、キセノン、クリプトン等
の希ガス、あるいはこれらの希ガスの何れか二種類以上
の混合ガスを用いることが可能であることは、当業者が
容易に理解することろである。
【0033】スパッタリングの方法についても限定され
る条件はなく、DCスパッタ法、DCマグネトロンスパ
ッタ法、RFスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ
法、イオンビームスパッタ法等の方法が有効に用いられ
る。
【0034】また、非晶質層として安定な非晶質構造を
有するITO を用いた場合には、更に優れた耐熱性が得ら
れる。安定な非晶質構造を有するITO を用いた場合に
は、150 ℃大気下3日の耐熱試験後はもちろん、180 ℃
大気下3日の耐熱試験後においても、金属層とポリマー
基材が1kg/cm以上密着性を保たれるような耐熱性を有す
る積層体が得られることを見出した。
【0035】すなわち、基材であるポリマー上に、非晶
質層として、高酸素濃度雰囲気におけるスパッタリング
法により作製されたインジウムと錫を主体とする酸化物
で、好ましくは、比抵抗1×10-2Ωcm以上の膜を形成し
た後に金属層である銅層を形成することにより、アニー
ル工程を経ずして180 ℃大気下3日の耐熱試験後におい
ても金属層とポリマー基材が1kg/cm以上の密着性を保つ
様な耐熱性を有する積層体が得られることを見出した。
【0036】ITO は、一般に、透明な導電性薄膜とし
て、ガラスやポリマーフィルムなどの透明でかつ絶縁性
の材料に透明性を失うことなく導電性を付与する目的で
用いられるものである。従って、透明性を保ちながら高
い導電性、すなわち、低い比抵抗が得られる作製条件が
好適な作製条件として一般的に用いられている。
【0037】ITO の比抵抗は酸素濃度により変化する。
例えば、DCマグネトロンスパッタリング法にて、原料
にITO 焼結体(In2O3:SnO2=80:20重量%) を使用し、ア
ルゴンおよび酸素の全圧を2mtorrとした場合の、ITO 薄
膜の比抵抗と酸素濃度の関係を〔図4〕に示す。下に凸
のグラフであり、比抵抗が最も低くなる酸素濃度の最適
値があることが分かる。従来の技術においては、この、
比抵抗が最も低くなる酸素濃度の条件が好ましい条件と
して用いられてきた。従来の電気抵抗が最小、すなわ
ち、比抵抗が最小となるアルゴン−酸素分圧比におい
て、180℃以下、特に、室温において成膜し形成さ
れ、後処理を施さないITO 膜は、結晶性の物質の様な粒
界は含まないものの、酸素欠陥等の構造欠陥を含む非晶
質であることを我々は見いだした。機械的強度や、銅の
拡散を防止する効果について更に高い特性を得ようとし
た場合には、更に、欠陥の少ない膜を用いる必要があ
る。逆に、上記条件を満たしたITO 膜をポリマー基板上
に形成したならば、優れた機械的強度および銅の拡散防
止効果が得られると考えられる。
【0038】我々は、かかる観点から鋭意検討した結
果、このような条件を満たすITO 膜を得るには、スパッ
タリング法において、意外なことに高酸素濃度雰囲気
下、すなわち、スパッタガスであるアルゴン−酸素の分
圧比を比抵抗が最小となるアルゴン−酸素比よりも酸素
を多くした条件で、好ましくは、比抵抗が1×10-2Ωcm
以上のITO 膜を形成すれば良いことを見いだしたのであ
る。すなわち、驚くべきことに酸素分圧を比抵抗を最小
とする値よりも多くすることにより酸素欠陥等の構造欠
陥のより少ない安定な非晶質のITO 膜が得られるのであ
る。また、ITO 中の錫の含有量が酸化錫に換算して5重
量%より小さいと結晶化を生じやすいので、酸化錫に換
算した錫の含有量は、好ましくは5重量%から50重量
%、更に好ましくは10重量%から50重量%、更に好まし
くは20重量%から50重量%の範囲である。
【0039】本発明においての非晶質膜の機能はおそら
く銅の拡散防止効果であると推定されるので、非晶質膜
の比抵抗は特に問題ではない。高い周波数の電流を金属
層に流す場合には非晶質層の導電率も導電性に影響する
ことも考えられるが、このような場合にはITO を成膜し
た後にアニールを行うことにより容易に低抵抗化が可能
であることも我々は見いだした。
【0040】ITO 膜の電気伝導を担うキャリア電子は、
酸素欠陥よって生成されるものと錫により生成されるも
のとがあるが、酸素分圧の高い条件で形成した酸素欠陥
の少ないITO 膜は電子密度が低く、そのためにITO 膜の
比抵抗は1×10-2Ωcm以上と大きくなってしまう。電気
抵抗の値を下げるためには、電子密度の低いITO 膜に加
熱処理を施すことによって電子密度を増加させ、比抵抗
を1×10-2Ωcmより小さくすることができる。
【0041】かかる熱処理の温度は、ITO 膜の電子密度
を増加させることができ、かつ電子移動度を低下させず
非晶質構造を保つ範囲であればよく、好ましくは常温か
ら250 ℃以下の温度、更に好ましくは80℃以上180 ℃以
下であり、熱処理雰囲気については大気または窒素雰囲
気、あるいは、真空中で行えば良い。
【0042】以下に、安定な非晶質構造を有するITO 膜
の作製方法を示す。スパッタリング法においては、ター
ゲットをインジウム−錫合金、あるいはインジウム−錫
酸化物とし、スパッタガスにアルゴンなどの不活性ガス
を用いて、反応性ガスに酸素を用い、圧力を0.1 〜10mT
orr 、成膜中の基材ポリマーの温度を常温〜250 ℃の条
件下で、直流あるいは高周波マグネトロンスパッタなど
の方法を用いて作製可能である。安定な非晶質構造を有
