JPH089101A - カラー画像読取装置 - Google Patents

カラー画像読取装置

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JPH089101A
JPH089101A JP6134482A JP13448294A JPH089101A JP H089101 A JPH089101 A JP H089101A JP 6134482 A JP6134482 A JP 6134482A JP 13448294 A JP13448294 A JP 13448294A JP H089101 A JPH089101 A JP H089101A
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Japan
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color
image
line
dichroic
glass
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JP6134482A
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English (en)
Inventor
Yoshiya Imoto
伊本善弥
Yuichi Ichikawa
市川裕一
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 小分離幅の3色光束分離を可能にし、カラー
レジストレーション補正精度を向上させ、結像レンズの
持つ軸上色収差を補正するカラー画像読取装置。 【構成】 結像レンズによって原稿の情報をラインセン
サ2上に結像させ、主走査方向をラインセンサ2の電気
的走査により読み取り、副走査方向をラインセンサ2へ
の結像位置を相対的に移動させて読み取るカラー画像読
取装置において、結像光線Lの光路中に2色分離手段を
2組配置して3色の光束に分割する3色分光素子1を設
け、2色分離手段を、ダイクロイック面3、4と、これ
にスペーサにより間隙を設けて配置された反射面5、6
とで構成し、ラインイセンサ2として、オンチップカラ
ーフィルタ20等により3色分離された中の各々1色の
光を選択的に受光するセンサを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カラー画像読取装置に
関し、特に、カラー画像を3原色に色分解して読み取る
装置において、光学像の読み取り精度を改善したカラー
画像読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】カラー画像をラインセンサを使って走査
読み取りを行うのには、従来、次のような4つの方式が
とられてきた。 (1)白黒イメージセンサ+光源/フィルタの色の切り
換えによる読み取り色の切り換えを行う方式。 (2)イメージセンサの1ラインの画素列上に、色フィ
ルタを3色点順次に貼り付けたものを使う方式。 (3)3色の読み取りラインをイメージセンサの1チッ
プ上に設けたものを使う方式。 (4)ダイクロイックプリズムで3光路に色分解し、3
本のイメージセンサで読み取る方式。
【0003】これらの中、(1)の方式は、高速化に不
向きである。(2)の方式では、高画質・高解像度を考
えた場合、画素密度が高くなることから、長尺の密着セ
ンサを使った方式になり、CCDを複数チップ並べる構
造となる。この場合、チップ間の特性不整合により、読
み取り画像上で各チップの読み取りエリアの境界が目立
ちやすくなるという弱点を持っている。
【0004】図18に光路の一部を示すように、読み取
り光路をダイクロイックプリズムで3光路に色分解し、
3本の白黒CCDで読み取る(4)の方式では、3本の
イメージセンサの厳密な位置合わせが要求され、調整工
数が多くかかる。
【0005】それに比べ、(3)の方式は、3ラインの
RGBの画素列が半導体基板上に作成されているので、
3色のレジストレーションを合わせるための位置合わせ
の手間がいらず、また、各色の読み取りラインが1チッ
プで構成されているので、読み取りエリア内での読み取
り特性の変化点も存在しない。
【0006】しかし、読み取り走査している時に、3ラ
インの読み取りラインが同時刻に原稿面上の同じ位置を
読んでいないため、メモリを使って先行して読んでいる
色の情報を遅延させ、同時刻に同一位置を読み取るよう
なデジタルの補正をする必要が出てくる。
【0007】この補正のために必要な高速FIFOメモ
リとメモリ制御用の回路にコストがかかり、カラー画像
読取装置を安価に供給しようというした場合のネックと
なる。また、この補正(ギャップ補正)を行うために
は、読み取り位置ズレを読み取り時間ズレに置き換えて
補正しているため、読み取り走査速度が完全に等速度で
あることが前提となっている。このため、メカニズム系
の振動等により走査速度ムラが存在した場合には、局所
的な色ズレが発生する。したがって、メカニズム系の走
査速度の安定性への要求が厳しくなり、高価な走査メカ
ニズム系が必要になる。
【0008】また、この方式では、3ラインセンサに同
じ共役長で結像を行っているため、結像レンズの軸上残
存色収差の影響で、原稿がプラテンガラスから浮いた場
合のRGBのMTFの変化の仕方がアンバランスにな
り、細線の尖鋭度がRGB毎に変わって、黒文字が色付
く問題が発生する。
【0009】この点については、(4)の方式は、図1
8に示すように、3本のイメージセンサ(CCD)を独
立にピント調整できることから、RGBのMTFをバラ
ンス良く調整することができる。
【0010】また、(3)の方式は、3色で読み取って
いる位置が違うことと、照明効率を上げるためにシャー
プに集光した照明を行っていることから、読み取り原稿
がプラテンガラスから浮いた場合、読み取り色毎の光量
が3色でアンバランスに変化することで、読み取りデー
タのカラーバランスが変化して黄色っぽくなり、見苦し
い画像になる。
【0011】これらの中、3ラインが同時刻に同じ点を
読んでないことに対する対策として、3ラインカラーC
CDの3色読み取り画素列間の間隔を縮めるための改善
がなされている。その一つとして、図19に示すよう
に、3色読み取り画素列の間に、水平方向転送電極を設
けず、3ラインの中心にある画素列の信号を両側の画素
列内を通して読み出す方式が提案されている。この方式
では、隣接するライン間の距離を1〜2ライン分程度ま
