JPH09104704A - エラストマー組成物 - Google Patents

エラストマー組成物

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JPH09104704A
JPH09104704A JP26181395A JP26181395A JPH09104704A JP H09104704 A JPH09104704 A JP H09104704A JP 26181395 A JP26181395 A JP 26181395A JP 26181395 A JP26181395 A JP 26181395A JP H09104704 A JPH09104704 A JP H09104704A
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JP
Japan
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acid
polyvalent metal
mol
mixture
elastomer composition
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Application number
JP26181395A
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English (en)
Inventor
Minoru Aoki
稔 青木
Seiichi Tejima
成市 手嶋
Yoshinobu Asako
佳延 浅子
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的性質に優れたエラストマー組成物を提
供する。 【解決手段】 本発明のエラストマー組成物は、カルボ
キシル基を有する単量体を必須に含むと共に、ポリマー
のガラス転移温度が−70〜20℃の範囲であるビニル
単量体(A)80.0〜99.0モル%と、酸化物およ
び/または水酸化物を必須に含むと共に、酸化物、水酸
化物および有機カルボン酸塩から選ばれる1種以上から
なる多価金属化合物(B)1.0〜20.0モル%とか
らなり、かつ、該多価金属化合物(B)が該ビニル単量
体(A)に溶解してなる混合物の重合により形成された
重合体よりなるエラストマー組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械的性質に優れ
た新規なエラストマー組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、金属塩を含有する(メタ)アクリ
ル系樹脂としては、例えば、特開昭56−74110号
公報に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、重合
性不飽和カルボン酸の金属塩(Mg、Al、Sn、P
b、Zn、Ce、Ti、Zr、Hf、V、Cr)と、別
のコモノマーとからなるモノマー混合物を塊状でラジカ
ル重合する製法によるイオン架橋アクリル樹脂が記載さ
れている。上記公報のうち、アクリル酸エチルを主成分
とするアクリルエラストマーでは、耐熱性、耐オゾン
性、耐油性などに優れるため、オイルシール、Oリン
グ、ガスケット類、パッキン類、自動車用ホースなどに
広く使用されるとするものである。
【0003】しかしながら、上記公報では、(メタ)ア
クリル酸アルキルエステルに、溶解性の低い重合性不飽
和カルボン酸金属塩を溶解したモノマー混合物を用いて
共重合を行っており、得られるアクリルエラストマーの
該金属塩の含有量は、モノマー混合物中の該金属塩の溶
解度以上に高濃度で含有することはできず、その製造方
法により得られるアクリルエラストマーの特性が制限さ
れていた。すなわち当該アクリルエラストマーにおいて
は、該重合性不飽和カルボン酸金属塩による架橋形成が
不十分であるため常温でのゴム弾性(引張強度)や高強
度(破断伸び)などの機械的性質が不十分であり、こう
した機械的性質を必要とする分野での利用は限られたも
のであった。
【0004】さらに上記公報の製造方法により得られる
該アクリルエラストマーは、イオン架橋体であり熱硬化
性特性を有する(熱可塑性エラストマーとしての性質を
有していない)ため成形加工性が十分でなく、こうした
該アクリルエラストマーに機械的性質を保持させたま
ま、熱可塑性を付与して成形加工性を得ることは上記公
報による製法からは見出だせない。
【0005】また、特開平6−287395号公報に
は、(メタ)アクリル酸エステル、不飽和カルボン酸単
量体、その他共重合可能な単量体を構成成分とする共重
合体に対して金属酸化物および/または金属水酸化物、
有機カルボン酸の金属塩を含有し、これを加熱混練して
なる熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。上
記熱可塑性エラストマー組成物では、架橋性に優れかつ
耐傷付性と機械的物性に極めて優れるとするものであ
る。
【0006】しかしながら、上記熱可塑性エラストマー
組成物は、まず初めに(メタ)アクリル系共重合体を形
成し、その後に該共重合体に触媒ないし界面活性剤とし
ての働きをする金属酸化物および/または金属水酸化物
と、有機カルボン酸の金属塩とを加えて加熱混練してな
るものであり、共重合体中に有機カルボン酸金属塩を高
濃度に溶解ないし分散させて架橋導入するには立体障害
や金属酸化物等の共重合体への直接的な反応による触媒
作用の低下の問題等があるため、得られる熱可塑性エラ
ストマー組成物への金属塩の含有量を高濃度にすること
は困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、従来の(メタ)アクリル系エラストマー組成物が有
していた上記諸問題を一度に解決するものである。よっ
て、本発明の目的は、高い金属塩の含有量を持ち、これ
によりゴム弾性(引張強度)や強度(破断伸び)などに
優れた機械的性質を有する汎用性に富むエラストマー組
成物を提供することにある。
【0008】さらに本発明の目的は、上記機械的性質と
熱可塑性による優れた成形加工性とを両立してなるエラ
ストマー組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、アクリル酸エチ
ル等の単量体に重合性不飽和カルボン酸金属塩の形で直
接添加されてなるモノマー混合物の重合により形成され
た重合体をエラストマー組成物とするのではなく、重合
性不飽和カルボン酸を含有するビニル単量体に、酸化物
および/または水酸化物(必須成分)、有機カルボン酸
塩(任意成分)からなる多価金属化合物を溶解してなる