するためには、比抵抗1×10 -2Ωcm以上の非晶質ITO 膜
が得られるように、反応性ガスである酸素の分圧を制御
することが好ましい。そのためには上記したように、ス
パッタガスにアルゴン、反応性ガスに酸素を用いた場
合、ITO 膜の比抵抗が最低となるアルゴン−酸素分圧比
よりも酸素の分圧を高くする必要がある。その値は、タ
ーゲットの組成や密度、更には成膜速度により異なり、
実験的に求められるが、一般的にターゲットをインジウ
ム−錫合金とした場合、酸素分圧はスパッタ時の全圧に
対して40〜80%、ターゲットにITO を用いた場合には、
3〜40%である。ITO 膜を成膜後に加熱処理を行うこと
は、結晶化を生じない範囲においては本発明を妨げな
い。
【0043】また、酸化錫の含有量を増加させること
は、ITO 成膜時の酸素分圧を増加させることと同様に、
非晶質層を安定化させる効果を有するので、好ましいこ
とである。
【0044】本発明において、安定な非晶質構造を有す
るITO を用いることによって更に耐熱性が向上する理由
は定かではないが、加熱に伴う結晶化を生じないので構
造変化とともに生ずる銅の拡散が起こりにくいことや、
非晶質構造による構造柔軟性や、欠陥が少ないことによ
る機械的強度の向上により、ポリイミドの熱膨張、収縮
が生じた場合にも、非晶質層の破壊が生じにくいことが
考えられる。
【0045】非晶質層の膜厚は特に限定されるものでは
ないが、好ましくは、5nm〜200nmの範囲が好ましい。
非晶質層の膜厚が5nmよりもあまり小さい場合には、十
分な耐熱性の効果が得られず、また、200nmよりも膜厚
をずっと大きくしたとしても、5nm〜200nmの範囲で非
晶質層を形成した場合に比べて著しい耐熱性の向上が得
られないばかりではなく、更には、資源の有効利用とい
う観点からも好ましいことではない。
【0046】なお、非晶質層をポリマー基材上に形成し
た後等に、密着強度や導電性を向上させる目的で熱処理
を行うことは、結晶化を生じない範囲においては本発明
を何等妨げるものではなくむしろ好ましいことであり、
目的に応じて適宜条件を選択して実施することは可能で
ある。
【0047】非晶質層は、〔図1〕に示すごとくポリマ
ー基材の片面に形成してもよいし、〔図2〕に示すごと
く、両面に形成してもよい。後者の場合は、金属層も両
面に形成されることになる。
【0048】本発明においては、上記のごとく、非晶質
層の上に金属層が形成される。金属層として用いる材料
は特に限定されるものではないが、本発明における金属
層は回路用基材の主たる導電層として用いられることは
明らかであるので、導電性に優れる材料が好ましい。特
に、銅(または銅を主体とする材料)は導電率が高く、
広く導電体として用いられており、好適な材料であるこ
とは当業者が容易に理解するところである。
【0049】金属層の形成方法は特に限定されるもので
はない。真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッ
タリング法、CVD法、イオンクラスタービーム法等乾
式の形成方法を好適に利用することができるが、金属層
と非晶質層との密着性および製造プロセスを考えた場合
等からスパッタによる成膜方法が用いるに好ましい方法
である。スパッタリングの方法については、特に限定さ
れる条件はない。形成すべき薄膜に対応させて適宜ター
ゲットを選択して用いることは当業者の理解するところ
である。スパッタリングの方法にも限定される条件はな
く、DCスパッタ法、DCマグネトロンスパッタ法、R
Fスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法、イオンビ
ームスパッタ法等の方法が有効に用いられる。ターゲッ
トとしては、たとえば、4Nの純度を有する銅ターゲッ
トを好適に用いることができる。7N以上の純度を有す
る銅ターゲットを用いた場合にはコスト上の問題が生ず
る可能性がある。
【0050】スパッタリング時の導入ガスとしては、ヘ
リウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等の
希ガスを単独で、あるいは、二種類以上の混合ガスとし
て用いることができるが、特に、アルゴンがスパッタ成
膜に好適であることは当業者が容易に理解可能である。
また、金属の酸化を防止する目的などで、これらの導入
ガスに対して水素で代表される還元性のガスを添加する
ことは本発明の実施を何ら妨げるものではない。還元性
のガスの濃度は、0〜50モル%の範囲で添加可能であ
り、好ましくは0〜30モル%、更に好ましくは、0〜10
モル%の範囲を好適に用いることができる。
【0051】また、金属層の膜厚がたとえば1μmを越
える様な場合には、スパッタ法等による乾式成膜時に銅
薄膜中に応力が生じる可能性等やコスト上の問題が生ず
るために、銅をスパッタ法によりたとえば50nm〜300nm
形成した後に、電解めっきにより銅の厚膜化を行うこと
が好適であることは、当業者が容易に理解するところで
ある。
【0052】また、本発明における金属層の膜厚は特に
限定されるものではないが、本発明による積層体は主に
回路用基材として用いることを目的としていること、ま
た、さらには電気、電子および半導体分野の微細加工、
具体的には数十μmの間隔に金属層を加工することを可
能とするためには、厚膜化した後の金属層の膜厚は、50
μm以下、好ましくは20μm〜10μm以下であることが
好ましいことは当業者が容易に理解するところであろ
う。
【0053】銅の電解めっきの条件は特に限定されるも
