JPH0861960A - 振動子とその調整方法および角速度センサ - Google Patents

振動子とその調整方法および角速度センサ

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JPH0861960A
JPH0861960A JP6225635A JP22563594A JPH0861960A JP H0861960 A JPH0861960 A JP H0861960A JP 6225635 A JP6225635 A JP 6225635A JP 22563594 A JP22563594 A JP 22563594A JP H0861960 A JPH0861960 A JP H0861960A
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torsional vibration
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健志 森川
Masayuki Okuwa
政幸 大▲桑▼
Atsushi Tsukada
厚志 塚田
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    • G01C19/56Turn-sensitive devices using vibrating masses, e.g. vibratory angular rate sensors based on Coriolis forces
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 振動子や角速度センサの感度の向上と感度調
整の簡略化を図る。 【構成】 振動子10は、両端が固定されたトーション
バー16により音叉型振動体12を結合支持し、このト
ーションバー16にねじり振動体14,15を備える。
そして、これらでねじり振動系を形成する。音叉型振動
体12の各振動片12a,12bがX軸に沿って平面振
動している際に回転角速度が作用すると、コリオリの力
により音叉型振動体12にトーションバー16を中心と
するねじり振動が励起され、ねじり振動系にも回転角速
度に応じたねじり振動が起きる。このねじり振動を音叉
型振動体12およびねじり振動体14,15で増幅し、
ねじり振動体14,15に設けたねじり振動検出用圧電
体20a,20bでねじり振動を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、音叉形状をなし平面に
おける所定の一方向に沿った振動を起こし得る振動体
を、外部の固定部材に固定された支持体に支持して備え
る振動子とその調整方法、およびこの振動子を用いて回
転角速度を検出する角速度センサに関する。
【0002】
【従来の技術】所定方向に沿って振動している振動体、
例えば直交座標軸平面(X−Z平面)におけるX軸方向
に沿って振動している振動体がこのX−Z平面と直交す
るY軸の周りに回転すると、その回転角速度により振動
体にZ軸方向にコリオリの力が生じる。このコリオリの
力は回転角速度に依存して定まることから、コリオリの
力を振動体の撓み変位量や振動体に生じる応力値として
間接的に、或いは圧電素子の圧電効果により直接的に測
定して、振動体の回転角速度を求めることができる。こ
のため、振動する振動体をX軸方向に沿って振動可能に
備えた振動子を角速度センサに用い、この角速度センサ
を車両等に搭載して、車両旋回時に発生するヨーレート
を検出することが行なわれている。また、この角速度セ
ンサを産業用ロボット等の胴体や腕部などに設けること
で、ロボットの移動に伴って胴体や腕部に発生するヨー
レートを検出することができることから、その姿勢制御
等にも用いられつつある。例えば、米国特許4,53
8,461号には、音叉型の振動体を有する振動子を用
いた振動型角速度センサが提案されている。
【0003】この米国特許4,538,461号におけ
る振動型角速度センサに用いられている振動子は、対と
なる2本の振動片をその一端で結合して音叉形状をなす
音叉型水晶振動体を備え、この音叉型水晶振動体(音叉
型振動体)は振動片の結合部にて枢軸(pivot)と結合
されている。この枢軸はその両端において当該軸に直交
する支持梁によりその両側からフレームに固定されてい
る。また、枢軸には、音叉型振動体のねじり振動に対応
する疑似反動質量部が取り付けられており、音叉型振動
体の各振動片の先端には、振動調整用質量部が取り付け
られている。
【0004】そして、この音叉型振動体の2本の振動片
の各々には振動片をX軸方向に励振させるための振動励
起用電極を設け、枢軸にはねじり振動を検出するための
検出電極を設けて振動型角速度センサとされている。こ
の振動型角速度センサによる回転角速度の検出は、次の
ようにして行なわれている。つまり、振動励起用電極に
交流電圧を常時印加して当該電極が設けられた振動片に
