JPH0890738A - ポリオレフィン系熱収縮性多層フィルム - Google Patents

ポリオレフィン系熱収縮性多層フィルム

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JPH0890738A
JPH0890738A JP6251290A JP25129094A JPH0890738A JP H0890738 A JPH0890738 A JP H0890738A JP 6251290 A JP6251290 A JP 6251290A JP 25129094 A JP25129094 A JP 25129094A JP H0890738 A JPH0890738 A JP H0890738A
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祥三 篠原
Suminori Tanaka
住典 田中
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形に際してメルトフラクチャーが生じるこ
とがなく、低温での熱収縮性が良好で包装仕上りに優
れ、しかも、切断加工やパーフォレーション加工が容易
で、特に、溶断ヒートシール強度の大幅な低下を生じさ
せないようなポリオレフィン系熱収縮性多層フィルムを
提供する。 【構成】 芯層がポリプロピレン系樹脂と石油系樹脂と
の混合物からなり、両表面層が直鎖状低密度ポリエチレ
ンと分岐状低密度ポリエチレン(好ましくは5〜40w
t%)との混合物からなる多層未延伸原反を、共押出し
た後、延伸加工して得られたものであることを特徴とす
るポリオレフィン系熱収縮性多層フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィン系熱収
縮性多層フィルムに関し、特に、缶、瓶、乾電池等の集
積包装に好適なピロースリーブ熱収縮包装剤用フィルム
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、被包装物を熱収縮性フィルムで包
被させた後、加熱して該フィルムを収縮させる熱収縮包
装方法が行われてきた。そして、その熱収縮包装用フィ
ルムとしては、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系
樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ
エチレンテレフタレート系樹脂等からなるフィルム、或
は、これらの樹脂を積層させた多層フィルムが用いられ
てきた。
【0003】又、被包装体を包被させる方法としては、
被包装体を完全に包被させる方法もあるが、スリーブ状
に被せるピロースリーブ包装方法が缶や瓶等の被包装体
に好んで用いられる。例えば、特公昭56−12533
号には、長さ方法の一定間隔毎に幅方向に切断させる切
り離し用のパーフォレーションを有する熱収縮性フィル
ムで被包装物を筒状に覆い、加熱して収縮させる際に熱
と収縮応力を利用してパーフォレーション部を自己切断
させる包装方法が記載されている。尚、ピロースリーブ
包装方法により被包装体を包被させるピロースリーブ熱
収縮包装の場合、用いる熱収縮性フィルムは縦方向又は
横方向のどちらか一軸方向により多く延伸され、該方向
により大きな熱収縮性を有するものが好ましい。
【0004】そして、本発明者等は、先に、ピロースリ
ーブ熱収縮包装用フィルムとして、両表面層がポリプロ
ピレン系樹脂からなり、芯層がポリプロピレン系樹脂と
ポリエチレン系樹脂との混合物からなるポリオレフィン
系熱収縮性多層フィルム、及び、該フィルムを用いたピ
ロースリーブ収縮包装方法を提案した(特開平5−32
9995号)。
【0005】他方、ポリプロピレン系熱収縮性フィルム
の低温熱収縮性を向上させるために、石油樹脂やテルペ
ン樹脂を添加させることが知られている(特公昭49−
99645号、特公昭49−99646号)。更に、一
軸方向に延伸してなる高収縮性ポリオレフィン系フィル
ムに石油樹脂或いは水素化石油樹脂を添加することも知
られている(特開昭62−4735号)。しかし、石油
樹脂やテルペン樹脂を添加した熱収縮性フィルムは、低
