JPH09187267A - 新規みりん - Google Patents

新規みりん

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JPH09187267A
JPH09187267A JP1700796A JP1700796A JPH09187267A JP H09187267 A JPH09187267 A JP H09187267A JP 1700796 A JP1700796 A JP 1700796A JP 1700796 A JP1700796 A JP 1700796A JP H09187267 A JPH09187267 A JP H09187267A
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克彦 田熊
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常温での保存性を保ったままエチルアルコー
ル分を低くした新規なみりん、及びその製造方法を提供
する。 【解決手段】 エチルアルコールの含有量が10v/v
%以下でかつpHが4.4以下である新規みりん。みり
んの原料、製造工程中、及び製造後の少なくとも一の時
期にクエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、乳酸、
酢酸、リン酸、アジピン酸、酒石酸、グルコン酸、フィ
チン酸、並びにそれらの塩の群から選択された少なくと
も一つ以上を添加する新規みりんの製造方法。 【効果】 調理効果に優れ、かつ保存性では従来みりん
と同様である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規みりんに関し、
更に詳細には、低エチルアルコール濃度で爽快な風味を
有すると共に優れた調理効果を示し、かつ常温での保存
性にも優れた新規みりん、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】みりんは我が国の伝統的な醸造調味料で
あり、家庭や料飲店のみならず、つゆ、タレ、惣菜、水
産練り製品、冷凍食品等、様々な加工食品分野でも広く
使用されている。また、従来の和風料理を中心とした用
途のみならず、嗜好の多様化に伴い洋風や中華料理等に
使用される機会も増え、従来のみりんとは調理効果の異
なった新規なみりんが求められている。従来よりみりん
は、原料を10〜45v/v%のエチルアルコール溶液
中で糖化、熟成する工程を経て製造される関係上、必然
的にエチルアルコールを含有している。糖化工程では、
麹の酵素であるグルコアミラーゼ、α−アミラーゼ、及
びトランスグルコシダーゼによって原料の糖質が加水分
解、糖化されるため、グルコース、マルトース、イソマ
ルトース、パノース、イソマルトトリオース、及びその
他のオリゴ糖が生成される。これら糖類の中でもグルコ
ースが比較的組成として多い。また、みりん中のエチル
アルコール濃度は、米麹の酵素作用(エチルアルコール
濃度が低い方が好ましい)と醪及び製品みりんの保存性
(常温での長期保存期間中の微生物汚染の酸敗防止とい
う観点からは濃度の高い方が好適である)との関係から
自ずと決まり、従来のみりんのエチルアルコール濃度は
ほぼ14v/v%前後となっている。このエチルアルコ
ールは、防腐や調理効果に寄与している。一方、調理の
場面ではみりんを煮切ってエチルアルコールを飛散させ
て用いることも行われており、このような場合や非加熱
食品にみりんを使用するような場合にはエチルアルコー
ル濃度は低い方が好ましい。すなわち、従来みりんのエ
チルアルコール分の適度な量は、主に防腐効果の観点か
ら設定されたと考えられ、低アルコール濃度で長期間保
存できるみりんが望まれていた。また、みりんのpHは
ほとんどのものが5.5前後で、滴定酸度0.2〜1.