X軸方向の平面振動を励起し、振動片を平面振動にある
状態におく。この状態で回転角速度がこのセンサに作用
すると、この回転角速度により当該センサに発生するね
じり振動を検出電極に励起された電圧出力として検出し
ていた。
【0005】ところで、音叉型振動体の振動片が平面振
動にある時にセンサに一定の回転角速度が作用した場
合、センサに発生するねじり振動が安定するには、音叉
型振動体において対となる2本の振動片に関する振動
(平面振動およびねじり振動)の質量バランスをとるこ
とが重要であることが知られている。このため、米国特
許4,538,461号に示されているような振動子で
は、各振動片の先端部に設けられた振動調整用質量部の
形状設計やその質量の増減によりこれら振動の質量バラ
ンスがとられていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、米国特
許4,538,461号で提案されたような振動型角速
度センサにあっては、次のような問題が指摘されてい
る。
【0007】振動型角速度センサでは、上記したように
センサに発生するねじり振動の安定化を図ることに加
え、回転角速度の検出感度の向上を図ることも不可欠で
ある。そして、回転角速度の検出感度の向上を図るため
には、上記したように振動片に関する振動の質量バラン
スをとることだけでは足りず、励振により励起されるX
軸方向の平面振動の共振振動数と検出振動の共振振動数
を所定の関係に置くこと、例えば両共振振動数をほぼ一
致させることが有効であることが知られている。このた
め、検出振動をねじり振動とする米国特許4,538,
461号のセンサでは、X軸方向の平面振動の共振振動
数と回転角速度印加によりZ方向に発生するねじり振動
の共振振動数とがほぼ一致するよう調整する必要があ
る。そして、この調整度合いにより、センサの検出感度
の向上のみならず、温度特性,S/N(SN比),安定
性が決定されることが知られている。しかし、この振動
数調整が以下の理由により困難であった。
【0008】従来から、音叉型振動体の振動数調整には
音叉の振動片先端の質量を増減させると有効であること
が知られていた。これは、振動片先端は振動変位の大き
な部位であるため、振動片先端の質量変化は音叉型振動
体の共振振動数の大きな変化をもたらせることに起因す
る。しかし、音叉型振動体における振動片の平面振動の
共振振動数を目的の共振振動数(ねじり振動の共振振動
数)に調整すべく振動片先端の質量を増減させると、本
来、変化して欲しくないねじり振動の共振振動数をも変
化させてしまう。このようにねじり振動の共振振動数が
変化してしまうのは、音叉型振動体の振動片先端は、励
振による平面振動の振動変位ばかりか、当該振動片がね
じり振動を起こした際のねじり振動における振動変位も
大きい部位に当たるからである。
【0009】上記したように、振動片先端の質量を増減
すれば、振動片の平面振動と回転角速度印加により発生
するねじり振動との両共振振動数が変化し、しかもその
変化の度合いは両振動で一律ではない。このため、振動
片先端の質量増減により、励振による平面振動の共振振
動数とねじり振動の共振振動数を独立に調整することが
難しかった。よって、質量増減を通して一方の振動の共
振振動数を変更しつつ両者の振動の共振振動数の推移を
常に測定し、両共振振動数の差が所定の範囲内の値にす
る調整作業が必要であった。そして、この調整作業には
質量増減と両振動の共振振動数の測定とが不可欠である
ことから、熟練を要すると共に、多くの労力と時間が必
要であった。また、上記の両振動の共振振動数を所定の
値に精度良く合わせることが難しいので、高感度のセン
サを再現良く作製することができなかった。なお、上記
した問題点は、振動子を水晶以外の材料、例えば、ステ
ンレス,鉄ニッケル系の合金,恒弾性体合金等の金属の
ほか、PZT等の誘電体から形成した場合にも起き、水
晶に特有のものではない。
【0010】更に、米国特許4,538,461号で提
案されたような振動型角速度センサにあっては、次のよ
うな問題も指摘されている。
【0011】回転角速度印加により発生するねじり振動
を検出するための検出電極は、音叉型振動体を支持する
枢軸の側面に形成され、しかも側面上において、Z軸方
向の上下に2分割して設けられている。このような検出
電極を有するセンサでは、センサに回転角速度が加わり
コリオリ力が発生した場合、上記検出電極を有する枢軸
には長さ(X)方向にねじれの力が働くので、このねじ
れの力により水晶に発生する応力を検出電極にて検出す
ることになる。この場合の応力は、枢軸の剪断応力のτ
yzとなり、以下の数式1に示す行列式で与えられる水
晶の圧電定数に依存して定まる項(圧電定数依存項)を
有する。
【0012】
【数1】
【0013】水晶を用いた米国特許4,538,461
号の振動型角速度センサの枢軸に上記のねじれの力が働
く際の剪断応力τyzに対応する圧電定数は、電界方向
がY或いはZ、そしてねじれによる発生応力がτyzで