で詰めることができる。
【0012】しかしながら、3ラインの中心にある画素
列の信号を外側の画素列内を通過させて読み出すため
に、通過している読み取りラインに露光されている信号
が若干重畳する現象がある。このため、内側の読み取り
ラインに出力の低いラインを持ってくることは適当でな
い。例えば、ハロゲンランプ照明の場合、光量の小さい
Bを中心ラインの読み取り色に持ってくると、外側の画
素列を通過させる間に重畳するノイズ信号とのS/N比
が悪くなる問題がある。
【0013】しかし、こうした画素列間の距離を短くし
ようとする対策でも、完全に同一ラインの画像情報を同
時に読み取ることにはならず、完全な対策とはならな
い。
【0014】これに対する問題を解決するため、1イメ
ージセンサチップ上に設けた3本の読み取りラインに同
一ラインの画像情報を光学的に3色分解して結像するた
めの提案がされている。
【0015】その一つとして、図20に示すように、光
源のランプに所望波長域全てを含む白色光源を用い、原
稿からの反射光を結像する結像レンズと受光素子である
白黒3ラインCCDとの光路中に、所望する波長域のみ
を反射するダイクロイック膜(二色性被膜)2層と、全
波長にわたった光を反射させる反射膜の、合計3層の膜
を透明層を介して積層したダイクロイックミラーからな
るビームスプリッタを用いて、平行する3本の光束(R
GB)に色分解し、複数の白黒ラインセンサを一体に備
えた撮像素子に受光させる構成のものも提案されている
(特開平3−201861号)。
【0016】また、本発明者によって、上記方式の難点
である、ダイクロイック膜を積層したビームスプリッタ
の色毎の光路差の発生を、レンズの軸上色収差を使って
補正する提案もなされている(特願平5−111818
号)。また、ダイクロイック膜を介して積層したビーム
スプリッタを白黒ラインセンサと一体化する提案もなさ
れている。ここで、3層の膜は、薄いガラス板にダイク
ロイック膜・反射膜を蒸着して形成したものを、基材の
ガラスの上に貼り合わせ、積層させたものを用いてい
る。
【0017】しかし、これらの方式では、原稿ライン上
の読み取ろうとしている点以外の信号光が読み取り画素
列に混入してしまうという、クロストークが発生する懸
念がある。
【0018】すなわち、図20において、ライン1から
出た白色光のうちのRは、積層ダイクロイック膜の第2
層に当たって反射され、3ラインの読み取り画素列の中
の中央の画素列に到達するのに対して、ライン2から出
た白色光の中のBは、積層ダイクロイック膜の第1層に
当たって反射され、3ラインの読み取り画素列の中の中
央の画素列に到達する。このため、ライン1のR情報
と、ライン2のB情報が混じり合ってしまう。
【0019】この対策として、原稿面に近い位置に、図
示のようなスリットを設け、ライン2からの光をカット
してクロストークをなくすようにする必要がある。しか
し、このスリットの開口幅も、調整余裕を考えると1m
m程度の幅は必要となり、このため、クロストークを除
くには、3ラインセンサの画素列間ギャップの大きさ
は、16ライン分(16画素分)以上、20ライン分程
度は必要となる(16dot/mmの読み取り分解能と
仮定する。)。また、このようにして、ライン間ギャッ
プを大きめにとったセンサは、特殊仕様になってしま
う。
【0020】こうして、センサのライン間隔が広がる
と、ダイクロイック膜間の透明層の厚さを増やす必要が
あるが、この厚さを20ライン補正に合わせた場合、3
色間のレジストレーションを良好に1/4ライン程度に
補正しようとすると、透明層の厚さの精度を、厚さに対
して1/80の精度で作成しなければならない。この透
明層の厚さは元々0.2mm程度のものなので、研磨に
よって3μm程度の調整をせねばならず、この1/80
の精度は非常に難しいものになる。
【0021】逆に、幅の狭いスリットができてライン間
ギャップが短くなり、補正ライン数を小さくすることが
できたとしても、透明層の厚みが0.1mm以下になる
と、この薄いガラスに安定してダイクロイック膜を蒸着
することが非常に難しくなる。また、これだけ薄いガラ
スにダイクロイック膜を蒸着するため、反射面の平面度
の点でも、高精細度の読み取りを行うためには不安があ
る。
【0022】また、上記のようなスリットを置くこと
で、ランプの照明光束を妨害してしまうことから、照明
効率の低下も問題となる。
【0023】さらに、フルレート/ハーフレートミラー
走査系を組み合せた場合、原稿面の走査中に、センサが
読んでいるラインの位置と、フルレートユニットに固定
されているスリットの相対位置がずれていく現象があ
り、この対策として走査光学系の中の2枚のハーフレー
トミラー間の90°の角度合わせを厳密に行う必要があ
る。
【0024】一方、特開平3−96063号では、こう
した3層型の3色分光素子の欠点について言及し、2層
型の2色分光素子2枚で3色分解することを提案してい
る。ここの実施例の中では、「ダイクロイック面と反射
面の間にスペーサを設けて、2面の間隔を規制する。」
ことや、「3ラインカラーセンサと組み合せる。」こと
についても述べている。
【0025】しかしながら、3ライン白黒センサでなく
3ラインカラーセンサを使う理由については述べておら
ず、かつ、上記のクロストークの問題について考慮がさ
れていない。なぜなら、その実施例の3本の読み取りラ
イン間ギャップ量128μmでは、後述するようなR・
G間の混色によりクロストークが発生してしまうが、こ
の対策についても述べていない。また、3色分光素子に
よって生じる光路差について考慮しているが、センサ面
を大きく傾けて光路差を補正しようとしているため、セ
ンサ感度が低下する等の副作用が生じる。さらに、提案
された光学系は大型なため、コスト的に不利である。
【0026】また、本発明者によって、特願平5−28
4860号において提案された色分散部材を光路中に挿
入し、スペクトル分散された光をセンサ上に形成された
オンチップカラーフィルタと組み合せて読み取るという
方式も提案されている。
【0027】この方式では、上記のクロストークの発生
をギャップ間隔の短いセンサを使うことで色分散の幅を
小さくし、さらに、オンチップカラーフィルタの効果に
よって他の波長の光がクロストークとして混入してくる
のを防いでいる。
【0028】しかし、この方式では、「色分散の広がり
により、解像度が若干低下する。」という問題と、「色
分散の性質により、RGBの分離幅が異なるので、特殊
な仕様のセンサが必要となる。」という問題が残されて