温熱収縮性は改良されるが、溶断ヒートシール部の耐寒
衝撃が大幅に低下すると言う包装用フィルムとしては大
きな欠点を有していた。
【0006】そこで、本発明者等は、低温での熱収縮性
が良好で包装仕上りに優れ、しかも、溶断ヒートシール
部の耐寒衝撃強度に優れた熱収縮包装体が得られるポリ
オレフィン系熱収縮性積層フィルムとして、「芯層と両
表面層から構成され、該芯層がポリエチレン系樹脂、又
は、ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂との混
合物からなり、該表面層がポリプロピレン系樹脂と石油
系樹脂との混合物からなることを特徴とするポリオレフ
ィン系熱収縮性多層フィルム」を提案した(特願平5−
153006号)。しかし、本発明者等が提案した上記
ポリオレフィン系熱収縮性フィルムは、低温での熱収縮
性が良好で包装仕上りに優れ、しかも、溶断ヒートシー
ル部の耐寒熱衝撃強度に優れたものではあるが、常温で
はフィルム表面が硬く、刃物によるフィルムの切断加工
や針によるパーフォレーション加工等が困難であると言
う問題を有するものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低温での熱
収縮性が良好で熱収縮包装仕上りに優れ、しかも、フィ
ルム表面が柔らかくてフィルムの切断加工やパーフォレ
ーション加工が容易で、その上、多層未延伸原反を成形
する際にメルトフラクチャーを生じることがなく、しか
もこれら特性と合わせて溶断ヒートシール強度の大幅な
低下を生じないポリオレフィン系熱収縮性多層フィルム
を提供することを目的にするものである。又、ピロース
リーブ熱収縮包装用として好適なポリオレフィン系熱収
縮性多層フィルムを提供することを目的とするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、芯層が
ポリプロピレン系樹脂と石油系樹脂との混合物からな
り、両表面層が直鎖状低密度ポリエチレンと分岐状低密
度ポリエチレンとの混合物からなる多層未延伸原反を、
共押出した後、延伸加工して得られたものであることを
特徴とするポリオレフィン系熱収縮性多層フィルムが提
供され、特に、前記両表面層中の分岐状低密度ポリエチ
レンの混合割合が、5〜40wt%であることを特徴と
する前記ポリオレフィン系熱収縮性多層フィルムが提供
され、また、前記分岐状低密度ポリエチレンとして、メ
ルトインデックスが、2.5g/10min以上である
ことを特徴とする前記ポリオレフィン系熱収縮性多層フ
ィルムが提供され、更に、前記ポリプロピレン系樹脂
が、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテ
ン共重合体、又は、エチレン−プロピレン−ブテン共重
合体から選ばれた1種、又は2種以上の混合物であるこ
とを特徴とする前記ポリオレフィン系熱収縮性多層フィ
ルムが提供され、更にまた、前記芯層の厚みが、フィル
ム全体厚みの30〜70%であることを特徴とする前記
ポリオレフィン系熱収縮性多層フィルムが提供される。
また、ピロースリーブ熱収縮包装に用いることを特徴と
する前記ポリオレフィン系熱収縮性多層フィルムが提供
される。
【0009】従来、表面層を直鎖状低密度ポリエチレン
樹脂とし、芯層を石油系樹脂の添加されたポリプロピレ
ン系樹脂とする共押出未延伸原反シートを成形するとメ
ルトフラクチャーが発生していた。その理由としては、
次のようなことが考えられる。即ち、ポリプロピレン系
樹脂はポリエチレン系樹脂よりも押出加工温度が高い。
しかし、ポリプロピレン系樹脂に石油系樹脂を添加させ
ると押出加工温度が大幅に低下するのみならず、押出加
工温度での溶融粘度も大幅に低下する。しかも、その溶
融粘度は、同じ温度で押出加工される直鎖状低密度ポリ
エチレンの溶融粘度よりも低くなっているものと思われ
る。そこで、両表面層を直鎖状低密度ポリエチレンと
し、芯層を石油系樹脂が混合されたポリプロピレン系樹
脂として共押出した際に、両表面層と芯層の樹脂の溶融
粘度が大幅に相違し、得られる末延伸原反にメルトフラ
クチャーが生じるものと考えられる。
【0010】そこで、本発明者等は鋭意検討をした結