あるので、上記行列式における2行4列目(e24)或
いは3行4列目(e34)となるが、いずれもゼロであ
る。従って、このセンサにおける検出電極では、ねじれ
により発生する応力(剪断応力)の検出値のうち圧電定
数依存項の分が必然的にゼロとなる。よって、上記セン
サでは、電極構成上の制約から、ねじれの力が働く際の
剪断応力τyzを総て検出対象剪断応力とすることはで
きず、検出感度の向上を図ることは困難であった。
【0014】本発明は、上記問題点を解決するためにな
され、振動子の調整作業の簡略化をもたらす振動子を提
供することと、振動子を用いた角速度センサの検出感度
の向上を図ることをその目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めになされた請求項1記載の振動子の採用した手段は、
対となる第1の振動片と第2の振動片とを結合して音叉
形状をなし、平面における所定の一方向に沿った振動を
起こし得る音叉型振動体を、外部の固定部材に固定され
た支持体に支持して備える振動子であって、前記固定さ
れた支持体と前記音叉型振動体とで前記支持体を中心と
するねじり振動系を形成するよう、前記支持体を前記音
叉型振動体の音叉形状股部において前記音叉型振動体に
結合して前記音叉型振動体を前記支持体に支持して備
え、更に、前記支持体に突出して設けられて前記ねじり
振動系に付加され、該ねじり振動系に励起されたねじり
振動に伴ってねじり振動を起こすねじり振動体を備え、
該ねじり振動体は、前記支持体から突出して設けられた
ビームと、前記支持体から距離をおいて該ビームに設け
られた質量体部とを有することをその要旨とする。
【0016】一方、請求項2記載の振動子の調整方法で
採用した手順は、請求項1記載の振動子の調整方法であ
って、前記ねじり振動体の質量をビーム又は質量体部の
少なくとも一方で増減することで、前記音叉型振動体の
前記平面における振動の共振振動数と前記ねじり振動体
のねじり振動の共振周波数とを所定の関係に調整する工
程を有することをその要旨とする。
【0017】また、請求項3記載の角速度センサで採用
した手段は、請求項1記載の振動子を用いて回転角速度
を検出する角速度センサであって、前記音叉型振動体を
平面における所定の一方向に沿って励振する励振手段
と、前記ねじり振動体に発現したねじり振動の振動状態
を検出し、該振動状態に応じた信号を出力するねじり振
動検出手段とを備えることをその要旨とする。
【0018】更に、請求項4記載の角速度センサで採用
した手段は、請求項1記載の振動子を用いて回転角速度
を検出する角速度センサであって、前記ねじり振動系に
おいて前記支持体を中心とするねじり振動を励起するね
じり振動励起手段と、該励起されたねじり振動に伴って
前記音叉型振動体が前記平面における所定の一方向に沿
って振動した際の振動状態を検出し、該振動状態に応じ
た信号を出力する振動検出手段とを備えることをその要
旨とする。
【0019】
【作用】上記構成を有する請求項1記載の振動子では、
対となる第1の振動片と第2の振動片とを結合して音叉
形状をなす音叉型振動体は、外部の固定部材に固定され
た支持体に支持され、平面における所定の一方向(以
下、この方向を説明の便宜上X軸方向とする)に沿った
振動(以下、平面振動という)を起こす。そして、この
X軸方向と直交する所定軸方向(以下、この方向を説明
の便宜上Y軸方向とする)回りの回転角速度がこの音叉
型振動体に作用することで生じるコリオリの力により、
Z軸方向の振動が音叉型振動体に起きる。ところで、こ
の音叉型振動体はその音叉形状股部において支持体と結
合して支持されており、この支持体と音叉型振動体とで
支持体を中心とするねじり振動系を形成する。よって、
音叉型振動体に生じたZ軸方向の振動によりY軸回りの
ねじり振動が励起されると、ねじり振動系にはY軸回り
のねじり振動が励起される。この励起されたねじり振動
は、支持体に結合・支持された音叉型振動体の第1の振
動片および第2の振動片がこの支持体を挟んで位置する
ので、支持体を中心軸としてある程度大きな振幅で起き
ることになる。
【0020】その一方で、音叉型振動体を支持する支持
体には、ねじり振動体が支持体から突出して設けられて
おり、このねじり振動体はねじり振動系に付加される。
このため、ねじり振動体は、ねじり振動体に励起された
ねじり振動に伴ってねじり振動を起こすと共に、ねじり
振動系におけるねじり振動を増幅する。しかも、このね
じり振動体に起きるねじり振動は、ねじり振動体が音叉
型振動体とは別個に支持体から突出しているので、この
音叉型振動体のねじり振動に対してバランスをとられ音
叉型振動体のねじり振動と逆回転のねじり振動となる。
【0021】そして、ねじり振動系に励起されたY軸回
りのねじり振動は、X軸方向に振動している音叉型振動
体に回転角速度が作用してコリオリの力が発生し、この
コリオリの力により音叉型振動体に起きたZ軸方向の振