混合物の重合により形成された重合体をエラストマー組
成物とすることにより、上記課題が解決し得ることを見
出した。
【0010】すなわち、重合性不飽和カルボン酸を有す
るビニル単量体に、酸化物などの多価金属化合物を溶解
してなる混合物では、ビニル単量体中の重合性不飽和カ
ルボン酸と多価金属化合物の中の酸化物/水酸化物によ
り重合性不飽和カルボン酸多価金属塩が全モノマー溶液
に可溶な多価金属塩の形で生成されるため、この混合物
の重合により形成された重合体は多価金属塩を高濃度で
含有することができる。そのため、この重合体よりなる
エラストマー組成物では、機械的性質、耐熱性および透
明性など優れた特性を具備し得るものである。
【0011】さらに、重合性二重結合を持たない有機カ
ルボン酸を含有する混合物の重合により形成された重合
体よりなるエラストマー組成物とすることによっても、
上記課題が解決し得ることを見出した。
【0012】この場合には、重合性二重結合を持たない
有機カルボン酸の共存により、上記重合性不飽和カルボ
ン酸多価金属塩の一部に重合性二重結合を持たない有機
カルボン酸が結合した形で多価金属塩が全モノマー溶液
に可溶な多価金属塩の形で生成されているため、この混
合物の重合により形成された重合体は多価金属塩を高濃
度で含有すると共に、直鎖状の重合体の間の該多価金属
塩による橋かけが生じる際に部分的に重合性二重結合を
持たない有機カルボン酸により橋かけしない点ができ
る。そのため、この重合体よりなるエラストマー組成物
では、上記特性を保持したまま成形加工性を発現し得る
ことを見出だし、本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち、本発明の目的は、(1) カル
ボキシル基を有する単量体を必須に含むと共に、ポリマ
ーのガラス転移温度が−70〜20℃の範囲であるビニ
ル単量体(A)80.0〜99.0モル%と、酸化物お
よび/または水酸化物を必須に含むと共に、酸化物、水
酸化物および有機カルボン酸塩から選ばれる1種以上か
らなる多価金属化合物(B)1.0〜20.0モル%と
からなり、かつ、該多価金属化合物(B)が該ビニル単
量体(A)に溶解してなる混合物の重合により形成され
た重合体よりなるエラストマー組成物により達成され
る。
【0014】また、本発明の他の目的は、(2) 上記
混合物が、前記ビニル単量体(A)と前記多価金属化合
物(B)の全量100モル%に対し、重合性二重結合を
持たない有機カルボン酸(C)0.1〜10モル%をさ
らに含有する上記(1)に示すエラストマー組成物によ
っても達成される。
【0015】さらに、本発明の他の目的は、(3) 上
記ビニル単量体(A)が、アクリル酸エチルを主成分と
するものである上記(1)または(2)に示すエラスト
マー組成物によっても達成される。
【0016】さらにまた、本発明の他の目的は、(4)
上記混合物が、前記ビニル単量体(A)と前記多価金
属化合物(B)の全量100モル%に対し、水0.1〜
5モル%をさらに含有する上記(1)ないし(3)のい
ずれか1つに示すエラストマー組成物によっても達成さ
れる。
【0017】
【発明の実施の形態】上記目的を達成するための本発明
の構成を以下に詳述する。
【0018】まず、本発明に係る多価金属化合物(B)
をビニル単量体(A)に溶解してなる混合物(以下、単
に混合物ともいう、尚、該混合物が後述する重合性二重
結合を持たない有機カルボン酸(C)を含有している場
合には、該混合物には該有機カルボン酸(C)が含まれ
るものである)中のビニル単量体(A)の割合は、通常
80.0〜99.0モル%、好ましくは85.0〜9
9.0モル%であることが好ましい。また、混合物中の
多価金属化合物(B)の割合は、通常1.0〜20.0
モル%、好ましくは1.0〜15.0モル%であること
が好ましい。
【0019】上記混合物中におけるビニル単量体(A)
の割合が80.0モル%未満であったり、多価金属化合
物(B)の割合が20.0モル%を超える場合には、多
価金属化合物(B)がビニル単量体(A)に完全に溶解
しないという問題や、重合中に沈澱が起こり均一なエラ
ストマー組成物が得られないことがあり、また得られる
エラストマー組成物本来の特性を維持できないこともあ
る。また、ビニル単量体(A)の割合が99.0モル%
を越えたり、多価金属化合物(B)の割合が1.0モル
%未満の場合には、ビニル単量体(A)のカルボキシル
基を有する単量体と多価金属化合物(B)により混合物
中で生成される全モノマー溶液に可溶な重合性不飽和カ
ルボン酸多価金属塩の含有比率が相対的に小さくなり、
エラストマー組成物の耐熱性が不十分となることがあ
り、また、本発明の特徴である優れた機械的性質の付
与、さらに熱可塑性エラストマー組成物では熱可塑性と
機械的性質の両立が図れないこともある。
【0020】本発明に用いられるビニル単量体(A)と
しては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、
(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸
n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)
アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチ
ル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アク
リル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチ
ル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸
オクタデシルおよび(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ
エチルなどの(メタ)アクリル酸の脂肪族エステル化合
物、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸
フェニルなどの(メタ)アクリル酸の芳香族エステル化
合物、エチレン、プロピレン、塩化ビニルなどのオレフ
ィン系の炭化水素またはこれらのハロゲン置換体、スチ
レン、メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニルなどの1価のカルボン酸の
ビニルエステル化合物、(メタ)アリルアルコール、ク
ロトンアルコールなどの不飽和アルコール化合物、(メ
タ)アクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸などのα,β−
エチレン性不飽和カルボン酸化合物、マレイン酸、フマ
