JP3627328B2 - 車両の運動制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、車両の旋回時等において、ブレーキペダル操作とは無関係に各車輪に対して制動力を付与することにより、過度のオーバーステア及び過度のアンダーステアを抑制制御する車両の運動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、車両の運動特性、特に旋回特性を制御する手段として、制動力の左右差制御により旋回モーメントを直接制御する手段が注目され、実用に供されつつある。例えば、特開平2−70561号公報には、車両の横力の影響を補償する制動制御手段により車両の安定性を維持する運動制御装置が提案されている。同装置においては、実ヨーレイトと目標ヨーレイトの比較結果に応じて制動制御手段により車両に対する制動力を制御するように構成されており、例えばコーナリング時の車両の運動に対しても確実に安定性を維持することができる。
【0003】
一般的に、操舵特性を表す語としてオーバーステアあるいはアンダーステアという語が用いられるが、前者が過大となると、車両の旋回中に後輪の横すべりが大となって車両が所望の旋回半径の内側にはみ出す状態となる。この状態を過度のオーバーステアと呼び、前輪のコーナリングフォースCFf が後輪のコーナリングフォースCFr より極端に大きく(CFf >>CFr )なったときに生ずる。例えば、図14に示すように車両VLが旋回半径Rのカーブを旋回するときに必要な横加速度Gy は、車両の速度をVとするとGy =V/Rとして求められ、これに車両VLの質量mを乗じた値m・Gy が、旋回半径Rを旋回するときに必要なコーナリングフォースの合計CFo となる(CFo =ΣCF=m・Gy )。従って、旋回半径Rのカーブを旋回するのに必要なコーナリングフォースの合計CFo より前輪及び後輪のコーナリングフォースCFf ,CFr の和の方が大となり(CFo <CFf +CFr )、且つ前輪のコーナリングフォースCFf が後輪のコーナリングフォースCFr より極端に大きくなると(CFf >>CFr )、車両VLの旋回半径が小さくなり、車両VLはカーブの内側に回り込み、図14に示す状態となる。
【0004】
また、アンダーステアが過大となると、車両の旋回中に生ずる横すべりが大となり、車両が所望の旋回半径から外側にはみ出す状態となる。これを過度のアンダーステアと呼び、図15に示すように前輪と後輪のコーナリングフォースCFf ,CFr が略等しく釣り合っているか、あるいは後輪側のコーナリングフォースCFr の方が僅かに大きい場合(CFf <CFr )で、旋回半径Rのカーブを旋回可能なコーナリングフォースの合計CFo より前輪及び後輪のコーナリングフォースCFf ,CFr の和の方が小さくなると(CFo >CFf +CFr )、車両VLの旋回半径が大きくなり、車両VLはカーブの外側へはみ出すこととなる。
【0005】
上記過度のオーバーステアは、例えば車体横すべり角(β)と車体横すべり角速度(Dβ)に基づいて判定される。車両が旋回中において、過度のオーバーステアと判定されたときには、例えば旋回外側の前輪に制動力が付与され、車両に対し外向きのモーメント、即ち車両を旋回外側に向けるモーメントが生ずるように制御される。これをオーバーステア抑制制御と呼び、安定性制御とも呼ばれる。
【0006】
一方、過度のアンダーステアは、例えば目標横加速度と実横加速度との差、もしくは目標ヨーレイトと実ヨーレイトとの差に基づいて判定される。そして、上記車両VLが旋回中に過度のアンダーステアと判定されたときには、例えば後輪駆動の場合、旋回外側の前輪及び後二輪に制動力が付与され、車両に対し内向きのモーメント、即ち車両を旋回内側に向けるモーメントが生ずるように制御される。これはアンダーステア抑制制御と呼び、コーストレース性制御とも呼ばれる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような運動制御装置を備えた車両において、制動操舵制御中に運転者が更に減速させるためにブレーキ操作を行なった場合には、制動操舵制御を中止することとし運転者によるブレーキ操作を優先させることが考えられる。然し乍ら、制動操舵制御中止時に各車輪の減速度が急減することになるため、運転者に違和感を与えることになる。また、制動操舵制御中止後は運転者が自己の運転操作によって安定性あるいはコーストレース性を確保しなければならないことになり、折角の運動制御装置の機能を十分活用し得ないことになる。
【0008】
また、別の手段として、四つの車輪のうち一つの従動車輪を制御対象から除外して非制御輪とし、この車輪速度に基づき推定車体速度の演算を行なうことが一般的であることから、ブレーキペダルが操作され非制御輪に制動力が付与されたときのスリップ率を演算し、制御輪の目標スリップ率に加算することも考えられる。然し乍ら、これによっても、ブレーキペダルが操作されてから、非制御輪のホイールシリンダにブレーキ液圧が付与されて制動力が生じスリップ率が変化するまでに時間を要するため、制御輪のホイールシリンダが増圧されて制動力が生ずるまでには時間遅れが生じ、運転者に減速不足感を与えることになる。
【0009】
更に、制御輪のホイールシリンダに対する最大増圧勾配より高い増圧勾配で運転者がブレーキ操作を行ない、非制御輪のホイールシリンダの方が制御論のホイールシリンダより高圧となった場合には、所期の制動操舵制御効果を期待できなくなる。
【0010】