動に伴って起きる。更には、この音叉型振動体のZ軸方
向の振動は、コリオリの力に依存して定まるので、ねじ
り振動体のねじり振動も、コリオリの力に依存して起き
ることになる。つまり、回転角速度が作用したときにコ
リオリの力を発生させるためにX軸方向に沿った平面振
動を起こさせる音叉型振動体とは別個のねじり振動体
に、コリオリの力に依存した振動(ねじり振動)を起こ
させることができる。このため、支持体に支持される音
叉型振動体をX軸方向に振動を起こさせるためだけに使
用できると共に、ねじり振動体をコリオリの力に依存し
た振動(ねじり振動)の検出のためだけに使用できる。
よって、発生する歪み量が大きい根元で音叉型振動体を
振動させたり、発生する歪み量が大きいねじり振動体の
根元でねじり振動を検出することが可能となる。
【0022】しかも、この請求項1記載の振動子では、
コリオリの力を発生させるためにX軸方向に沿った平面
振動を起こさせる音叉型振動体は、第1の振動片と第2
の振動片とを対として有した音叉形状をなす。このた
め、この音叉型振動体をX軸方向に沿って平面振動させ
る際に、第1の振動片を+X方向に第2の振動片を−X
方向に各々平面振動させるので、Y軸周りの回転角速度
が作用した場合には、この回転角速度に比例したコリオ
リの力を第1の振動片には+Z方向に第2の振動片には
−Z方向に生じさせる。また、音叉型振動体を支持する
支持体は音叉の股部において結合して設けられているの
で、第1の振動片の+Z方向のコリオリの力と第2の振
動片の−Z方向のコリオリの力とは、支持体を挟んで点
対称に生じる。
【0023】よって、第1と第2の振動片は、支持体を
挟んで点対称に互いに逆方向に同じタイミングで変位し
ようとするので、支持体との結合部にはY軸周りのねじ
り振動が励起されることになる。そして、このねじり振
動は、ねじり振動体を含むねじり振動系の存在によりそ
の振幅が増大される。このため、回転角速度に依存した
支持体やねじり振動体のねじり振動は、振幅の大きなね
じり振動として起きる。
【0024】更に、請求項1記載の振動子では、ねじり
振動体がねじり振動する際の当該ねじり振動を、ビーム
を介して支持体から距離を隔てたねじり振動体の質量体
部により増幅する。よって、音叉型振動体によりねじり
振動系に起きるねじり振動の振幅が小さい場合でも、そ
の振幅を大きなものとし当該振動を検出する際の検出信
号の出力レベルを大きくすることができる。
【0025】また、上記したように、請求項1記載の振
動子のねじり振動体に起きるねじり振動と音叉型振動体
のねじり振動とが逆回転の関係にあることから、両ねじ
り振動に伴う支持体回りの慣性モーメントはバランスさ
れる。このため、支持体が外部の固定部材に固定されて
いても、支持体のねじり振動のエネルギがこの固定部材
に漏れることがない。
【0026】ところで、支持体のねじり振動のエネルギ
が固定部材に漏れると、この固定部材の振動を招き、こ
の固定部材の振動により支持体、延いては平面振動する
音叉型振動体やねじり振動体の振動特性に乱れ等の不具
合が起き得る。或いは、固定部材への振動漏れの状態が
環境温度による支持体等の剛性の変化により変わるため
に、支持体や音叉型振動体およびねじり振動体の特性が
安定しない。しかし、請求項1記載の振動子では、この
ような不具合の回避が可能となる。
【0027】また、ねじり振動体のビームは、平面振動
を行なう音叉型振動体とは別個に支持体から突出してい
るので、その突出長といった突出の様子を種々のものと
することで、ねじり振動体に起きるねじり振動を増幅す
ることが可能である。同様に、ビームに設けられた質量
体部の質量やその大きさ等を種々のものとすることで、
ねじり振動を増幅することが可能である。
【0028】なお、ねじり振動体のビームを支持体から
突出する際の突出方向は、ねじり振動体が支持体と音叉
型振動体とで形成されるねじり振動系に付加されてねじ
り振動を起こし得る方向であればよいことから、支持体
およびこれに結合した音叉型振動体と同一平面内におい
て、ねじり振動体のビームを支持体から突出して設ける
ことができる。このほか、支持体および音叉型振動体が
含まれる面と支持体において交差するよう、ねじり振動
体のビームを支持体から突出して設けることもできる。
【0029】上記した請求項1記載の振動子では、音叉
型振動体やその支持体およびねじり振動体についての材
質的な制約は特になく、振動を安定に維持および伝播で
きる材料であれば、種々の材料を用いることができる。
例えば、単一金属或いはステンレス,鉄ニッケル系の合
金、或いは恒弾性体合金といった種々の金属や合金は勿
論、水晶,ピエゾ素子(PZT)などの誘電体、シリコ
ンなどの半導体等のほか、粉末焼結体や結晶体,ガラス
更にはセラミック等の材料を適宜用いることができる。
【0030】請求項2記載の振動子の調整方法では、X
軸方向に沿って平面振動する音叉型振動体とは別個のね
じり振動体の質量を増減することで、次のようにして共
振振動数の調整を行なう。