のではないが、硫酸銅の硫酸酸性溶液を用い目的に応じ
て適宜添加剤を加えて電解を行うことは当業者が容易に
理解するところである。
【0054】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。 (実施例1)ポリイミドフィルムとして膜厚が50μmの
アピカルAH(鐘淵化学工業( 株 )社製)を用い、片面の
みに非晶質酸化インジウムおよび銅の形成を行った。プ
ラズマ処理、非晶質酸化インジウムの成膜および銅の成
膜はバッチ式の3種類のターゲットが取り付け可能なR
F、DCマグネトロンスパッタ装置を用いて行った。ター
ゲットとして、銅(4N)、酸化インジウム(4N)の二種類を
用いた。ターゲットの直径は、それぞれ、10cmφであ
る。
【0055】当該ポリイミドフィルムを、スパッタ装置
内の基板ホルダーに設置し、1×10 -5torr以下の圧力ま
で真空排気を行った。酸素をマスフローコントローラー
を用いて10sccmでチャンバー内に導入し、圧力を1.5 ×
10-2torr、RF電力密度0.6W/cm2で基板ホルダーをカソー
ドとしてプラズマ処理を20分間行った。なお、あらかじ
めプラズマ処理を行ったポリイミドフィルムを取り出し
表面粗さの測定を行ったところ、39nmであった。プラズ
マ処理後に酸素のチャンバー内への導入を停止し1×10
-5torr以下の圧力まで真空排気を行った。アルゴンガス
を17sccm、酸素を0.3sccm でチャンバー内に導入し、酸
素分圧を2×10-5torr、全圧を2×10-3torrとして、DC
電力密度0.6W/cm2で酸化インジウムターゲット電極をカ
ソードとして酸化インジウムの成膜を13分間行い、プラ
ズマ処理を行った当該ポリイミドフィルム上に膜厚70nm
の非晶質酸化インジウム薄膜を形成した。なお、同一条
件で作製した酸化インジウム膜についてX線回折法によ
り結晶性を評価したところ、結晶に特有の回折線は認め
られなかった。アルゴンおよび酸素のチャンバー内への
導入を停止し1×10-5torr以下の圧力まで真空排気を行
った。次いで、アルゴンを10sccmでチャンバー内へ導入
を行い、銅ターゲット電極をカソードとして、DC電力密
度1.0W/cm2で20分間成膜を行い、銅薄膜を250nm成膜し
た。Arガスの導入を停止し、真空引きを行った後に、ア
ピカルAH/酸化インジウム/銅構成の該積層体を真空チ
ャンバーから取り出した。次に、当該銅薄膜の上に銅の
電解メッキを施すことにより回路用の銅膜の厚みを35μ
mとした。
【0056】このようにして作製された積層体について
エッチングにより2mm 幅にパターニング後、90度ピール
強度を測定した。ピール強度は1.3kg/cmの値を示し、銅
のポリイミドに対する高い密着性が示された。また、15
0 ℃大気下で3日間耐熱性試験を行ったところ、ピール
強度は 1.1kg/cm の値を示し、このように、優れた耐熱
性が示された。180 ℃大気下3日の耐熱試験において
は、0.7kg/cmへとピール強度が低下した。
【0057】また、150 ℃大気下で3日間耐熱試験を実
施した試料について、剥離した金属薄膜の剥離界面をオ
ージェ電子分光法により分析した。剥離界面には銅は検
出されず、非晶質酸化インジウム層が銅に対する優れた
拡散防止層となっているのではないかと推定される。18
0 ℃大気下で3日間耐熱試験を実施した試料について
は、痕跡程度の銅が検出された。
【0058】(実施例2)ポリイミドフィルムとして膜
厚が50μmのアピカルAH(鐘淵化学工業( 株 )社製)を
用い、片面のみに非晶質ITO および銅の形成を行った。
プラズマ処理、非晶質ITO の成膜および銅の成膜はバッ
チ式の3種類のターゲットが取り付け可能なRF、DCマグ
ネトロンスパッタ装置を用いて行った。ターゲットとし
て、銅(4N)、ITO(酸化錫5重量% 4N)の二種類を用い
た。ターゲットの直径は、それぞれ、10cmφである。
【0059】当該ポリイミドフィルムを、スパッタ装置
内の基板ホルダーに設置し、1×10 -5torr以下の圧力ま
で真空排気を行った。酸素をマスフローコントローラー
を用いて10sccmでチャンバー内に導入し、圧力を1.5 ×
10-2torr、RF電力密度0.6W/cm2で基板ホルダーをカソー
ドとしてプラズマ処理を20分間行った。なお、あらかじ
めプラズマ処理を行ったポリイミドフィルムを取り出し
表面粗さの測定を行ったところ、39nmであった。プラズ
マ処理後に酸素のチャンバー内への導入を停止し1×10
-5torr以下の圧力まで真空排気を行った。アルゴンガス
を20sccm、酸素を0.3sccm でチャンバー内に導入し、酸
素分圧を2×10-5torr、全圧を2×10-3torrとして、DC
電力密度0.6W/cm2でITO ターゲット電極をカソードとし
てITO の成膜を8分間行い、プラズマ処理を行った当該
ポリイミドフィルム上に膜厚40nmの非晶質ITO 薄膜を形
成した。なお、同一条件で作製したITO 膜についてX線
回折法により結晶性を評価したところ、結晶に特有の回
折線は認められないことを確認した。アルゴンおよび酸
素のチャンバー内への導入を停止し1×10-5torr以下の
圧力まで真空排気を行った。次いで、アルゴンを10sccm
でチャンバー内へ導入を行い、銅ターゲット電極をカソ
ードとして、DC電力密度1.0W/cm2で20分間成膜を行い、
銅薄膜を250nm成膜した。Arガスの導入を停止し、真空
引きを行った後に、アピカルAH/非晶質ITO/銅構成の該