ル酸、イタコン酸などの不飽和二塩基カルボン酸、マレ
イン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノアリルエス
テルなどの1価のアルコールと不飽和二塩基カルボン酸
とのモノエステル化合物、ジビニルベンゼン、エチレン
グリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタ
クリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、トリメチロールプロパントリメタクリレート、マレ
イン酸ジアリルなどのポリビニル化合物、2(N,N−
ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2(N,N−ジ
メチルアミノ)エチルメタクリレート、2(N,N−ジ
エチルアミノ)エチルアクリレート、2(N,N−ジエ
チルアミノ)エチルメタクリレートなどのアミン化合
物、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビ
ニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、2−
エチル−5−ビニルピリジン、2−ビニル−5−エチル
ピリジン、2−ビニルキノリン、1−ビニルカルバゾー
ル、3−ビニルカルバゾール、1−メチル−3−ビニル
カルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルイ
ミダゾール、4−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリ
ミジン、1−メタクリロイルアジリジン、2−(1−ア
ジリジニル)エチルメタクリレート、4−アクリロイル
オキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4
−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−1,2,2,
6,6−ペンタメチルピペリジン、4−メタクリロイル
オキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジ
ン、9−アザ−3−アクリロイルオキシメチル−3−エ
チル−8,8,10,10−テトラメチル−1,5−ジ
オキサ−スピロ[5.5]ウンデカンなどの窒素原子含
有有機複素環化合物などを挙げることができ、これらの
中から1種または2種以上用いることができる。好まし
くは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸
t−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸シ
クロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニ
ル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ベン
ジルおよびアクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステ
ル化合物の中から1種または2種以上用いることが望ま
しい。より好ましくは、アクリル酸エチルを主成分(通
常50モル%以上、好ましくは80〜100モル%の割
合)とするアクリル酸エステル化合物がより望ましい。
アクリル酸エステル化合物においてアクリル酸エチルを
主成分とする場合には、当該成分に基づく耐油性、耐候
性、透明性および機械的性質などの優れた基本特性をエ
ラストマー組成物に持たせることができるためである。
【0021】さらに上記ビニル単量体(A)は、カルボ
キシル基を有する単量体を必須に含む必要がある。これ
は、該カルボキシル基を有する単量体を含むビニル単量
体(A)に多価金属化合物(B)を溶解させることによ
り、該カルボキシル基を有する単量体と多価金属化合物
(B)中の多価金属酸化物および/または多価金属水酸
化物(以下、単に多価金属(水)酸化物ともいう)との
間で全モノマー溶液に可溶な重合性不飽和カルボン酸多
価金属塩を、多価金属塩の形で直接ビニル単量体(A)
に添加した場合の溶解度よりも高い割合で形成させるこ
とができるためである。該カルボキシル基を有する単量
体としては、上記に例示したα,β−エチレン性不飽和
カルボン酸化合物、不飽和二塩基カルボン酸、1価のア
ルコールと不飽和二塩基カルボン酸とのモノエステル化
合物のほか、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、
2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリ
ロイルオキシプロピルコハク酸、2−メタクリロイルオ
キシプロピルコハク酸、3−アクリロイルオキシプロピ
ルコハク酸、3−メタクリロイルオキシプロピルコハク
酸、2−(2−ブテノイル)オキシエチルコハク酸、2
−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロ
イルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシプ
ロピルフタル酸、2−メタクリロイルオキシプロピルフ
タル酸および3−アクリロイルオキシプロピルフタル酸
などのエステル基を有する酸などがある。
【0022】また、上記カルボキシル基を有する単量体
の割合は、多価金属化合物(B)中の多価金属(水)酸
化物1当量に対して少なくとも1当量であることが必要
である。さらに、該カルボキシル基を有する単量体と多
価金属(水)酸化物とから生成される重合性不飽和カル
ボン酸多価金属塩の生成効率はより高い方が好ましいこ
とから、多価金属(水)酸化物1当量に対して1.0〜
2.0当量のカルボキシル基を有する単量体を用いるこ
とがより好ましい。
【0023】また、上記重合性不飽和カルボン酸多価金
属塩の溶解性が向上するなどの理由から、2種以上のカ
ルボキシル基を有する単量体を用いることが好ましい。
これにより、例えば、アクリル酸とメタクリル酸の2種
のカルボキシル基を有する単量体と多価金属(水)酸化
物との間で重合性不飽和有機カルボン酸多価金属塩を形
成できる(ここで、異なる複数の該単量体と多価金属
(水)酸化物との間で形成された該有機カルボン酸多価
金属塩を本明細書中では、非対称金属塩とも称する)。
なお、上記非対称金属塩は、混合物中での多価金属塩の
凝集阻害作用および溶解安定性の向上促進作用を有する
ものである。そのため、混合物中に不溶物の生成なく均
一な重合ができ、透明なエラストマー組成物とするのに
好適である。