【0031】支持体に支持された音叉型振動体には、X
軸方向に沿った平面振動と、この平面振動およびコリオ
リの力により励起されるねじり振動とが起きる。そし
て、平面振動の共振振動数は、この音叉型振動体の有す
る特性(剛性,厚み,音叉形状等)によってのみ定ま
り、ねじり振動の共振振動数は、この音叉型振動体と支
持体およびねじり振動体の結合によって形成されるねじ
り振動系の特性(支持体や音叉型振動体,ねじり振動体
の剛性,結合状態等)によってのみ定まる。つまり、こ
の二つの振動(平面振動とねじり振動)は、ベクトル的
に独立した振動である。その一方で、ねじり振動体に起
きるねじり振動は、支持体に伝播されたねじり振動に伴
って起きるものであることから、音叉型振動体の平面振
動からベクトル的に独立した振動となる。
【0032】このため、ねじり振動体の質量をビーム又
は質量体部の少なくとも一方で増減すれば、このねじり
振動体についてのねじり振動の共振振動数のみを独立に
変化させて、音叉型振動体の平面振動の共振振動数とね
じり振動体のねじり振動の共振周波数とを所定の関係に
調整できる。
【0033】上記した請求項2記載の振動子の調整方法
においてねじり振動体の質量を増減するには、適宜な手
法、例えば切削,エッチング,半田や銀蝋等の低融点金
属の溶融付着,金属片の接着,有機系接着剤の付着固化
等をビーム又は質量体部の少なくとも一方に施せばよ
い。
【0034】一方、請求項3記載の角速度センサでは、
励振手段により音叉型振動体を平面における所定の一方
向に沿って励振させ、この音叉型振動体を励振状態にお
く。そして、励振状態ある音叉型振動体にコリオリの力
が作用すると、このコリオリの力に依存してねじり振動
系に起きたねじり振動のうち、ねじり振動体に発現した
ねじり振動の振動状態をねじり振動検出手段により検出
し、このねじり振動状態に応じた信号を出力する。よっ
て、励振手段を歪み量の大きい音叉型振動体の根元に設
置することや音叉型振動体およびねじり振動体によるね
じり振動系のねじり振動の増幅に加え、ねじり振動検出
手段を歪み量の大きいねじり振動体の根元(ビーム)に
設置することを通して、回転角速度の検出感度をより向
上させる。なお、ねじり振動検出手段からねじり振動状
態に応じた出力された信号に基づき回転角速度が演算さ
れる。
【0035】また、請求項4記載の角速度センサでは、
ねじり振動体や支持体にねじり振動を励起することによ
りねじり振動系にねじり振動を励起させ、回転角速度が
作用したときに音叉型振動体が平面振動をする際の振動
状態を検出する。つまり、励振振動と検出振動を請求項
3記載の角速度センサと反対に構成し、検出振動の振動
状態に応じた信号を出力する。
【0036】なお、上記した角速度センサにあっては、
ねじり振動体の質量増減を通した音叉型振動体の平面振
動の共振振動数とねじり振動体のねじり振動の共振周波
数との調整を経ることで、より一層の回転角速度の検出
感度の向上が可能である。
【0037】上記したこれらの角速度センサの場合、励
振手段を構成するに当たり、振動子の材料の特性を考慮
してPZTやZnO等の圧電材料を用いたり、静電力,
磁力或いは電磁力等を振動子に及ぼしてこれを励振させ
る構成等、種々の構成を取り得る。また、ねじり振動検
出手段を構成するに当たり、振動子の材料の特性を考慮
してPZTやZnO等の圧電材料を用いたり、ねじり振
動により変化する静電力,磁力,電磁力等を検出する構
成や、ねじり振動により変化する歪みを検出する歪みゲ
ージ等を用いることができる。
【0038】
【実施例】次に、本発明に係る角速度センサの好適な実
施例について、図面に基づき説明する。図1は、実施例
の角速度センサに用いられる振動子10の概略斜視図で
ある。この図1に示すように、第1実施例の振動子10
は、音叉形状をなした音叉型振動体12と左右のねじり
振動体14,15とトーションバー16とを同一平面内
(X−Y平面内)に備える。この振動子10は、振動を
伝播する金属、例えばアルミ合金の板材から適宜な機械
加工を経て図示するような形状に形成されている。そし
て、音叉型振動体12とトーションバー16とは、音叉
型振動体12の左右の振動片12a,12bの股部にお
いて結合され、左右のねじり振動体14,15は、トー
ションバー16から対称に突出しこのトーションバー1
6に結合されている。
【0039】トーションバー16は、音叉型振動体12
側の上部トーションバー16aとねじり振動体14,1
5側の下部トーションバー16bとからなり、上部トー
ションバー16aの端部および下部トーションバー16
bの端部で、それぞれ図示しないセンサケーシングのフ
レームに固定されている。そして、このトーションバー
16は、音叉型振動体12をその股部において支持す
る。
【0040】ねじり振動体14,15は、それぞれトー
ションバー16から直接突出したねじり振動ビーム14
a,15aと、その端部に設けられてトーションバー1