果、芯層がポリプロピレン系樹脂で両外層が直鎖状低密
度ポリエチレンからなる共押出多層フィルムにおいて、
両表面層の直鎖状低密度ポリエチレンに従来の分岐状低
密度ポリエチレンを混合することにより、上記メルトフ
ラクチャーが生じなくなることを見出し、特に、直鎖状
低密度ポリエチレンに混合させる分岐状低密度ポリエチ
レンの混合割合を5〜40wt%の範囲にした場合、メ
ルトフラクチャーの発生がなく、しかも、得られるポリ
オレフィン系熱収縮性多層フィルムの溶断ヒートシール
強度が低下しないことを見出し、又、上記分岐状低密度
ポリエチレンのメルトインデックスが2.5g/10m
in以上の場合や、芯層の厚みがフィルム全体厚みの3
0〜70%の範囲内にある場合に、更に、メルトフラク
チャーが生じ難いことを見出し、本発明を完成させるに
至った。
【0011】先ず始めに、本発明のポリオレフィン系熱
収縮性多層フィルムの芯層を構成するポリプロピレン系
樹脂としては、ポリプロピレン樹脂は勿論、プロピレン
を主成分とする共重合体、或は、これら樹脂に少量の他
の樹脂を混合させた混合物をも意味する。ここで、プロ
ピレンと共重合させるコモノマーとしては、炭素数2〜
4のα−オレフィンであるエチレン、ブテン等の1種又
は2種以上が用いられ、これらコモノマーの共重合割合
は2〜25モル%程度までが好ましい。特に、該ポリプ
ロピレン系樹脂としては、プロピレンを主成分とするエ
チレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重
合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、或は、
これら共重合体同士の混合物が好ましい。
【0012】ポリプロピレン系樹脂として上記プロピレ
ンを主成分とする共重合体を用いることにより、低温で
の延伸加工性が容易になり、低温熱収縮性が向上する。
その結果、得られる熱収縮包装体の熱収縮仕上りが良好
になる。
【0013】更に、上記ポリプロピレン系樹脂は、融点
が145℃以下の樹脂であることが好ましい。融点が1
45℃以下のポリプロピレン系樹脂を用いると、低温で
の延伸加工性が向上して低温熱収縮性が向上するので、
熱収縮包装用フィルムとして用いた際に、良好なる熱収
縮包装仕上りが得られる。
【0014】また、本発明のポリオレフィン系熱収縮性
多層フィルムの芯層を構成する石油系樹脂としては、石
油樹脂、水添石油樹脂、テルペン樹脂、水添テルペン樹
脂等が挙げられる。そして、その軟化点は50〜150
℃のものが好適である。例えば、市販品として、商品名
“アルコン”(荒川化学製)、“クリアロン”(ヤスハ
ラケミカル製)等が挙げられる。
【0015】本発明のポリオレフィン系熱収縮性多層フ
ィルムの表面層を構成する直鎖状低密度ポリエチレンと
は、エチレンを主成分とするエチレン−α−オレフィン
共重合体を意味し、該α−オレフィンとしては該α−オ
レフィンの共重合割合は5〜25wt%程度が好まし
い。ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等のもの
が好適に用いられる。
【0016】本発明のポリオレフィン系熱収縮性多層フ
ィルムの表面層を構成する分岐状低密度ポリエチレンと
は、従来の一般的な高圧法低密度ポリエチレンを意味す
るものである。又、該分岐状低密度ポリエチレンのメル
トインデックスは2.5g/10min以上であること
が好ましい。メルトインデックスが2.5g/10mi
n以上の分岐状低密度ポリエチレンを用いると、メルト
フラクチャーの発生を抑制する効果がより顕著である。
尚、本発明におけるメルトインデックスは、JIS K
6J60−1981による方法によって測定した。
【0017】次に、本発明のポリオレフィン系熱収縮性
多層フィルムのフィルム構成について説明する。まず、
芯層には、ポリプロピレン系樹脂と石油系樹脂との混合
物を用いる。ポリプロピレン系樹脂に混合させる石油系
樹脂の量としては2〜35wt%の範囲内であることが
好ましい。石油系樹脂の量が5wt%未満では低温熱収
縮性が改良されず、又、石油系樹脂の量が35wt%を
越えるとメルトフラクチャーが発生し易くなるので好ま
しくない。又、石油系樹脂の混合量が35wt%を越え
