JPH0912323A - 紫外線照射による緻密化が抑制された石英ガラス部材 - Google Patents

紫外線照射による緻密化が抑制された石英ガラス部材

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JPH0912323A
JPH0912323A JP16403995A JP16403995A JPH0912323A JP H0912323 A JPH0912323 A JP H0912323A JP 16403995 A JP16403995 A JP 16403995A JP 16403995 A JP16403995 A JP 16403995A JP H0912323 A JPH0912323 A JP H0912323A
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irradiation
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increase
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JP16403995A
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Norio Komine
典男 小峯
Hiroyuki Hiraiwa
弘之 平岩
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Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 紫外線照射による屈折率の上昇や歪の発生、
表面の凹みが抑制された石英ガラス光学部材を提供す
る。 【構成】 OH基濃度が200ppm以下であって、紫外線照
射による構造の緻密化が抑制された石英ガラス光学部材
を、ステッパ等の紫外線光学系に用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は紫外線用光学系に利用さ
れる石英ガラス部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シリコン等のウエハ上に集積回路
の微細パターンを露光・転写する光リソグラフィ技術に
おいては、ステッパと呼ばれる露光装置が用いられる。
このステッパの光源は、近年のLSIの高集積化に伴っ
てg線(436nm)からi線(365nm)、さらにはKrF
(248nm)やArF(193nm)エキシマレーザへと短波長
化が進められている。一般に、ステッパの照明系あるい
は投影レンズとして用いられる光学ガラスは、i線より
も短い波長領域では光透過率が低下するため、従来の光
学ガラスにかえて合成石英ガラスが用いられる。
【0003】合成石英ガラスは主に直接法、スート法、
プラズマ法に分類される。これらはすべて気相合成法と
いう製造方法に属している。まず、直接法は、原料に四
塩化ケイ素などのケイ素化合物を用い、原料を酸素水素
火炎で加水分解して石英ガラス微粒子(スート)を形成
させ、それを回転、揺動、引き下げを行っているターゲ
ット上で堆積、溶融、透明化を一気に行うことによって
石英ガラス塊を得る方法である。また、スート法は、原
料に四塩化ケイ素を用い、原料を酸水素火炎で加水分解
してスートを形成させ、それをターゲット上に堆積させ
てスート塊を得たのち、2次処理で透明化して石英ガラ
ス塊を得る方法である。さらに、プラズマ法は、原料に
四塩化ケイ素を用い、原料を酸素+アルゴン混合の高周
波プラズマ火炎で酸化することによりスートを形成さ
せ、それを回転、引き下げしているターゲット上に堆
積、溶融、透明化を一気に行うことによって石英ガラス
塊を得る方法である。
【0004】これらの合成石英ガラスを光リソグラフィ
の光学系で用いる場合、集積回路パターンを大きな面積
で高解像度で露光するためには、その合成石英ガラス光
学部材には非常に高い品質が要求される。例えば、部材
の屈折率分布が、直径200mm程度の非常に大きな口径内
で10-6オータ゛ー以下であることが要求される。また、複屈
折量を減少させること、すなわち光学部材の内部歪を減
少させることが、屈折率分布の均質性を向上させること
と同様に、光学系の解像度に対して重要である。
【0005】一般に、ガラスのような非結晶体は内部に
応力が存在して歪を受けていないかぎり、あらゆる性質
において等方的である。しかし、歪んでいるガラスは異