6から距離を隔てた方形の質量調整体14b,15bと
を備える。このねじり振動体14,15は、音叉型振動
体12と同一平面内でトーションバー16から突出して
いることから、トーションバー16にねじり振動が起き
ると、その振動に伴いトーションバー16を中心にして
ねじり振動を起こす。つまり、音叉型振動体12とトー
ションバー16およびねじり振動体14,15の結合に
よってねじり振動系が形成され、この系の特性(トーシ
ョンバー16等の剛性や結合状態等)によって上記した
ねじり振動の特性が定まる。なお、質量調整体14bは
後述する共振振動数調整処理での質量増減に供され、そ
の上面は、当該処理における切削や半田付け,金属片接
着等による質量の増減処置に備えて皿状とされている。
【0041】また、図1に示すように、音叉型振動体1
2の各振動片12a,12bの側面には、それぞれの振
動片にX軸方向の平面振動を励起するための振動励起用
圧電体18a,18b、例えばピエゾ素子(PZT)が
一対ずつ接着・固定されている。一方、図1およびその
2−2線拡大断面端面図である図2に示すように、ねじ
り振動体14,15の各ねじり振動ビーム14a,15
aの上下面には、ねじり振動体14,15にねじり振動
が起きた際のねじり振動ビーム14a,15aの曲げ歪
みを検出するためのPZT等のねじり振動検出用圧電体
20a,20bが一対ずつ接着・固定されている。この
場合、図示するように、振動励起用圧電体18a,18
bのそれぞれは該当する振動片12a,12bの根元
に、また、ねじり振動検出用圧電体20a,20bのそ
れぞれは該当するねじり振動ビーム14a,15aの根
元(トーションバー16との結合側)に対向して接着・
固定されている。
【0042】なお、振動励起用圧電体18a,18bお
よびねじり振動検出用圧電体20a,20bには、音叉
型振動体12の振動片12a,12bおよびねじり振動
体14,15のねじり振動ビーム14a,15aの振動
を阻害しないよう、図示しない導電ラインがトーション
バー16に沿ってトーションバー16の固定端から外部
まで配線されている。
【0043】また、振動片12a,12bの平面振動の
共振振動数とねじり振動体14,15のねじり振動の共
振振動数とが一致するよう調整する感度トリミングは、
振動励起用圧電体18a,18bやねじり振動検出用圧
電体20a,20bの接着・固定の後に行なわれるが、
その詳細については後述する。
【0044】次に、上記した振動子10を用いた角速度
センサにおける回路構成について、図3のブロック図を
用いて説明する。この図3に示すように、各振動片12
a,12bの振動励起用圧電体18a,18bは励振側
回路40に、各ねじり振動ビーム14a,15aのねじ
り振動検出用圧電体20a,20bは検出側回路50に
それぞれ接続されている。
【0045】図示するように、励振側回路40は、一対
の振動励起用圧電体18aに交流電圧を印加する励振回
路42と、一対の振動励起用圧電体18bが圧電効果に
より生じる電気信号の位相を揃える検出バランス調整回
路44と、入力した電気信号のレベルに拘らず一定の出
力レベルとするオートマティックゲインコントローラ
(AGC)46と、音叉型振動体12の音叉形状により
定まる各振動片12a,12bの共振周波数を中心とし
た所定幅の周波数の電気信号を選別するバンドパスフィ
ルタ48とから構成される。
【0046】一方、検出側回路50は、後述するように
電気信号の位相の調整および相殺を行なう検出バランス
調整回路52と、検出バランス調整回路52により調整
された電気信号の出力レベルを増幅する増幅回路54
と、励振回路42からの参照信号に同期し、交流電圧で
ある電気信号を同期整流する同期検波回路56と、正電
圧化された電気信号を整流電圧の電気信号とする積分回
路58と、整流電圧の電気信号の出力レベルを増幅する
増幅出力回路60とから構成される。
【0047】検出バランス調整回路52は、ねじり振動
体14,15にねじり振動が起きてねじり振動ビーム1
4a,15aがX−Z平面において撓み(図1参照)、
その際のビームの曲げ歪みにより二対のねじり振動検出
用圧電体20a,20bの圧電効果により生じる電気信
号(交流電圧)を入力し、当該二対のねじり振動検出用
圧電体20a,20bからの電気信号の位相の調整と、
その電気信号の相殺を行なう。
【0048】以下に、励振側回路40による振動子10
の動作および回転角速度が作用したときの振動子10と
検出側回路50の動作について説明する。
【0049】励振側回路40の励振回路42から一対の
振動励起用圧電体18aのそれぞれに位相が180度異
なる交流電圧を印加すると、一対の振動励起用圧電体1
8aの各圧電体は逆圧電効果により電圧に応じて伸縮す
る。各圧電体の伸縮は、各圧電体へ印加される交流電圧
の位相が180度異なることから、一方が伸びるときに
他方が縮み、一方が縮むときに他方が伸びることとな
り、この結果、音叉型振動体12の振動片12aには、