いる。また、前述した、結像レンズの軸上色収差の問題
も解決できない。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記したよう
な従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その
目的は、小分離幅の3色光束分離を可能にし、スリット
を用いずに読み取りライン間のクロストークの影響を最
小限に抑え、カラーレジストレーション補正精度を向上
させ、かつ、結像レンズの持つ軸上色収差を補正するカ
ラー画像読取装置を提供することである。より具体的に
は、下記のようなことを可能にすることである。
【0030】(1)従来の積層型ダイクロイックミラー
方式での光学的カラーレジストレーション補正精度を向
上させ、かつ、従来の積層型ダイクロイックミラー方式
でできなかった小分離幅の光束分離を可能にする。 (2)3色分離光学系からスリットをなくし、従来の積
層型ダイクロイックミラー方式でスリットを併用するこ
とでの問題点を解消すると共に、前述したクロストーク
の影響を最小限に抑える。 (3)結像レンズの持つ軸上色収差を補正する。 (4)汎用のカラーCCDセンサとの組み合せを可能に
する。 (5)3色分離光学系の位置調整を不要にする。 (6)3色分離光学系を小型化して、コストダウンを図
る。
【0031】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明のカラー画像読取装置は、結像光学系によって被読み
取り面上の情報をラインイメージセンサ上に結像させ、
主走査方向をラインイメージセンサの電気的走査により
読み取り、副走査方向をラインイメージセンサへの結像
位置を相対的に移動させて読み取るカラー画像読取装置
において、結像光学系からの結像光線の光路中に2色分
離手段を2組配置して入射光束を3色の光束に分割する
3色分離手段を設け、前記2色分離手段を、ダイクロイ
ック反射面と、これにスペーサにより間隙を設けて配置
された反射面とで構成し、前記ラインイメージセンサと
して、3色分離された中の各々1色の光を選択的に受光
する3ラインカラーイメージセンサを用いた、ことを特
徴とするものである。
【0032】この場合、3ラインカラーイメージセンサ
の3列の読み取り画素列間の距離を主走査方向の画素間
隔で決まるセンササンプリングピッチの4倍以下にする
ことができる。そして、3ラインカラーイメージセンサ
の3色の読み取り画素列の並び順をR・G・B又はG・
R・Bの並び順にすることができる。
【0033】さらに、上記3色分離手段の各2色分離手
段からの反射色・反射角度の構成を、その構成によって
決まる色毎の光路差が、結像光学系の軸上色収差を補正
するように構成することが、また、3色分離手段により
分割される光束は、互いに平行にシフトされたものであ
ることが望ましい。
【0034】また、3色分離手段は、3ラインカラーイ
メージセンサのパッケージ封止ガラス上に一体に設ける
ことができる。
【0035】3色分離手段としては、平行平板ガラスの
上面・下面にダイクロイック反射鏡をコートし、この2
面のダイクロイック反射面にスペーサを挟んでそれぞれ
反射面を対向させるように、反射面を持ったガラス部材
を配置して構成できる。
【0036】そして、3色分離手段の2面のダイクロイ
ック反射面を、B反射、R・G透過のものと、G・B反
射、R透過のもので構成できる。また、G反射、B・R
透過のものと、G・R反射、B透過のものでも構成でき
る。
【0037】さらに、3ラインカラーイメージセンサの
分光特性として、3色分離手段のG出力光と3ラインカ
ラーイメージセンサのBの分光感度特性の共通部分、及
び、3色分離手段のB出力光と3ラインカラーイメージ
センサのGの分光感度特性の共通部分が小さくなるよう
な分光特性とすることが望ましい。
【0038】より具体的に、3色分離手段として、平行
平面ガラスの両面にダイクロイックコートを施した第1
ガラス部材1の周囲に、ダイクロイック面に対向させる
向きに反射面を形成させた第2、第3ガラス部材と、第
1ガラス部材に入射・出射させるための導光路となる第
5、第4ガラス部材を貼り合わせて作成することができ
る。
【0039】このような平行平板ガラスの上面・下面に
ダイクロイック反射鏡をコートしたガラス部材の作成法
として、上面・下面にダイクロイック反射鏡をコートし
た長尺の平行平面ガラスを短冊状に切断することで作成
することができる。
【0040】また、別の3色分離手段として、2つの2
色分離手段の直列の配置を、それぞれの入射光束の光軸
を時計回りの方向に偏向させて反射させるようにし、2
つの2色分離手段のダイクロイック反射面が、G・B反
射、R透過のものと、G・R反射、B透過のもので構成
することもできる。
【0041】さらに、色分離手段として、結像光束が入
射する第1の面、第1ダイクロイック反射面からなる第
2の面、第2ダイクロイック反射面からなる第3の面、
結像光束が出射する第4の面を持つプリズムと、2つの
ダイクロイック反射面に対向させて、スペーサを介し
て、反射面を持つ2つのガラス部材を設けて構成するこ
ともできる。
【0042】この場合には、3色分離手段の第4の面側
で3ラインカラーイメージセンサのパッケージ封止ガラ
ス上に一体に設けることができる。
【0043】また、3色分離手段を、3色分離手段への
入射光束の光軸と、3色分離手段からの出射光束の光軸
のなす角度を、直角に対して、結像レンズからの出射光
束の開口角程度傾けるようにすることもできる。
【0044】また、3色分離手段への入射光束の光軸に
対して、3ラインカラーイメージセンサのセンサ面の垂
線を傾けさせ、3色分離手段として、2面にダイクロイ
ック反射面を形成させた平行平板ガラスと、これにそれ
ぞれスペーサを介して対向させた平行平板ガラスの平面
に反射面を形成させたものとから構成し、このダイクロ
イック反射面と反射面の一部を透過面にしたものとする
こともできる。
【0045】
【作用】本発明においては、結像光学系からの結像光線
の光路中に2色分離手段を2組配置して入射光束を3色
の光束に分割する3色分離手段を設け、2色分離手段
を、ダイクロイック反射面と、これにスペーサにより間
隙を設けて配置された反射面とで構成し、ラインイメー
ジセンサとして、3色分離された中の各々1色の光を選
択的に受光する3ラインカラーイメージセンサを用いた
ので、次のような作用効果が得られる。
【0046】(1)従来型は、3色分離手段が3層型の
