JPH09193763A - 車両の運動制御装置 - Google Patents

車両の運動制御装置

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JPH09193763A
JPH09193763A JP2986396A JP2986396A JPH09193763A JP H09193763 A JPH09193763 A JP H09193763A JP 2986396 A JP2986396 A JP 2986396A JP 2986396 A JP2986396 A JP 2986396A JP H09193763 A JPH09193763 A JP H09193763A
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JP
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control
wheel
vehicle
control device
brake fluid
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Application number
JP2986396A
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English (en)
Inventor
Kenji Toutsu
憲司 十津
Yoshiyuki Yasui
由行 安井
Masanobu Fukami
昌伸 深見
Takayuki Ito
孝之 伊藤
Norio Yamazaki
憲雄 山崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液圧補償処理によってブレーキ液圧制御を迅
速且つ的確に行なう。 【解決手段】 車両状態判定手段DRの判定結果に基づ
いて目標値設定手段TVが設定した各車輪毎の目標値
と、実測値検出手段MVが検出した実測値との偏差に応
じて、液圧サーボ制御手段SVによってブレーキ液圧制
御装置PCをサーボ制御し、ホイールシリンダWCに付
与するブレーキ液圧を制御する。液圧サーボ制御手段S
Vによる制御が可逆制御領域にあるか否かを制御領域判
定手段CRによって判定し、可逆制御領域において液圧
サーボ制御中であると判定し、且つ偏差演算手段DFの
演算結果の偏差が所定値以上のときには、液圧補償処理
手段PAが偏差に応じてブレーキ液圧制御装置PCを制
御し、ホイールシリンダWCに付与するブレーキ液圧を
増圧又は減圧するように補償処理を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の運動制御装置に
関し、特に、少くとも制動時に車輪がロックしないよう
に車輪に対する制動力を制御してスリップを防止するア
ンチスキッド制御機能を備えた車両の運動制御装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両の運動制御装置の一部を構成
するアンチスキッド制御機能に関し、特に制御開始時に
演算した制御目標が、本来の制御目標から大きく離れて
いた場合の制御遅れに対処すべく、実際に制動力制御が
開始する前に予め所定の制御を行なうという制御前制御
が行なわれていた。また、例えば特開平5−85336
号公報に記載のように路面状況に応じた事前の特定制御
も考慮されていた。
【0003】そして、車両の運動制御に関し、例えば制
動操舵制御においては、旋回外側の車輪に制動力を付与
する必要があるが、これを所定の時間内に行なうために
無条件にホイールシリンダを急増圧することとしてい
た。しかし、車輪の状態の動きに対応していないので、
車輪の状態をスリップ率で検出し、このスリップ率の変
化に応じてブレーキ液圧を制御することとしており、ス
リップ率の偏差がなければ急増圧をしないように制御し
ていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、上記従来の
アンチスキッド制御を含む種々の制動力制御乃至駆動力
制御を行なう際、予め想定した事象に対しては或る程度
の対応が可能であるとしても、車両をとりまく環境は予
見が困難であり、一律的な事前制御では十分対処し得な
い。このため、必然的に制御対象領域が細分されると共
に、個々の制御対象領域に複雑な制御が準備され、種々
の事前制御手段、制御前制御手段、あるいは液圧補償処
理手段が講じられることになるが、このうち液圧補償処
理手段が注目されている。
【0005】図16は摩擦係数μ(及びコーナリングフ
ォースCF)とスリップ率Sとの関係を示すμ−S特性
図で、図中Sa は実スリップ率、St は目標スリップ
率、Es はこれらのスリップ率の偏差を表す。ΔSt
(n) は目標スリップ率の変化量(即ち今回の目標スリッ
プ率St (n) と前回の目標スリップ率St (n-1) との
差)を表す。そして、b点が摩擦係数のピーク値(μピ
ーク)で、これを境に可逆制御領域と非可逆制御領域に
分かれる。
【0006】可逆制御領域とは、ブレーキ液圧を増圧す
ると制動力が増大し、図16のμ−S曲線で同じ経路を
辿って減圧すると制動力が減少する領域であり、略線形
特性を呈するので、線形領域ということもできる。これ
に対し、非可逆制御領域とは、可逆制御領域以上にブレ
ーキ液圧を増圧すると、ブレーキ液圧を減圧しても同じ
経路で戻らなくなる領域で、非線形領域ということもで
きる。そして、回復領域は、図16にc→a→dで示す
ような経路を辿る領域で、a点でブレーキ液圧を増圧
し、μ−S曲線を上昇し、b点で車輪がロックし始め、
非可逆制御領域に移り、c点で減圧されると車輪速度が
回復しa点で戻るが、車輪速度が増加し過ぎるのを防止
するため、最後にブレーキ液圧を増圧しd点の位置まで
戻るように制御する領域である。
【0007】図17は一つの車輪に対するアンチスキッ
ド制御状況を示すもので、図16のμ−S曲線に付した
a乃至dの点に対応する時点にa乃至dを付している。