積層体を真空チャンバーから取り出した。次に、当該銅
薄膜の上に銅の電解メッキを施すことにより回路用の銅
膜の厚みを35μmとした。
【0060】このようにして作製された積層体について
エッチングにより2mm 幅にパターニング後、90度ピール
強度を測定した。ピール強度は1.2kg/cmの値を示し、銅
のポリイミドに対する高い密着性が示された。また、15
0 ℃大気下で3日間耐熱性試験を行ったところ、ピール
強度は 1.1kg/cm の値を示し、このように、優れた耐熱
性が示された。180 ℃大気下3日の耐熱試験において
は、0.7kg/cmへとピール強度が低下した。
【0061】また、150 ℃大気下で3日間耐熱試験を実
施した試料について、剥離した金属薄膜の剥離界面をオ
ージェ電子分光法により分析した。剥離界面には銅は検
出されず、非晶質ITO 層が銅に対する優れた拡散防止層
となっているのではないかと推定される。180 ℃大気下
で3日間耐熱試験を実施した試料については、痕跡程度
の銅が検出された。
【0062】(実施例3)用いるITO ターゲットをITO
(酸化錫10重量% 4N)とした以外は、実施例2と同一条
件で作製を行い非晶質層をITO(酸化錫10重量%)40nmと
した該積層体を作製した。なお、ITO については同一条
件で作製し非晶質構造であることを予めX線回折により
確認しておいた。
【0063】このようにして作製された積層体について
エッチングにより2mm 幅にパターニング後、90度ピール
強度を測定した。ピール強度は1.5kg/cmの値を示した後
に基材フィルムが破け、銅のポリイミドに対する高い密
着性が示された。また、150℃大気下で3日間耐熱性試
験を行ったところ、ピール強度は 1.2kg/cm の値を示
し、このように、優れた耐熱性が示された。しかしなが
ら、180 ℃大気下で3日間耐熱試験を行った後では0.80
kg/cm へと低下した。
【0064】また、150 ℃大気下で3日間耐熱試験を実
施した試料について、剥離した金属薄膜の剥離界面をオ
ージェ電子分光法により分析した。剥離界面には銅は検
出されず、非晶質ITO 層が銅に対する優れた拡散防止層
となっていることが確認された。180 ℃大気下で3日間
耐熱試験を実施した試料については、痕跡程度の銅が確
認された。
【0065】(実施例4)用いるITO ターゲットをITO
(酸化錫10重量% 4N)とし、酸素流量を2.5sccm として
酸素分圧を1.6 ×10-4torr(8%)とした以外は、実施例2
と同一条件で作製を行い非晶質層をITO(酸化錫10重量
%)40nmとした該積層体を作製した。なお、ITO の比抵
抗が最小となる条件は酸素分圧4×10-5torr(2%)である
ので、本実施例の高酸素条件において作製されたITO は
安定な非晶質構造を有するITO である。なお、ITO につ
いては同一条件で作製し、成膜直後、150 ℃大気下加熱
72時間後、180 ℃大気下加熱72時間後それぞれにおい
て、X線的に非晶質であることを予め確認しておいた。
【0066】このようにして作製された積層体について
エッチングにより2mm 幅にパターニング後、90度ピール
強度を測定した。ピール強度は1.6kg/cmの値を示した後
に基材フィルムが破け、銅のポリイミドに対する高い密
着性が示された。また、150℃大気下で3日間耐熱性試
験を行ったところ、ピール強度は1.2kg/cmの値を示し、
このように、優れた耐熱性が示された。また、180 ℃大
気下で3日間耐熱試験を行った後でも1.1kg/cmの耐熱性
が示され、優れた耐熱性が示された。
【0067】また、150℃大気下で3日間耐熱試験を実
施した試料について、剥離した金属薄膜の剥離界面をオ
ージェ電子分光法により分析した。剥離界面には銅は検
出されず、非晶質ITO 層が銅に対する優れた拡散防止層
となっているのではないかと推定される。また、180 ℃
大気下で3日間耐熱試験を実施した試料についても同様
にして調べたが、銅は検出されなかった。
【0068】(実施例5)用いるITO ターゲットをITO
(酸化錫20重量% 4N)とし、酸素流量を1.6 ×10-4torr
(8%)とした以外は、実施例2と同一条件で作製を行い非
晶質層をITO(酸化錫20重量%)40nmとした該積層体を作
製した。なお、ITO の比抵抗が最小となる条件は酸素分
圧4×10-5torr(2%)であるので、本実施例の高酸素濃度
条件において作製されたITO は安定な非晶質構造を有す
るITO である。なお、ITO については同一条件で作製
し、成膜直後、150 ℃大気下加熱72時間後、180 ℃大気
下加熱72時間後それぞれにおいて、X線的に非晶質であ
ることを予め確認しておいた。
【0069】このようにして作製された積層体について
エッチングにより2mm 幅にパターニング後、90度ピール
強度を測定した。ピール強度は1.5kg/cmの値を示した後
に基材フィルムが破け、銅のポリイミドに対する高い密
着性が示された。また、150℃大気下で3日間耐熱性試
験を行ったところ、ピール強度は 1.2kg/cm の値を示
し、このように、優れた耐熱性が示された。また、180
℃大気下で3日間耐熱試験を行った後でも1.1kg/cmの耐
熱性が示され、優れた耐熱性が示された。
【0070】また、150 ℃大気下で3日間耐熱試験を実
施した試料について、剥離した金属薄膜の剥離界面をオ
ージェ電子分光法により分析した。剥離界面には銅は検
出されず、非晶質ITO 層が銅に対する優れた拡散防止層