そこで、本発明は少くとも制動操舵制御機能を有する車両の運動制御装置において、制動操舵制御中に運転者がブレーキ操作を行なった場合にも、制動操舵制御作動を維持しつつブレーキ操作に応じた制動作動を円滑に行ない得るようにすることを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は、図1に構成の概要を示したように、車両前方及び後方の各車輪FR,FL,RR,RLに対し少くともブレーキペダルBPの操作に応じて制動力を付与するブレーキ液圧制御装置PCと、車両の運動状態を判定する車両状態判定手段DRと、この車両状態判定手段DRの判定結果に基づきブレーキ液圧制御装置PCをブレーキペダルBPの操作とは無関係に制御し、車両が旋回中に過度のオーバーステアと判定したときには、車両に対し外向きのモーメントが生ずるように車両の各車輪に制動力を付与すると共に、車両が旋回中に過度のアンダーステアと判定したときには、車両に対し内向きのモーメントが生ずるように車両の各車輪に制動力を付与し、制動操舵制御を行う運動制御手段MAを備えている。そして、ブレーキペダルBPの操作に応じたブレーキ操作量を検出するブレーキ操作量検出手段BDと、運動制御手段MAにより制動操舵制御が行なわれているときにブレーキペダルBPが操作されたときには、ブレーキ操作量検出手段BDが検出したブレーキ操作量に応じて、各車輪に付与する制動力が増大するように、運動制御手段MAに対し補正制御を行なう補正制御手段ACを備えている。
【0012】
尚、ブレーキ液圧制御装置PCは、後述の実施形態に示すように、ブレーキペダルBPの操作に応じてブレーキ液圧を出力するマスタシリンダのほか、例えば液圧ポンプ及びアキュムレータを備えた補助液圧源を含み、ブレーキペダルBPの非操作時にも補助液圧源からブレーキ液圧を出力するように構成することができる。車両状態判定手段DRは、例えば各車輪の車輪速度、車輪加速度、車体横加速度、ヨーレイト等を検出し、これらの検出結果、並びに検出結果に基づいて演算した推定車体速度、車体横すべり角等に基づき、車両の運動状態を判定するように構成し、過度のオーバーステア及び過度のアンダーステアの発生を判定することができる。
【0013】
上記運動制御手段MAは図1に破線で示したように、少くとも車両状態判定手段DRの判定結果に基づいて車両の各車輪に対する目標スリップ率を設定する目標スリップ率設定手段DSと、車両の各車輪の実スリップ率を測定するスリップ率測定手段SPと、目標スリップ率と実スリップ率との偏差を演算するスリップ率偏差演算手段SDを具備したものとし、ブレーキ液圧制御装置PCを前記偏差に応じて制御するように構成すると共に、補正制御手段ACを、運動制御手段MAにより制動操舵制御が行なわれているときにブレーキペダルBPが操作されたときには、目標スリップ率設定手段DSに対し、ブレーキ操作量検出手段BDが検出したブレーキ操作量に応じて目標スリップ率を補正するスリップ率補正手段ASを備えている
【0014】
あるいは、ブレーキ操作量検出手段BDを、図1に破線で示したように、ブレーキ液圧制御装置PCにおいてブレーキペダルBPの操作に応じて増圧するブレーキ液圧の圧力値を推定するブレーキ液圧推定手段PEを含むものとし、このブレーキ液圧推定手段PEによって推定した各車輪に対するブレーキ液圧のうち非制御中の車輪のブレーキ液圧の増圧勾配を演算する増圧勾配演算手段PFと、この増圧勾配演算手段PFが演算した増圧勾配を、制御中の車輪のブレーキ液圧の最大増圧勾配と比較し、最大増圧勾配を下回るように非制御中の車輪に対するブレーキ液圧制御装置PCによる制御を規制する最大増圧勾配規制手段MPを設けたものとしてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の望ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
図2は本発明の運動制御装置の一実施形態を示すもので、本実施形態のエンジンEGはスロットル制御装置TH及び燃料噴射装置FIを備えた内燃機関で、スロットル制御装置THにおいてはアクセルペダルAPの操作に応じてメインスロットルバルブMTのメインスロットル開度が制御される。また、電子制御装置ECUの出力に応じて、スロットル制御装置THのサブスロットルバルブSTが駆動されサブスロットル開度が制御されると共に、燃料噴射装置FIが駆動され燃料噴射量が制御されるように構成されている。本実施形態のエンジンEGは変速制御装置GS及びディファレンシャルギヤDFを介して車両後方の車輪RL,RRに連結されており、所謂後輪駆動方式が構成されているが、本発明における駆動方式をこれに限定するものではない。
【0016】
次に、制動系については、車輪FL,FR,RL,RRに夫々ホイールシリンダWfl,Wfr,Wrl,Wrrが装着されており、これらのホイールシリンダWfl等にブレーキ液圧制御装置PCが接続されている。尚、車輪FLは運転席からみて前方左側の車輪を示し、以下車輪FRは前方右側、車輪RLは後方左側、車輪RRは後方右側の車輪を示しており、本実施形態では前輪の液圧制御系と後輪の液圧制御系に区分された前後配管が構成されているが、所謂X配管としてもよい。
【0017】
車輪FL,FR,RL,RRには車輪速度センサWS1乃至WS4が配設され、これらが電子制御装置ECUに接続されており、各車輪の回転速度、即ち車輪速度に比例するパルス数のパルス信号が電子制御装置ECUに入力されるように構成されている。更に、ブレーキペダルBPが踏み込まれたときオンとなるブレーキスイッチBS、車両前方の車輪FL,FRの舵角δf を検出する前輪舵角センサSSf、車両の横加速度を検出する横加速度センサYG及び車両のヨーレイトを検出するヨーレイトセンサYS等が電子制御装置ECUに接続されている。ヨーレイトセンサYSにおいては、車両重心を通る鉛直軸回りの車両回転角(ヨー角)の変化速度、即ちヨー角速度(ヨーレイト)が検出され、実ヨーレイトγとして電子制御装置ECUに出力される。
【0018】
尚、従動輪側の左右の車輪(本実施形態では車両前方の車輪FL,FR)の車輪速度差Vfd(=Vwfr −Vwfl )に基づき実ヨーレイトγを推定することができるので、車輪速度センサWS1及びWS2の検出出力を利用することとすればヨーレイトセンサYSを省略することができる。更に、車輪RL,RR間に舵角制御装置(図示せず)を設けることとしてもよく、これによれば電子制御装置ECUの出力に応じてモータ(図示せず)によって車輪RL,RRの舵角を制御することもできる。
【0019】