ため、0.1mm以上の薄いガラス板の両面にダイクロ
イック反射面と反射面を形成していたため、平面度が悪
く、またガラス板が0.1mm以下の厚さにできないた
め、光路の分離幅が大きく、カラーレジストレーション
補正精度が十分にとれなかったが、本発明では、2層型
にしたため、ガラス平面上にダイクロイック反射面、反
射面を形成することで、各面の平面精度を向上させるこ
とができる。また、この構成にしたことで、スペーサ
は、単に2色のミラーを隔てるだけの役割になるので、
0.1mm以下の薄いものにすることができ、光束分離
幅が狭いので、分離量の精度が高くできる。
【0047】(2)3色分離された中の各々1色の光を
選択的に受光する3ラインカラーイメージセンサとし
て、センサ上にオンチップカラーフィルタを設けた3ラ
インカラーセンサを用い、これと上記3色分離手段とを
組み合せることで、3色分離手段で発生するクロストー
クをオンチップカラーフィルタによりカットすることが
できる。また、3ライン間隔の狭いものとすることで、
オンチップカラーフィルタでカットしきれなかったクロ
ストークの影響を最小限にすることができ、また、上記
(1)のスペーサをより薄いものにすることができる。
【0048】(3)2層の2色分離手段を2つ組み合せ
ることで、故意に色ごとの光路差を発生させ、結像レン
ズの軸上残存色収差を相殺補正することができる。 (4)上記(1)のスペーサが0.1mm以下の厚さで
も任意に厚さに設定できるので、汎用3ラインカラーイ
メージセンサに合わせて3色レジストレーションを補正
することができる。 (5)3ラインカラーイメージセンサに一体化させるこ
とで、調整の手間を不要にすることができる。 (6)ダイクロイック反射面の面積を小さくすること
で、コストを下げることができる。
【0049】
【実施例】以下、本発明のカラー画像読取装置をいくつ
かの実施例に基づいて説明する。 〔実施例1〕図1に第1の実施例の要部の断面図を示
し、本発明による3色分光素子1を3ラインカラーCC
Dセンサ2の上に設けたものである。また、図2に3色
分光素子1の構成と光路を示す図を、図3に拡大光路図
を示す。
【0050】後記に詳述するように、3色分光素子1
は、5つのガラス部材11〜15からなり、その中、中
央の第1ガラス部材11は両面が平行で、それらの面に
第1ダイクロイック膜3及び第2ダイクロイック膜4が
設けられ、これらのダイクロイック膜3、4と対向して
薄い空気層7、8を介して第2ガラス部材12、第3ガ
ラス部材13が配置され、また、第1ガラス部材11の
両側に密着して第4ガラス部材14、第5ガラス部材1
5が配置されており、これらガラス部材11〜15を組
み合わせたブロックの断面は、図示のように長方形にな
っている。そして、第2ガラス部材12、第3ガラス部
材13のダイクロイック膜3、4に対向する面には、そ
れぞれ第2反射膜6、第1反射膜5が設けられている。
【0051】いま、図2に示すように、第1ダイクロイ
ック面3をB(ブルー)反射面3、第2ダイクロイック
面4をB・G(グリーン)反射面4とすると、図示しな
い結像レンズを経た入射光線Lは、第5ガラス部材15
に入射し、第5ガラス部材15と第1ガラス部材11の
境界をそのまま通過して、第1ガラス部材11に入り、
次に、Bのみ反射する第1ダイクロイック反射面3に当
たり、B光線とG・R光線に分離される。G・R光線
は、一旦空気層7に出た後、第3ガラス部材13の第1
反射面5で反射され、再び第1ガラス部材11に戻る。
この際、B光線とG・R光線は相互に平行にシフトされ
る。次に、B光線とG・R光線は、第1ガラス部材11
の中を進み、B・Gを反射する第2ダイクロイック反射
面4に当たり、BとGを反射する。R光線のみ第2ダイ
クロイック反射面4を通過して、一旦空気層8に出た
後、第2ガラス部材12の第2反射面6に当たって反射
され、再び第1ガラス部材11に戻る。この過程でG・
R光線はGとRの光線に分離され、3色の平行にシフト
された光線となって第1ガラス部材11の中を進み、そ
のまま第4ガラス部材14の中に入射して行く。最後
に、この第4ガラス部材14を出射して、その下にある
3ラインカラーCCDセンサ2の対応するオンチップカ
ラーフィルタ20上に結像される。
【0052】なお、このように3ラインカラーCCDセ
ンサ2と組み合わされた3色分光素子1は、図示してい
ない結像レンズからの結像光束を受けるように配置さ
れ、読み取られる原稿に対し、この読み取り系を相対的
に副走査方向に移動させ、主走査方向を3ラインカラー
CCDセンサ2の電気的走査により読み取り、副走査方
向の読み取りは、3ラインカラーCCDセンサ2への結
像位置の相対的移動により行う。
【0053】ところで、図3に示すように、第1ガラス
部材11中を進む入射光線Lに対して第1ダイクロイッ
ク反射面3が例えば67.5°の角度で設けられている
と、入射した白色光Lはこの反射面3で反射するB光線
と透過するGとRの光線とに分離される。このダイクロ
イック面3で反射されるB光線は、入射光線Lに対して
45°の方向に反射される。透過したGとRの光線は、
ガラス媒質11から空気層7に出ることで屈折され、そ
の後ダイクロイック反射面3に平行に設けられた反射面
5によって反射され、再びダイクロイック面3を透過し
て、ガラス媒質11に入る。この時、GとRの光線は、
Bの光線に対して光束の位置が、 sin(67.5°) ×2×d× tan{ sin-1 (n・sin(90°-6
7.5 °) }=1.30×d だけ平行にシフトすることになる。この時、dはダイク
ロイック反射面3と反射面5の間の距離で、nはガラス
11の屈折率で、ここでは簡単に1.5で計算した。
【0054】また、ここで、GとRの光線は、Bの光線
に対して、大回りになるため、 2×d÷ cos{ sin-1 (n・sin(90°-67.5 °) }−
1.30×d÷tan(67.5°) ÷n =2.44×d−0.36×d=2.08×d の光路差が発生する。
【0055】こうして、Bの光線に対して平行シフトさ
れたGとRの光線は、次のダイクロイック反射面4に入
射する。この面4では、GとBが反射され、Rのみ透過
する。ここで、このダイクロイック反射面4は、後述の
ように、平行平板ガラスの両面にダイクロイック膜4を
蒸着したもので、第1ダイクロイック反射面3に平行に
なっている。したがって、ここまでに分離されてなかっ
たGの光線とRの光線の間に、前述のBとG・Rとの間
と同じ量の光束のシフトと光路の差が発生する。