となっているのではないかと推定される。また、180 ℃
大気下で3日間耐熱試験を実施した試料についても同様
にして調べたが、銅は検出されなかった。
【0071】(実施例6)ポリイミド基材を厚さ50μm
のアピカルNPI(鐘淵化学製)としたこと以外は実施
例5と同様にして試料の作製を行った。このようにして
作製された積層体についてエッチングにより2mm 幅にパ
ターニング後、90度ピール強度を測定した。ピール強度
は1.4kg/cmの値を示した後に基材フィルムが破け、銅の
ポリイミドに対する高い密着性が示された。また、150
℃大気下で3日間耐熱性試験を行ったところ、ピール強
度は 1.1kg/cm の値を示し、このように、優れた耐熱性
が示された。また、180 ℃大気下で3日間耐熱試験を行
った後でも1.05kg/cm の耐熱性が示され、優れた耐熱性
が示された。
【0072】また、150 ℃大気下で3日間耐熱試験を実
施した試料について、剥離した金属薄膜の剥離界面をオ
ージェ電子分光法により分析した。剥離界面には銅は検
出されず、非晶質ITO 層が銅に対する優れた拡散防止層
となっているのではないかと推定される。また、180 ℃
大気下で3日間耐熱試験を実施した試料についても同様
にして調べたが、銅は検出されなかった。
【0073】(実施例7)ポリイミド基材を厚さ50μm
のカプトンV(東レデュポン製)とした以外は実施例5
と同様にして試料の作製を行った。このようにして作製
された積層体についてエッチングにより2mm 幅にパター
ニング後、90度ピール強度を測定した。ピール強度は1.
6kg/cmの値を示した後に基材フィルムが破け、銅のポリ
イミドに対する高い密着性が示された。また、150℃大
気下で3日間耐熱性試験を行ったところ、ピール強度は
1.2kg/cm の値を示し、このように、優れた耐熱性が示
された。また、180 ℃大気下で3日間耐熱試験を行った
後でも1.0kg/cmの耐熱性が示され、優れた耐熱性が示さ
れた。
【0074】また、150 ℃大気下で3日間耐熱試験を実
施した試料について、剥離した金属薄膜の剥離界面をオ
ージェ電子分光法により分析した。剥離界面には銅は検
出されず、非晶質ITO 層が銅に対する優れた拡散防止層
となっているのではないかと推定される。また、180 ℃
大気下で3日間耐熱試験を実施した試料についても同様
にして調べたが、銅は検出されなかった。
【0075】(実施例8)ポリイミド基材を厚さ50μm
のユーピレックスS(宇部興産製) としたこと以外は実施
例5と同様にして試料の作製を行った。このようにして
作製された積層体についてエッチングにより2mm 幅にパ
ターニング後、90度ピール強度を測定した。ピール強度
は1.2kg/cmの値を示し、銅のポリイミドに対する高い密
着性が示された。また、150 ℃大気下で3日間耐熱性試
験を行ったところ、ピール強度は 1.1kg/cm の値を示
し、このように、優れた耐熱性が示された。また、180
℃大気下で3日間耐熱試験を行った後でも1.0kg/cmの耐
熱性が示され、優れた耐熱性が示された。
【0076】また、150 ℃大気下で3日間耐熱試験を実
施した試料について、剥離した金属薄膜の剥離界面をオ
ージェ電子分光法により分析した。剥離界面には銅は検
出されず、非晶質ITO 層が銅に対する優れた拡散防止層
となっているのではないかと推定される。また、180 ℃
大気下で3日間耐熱試験を実施した試料についても同様
にして調べたが、銅は検出されなかった。
【0077】(実施例9)ポリイミド基材を厚さ50μm
のユーピレックスS(宇部興産製) としたこと以外は実施
例2と同様にして試料の作製を行った。このようにして
作製された積層体についてエッチングにより2mm 幅にパ
ターニング後、90度ピール強度を測定した。ピール強度
は1.2kg/cmの値を示し、錫を含有することにより銅のユ
ーピレックスSに対する高い密着性を得ることができ
た。また、150 ℃大気下で3日間耐熱性試験を行ったと
ころ、ピール強度は 1.0kg/cm の値を示し、このよう
に、優れた耐熱性が示された。しかしながら、180 ℃大
気下で3日間耐熱試験を行った後では、0.7kg/cmへと低
下した。
【0078】また、150℃大気下で3日間耐熱試験を実
施した試料について、剥離した金属薄膜の剥離界面をオ
ージェ電子分光法により分析した。剥離界面には銅は検
出されず、非晶質ITO 層が銅に対する優れた拡散防止層
となっているのではないかと推定される。また、180 ℃
大気下で3日間耐熱試験を実施した試料については、痕
跡程度の銅が検出された。
【0079】(比較例1)ポリイミドフィルムとして膜
厚が50μmのアピカルAH(鐘淵化学工業( 株 )社製)を
用い、片面のみに銅層の形成を行った。プラズマ処理お
よび銅の成膜はバッチ式の3種類のターゲットが取り付
け可能なRF、DCマグネトロンスパッタ装置を用いて行っ
た。ターゲットとして、銅(3Nup)を用いた。ターゲット
の直径は、10cmφである。
【0080】当該ポリイミドフィルムを、スパッタ装置
内の基板ホルダーに設置し、1×10 -5torr以下の圧力ま
で真空排気を行った。酸素をマスフローコントローラー
を用いて10sccmでチャンバー内に導入し、圧力を1.5 ×
10-2torr、RF電力密度0.6W/cm2で基板ホルダーをカソー
ドとしてプラズマ処理を20分間行った。なお、あらかじ
めプラズマ処理を行ったポリイミドフィルムを取り出し
表面粗さの測定を行ったところ、39nmであった。プラズ