【0024】次に、本発明においては、上記混合物が、
前記ビニル単量体(A)と前記多価金属化合物(B)の
全量100モル%に対し、水0.1〜5モル%をさらに
含有したものであってもよい。該水の量が0.1モル%
未満の場合には、水を含有させることによる効果、すな
わち、エラストマー組成物における多価金属塩の導入を
水を添加しない場合に比してより高濃度化し得るとした
働きが得られず、結果的に、該多価金属由来の耐熱性な
どエラストマー組成物のより一層の性能アップが図れな
いことがある。また、水の量が5モル%を越える場合に
は、混合物中に不溶物が析出して均一な重合体が得られ
ないことがあり、エラストマー組成物の性能低下を招く
ことがある。また、上記水の添加方法には特に制限はな
く、ビニル単量体(A)に多価金属化合物(B)を溶解
させる前に水を混合物中に添加する方法、および予めビ
ニル単量体(A)に多価金属化合物(B)が溶解した後
の混合物中に所定量の水を添加する方法のいずれでも良
いが、ビニル単量体(A)に多価金属化合物(B)を溶
解させる前に添加する方法が好ましい。
【0025】また、上記ビニル単量体(A)から得られ
るポリマーのガラス転移温度は、通常−70℃〜20
℃、好ましくは−50℃〜0℃の範囲である。当該ガラ
ス転移温度が20℃を越えると、ゴム弾性を示さなくな
ることがあり、また−70℃未満の場合には、機械的性
質が不十分になることがある。ここで、ビニル単量体
(A)がn成分(nは2以上の整数)以上の混合物(成
分1〜成分n)の場合に、該ビニル単量体(A)から得
られるポリマーのガラス転移温度は、以下に示すFox
の式(1) 1/Tg=W1 /Tg1 +W2 /Tg2 +… …+Wn /Tgn …(1) (式中、Tgはビニル単量体(A)の混合物から得られ
るポリマーのガラス転移温度、Tg1 はビニル単量体
(A)の成分1のホモポリマーのガラス転移温度、Tg
2 はビニル単量体(A)の成分2のホモポリマーのガラ
ス転移温度、Tgnはビニル単量体(A)の成分nのホ
モポリマーのガラス転移温度を示す。また、W1 はビニ
ル単量体(A)の成分1の重量分率、W2 はビニル単量
体(A)の成分2の重量分率、Wn はビニル単量体
(A)の成分nの重量分率を示す。)から計算で求めた
値として定義される。
【0026】本発明に用いられる多価金属化合物(B)
は、必須成分である多価金属酸化物および/または多価
金属水酸化物以外に、任意成分である有機カルボン酸多
価金属塩を用いることができる。このうち必須成分であ
る多価金属酸化物および/または多価金属水酸化物は、
ビニル単量体(A)中の必須成分であるカルボキシル基
を有する単量体と反応し全モノマー溶液に可溶な多価金
属塩を生成し得るものであればよく、単独あるいは両者
を任意の割合で混合して用いることができる。また、必
須成分である多価金属酸化物および/または多価金属水
酸化物の多価金属化合物(B)全体に占める割合は、通
常50モル%以上、好ましくは70モル%以上である。
該必須成分が50モル%未満の場合には、該必須成分と
先述のカルボキシル基を有する単量体との間で目的とす
る全モノマー溶液に可溶な重合性不飽和カルボン酸多価
金属塩の生成が十分でなく好ましくないものである。
【0027】また、任意成分である有機カルボン酸多価
金属塩としては、例えば、アクリル酸の多価金属塩、メ
タクリル酸の多価金属塩、ウンデセン酸の多価金属塩、
オレイン酸の多価金属塩、クロトン酸の多価金属塩、ケ
イヒ酸の多価金属塩、イソ吉草酸の多価金属塩、2−ア
クリロイルオキシエチルコハク酸の多価金属塩、2−ア
クリロイルオキシエチルフタル酸の多価金属塩などのほ
か、多価金属化合物とアクリル酸とメタクリル酸の2種
の有機カルボン酸との間に形成された有機カルボン酸多
価金属塩(下記に示す式(1)で表される構造をも
つ)、多価金属の化合物とアクリル酸とイソ吉草酸の2
種の有機カルボン酸との間に形成された有機カルボン酸
多価金属塩などのように多価金属化合物と異なる複数の
有機カルボン酸との間で形成された有機カルボン酸多価
金属塩(本明細書中では、当該塩も非対称金属塩に含め
るものとする)などが挙げられる。
【0028】
【化1】
【0029】上記に例示したように有機カルボン酸多価
金属塩は、1種の有機カルボン酸からなる有機カルボン
酸多価金属塩であってもよいし、複数の有機カルボン酸
からなる有機カルボン酸多価金属塩であってもよいが、
該有機カルボン酸多価金属塩の溶解性を向上する目的か
ら、複数の有機カルボン酸と多価金属化合物との間に形
成された有機カルボン酸多価金属塩を用いることが好ま
しい。かかる複数の有機カルボン酸からなる有機カルボ
ン酸多価金属塩の場合、少なくとも1種の重合性二重結
合をもつ有機カルボン酸を含むことがより好ましい。多
価金属種の中でも特に優れた特性の得られる亜鉛をも
つ、ジアクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸亜鉛、ジ(2ー
メタクリロイルオキシエチルフタル酸)亜鉛、ジ(2ー
メタクリロイルオキシエチルコハク酸)亜鉛などが溶解
性が高く好適に用いられる。また、複数の有機カルボン
酸からなる有機カルボン酸多価金属塩の場合に、異なる
複数の酸として飽和カルボン酸と不飽和カルボン酸とを
用いる際には、両者の比に特に制限はないが、エラスト
マー組成物に熱可塑性を付与するためには、(不飽和有
機カルボン酸のモル数)/(有機カルボン酸の全モル
数)で算出される値をk値とすると、k値が0.1<k
<0.9、より好ましくは0.1<k<0.5であるこ
とが好ましい。k値がこの範囲に満たない場合には、エ
ラストマー組成物の機械的強度が損なわれ、k値がこの
範囲を超える場合には得られるエラストマー組成物の熱
可塑性が損なわれる。
【0030】なお、上記有機カルボン酸多価金属塩を構
成する有機カルボン酸としては、上述したものに制限さ
れるものでなく、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、
イソ吉草酸、ヘキサン酸などの飽和脂肪族モノカルボン
酸類、シュウ酸、マロン酸、コハク酸などの飽和脂肪族
ジカルボン酸類、アクリル酸、メタクリル酸、ウンデセ
ン酸、オレイン酸、クロトン酸、ケイヒ酸、5−ヘキセ
ン酸、3−メチル−3−ブテン酸、3−ペンテン酸、4
−ペンテン酸、4−メチル−4−ペンテン酸、3−メチ
ル−4−ペンテン酸、2−アクリロイル酢酸、3−アク
リロイルプロピオン酸、2−メタクリロイル酢酸、3−
オキソ−5−メチル−5−ヘキセン酸、3−オキソ−4
−メチル−4−ヘキセン酸、3−アクリロイルブタン
酸、2−アクリロイルアミノ酢酸、3−アクリロイルア
ミノプロピオン酸、2−メタクリロイルアミノ酢酸、2
−メタクリロイルアミノプロピオン酸、2−(2−ブテ