0(0.1N−NaOHml/10ml)を示す。これ
は、酒類調味料としてはワイン(pH約3.3、滴定酸
度約4.0〜14.7)、清酒(pH約4、滴定酸度約
1.1〜2.4)等と比べて酸度の値は小さく、調理効
果面からも、みりんは洋風料理には不向きな点がある。
なお、みりん中の酸は原料としての米麹や蒸しもち米に
由来し、製麹中に麹菌や乳酸菌等により主として生成さ
れる。また、ピログルタミン酸は、醪熟成中にグルタミ
ンやグルタミン酸が非酵素的に変化して生成する〔19
91年7月15日、(株)朝倉書店発行、福場博保、小
林彰夫編「調味料・香辛料の事典」(初版第1刷)、第
315頁〕。嗜好の多様化に応じた新規みりんの開発に
は、このような技術的課題を解決する必要があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、みりん
には10v/v%を越えるエチルアルコールが含有され
ており、このエチルアルコール分はみりんの保存性向上
のみならず調理効果面でも少なからぬ寄与をしている。
しかしながら、みりんを煮切って使うような場合や、非
加熱用途にみりんを使用する場合にはエチルアルコール
分は低い方が好ましい。また、嗜好の多様化に応じた新
しいタイプのみりんも求められている。このように、新
しいタイプのエチルアルコール分が低いみりんに対する
要望は強いにもかかわらず、これまでにそのようなみり
んは製造されていなかった。本発明は、このような現状
にかんがみてなされたものであり、その目的は、常温で
の保存性を保ったままエチルアルコール分を低くした新
規なみりん、及びその製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すると、本
発明の第1の発明は、エチルアルコールの含有量が10
v/v%以下でかつpHが4.4以下であることを特徴
とする新規みりんであり、本発明の第2の発明はみりん
の製造方法に関する発明であって、第1の発明のみりん
の製造方法において、みりんの原料、製造工程中、及び
製造後の少なくとも一の時期にクエン酸、コハク酸、リ
ンゴ酸、フマル酸、乳酸、酢酸、リン酸、アジピン酸、
酒石酸、グルコン酸、フィチン酸、並びにそれらの塩の
群から選択された少なくとも一つ以上を添加することを
特徴とする。
【0005】低エチルアルコールと低pHを組合せるこ
とにより、従来のみりんとは異なった品質と調理効果が
得られる。すなわち、爽快な風味を有し、魚臭、獣臭の
臭いを抑え、味の浸透性が良く、酢カドを取る効果が著
しく、味の引き締め効果、適度な酸味により甘味が引き
立ち、旨みとの相乗効果等が期待できると共に、微生物
汚染防止効果も持った新規なみりんを提供することがで
きる。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明の低エチルアルコール、低pHを特徴とする
みりんについて、まず、本発明のみりんのエチルアルコ
ール濃度を調整する方法については、特に限定はない
が、例えば醪及び/又は圧搾後の搾汁にエチルアルコー
ル溶液を添加してエチルアルコール濃度を調整すること
により容易に行える。また、みりん醪及び/又は圧搾後
の搾汁とこれに添加する醸造用糖類の量を適宜調整する
ことによっても可能である。次に、低pHにする方法
は、酸の添加である。使用する酸は、可食性の酸であれ
ばよく、これらの塩であってもよい。例えば、クエン
酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、乳酸、酢酸、リン
酸、アジピン酸、酒石酸、グルコン酸、フィチン酸、並
びにそれらの塩の群から選択された少なくとも一つ以上
を添加する。また、アミノ酸、ペプチド等を併用しても
よい。添加時期は、例えば、原料掛米処理中に添加して
もよく、麹製造後に麹に付着、添加して醪に加えてもよ
い。ここでいう原料掛米処理は、原料の液化処理を含
む。また、みりん仕込み後の醪の初期、醪の熟成の後
半、又は上槽後に添加してもよく、その時期を選ばな
い。ここでいうみりんの製造方法には特に限定はない
が、例えば、原料処理した原料米、麹、及びエチルアル
コールを混合して醪となし、糖化、熟成して製造する、
いわゆる酒税法でいうみりんの製造方法が該当する。ま
た、ここでいう低エチルアルコールとは、エチルアルコ
ール濃度が10v/v%以下をいい、低pHとは、4.
4以下をいう。このようにして所定の成分に調整された
みりんは、精製後、加熱殺菌、例えば常法通りプレート
式加熱殺菌機等で殺菌して製品化すればよい。
【0007】〔検討例〕以下、本発明を検討例で更に具
体的に説明するが、本発明はこれら検討例に限定されな
い。 検討例1 みりんのエチルアルコール濃度とpHが微生物による変
敗に及ぼす影響について調べるため、市販のみりん(エ
チルアルコール濃度14.0v/v%、pH5.5、糖
濃度45w/v%)1リットルを減圧下で容量が半分に
なるまで濃縮し、エチルアルコールを蒸散させた。この
みりん10mlにエチルアルコール及び蒸留水の混合液
を添加し、エチルアルコール濃度を0、2.9、4.