るとフィルムが硬くなってフィルム切断やパーフォレー
ション加工が困難になり、更にフィルムの強度、特に、
耐寒衝撃強度が低下するので包装用フィルムとして好ま
しくない。
【0018】該芯層の厚みとしては、フィルム全体厚み
の30〜70%の範囲内であることが好ましい。芯層の
厚みがフィルム全体厚みの30%末満では、熱収縮特
性、特に、熱収縮応力が弱くなり、包装体の結束力が乏
しくなる。又、芯層の厚みがフィルム全体厚みの70%
を越えると、多層末延伸原反成形時にメルトフラクチャ
−が発生し易くなったり、フィルムが硬くなってフィル
ム切断やパーフォレーション加工が困難になったりす
る。該芯層の具体的な厚みとしては、本発明のフィルム
が熱収縮包装に用いられることから、特に、ピロースリ
ーブ熱収縮包装に用いられることから、5〜60μmの
範囲内であることが好ましい。尚、本発明のポリオレフ
ィン系熱収縮性多層フィルムの全体厚みとしては、本発
明のフィルムが熱収縮包装に用いられることから、特
に、ピロースリーブ熱収縮包装に用いられることから、
10〜60μmの範囲内であることが好ましい。
【0019】両表面層には、直鎖状低密度ポリエチレン
と分岐状低密度ポリエチレンとの混合物を用いる。そし
て、直鎖状低密度ポリエチレンに混合させる分岐状低密
度ポリエチレンの混合害合としては、5〜40wt%の
範囲内が好ましい。分岐状低密度ポリエチレンの混合割
合が5wt%末満では、メルトフラクチャーの発生を押
さえることが困難であり、又、40wt%を越えると溶
断ヒートシール性の大幅な低下を来すことがあるので好
ましくない。該表面層の厚みとしては、本発明のフィル
ムが熱収縮包装に用いられることから、特に、ピロース
リーブ熱収縮包装に用いられることから、各表面層の厚
みが2〜10μmの範囲で、しかも、フィルム全体の厚
みの15〜35%の範囲内であることが好ましい。各表
面層の厚みが薄くなると、メルトフラクチャーが発生し
易くなったり、フィルムが硬くなってフィルム切断やパ
ーフォレーション加工が困難になったりする。各表面層
の厚みが厚くなると、熱収縮特性、特に、熱収縮応力が
弱くなり、包装体の結束力が乏しくなる。
【0020】尚、各層には必要に応じて通常用いられて
いる酸化防止剤や帯電防止剤、或は、滑剤やアンチブロ
ッキング剤等を添加することができる。
【0021】本発明のポリオレフィン系熱収縮性多層フ
ィルムを製造する方法としては、共押出された多層未延
伸原反を二軸延伸加工することによって製造される。即
ち、一般的には、3台の押出機と2種3層のサーキュラ
ーダイ、或は、Tダイによりチューブ状、或は、シート
状の多層末延伸原反を共押出した後、延伸加工を施す。
共押出方法については特に限定されるものではなく、従
来一般に行われている方法によって行うことができる。
又、延伸方法としては、ロール延伸とテンター延伸の組
み合わせによる逐次二軸延伸方法、或は、インフレーシ
ョン法やテンタ一法等による同時二軸延伸方法のいずれ
の方法でもよい。そして、延伸温度としては、90〜1
20℃程度が一般的である。尚、インフレーション法に
より延伸加工される際には、チューブ状多層未延伸原反
が、また、テンター法により延伸加工される際には、シ
ート状多層未延伸原反が用いられることは当然である。
尚、延伸倍率としては、特に限定するものではないが、
ピロースリーブ熱収縮包装用フィルムを得る場合には、
縦方向が1.5〜4.5倍、横方向が5.5〜10.0
倍が好ましい。
【0022】更に、このようにして得られたポリオレフ
ィン系熱収縮性多層フィルムは、必要に応じてコロナ放
電処理等の表面活性化処理を施して印刷加工や金属蒸着
処理等を行ってもよい。
【0023】又、本発明のポリオレフィン系熱収縮性多
層フィルムを用いた熱収縮包装方法としては、特に限定
されるものではなく、従来から行なわれている一般的な
熱収縮包装方法を用いることができる。特に、ピロース
リーブ熱収縮包装方法に好適である。例えば、特公昭5
6−12533号に記載されている、長さ方向の一定間
隔毎に幅方向に切断させる切り離し用のパーフォレーシ
ョンを有する熱収縮性フィルムで被包装物を筒状に覆
い、加熱して収縮させる際に熱と収縮応力を利用してパ