ノイル)アミノ酢酸、2−アクリロイルチオ酢酸、3−
アクリロイルチオプロピオン酸、2−メタクリロイルチ
オ酢酸、2−メタクリロイルチオプロピオン酸、2−
(2−ブテノイル)チオ酢酸、2−アクリロイルオキシ
酢酸、3−アクリロイルオキシプロピオン酸、2−メタ
クリロイルオキシ酢酸、3−メタクリロイルオキシプロ
ピオン酸、4−メタクリロイルオキシシクロヘキサンカ
ルボン酸、4−メタクリロイルオキシ安息香酸、2−
(2−ブテノイル)オキシ酢酸、1,15−ジカルボキ
シ−4,9,12−トリオキサ−3,8,13−トリオ
キソ−6−ペンタデケンなどの重合性二重結合を有する
酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタ
クリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオ
キシプロピルコハク酸、2−メタクリロイルオキシプロ
ピルコハク酸、3−アクリロイルオキシプロピルコハク
酸、3−メタクリロイルオキシプロピルコハク酸、2−
(2−ブテノイル)オキシエチルコハク酸、2−アクリ
ロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキ
シエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシプロピルフ
タル酸、2−メタクリロイルオキシプロピルフタル酸お
よび3−アクリロイルオキシプロピルフタル酸などのエ
ステル基を有する酸、安息香酸、トルイル酸、サリチル
酸などの炭素環カルボン酸類、フランカルボン酸、チオ
フェンカルボン酸、ピリジンカルボン酸などの複素環カ
ルボン酸類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸などの
高分子カルボン酸類などがあげられ、これらの中の1種
または2種以上が用いられる。また、該有機カルボン酸
の分子量は1万未満のものが好ましい。
【0031】また、上記多価金属化合物(B)を構成す
る多価金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カル
シウム、バリウムなどのアルカリ土類金属類;マンガ
ン、コバルト、ニッケル、亜鉛、カドミウムなどの遷移
金属類;アルミニウム、ガリウムなどのIIIB族金属類な
どを挙げることができる。中でも亜鉛、カルシウム等が
特に好適に使用される。また、これらの多価金属化合物
を構成する多価金属は1種類でもよいし2種以上を併用
して用いてもよい。
【0032】本発明においては、上記混合物が、前記ビ
ニル単量体(A)と前記多価金属化合物(B)の全量1
00モル%に対し、重合性二重結合を持たない有機カル
ボン酸(C)0.1〜10モル%、好ましくは0.5〜
8モル%をさらに含有したものであってもよい。これに
より、重合性不飽和カルボン酸多価金属塩の一部に重合
性二重結合を持たない有機カルボン酸が結合した形で多
価金属塩が全モノマー溶液に可溶な多価金属塩の形で生
成されているため、この混合物の重合により形成された
重合体は多価金属塩を高濃度で含有すると共に、直鎖状
の重合体の間の該多価金属塩による架橋化が生じる際に
部分的に重合性二重結合を持たない有機カルボン酸によ
り架橋構造の一部を非架橋の分岐線状ポリマーに置換で
きるため、この重合体よりなるエラストマー組成物で
は、耐熱性、機械的性質および透明性の保持に加えて熱
可塑性による優れた成形加工性をも発現し得るものであ
る。
【0033】上記重合性二重結合を持たない有機カルボ
ン酸(C)の割合が、10モル%を超える場合には、多
価金属由来の耐熱性などの性能が不十分になったり、混
合物中に不溶物が生成して均一な重合ができなくなった
り、得られる熱可塑性エラストマー組成物が不透明にな
ったりするという問題が生ずる。また、0.1モル%未
満の場合には、添加による熱可塑化などの効果の発現が
不十分である。重合性二重結合を持たない有機カルボン
酸(C)の添加方法としては、特に制限はないが、重合
の際に所定量を重合系内に添加し混合物とする方法、お
よび予めビニル単量体(A)に多価金属化合物(B)が
溶解した後に所定量を添加し混合物とする方法のいずれ
でも良いが、ビニル単量体(A)に多価金属化合物
(B)が溶解した後に所定量を添加する方法が好まし
い。
【0034】また上記重合性二重結合を持たない有機カ
ルボン酸(C)としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピ
オン酸、ヘキサン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉
草酸、クロトン酸、ナグリン酸、セネシオン酸、オクチ
ル酸、ステアリン酸、パルミチン酸、リノレイン酸、ナ
フテン酸などの飽和脂肪族モノカルボン酸類、シュウ
酸、マロン酸、コハク酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸
類、シクロヘキシルカルボン酸、安息香酸、トルイル
酸、サリチル酸、ナフトエ酸、フタル酸、ケイ皮酸など
の炭素環カルボン酸類、フランカルボン酸、チオフェン
カルボン酸、ピリジンカルボン酸などの複素環カルボン
酸類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸などの高分子
カルボン酸類などが挙げられ、これらの化合物の中の1
種または2種以上が用いられる。特に飽和脂肪族モノカ
ルボン酸類および炭素環カルボン酸類が好ましい。ま
た、該重合性二重結合を持たない有機カルボン酸(C)
の分子量は、1万未満のものが好ましい。分子量が1万
を越える場合には、立体障害などにより十分な反応性を
発現できないおそれがある。
【0035】上述した範囲において、有機カルボン酸
(C)の種類、割合を選択することによって得られるエ
ラストマー組成物の特性として、機械的性質と熱可塑性
による成形加工性とを付与することができる。
【0036】次に、本発明にかかるエラストマー組成物
は、上記多価金属化合物(B)を上記ビニル単量体
(A)に溶解してなる混合物を重合して得られたもので
あればよい。上記多価金属化合物(B)を上記ビニル単
量体(A)に溶解することで、カルボキシル基を有する
単量体と多価金属(水)酸化物との間で全モノマー溶液
に可溶な重合性不飽和カルボン酸多価金属塩を形成させ
るためである。
【0037】上記混合物の形成手段としては、特に制限
はなく、例えば、後述する実施例1のように、カルボキ
シル基を有する単量体を含まない複数のビニル単量体
(A)にカルボキシル基を有する単量体と多価金属化合
物(B)の必須成分の多価金属酸化物と重合性二重結合
