JPH09131239A - 両側リクライニング装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 両側にリクライニングデバイスを有し、コネ
クトパイプで連結される両側リクライニング装置に、衝
突時等に衝撃力が作用した場合に、一方側のリクライニ
ングデバイスのロックオフを防止する。 【解決手段】 ロック機構を有する略同一構造のアウタ
ー側及びインナー側のリクライニングデバイス６，６を
連結するコネクトパイプ１を連結パイプ部２とこの外周
から下方に延設される回動防止プレート３とから形成す
る。コネクトパイプ１の長手方向と直交する方向にスリ
ット４を形成する。回動防止プレート３に作用する力に
よりコネクトパイプ１にロックオフと逆方向の回動力を
作用させ、リクライニングデバイス６，６のロックオフ
を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、両側リクライニン
グ装置に係り、更に詳細に説明すると、シートクッショ
ン側に固持されるベースと、該ベースに枢支されシート
バック側に固定されるアームと、該アームの内歯車に着
離自在に噛合すべく前記ベース側に摺動自在に支持され
ると共にロックオフ溝及びロックオン用当接部を形成し
てなるツースインナーと、該ツースインナーの前記ロッ
クオフ溝及びロックオン用当接部に着離自在に係合する
カム部材と、前記アーム側と前記ツースインナーとを噛
合方向に付勢する付勢手段とを設けたリクライニングデ
バイスをアウター側とインナー側の両側に設け、該アウ
ター側の前記カム部材に嵌着された操作レバーの回動軸
に連結するコネクトパイプを前記インナー側の前記カム
部材に嵌着し、前記操作レバーの回動により両側のリク
ライニングデバイスを連動させる両側リクライニング装
置であって、衝撃時等に着座者に無理な力が作用した際
においてもリクライニング装置がロックオフ状態になら
ないようにした両側リクライニング装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】アウター側及びインナー側の両側に略同
一構造のリクライニングデバイスを配置する両側リクラ
イニング装置が車両用シートには比較的多く採用されて
いる。図１０に示すように、リクライニングデバイス６
は、シートクッション７側に固持されるベース８と、シ
ートバック９側に固持されるアーム１０と、後に説明す
るがベース８とアーム１０間に設けられるロック機構部
のツースインナーやカム部材等から構成される。

【０００３】シートのアウター側及びインナー側に夫々
配置される略同一構造のリクライニングデバイス６，６
はコネクトパイプ（図略）により連結され、図１０に示
した操作レバー１１を回動することによりアウター側の
前記ロック機構部がロックオフされると共にコネクトパ
イプを介してインナー側のリクライニングデバイス６の
前記ロック機構部がロックオフされ、シートバック９が
調整可能な状態となる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前記したように、シー
トのリクライニングは原則として着座者が操作レバー１
１を操作しなければ行なわれない。然し乍ら、衝突等の
ように、着座者を介してシートに無理な力が作用する
と、シートバック９に大きな力が作用すると共にシート
クッション７を支持するフレームにも無理な力が作用す
る。この場合、両側のリクライニングデバイスのベース
８とアーム１０が自由状態の関係位置を保持したままで
移動すれば問題はないが、両側の変位に差があったり、
ベース８とアーム１０との間に相対ずれが生ずるとコネ
クトロッドが回動し、変形量の少ない側のリクライニン
グデバイス６の前記ロック機構部をロックオフする問題
点が生ずる。更に、一方側のロックオフにより、他方側
のリクライニングデバイス６のロック機構部もロックオ
フされ、図１１に示すようにシートバック９が大きく後
方側に傾斜する問題点がある。

【０００５】また、何等かの力の作用を受けてシートク
ッション側やシートバック９側に変位が生じ、操作レバ
ー１１を操作しないうちに一方側の前記ロック機構部が
ロックオフされるとコネクトパイプを介して他方側の前
記ロック機構部もロックオフされ、前記したと同様の問
題点が生ずる。