本実施形態の電子制御装置ECUは、図2に示すように、バスを介して相互に接続されたプロセシングユニットCPU、メモリROM,RAM、入力ポートIPT及び出力ポートOPT等から成るマイクロコンピュータCMPを備えている。上記車輪速度センサWS1乃至WS4、ブレーキスイッチBS、前輪舵角センサSSf、ヨーレイトセンサYS、横加速度センサYG等の出力信号は増幅回路AMPを介して夫々入力ポートIPTからプロセシングユニットCPUに入力されるように構成されている。また、出力ポートOPTからは駆動回路ACTを介してスロットル制御装置TH及びブレーキ液圧制御装置PCに夫々制御信号が出力されるように構成されている。マイクロコンピュータCMPにおいては、メモリROMは図6乃至図9に示したフローチャートを含む種々の処理に供するプログラムを記憶し、プロセシングユニットCPUは図示しないイグニッションスイッチが閉成されている間当該プログラムを実行し、メモリRAMは当該プログラムの実行に必要な変数データを一時的に記憶する。尚、スロットル制御等の各制御毎に、もしくは関連する制御を適宜組合せて複数のマイクロコンピュータを構成し、相互間を電気的に接続することとしてもよい。
【0020】
図3は本実施形態におけるブレーキ液圧制御装置PCの一例を示すもので、マスタシリンダMC及び液圧ブースタHBがブレーキペダルBPの操作に応じて駆動される。液圧ブースタHBには補助液圧源APが接続されており、これらはマスタシリンダMCと共に低圧リザーバRSに接続されている。
【0021】
補助液圧源APは、液圧ポンプHP及びアキュムレータAccを有する。液圧ポンプHPは電動モータMによって駆動され、低圧リザーバRSのブレーキ液を昇圧して出力し、このブレーキ液が逆止弁CV6を介してアキュムレータAccに供給され、蓄圧される。電動モータMは、アキュムレータAcc内の液圧が所定の下限値を下回ることに応答して駆動され、またアキュムレータAcc内の液圧が所定の上限値を上回ることに応答して停止する。尚、アキュムレータAccと低圧リザーバRSとの間にはリリーフバルブRVが介装されている。而して、アキュムレータAccから所謂パワー液圧が適宜液圧ブースタHBに供給される。液圧ブースタHBは、補助液圧源APの出力液圧を入力し、マスタシリンダMCの出力液圧をパイロット圧として、これに比例したブースタ液圧に調圧するもので、これによってマスタシリンダMCが倍力駆動される。
【0022】
マスタシリンダMCと車両前方のホイールシリンダWfr,Wflの各々を接続する前輪側の液圧路には、電磁切換弁SA1及びSA2が介装されており、これらは制御通路Pfr及びPflを介して夫々電磁開閉弁PC1,PC5及び電磁開閉弁PC2,PC6に接続されている。また、液圧ブースタHBとホイールシリンダWfr等の各々を接続する液圧路には電磁開閉弁SA3、給排制御用の電磁開閉弁PC1乃至PC8が介装されており、後輪側には比例減圧弁PVが介装されている。そして、電磁開閉弁STRを介して補助液圧源APが電磁開閉弁SA3の下流側に接続されている。図3では前輪の液圧制御系と後輪の液圧制御系に区分された前後配管が構成されているが、所謂X配管としてもよい。
【0023】
前輪側液圧系において、電磁開閉弁PC1及びPC2は電磁開閉弁STRに接続されている。電磁開閉弁STRは2ポート2位置の電磁開閉弁であり、非作動時の閉位置では遮断状態で、作動時の開位置では電磁開閉弁PC1及びPC2を直接アキュムレータAccに連通する。電磁切換弁SA1及び電磁切換弁SA2は3ポート2位置の電磁切換弁で、非作動時は図3に示す第1位置にあってホイールシリンダWfr,Wflは何れもマスタシリンダMCに連通接続されているが、ソレノイドコイルが励磁され第2位置に切換わると、ホイールシリンダWfr,Wflは何れもマスタシリンダMCとの連通が遮断され、夫々電磁開閉弁PC1及びPC5、電磁開閉弁PC2及びPC6と連通する。
【0024】
これら電磁開閉弁PC1及びPC2に対して並列に逆止弁CV1及びCV2が接続されており、逆止弁CV1の流入側が制御通路Pfrに、逆止弁CV2の流入側が制御通路Pflに夫々接続されている。逆止弁CV1は、電磁切換弁SA1が作動位置(第2位置)にある場合において、ブレーキペダルBPが開放されたときには、ホイールシリンダWfrのブレーキ液圧を液圧ブースタHBの出力液圧の低下に迅速に追従させるために設けられたもので、液圧ブースタHB方向へのブレーキ液の流れは許容されるが逆方向の流れは阻止される。尚、逆止弁CV2についても同様である。
【0025】
次に、後輪側液圧系について説明すると、電磁開閉弁SA3は2ポート2位置の電磁開閉弁で、非作動時には図3に示す開位置にあって、電磁開閉弁PC3,PC4は比例減圧弁PVを介して液圧ブースタHBと連通する。このとき、電磁開閉弁STRは閉位置とされ、アキュムレータAccとの連通が遮断される。電磁開閉弁SA3が作動時の閉位置に切換えられると、電磁開閉弁PC3,PC4は液圧ブースタHBとの連通が遮断され、比例減圧弁PVを介して電磁開閉弁STRに接続され、この電磁開閉弁STRが作動時にアキュムレータAccと連通する。
【0026】
また、電磁開閉弁PC3及びPC4に対して並列に逆止弁CV3及びCV4が接続されており、逆止弁CV3の流入側がホイールシリンダWrrに、逆止弁CV4の流入側がホイールシリンダWrlに夫々接続されている。これらの逆止弁CV3,CV4は、ブレーキペダルBPが開放されたときには、ホイールシリンダWrr,Wrlのブレーキ液圧を液圧ブースタHBの出力液圧の低下に迅速に追従させるために設けられたもので、電磁開閉弁SA3方向へのブレーキ液の流れが許容され逆方向の流れは阻止される。更に、逆止弁CV5が電磁開閉弁SA3に並列に設けられており、電磁開閉弁SA3が閉位置にあるときにも、ブレーキペダルBPによる踏み増しが可能とされている。
【0027】