【0056】こうして、G・R・Bの3本の平行光束
は、1.30×dずつお互いにシフトされた光束に分割
される。これらの光束は、この3色分光素子1の直下に
設けられた3ラインカラーCCDセンサ2に入射する。
【0057】ここで、3ラインカラーCCDセンサ2と
して、ライン間距離が28μm(14μmの画素とする
と、2ライン分のギャップ)のものを使うとすると、前
記ダイクロイック反射面3、4と反射面5、6の距離d
を21.5μmとすればよい。この28μmという数字
は、画素内転送方式を使った既製品のセンサの数字であ
る。
【0058】ここで、図4に示すように、ダイクロイッ
ク反射面3、4と反射面5、6が対向してそれらの間に
薄い空気層7、8を形成するために、両端にスペーサ1
6、16が設けられており、その厚みを調整することに
よって、任意のライン間距離の3ラインカラーセンサに
対応させることができる。この時、ライン間距離の補正
精度を1/4ラインとすると、このスペーサ16の厚さ
を±1/8の精度で作ればよい。この場合、厚さに対す
る公差の比率が少ないので、厚さに対する±1/8の精
度は容易に達成できる。
【0059】既存の3色分光素子に使われている薄いガ
ラス板の両面にダイクロイック膜を形成する方法では、
このライン補正精度を得るのは難しい。元々前述のクロ
ストーク防止のため、3色分光素子とスリットを組み合
せて3色を完全に分離するために、3ライン分離幅を大
きく20ライン分以上とる必要があり、薄いガラス板の
ガラス厚でこの分離幅を前述のように1/80の精度に
抑制するのは、非常に難しい(1/80=1/4÷2
0)。また、逆に、ガラス厚が薄くなった場合、このガ
ラス板上にダイクロイック膜を蒸着で形成するのは非常
に難しくなり、また、蒸着した際にガラス板が蒸着膜の
応力で歪んでしまう。
【0060】図5に本発明の3色分光素子1のガラスブ
ロックの構成を示す。両面にダイクロイック膜3、4を
施した第1ガラス部材11の周囲に4つのガラス部材1
2〜15を貼り合わす。この中、第2、第3ガラス部材
12、13は、ダイクロイック面3、4に対向させる反
射面5、6を形成するのがその役割であり、第1ガラス
部材11のダイクロイック面3、4と対向する面に反射
膜5、6が設けられている。そして、このダイクロイッ
ク面3、4と反射面5、6の間の両端に図のようなスペ
ーサ16が配置され、2つの面の間隔を所望の距離に保
たせる。また、第4、第5ガラス部材14、15は、3
色分光素子1に入射・出射する光束を入射面・出射面に
垂直に入射させる役割をするもので、第4ガラス部材1
4の入射面、第5ガラス部材15の出射面は、それぞれ
光軸と垂直になっている。ガラス部材14、15とガラ
ス部材11が接触する面は、光線が屈折や乱反射を受け
ないように面が処理され、光学接着剤で貼り合わされ
る。
【0061】ガラス部材14とガラス部材12の間の
面、ガラス部材15とガラス部材13の間の面は、他の
面を精度よく貼り合わせた場合に、角度で±10分程度
の不整合を生じるが、タール等のフレキシブルな素材で
間を埋めることで、この不整合を吸収し、固定する。
【0062】ここで、両面にダイクロイック膜3、4施
した第1ガラス部材11の作成方法を図6に示す。長尺
の平行平板ガラス17の両面にダイクロイック膜3、4
を施したものを、図示の切断面のように切断すること
で、第1ガラス部材11を一度に数個作ることができ
る。このように、元々面精度の高い平行平板ガラス17
を使うことによって、2つのダイクロイック面3、4を
精度高く製作することができる。
【0063】ところで、このような3色分光素子1を用
いる場合、従来の問題点でも述べたように、原稿上の異
なる読み取りラインからの読み取ろうとする色以外の光
がクロストークを起こしてしまう。この様子を図7に示
す。図20と同様、原稿上の異なるラインのライン1と
ライン2を発した光は、図7に示す光路をたどり、ライ
ン1から発したG光と、ライン2から発したB光が、C
CD2上の同じ読み取りラインGに結像してしまう。こ
こで、CCD2の3ラインの各読み取りラインに、各々
の読み取り色を読み取るためのオンチップカラーフィル
タ20を設けておくことで、クロストークとして入って
くる雑音光をブロックすることができる。図7では、読
み取ろうとするライン以外のライン2から入ってきたB
光を、Gライン上のGフィルタでブロックすることがで
きる。
【0064】この際に、このブロックの効果は、3ライ
ンカラーCCDセンサ2上のオンチップフィルタ20の
図8に示す各読み取りラインの分光特性のように、Rと
G、BとGの間に存在する若干の混色のため、完全なも
のではない。この混色の中、特にRとGの混色は、人間
の目の分光特性にセンサの分光特性を近づけるためにや
むを得ないものである。
【0065】しかし、3ラインカラーCCDセンサ2と
して、前述したように、画素内転送方式を使い、読み取
りライン間ギャップを縮めたものを使えば、結像レンズ
の収差により生じるボケとして隣接ライン間にクロスト
ークが存在しているので、この混色によるクロストーク
は目立たない。
【0066】また、互いに混色のないRとBを3ライン
カラーCCDセンサ2の3ラインの離れた両側に配置し
ておくと、最もライン間距離が離れ、クロストークの影
響が目立つはずの両端の読み取りラインの間の干渉を防
止することができる。
【0067】ところで、こうして2つの2層面によって
3色に分離すると、前述したように、3色間で光路の差
が生じ、軸上の色収差が発生する。一方、入射光線Lを
与える図示していない結像レンズ自体にも、補正しきれ
なかった軸上色収差が残っている。図9に結像レンズの
軸上色収差の補正の様子を示す。単レンズの場合、波長
による屈折率の差によって、図9(a)に示すように、
波長の短いBの光がより手前に結像する色収差を持って
いる。これは、図10に示すように、ガラスの屈折率
が、波長が短くなる程大きくなる性質に基づいている。
この収差を補正するために、波長による屈折率の差の小
さい(色分散の小さい)凸レンズ(例えば、図10のB
K7からなる)を、波長による屈折率の差の大きい(色
分散の大きい)凹レンズ(例えば、図10のF2からな
る)と組み合せて、軸上色収差の補正を行うことが一般
に行われている。この2つのレンズのパワー配分によっ
て収差補正量が決まる。
【0068】この際、色分散の大きいガラスは、図10
の例に示すように、色分散の小さいガラスに比べて、屈
折率変化カーブの傾きが短波長になる程急峻になる傾向
を強く持っている。このため、色分散の大きい凹レンズ