マ処理後に酸素のチャンバー内への導入を停止し1×10
-5torr以下の圧力まで真空排気を行った。銅ターゲット
電極をカソードとして、DC電力密度1.0W/cm2で20分間成
膜を行い、銅薄膜を250 nm成膜した。アルゴンガスを
10sccmでチャンバー内に導入し、圧力を5×10-3torrと
して、銅薄膜を形成した後にAr 5×10-3torrの雰囲気下
350 ℃一時間アニールを行った。Arガスの導入を停止
し、真空引きを行った後に、アピカルAH/銅構成の該積
層体を真空チャンバーから取り出した。次に、当該銅薄
膜の上に銅の電解メッキを施すことにより回路用の銅膜
の厚みを35μmとした。
【0081】このようにして作製された積層体について
エッチングにより2mm 幅にパターニング後、90度ピール
強度を測定した。ピール強度は1.7kg/cmの値を示した後
にカプトンVフィルムが破れ、銅のポリイミドに対する
高い密着性が示された。しかしながら、150 ℃大気下で
3日間耐熱性試験を行ったところ、ピール強度は0.2g/
cmの値を示した。ピール強度は著しく低下し耐熱性は示
されなかった。
【0082】(比較例2)非晶質ITO の代わりに、特公
平3−15536号に示された方法により結晶性のITO
をポリイミドフィルム上に作製したこと以外は、実施例
2と同様にして試料の作製を行った。ポリイミドフィル
ムとして膜厚が50μmのアピカルAH(鐘淵化学工業( 株
)社製)を用い、片面のみに結晶質ITO および銅の形成
を行った。プラズマ処理、結晶質ITO の成膜および銅の
成膜はバッチ式の3種類のターゲットが取り付け可能な
RF、DCマグネトロンスパッタ装置を用いて行った。ター
ゲットとして、銅(4N)、ITO(酸化錫5重量% 4N)の二種
類を用いた。ターゲットの直径は、それぞれ、10cmφで
ある。
【0083】当該ポリイミドフィルムを、スパッタ装置
内の基板ホルダーに設置し、1×10 -5torr以下の圧力ま
で真空排気を行った。酸素をマスフローコントローラー
を用いて10sccmでチャンバー内に導入し、圧力を1.5 ×
10-2torr、RF電力密度0.6W/cm2で基板ホルダーをカソー
ドとしてプラズマ処理を20分間行った。なお、あらかじ
めプラズマ処理を行ったポリイミドフィルムを取り出し
表面粗さの測定を行ったところ、39nmであった。プラズ
マ処理後に酸素のチャンバー内への導入を停止し1×10
-5torr以下の圧力まで真空排気を行った。アルゴンガス
を20sccmで導入し、圧力を1×10-3torrとして、DC電力
密度6W/cm2でITO ターゲット電極をカソードとしてITO
の成膜を1分間行い、プラズマ処理を行った当該ポリイ
ミドフィルム上に膜厚40nmのITO 薄膜を形成した。アル
ゴンのチャンバー内への導入を停止し1×10-5torr以下
の圧力まで真空排気を行った後にスパッタ装置から取り
出した。次いで、該アピカルAH/ITOフィルムを熱風乾燥
機を用いて、200 ℃大気雰囲気下において10時間加熱処
理を行った。
【0084】なお、このようにして作製したITO 膜につ
いてX線回折法により結晶性を評価したところ、結晶に
特有の回折線が認められ結晶質のITO が得られているこ
とが確認された。
【0085】次いで、該アピカルAH/結晶質ITO をスパ
ッタ装置中に設置し、結晶質ITO 上に金属層として銅層
を形成した。銅層の形成は、該アピカルAH/結晶質ITO
をスパッタ装置中に設置した後に装置内を1×10-5torr
まで真空排気した後に、アルゴンを10sccmでチャンバー
内へ導入を行い、銅ターゲット電極をカソードとして、
DC電力密度1.0W/cm2で20分間成膜を行い、銅薄膜を250n
m成膜した。Arガスの導入を停止し、真空引きを行った
後に、アピカルAH/結晶質ITO /銅構成の該積層体を真
空チャンバーから取り出した。次に、当該銅薄膜の上に
銅の電解メッキを施すことにより回路用の銅膜の厚みを
35μmとした。
【0086】このようにして作製された積層体について
エッチングにより2mm 幅にパターニング後、90度ピール
強度を測定した。ピール強度は1.5kg/cmの値を示し、銅
のポリイミドに対する高い密着性が示された。しかし、
150 ℃大気下で3日間耐熱性試験を行ったところ、ピー
ル強度は 0.4kg/cm の値を示し優れた耐熱性は示されな
かった。
【0087】また、150 ℃大気下で3日間耐熱試験を実
施した試料について、剥離した金属薄膜の剥離界面をオ
ージェ電子分光法により分析した。剥離界面には銅が検
出され、結晶質ITO 層は銅に対する拡散防止効果を示さ
なかった。以上の結果を〔表1〕にまとめた。
【0088】
【表1】
【0089】
【発明の効果】以上の、実施例および比較例から明らか
なように、本発明によって得られる積層体はポリマー基
材と金属層間の初期ピール強度が1.0kg/cm以上であり、
かつ、従来作製が困難であった少なくとも150 ℃大気下
3日の耐熱性試験後においても1.0kg/cm以上、さらに安
定な非晶質構造を有するITO を用いた場合には180 ℃大
気下3日後においても1.0kg/cm以上のピール強度を有す
る優れた耐熱性を示すものである。すなわち、本発明
は、少なくとも150 ℃大気下3日の熱処理後においても
金属薄膜とポリマー基材のピール強度が1.0kg/cm以上で
あり、回路加工時における金属層の剥離を防止するとと
もに、電気、電子および半導体産業の微細加工に対応し
た高温耐久性に優れる、主に、回路用基材として用いら