図17において、Vso**は推定車体速度、Vw** は車輪
速度、DVw** は車輪加速度、Wc** はホイールシリン
ダ液圧を表し、ブレーキ液圧制御モードを示すと共に、
可逆制御領域、非可逆制御領域及び回復領域を示してい
る。
【0008】而して、可逆制御領域と非可逆制御領域と
の間では制御形態を変えることが必要であり、目標スリ
ップ率と実スリップ率とのスリップ率偏差に基づいたブ
レーキ液圧制御は可逆制御領域に限られる。非可逆制御
領域では、スリップ率偏差に基づくブレーキ液圧制御に
代わって液圧補償処理が行なわれ、増圧又は減圧され
る。然し乍ら、可逆制御領域においても目標スリップ率
が大きく変わったときに、直ちにはブレーキ液圧が追従
しないので追従性を向上させることが望まれていた。
【0009】そこで、本発明は、車両の運動制御装置に
おいて、液圧補償処理によってブレーキ液圧制御を迅速
且つ的確に行ない得るように構成することを課題とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明の運動制御装置は、図1に構成の概要を示し
たように、車両の各車輪WLのホイールシリンダWCに
対し少くともブレーキペダルBPの操作に応じて制動力
を付与するブレーキ液圧制御装置PCと、車両の運動状
態を判定する車両状態判定手段DRと、この車両状態判
定手段DRの判定結果に基づき各車輪毎の目標値を設定
する目標値設定手段TVと、この目標値設定手段TVが
設定した目標値に対応する車両の運動状態に係る各車輪
毎の実測値を検出する実測値検出手段MVと、この実測
値検出手段MVが検出した実測値と目標値設定手段TV
が設定した目標値との偏差を演算する偏差演算手段DV
と、この偏差演算手段DVの演算結果に応じてブレーキ
液圧制御装置PCをサーボ制御しホイールシリンダWC
に付与するブレーキ液圧を制御する液圧サーボ制御手段
SVとを備えている。そして、液圧サーボ制御手段SV
による制御が可逆制御領域にあるか否かを判定する制御
領域判定手段CRと、この制御領域判定手段CRが、可
逆制御領域において液圧サーボ制御手段SVが制御中で
あると判定し、且つ偏差演算手段DVの演算結果の偏差
を所定値と比較し所定値以上のときには、偏差に応じて
ブレーキ液圧制御装置PCを制御し、ホイールシリンダ
WCに付与するブレーキ液圧を増圧又は減圧するように
補償処理を行なう液圧補償処理手段PAとを設けたもの
である。
【0011】上記液圧補償処理手段PAは、請求項2に
記載のように、液圧サーボ制御手段SVによるサーボ制
御に対しフィードフォワードにより、偏差演算手段DV
の演算結果に応じてブレーキ液圧制御装置PCを制御
し、ホイールシリンダWCに付与するブレーキ液圧を増
圧又は減圧するように補償処理を行なう偏差補償処理手
段DAを備えたものとするとよい。
【0012】上記液圧補償処理手段PAは、請求項3に
記載のように、液圧サーボ制御手段SVによるサーボ制
御に対しフィードフォワードにより、予め設定した不感
帯領域に応じてブレーキ液圧制御装置PCを制御し、ホ
イールシリンダWCに付与するブレーキ液圧を増圧する
ように補償処理を行なう不感帯補償処理手段NAを備え
たものとしてもよい。
【0013】上記液圧補償処理手段PAは、請求項4に
記載のように、液圧サーボ制御手段SVによるサーボ制
御に対しフィードフォワードにより、車両の駆動側の車
輪に対し、駆動力を相殺する制動力を付与するように、
ブレーキ液圧制御装置PCを制御し、ホイールシリンダ
WCに付与するブレーキ液圧を増圧するように補償処理
を行なう駆動力補償処理手段RAを備えたものとしても
よい。
【0014】上記の目標値及び実測値としては、請求項
5に記載のように、車両の各車輪毎のスリップ率を用い
ることができる。更に、液圧補償処理手段PAには、後
述する差圧補償処理を行なう手段、流量係数補償処理を
行なう手段、摩擦係数補償処理を行なう手段が包含され
る。
【0015】尚、ブレーキ液圧制御装置PCは、後述の
実施形態に示すように、ブレーキペダルBPの操作に応
じてブレーキ液圧を出力するマスタシリンダのほか、例
えば液圧ポンプ及びアキュムレータを備えた補助液圧源
を含み、ブレーキペダルBPの非操作時にも補助液圧源
からブレーキ液圧を出力するように構成することができ
る。車両状態判定手段DRは、例えば各車輪の車輪速
度、車輪加速度、車体横加速度、ヨーレイト等を検出
し、これらの検出結果、並びに検出結果に基づいて演算
した推定車体速度、車体横すべり角等に基づき、車両の
運動状態を判定するように構成し、過度のオーバーステ
ア及び過度のアンダーステアの発生、並びに車輪のロッ
ク状態を判定することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の望ましい実施の形
態を図面を参照して説明する。図2は本発明の運動制御
装置の一実施形態を示すもので、本実施形態のエンジン
EGはスロットル制御装置TH及び燃料噴射装置FIを
備えた内燃機関で、スロットル制御装置THにおいては
アクセルペダルAPの操作に応じてメインスロットルバ
ルブMTのメインスロットル開度が制御される。また、
電子制御装置ECUの出力に応じて、スロットル制御装
置THのサブスロットルバルブSTが駆動されサブスロ
ットル開度が制御されると共に、燃料噴射装置FIが駆
動され燃料噴射量が制御されるように構成されている。
本実施形態のエンジンEGは変速制御装置GS及びディ
ファレンシャルギヤDFを介して車両後方の車輪RL,
RRに連結されており、所謂後輪駆動方式が構成されて
いるが、本発明における駆動方式をこれに限定するもの
ではない。
【0017】次に、制動系については、車輪FL,F
R,RL,RRに夫々ホイールシリンダWfl,Wf
r,Wrl,Wrrが装着されており、これらのホイー
ルシリンダWfl等にブレーキ液圧制御装置PCが接続
されている。尚、車輪FLは運転席からみて前方左側の
車輪を示し、以下車輪FRは前方右側、車輪RLは後方
左側、車輪RRは後方右側の車輪を示しており、本実施
形態では前輪の液圧制御系と後輪の液圧制御系に区分さ