方体であり、光学的には複屈折という現象が出現する。
複屈折とは、一つの入射光が光学的異方体を通過したと
きに二つの屈折光が得られる現象である。この屈折光は
振動面が互いに直交する直線偏光のことであり、その屈
折率が異なっているため、それらの二つの屈折光の位相
は異なる。このとき、複屈折量とは物質内を光が単位長
さ通過したときの、二つの屈折光の位相差のことであ
る。通常、ガラスの歪量はこの複屈折量として定義され
る。光学部材にこのような歪が存在することは、光学系
の解像度に対して悪影響を及ぼす。
【0006】このため、光リソグラフィ装置の結像光学
系に用いられる合成石英ガラスには屈折率の均質性がよ
く、歪の少ない高品質なものが用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、そのよ
うな屈折率の均質性、歪に関して高品質な合成石英ガラ
スであっても高出力の紫外光やエキシマレーザ光を長時
間照射すると、E’センターと呼ばれる構造欠陥に起因
する215nmの吸収帯やNBOHC(Non-BridgingOxygen
Hole Center)と呼ばれる構造欠陥に起因する260nm吸収
帯が現れて紫外領域の透過率が著しい低下が生じる場合
があった。さらに、同時に、屈折率の上昇や歪の発生、
表面の凹みなどの現象が現れるため、光学系の解像度を
著しく劣化させるという問題があった。これらの現象は
それぞれ、石英ガラスに紫外線を照射したときに、照射
部分の屈折率が未照射部分の屈折率より高くなってしま
うこと、また、照射部分と未照射部分の境界付近に大き
な歪が生じること、さらに、石英ガラス表面の照射部分
が未照射部分に比較して凹んでしまうことを意味する。
【0008】このような屈折率の上昇や歪の発生、表面
の凹みが発生することについては、これまでにいくつか
の報告例がある。しかし、それぞれの現象が独立に論じ
られていることがあっても、それらの現象の発生のメカ
ニズムやそれらの相互関係、さらには、それらの現象を
どうすれば抑制できるかについては明らかになっていな
かった。
【0009】本発明はそのような従来技術の欠点であっ
た紫外線照射による屈折率の上昇や歪の発生、表面の凹
みを抑制して、光リソグラフィの光学系に最適な合成石
英ガラスを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、紫外線照
射に伴う屈折率の上昇や歪の発生、表面の凹みの原因に
関して鋭意研究を行ってきた。その結果、これらの特性
は紫外線照射によって引き起こされる石英ガラスの構造
の緻密化、すなわち密度の上昇という現象に伴って生じ
ていることがわかった。そして、そのような緻密化を抑
制するためには、石英ガラス中に含有するOH基濃度を
低くすればよいという結論に達した。そこで、本発明は
OH基濃度が200ppm以下である石英ガラス部材であっ
て、紫外線照射による構造の緻密化が抑制されたことを
特徴としている。
【0011】また、さらに調査を行った結果、部材中に
水素分子を添加することによってさらに緻密化を抑制す
ることができることが判明した。そこで、本発明はOH
基濃度が200ppm以下である石英ガラス部材であって、水
素分子濃度が1×1017molecules/cm3以上であることを
特徴としている。以上のように、紫外線照射によって引
き起こされる密度の上昇を抑制することができれば、短
波長でかつ高出力の紫外線やエキシマレーザ光を長期間
照射によってもレンズの結像性能を劣化させない石英ガ
ラス光学部材を提供することができる。
【0012】このような石英ガラス光学部材は、ArF
エキシマレーザをワンパルスエネルギー密度200mJ/cm2
で6×105パルス照射した後の密度と照射前の密度との差
が3×10-5g/cm3以下であることを特徴とする。
【0013】
【作用】石英ガラスに強力な紫外線や放射線を照射した
ときに屈折率上昇や歪の発生、さらに表面凹みが生じる
ことについては、これまでにいくつかの報告例がある。
このような現象が紫外線用の光学系の性能劣化につなが
ることは従来技術で述べたとおりである。しかし、これ
らの現象が生じるメカニズムやそれらの相互の関連、さ
らにはそれらの物性変化をどうすれば抑制できるかにつ
いては、明らかになっていなかった。
【0014】本発明者らは、まずこれらの現象の相互関
係について調べた。いろいろなエキシマレーザ照射条件
を設定して、多種類の石英ガラスに照射実験を行い、屈
折率上昇、歪、表面凹みのデータを測定した。屈折率上