0、5.0、8.0、10.0、及び14.0v/v%
に調節し、更に、それぞれにクエン酸、リンゴ酸、コハ
ク酸(重量比で15:2:1)の混合液を加え、pH
3.5、4.4、及び5.5(無添加)に合せた。種々
エチルアルコール濃度、pHに調整したみりんは、無菌
的にろ過して滅菌した試験管に20mlずつ分注し、こ
れにみりんより分離した乳酸菌〔醗酵工学雑誌、第44
巻、第3号、第71頁(1966)、及び同第50巻、
第281頁(1972)〕を混合して初発菌数が104
個/mlとなるように接種して30℃で静置培養し、そ
れぞれのみりん中のpHの変化及び肉眼的に菌体増殖の
程度を観察した。評価は、pH3.5、4.4、及び
5.5のみりんが、それぞれpH3.2、4.1、5.
2以下になった時点で酸敗したものとした。pH測定
は、1、3、7、30、60日目に行った。その結果を
表1に示す。
【0008】
【表1】 表 1 ─────────────────────────────────── 保 存 期 間 (日) エチルアルコール ──────────────────────── (v/v%) みりんのpH(スタート時) ──────────────────────── 3.5 4.4 5.5 ─────────────────────────────────── 0 7 3 1 (+) (+) (+) 2.9 30 7 3 (+) (+) (+) 4.0 30 30 7 (+) (+) (+) 5.0 >60 >60 30 (−) (−) (+) 8.0 >60 >60 30 (−) (−) (+) 10.0 >60 >60 30 (−) (−) (+) 14.0 >60 >60 >60 (−) (−) (−) ─────────────────────────────────── 肉眼観察60日間、(+):菌の増加あり、(−):菌の増加無し
【0009】表1より、60日間以上酸敗が防止できる
条件は、pH3.5及びpH4.4の場合、エチルアル
コール濃度が5.0v/v%以上であり、pH5.5の
場合、エチルアルコール濃度が10.0v/v%超であ
る。したがって、エチルアルコール濃度10.0v/v
%以下では、pHは4.4以下が酸敗防止に有効で、実
用的な範囲を考慮するとpH3.5〜4.4が好まし
い。すなわち、pH3.5〜4.4でエチルアルコール
濃度が5.0〜10.0v/v%の組合せで効果的にみ
りんの保存性が維持できる。
【0010】検討例2 みりん中のエキス分は、大部分が糖によるもので、この
糖濃度(全糖)は酸敗を起こす微生物にも浸透圧におい
て影響を与える。みりん中のエチルアルコール濃度とグ
ルコース濃度の関係について、検討例1と同様に処理し
たみりん10mlにグルコース、エチルアルコール、蒸
留水、更にはクエン酸、乳酸、コハク酸混合物(重量比
で15:2:1)を加え、又はこれら有機酸は無添加と
して、20mlとなし、糖濃度40、45、50、5
5、60、65w/v%でpH4.0及び5.5のみり
んを調製した。検討例1に従って、みりんの保存性を検
討した。その結果を表2に示す。
【0011】
【表2】 表 2 ──────────────────────────────────── エチル 保 存 期 間 (日) アルコール ───────────────────────────── (v/v%) みりんのpH(スタート時) 4.0 5.5 ──────────────────────────────────── 糖 濃 度 (w/v%) 40 45 50 55 60 65 40 45 50 55 60 65 ──────────────────────────────────── 0 3 3 7 7 7 7 1 1 3 7 7 7 (+) (+) (+) (+) (+) (+) (+) (+) (+) (+) (+) (+) 2.9 7 30 30 30 30 30 1 3 30 30 30 30 (+) (+) (+) (+) (+) (+) (+) (+) (+) (+) (+) (+) 4.0 30 30 30 30 >60 >60 3 7 30 30 30 30 (+) (+) (+) (+) (-) (-) (+) (+) (+) (+) (+) (+) 5.0 >60 >60 >60 >60 >60 >60 30 30 30 30 >60 >60 (-) (-) (-) (-) (-) (-) (+) (+) (+) (+) (-) (-) 8.0 >60 >60 >60 >60 >60 >60 30 30 >60 >60 >60 >60 (-) (-) (-) (-) (-) (-) (+) (+) (-) (-) (-) (-) 10.0 >60 >60 >60 >60 >60 >60 30 >60 >60 >60 >60 >60 (-) (-) (-) (-) (-) (-) (+) (-) (-) (-) (-) (-) 14.0 >60 >60 >60 >60 >60 >60 >60 >60 >60 >60 >60 >60 (-) (-) (-) (-) (-) (-) (-) (-) (-) (-) (-) (-) ──────────────────────────────────── 肉眼観察60日間 (+)菌の増加あり、(−)菌の増加無し
【0012】表2より、糖濃度が高くなると同じエチル
アルコール濃度でも酸敗防止効果が高くなり、60日間
以上の保存は、pH4.0の場合でも糖濃度40w/v
%以上でエチルアルコール5.0v/v%以上あればよ
いことになり、糖濃度を上げると、更にエチルアルコー
ル濃度を低下させることができる。したがって、糖濃度
は40w/v%以上が好ましい。また、ここで添加した
糖はグルコースであるが、フラクトース、ガラクトー
ス、少糖類、醸造用糖類、水飴等、いずれの糖類であっ
てもよい。
【0013】検討例3 検討例1と同様の方法でエチルアルコール分3.0、
5.0、7.0、9.0v/v%、pH3.5、3.
8、4.4、5.5の各種みりんを調製し、それぞれに
表3に示す各種微生物を初発菌数104 個/mlとなる
ように植菌し、30℃で静置培養した。培養後1週間の
各微生物の増殖状態を調べた結果が表3である。
【0014】
【表3】 表 3 ──────────────────────────────────── エチルアルコール (v/v%) 微 生 物 pH 3.0 5.0 7.0 9.0 ──────────────────────────────────── ラクトバチルス 5.5 ++ + + − プランタルム 4.4 ++ − − − (Lactobacillus 3.8 + − − − plantarum) 3.5 + − − − ─────────────────────────────────── ハンゼヌラ 5.5 ++ + + − アノマラ 4.4 + − − − (Hansenula 3.8 + − − − anomala) 3.5 + − − − ─────────────────────────────────── サッカロミセス 5.5 ++ + + − ルキシ 4.4 ++ − − − (Saccharomyces 3.8 ++ − − − rouxii) 3.5 + − − − ─────────────────────────────────── 検討例1の 5.5 ++ + + + 乳酸菌 4.4 ++ − − − 3.8 ++ − − − 3.5 + − − − ──────────────────────────────────── ++;菌が速やかに増殖した、+;菌が徐々に増殖した、−;菌数が減少した
【0015】この実験例からわかるように、エチルアル
コール分が5v/v%以上であってもpHが5.5では
微生物が徐々に増殖する場合があり、製品の安全面から
好ましくない。また、pHが3.5〜4.4のものにつ
いて、めんつゆ、小芋の煮物、鮭の照り焼き等の料理に
使用した場合、てりつやの付与、臭いの抑臭、甘味の付
与等の点で、優れた調理効果を示した。本発明のみりん
は、広い用途に使用しやすい低エチルアルコールタイプ
でありながら、常温での保存性や調理効果の点で優れた
新規なみりんである。
【0016】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0017】実施例1 常法により、精米歩合85%の粳白米を浸漬、水切り後
常圧蒸煮し、放冷後種もやしを接種し、46時間製麹し
て米麹を得た。掛米として精米歩合85%もち白米を浸
漬、水切り後加圧蒸煮(120℃、20分)し、蒸しも
ち米を得た。この麹279g、蒸しもち米1884g、
24v/v%エチルアルコール水溶液837gを混合
し、醪となした。この醪ヘクエン酸4.5g、リンゴ酸