れた前後配管が構成されているが、所謂X配管としても
よい。ブレーキ液圧制御装置PCはブレーキペダルBP
の操作に応じて駆動され、各車輪毎のホイールシリンダ
液圧を制御するもので、種々の態様のものを用いること
ができる。本実施形態では例えば図18に示すように構
成されるが、これについては後述する。
【0018】図2に示すように、車輪FL,FR,R
L,RRには車輪速度センサWS1乃至WS4が配設さ
れ、これらが電子制御装置ECUに接続されており、各
車輪の回転速度、即ち車輪速度に比例するパルス数のパ
ルス信号が電子制御装置ECUに入力されるように構成
されている。更に、ブレーキペダルBPが踏み込まれた
ときオンとなるブレーキスイッチBS、車両前方の車輪
FL,FRの舵角δf を検出する前輪舵角センサSS
f、車両の横加速度を検出する横加速度センサYG及び
車両のヨーレイトを検出するヨーレイトセンサYS等が
電子制御装置ECUに接続されている。ヨーレイトセン
サYSにおいては、車両重心を通る鉛直軸回りの車両回
転角(ヨー角)の変化速度、即ちヨー角速度(ヨーレイ
ト)が検出され、実ヨーレイトγとして電子制御装置E
CUに出力される。
【0019】尚、従動輪側の左右の車輪(本実施形態で
は車両前方の車輪FL,FR)の車輪速度差Vfd(=V
wfr −Vwfl )に基づき実ヨーレイトγを推定すること
ができるので、車輪速度センサWS1及びWS2の検出
出力を利用することとすればヨーレイトセンサYSを省
略することができる。更に、車輪RL,RR間に舵角制
御装置(図示せず)を設けることとしてもよく、これに
よれば電子制御装置ECUの出力に応じてモータ(図示
せず)によって車輪RL,RRの舵角を制御することも
できる。
【0020】本実施形態の電子制御装置ECUは、図2
に示すように、バスを介して相互に接続されたプロセシ
ングユニットCPU、メモリROM,RAM、入力ポー
トIPT及び出力ポートOPT等から成るマイクロコン
ピュータCMPを備えている。上記車輪速度センサWS
1乃至WS4、ブレーキスイッチBS、前輪舵角センサ
SSf、ヨーレイトセンサYS、横加速度センサYG等
の出力信号は増幅回路AMPを介して夫々入力ポートI
PTからプロセシングユニットCPUに入力されるよう
に構成されている。また、出力ポートOPTからは駆動
回路ACTを介してスロットル制御装置TH及びブレー
キ液圧制御装置PCに夫々制御信号が出力されるように
構成されている。マイクロコンピュータCMPにおいて
は、メモリROMは後述する種々の処理に供するプログ
ラムを記憶し、プロセシングユニットCPUは図示しな
いイグニッションスイッチが閉成されている間当該プロ
グラムを実行し、メモリRAMは当該プログラムの実行
に必要な変数データを一時的に記憶する。尚、スロット
ル制御等の各制御毎に、もしくは関連する制御を適宜組
合せて複数のマイクロコンピュータを構成し、相互間を
電気的に接続することとしてもよい。
【0021】図3は上記マイクロコンピュータCMPの
処理機能を示したブロック図で、ブロックB1にて車輪
速度センサWS1乃至WS4の出力信号に基づき各車輪
速度Vw** (**は車輪FL,FR,RL,RR を代表して表す)及
び車輪加速度DVw** が演算され、これらに基づきブロ
ックB4にて各車輪毎に推定車体速度Vso**、車体横す
べり角β、車体横すべり角速度dβ/dtが推定演算さ
れる。更に、必要に応じ、車両旋回時の内外輪差等に基
づく誤差を低減するため正規化が行われる。即ち、正規
化推定車体速度NVso**がNVso**=Vso**(n) −ΔV
r** (n) として演算される。ここで、ΔVr**(n)は旋回
補正用の補正係数で、例えば以下のように設定される。
即ち、補正係数ΔVr** (**は各車輪FR等を表し、特に
FWは前二輪、RWは後二輪を表す)は、車両の旋回半径R
及びγ・VsoFW(≒横加速度Gya)に基づき、基準とす
る車輪を除き各車輪毎のマップ(図示省略)に従って設
定される。
【0022】また、フィルタのブロックB2を介してヨ
ーレイトセンサYS、及び横加速度センサYGの出力信
号(ヨーレイトγ、横加速度Gy)がブロックB5に入
力すると共に、前輪舵角センサSSf、スロットルセン
サST、マスタシリンダ液圧センサPSの出力信号(操
舵角θf 、メイン及びサブスロットル開度θm ,θs、
マスタシリンダ液圧Pm )がブロックB3を介してブロ
ックB5に入力する。而して、これらの出力信号に基づ
きブロックB5にて規範量が演算される。ここで、規範
量とは、制御対象のあるべき姿を数値で表したもので、
目標スリップ率St** 、目標ヨーレイトγ* 等を表す。
【0023】而して、ブロックB4,B5の演算結果に
基づきブロックB6では車両安定制御用のモード設定が
行なわれる。即ち、車両旋回時に、車両の安定性及びコ
ーストレース性を確保するように、ブロックB4の演算
結果に基づきオーバーステア抑制制御用のスリップ率補
正が行なわれ、ブロックB5の演算結果に基づきアンダ
ーステア抑制制御用のスリップ率補正が行なわれる。例
えば、各々の補正に応じたΔS**が目標スリップ率St*
* に加算される。前者のオーバーステア抑制制御は、車
両旋回時に過度のオーバーステアとなるのを防止するた
め、例えば旋回外側前輪に制動力を付与し、車両を旋回
外側に操向するものである。後者のアンダーステア抑制
制御は、車両旋回時に過度のアンダーステアとなるのを
防止するため、例えば旋回外側前輪及び後二輪に制動力
を付与し、車両を旋回内側に操向しつつ減速するもので
ある。尚、必要に応じブロックB21にてスロットルP
ID(比例、積分、微分)制御が行なわれ、車両の旋回
運動が維持される。
【0024】また、ブロックB7ではアンチスキッド制
御が行なわれ、車両制動時に、車輪のロックを防止する
ように、各車輪に付与する制動力が制御される。ブロッ
クB8では前後輪の制動力配分制御が行なわれ、車両の
制動時に車両の安定性を維持するように、後輪に付与す
る制動力の前輪に付与する制動力に対する配分が制御さ