上記電磁切換弁SA1,SA2及び電磁開閉弁SA3,STR並びに電磁開閉弁PC1乃至PC8は前述の電子制御装置ECUによって駆動制御され、前述の制動操舵制御を初めとする各種制御が行なわれる。例えば、ブレーキペダルBPが操作されていない状態で行なわれる制動操舵制御時には、液圧ブースタHB及びマスタシリンダMCからはブレーキ液圧が出力されないので、電磁切換弁SA1,SA2が第2位置とされ、電磁開閉弁SA3が閉位置とされ、そして電磁開閉弁STRが開位置とされる。これにより、補助液圧源APの出力パワー液圧が電磁開閉弁STR並びに開状態の電磁開閉弁PC1乃至PC8を介してホイールシリンダWfr等に供給され得る状態となる。而して、電磁開閉弁PC1乃至PC8が適宜開閉駆動されることによって各ホイールシリンダ内のブレーキ液圧が急増圧、パルス増圧(緩増圧)、パルス減圧(緩減圧)、急減圧、及び保持状態とされ、前述のようにオーバーステア抑制制御及び/又はアンダーステア抑制制御が行なわれる。
【0028】
更に、マスタシリンダMCの出力側の液圧路には、ブレーキペダルBPの操作に応じたブレーキ操作量を検出するブレーキ操作量検出手段として、図3に示すように圧力センサPSが配設されており、マスタシリンダMCの出力液圧Pm (マスタシリンダ液圧Pm )に応じた信号が出力される。尚、ブレーキペダルBPの操作に応じたブレーキ操作量としては、上記マスタシリンダ液圧Pm に限らず、例えばブレーキペダルBPのストローク又は踏力を用いることとしてもよく、これらを検出するブレーキ操作量検出手段としてストロークセンサ(図示せず)又は踏力センサ(図示せず)をブレーキペダルBP近傍に配置することとしてもよい。ストロークセンサは、ブレーキペダルBPの操作開始当初を除き、マスタシリンダ液圧Pm に対し略リニアとなる特性が得られ、踏力センサはマスタシリンダ液圧Pm に対し操作開始からリニアとなる。
【0029】
図4は上記マイクロコンピュータCMPの処理機能に関し、特に本実施形態に特徴的な作動を示したブロック図で、ブロックB11では、後述する液圧サーボ制御に供する目標スリップ率St** が設定され、これにブロックB12にて演算された補正量ΔSp** が加算されて、新たな目標スリップ率St** としてブロックB13の液圧サーボ制御に供される。補正量ΔSp** は圧力センサPSの出力であるマスタシリンダ液圧Pm に応じてΔSp** =Kp ・Pm として求められる。そして、係数Kp は次のように求められる。即ち、車輪がロックしない領域ではμ=a・Sp が成立し、更にFb =μp ・Pm ・A・Rc /Rt 及びFb =μ・Ww の関係から、Kp =μp ・A・Rc /a・Ww ・Rt が求められる。ここで、μはタイヤと路面間の摩擦係数(即ち、路面摩擦係数)であり、Sp はタイヤのスリップ率、Fb は制動力、μp はブレーキパッドの摩擦係数、Pm はマスタシリンダ液圧、Aはホイールシリンダの面積、Rc はキャリパの有効半径、Rt はタイヤの有効半径、Ww は輪荷重を夫々表す。
【0030】
また、図5は制動操舵制御中の車輪のホイールシリンダに対する最大増圧勾配より、非制御中の車輪のホイールシリンダの増圧勾配が大とならないように制御する構成に係るもので、非制御輪として、例えば車輪FR(又はFL)のホイールシリンダWfr(又はWfl)に接続された電磁開閉弁が、ブロックB21乃至B25によって適宜制御される。即ち、ブロックB21にて非制御輪の車輪FRに供給されるマスタシリンダ液圧Pm が検出され、ブロックB22にて増圧勾配DPm がDPm =d/dt(Pm )として求められ、最大増圧勾配DPx と比較される。マスタシリンダ液圧Pm に基づく増圧勾配DPm が最大増圧勾配DPx より大であれば、ブロックB24によって、非制御輪たる車輪FR(又はFL)に接続された増圧用の電磁開閉弁PC1(又はPC2)が通電され、閉位置とされる。同時に、ブロックB25によって、電磁切換弁SA1(又はSA2)に対し通電及び非通電が繰り返され、非制御輪の車輪FR(又はFL)における増圧勾配DPm が最大増圧勾配DPx を越えないようにデューティ制御される。
【0031】
上記のように構成された本実施形態においては、電子制御装置ECUにより制動操舵制御、アンチスキッド制御等の一連の処理が行なわれ、イグニッションスイッチ(図示せず)が閉成されると図6乃至図9等のフローチャートに対応したプログラムの実行が開始する。図6は車両の運動制御作動を示すもので、先ずステップ101にてマイクロコンピュータCMPが初期化され、各種の演算値がクリアされる。次にステップ102において、車輪速度センサWS1乃至WS4の検出信号が読み込まれると共に、前輪舵角センサSSfの検出信号(舵角δf )、ヨーレイトセンサYSの検出信号(実ヨーレイトγ)及び横加速度センサYGの検出信号(即ち、実横加速度であり、Gyaで表す)が読み込まれる。
【0032】
続いてステップ103に進み、各車輪の車輪速度Vw** (**は車輪FL,FR,RL,RR を代表して表す)が演算され、これらの演算結果に基づきステップ104にて車体速度が推定され、各車輪毎に推定車体速度Vso**が求められ、更に、必要に応じ、車両旋回時の内外輪差等に基づく誤差を低減するため正規化が行われる。即ち、正規化推定車体速度NVso**がNVso**=Vso**(n) −ΔVr** (n) として演算される。ここで、ΔVr**(n)は旋回補正用の補正係数で、例えば以下のように設定される。即ち、補正係数ΔVr** (**は各車輪FR等を表し、特にFWは前二輪、RWは後二輪を表す)は、車両の旋回半径R及びγ・VsoFW(≒横加速度Gya)に基づき、基準とする車輪を除き各車輪毎のマップ(図示省略)に従って設定される。例えば、ΔVrFLが基準とすると、これは0とされるが、ΔVrFRは内外輪差マップに従って設定され、ΔVrRLは内々輪差マップに従い、ΔVrRRは外々輪差マップ及び内外輪差マップに従って設定される。
【0033】
そして、ステップ105において、上記ステップ104で求められた推定車体速度Vso(=MAX[Vw**])が微分されて前後方向の車体加速度DVsoが求められると共に、この車体加速度DVsoと横加速度センサYGの検出信号の実横加速度Gyaに基づき、各車輪に対する路面摩擦係数μが近似的に(DVso+Gya1/2 として求められる。この路面摩擦係数μの値と各車輪のホイールシリンダ液圧Pw**の推定値に基づいて各車輪の路面摩擦係数μ**が決定される。尚、路面摩擦係数を検出する手段としてはこれに限るものではなく、直接路面摩擦係数を検出するセンサ等、種々の手段を用いることができる。