【０００６】本発明の目的は、シートに無理な力が作用
してもリクライニングデバイスのロック機構部のロック
オフが発生せず、シートバックが大きく後方側に傾斜す
る虞れがなく、簡便構造の両側リクライニング装置を提
供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、上述せる課題
に鑑みてなされたものであり、本発明の請求項１の両側
リクライニング装置は、シートクッション側に固持され
るベースと、該ベースに枢支されシートバック側に固定
されるアームと、該アームの内歯車に着離自在に噛合す
べく前記ベース側に摺動自在に支持されると共にロック
オフ溝及びロックオン用当接部を形成してなるツースイ
ンナーと、該ツースインナーの前記ロックオフ溝及びロ
ックオン用当接部に着離自在に係合するカム部材と、前
記アーム側と前記ツースインナーとを噛合方向に付勢す
る付勢手段とを設けたリクライニングデバイスをアウタ
ー側とインナー側の両側に設け、該アウター側の前記カ
ム部材に嵌着された操作レバーの回動軸に連結するコネ
クトパイプを前記インナー側の前記カム部材に嵌着し、
前記操作レバーの回動により両側のリクライニングデバ
イスを連動させる両側リクライニング装置であって、前
記コネクトパイプが、前記両側のリクライニングデバイ
スに連結する連結パイプ部と、該連結パイプ部の外周か
ら下方に向かって延設される回動防止プレートとから構
成されていることを特徴とする。

【０００８】また、本発明の請求項２の両側リクライニ
ング装置は、前記コネクトパイプの前記連結パイプ部及
び回動防止プレートの少なくとも何れか一方に、前記コ
ネクトパイプの長手方向と直交する方向に延びるスリッ
トが形成されていることを特徴とする。

【０００９】本発明のコネクトパイプは連結パイプ部と
回動防止プレートからなり、回動防止プレートが着座者
の尻部と相対向する位置に配置されているため、着座者
に無理な力が作用した場合には、回動防止プレートを介
してコネクトパイプに回動モーメントが作用するため、
コネクトパイプの回動が防止される。これにより、ロッ
クオフが防止される。

【００１０】一方、コネクトパイプにスリットを形成す
ることにより、コネクトパイプに無理な力が作用すると
スリットの部分でコネクトパイプは折り曲げられ、一方
側のリクライニングデバイスの回動力がコネクトパイプ
を介して他方側のリクライニングデバイスに伝達され
ず、両側のリクライニングデバイスのロックオフが同時
に発生するのを防止することができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係わる両側リクラ
イニング装置を図面を参照にして詳述する。図１及び図
２は両側のリクライニングデバイスの詳細構造を示し、
図３及び図４はコネクトパイプの構造を示し、図５乃至
図９は本発明の作用を説明するものである。尚、上述せ
る従来の技術と対応するシート部分には同一符号を用い
て説明する。また本発明は車両用のシートに限らず各種
のシートに適用される。

【００１２】まず、図１，図２及び図８，図９により本
発明の両側リクライニング装置の全体構造を説明する。
両側リクライニング装置は、図２に示すように操作レバ
ー１１を有するアウター側のリクライニングデバイス６
と、操作レバー１１の代わりにレバー１１ａを有するイ
ンナー側のリクライニングデバイス６と、両者を連結す
るコネクトパイプ１等とからなる。

【００１３】ベース８はシートクッション７のフレーム
に取付孔１３，１３により固定される。ベース８の中心
孔１４には操作レバー１１またはレバー１１ａの回動軸
１５が枢支されると共にアーム１０が支持される。ま
た、回動軸１５にはカム部材１６の角状の嵌合孔１７が
嵌着され、スナップリング１８により軸線方向の移動が
拘束される。

【００１４】ベース８のガイド凹部１９には一対のツー
スインナー２０，２０が摺動自在に支持される。尚、ツ
ースインナー２０，２０の外周には外歯２１が刻設され
る。アーム１０は取付孔２２，ガイドピン２４により、
図１，図２に示したシートバック９の下端側に固定さ
れ、その内穴の縁部にはツースインナー２０，２０の外
歯２１が噛合する内歯車２３が刻設される。

【００１５】ホルダ２５はベース８にリベット２６，２
６により固定され、その先端側の軸部２７には付勢手段
の１つであるリターンスプリング２８の中心部２９が係
着される。また、リターンスプリング２８の巻端部はピ
ン２７によりアーム１０に係着される。また、別の付勢
手段のコイルスプリング３０は、その一端側を操作レバ
ー１１及びレバー１１ａに係着し、他端側をホルダ２５
に係着して支持される。