ーフォレーション部を自己切断させるピロースリーブ熱
収縮包装方法等に好適に用いることができる。
【0024】
【作用】まず、本発明のポリオレフィン系熱収縮性多層
フィルムは、表面層にポリエチレン系樹脂を用い、常温
で硬度の高い石油系樹脂を用いていないので、フィルム
表面が柔らかい。そのため、刃物によるフィルム切断
や、針によりパーフオレーション加工が容易である。ま
た、芯層のポリプロピレン系樹脂に石油系樹脂が混合さ
れていることにより、延伸加工温度を低下させることが
できるので、得られるポリオレフィン系熱収縮性多層フ
ィルムの低温熱収縮性を向上させることができる。
【0025】更に、本発明のポリオレフィン系熱収縮性
多層フィルムは、表面層の直鎖状低密度ポリエチレンに
分岐状低密度ポリエチレンを混合させることにより、該
層の押出加工時の溶融粘度を、芯層の石油樹脂が混合さ
れたポリプロピレン系樹脂の押出加工時の溶融粘度に近
付けることができ、その結果、表面層の樹脂と芯層の樹
脂の押出加工時での溶融粘度が近付き、共押出された未
延伸原反にメルトフラクチャーが生じなくなるものと思
われる。又、延伸加工されて得られたポリオレフィン系
熱収縮性多層フィルムの光学的特性も向上するものと思
われる。
【0026】更にまた、表面層の直鎖状低密度ポリエチ
レンに混合させる分岐状低密度ポリエチレンの量を特定
の範囲内に限定することにより、メルトフラクチャーの
発生を押さえるのみならず、溶断ヒートシール性が低下
するのも押さえることもできる。尚、一般に、直鎖状低
密度ポリエチレンは分岐状低密度ポリエチレンよりも溶
断ヒートシール性に優れていると云われている。そし
て、直鎖状低密度ポリエチレンに分岐状低密度ポリエチ
レンを添加させると溶断ヒートシール性は劣ると云われ
ている。しかし、本発明においては、直鎖状低密度ポリ
エチレンに混合する分岐状低密度ポリエチレンの混合割
合が特定の範囲内であれば、溶断ヒートシール性はほと
んど劣らない。その理由は明らかではないが、芯層のポ
リプロピレン系樹脂に石油系樹脂が混合されているため
に、表面層の直鎖状低密度ポリエチレンに分岐状低密度
ポリエチレンを混合させることにより、溶断ヒートシー
ル時の各層の溶融粘度が近付くためと思われる。
【0027】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明の内
容をより具体的に説明する。尚、本発明は、実施例に記
載された事項によってのみ限定されるものでないことは
当然である。尚、本発明において、各種フィルム物性は
次のような方法によって測定した。 [フィルムの熱収縮率]ASTM D882に準拠し
て、100℃の熱水中でフィルムの縦方向及び横方向の
熱収縮率を測定した。 [フィルムの光学的特性]ASTM 1003に基づい
て、フィルムのHazeを測定した。
【0028】[フィルムの表面硬度(パーフォレーショ
ン加工適性)]フィルムにパーフォレーション加工を施
しながら、単三乾電池4個を横一列に並べてピロースリ
ーブ包装を10000個行い、パーフォレーション加工
適性を評価した。尚、包装体に良好なるパーフォレーシ
ョン加工の施されていなかったものが10000個中0
〜1個の場合を「○」、2〜99個の場合を「△」、1
00個以上の場合を「×」で表した。 [メルトフラクチャーの有無]共押出された未延伸原反
シートの表面を目視により観察し、表面の平滑性や透明
性、光沢性等からメルトフラクチャーの有無を判断し
た。 [溶断ヒートシール性]溶断ヒートシール機(富士イン
パルス(株)製“ポリシーラー”PS210E型)を用
いて溶断ヒートシールを行い、シール部の幅が10mm
の短冊状試験片を引張試験機で引張り、その際生じる最
大荷重をg/10mmで示した。 [熱収縮包装仕上り]単三乾電池4個を横一列に並べて
ピロースリール包装された包装体を最適温度の熱収縮ト
ンネル内を通過させて熱収縮包装体を得、該包装体の包
装仕上りの状態を目視で評価した。特に、乾電池と接触
している部分のフィルムに皺が発生していないかどうか
評価した。皺が発生していない場合を「○」、発生して
いる場合を「×」で表した。
【0029】実施例1 エチレン−プロピレン共重合体(エチレン含有率:4.