【0034】
また、ステップ105においては、上記ステップ103及び104で求められた各車輪の車輪速度Vw** と推定車体速度Vso(あるいは、正規化推定車体速度NVso**)に基づき各車輪の車輪スリップ率Sa** (以下、実スリップ率Sa** という)がSa** =(Vso−Vw** )/Vsoとして求められる。
【0035】
次に、ステップ106にて初期特定制御が行なわれた後、ステップ107に進み制動操舵制御モードとされ、後述するように制動操舵制御に供する目標スリップ率が設定され、後述のステップ114の液圧サーボ制御により、車両の運転状態に応じてブレーキ液圧制御装置PCが制御され各車輪に対する制動力が制御される。この制動操舵制御は、後述する全ての制御モードにおける制御に対し重畳される。尚、ステップ106における初期特定制御は制動操舵制御開始前に行なわれ、後段のトラクション制における初期特定制御は制動操舵制御開始前に行なわれ、後段のトラクション制御開始前にも行なわれるが、アンチスキッド制御が開始するときには直ちに終了とされる。この後ステップ108に進み、アンチスキッド制御開始条件を充足しているか否かが判定され、開始条件を充足し制動操舵時にアンチスキッド制御開始と判定されると、初期特定制御は直ちに終了しステップ109にて制動操舵制御及びアンチスキッド制御の両制御を行なうための制御モードに設定される。
【0036】
ステップ108にてアンチスキッド制御開始条件を充足していないと判定されたときには、ステップ110に進み前後制動力配分制御開始条件を充足しているか否かが判定され、制動操舵制御時に前後制動力配分制御開始と判定されるとステップ111に進み、制動操舵制御及び前後制動力配分制御の両制御を行なうための制御モードに設定され、充足していなければステップ112に進みトラクション制御開始条件を充足しているか否かが判定される。制動操舵制御時にトラクション制御開始と判定されるとステップ113にて制動操舵制御及びトラクション制御の両制御を行なうための制御モードに設定され、制動操舵制御時に何れの制御も開始と判定されていないときには、ステップ114にて制動操舵制御のみを行なう制御モードに設定される。そして、これらの制御モードに基づきステップ115にて液圧サーボ制御が行なわれ、ステップ116にて終了特定制御が行なわれた後にステップ102に戻る。尚、ステップ109,111,113,114に基づき、必要に応じ、車両の運転状態に応じてスロットル制御装置THのサブスロットル開度が調整されエンジンEGの出力が低減され、駆動力が制限される。
【0037】
尚、上記アンチスキッド制御モードにおいては、車両制動時に、車輪のロックを防止するように、各車輪に付与する制動力が制御される。また、前後制動力配分制御モードにおいては、車両の制動時に車両の安定性を維持するように、後輪に付与する制動力の前輪に付与する制動力に対する配分が制御される。そして、トラクション制御モードにおいては、車両駆動時に駆動輪のスリップを防止するように、駆動輪に対し制動力が付与されると共にスロットル制御が行なわれ、これらの制御によって駆動輪に対する駆動力が制御される。
【0038】
図7は図6のステップ107における制動操舵制御に供する目標スリップ率の設定の具体的処理内容を示すもので、制動操舵制御にはオーバーステア抑制制御及びアンダーステア抑制制御が含まれ、各車輪に関しオーバーステア抑制制御及び/又はアンダーステア抑制制御に応じた目標スリップ率が設定される。先ず、ステップ201,202においてオーバーステア抑制制御及びアンダーステア抑制制御の開始・終了判定が行なわれる。
【0039】
ステップ201で行なわれるオーバーステア抑制制御の開始・終了判定は、図10に斜線で示す制御領域にあるか否かに基づいて行なわれる。即ち、判定時における車体横すべり角βと車体横すべり角速度Dβの値に応じて制御領域に入ればオーバーステア抑制制御が開始され、制御領域を脱すればオーバーステア抑制制御が終了とされ、図10に矢印の曲線で示したように制御される。そして、後述するように、制御領域と非制御領域の境界(図10に二点鎖線で示す)から制御領域側に外れるに従って制御量が大となるように各車輪の制動力が制御される。
【0040】
一方、ステップ202で行なわれるアンダーステア抑制制御の開始・終了判定は、図11に斜線で示す制御領域にあるか否かに基づいて行なわれる。即ち、判定時において目標横加速度Gytに対する実横加速度Gyaの変化に応じて、一点鎖線で示す理想状態から外れて制御領域に入ればアンダーステア抑制制御が開始され、制御領域を脱すればアンダーステア抑制制御が終了とされ、図11に矢印の曲線で示したように制御される。
【0041】
続いて、ステップ203にてオーバーステア抑制制御が制御中か否かが判定され、制御中でなければステップ204にてアンダーステア抑制制御が制御中か否かが判定され、これも制御中でなければそのままメインルーチンに戻る。ステップ204にてアンダーステア抑制制御と判定されたときにはステップ205に進み、各車輪の目標スリップ率が後述するアンダーステア抑制制御用に設定される。ステップ203にてオーバーステア抑制制御と判定されると、ステップ206に進みアンダーステア抑制制御か否かが判定され、アンダーステア抑制制御でなければステップ207において各車輪の目標スリップ率は後述するオーバーステア抑制制御用に設定される。ステップ206でアンダーステア抑制制御が制御中と判定されると、オーバーステア抑制制御とアンダーステア抑制制御が同時に行なわれることになり、ステップ208にて同時制御用の目標スリップ率が設定される。
【0042】
まず、ステップ207におけるオーバーステア抑制制御用の目標スリップ率の設定には、車体横すべり角βと車体横すべり角速度Dβが用いられる。尚、車体横すべり角βは、車両の進行方向に対する車体のすべりを角度で表したもので、次のように演算し推定することができる。即ち、車体横すべり角速度Dβは車体横すべり角βの微分値dβ/dtであり、Dβ=Gy /Vso−γとして求めることができ、これを積分しβ=∫(Gy /Vso−γ)dtとして車体横すべり角βを求めることができる。尚、Gy は車両の横加速度、Vsoは推定車体速度、γはヨーレイトを表す。あるいは、進行方向の車速Vx とこれに垂直な横方向の車速Vy の比に基づき、β=tan−1(Vy /Vx )として求めることもできる。