【００１６】以上の構成部品により組み上げられたアウ
ター側及びインナー側のリクライニングデバイス６，６
はコネクトパイプ１により連結される。

【００１７】次に、図８，図９によりカム部材１６とツ
ースインナー２０の詳細構造と両者の係合状態を説明す
る。カム部材１６の外周側には突起する第１のカム部３
１と膨出する第２のカム部３２が形成される。一方、ツ
ースインナー２０は、その内面側に第１のカム部３１の
係合するロックオフ用溝３３が凹設されると共に第２の
カム部３２が当接するロックオン用当接部３４が夫々図
示のように形成される。

【００１８】図８は、ロックオン状態を示すもので、カ
ム部材１６の第２のカム部３２がロックオン用当接部３
４に当接し、これによってツースインナー２０がベース
８のガイド凹部１９に案内されて外方に押され外歯２１
がアーム１０の内歯車２３に噛合する。以上によりアー
ム１０はツースインナー２０，カム部材１６等を介して
ベース８側に固持され、所謂ロックオンの状態となる。

【００１９】操作レバー１１を時計方向に回動操作する
と、図９に示すようにカム部材１６が時計方向に回動
し、第２のカム部３２がロックオン用当接部３４から離
れ、第１のカム部３１がロックオフ用溝３３に係合し、
ツースインナー２０の外歯２１と内歯車２３との噛合を
解除しツースインナー２０はガイド凹部１９に案内され
て中心側に移動する。このためアーム１０は自由にな
り、所謂ロックオフ状態になる。

【００２０】次に、図３及び図４により本発明のコネク
トパイプ１を説明する。コネクトパイプ１は連結パイプ
部２と、これに一体的に連結する回動防止プレート３か
らなる。

【００２１】連結パイプ部２は内部にスプライン孔５が
形成され、前記したようにアウター側のリクライニング
デバイス６の操作レバー１１の回動軸（図略）とレバー
１１ａの回動軸１５に連結される。回動防止プレート３
は連結パイプ部２の外周から下方に向かって適宜の長さ
が延設される平板状部材からなり、図６及び図７に示す
ように着座者の尻部と相対向する位置に配置される。

【００２２】図３に示すように、コネクトパイプ１の連
結パイプ部２の中間位置には連結パイプ部２の外周の一
部にスリット４が形成されている。前記スリット４はコ
ネクトパイプ１の長手方向と直交する方向に延びて形成
されている。尚、本例ではスリット４は回動防止プレー
ト３の側にも延びて形成されるが、連結パイプ部２のみ
でもよい。スリット４を形成することにより、コネクト
パイプ１は押圧力の作用により折曲し易い構造になる。

【００２３】次に、本発明の両側リクライニング装置に
おける衝突時等における作用を図５，図６及び図７によ
り説明する。図５及び図６は着座者に衝突等による無理
な力が作用しない時の本発明の両側リクライニング装置
におけるロック機構まわりの状態を示す。図５に示すよ
うに、両側のリクライニングデバイス６，６は、カム部
材１６の第１のカム部３１がロックオフ用溝３３から離
れ、第２のカム部３２がロックオン用当接部３４に当接
し、ツースインナー２０の外歯２１がアーム１０の内歯
車２３に噛合する所謂ロックオン状態に保持されてい
る。

【００２４】以上の状態において、無理な力が着座者や
シートに作用すると、前記したようにシートクッション
７やシートバック９に大きな押圧力が作用し、アウター
側及びインナー側のリクライニングデバイス６，６の装
着場所に変形が発生する場合がある。

【００２５】このため、コネクトパイプ１を時計方向に
回動しようとするモーメントが作用する。仮に、コネク
トパイプ１が時計方向に回動すると、いずれか一方側の
リクライニングデバイス６がロックオフの状態となり、
シートバック９が半自由状態になり、これに更に力が加
わるとコネクトパイプ１が更に回動し、他方のリクライ
ニングデバイス６をロックオフする現象が生ずる。

【００２６】然し乍ら、本発明の両側リクライニング装
置の場合には、コネクトパイプ１の回動防止プレート３
が着座者の尻部により押圧され、図５に示すように反時
計方向のモーメントがコネクトパイプ１に作用する。従
って、コネクトパイプ１に時計方向に回動しようとする
モーメントが作用しても、前記の反時計方向の逆まわり
のモーメントにより相殺されコネクトパイプ１は回動し
ない。

【００２７】押圧力が大きくなればなる程、この逆モー
メントの大きさも大になるため、少なくとも一方側のリ
クライニングデバイス６がロックオフになっても他方側
のリクライニングデバイス６がロックオフになることが
防止される。