れる積層体を提供する極めて有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層体の一例を示す断面図
【図2】本発明の積層体の一例を示す断面図
【図3】結晶質と非晶質のITO のX線回折パターン
【図4】ITO の比抵抗と酸素分圧の関係を示すグラフ
【符号の説明】
1 ポリマー基材 2 非晶質層 3 金属層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H05K 3/38 7511−4E H05K 3/38 A 3/46 3/46 H (72)発明者 福田 伸 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 福田 信弘 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリマー基材の少なくとも一方の面に非
    晶質層を形成し、該非晶質層上に金属層を形成した積層
    体。
  2. 【請求項2】 ポリマー基材と金属層とからなる積層体
    であって、該積層体は、150 ℃大気下3日の耐熱試験後
    においてもポリマー基材と金属層間のピール強度が1.0k
    g/cm以上であることを特徴とする請求項1記載の積層
    体。
  3. 【請求項3】 ポリマー基材と金属層とからなる積層体
    であって、該積層体は、180 ℃大気下3日の耐熱試験後
    においてもポリマー基材と金属層間のピール強度が1.0k
    g/cm以上であることを特徴とする請求項1または2記載
    の積層体。
  4. 【請求項4】 非晶質層がインジウムを主体とする酸化
    物であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載
    の積層体。
  5. 【請求項5】非晶質層がインジウを主体とする酸化物で
    あり、酸化錫に換算した錫の含有量が5〜50重量%であ
    ることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の積層
    体。
  6. 【請求項6】 非晶質層が高酸素濃度雰囲気におけるス
    パッタリング法により作製されたインジウムと錫を主体
    とする酸化物であることを特徴とする請求項1〜5の何
    れかに記載の積層体。
  7. 【請求項7】 金属層が銅であることを特徴とする請求
    項1〜6の何れかに記載の積層体。
  8. 【請求項8】 ポリマー基材がポリイミドであることを
    特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の積層体。
  9. 【請求項9】 回路基板として好適に使用しうるもので
    ある請求項1〜8の何れかに記載の積層体。
JP9661996A 1995-11-24 1996-04-18 積層体 Pending JPH09201900A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9661996A JPH09201900A (ja) 1995-11-24 1996-04-18 積層体

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7-305489 1995-11-24
JP30548995 1995-11-24
JP9661996A JPH09201900A (ja) 1995-11-24 1996-04-18 積層体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09201900A true JPH09201900A (ja) 1997-08-05

Family

ID=26437797

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9661996A Pending JPH09201900A (ja) 1995-11-24 1996-04-18 積層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09201900A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11220254A (ja) * 1998-01-30 1999-08-10 Hitachi Ltd 配線基板及びその製造方法
JP2001168481A (ja) * 1999-12-08 2001-06-22 Ibiden Co Ltd 銅張積層板およびプリント配線板用回路基板とその製造方法
JP2006253185A (ja) * 2005-03-08 2006-09-21 Toray Ind Inc ポリイミドフィルム、及びこれを用いた耐熱性樹脂積層フィルム、金属層付き積層フィルム
JP2010005800A (ja) * 2008-06-24 2010-01-14 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 2層フレキシブル基板及びその製造方法、並びに、該2層フレキシブル基板を用いたプリント配線基板及びその製造方法
JP4816459B2 (ja) * 2004-12-20 2011-11-16 旭硝子株式会社 フレキシブルプリント配線板用積層体
JP2013228782A (ja) * 2012-04-24 2013-11-07 Gunze Ltd 導電性基板、タッチパネル、および導電性基板の製造方法