X軸方向に沿った平面振動が励起される。そして、この
振動片12aの振動は、他方の振動片12bに伝播し、
この振動片12bを共振させる。
【0050】こうして振動片12bが振動すると、一対
の振動励起用圧電体18bは、振動に伴って伸縮し、圧
電効果により各圧電体の伸縮に応じた交流電圧の電気信
号を生じる。振動励起用圧電体18bの各圧電体の伸縮
は互いに逆となるので、生じる電気信号は、位相が18
0度異なる交流電圧となる。この電気信号は、検出バラ
ンス調整回路44により一方の電気信号を反転して位相
が揃えられ、AGC46により出力レベルを一定にされ
る。そして、バンドパスフィルタ48により共振周波数
を中心とした所定幅の電気信号が選別され、励振回路4
2により選別された電気信号が振動励起用圧電体18a
に印加される。
【0051】従って、振動片12aには、振動片12b
が振動する周波数で、かつ一定レベルの振動振幅が得ら
れるように交流電圧が印加される。このため、振動片1
2a,12bは、共振周波数で一定の振幅の定常振動を
起こす。この場合、振動片12aの振動励起用圧電体1
8aへは、音叉型振動体12の2つの振動片12a,1
2bが互いに近づく或いは遠退くように振動するように
交流電圧が印加され、その振動数は、音叉型振動体12
の音叉形状により定まる各振動片12a,12bの共振
周波数になるように回路的に決定されている。つまり、
振動片12a,12bがX軸方向に沿って平面振動する
際のそれぞれ振動片の振動の位相は、180度ずれたも
のとなる。
【0052】振動子10が励振側回路40による定常振
動の状態にあるときに、Y軸の回りに回転角速度Ωを与
えると、振動片12a,12bに式F=2mV・Ωで表
わされるコリオリの力Fが図3の紙面に垂直方向(Z軸
方向)に作用する。ここで、mは振動部分の質量、Vは
振動部分の速度である。振動部分の速度Vは、式V=A
ω・cos ωtで表わされ、励振側回路40による振動の
振幅Aに比例する。従って、コリオリの力Fは励振側回
路40による振動の振幅Aを大きくすることにより大き
くすることができる。なお、ωは角周波数である。
【0053】振動片12a,12bは、コリオリの力F
が作用することによりZ軸方向に振動するが、両振動片
のX軸方向の振動の位相は180度ずれていることか
ら、各振動片12a,12bには逆向きのコリオリの力
Fが作用する。例えば、振動片12aにはZ軸方向の正
の方向(+Z方向)のコリオリの力Fが作用し、振動片
12bにはZ軸方向の負の方向(−Z方向)のコリオリ
の力Fが作用する。このようにコリオリの力Fが各振動
片12a,12bに作用すると、音叉型振動体12はト
ーションバー16を中心軸としてねじり力を受けた状態
となる。従って、振動子10にY軸の回りの回転角速度
が作用すると、音叉型振動体12はトーションバー16
と連動して回転角速度の大きさに比例した振幅を持つね
じり振動を発生させ、当該振動をトーションバー16に
伝播する。
【0054】ところで、ねじり振動が伝播するトーショ
ンバー16には、音叉型振動体12とは別個にねじり振
動体14,15が突出して設けられているので、このね
じり振動体14,15には、音叉型振動体12のねじり
振動とは逆回転のねじり振動が、音叉型振動体12のね
じり振動、即ち回転角速度に比例した大きさの振幅で起
きる。このため、ねじり振動体14,15のねじり振動
ビーム14a,15aのそれぞれは、このねじり振動に
よりX−Z平面において逆向きに撓み、ねじり振動ビー
ム14a,15aのそれぞれには逆向きの曲げ歪みが回
転角速度に比例した大きさで発生する。この曲げ歪み
は、トーションバー16との結合部付近において顕著に
表われる。
【0055】このようにしてねじり振動ビーム14a,
15aに曲げ歪みが発生すると、二対のねじり振動検出
用圧電体20a,20bはこの曲げ歪みに伴って伸縮
し、各圧電体の圧電効果により各圧電体の伸縮に応じた
交流電圧の電気信号が生じる。この電気信号は、各圧電
体の伸縮を反映したものであるので、伸縮が大きくなれ
ば大きな出力レベルの電気信号となる。従って、検出感
度を高くするために電気信号の出力レベルを大きくする
には、ねじり振動検出用圧電体20a,20bを大きく
伸縮させること、すなわち各ねじり振動ビーム14a,
15aをより大きく撓ませてその曲げ歪みを大きくする
ことが望ましい。
【0056】ところで、既述したように、各振動片12
a,12bにはトーションバー16を中心としてコリオ
リの力Fが逆向きに同じタイミングで作用すると共に、
ねじり振動体14,15の質量調整体14b,15bが
ねじり振動ビーム14a,15aを介してトーションバ
ー16から距離を隔てている。このため、トーションバ
ー16のねじり振動並びにねじり振動ビーム14a,1
5aの曲げは、その変位が増幅された振動や曲げ歪みと
して起きる。よって、ねじり振動検出用圧電体20a,
20bを大きく伸縮させることを通して、電気信号の出
力レベルを大きくして検出感度を高くすることができ