【００２８】車両の衝突時等においては、かなり大きな
押圧力が着座者やシートに作用する。この場合には、コ
ネクトパイプ１にも大きな押圧力が作用する。コネクト
パイプ１にはスリット４が形成されているため、前記の
押圧力により図７に示すようにコネクトパイプ１はこの
スリット４を中心にして折曲される。

【００２９】そのため、コネクトパイプ１は両側のリク
ライニングデバイス６，６を連結する連結パイプとして
の機能を失い一方側のリクライニングデバイス６がロッ
クオフされても他方側のリクライニングデバイス６がロ
ックオフされることが防止される。

【００３０】

【発明の効果】以上が、本発明に係る両側リクライニン
グ装置の実施の形態の一例の構成，作用であるが、本発
明の請求項１の両側リクライニング装置によれば、両側
のリクライニングデバイスを連結するコネクトパイプに
回動防止プレートを設けることにより、着座者やシート
に大きな力が作用した場合に、コネクトパイプにロック
オフと逆方向の回動力が作用し、少なくとも一方側のリ
クライニングデバイスのロックオフを防止することがで
きる。

【００３１】また、本発明の請求項２の両側リクライニ
ンク装置によれば、本発明のコネクトパイプにその長手
方向と直交する方向にスリットを形成することにより、
コネクトパイプがスリットを中心にして折曲され易くな
り、このため、衝撃時のリクライニングデバイスのロッ
クオフが確実に解消される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る両側リクライニング装置の両側の
リクライニングデバイスの全体構造を示す斜視図。

【図２】本発明に係る両側リクライニング装置の両側の
リクライニングデバイスとそれを連結するコネクトパイ
プを示す斜視図。

【図３】本発明に係る両側リクライニング装置における
コネクトパイプを示す斜視図。

【図４】図３のＡ−Ａ線拡大断面図。

【図５】本発明に係る両側リクライニング装置のロック
オン防止作用を説明するためのロック機構の係合状態を
示す断面図。

【図６】本発明に係る両側リクライニング装置の着座者
と本発明の両側リクライニング装置との係合状態を示す
斜視図。

【図７】本発明に係る両側リクライニング装置の斜視
図。

【図８】本発明に係る両側リクライニング装置における
リクライニングデバイスのロック機構のロックオン状態
の断面図。

【図９】本発明に係る両側リクライニング装置における
リクライニングデバイスのロック機構のロックオフ状態
の断面図。

【図１０】従来の両側リクライニング装置の側面図。

【図１１】従来の両側リクライニング装置の衝撃時等の
側面図。

【符号の説明】

１ コネクトパイプ ２ 連結パイプ部 ３ 回動防止プレート ４ スリット ６ リクライニングデバイス ７ シートクッション ８ ベース ９ シートバック １０ アーム １６ カム部材 ２０ ツースインナー ２８ リターンスプリング

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートクッション側に固持されるベース
   と、該ベースに枢支されシートバック側に固定されるア
   ームと、該アームの内歯車に着離自在に噛合すべく前記
   ベース側に摺動自在に支持されると共にロックオフ溝及
   びロックオン用当接部を形成してなるツースインナー
   と、該ツースインナーの前記ロックオフ溝及びロックオ
   ン用当接部に着離自在に係合するカム部材と、前記アー
   ム側と前記ツースインナーとを噛合方向に付勢する付勢
   手段とを設けたリクライニングデバイスをアウター側と
   インナー側の両側に設け、該アウター側の前記カム部材
   に嵌着された操作レバーの回動軸に連結するコネクトパ
   イプを前記インナー側の前記カム部材に嵌着し、前記操
   作レバーの回動により両側のリクライニングデバイスを
   連動させる両側リクライニング装置であって、前記コネ
   クトパイプが、前記両側のリクライニングデバイスに連
   結する連結パイプ部と、該連結パイプ部の外周から下方
   に向かって延設される回動防止プレートとから構成され
   ていることを特徴とする両側リクライニング装置。
2. 【請求項２】 前記コネクトパイプの前記連結パイプ部
   及び回動防止プレートの少なくとも何れか一方に、前記
   コネクトパイプの長手方向と直交する方向に延びるスリ
   ットが形成されていることを特徴とする請求項１に記載
   の両側リクライニング装置。