を持たない有機カルボン酸(C)とを一度に加え、加熱
下、撹拌しながら溶解させる方法;後述する実施例2の
ように、カルボキシル基を有する単量体を含まないビニ
ル単量体(A)にカルボキシル基を有する単量体と多価
金属化合物(B)の必須成分の多価金属水酸化物と重合
性二重結合を持たない有機カルボン酸(C)とを一度に
加え、次いで多価金属化合物(B)の任意成分の有機カ
ルボン酸多価金属塩を加えて溶解させる方法;後述する
実施例3のように、カルボキシル基を有する単量体を含
まないビニル単量体(A)に多価金属化合物(B)の任
意成分の有機カルボン酸多価金属塩を加えて混合溶解さ
せ、さらにカルボキシル基を有する単量体と多価金属化
合物(B)の必須成分の多価金属水酸化物と重合性二重
結合を持たない有機カルボン酸(C)とを一度に加え、
加熱下、撹拌しながら溶解させ、さらに異なる重合性二
重結合を持たない有機カルボン酸(C)を加えて溶解さ
せる方法;後述する実施例5のように、カルボキシル基
を有する単量体を含まないビニル単量体(A)にカルボ
キシル基を有する2種の単量体と多価金属化合物(B)
の必須成分の多価金属水酸化物とを一度に加え、加熱
下、撹拌しながら溶解させる方法;後述する実施例8の
ように、カルボキシル基を有する単量体を含まないビニ
ル単量体(A)の主成分に水を添加し、次いでビニル単
量体(A)の他の成分を加えて溶解し、さらに多価金属
化合物(B)の任意成分の有機カルボン酸多価金属塩を
加えて溶解し、続いてカルボキシル基を有する単量体と
多価金属化合物(B)の必須成分の多価金属水酸化物と
重合性二重結合を持たない有機カルボン酸(C)とを一
度に加え、加熱下、撹拌しながら溶解させる方法など多
様な形成方法を適宜選択して利用することができる。
【0038】次に、本発明のエラストマー組成物は、上
記多価金属化合物(B)を上記ビニル単量体(A)に溶
解して形成した混合物の重合により形成された重合体よ
りなるのであって、該混合物は、重合を開始する前に形
成されるものである。これは、重合の際に、混合物を形
成し相溶化させると同時に重合を進めて重合体を形成す
ることも可能であるが、この場合、重合系内が不均質な
状態を生じ易く、エラストマー組成物の品質にバラツキ
を生じ易いためである。また、使用用途により透明性な
どを求められる場合には、必要に応じて加熱撹拌しなが
ら、さらに該混合物を透明な溶液とすることがより好ま
しい。かかる透明な溶液の状態では、完全に溶解し不溶
物のない混合物が形成されているため、これを重合して
形成した重合体よりなるエラストマー組成物では、透明
性に優れ、かつ安定な品質のものができるためである。
【0039】また、必要に応じて、多価金属化合物
(B)を上記ビニル単量体(A)に溶解して混合物を形
成する際に加熱を行う場合における該加熱温度は、通常
30〜90℃、好ましくは40〜70℃の範囲であり、
加熱時間は、通常0.2〜2時間、好ましくは0.5〜
1時間である。該加熱温度が30℃未満の場合には、多
価金属化合物の反応性(溶解性)が極めて悪く反応(溶
解)に長時間を要するほか、未反応の多価金属化合物
(不溶物)がエラストマー組成物内に残留するため機械
的性質や透明性の特性が低下するため好ましくなく、ま
た、90℃を越える場合には、形成される混合物の一部
が変性もしくは分解を受けたり、一部で重合が起き系内
が不均質な状態を生じるなど好ましくない。また加熱時
間が0.2時間未満の場合には、多価金属化合物の反応
(溶解)が完了しておらず、その後の重合により得られ
るエラストマー組成物への多価金属塩の含有量が不十分
であり、未反応な多価金属化合物(不溶物)がエラスト
マー組成物内に含まれることで機械的性質や透明性の低
下などが生じ好ましくなく、また、2時間を越える場合
には、すでに反応(溶解)か完了しており、さらに加熱
を続けるのに見合うだけ効果が得られず不経済である。
【0040】次に、上記混合物の重合には、公知の重合
方法を用いて行うことができるが、ラジカル重合法を用
いることが好ましい。
【0041】重合の際に添加する重合開始剤としては、
通常、公知のフリーラジカル触媒、例えば、過酸化ベン
ゾイル、過酸化ラウロイル、第三級ブチルヒドロキシパ
ーオキサイド、過酸化クメン、過酸化メチルエチルケト
ン、第三級ブチルパーフタレート、カプロイルパーオキ
サイドなどの有機過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸ナ
トリウム、過酸化水素などの無機酸化物、アゾビスイソ
ブチロニトリル、アゾビスイソブチルアミド、2,2′
−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾ
ビス(α−メチルバレロニトリル)、アゾビス(α−メ
チルブチロニトリル)などのアゾ化合物などを挙げるこ
とができ、これらの中から1種または2種以上用いるこ
とができる。これらの重合開始剤は、混合物全体に対し
て通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重
量%の範囲内で適宜使用できる。該重合開始剤が0.0
1重量%未満の場合には、重合系における重合開始剤の
濃度が十分でなく、系全体での反応収率が低くなるため
好ましくなく、また10重量%を越える場合には、添加
に見合うだけのさらなる効果が得られず、不経済であ
る。
【0042】本発明においては、重合により形成される
重合体の分子量を調節するために、ラウリルメルカプタ
ン、ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノー
ル、2−メルカプト酢酸、四塩化炭素および四臭化炭素
などの連鎖移動剤を使用してもよい。
【0043】また、上記混合物の重合には、例えば、塊
状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法などの
公知の重合形態を採用することができる。特に、該混合
物の重合により形成される重合体よりなるエラストマー
組成物を熱可塑性とするには、塊状重合法の1つである
注型重合法を用いれば、透明性および成形加工性に優れ
た熱可塑性エラストマー組成物とすることが容易である
ため好ましい。そして、これらの重合形態に応じて懸濁
剤や乳化剤などの各種添加剤が使用でき、また重合開始
剤や連鎖移動剤の種類や使用量、重合温度および圧力な
どの重合条件は適宜決定すればよい。
【0044】本発明のエラストマー組成物は、上述の重
合の前または後工程で、必要に応じて、充填剤として、
例えば、カーボン、ヒュームドシリカ、湿式シリカ、タ
ルク、クレー系充填剤、石英粉末、けいそう土などの1
種または2種以上を混合使用して形成した重合体よりな
るものであっても良い。