7wt%)に石油系樹脂(脂環族飽和炭化水素樹脂、軟
化点:125℃)を15wt%混合した混合物が芯層
に、直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンーブテン共重
合体、ブテン含有率:8.0wt%、密度:0.915
g/cm3、MI:2.0g/10min)に分岐状低
密度ポリエチレン(密度:0.925g/cm3、M
I:5.0g/10min)を20wt%混合させた混
合物が両表面層になるように共押出し、各層の厚み構成
が1:3:1で、全厚みが200μmのシート状の未延
伸原反を得た。尚、得られた多層未延伸原反にはメルト
フラクチャーは認められなかった。得られた多層末延伸
原反を用いて、縦方向に3.0倍、横方向に6.0倍の
延伸をロール延伸とテンター延伸による逐次二軸延伸方
法によって行い、ポリオレフィン糸熱収縮性多層フィル
ムを得た。尚、延伸温度としては、できるだけ低温(縦
方向90℃程度、横方向100℃程度)で行った。
【0030】得られたポリオレフィン系熱収縮性多層フ
ィルムを用いて、長さ方向の一定間隔毎に幅方向に切断
させる切り離し用のパーフォレーションを設け、被包装
物を筒状に覆い、加熱して収縮させる際に熱と収縮応力
を利用してパーフォレーション部を白己切断させるピロ
ースリーブ包装方法(特公昭56−12533号に記載
されている方法)により、単三乾電池の熱収縮包装を行
った。その結果、良好なる熱収縮仕上りを有する包装体
が得られ、しかも、フィルム表面が柔らかく、多数の包
装を行っても、刃物によるフィルム切断や針によるパー
フォレーション加工には何等支障がなかった。又、得ら
れた熱収縮包装体の溶断ヒートシール強度は良好であっ
た。それらの結果を表1に示す。
【0031】実施例2 表面層の直鎖状低密度ポリエチレンに混合する分岐状低
密度ポリエチレンの混合割合を35wt%とする以外
は、実施例1と同様な方法により多層未延伸原反、及
び、ポリオレフィン系熱収縮性多層フィルムを得た。
尚、得られた多層未延伸原反にはメルトフラクチャーは
認められなかった。更に、実施例1と同様な方法によっ
て乾電池の熱収縮包装を行った。その結果、良好なる熱
収縮仕上りを有する包装体が得られ、しかも、フィルム
表面が柔らかく、多数の包装を行っても、刃物によるフ
ィルム切断や針によるパーフォレーション加工には何等
支障がなかった。又、得られた熱収縮包装体の溶断ヒー
トシール強度は多少弱かったが、実用的には何等支障が
なかった。それらの結果を表1に併記する。
【0032】比較例1 表面層の直鎖状低密度ポリエチレンに分岐状低密度ポリ
エチレンを混合させない以外は、実施例1と同様な方法
により多層未延伸原反、及び、ポリオレフィン系熱収縮
性多層フィルムを得た。しかし、得られた多層未延伸原
反にはメルトフラクチャーが生じていた。又、延伸加工
も困難で、しかも、得られたポリオレフィン系熱収縮性
多層フィルムは光学的特性に劣っていた。更に、実施例
1と同様な方法によって乾電池の熱収縮包装を行った。
その結果、包装されているフィルムの光学的特性が劣っ
ており、包装休のディスプレイ効果に劣っていた。しか
し、該フィルムは、熱収縮仕上りの良好な包装体が得ら
れ、しかも、フィルム表面が柔らかく、多数の包装を行
っても、刃物によるフィルム切断や針によるパーフォレ
ーション加工には何等支障がなかった。又、得られた熱
収縮包装体の溶断ヒートシール強度は良好であった。そ
れらの結果を表1に併記する。
【0033】比較例2 実施例1の芯層に用いたエチレン−プロピレン共重合体
と石油系樹脂の混合物が両表面層に、実施例1の両表面
層に用いた直鎖状低密度ポリエチレンが芯層になるよう
に共押出し、各層の厚み構成が1:1:1で、全体厚み
が300μmの多層未延伸原反を得た。尚、得られた多
層未延伸原反にはメルトフラクチャーが見られなかっ
た。得られた多層未延伸原反を用いて、実施例1と同様
の方法により逐次二軸延伸を行い、ポリオレフィン系熱
収縮性多層フィルムを得た。更に、実施例1と同様な方
法によって乾電池の熱収縮包装を行った。その結果、良
好なる熱収縮仕上りを有する包装体が得られた。しか