昇量はHe−Neレーザを光源としたフィゾー型干渉計
によって、エキシマレーザ照射した部分の屈折率と未照
射の部分との屈折率差を測定することによって求められ
た。また、歪量はHe−Neレーザを光源とした自動複
屈折測定装置によって、エキシマレーザ照射部分と未照
射部分との境界付近に発生する歪量を測定し、その最大
歪量として求めた。この装置は、歪んでいるガラスに一
つの入射光がを通過したときに複屈折という現象で発生
した二つの屈折光の、光が単位長さ通過したときの位相
差(複屈折量)を測定し、部材の領域内での複屈折量の
空間的分布を測定する装置である。通常、ガラスの歪量
はこの複屈折量として定義される。また、表面凹み量は
ダイヤモンド針接触型表面形状測定機によって、試料の
エキシマレーザ光入射面、出射面両方に発生する凹み量
を測定し、その合計として求めた。
【0015】その結果、図2に示したように、屈折率上
昇量と歪量との間に1対1の相関があることが判明し
た。さらに、図3に示したように、屈折率上昇量と表面
凹み量との間にも1対1の相関関係が成り立つことが判
明した。このことから、屈折率上昇、歪の発生、表面凹
みは同一の現象、すなわち、エキシマレーザ照射に伴う
石英ガラス構造の緻密化によって発生しているとの結論
に至った。エキシマレーザ照射によって石英ガラス内部
で結合(例えば、≡Si-O-Si≡、≡Si-O-Hなど。なお、
≡Siは三重結合ではなく、Siが3つの酸素と結合して
いることを表す。)の組み替えが生じ、構造の緻密化が
進行すると、密度の上昇に伴う屈折率の上昇が結果的に
生じていると考えられる。照射部分でこのような構造の
緻密化が進行するので、緻密化の進行しない未照射部分
との境界付近では、大きな応力が発生することになり、
結果的に、歪として現れる。またさらに、緻密化の進行
は体積収縮を伴うため、照射部分は未照射部分に比較し
て表面が凹んでしまうと考えられる。
【0016】紫外線照射による密度の上昇量はアルキメ
デス法によって測定することができる。本発明者等は紫
外線照射による密度上昇が光学系の結像性能に及ぼす影
響を調査した結果、ArFエキシマレーザをワンパルス
エネルギー密度200mJ/cm2で6×105パルス照射した後の
密度と照射前の密度との差が3×10-5g/cm3以下である
石英ガラス光学部材を用いれば、ArFエキシマレーザ
ステッパ投影光学系の結像性能が劣化しないことを突き
とめた。
【0017】次に、本発明者らは前述のような緻密化を
抑制する方法について検討してきた。その結果、石英ガ
ラス中のOH基濃度を減らすことによって、緻密化の抑
制を達成できることを突き止めた。すなわち、OH基の
存在が、石英ガラスの結合の組み替えを生じさせやすく
なることがわかった。このような、OH基の存在が緻密
化をより進行させてしまう機構については必ずしも明確
ではないが、本発明者らの研究に基づいて推定すると、
例えば、エキシマレーザ照射に伴う以下のような反応、 ≡Si-O-H H-O-Si≡ → ≡Si-O-Si≡ + H2O (1) によって、構造的な緻密化が進行するもの推定される。
【0018】次に、水素分子が含有されることによる、
緻密化の抑制の機構について、本発明者らの研究結果に
基づいて推定する。水素分子が存在する石英ガラスにγ
線を照射したときに、 ≡Si-O-Si≡ + H2 → ≡Si-OH H-Si≡ (2) のような反応が生じ、多量のOH基の存在により屈折率
が減少するといわれている。すなわち、密度が減少する
といわれている。そこで、本発明者らは石英ガラスに水
素分子を含有させれば、紫外線照射に伴う緻密化と同時
に、OH基の生成による密度の減少を生じさせることに
よって、2つの現象の相殺によって実質的に緻密化を抑
制できるのではないかと考え、研究を重ねてきた。その
結果、実際に水素分子の存在により歪の発生が抑制され
ることを突き止めた。このとき(1)で示された光分解
過程に水素分子が存在すると、さらに緻密な構造へ変化
する前に≡Si-OH H-Si≡に終端され安定化するものと推
定される。
【0019】このようなOH基濃度の減少による緻密化
の抑制効果は、どのような石英ガラスにも見られるもの
ではなく、ある一定の構造、すなわち、以下に述べるよ
うな、不完全構造を持たない、理想に近い構造を持つ石
英ガラスに限って発揮される。不完全構造の例として
は、酸素欠乏型欠陥である≡Si-Si≡結合や、酸素過剰
型欠陥である≡Si-O-O-Si≡結合等が提案されている