【0045】この他にも、本発明のエラストマー組成物
は、必要に応じて、可塑剤として、例えば、コモレック
No.2オイル、サンパー2280、PW−380など
の1種または2種以上を混合使用して形成した重合体よ
りなるものであっても良い。また、老化防止剤として、
ナウガード455、イルガノックス1010、ノクラッ
ク224、ノクラックWhite、ノクラック630
F、ノクラック810NA、アンチージODなどの1種
または2種以上を混合使用して形成した重合体よりなる
ものであっても良い。さらに分散剤として、例えば、低
分子シロキサン、シラノール基含有シラン、アルコキシ
シランなどが挙げられ、こられを1種または2種以上を
混合使用して形成した重合体よりなるものであっても良
い。さらにまた、着色剤、改質剤、安定剤、増量剤、離
型剤などの各種添加剤を混合使用して形成した重合体よ
りなるものであっても良い。
【0046】
【実施例】以下に、実施例により本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】実施例1 アクリル酸エチル80g(0.8モル)とアクリル酸n
−ブチル26g(0.2モル)の混合液(これらのモノ
マーから得られるポリマーの計算によるガラス転移温度
は−28℃である。)に酸化亜鉛1.2g(0.015
モル)とメタクリル酸1.3g(0.015モル)およ
びイソ吉草酸1.5g(0.015モル)を添加した。
この混合液を70℃で30分間加熱撹拌して均一透明な
溶液にした。この溶液にラジカル重合開始剤としてアゾ
ビスイソブチロニトリル0.5gを添加溶解した。この
混合物を2枚のガラス板とテフロン製ガスケットを用い
て組み立てたセル中に注入し、60℃で3時間重合後、
80℃で2時間、後硬化してエラストマー(1)を得
た。
【0048】実施例2 アクリル酸エチル(このモノマーから得られるポリマー
の計算によるガラス転移温度は−24℃である)100
g(1.0モル)に水酸化亜鉛2.0g(0.02モ
ル)とメタクリル酸1.9g(0.022モル)および
ヘキサン酸2.6g(0.022モル)を添加した。こ
の溶液にさらにジアクリル酸亜鉛1.0g(0.005
モル)を溶解した。この溶液にラジカル重合開始剤とし
て過酸化ベンゾイル0.5gを添加溶解した。この混合
物を2枚のガラス板とテフロン製ガスケットを用いて組
み立てたセル中に注入し、60℃で3時間重合後、80
℃で2時間、後硬化してエラストマー(2)を得た。
【0049】実施例3 アクリル酸エチル(このモノマーから得られるポリマー
の計算によるガラス転移温度は−24℃である)100
g(1.0モル)にジメタクリル酸亜鉛3.5g(0.
015モル)を混合溶解した。さらに水酸化亜鉛8.0
g(0.08モル)とメタクリル酸6.9g(0.08
モル)とイソ吉草酸8.2g(0.08モル)を添加し
た。この混合液を70℃で30分間加熱撹拌して均一透
明な溶液にした。さらにヘキサン酸2.3g(0.02
モル)を添加溶解した。この混合物にラジカル重合開始
剤として過酸化ラウロイル1.0gを添加して該混合物
を調製した。この混合物を2枚のガラス板とテフロン製
ガスケットを用いて組み立てたセル中に注入し、60℃
で3時間重合後、80℃で2時間、後硬化してエラスト
マー(3)を得た。
【0050】比較例1 アクリル酸エチル(このモノマーから得られるポリマー
の計算によるガラス転移温度は−24℃である)95g
(0.95モル)にメタクリル酸4.3g(0.05モ
ル)を添加した後、ラジカル重合開始剤としてアゾビス
イソブチロニトリル0.5gを添加溶解した。この混合
物を2枚のガラス板とテフロン製ガスケットを用いて組
み立てたセル中に注入し、60℃で3時間重合後、80
℃で2時間、後硬化して比較用のエラストマー(1)を
得た。
【0051】比較例2 アクリル酸エチル(このモノマーから得られるポリマー
の計算によるガラス転移温度は−24℃である)90g
(0.90モル)にアクリル酸7.2g(0.10モ
ル)を添加した後、ラジカル重合開始剤として過酸化ベ
ンゾイル0.5gを添加溶解した。この混合物を2枚の
ガラス板とテフロン製ガスケットを用いて組み立てたセ
ル中に注入し、60℃で3時間重合後、80℃で2時
間、後硬化して比較用のエラストマー(2)を得た。
【0052】実施例4 実施例1〜3で得られたエラストマー(1)〜(3)
と、比較例1〜2で得られた比較用のエラストマー
(1)〜(2)を用いて成形加工性、機械的性質の評価
を行った。結果は表1に示す通りであった。
【0053】[評価方法]成形加工性は、メルトインデ
クサー(株式会社東洋精機製作所製)を用いて160
℃、21.6kgfの条件下で10分間に流動したエラ
ストマーの重量(MI値)を測定して評価した。
【0054】機械的性質は、引張強度と破断伸びを測定
して評価した。測定機器としてインストロン4302形
(インストロン社製)を用い、試験片として2号形試験
片(JIS K 7113)に加工したエラストマーを
用いた。これらの結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】表1から明らかなように、本発明で得られ
たエラストマー(1)〜(3)は、成形加工性、機械的
性質が共に優れていた。しかし、比較用のエラストマー
(1)〜(2)は、機械的性質が劣っていた。
【0057】実施例5 アクリル酸エチル80g(0.8モル)とアクリル酸n
−ブチル26g(0.2モル)の混合液(これらのモノ
マーから得られるポリマーの計算によるガラス転移温度
は−28℃である)に水酸化亜鉛2.0g(0.02モ
ル)とメタクリル酸1.7g(0.02モル)およびア
クリル酸1.4g(0.02モル)を添加した。この混
合液を70℃で30分間加熱撹拌して均一透明な溶液に
した。この溶液にラジカル重合開始剤としてアゾビスイ
ソブチロニトリル0.5gを添加溶解した。この混合物
を2枚のガラス板とテフロン製ガスケットを用いて組み
立てたセル中に注入し、60℃で3時間重合後、80℃
で2時間、後硬化して本発明のエラストマー(4)を得
た。
【0058】実施例6 実施例5で得られたエラストマー(4)100gに対
し、カーボンブラック(東海カーボン製シースト11
6)50gを添加してバンバリーミキサーで混練し、本
発明のエラストマー(5)を得た。
【0059】実施例7 実施例5で得られたエラストマー(4)100gに対
し、シリカ(日本シリカ製ニプシルVN3)30gを添
加してバンバリーミキサーで混練し、本発明のエラスト
マー(6)を得た。
【0060】実施例8 アクリル酸エチル(このモノマーから得られるポリマー
の計算によるガラス転移温度は−24℃である。)10
0g(1.0モル)に対して、水分量が1.3g(0.