【0043】
また、アンダーステア抑制制御における目標スリップ率の設定には、目標横加速度Gytと実横加速度Gyaとの差が用いられる。この目標横加速度GytはGyt=γ(θf)・Vsoに基づいて求められる。ここで、γ(θf)はγ(θf)=(θf/N・L)・Vso/(1+Kh ・Vso)として求められ、Kh はスタビリティファクタ、Nはステアリングギヤレシオ、Lはホイールベースを表す。
【0044】
ステップ205における各車輪の目標スリップ率は、旋回外側の前輪がStufoに設定され、旋回外側の後輪がSturoに設定され、旋回内側の後輪がSturiに設定される。ここで示したスリップ率(S)の符号については ”t”は「目標」を表し、後述の「実測」を表す ”a”と対比される。 ”u”は「アンダーステア抑制制御」を表し、 ”r”は「後輪」を表し、 ”o”は「外側」を、 ”i”は「内側」を夫々表す。
【0045】
ステップ207における各車輪の目標スリップ率は、旋回外側の前輪がStefoに設定され、旋回外側の後輪がSteroに設定され、旋回内側の後輪がSteriに設定される。ここで、 ”e”は「オーバーステア抑制制御」を表す。
【0046】
そして、ステップ208においては、各車輪の目標スリップ率は、旋回外側の前輪がStefoに設定され、旋回外側の後輪がSturoに設定され、旋回内側の後輪がSturiに夫々設定される。即ち、オーバーステア抑制制御とアンダーステア抑制制御が同時に行なわれるときには、旋回外側の前輪はオーバーステア抑制制御の目標スリップ率と同様に設定され、後輪は何れもアンダーステア抑制制御の目標スリップ率と同様に設定される。尚、何れの場合も旋回内側の前輪(即ち、後輪駆動車における従動輪)は推定車体速度設定用のため非制御とされている。
【0047】
オーバーステア抑制制御に供する旋回外側の前輪に対する目標スリップ率Stefoは、Stefo=K1 ・β+K2 ・Dβとして設定され、旋回外側の後輪に対する目標スリップ率SteroはStero=K3 ・β+K4・Dβとして設定され、旋回内側の後輪に対する目標スリップ率SteriはSteri=K5 ・β+K6 ・Dβとして設定される。ここで、K1 乃至K6 は定数で、旋回外側の車輪に対する目標スリップ率Stefo及びSteroは、加圧方向(制動力を増大する方向)の制御を行なう値に設定される。これに対し、旋回内側の輪に対する目標スリップ率Steriは、減圧方向(制動力を低減する方向)の制御を行なう値に設定される。
【0048】
一方、アンダーステア抑制制御に供する目標スリップ率は、目標横加速度Gytと実横加速度Gyaの偏差ΔGy に基づいて以下のように設定される。即ち、旋回外側の車輪に対する目標スリップ率StefoはK7 ・ΔGy と設定され、定数K7 は加圧方向(もしくは減圧方向)の制御を行なう値に設定される。また、後輪に対する目標スリップ率Sturo及びSturiは夫々K8 ・ΔGy 及びK9 ・ΔGy に設定され、定数K8 ,K9 は何れも加圧方向の制御を行なう値に設定される。
【0049】
図8及び図9は図6のステップ115で行なわれる液圧サーボ制御の処理内容を示すもので、各車輪についてホイールシリンダ液圧のスリップ率サーボ制御が行なわれる。先ず、前述のステップ205、207又は208にて設定された目標スリップ率St** がステップ401にて読み出され、これらがそのまま各車輪の目標スリップ率St** として読み出される。
【0050】
続いてステップ402において、圧力センサPSによって検出されたそのときのマスタシリンダ液圧Pm が読み出され、ステップ403にて各車輪の目標スリップ率に対する補正量ΔSp** が前述のように演算される。そして、ステップ404に進み、ステップ401で読み出された目標スリップ率St** に対し、ステップ403で演算された補正量ΔSp** が加算され、新たな目標スリップ率St** とされる。
【0051】
図8のステップ404では記載を省略したが、更に、各種制御モードに応じて、目標スリップ率St** に例えばアンチスキッド制御モード用のスリップ率補正量ΔSs** が加算されて目標スリップ率St** が更新される。同様に、目標スリップ率St** に、前後制動力配分制御モード用のスリップ率補正量ΔSb** が加算され、あるいはトラクション制御モード用のスリップ率補正量ΔSr** が加算されて目標スリップ率St** が更新される。そして、ステップ405に進み各車輪毎にスリップ率偏差ΔSt** が演算されると共に、ステップ406にて車体加速度偏差ΔDVso**が演算される。
【0052】
ステップ405においては、各車輪の目標スリップ率St** と実スリップ率Sa** の差が演算されスリップ率偏差ΔSt** が求められる(ΔSt** =St** −Sa** )。また、ステップ406においては基準車輪(非制御対象の車輪)と制御対象の車輪における車体加速度DVso**の差が演算され、車体加速度偏差ΔDVso**が求められる。このときの各車輪の実スリップ率Sa** 及び車体加速度偏差ΔDVso**はアンチスキッド制御、トラクション制御等の制御モードに応じて演算が異なるが、これらについては説明を省略する。
【0053】
続いて、ステップ407に進みスリップ率偏差ΔSt** が所定値Ka と比較され、所定値Ka 以上であればステップ409にてスリップ率偏差ΔSt** の積分値が更新される。即ち、今回のスリップ率偏差ΔSt** にゲインGI** を乗じた値が前回のスリップ率偏差積分値IΔSt** に加算され、今回のスリップ率偏差積分値IΔSt** が求められる。スリップ率偏差|ΔSt** |が所定値Ka を下回るときにはステップ408にてスリップ率偏差積分値IΔSt** はクリア(0)される。次に、図9のステップ410乃至413において、スリップ率偏差積分値IΔSt** が上限値Kb 以下で下限値Kc 以上の値に制限され、上限値Kb を超えるときはKb に設定され、下限値Kc を下回るときはKc に設定された後、ステップ414に進む。