し、フィルム表面が硬く、多数の包装を行っていると、
刃物によるフィルム切断や針によるパーフォレーション
加工がスムーズに行え難くなり、トラブルが多発生し
た。
【0034】
【表1】 但し、LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン LDPE :分岐状低密度ポリエチレン E−Pcop :エチレン−プロピレン共重合体 石油系樹脂:脂環族飽和炭化水素樹脂
【0035】
【発明の効果】本発明のポリオレフィン系熱収縮性多層
フィルムは、熱収縮特性と光学的特性に優れているの
で、熱収縮包装仕上りが良好で、しかも、ディスプレイ
効果に優れた商品の包装が可能になる。又、フィルム表
面が柔らかいので、フィルム切断やパーフォレーション
加工等が容易で、熱収縮包装工程でのトラブルが無くな
りスムーズに包装することができるようになる。又、本
発明のポリオレフィン系熱収縮性多層フィルムは、溶断
ヒートシール性が低下しないので、シール強度の優れた
熱収縮包装体を得ることができる。特に、ピロースリー
ブ熱収縮包装に用いた際に、良好なる包装体をスムーズ
に得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 23:00 105:02 B29L 9:00 (72)発明者 西原 正治 香川県丸亀市中津町1515番地 大倉工業株 式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯層がポリプロピレン系樹脂と石油系樹
    脂との混合物からなり、両表面層が直鎖状低密度ポリエ
    チレンと分岐状低密度ポリエチレンとの混合物からなる
    多層未延伸原反を、共押出した後、延伸加工して得られ
    たものであることを特徴とするポリオレフィン系熱収縮
    性多層フィルム。
  2. 【請求項2】 前記両表面層中の分岐状低密度ポリエチ
    レンの混合割合が、5〜40wt%であることを特徴と
    する請求項1記載のポリオレフィン系熱収縮性多層フィ
    ルム。
  3. 【請求項3】 前記分岐状低密度ポリエチレンのメルト
    インデックスが、2.5g/10min以上であること
    を特徴とする請求項1又は2記載のポリオレフィン系熱
    収縮性多層フィルム。
  4. 【請求項4】 前記ポリプロピレン系樹脂が、エチレン
    −プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、
    又は、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体から選ば
    れた1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする
    請求項1、2又は3記載のポリオレフィン系熱収縮性多
    層フィルム。
  5. 【請求項5】 前記芯層の厚みが、フィルム全体厚みの
    30〜70%であることを特徴とする請求項1、2、3
    又は4記載のポリオレフィン系熱収縮性多層フィルム。
  6. 【請求項6】 ピロースリーブ熱収縮包装に用いること
    を特徴とする請求項1、2、3、4又は5のいずれかに
    記載のポリオレフィン系熱収縮性多層フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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WO2006002806A1 (en) * 2004-07-01 2006-01-12 Unilever N.V. Laminate

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JPH11262981A (ja) * 1998-03-17 1999-09-28 Gunze Ltd 熱収縮性ラベル用フィルム及びそれからなるラベルが装着されたpetボトル
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