0.6g、及びコハク酸0.3gを添加した。一方、対
照醪として、麹279g、蒸しもち米1884g、42
v/v%エチルアルコール水溶液837gを混合したも
のを調製した。両醪を30℃で30日間糖化、熟成した
後固液分離してみりんを得た。そのみりんの分析値を表
4に示す。
【0018】
【表4】 表 4 ────────────────────────────────── み り ん ─────────────────── 本発明品 対 照 ────────────────────────────────── 全糖 (w/v%) 45.6 44.8 直糖 (w/v%) 37.8 36.6 全窒素(mg%) 83 78 アミノ態窒素(mg%) 28 25 エチルアルコール (v/v%) 8.0 14.0 滴定酸度 2.46 0.45 (0.1N-NaOHml/10ml) pH 3.8 5.5 比重(15℃) 1.162 1.160 ────────────────────────────────── みりん収量(ml) 1766 1699 ──────────────────────────────────
【0019】このように、本発明のみりんは、エチルア
ルコール8.0v/v%、pH3.8の低エチルアルコ
ール、低pHであり、滴定酸度も対照みりんの約5.5
倍あった。また、糖分や窒素分は対照と比べてやや多め
で、収量も若干多かった。得られたみりんの官能評価結
果を表5に示す。
【0020】
【表5】 表 5 ────────────────────────── 本発明品 対 照 ────────────────────────── 香 り 1.7 1.7 味 1.2 1.9 総 合 1.4 1.8 ────────────────────────── 官能評価法 1;良、2;普通、3;不良(パネラー10名)
【0021】このように、本発明のみりんは、香りにつ
いては対照品と同等、味では酸味、甘味、エチルアルコ
ールのバランスがとれており、対照より良いとの評価を
得た。
【0022】実施例2 精米歩合85%のもち白米995gを常法に従って浸
漬、水切りし、この浸漬米を加圧蒸煮(124℃、10
分間)し、6リットルの容器へ予め細菌α−アミラーゼ
酵素剤〔ナガセ生化学工業(株)製、スピターゼCP−
3〕338mgを溶解した22v/v%エチルアルコー
ル水溶液1427mlへ混合した。この混合物へ米麹3
20gと糸状菌中性プロテアーゼ酵素剤〔ナガセ生化学
工業(株)製、デナチームXP−353〕150mgを
投入し、第一次仕込み醪となし、室温(25〜30℃)
で30日間糖化、熟成した。仕込配合を表6に示す。
【0023】
【表6】 表 6 ─────────────────────────────────── 醪 精米歩合85%もち米<蒸しもち米>(g) 995 <1440> 精米歩合85%麹用粳米<米麹> (g) 270 < 320> 22v/v%エチルアルコール (ml) 1427 細菌α−アミラーゼ酵素剤 (mg) 338 糸状菌中性プロテアーゼ酵素剤 (mg) 150 醪計 (ml) 2850 ───────────────────────────────────
【0024】この熟成醪を圧搾し、2650mlの搾汁
と220gの粕を得た。得られた搾汁の組成を表7に示
す。
【0025】
【表7】 表 7 ────────────────────────────── 成 分 分 析 値 ────────────────────────────── 全糖(w/v%) 31.8 全窒素(mg%) 254 エチルアルコール(v/v%) 11.0 pH 5.6 比重(15℃) 1.105 ──────────────────────────────
【0026】得られた搾汁2650mlは1000ml
ずつに分け、一方には12.0v/v%エチルアルコー
ル579ml及びデンプン部分加水分解物(水分22w
/w%)910g、クエン酸1500mg、リンゴ酸1
00mg、コハク酸40mgを添加し新規みりんを調製
した。一方、対照として、搾汁1000mlに対し、3
5v/v%エチルアルコール579ml及びデンプン部
分加水分解物910gを添加して、通常のみりんを調製
した。常法に従い、火入れオリ下げして精製ろ過した。
ろ過後、本発明品及び対照の液組成を分析し、官能評価