が、本発明の石英ガラスは、そのような化学量論比から
のずれに起因する不完全構造も存在しないことが必要と
される。すなわち、酸素欠乏型欠陥吸収帯(7.6、5.0eV
吸収帯)を実質的に含まない。本発明の石英ガラスにA
rFエキシマレーザを照射したとき、酸素過剰型欠陥吸
収帯(4.8eV吸収帯)が実質的に生成しない。これらの
欠陥が存在しないことにより、真空紫外・紫外・可視・
赤外分光光度計による透過率測定では、g線(436nm)
〜i線(365nm)、さらにはKrF(248nm)波長では内
部透過率99.9%以上、ArF(193nm)波長では略99.8%
以上を得ることが出来る。
【0020】従来、例えばVAD法の合成石英ガラスで
は、その製造工程でOH基濃度を低減させようとしたと
き、酸素欠乏型欠陥が発生してしまうことが多かった。
このような酸素欠乏型欠陥が、OH基濃度は低くしたに
もかかわらず、エキシマレーザ照射に伴う大きな緻密化
が生ずる原因であった。また、逆に、例えばプラズマ法
で製造された合成石英ガラスでは原理的にOH基を含ま
ない合成石英ガラスが得られるが、多量の酸素過剰型欠
陥構造を含んでいるために、やはり、エキシマレーザ照
射に伴う大きな緻密化が進行してしまった。また、さら
に、石英ガラス薄膜、導波路、石英系ファイバの分野で
は、紫外線照射による石英ガラスの緻密化は積極的に利
用されており、紫外線照射による屈折率制御、導波路作
製、ファイバグレーティング作製などに応用されてい
る。これらの分野においてはむしろ、より効率的に、す
なわち同じエネルギーの紫外線照射でより大きな緻密化
を生じさせるような研究が行われている。その結果最近
では、薄膜、ファイバを還元処理することよってより効
率的に緻密化を生じさせることがことが明らかになって
いる。このような薄膜やファイバの石英ガラスは理想的
な構造ではなく、たとえば酸素欠乏性欠陥構造を含んで
いる(7.6eV、5.0eV吸収帯が観測される)ため、大きな
緻密化が進行することが明らかになっている。以上のよ
うに、本発明のような理想に近い構造を持つ石英ガラ
ス、すなわち構造欠陥の無い石英ガラスにおいては、O
H基濃度を減少させることによって紫外線照射による緻
密化を抑制する効果が発揮される。
【0021】本発明で得られる石英ガラスはエキシマレ
ーザステッパの投影レンズのみならず照明系、エタロン
等の紫外線精密光学素子に有用である。
【0022】
【実施例1】高純度の四塩化珪素を原料として用い、石
英ガラス製バーナにて酸素ガス及び水素ガスを混合、燃
焼させ、中心部から原料ガスをキャリアガス(通常、酸
素ガス)で希釈して噴出させ、ターゲット上に石英ガラ
ス微粒子(スート)を堆積させ、石英ガラスの多孔質体
を形成した。この多孔質体を不活性ガス雰囲気中で1000
℃で20時間加熱処理したのち、真空中で1000℃で20時間
加熱処理した。続いて不活性ガス雰囲気下で1600℃で15
時間、透明化のための熱処理を行った。このようにして
透明な石英ガラスインゴットを得たのち、直径60mm、厚
さ10mmの形状を持つ、ArFエキシマレーザ照射用試験
片を切り出し、厚さ方向の向かい合う2面に光学研磨を
施した。これを実施例1とした。実施例1のOH基濃度
は10ppmであった。また、水素分子濃度は検出下限(5×
1016molecules/cm3)以下であった。
【0023】なお、OH基濃度は1.38μmの吸収量を測
定することにより算出した。また、水素分子濃度の測定
はレーザーラマン分光光度計により行った。Ar+レー
ザ(出力400mW)を照射した時に発生する試料と直角方
向のラマン散乱光のうち、800cm-1と4135cm-1の強度を
測定し、その強度比をとることにより行った。このよう
にして作成した実施例1の試験片に、ArFエキシマレ
ーザ光をワンパルスエネルギー密度:200mJ/cm2/puls
e、繰り返し周波数:100Hz、ビーム形状:0.7×0.7cm2
で6×105パルス照射試験を行い、屈折率上昇量と密度上
昇量を測定した。なお、屈折率上昇量はHe−Neレー
ザ(633nm)を光源としたフィゾー型干渉計によって、
照射部部分と未照射部分の屈折率差として測定した。ま
た、密度上昇量はアルキメデス法によって測定した。そ
の結果、実施例1の屈折率上昇量は2.5×10-6で、密度
上昇量は1.3×10-5g/cm3であった。実施例1の屈折率
上昇量は5×10-6以下であり、密度上昇量は3×10-5g/c
m3以下であるので、非常に良好な結果が得られた。
【0024】