【0054】
ステップ414においては、各制御モードにおけるブレーキ液圧制御に供する一つのパラメータY**がGs** ・(ΔSt** +IΔSt** )として演算される。ここでGs** はゲインであり、車体横すべり角βに応じて図13に実線で示すように設定される。また、ステップ415において、ブレーキ液圧制御に供する別のパラメータX**がGd** ・ΔDVso**として演算される。このときのゲインGd** は図13に破線で示すように一定の値である。
【0055】
この後、ステップ406に進み、各車輪毎に、上記パラメータX**,Y**に基づき、図12に示す制御マップに従って液圧制御モードが設定される。図12においては予め急減圧領域、パルス減圧領域、保持領域、パルス増圧領域及び急増圧領域の各領域が設定されており、ステップ416にてパラメータX**及びY**の値に応じて、何れの領域に該当するかが判定される。
【0056】
ステップ416にて今回判定された領域が、前回判定された領域に対し、増圧から減圧もしくは減圧から増圧に切換わる場合には、ブレーキ液圧の立下りもしくは立上りを円滑にする必要があるので、ステップ417において増減圧補償処理が行われる。例えば急減圧モードからパルス増圧モードに切換るときには、パルス増圧領域内の所定値に達するまで増圧デューティの増圧時間が0から漸増するように制御される。
【0057】
更に、ステップ418において、非制御輪(例えば車輪FR)に対するマスタシリンダ液圧Pm の増圧勾配DPm が演算され、ステップ419にて最大増圧勾配DPx と比較される。即ち、ステップ418においてマスタシリンダMCから出力されたマスタシリンダ液圧Pm の所定時間内の変化割合(増圧勾配DPm )が演算される(DPm =d/dt(Pm ))。ステップ419において増圧勾配DPm が最大増圧勾配DPx より大と判定された場合には、ステップ420にて非制御輪の例えば車輪FRに接続された増圧用の電磁開閉弁PC1が閉位置とされ、且つ電磁切換弁SA1の通電及び非通電が繰り返され、車輪FRの増圧勾配DPm が最大増圧勾配DPx を超えないようなデューティ制御モードに設定される。そして、ステップ421にて上記液圧制御モード、並びにステップ417及び420の処理に応じて、ブレーキ液圧制御装置PCを構成する各電磁弁のソレノイドが駆動され、各車輪の制動力が制御される。
【0058】
以上のように、本実施形態の制動操舵制御においては、ブレーキペダルBPの操作とは無関係に各車輪に対し制動力が付与され、オーバーステア抑制制御及び/又はアンダーステア抑制制御が行なわれるが、もちろんブレーキペダルBPが操作された状態でも同様に制動操舵制御が行なわれる。また、本実施形態ではスリップ率によって制御することとしているが、オーバーステア抑制制御及びアンダーステア抑制制御の制御目標としてはスリップ率のほか、各車輪のホイールシリンダのブレーキ液圧等、各車輪に付与される制動力に対応する目標値であればどのような値を用いてもよい。更に、本発明は後輪駆動車に限ることなく、前輪駆動車又は四輪駆動車にも適用することができる。四輪駆動車の場合には全ての車輪が制御対象となり、車輪速度センサでは車体速度を検出することができなくなるので別途センサを設ける必要がある。
【0059】
また、本発明の一実施形態の運動制御装置においては、例えば車両が旋回中に自動的に制動力が付与されるので、車両自体も減速することになる。従って、例えば制動操舵作動が開始したときには運転者及び後続車両に減速状態にあることを報知することが望ましい。この点に関し、本実施形態では、前述の図9のフローチャートに示した作動に加え、図16に示すように報知機能を付加することができる。即ち、ステップ421の処理が行なわれると同時に、ステップ422にて制動操舵制御モードか否かが判定され、制動操舵制御モードと判定された場合にはステップ423にて、例えばブレーキランプ(図示せず)が点滅され、制動操舵制御中であることが後続車に報知された後、メインルーチンに戻る。
【0060】
尚、報知用のランプとしては、ブレーキランプのほか、ハイマウントストップランプ、ハザードランプ、ターンシグナルランプ等を利用して制動操舵制御中であることを報知することとしてもよい。これにより後続車両の運転者は厳しい旋回運動となることを予測することができる。
【0061】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。
即ち、本発明の車両の運動制御装置においては、制動操舵制御が行なわれているときにブレーキペダルが操作されたときには、そのブレーキ操作量に応じて、各車輪に付与する制動力が増大するように、補正制御を行なうこととしているので制動操舵制御作動を維持しつつブレーキ操作に応じた制動作動を円滑に行なうことができる。
【0062】
しかも、ブレーキ液圧制御装置を目標スリップ率と実スリップ率との偏差に応じて制御するように構成すると共に、補正制御手段を、制動操舵制御が行なわれているときにブレーキペダルが操作されたときには、ブレーキ操作量検出手段が検出したブレーキ操作量に応じて目標スリップ率を補正するように構成しており、簡単且つ安価な構成で確実に補正制御手段を構成することができる。
【0063】
また、請求項に記載の運動制御装置においては、非制御中の車輪に対するブレーキ液圧制御装置による制御を、制御中の車輪のブレーキ液圧の最大増圧勾配を下回るように規制することとしているので、制動操舵制御が行なわれているときに急激なブレーキ操作が行なわれた場合にも、制動操舵制御作動を維持しつつ安定した状態で減速することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両の運動制御装置の概要を示すブロック図である。
【図2】本発明の運動制御装置の一実施形態の全体構成図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるブレーキ液圧制御装置の一例を示す構成図である。