のパワーを相対的に増やして行く過程で、GとRの結像
位置が、図9(b)→図9(c)→図9(d)→図9
(e)と徐々に近づいて行く程度なのに対して、Bの結
像位置は急激に動き、図9(a)では、{B−Gの結像
点の距離}>{G−Rの結像点の距離}の関係だったの
が、図9(b)では、{B−Gの結像点の距離}={G
−Rの結像点の距離}となり、図9(c)では、Bの結
像点がRとGの中間に位置し、図9(d)では、BとR
が重なり、図9(e)では、Bの結像点がRよりもレン
ズから遠ざかる。通常は、RGBが最も近づく図9
(c)や図9(d)付近の設定に結像レンズは設計され
ている。
【0069】ここで、この軸上色収差補正の中間過程で
ある図9(b)の設定にしておけば、{B−Gの結像点
の距離}={G−Rの結像点の距離}となり、なおか
つ、レンズからの結像点の距離は、R>G>Bとなる。
この設定は、前述の2層の反射膜を2つ組み合せた3色
分光素子1の軸上色収差の性質を丁度打ち消し合うもの
である。
【0070】また、前記の3色分光素子1によって発生
する軸上色収差の量は、入射光線Lに対する反射光線の
傾きを変化させることで、調整することができる。図1
1にその調整の様子を示す。ここで、横軸は、入射光線
Lと反射面3の垂線のなす角度にとっている。縦軸は、
3色の分離シフト量を28μmと一定にした場合の軸上
色収差の量である。このように、3色分光素子1の角度
設定によって、結像レンズの軸上色収差の補正量を調整
することができる。以上の構成により、前記目的を達成
した3色分光素子1を提供することができる。
【0071】〔実施例2〕実施例1では、3ラインカラ
ーCCDセンサ2の並び順を、R・G・Bの順とした
が、軸上色収差がこの順番となった場合、図9(b)の
ように、軸上色収差量が弱めに補正された結像レンズと
組み合せるため、BからRまでのレンズの色収差の量
が、図9(c)に比べて大きくなる。このため、結像レ
ンズの軸上色収差が大きい場合には、3色分光素子1の
軸上色収差量で相殺しきれない場合がある。
【0072】この場合CCDの画素列の並び順を変え
て、3色分光素子1による3ラインの分離の順番を変え
ることで、収差補正量をより小さくすることができる。
ここで、図9(c)の結像レンズの色収差が小さい場合
を考えると、これと3色分解素子1の軸上色収差量を相
殺させようとすると、以下の2点の問題が起こる。
【0073】(1)GとRが3ラインの両端にある場
合、クロストークの影響が大きくなる(この2色は、分
光特性上、混色を大きくする必要があるので、離れた位
置に置きたくない。)。 (2)画素内転送型のセンサの場合、3ラインの中央の
画素列の信号電荷の読み出し時に、他の色の読み取り画
素列内を通過させる。このとき、他色の画素列を通過中
に露光を受ける影響で、他の色の信号が混じってしまう
現象が起きる。この影響で、読み取り光量が小さく信号
電荷の比較的少ないBを中央の画素列とすると、読み取
り光量の大きい他の2色の画素内を通過する際に、Rや
Gの信号が混入する割合が大きくなってしまう。
【0074】この2点から、図9(c)のレンズと組み
合わす3ラインの色の並び順は好ましくない。そこで、
Bの読み取りラインを3ラインの中央に位置させない構
成として、結像レンズの軸上色収差が図9(e)の場合
と組み合せる場合がある。この場合、図12に示すよう
に、第1ダイクロイックミラー3がG反射、R・B透過
として、第2ダイクロイックミラー4がR・G反射、B
透過としておく。こうすることで、G・R・Bの順番に
色分離をすることができる。この際、光路長は、短い順
にG・R・Bとなる。この構造とすることで、図9
(e)の結像レンズと組み合せて軸上色収差の相殺が可
能になる。この図9(e)の場合は、実施例1で用いた
図9(b)の場合よりも、色分散の大きい凹レンズによ
る補正量が大きくなるので、R−G間の軸上色収差が小
さくなり、3色分光素子1で補正する量が小さくなる。
このため、元々の結像レンズの軸上色収差量が大きい場
合でも、実施例1で、反射面の垂線と光軸のなす角度を
0°近くにしなくとも、軸上色収差の補正が可能にな
る。なお、実施例1で、この反射面の垂線と光軸のなす
角度を0°に近づけすぎると、光路がとり難くなるので
好ましくない。
【0075】ところで、この実施例の構成になった場合
の問題点は、BとGの感光画素列が3ラインの両端にな
るため、この2色の間に、混色があるとクロストークに
なってしまうことである。その対策として、図13に示
すように、カラーセンサのオンチップカラーフィルタの
分光特性を、BとGの間に混色がないようなフィルタに
しておく。こうしておくことで、ここで使っているダイ
クロイック反射膜の特性が、図14(a)にダイクロイ
ック反射面3の特性を、同図(b)にダイクロイック反
射面4の特性を示すように、500nmを境にして、反
射と透過が入れ代わる特性なので、「ダイクロイックミ
ラーのGの光が、CCDのBのフィルタを透過するこ
と。」、「ダイクロイックミラーのBの光が、CCDの
Bのフィルタを透過すること。」という遠い画素列同士
のクロストークの発生が抑えられる。
【0076】以上のようにすることにより、実施例1に
比べ、結像レンズの軸上色収差が大きい場合に対して
も、色収差補正が可能な3色分光素子を提供することが
できる。
【0077】〔実施例3〕もう一つの実施例を図15、
図16に示す。図15は図1に対応するこの実施例の要
部の断面図であり、図16は図3に対応する拡大光路図
である。この構成では、結像光束を3ラインカラーCC
Dセンサ2の側面側から入射させ、3色分光素子1’の
2面により、入射光線Lの光軸に対して出射光線の光軸
を90°近く偏向させるような3色分光素子1’の構成
とし、3ラインカラーCCDセンサ2のオンチップカラ
ーフィルタ上に結像させている。
【0078】3色分光素子1’のダイクロイック反射部
の構成は、実施例1、2と同じく、ダイクロイック反射
面と通常の反射面とをスペーサ(図示省略)を用いて隔
てさせたものである。すなわち、この3色分光素子1’
は、3つのガラス部材31〜33からなり、その中、中
央の第1ガラス部材31は図示のように5角形をしてお
り、相互に交差する入射ガラス面34、出射ガラス面3
5に隣接する2面にそれぞれ第2ダイクロイック面4、
第1ダイクロイック面3が設けられ、これらのダイクロ
イック面3、4と対向して薄い空気層7、8を介して第
2ガラス部材32、第3ガラス部材33が配置されてい
る。そして、第2ガラス部材32、第3ガラス部材33