JP2015118044A (ja) * 2013-12-19 2015-06-25 住友金属鉱山株式会社 金属薄膜/ポリイミド積層体の密着強度判定方法、及び、それを用いた金属化ポリイミドフィルム基板
WO2024004404A1 (ja) * 2022-07-01 2024-01-04 日東電工株式会社 導電性フィルム
WO2024004405A1 (ja) * 2022-07-01 2024-01-04 日東電工株式会社 導電性フィルム

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11220254A (ja) * 1998-01-30 1999-08-10 Hitachi Ltd 配線基板及びその製造方法
JP2001168481A (ja) * 1999-12-08 2001-06-22 Ibiden Co Ltd 銅張積層板およびプリント配線板用回路基板とその製造方法
JP4486196B2 (ja) * 1999-12-08 2010-06-23 イビデン株式会社 多層プリント配線板用片面回路基板およびその製造方法
JP4816459B2 (ja) * 2004-12-20 2011-11-16 旭硝子株式会社 フレキシブルプリント配線板用積層体
JP2006253185A (ja) * 2005-03-08 2006-09-21 Toray Ind Inc ポリイミドフィルム、及びこれを用いた耐熱性樹脂積層フィルム、金属層付き積層フィルム
JP2010005800A (ja) * 2008-06-24 2010-01-14 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 2層フレキシブル基板及びその製造方法、並びに、該2層フレキシブル基板を用いたプリント配線基板及びその製造方法
JP2013228782A (ja) * 2012-04-24 2013-11-07 Gunze Ltd 導電性基板、タッチパネル、および導電性基板の製造方法
JP2015118044A (ja) * 2013-12-19 2015-06-25 住友金属鉱山株式会社 金属薄膜/ポリイミド積層体の密着強度判定方法、及び、それを用いた金属化ポリイミドフィルム基板
WO2024004404A1 (ja) * 2022-07-01 2024-01-04 日東電工株式会社 導電性フィルム
WO2024004405A1 (ja) * 2022-07-01 2024-01-04 日東電工株式会社 導電性フィルム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0144055B1 (en) Process and apparatus for producing a continuous insulated metallic substrate
JPH11268183A (ja) ポリイミド−金属積層体およびその製造方法
JP4754402B2 (ja) キャリア箔付銅箔、キャリア箔付銅箔の製造方法、キャリア箔付表面処理銅箔及びそのキャリア箔付表面処理銅箔を用いた銅張積層板
US20030148078A1 (en) Metallized polyimide film
JP2004031370A (ja) フレキシブルプリント回路基板及びその製造方法
JPH08330728A (ja) フレキシブルプリント配線用基板
JP4479184B2 (ja) プラスチックフィルムの製造方法及びそれを応用したフレキシブルプリント回路基板
CN113873750A (zh) 复合铜箔结构、其制备方法及覆铜箔层压板和印刷电路板
JPH09201900A (ja) 積層体
JPH0955575A (ja) 積層体
JP2004327931A (ja) 金属被膜ポリイミド基板及びその製造方法
JPH09123343A (ja) 積層体
KR20120053195A (ko) 내열접착력을 개선한 연성회로기판용 동박 적층 구조체 및 그의 제조방법
JPH0951163A (ja) フレキシブル回路基板
JP3447075B2 (ja) フレキシブル回路基板
JPH08332697A (ja) 金属ポリマーフィルム
JP2005262707A (ja) 銅張り積層フィルムおよびフレキシブル回路基板用材料
KR102175755B1 (ko) 연성동박적층필름 및 이의 제조방법
JP3447122B2 (ja) 金属酸化物層を有するフレキシブル回路基板
JPH05299820A (ja) フレキシブルプリント配線板
JP4086803B2 (ja) フレキシブルプリント回路基板の製造方法
JPH0661600A (ja) フレキシブル回路基板
CN112423983A (zh) 层叠体及层叠体的制造方法
JP2001151916A (ja) フレキシブルプリント配線用フィルム
CN116607108B (zh) 一种MAX-Ag导电复合涂层及其制备方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040406

A521 Written amendment

Effective date: 20040601

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Effective date: 20050510

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02