れる。また、ブロックB9においては、制動作動が行な
われていないときの旋回時において制動力を付与するこ
とによって車輪のオーバーステア抑制制御及びアンダー
ステア抑制制御を行なう制動操舵が実行される。
【0025】そして、ブロックB10ではトラクション
制御が行なわれる。即ち、車両駆動時に駆動輪のスリッ
プを防止するように、駆動輪に対し制動力が付与される
と共に、ブロックB21にてスロットルPID制御が行
なわれ、これらの制御によって駆動輪に対する駆動力が
制御される。ブロックB11においては、制動作動が行
なわれていないときに車両のオーバーステア抑制制御及
びアンダーステア抑制制御をスロットル制御によって行
なう駆動操舵制御が実行される。
【0026】上記のブロックB7乃至B11の各制御に
対しブロックB30にて夫々目標スリップ率St** が設
定され、各制御はブロックB40にて適宜優先処理さ
れ、順次ブロックB12乃至B17及び/又はブロック
B21乃至B24の処理が行なわれる。例えばアンチス
キッド制御時には、ブロックB13にてスリップ率サー
ボPID制御が行なわれ、ブロックB15にて特定処理
が行なわれた後、ブロックB16のインターフェースを
介して液圧アクチュエータ(本実施形態では電磁弁から
成る)が駆動制御される。即ち、ブロックB6の出力に
応じてブロックB12にてPIDゲインが設定され、ブ
ロックB13にて周知のPID(比例、積分、微分)フ
ィードバック制御によるスリップ率サーボ制御が行なわ
れる。更に、このときの制御状況に応じてブロックB1
4にて後述のフィードフォワード量(FF量と略す)が
設定され、これに基づきブロックB15にて特定処理と
してフィードフォワードによる液圧補償処理が行なわれ
る。同様に、ブロックB21乃至B24のスロットルP
ID制御が行なわれる。尚、ブロックB25は電子燃料
噴射装置等であり、ブロックB10及びB11の結果に
応じて点火時期が遅角処理され、あるいは燃料カットが
行なわれる。
【0027】図4は液圧サーボ制御の処理内容を示すも
ので、各車輪についてホイールシリンダ液圧のスリップ
率サーボ制御が行なわれる。先ず、各車輪の目標スリッ
プ率St** に、アンチスキッド制御等の各制御に応じた
補正量ΔSt** が加算されて目標値とされる。一方、各
車輪の車輪速度Vw** と推定車体速度Vso(あるいは、
正規化推定車体速度NVso**)に基づき、例えばアンチ
スキッド制御に供する各車輪の車輪スリップ率Sa**
(以下、実スリップ率Sa** という)がSa** =(Vso
**−Vw** −BVw** )/Vso**として求められる(B
Vw** はバイアス速度を表す)。以下、各制御において
も同様に実スリップ率Sa** が求められる。そして、目
標スリップ率St** 及び補正量ΔSt** の和と実スリッ
プ率Sa**との差、即ちスリップ率偏差Es** が演算さ
れ、これに所定のゲインGs** が乗算されてパラメータ
Y**が求められる。
【0028】一方、目標加速度Gt** と実加速度Ga**
の加速度偏差Eg** が演算され、これに所定のゲインG
d** が乗算され、パラメータX**が求められる。尚、各
制御に応じ、目標加速度Gt** に代えて、各車輪におけ
る推定車体速度Vso**の微分値であるDVso**を用い、
実加速度Ga** に代えて各車輪の車輪速度Vw** の微分
値であるDVw** を用いることとしてもよい。
【0029】続いて、上記パラメータX**,Y**に基づ
き、各車輪毎に制御マップに従って液圧制御モードが設
定される。図4に示すように、制御マップMPは制御目
標を原点としたX,Y座標上に、この原点を含む制御基
準の線分を中心に、二本の平行線が形成され、これらの
線分によって四つの領域RI,RD,GI,GDに区画
されている。而して、パラメータX**,Y**の値に応じ
て、制御指標たる制御の深さD**が求められる。即ち、
制御の深さD**は、図4に示す制御マップMPの原点を
通る制御基準の線分に対する垂線の足の長さに等しい。
換言すれば、制御基準の線分からの距離に等しい。図4
において、制御基準の一方側の領域GIはパルス増圧モ
ードで、領域RIは急増圧モードである。これに対し、
制御基準の他方側の領域GDはパルス減圧モードであ
り、領域RDは急減圧モードである。領域GI,GDに
おいては制御パルス信号の周期Tpr**及びオン時間Ton
**が設定され、周期Tpr**は制御の深さD**に基づい
て、例えばTpr**=K1 −K2・D**として演算される
(但し、K1 ,K2 は定数)。
【0030】また、制御マップMPに対し、図3に示し
た各制御(例えばアンチスキッド制御)等に応じて、液
圧係数CEとして、各々の制御目標値に対応する液圧勾
配が設定され、制御マップのX,Y軸の中心付近におけ
る制御パルス信号のオン時間が設定される。
【0031】そして、アンチスキッド制御等の各制御に
応じて、液圧制御用のソレノイドバルブを駆動するため
の上述の制御パルス信号のデューティが調整され、液圧
補償処理が行なわれる。この液圧補償処理は、偏差補償
処理、差圧補償処理、流量係数補償処理及び路面摩擦係
数補償処理を含む。偏差補償処理はその態様からフィー
ドフォワード補償処理ということができ、偏差に応じた
増圧補償処理及び減圧補償処理をはじめ、不感帯補償処
理及び駆動力補償処理による増圧補償処理が行なわれ
る。ここで、偏差補償処理は、目標スリップ率St** と
実スリップ率Sa** との偏差Es** が所定値以上となっ
たときにフィードフォワードに基づく増減圧補償処理を
開始し、可逆制御領域外となったときに終了する補償処
理であり、図5を参照して後述する。
【0032】フィードフォワード補償処理のための制御
(FF制御と略す)は、可逆制御領域内で目標スリップ
率St** と実スリップ率Sa** との偏差Es** の変化割
合(|dEs** /dt|)が所定値以上となったときに
開始し、そのときの制御マップMPに基づいて設定され
た制御パルス信号のオン時間Ton**が長くなるように
(周期Tpr**は一定)デューティが変更される。