07モル)となるように水を添加した。水分量はカール
フィシャー水分計(京都電子工業株式会社製MKS−3
P型)を用いて測定した。さらに、4−アクリロイル−
1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン7.2g
(0.03モル)を溶解した。この溶液にジメタクリル
酸亜鉛2.4g(0.01モル)を溶解した。さらに水
酸化亜鉛28.9g(0.29モル)とメタクリル酸2
4.9g(0.29モル)および2−メタクリロイルオ
キシエチルフタル酸80.6g(0.29モル)を添加
した。この混合液を70℃で30分間加熱撹拌して均一
透明な溶液にした。この溶液にラジカル重合開始剤とし
て過酸化ベンゾイル1gを添加溶解した。この混合物を
2枚のガラス板とテフロン製ガスケットを用いて組み立
てたセル中に注入し、60℃で3時間重合後、80℃で
2時間、後硬化してエラストマー(7)を得た。
【0061】比較例3 比較例1で得られた比較用エラストマー(1)100g
に対し、カーボンブラック(東海カーボン製シースト1
16)50gを添加してバンバリーミキサーで混練し、
比較用のエラストマー(3)を得た。
【0062】比較例4 比較例1で得られた比較用エラストマー(1)100g
に対し、シリカ(日本シリカ製ニプシルVN3)30g
を添加してバンバリーミキサーで混練し、比較用のエラ
ストマー(4)を得た。
【0063】実施例9 実施例5〜8で得られたエラストマー(4)〜(7)
と、比較例3、4で得られた比較用のエラストマー
(3)、(4)を用いて機械的性質の評価を行なった。
結果を表2を示す通りであった。
【0064】[評価方法]機械的性質は、引張強度と破
断伸びを測定して評価した。測定機器としてインストロ
ン4302形(インストロン社製)を用い、試験片とし
て2号形試験片(JIS K 7113)に加工したエ
ラストマーを用いた。これらの結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】表2から明らかなように、本発明で得られ
たエラストマー(4)〜(7)は、機械的性質が優れて
いた。しかし、比較用のエラストマー(3)、(4)
は、機械的性質が劣っていた。
【0067】
【発明の効果】本発明のエラストマー組成物は、従来法
のように単量体混合物ないし重合体に金属塩を直接添加
し形成されてなるエラストマー組成物と異なり、金属塩
を構成する成分がモノマーに溶解されてなる混合物の重
合により形成された重合体よりなることを特徴とするも
のである。すなわち、混合物中に溶解された金属塩の構
成成分から全モノマーに可溶な金属塩を合成し、重合す
ることで形成されてなるエラストマー組成物であるた
め、該エラストマー組成物中に該金属塩をより高濃度で
かつ均質に分散した状態で架橋導入されているので、優
れたゴム弾性(引張強度)や強度(破断伸び)などの機
械的性質および高品質な熱硬化性を発現でき、さらに使
用用途に応じ、透明性や耐熱性を持たせることができ、
様々な分野への利用が図れるものであり、例えば、照明
用部品、自動車など輸送機用部品、電気機器部品、建築
関連部品、計器用部品などのシール材、パッキング材、
ホース材など幅広い分野に汎用性のある原材料として適
用できる。
【0068】また、本発明のエラストマー組成物は、さ
らに二重結合を持たない有機カルボン酸を含有した混合
物の重合により形成された重合体よりなることを特徴と
するものである。したがって、上述のエラストマー組成
物での効果を奏するほかに、架橋構造の一部を非架橋の
分岐線状ポリマーに置換できるため、耐熱性、機械的性
質および透明性の保持に加えて熱可塑性による優れた成
形加工性をも発現でき、例えば、照明用部品、自動車な
ど輸送機用部品、電気機器部品、建築関連部品、計器用
部品など成形加工を必要とする幅広い分野に汎用性のあ
る原材料として適用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 33/08 LHU C08L 33/08 LHU LHW LHW 101/08 LTB 101/08 LTB

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシル基を有する単量体を必須に
    含むと共に、ポリマーのガラス転移温度が−70〜20
    ℃の範囲であるビニル単量体(A)80.0〜99.0
    モル%と、 酸化物および/または水酸化物を必須に含むと共に、酸
    化物、水酸化物および有機カルボン酸塩から選ばれる1
    種以上からなる多価金属化合物(B)1.0〜20.0
    モル%とからなり、かつ、 該多価金属化合物(B)が該ビニル単量体(A)に溶解
    してなる混合物の重合により形成された重合体よりなる
    エラストマー組成物。
  2. 【請求項2】 前記混合物が、前記ビニル単量体(A)
    と前記多価金属化合物(B)の全量100モル%に対
    し、重合性二重結合を持たない有機カルボン酸(C)
    0.1〜10モル%をさらに含有する請求項1に記載の
    エラストマー組成物。
  3. 【請求項3】 前記ビニル単量体(A)が、アクリル酸
    エチルを主成分とするものである請求項1または2に記
    載のエラストマー組成物。
  4. 【請求項4】 前記混合物が、前記ビニル単量体(A)
    と前記多価金属化合物(B)の全量100モル%に対
    し、水0.1〜5モル%をさらに含有する請求項1ない
    し3のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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