のダイクロイック面3、4に対向する面には、それぞれ
第1反射面5、第2反射面6が設けられている。なお、
第2ガラス部材32、第3ガラス部材33は必ずしもガ
ラス製である必要はない。
【0079】ここで、3色分光素子1’の小型化を図
り、CCDセンサ2のカバーガラス21上に一体化させ
るため、図15に示すように、CCDセンサ2の面を入
射光線Lの光軸に対して10°傾ける(CCDセンサ2
のセンサ面の垂線と入射光の光軸が、図16に示すよう
に、100°で交わる。)ことで、結像レンズの出射開
口角の角度で収束してくる結像光束を、CCDセンサ2
のセンサ面によってケラレないように構成している。こ
うすることにより、入射光線を横断する経路で光線を導
く本実施例のような光学系でも、CCDセンサ2の画素
列近傍にこの光学系を集約でき、小型化が図れる。
【0080】ところで、図16に示すように、入射光線
Lは、まず、光軸に垂直になっている入射ガラス面34
から第1ダイクロイック面3及び第1反射面5に入射
し、40°の向きに反射される。この際、第1ダイクロ
イック面3はR・Gを反射し、Bを透過させるダイクロ
イック反射面であり、B光のみが空気層7まで達して、
背後の反射ラー面5で折り返される。ここで、R・G光
に対してB光は光束のシフトと光路差が生じる。これら
の光束は、左上の第2ダイクロイック面4及び第2反射
面6に入射し、再度40°の向きに反射される。この
際、第2ダイクロイック面4において、G・B光が反射
され、Rのみが透過され、空気層8まで達して、背後の
反射ミラー面6で折り返される。ここで、B・G光に対
してR光は光束のシフトと光路差が生じる。
【0081】この結果、光束シフトによって、B・G・
Rのクロストークの少ない順番に3色に分離され、光路
差は、BとRが同じ光路長となり、Gのみが光路長が短
くなる。空気層7、8を形成するスペーサの厚みをdと
した場合、光束は、 sin(70°) ×2×d× tan{ sin-1 (n・sin(90°-70
°) }=1.12×d だけ平行にシフトすることになる。このとき、nはガラ
ス31の屈折率で、ここでは簡単に1.5で計算した。
ここで、3ラインカラーCCDセンサ2のライン間ギャ
ップを28μmとすると、上記のスペーサの厚みdは2
5μmとなる。
【0082】また、ここで、透過する光線は、反射する
光線に対して、大回りになるため、 2×d÷ cos{ sin-1 (n・sin(90°-70 °) }−1.
12×d÷tan(70°) ÷n =2.33×d−0.41×d=1.92×d の光路差が発生する。この時のスペーサの厚みを25μ
mとすると、光路差は48μmとなる。
【0083】以上により、本実施例のように2つの2色
分光素子(ダククロイイクミラー面3又は4と反射ミラ
ー面5又は6からなる2色分光素子)での反射による偏
向の方向を、何れも時計回りの方向に偏向させること
と、3色中の1色を常にダイクロイックミラー面で反射
させる構成にすることで、2色(BとR)の光路の長さ
が等しく、常にダイクロイックミラー面で反射させたも
う1色(G)を他の2色に対して光路を短くする構成に
することができる。
【0084】こうして、光路差は、Gの光路がR・Bの
光路に対して短いことになり、図9(d)の場合の結像
レンズと組み合せると好適な構造になる。図9(c)
や、図9(d)の場合は、通常のレンズの設計目標であ
り、特に図9(d)の場合が3色間の軸上色収差が最も
小さくなっている場合である。しかし、こうして、軸上
色収差を小さく設計した場合でも、蛍石等の高価な光学
材料を使って3色色消しを行わない限り、レンズのRG
B間の軸上色収差は完全になくならず、図9(d)のよ
うに、BとRの間の軸上色収差を揃えて、Gの結像点が
それより50μm〜100μmレンズ側にずれる状態に
なっている。こうした通常の結像レンズと実施例3の分
光光学素子1’を組み合せることで、結像レンズの軸上
色収差を完全に0にできないまでも、確実に小さく補正
することができる。
【0085】なお、ここで、ダイクロイック反射面を、
最初がR・G反射面3、次がG・B反射面4としたが、
最初をG・B反射面、次がR・G反射面としてもよい。
このとき、センサ2の3色の並び順が、右からB・G・
RからR・G・Bに変わるが、光路差の関係は変わらな
い。
【0086】さらに、本実施例の構成にすることで、3
色分光素子1’を形成する部品数を減らし、作りやすく
なっていると共に、3色分光素子を集約することで、小
型化・一体化することができ、光学系のコストダウンが
図れる。
【0087】なお、従来技術の特開平3−96063号
においても、類似の光学系で、R・Bの光路が同じにな
り、Gのみ光路差が生じる光学系としているが、ダイク
ロイック膜の構成が、2面ともGが透過になっているた
め、Gの光路が他の2色よりも長くなり、結像レンズの
軸上色収差の性質と反対の方向になってしまっている。
また、特開平3−96063号では、焦点深度内で問題
ないとしているが、結像レンズの色収差を拡大する方向
であるため、高精細な読み取りを行おうとすると、問題
が発生する構成である。
【0088】〔実施例4〕図17に実施例4の図1に対
応する要部断面図を示す。この実施例の光路は実施例1
と同じだが、3ラインカラーCCDセンサ2の面を2
2.5°傾けることで、3色分光素子1”の構成を、ダ
イクロイック反射膜3、4を蒸着させた平行平板ガラス
からなる第1ガラズ部材41と、反射ミラー5、6を形
成させた平行平板ガラスからなる第2及び第3ガラズ部
材42、43の3個に減らした実施例である。
【0089】この際、入射光、出射光の出入りする窓を
確保するため、ダイクロイック面3、4と反射面5、6
を形成する部分を、図17のように、3色分光素子1”
の上面の左半分、下面の右半分に制限している。この構
成は、ガラズ部材41〜43に膜を着ける段階で、膜を
着けない部分のみマスクしておくことで容易に作製する
ことができる。
【0090】また、ダイクロイック膜3、4と反射面
5、6の間は、先の実施例と同じく、スペーサによって
空気層7、8にしておき、膜3〜6を着けない部分のす
き間は光学接着剤で埋めるようにする。
【0091】以上の構成にすることで、3色分光素子
1”の構造を簡略化できる。また、この構造にすること
で、図17の3ラインカラーCCDセンサ2の右側のラ
インと左側のラインとの間の光路差を、センサ2の傾き
分大きくでき、結像レンズの色収差補正量を大きくする
ことができる。
【0092】以上の4つの実施例の中では、ダイクロイ