【0033】図5はフィードフォワード補償処理の開始
/終了判定の処理を示すもので、先ず、可逆制御領域に
あるか否かが判定される。前述のように、可逆領域は図
16及び図17に示す領域であり、図16及び図17の
b点でブレーキ液圧制御が開始するまでの領域であっ
て、減圧制御が開始したときにはd点で増圧制御が終了
するまでの回復領域を除いた領域である。従って、制御
の深さD**が所定値Kbを超えると非可逆制御領域とな
るので、メモリに非可逆制御状態にあると記憶(SE
T)される。そして、回復領域にて後述する所定の制御
が行なわれた後、後述する増圧補償処理が終了すると非
可逆制御領域にある旨の記憶がクリア(CLR)され
る。つまり、SETからCLRまでの間を除き可逆制御
領域にあると判定される。
【0034】而して、例えば制御の深さD**の変化割合
(|dD**/dt|)が所定値(ε1)以上であって、
且つ可逆制御領域にあるときにフィードフォワード補償
処理が開始し、メモリにFF制御中と記憶(SET)さ
れる。可逆制御領域にないとき、又は制御の深さD**の
絶対値(|D**|)が所定値(ε2)以下であるときに
はフィードフォワード補償処理が終了とされ、FF制御
中の記憶がクリヤ(CLR)される。尚、制御の深さD
**に代えて目標スリップ率St** に対する補正量ΔSt*
* 、あるいはスリップ率偏差Es** の変化割合を用いる
こととしてもよい。但し、補正量ΔSt** の変化割合を
用いたときには目標値の変化には即応し得るが,実際の
制御状態に対応していないので、制御の深さD**の変化
割合を用いることが望ましい。また、可逆制御領域にあ
るか否かの判定に際し、制御の深さD**に代えて、従前
のアンチスキッド制御開始判定に供する条件を用いるこ
ととしてもよい。例えば、スリップ率が所定値以下で、
且つ加速度が所定値以下のときに非可逆制御領域と判定
することができる。
【0035】図6は液圧補償処理を示すもので、パルス
増圧信号が入力したときに可逆制御領域にあれば、パル
ス増圧信号のオン時間Ton**と周期Tpr**に応じてソレ
ノイドに対しパルス増圧信号として出力され、フィード
フォワード補償処理が行なわれるが、可逆制御領域でな
いときには、即ち回復領域及び非可逆制御領域の何れに
おいても増圧補償処理が行なわれる。後者の増圧補償処
理は、例えばそれまでに総減圧時間で減圧された量の所
定割合を増圧するように補償処理を行なうもので、車輪
加速度、直前の総減圧時間、路面摩擦係数等に基づいて
増圧量を補正するものである。また、可逆制御領域であ
れば、図7に示す差圧補償処理が行なわれる。ここで、
差圧補償処理は、圧力差補償処理と、流量係数補償処理
と、路面摩擦係数補償処理とから成る。フィードフォワ
ード補償処理は、図11に示すスリップ率偏差Es** 分
の総増圧時間ΣTfd(n) を出力する偏差補償処理と、図
12に示す固定分の総増圧時間ΣTff(n) を出力する不
感帯補償処理及び駆動力補償処理とから成り、スリップ
率偏差Es** 分の総増圧時間ΣTfd(n) については差圧
補償処理が行なわれ、固定分の総増圧時間ΣTff(n)
ついては差圧補償処理が行なわれない。
【0036】一方、パルス減圧信号もしくは急減圧信号
を入力したときには、可逆制御領域にあれば、フィード
フォワード補償処理が行なわれるが、回復領域又は非可
逆制御領域にあるときには、減圧補償処理が行なわれ
る。後者の減圧補償処理は、減圧量が過大となるのを防
止するため、車輪加速度及びコーナリングフォースの過
度の低下を防止するように、減圧量を補正する処理であ
る。而して、ブレーキ液圧制御装置PCを構成する各電
磁弁のソレノイドが、上記制御パルス信号によって駆動
され、各車輪の制動力が制御される。
【0037】図7は図6に示す増圧時の差圧補償処理の
詳細を示すものである。差圧補償処理は、例えば図9に
示すように、ホイールシリンダ液圧Wc** とパワー液圧
源(後述)の出力パワー液圧Pwr又はリザーバの液圧
(略零)との差圧ΔPによって液圧の上昇(又は下降)
勾配が異なるので、これを同一制御量で一定の割合で制
動力が付与されるように制御するものである。而して、
図7に示すようにパワー液圧Pwrとホイールシリンダ液
圧Wc** との差圧ΔPに応じてゲインKp を設定し、制
御信号のオン時間Ton**にゲインKp を乗算するように
制御される。
【0038】ここで、ホイールシリンダ液圧Wc** の推
定演算について説明すると、先ずホイールシリンダに供
給されるブレーキ液の流量を積分すればホイールシリン
ダ液圧を求めることができる。この流量は流量係数Cと
ブレーキ液に付与される圧力差ΔPで決まる。また、圧
力差ΔPは、増圧時にはパワー液圧源(後述)の出力パ
ワー液圧Pwrとホイールシリンダ液圧Wc** の差(ΔP
=Pwr−Wc** )として演算することができ、減圧時に
はリザーバの液圧(略零)とホイールシリンダ液圧Wc*
* との差(−Wc** )として演算することができる。従
って、圧力差ΔPが負であるときにはホイールシリンダ
からブレーキ液が流出することを表す。而して、ホイー
ルシリンダ液圧Wc** を圧力差ΔPに基づいて推定演算
することができる。
【0039】尚、制動力が判明していれば車輪がロック
状態となる液圧が判明するので、ホイールシリンダ液圧
Wc** の初期値Wc**oを推定することができる。また、
図18に示すようにマスタシリンダ液圧センサPSを有
している場合にはマスタシリンダ出力液圧の初期値がホ
イールシリンダ液圧の初期値に一致するので、以後のホ
イールシリンダ液圧を推定できる。マスタシリンダ液圧
センサがない場合には、車両の加速度センサによって減
速時の加速度(即ち、減速度)を求め、これに基づいて
ホイールシリンダ液圧を推定することもできる。
【0040】また、図7の流量係数補償処理は、ブレー
キ液の流量係数Cがホイールシリンダ液圧Wc** によっ
て変化するため、後者の値に応じたゲインKc が設定さ
れ、上記のゲインKp と共に制御パルス信号のオン時間