【実施例2】実施例2の試験片はほぼ実施例1と同様の
工程で作製されるが、実施例1の工程と異なる点は、真
空中での加熱処理を行っていないことである。実施例2
の試験片のOH基濃度は145ppmであった。また、水素分
子濃度は検出下限(5×1016molecules/cm3)以下であっ
た。
【0025】このようにして作成した実施例2の試験片
に、実施例1の場合と同様の条件でArFエキシマレー
ザの照射試験を行い、屈折率上昇量を測定した。その結
果、実施例2の屈折率上昇量は4.4×10-6で、密度上昇
量は2.2×10-5g/cm3であり、非常に良好な結果が得ら
れた。
【0026】
【比較例1】比較例の石英ガラスインゴットは、原料と
して高純度の四塩化硅素を用い、石英ガラス製バーナに
て酸素ガス及び水素ガスを混合、燃焼させ、中心部から
原料ガスをキャリアガス(通常、酸素ガス)で希釈して
噴出させ、ターゲット上に堆積、溶融して合成した。こ
のとき、酸素ガスと水素ガスの混合比率をO2/H2=0.2と
設定した。得られた石英ガラスインゴットから直径60m
m、厚さ10mmの形状を持つ、ArFエキシマレーザ照射
用試験片を切り出し、厚さ方向の向かい合う2面に光学
研磨を施した。次に、試験片を真空加熱処理により脱水
素を行った。処理温度は700℃で、処理時間は60時間と
した。この様な手順により、比較例1の試験片を作製し
た。比較例1のOH基濃度は600ppmであった。また、水
素分子濃度は検出下限以下であった。
【0027】このようにして作成した比較例1の試験片
に、実施例1の場合と同様の条件でArFエキシマレー
ザの照射試験を行い、屈折率上昇量を測定した。その結
果、比較例1の屈折率上昇量は8.5×10-6、密度上昇量
は4.3×10-5g/cm3と得られた。したがって、屈折率上
昇量は5×10-6以上であり、密度上昇量は3×10-5g/cm3
以上であるので、比較例1は不良であることがわかっ
た。
【0028】
【比較例2】比較例2の試験片はほぼ比較例1と同様の
工程で作製されるが、比較例1の工程と異なる点は、酸
素ガスと水素ガスの混合比率をO2/H2=0.4と設定したこ
とにある。比較例2の試験片のOH基濃度は960ppmであ
った。また、水素分子濃度は検出下限(5×1016molecul
es/cm3)以下であった。
【0029】このようにして作成した比較例1の試験片
に、実施例1の場合と同様の条件でArFエキシマレー
ザの照射試験を行い、屈折率上昇量を測定した。その結
果、比較例2の屈折率上昇量は14×10-6、密度上昇量は
7×10-5g/cm3と得られた。したがって、屈折率上昇量
は5×10-6以上であり、密度上昇量は3×10-5g/cm3以上
であるので、比較例2は不良であることがわかった。
【0030】以上のように実施例1、2、比較例1、2
に対するArFエキシマレーザ照射試験によって得られ
た結果を図1に示した。図1のように、ArFエキシマ
レーザ照射による屈折率上昇量はOH基濃度に強く依存
し、OH基濃度が200ppm以下であれば、屈折率上昇量は
5×10-6以下であり、非常に良好な結果が得られること
がわかった。なお、図1の縦軸の、例えば1E-05とは、1
×10-5を意味している。
【0031】
【実施例3】実施例1の試験片に対して、100%の水素ガ
ス雰囲気下で500℃で60時間の加熱処理を行った。この
試験片を実施例3とした。その結果、実施例3の試験片
の水素分子濃度は2×1018molecules/cm3であった。OH
基濃度は熱処理前後で変化なかった。実施例3の試験片
に、実施例1の場合と同様の条件でArFエキシマレー
ザの照射試験を行い、屈折率上昇量を測定した。その結
果、実施例3の屈折率上昇量は1.9×10-6で、密度上昇
量は1.3×10-5g/cm3であった。実施例3の屈折率上昇
量は5×10-6以下であり、密度上昇量は3×10-5g/cm3
下であるので、非常に良好な結果が得られた。すなわ
ち、水素分子の存在により実施例1のときよりさらに緻
密化が抑制されることがわかった。
【0032】
【実施例4】本発明の石英ガラス光学部材のうち、エキ
シマレーザ照射領域内での最大屈折率差が△n≦2×10
-6であり、最大複屈折率が2nm/cm以下の特性を有する部
材を用いて、ArFエキシマレーザステッパ投影レンズ
を作製した。そして、得られた投影光学系の解像度はラ
インアンドスペースで0.2μmを達成し、ArFエキシマ
レーザステッパとして良好な結像性能を得ることができ
た。