を行った。分析結果を表8に、官能評価結果を表9に示
す。
【0027】
【表8】 表 8 ────────────────────────────────── み り ん ─────────────────── 本発明品 対 照 ────────────────────────────────── 全糖 (w/v%) 45.9 45.9 直糖 (w/v%) 37.1 37.1 全窒素(mg%) 103 103 アミノ態窒素(mg%) 37 37 エチルアルコール (v/v%) 8.0 14.0 滴定酸度 3.24 0.51 (0.1N-NaOHml/10ml) pH 3.9 5.4 比重(15℃) 1.160 1.158 ──────────────────────────────────
【0028】
【表9】 表 9 ────────────────────────── み り ん ───────────────── 本発明品 対 照 ────────────────────────── 香 り 1.5 1.7 味 1.3 1.9 総 合 1.5 1.8 ────────────────────────── 官能評価法 1;良、2;普通、3;不良(パネラー10名)
【0029】本発明品のみりんは、対照に比べ滴定酸度
の値が大きく、それによる甘味の引き締め、旨みの増強
がなされているという結果になった。香りの面でもエチ
ルアルコールの香りが穏やかで、香味のバランスが整っ
ているとの評価であった。次に、得られた本発明品のみ
りん及び対照みりんを同量用いて種々の料理を作った。
それぞれの料理について、20名のパネラーで項目ごと
に評価を行い、本発明品を使った方が優れているとの有
意差が認められたものについて表10に丸印で示した。
【0030】
【表10】 表 10 ──────────────────────────────────── 和風料理 洋風料理 中華料理 ────────────────────────── 調理効果 1 2 3 4 5 6 7 8 9 ──────────────────────────────────── 魚臭、獣臭等の抑臭 ○ ○ ○ 味の浸透性がよい ○ ○ ○ 酸味を和らげる ○ ○ テクスチャーがよい ○ てりつやがよい ○ 他の調味料と調和する ○ ○ ──────────────────────────────────── 料理名 1;鰆の付け焼き、2;だし巻き卵、3;にぎり寿司 4;鰺のマリネ、5;ピクルス、6;コーンスープ 7;炒飯、8;白身魚の蒸し物、9;中華風野菜スープ
【0031】表10からわかるように、本発明品のみり
んは、魚肉料理での臭いの抑臭、卵料理での味の浸透
性、酢漬けの酸味の改良、他の調味料との調和等、優れ
た調理効果を有するものであった。
【0032】実施例3 常法により、精米歩合85%の粳白米を浸漬、水切り後
常圧蒸煮し、放冷後、種もやしを接種し、46時間製麹
して米麹を得た。掛米として、精米歩合85%のもち白
米を浸漬、水切り後加圧蒸煮(120℃、20分)し、
蒸しもち米を得た。この米麹(白米換算として)212
g、蒸しもち米(白米換算として)873g、及び実施
例2で使用した酵素剤(スピターゼCP−3を250m
gとデナチームXP−353を220mg)を17v/
v%エチルアルコール溶液2140mlへ混合した。更
に、90w/w%乳酸、クエン酸、及びリンゴ酸をそれ
ぞれ4.3g、0.5g、0.5g添加、溶解し、醪と
した。本醪を室温で30日間糖化、熟成した。また、対
照として表11の仕込配合によりみりん醪を仕込み、本
発明品と同様に糖化、熟成した。熟成後、醪を固液分離
してみりんを得た。そのみりんの成分分析値を表12に
示す。
【0033】
【表11】 表 11 ────────────────────────────────── み り ん ─────────────── 原 材 料 本発明品 対 照 ────────────────────────────────── もち白米 (g) 873 873 粳白米 (g) 212 212 17v/v%エチルアルコール (ml) 2510 22v/v%エチルアルコール (ml) 2510 デンプン部分加水分解物 (g) 1910 1910 (水分22w/w%) 細菌α−アミラーゼ酵素剤 (mg) 250 250 糸状菌中性プロテアーゼ酵素剤 (mg) 220 220 90w/w%乳酸 (g) 4.3 クエン酸 (g) 0.5 リンゴ酸 (g) 0.5 醪計 (ml) 5000 5000 ──────────────────────────────────