Ton**に乗算され、流量係数Cの変化に拘らずオン時間
Ton**に応じて一定の割合で制動力が付与されるように
補償処理が行なわれる。
【0041】更に、図7に示すように、路面摩擦係数補
償処理として、路面摩擦係数μに応じたゲインKμが設
定され、制御パルス信号のオン時間Ton**に乗算され
る。例えば、図10に示すように差圧ΔP毎にホイール
シリンダ液圧を昇圧する場合には、一定の圧力に到達す
るまでの到達時間が路面の摩擦係数によって異なるた
め、路面摩擦係数μの変化に拘らずオン時間Ton**に応
じて一定の割合で制動力が付与されるように補償処理が
行なわれる。図6に示す減圧時の差圧補償処理も、図8
に示すように図7の増圧時の差圧補償処理時と同様に行
なわれる。尚、このときの差圧ΔPはホイールシリンダ
液圧Wc** と吐出側の圧力Pot(液圧ブースタの場合は
略0)との差となる。
【0042】フィードフォワード補償処理における増圧
補償処理による補償量は、図11に示す偏差補償処理、
図12に示す不感帯補償処理及び駆動力補償処理による
補償量の合計値とされる。先ず、偏差補償処理について
説明すると、図11に示すように前述のスリップ率偏差
Es** に応じた時間Ttcが設定され、フィードフォワー
ド補償処理開始時(n)の偏差分の総増圧時間ΣTfd
(n) として時間Ttc(n-1) が設定される。
【0043】次に、不感帯補償処理について図12を参
照して説明する。ホイールシリンダにブレーキ液圧が付
与されてから車輪に制動力が付与されるまでには、一定
の時間を必要とする。即ち、ブレーキ液が充填されてブ
レーキパッドの移動等に要する時間は制動力が付与され
ない。このため、この時間Ttbを増圧時間に組み入れる
必要があり、これを不感帯の時間として、増圧時間に加
算する。ホイールシリンダの充填上限液量Kd (ホイー
ルシリンダにブレーキ液が充填され制動力が付与される
までの量)から前回のホイールシリンダ液圧Wc (n-1)
による量を減じた差に応じて、不感帯の時間Ttbが設定
される。但し、演算上ホイールシリンダ液圧Wc (n-1)
の方が充填上限液圧値Kd より大となる場合には上記の
差は0とされる(図12中、これをLL=0で表す)。
【0044】駆動力補償処理による補償量は、駆動輪に
制動力が付与される場合の補償処理に関するもので、制
動力によって駆動力を相殺した後に更に制動力を付与す
る必要があるので、これに必要な時間Ttdが設定され
る。ここでも、演算上ホイールシリンダ液圧Wc (n-1)
の方が充填上限液圧値Kd より大となる場合には上記の
差は0とされる(LL=0)。そして、図12に示すよう
に固定分の総増圧時間ΣTff(n) が不感帯補償処理によ
る時間Ttb(n-1) と駆動力補償処理による時間Ttd
(n-1) の和とされ、更に前述の偏差分の総増圧時間ΣT
fd(n) が加算され、これらの合計値が総増圧時間Tupと
される。
【0045】而して、総増圧時間Tupに応じてソレノイ
ド駆動信号のデューティが図13に示すように設定され
る。先ず、総増圧時間ΣTfd(n) の例えば70ms前ま
では100%のデューティで、40ms前までは50
%、20ms前までは25%、それ以降は12.5%に
設定され、制御が終るまでその値に維持される。これに
より、円滑なブレーキ液圧制御が確保される。
【0046】フィードフォワード補償処理における減圧
補償処理による補償量は、図14に示すように減圧時に
必要とされる偏差補償処理による補償量のみとなる。即
ち、前述のスリップ率偏差Es** に応じた時間Ttcが設
定され、フィードフォワード補償処理開始時(n)の偏
差分の総増圧時間ΣTfd(n) として時間Ttc(n-1) が設
定される。そして、総増圧時間Tdnに応じてソレノイド
駆動信号のデューティが図15 に示すように設定され、
総増圧時間ΣTfd(n) の70ms前までは50%のデュ
ーティで、40ms前までは25%、20ms前までは
12.5%、それ以降は6.5%に設定され、制御が終
るまでその値に維持される。
【0047】図18は上記実施形態におけるブレーキ液
圧制御装置PCの一例を示すもので、マスタシリンダM
C及び液圧ブースタHBがブレーキペダルBPの操作に
応じて駆動される。液圧ブースタHBには補助液圧源A
Pが接続されており、これらはマスタシリンダMCと共
に低圧リザーバRSに接続されている。
【0048】補助液圧源APは、液圧ポンプHP及びア
キュムレータAccを有する。液圧ポンプHPは電動モー
タMによって駆動され、低圧リザーバRSのブレーキ液
を昇圧して出力し、このブレーキ液が逆止弁CV6を介
してアキュムレータAccに供給され、蓄圧される。電動
モータMは、アキュムレータAcc内の液圧が所定の下限
値を下回ることに応答して駆動され、またアキュムレー
タAcc内の液圧が所定の上限値を上回ることに応答して
停止する。尚、アキュムレータAccと低圧リザーバRS
との間にはリリーフバルブRVが介装されている。而し
て、アキュムレータAccから所謂パワー液圧が適宜液圧
ブースタHBに供給される。液圧ブースタHBは、補助
液圧源APの出力液圧を入力し、マスタシリンダMCの
出力液圧をパイロット圧として、これに比例したブース
タ液圧に調圧するもので、これによってマスタシリンダ
MCが倍力駆動される。
【0049】マスタシリンダMCと車両前方のホイール
シリンダWfr,Wflの各々を接続する前輪側の液圧
路には、電磁切換弁SA1及びSA2が介装されてお
り、これらは制御通路Pfr及びPflを介して夫々電
磁開閉弁PC1,PC5及び電磁開閉弁PC2,PC6
に接続されている。また、液圧ブースタHBとホイール
シリンダWrl等の各々を接続する液圧路には電磁開閉
弁SA3、給排制御用の電磁開閉弁PC1乃至PC8が
介装されており、後輪側には比例減圧弁PVが介装され
ている。そして、電磁開閉弁STRを介して補助液圧源
APが電磁開閉弁SA3の下流側に接続されている。図
18では前輪の液圧制御系と後輪の液圧制御系に区分さ
れた前後配管が構成されているが、所謂X配管としても
よい。