ック面3、4と反射面5、6の間の間隔を、両端にスペ
ーサ16を挟むことで、空気層7、8としていたが、そ
の間を光学接着剤のような透明媒質で満たしてもよい。
また、スペーサとして、薄い透明フィルタ等の透明のス
ペーサを挟んでもよい。
【0093】以上、本発明のカラー画像読取装置を実施
例に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施例に
限定されず種々の変形が可能である。
【0094】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のカラー画像読取装置によると、結像光学系からの結像
光線の光路中に2色分離手段を2組配置して入射光束を
3色の光束に分割する3色分離手段を設け、2色分離手
段を、ダイクロイック反射面と、これにスペーサにより
間隙を設けて配置された反射面とで構成し、ラインイメ
ージセンサとして、3色分離された中の各々1色の光を
選択的に受光する3ラインカラーイメージセンサを用い
たので、以下のような効果を有する。
【0095】(1)原稿上の1ラインを、本発明におけ
る3色分離手段により、3ラインカラーイメージセンサ
上に、高精度なカラーレジストレーション補正を行って
結像させることができ、従来の方式において存在したカ
ラーレジストレーション補正エラーをなくすことができ
る。 (2)本発明における3色分離手段は、CCD等の3ラ
インカラーイメージセンサと一体化することができ、3
ライン間のカラーレジストレーション調整がいらなくな
る。 (3)結像レンズが元々持っている軸上色収差を、本発
明における3色分離手段で補正することができ、より高
画質な読み取りを行うことができる。
【0096】(4)3ラインカラーイメージセンサに合
わせてレジストレーションの補正量をスペーサの厚さで
調整できるので、既存の小ギャップ3ラインカラーイメ
ージセンサを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のカラー画像読取装置の実施例1の要
部の断面図。
【図2】 実施例1の3色分光素子の構成と光路を示す
図。
【図3】 実施例1の3色分光素子の拡大光路図。
【図4】 空気層を形成するためのスペーサの配置を示
す図。
【図5】 実施例1の3色分光素子のガラスブロックの
構成を示す図。
【図6】 実施例1の第1ガラス部材の作成方法を示す
図。
【図7】 実施例1におけるクロストーク発生の様子を
示す図。
【図8】 3ラインカラーCCDセンサ上のオンチップ
フィルタの分光特性を示す図。
【図9】 結像レンズの軸上色収差の補正の様子を示す
図。
【図10】 2種のガラスの屈折率波長依存性を示す
図。
【図11】 3色の光路の平行シフト量を一定にした時
の角度と光路差の関係を示す図。
【図12】 実施例2の3色分光素子の拡大光路図。
【図13】 実施例2の3ラインカラーCCDセンサ上
のオンチップフィルタの分光特性を示す図。
【図14】 実施例2のダイクロイック反射面の分光特
性を示す図。
【図15】 実施例3の3色分光素子の要部の断面図。
【図16】 実施例3の3色分光素子の拡大光路図。
【図17】 実施例4の3色分光素子の要部の断面図。
【図18】 一つの従来例の光路の一部を示す図。
【図19】 従来の3ラインカラーCCDの一つの読み
出し方式を説明するための図。
【図20】 別の従来例の構成と作用を説明するための
図。
【符号の説明】
L…入射光線、1…3色分光素子、1’…3色分光素
子、1”…3色分光素子、2…3ラインカラーCCDセ
ンサ、3…第1ダイクロイック面(膜)、4…第2ダイ
クロイック面(膜)、5…第1反射膜、6…第2反射
膜、7、8…空気層、11…第1ガラス部材、12…第
2ガラス部材、13…第3ガラス部材、14…第4ガラ
ス部材、15…第5ガラス部材、16…スペーサ、17
…平行平板ガラス、20…オンチップカラーフィルタ、
21…カバーガラス、31…第1ガラス部材、32…第
2ガラス部材、33…第3ガラス部材、34…入射ガラ
ス面、35…出射ガラス面、41…第1ガラズ部材、4
2…第2ガラズ部材、43…第3ガラズ部材

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結像光学系によって被読み取り面上の情
    報をラインイメージセンサ上に結像させ、主走査方向を
    ラインイメージセンサの電気的走査により読み取り、副
    走査方向をラインイメージセンサへの結像位置を相対的
    に移動させて読み取るカラー画像読取装置において、 結像光学系からの結像光線の光路中に2色分離手段を2
    組配置して入射光束を3色の光束に分割する3色分離手
    段を設け、 前記2色分離手段を、ダイクロイック反射面と、これに
    スペーサにより間隙を設けて配置された反射面とで構成
    し、 前記ラインイメージセンサとして、3色分離された中の
    各々1色の光を選択的に受光する3ラインカラーイメー
    ジセンサを用いた、ことを特徴とするカラー画像読取装
    置。
JP6134482A 1994-06-16 1994-06-16 カラー画像読取装置 Pending JPH089101A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6134482A JPH089101A (ja) 1994-06-16 1994-06-16 カラー画像読取装置

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JP6134482A JPH089101A (ja) 1994-06-16 1994-06-16 カラー画像読取装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11061243B2 (en) 2016-02-22 2021-07-13 Hitachi High-Tech Corporation Dichroic-mirror array

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US11061243B2 (en) 2016-02-22 2021-07-13 Hitachi High-Tech Corporation Dichroic-mirror array

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