【0034】
【表12】 表 12 ─────────────────────────────────── み り ん ──────────────────── 本発明品 対 照 ─────────────────────────────────── 全糖 (w/v%) 45.8 45.5 直糖 (w/v%) 37.5 37.3 全窒素(mg%) 75 70 アミノ態窒素(mg%) 25 22 エチルアルコール (v/v%) 8.2 14.4 滴定酸度 2.0 0.4 (0.1N-NaOHml/10ml) pH 3.9 5.5 比重(15℃) 1.160 1.157 みりん収量(ml) 4550 4520 粕収量(g) 515 550 ───────────────────────────────────
【0035】表12より、本発明品と対照の成分組成に
ついて比較すると、本発明品のみりんはエチルアルコー
ル8.2v/v%、pH3.9に対し、対照品のみりん
はエチルアルコール14.4v/v%、pH5.5であ
り、滴定酸度も本発明品は対照品の5倍となった。これ
らのみりんの官能評価結果を表13に示す。
【0036】 表 13 ────────────────────────── み り ん ───────────────── 本発明品 対 照 ────────────────────────── 香 り 1.6 1.7 味 1.3 1.9 総 合 1.4 1.8 ────────────────────────── 官能評価法 1;良、2;普通、3;不良(パネラー10名)
【0037】表13の結果より、本発明のみりんは対照
に比べて特に味の評価が良く、総合評価も高かった。
【0038】
【発明の効果】本発明により、嗜好の多様化に対応した
新しいタイプのみりんが得られる。この新規みりんは、
魚臭、獣臭の抑臭や、味の浸透性の向上、酢カドの低減
等の調理効果に優れ、かつ保存性では従来みりんと同様
で品質保持上の問題もない、低エチルアルコール、低p
Hの新規な品質のみりんである。また、原料に使用する
エチルアルコール量を少なくすることができてコストの
低減になるだけでなく、煮切りみりんを使用する場合の
手間も軽減できるので、経済効果も達成できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 的場 敏信 滋賀県草津市西渋川2丁目12番1号 ハー モパレス草津704号 (72)発明者 田熊 克彦 京都府京都市伏見区西大文字町954 寳酒 造株式会社西大文字寮307号 (72)発明者 馬場 剛志 千葉県松戸市八ケ崎450 寳酒造株式会社 社宅B−206

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチルアルコールの含有量が10v/v
    %以下でかつpHが4.4以下であることを特徴とする
    新規みりん。
  2. 【請求項2】 エチルアルコールの含有量が5〜10v
    /v%であることを特徴とする請求項1記載の新規みり
    ん。
  3. 【請求項3】 pHが3.5〜4.4であることを特徴
    とする請求項1記載の新規みりん。
  4. 【請求項4】 糖濃度が40w/v%以上であることを
    特徴とする請求項1記載の新規みりん。
  5. 【請求項5】 みりんの原料、製造工程中、及び製造後
    の少なくとも一の時期にクエン酸、コハク酸、リンゴ
    酸、フマル酸、乳酸、酢酸、リン酸、アジピン酸、酒石
    酸、グルコン酸、フィチン酸、並びにそれらの塩の群か
    ら選択された少なくとも一つ以上を添加することを特徴
    とする請求項1に記載の新規みりんの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007289181A (ja) * 2006-03-31 2007-11-08 Kick Off:Kk 風味改善剤、または風味改善剤を添加することにより風味が改善された飲食物及びその製造方法

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