【0050】前輪側液圧系において、電磁開閉弁PC1
及びPC2は電磁開閉弁STRに接続されている。電磁
開閉弁STR及びSA3は2ポート2位置の電磁開閉弁
であり、電磁開閉弁SA3が作動時の閉位置に切り換え
られると、電磁開閉弁PC1,PC2は液圧ブースタH
Bとの連通が遮断され、このとき電磁開閉弁STRが作
動すればアキュムレータAccと連通する。電磁切換弁S
A1及び電磁切換弁SA2は3ポート2位置の電磁切換
弁で、非作動時は図18に示す第1位置にあってホイー
ルシリンダWfr,Wflは何れもマスタシリンダMC
に連通接続されているが、ソレノイドコイルが励磁され
第2位置に切換わると、ホイールシリンダWfr,Wf
lは何れもマスタシリンダMCとの連通が遮断され、夫
々電磁開閉弁PC1及びPC5、電磁開閉弁PC2及び
PC6と連通する。
【0051】これら電磁開閉弁PC1及びPC2に対し
て並列に逆止弁CV1及びCV2が接続されており、逆
止弁CV1の流入側が制御通路Pfrに、逆止弁CV2
の流入側が制御通路Pflに夫々接続されている。逆止
弁CV1は、電磁切換弁SA1が作動位置(第2位置)
にある場合において、ブレーキペダルBPが開放された
ときには、ホイールシリンダWfrのブレーキ液圧を液
圧ブースタHBの出力液圧の低下に迅速に追従させるた
めに設けられたもので、液圧ブースタHB方向へのブレ
ーキ液の流れは許容されるが逆方向の流れは阻止され
る。尚、逆止弁CV2についても同様である。
【0052】次に、後輪側液圧系について説明すると、
電磁開閉弁SA3は2ポート2位置の電磁開閉弁で、非
作動時には図18に示す開位置にあって、電磁開閉弁P
C3,PC4は比例減圧弁PVを介して液圧ブースタH
Bと連通する。このとき、電磁開閉弁STRは閉位置と
され、アキュムレータAccとの連通が遮断される。電磁
開閉弁SA3が作動時の閉位置に切換えられると、電磁
開閉弁PC3,PC4は液圧ブースタHBとの連通が遮
断され、比例減圧弁PVを介して電磁開閉弁STRに接
続され、この電磁開閉弁STRが作動時にアキュムレー
タAccと連通する。
【0053】また、電磁開閉弁PC3及びPC4に対し
て並列に逆止弁CV3及びCV4が接続されており、逆
止弁CV3の流入側がホイールシリンダWrrに、逆止
弁CV4の流入側がホイールシリンダWrlに夫々接続
されている。これらの逆止弁CV3,CV4は、ブレー
キペダルBPが開放されたときには、ホイールシリンダ
Wrr,Wrlのブレーキ液圧を液圧ブースタHBの出
力液圧の低下に迅速に追従させるために設けられたもの
で、電磁開閉弁SA3方向へのブレーキ液の流れが許容
され逆方向の流れは阻止される。更に、逆止弁CV5が
電磁開閉弁SA3に並列に設けられており、電磁開閉弁
SA3が閉位置にあるときにも、ブレーキペダルBPに
よる踏み増しが可能とされている。
【0054】上記電磁切換弁SA1,SA2及び電磁開
閉弁SA3,STR並びに電磁開閉弁PC1乃至PC8
は前述の電子制御装置ECUによって駆動制御され、前
述の制動操舵制御を初めとする各種制御が行なわれる。
例えば、ブレーキペダルBPが操作されていない状態で
行なわれる制動操舵制御時には、液圧ブースタHB及び
マスタシリンダMCからはブレーキ液圧が出力されない
ので、電磁切換弁SA1,SA2が第2位置とされ、電
磁開閉弁SA3が閉位置とされ、そして電磁開閉弁ST
Rが開位置とされる。これにより、補助液圧源APの出
力パワー液圧が電磁開閉弁STR並びに開状態の電磁開
閉弁PC1乃至PC8を介してホイールシリンダWfr
等に供給され得る状態となる。
【0055】而して、電磁開閉弁PC1乃至PC8が適
宜開閉駆動されることによって各ホイールシリンダ内の
ブレーキ液圧が急増圧、パルス増圧(緩増圧)、パルス
減圧(緩減圧)、急減圧、及び保持状態とされ、前述の
制動操舵制御、アンチスキッド制御等が行なわれる。更
に、これらの制動力制御に加え、必要に応じ、車両の運
転状態に応じてスロットル制御装置THのサブスロット
ル開度が調整されエンジンEGの出力が低減され、駆動
力が制限される。
【0056】尚、本発明は後輪駆動車に限ることなく、
前輪駆動車又は四輪駆動車にも適用することができる。
四輪駆動車の場合には全ての車輪が制御対象となり、車
輪速度センサでは車体速度を検出することができなくな
るので別途センサを設ける必要がある。
【0057】
【発明の効果】本発明は上述のように構成されているの
で以下の効果を奏する。即ち、本発明の車両の運動制御
装置においては、液圧サーボ制御手段による制御が可逆
制御領域にあるか否かを制御領域判定手段によって判定
し、可逆制御領域において液圧サーボ制御中であると判
定し、且つ偏差演算手段の演算結果の偏差が所定値以上
のときには、液圧補償処理手段が偏差に応じてブレーキ
液圧制御装置を制御し、ホイールシリンダに付与するブ
レーキ液圧を増圧又は減圧するように補償処理を行なう
こととしているので、液圧補償処理によって各車輪のブ
レーキ液圧制御を迅速且つ的確に行ない、ブレーキ液圧
の良好な追従性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両の運動制御装置の概要を示すブロ
ック図である。
【図2】本発明の運動制御装置の一実施形態の全体構成
図である。
【図3】本発明の運動制御装置の一実施形態の機能ブロ
ック図である。
【図4】本発明の一実施形態における液圧サーボ制御に
係る機能ブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態におけるフィードフォワー
ド補償処理の開始/終了判定に係る機能ブロック図であ
る。
【図6】本発明の一実施形態における液圧補償処理に係
る機能ブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態における増圧時の差圧補償
処理に係る機能ブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態における減圧時の差圧補償
処理に係る機能ブロック図である。