【0033】このように良好な結像性能が、ArFエキ
シマレーザステッパが稼働している期間保たれている必
要があるが、稼働期間は10年以上が想定されているの
で、実際の装置で確認することはできない。したがっ
て、光学設計段階で算出される投影光学系のレンズ部材
に要求される緻密化の許容量を、本発明の石英ガラス光
学部材が満たしているかどうかを検討した。
【0034】投影光学系のレンズ部材に照射されるAr
Fエキシマレーザ光のワンパルス当たりのエネルギー密
度は平均0.2mJ/cm2/pulseである。このエネルギー密度
で、ArFエキシマレーザステッパを実稼働時間に相当
するパルス数1×1011パルス稼働させたとき、屈折率の
変動が1×10-6以下であることが要求される。この許容
範囲内であれば、ArFエキシマレーザステッパの投影
光学系の結像性能に支障をきたさない。
【0035】実際に、本発明の石英ガラス光学部材の屈
折率が上記稼働条件でどの程度変動するかを調べるため
には、照射に伴う屈折率上昇量のパルスエネルギー密度
依存性およびパルス数依存性を調査する必要がある。そ
こで、本発明の石英ガラス光学部材に関して調査した結
果、照射に伴う屈折率上昇量はパルスエネルギー密度の
1.3乗に比例して増大することがわかった。また、照射
に伴う屈折率上昇量はパルス数の0.6乗に比例して増大
することがわかった。
【0036】このデータを基に、本発明の石英ガラス光
学部材の、ArFエキシマレーザステッパ投影光学系の
実稼働条件での屈折率上昇量を予測した。まず、パルス
エネルギー密度に関して、実稼働条件での屈折率上昇量
は実施例1、2で行った照射試験条件での屈折率上昇量
より、 {(0.2mJ/cm2/pulse)/(200mJ/cm2/pulse)}1.3=1.25×10-4倍 となる。また、パルス数に関して、実稼働条件での屈折
率上昇量は実施例1、2で行った照射試験条件での屈折
率上昇量より、 {(1×1011パルス)/(6×105パルス)}0.6=1.4×103倍 となる。したがって、本発明の石英ガラス光学部材の実
稼働条件での屈折率上昇量は、 (5×10-6以下)×1.25×10-4×1.4×103=0.9×10-6以下 となり、ArFエキシマレーザステッパ投影光学系のレ
ンズ部材に要求される緻密化の許容量を満たしているこ
とがわかった。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、紫外線照射による石英
ガラス構造の緻密化を抑制して、短波長でかつ高出力の
紫外線やエキシマレーザ光を長期間照射によってもレン
ズの結像性能劣化させない石英ガラス光学部材を提供す
ることが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ArFエキシマレーザ照射による屈折率上昇
量とOH基濃度との相関を示した図である。
【図2】 ArFエキシマレーザ照射による屈折率上昇
量と最大歪量との相関を示した図である。
【図3】 ArFエキシマレーザ照射による屈折率上昇
量と試料表面の凹み量との相関を示した図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】OH基濃度が200ppm以下である石英ガラス
    部材であって、400nm以下の特定波長領域の紫外線照射
    による構造の緻密化が抑制されたことを特徴とする石英
    ガラス光学部材。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の石英ガラス光学部材にお
    いて、水素分子濃度が1×1017molecules/cm3以上であ
    ることを特徴とする石英ガラス光学部材。
  3. 【請求項3】ArFエキシマレーザをワンパルスエネル
    ギー密度200mJ/cm2で6×105パルス照射した後の密度と
    照射前の密度との差が3×10-5g/cm3以下であることを
    特徴とする石英ガラス光学部材。
  4. 【請求項4】請求項1または2または3に記載の石英ガ
    ラス光学部材において、酸素欠乏型欠陥を実質的に含ま
    ないことを特徴とする石英ガラス光学部材。
JP16403995A 1995-06-29 1995-06-29 紫外線照射による緻密化が抑制された石英ガラス部材 Pending JPH0912323A (ja)

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