【図4】本発明の運動制御装置の一実施形態の機能の一部を示すブロック図である。
【図5】本発明の運動制御装置の一実施形態の他の機能の一部を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態における車両の運動制御の全体を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態における制動操舵制御のための処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態における液圧サーボ制御の処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態における液圧サーボ制御の処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態におけるオーバーステア抑制制御の開始・終了判定領域を示すグラフである。
【図11】本発明の一実施形態におけるアンダーステア抑制制御の開始・終了判定領域を示すグラフである。
【図12】本発明の一実施形態においてブレーキ液圧制御に供するパラメータと液圧制御モードとの関係を示すグラフである。
【図13】本発明の一実施形態における車体横すべり角とパラメータ演算用のゲインとの関係を示すグラフである。
【図14】一般的な車両の左旋回時における過度のオーバーステア状態を示す説明図である。
【図15】一般的な車両の左旋回時における過度のアンダーステア状態を示す説明図である。
【図16】本発明の一実施形態における制動操舵制御の報知に関する部分の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
BP ブレーキペダル
BS ブレーキスイッチ
PS 圧力センサ
MC マスタシリンダ
HB 液圧ブースタ
Wfr,Wfl,Wrr,Wrl ホイールシリンダ
WS1〜WS4 車輪速度センサ
FR,FL,RR,RL 車輪
PC ブレーキ液圧制御装置
ST サブスロットルバルブ
EG エンジン
GS 変速制御装置
YS ヨーレイトセンサ
YG 横加速度センサ
FI 燃料噴射装置
DF ディファレンシャルギヤ
SSf 前輪舵角センサ
CMP マイクロコンピュータ
IPT 入力ポート
OPT 出力ポート
ECU 電子制御装置
AMP 増幅回路
ACT 駆動回路

Claims (2)

  1. 車両前方及び後方の各車輪に対し少くともブレーキペダルの操作に応じて制動力を付与するブレーキ液圧制御装置と、前記車両の運動状態を判定する車両状態判定手段と、該車両状態判定手段の判定結果に基づき前記ブレーキ液圧制御装置を前記ブレーキペダルの操作とは無関係に制御し、前記車両が旋回中に過度のオーバーステアと判定したときには、前記車両に対し外向きのモーメントが生ずるように前記車両の各車輪に制動力を付与すると共に、前記車両が旋回中に過度のアンダーステアと判定したときには、前記車両に対し内向きのモーメントが生ずるように前記車両の各車輪に制動力を付与し、制動操舵制御を行う運動制御手段とを備えた車両の運動制御装置において、前記ブレーキペダルの操作に応じたブレーキ操作量を検出するブレーキ操作量検出手段と、前記運動制御手段により前記制動操舵制御が行なわれているときに前記ブレーキペダルが操作されたときには、前記ブレーキ操作量検出手段が検出したブレーキ操作量に応じて、前記各車輪に付与する制動力が増大するように、前記運動制御手段に対し補正制御を行なう補正制御手段を備え、前記運動制御手段が、少くとも前記車両状態判定手段の判定結果に基づいて前記車両の各車輪に対する目標スリップ率を設定する目標スリップ率設定手段と、前記車両の各車輪の実スリップ率を測定するスリップ率測定手段と、前記目標スリップ率と前記実スリップ率との偏差を演算するスリップ率偏差演算手段を具備し、前記ブレーキ液圧制御装置を前記偏差に応じて制御するように構成すると共に、前記補正制御手段が、前記運動制御手段により前記制動操舵制御が行なわれているときに前記ブレーキペダルが操作されたときには、前記目標スリップ率設定手段に対し、前記ブレーキ操作量検出手段が検出したブレーキ操作量に応じて前記目標スリップ率を補正するスリップ率補正手段を具備したことを特徴とする車両の運動制御装置。
  2. 車両前方及び後方の各車輪に対し少くともブレーキペダルの操作に応じて制動力を付与するブレーキ液圧制御装置と、前記車両の運動状態を判定する車両状態判定手段と、該車両状態判定手段の判定結果に基づき前記ブレーキ液圧制御装置を前記ブレーキペダルの操作とは無関係に制御し、前記車両が旋回中に過度のオーバーステアと判定したときには、前記車両に対し外向きのモーメントが生ずるように前記車両の各車輪に制動力を付与すると共に、前記車両が旋回中に過度のアンダーステアと判定したときには、前記車両に対し内向きのモーメントが生ずるように前記車両の各車輪に制動力を付与し、制動操舵制御を行う運動制御手段とを備えた車両の運動制御装置において、前記ブレーキペダルの操作に応じたブレーキ操作量を検出するブレーキ操作量検出手段と、前記運動制御手段により前記制動操舵制御が行なわれているときに前記ブレーキペダルが操作されたときには、前記ブレーキ操作量検出手段が検出したブレーキ操作量に応じて、前記各車輪に付与する制動力が増大するように、前記運動制御手段に対し補正制御を行なう補正制御手段を備え、前記ブレーキ操作量検出手段が、前記ブレーキ液圧制御装置において前記ブレーキペダル操作に応じて増圧するブレーキ液圧の圧力値を推定するブレーキ液圧推定手段を含み、該ブレーキ液圧推定手段によって推定した前記各車輪に対するブレーキ液圧のうち非制御中の車輪のブレーキ液圧の増圧勾配を演算する増圧勾配演算手段と、該増圧勾配演算手段が演算した増圧勾配を、制御中の車輪のブレーキ液圧の最大増圧勾配と比較し、該最大増圧勾配を下回るように前記非制御中の車輪に対する前記ブレーキ液圧制御装置による制御を規制する最大増圧勾配規制手段を備えたことを特徴とす車両の運動制御装置。
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