【図9】異なるパワー液圧における差圧と路面摩擦係数
との関係を示すグラフである。
【図10】差圧と路面摩擦係数との関係を示すグラフで
ある。
【図11】本発明の一実施形態における増圧時のフィー
ドフォワード補償処理における偏差補償処理に係る機能
ブロック図である。
【図12】本発明の一実施形態における増圧時のフィー
ドフォワード補償処理における不感帯補償処理及び駆動
力補償処理に係る機能ブロック図である。
【図13】本発明の一実施形態における増圧時のフィー
ドフォワード補償処理におけるデューティの状況を示す
グラフである。
【図14】本発明の一実施形態における減圧時のフィー
ドフォワード補償処理における偏差補償処理に係る機能
ブロック図である。
【図15】本発明の一実施形態における減圧時のフィー
ドフォワード補償処理におけるデューティの状況を示す
グラフである。
【図16】路面摩擦係数とスリップ率の関係を示すグラ
フである。
【図17】一つの車輪に対するアンチスキッド制御状況
を示すグラフである。
【図18】本発明の一実施形態におけるブレーキ液圧制
御装置の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
BP ブレーキペダル BS ブレーキスイッチ MC マスタシリンダ HB 液圧ブースタ Wfr,Wfl,Wrr,Wrl ホイールシリンダ WS1〜WS4 車輪速度センサ FR,FL,RR,RL 車輪 PC ブレーキ液圧制御装置 ST サブスロットルバルブ EG エンジン GS 変速制御装置 YS ヨーレイトセンサ YG 横加速度センサ FI 燃料噴射装置 DF ディファレンシャルギヤ SSf 前輪舵角センサ CMP マイクロコンピュータ IPT 入力ポート OPT 出力ポート ECU 電子制御装置 AMP 増幅回路 ACT 駆動回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 孝之 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 山崎 憲雄 愛知県刈谷市昭和町2丁目3番地 アイシ ン・ニューハード株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の各車輪に装着したホイールシリン
    ダに対し少くともブレーキペダルの操作に応じてブレー
    キ液圧を付与するブレーキ液圧制御装置と、前記車両の
    運動状態を判定する車両状態判定手段と、該車両状態判
    定手段の判定結果に基づき各車輪毎の目標値を設定する
    目標値設定手段と、該目標値設定手段が設定した目標値
    に対応する前記車両の運動状態に係る各車輪毎の実測値
    を検出する実測値検出手段と、該実測値検出手段が検出
    した実測値と前記目標値との偏差を演算する偏差演算手
    段と、該偏差演算手段の演算結果に応じて前記ブレーキ
    液圧制御装置をサーボ制御し前記ホイールシリンダに付
    与するブレーキ液圧を制御する液圧サーボ制御手段とを
    備えた車両の運動制御装置において、前記液圧サーボ制
    御手段による制御が可逆制御領域にあるか否かを判定す
    る制御領域判定手段と、該制御領域判定手段が、可逆制
    御領域において前記液圧サーボ制御手段が制御中である
    と判定し、且つ前記偏差演算手段の演算結果の偏差を所
    定値と比較し所定値以上のときには、前記偏差に応じて
    前記ブレーキ液圧制御装置を制御し、前記ホイールシリ
    ンダに付与するブレーキ液圧を増圧又は減圧するように
    補償処理を行なう液圧補償処理手段とを備えたことを特
    徴とする車両の運動制御装置。
  2. 【請求項2】 前記液圧補償処理手段が、前記液圧サー
    ボ制御手段によるサーボ制御に対しフィードフォワード
    により、前記偏差演算手段の演算結果に応じて前記ブレ
    ーキ液圧制御装置を制御し、前記ホイールシリンダに付
    与するブレーキ液圧を増圧又は減圧するように補償処理
    を行なう偏差補償処理手段を備えたことを特徴とする請
    求項1記載の車両の運動制御装置。
  3. 【請求項3】 前記液圧補償処理手段が、前記液圧サー
    ボ制御手段によるサーボ制御に対しフィードフォワード
    により、予め設定した不感帯領域に応じて前記ブレーキ
    液圧制御装置を制御し、前記ホイールシリンダに付与す
    るブレーキ液圧を増圧するように補償処理を行なう不感
    帯補償処理手段を備えたことを特徴とする請求項1記載
    の車両の運動制御装置。
  4. 【請求項4】 前記液圧補償処理手段が、前記液圧サー
    ボ制御手段によるサーボ制御に対しフィードフォワード
    により、前記車両の駆動側の車輪に対し、駆動力を相殺
    する制動力を付与するように、前記ブレーキ液圧制御装
    置を制御し、前記ホイールシリンダに付与するブレーキ
    液圧を増圧するように補償処理を行なう駆動力補償処理
    手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の車両の運
    動制御装置。
  5. 【請求項5】 前記目標値及び実測値として、前記車両
    の各車輪毎のスリップ率を用いたことを特徴とする請求
    項1記載の車両の運動制御装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010260488A (ja) * 2009-05-08 2010-11-18 Toyota Motor Corp 車両の制動制御装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010260488A (ja) * 2009-05-08 2010-11-18 Toyota Motor Corp 車両の制動制御装置

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