る。
【0057】こうしてねじり振動検出用圧電体20a,
20bにより生じた電気信号(交流電圧)は、検出バラ
ンス調整回路52に入力される。検出バランス調整回路
52では、各圧電体から生じる電気信号の位相が揃えら
れると共に、振動子10に作用する回転加速度以外の加
速度(例えば、横加速度やビームの曲げ加速度)に基づ
く電気信号が相殺される。増幅回路54では、電気信号
の出力レベルが増幅される。同期検波回路56では、励
振回路42からの参照信号に対応した同期検波が行なわ
れて正電圧となり、積分回路58では、正電圧化された
電気信号は整流電圧の電気信号となる。整流電圧の電気
信号は、増幅出力回路60により増幅されて出力され
る。
【0058】なお、本実施例では、ねじり振動検出用圧
電体20a,20bにより生じる電気信号の出力レベル
を大きくすることができるので、増幅回路54での増幅
率を小さくすることができる。また、横加速度等を無視
するのであれば、ねじり振動検出用圧電体20aの一対
で足りる。
【0059】検出バランス調整回路52に入力されるね
じり振動検出用圧電体20a,20bの出力電圧は、各
ねじり振動ビームの曲げ歪みが回転角速度に比例するこ
とから、この回転角速度に比例した振幅を持つ交流電圧
となる。このため、検出側回路50からは、上記したよ
うに励振側回路40の出力信号を参照しつつ信号処理す
ることで、回転角速度に比例した電圧信号として出力さ
れる。
【0060】ここで、上記した振動子10を用いた角速
度センサの特性について説明する。図4に、この角速度
センサに種々の回転角速度を作用させた場合の出力特性
(出力電圧)を示す。この図4のグラフに示すように、
本実施例の振動子10を用いた角速度センサによれば、
広い範囲の回転角速度に亘って感度よく回転角速度を検
出することができた。
【0061】以上説明したように、この第1実施例の振
動子10では、センサケーシングのフレームに両端を固
定したトーションバー16に、平面振動する音叉型振動
体12とねじり振動体14,15とを結合して設けるこ
とで、回転角速度に比例した大きさのねじり振動をねじ
り振動体14,15に起こさせる。このため、第1実施
例の振動子10によれば、音叉型振動体12をX軸方向
に平面振動を起こさせるためだけに用い、ねじり振動体
14,15を回転角速度に依存したねじり振動の検出の
ためだけに用いることができるので、複数の対の圧電体
を一つの振動片に設ける必要がなく、振動子の小型や構
成の簡略化を図ることができる。しかも、第1実施例の
振動子10によれば、発生する歪み量が大きい根元で各
振動片12aを振動させたり、発生する歪み量が大きい
ねじり振動体14,15の根元でねじり振動を検出する
ことができるので、回転角速度の検出に不可欠な音叉型
振動体12の平面振動の励起の高効率化と、この振動子
10を用いた角速度センサの検出感度の向上とを図るこ
とができる。
【0062】また、第1実施例の振動子10では、トー
ションバー16に音叉型振動体12とは別個にねじり振
動体14,15を突出して設け、このねじり振動体1
4,15に起きるねじり振動を音叉型振動体12のねじ
り振動と逆回転のねじり振動とした。このため、第1実
施例の振動子10によれば、両ねじり振動に伴うトーシ
ョンバー16回りの慣性モーメントをバランスさせて、
ねじり振動のエネルギをトーションバー16から外部の
フレームに漏洩させることがない。この結果、第1実施
例の振動子10によれば、音叉型振動体12の平面振動
およびねじり振動体14,15のねじり振動の安定化を
通して、振動子としてのクオリティーファクターQ値を
高めてより一層の検出感度の向上および感度の維持を図
ることができる。また、振動が外部に漏れないため、第
1実施例の振動子10によれば、フレームへの固定法,
センサハウジングが簡素化され、振動絶縁機構などの高
価で複雑な構成が不要となると共に、角速度センサとし
ての温度特性も優れる。
【0063】更に、第1実施例の振動子10では、音叉
型振動体12の振動片12a,12bに互いに逆向きの
コリオリの力Fをトーションバー16を中心にして作用
させることと、ねじり振動体14,15の質量調整体1
4b,15bをねじり振動ビーム14a,15aにより
トーションバー16から隔てたことにより、ねじり振動
の振幅を増幅する。このため、第1実施例の振動子10
によれば、回転角速度の検出感度の向上を図ることがで
きる。
【0064】また、音叉型振動体12やねじり振動体1
4,15が結合されるトーションバー16をその両端に
おいて外部のセンサケーシングのフレームに固定して
も、感度の向上といった上記した優れた効果を奏するこ
とができる。このため、振動子10によれば、外部のフ
レームへのトーションバー16の両端固定を通して、振
動子の安定保持を図ることができ、外部からの衝撃や振
動に対し壊れにくい構造とすることができる。
【0065】次に、振動励起用圧電体等の接着・固定後
に行なう振動子10の調整処理(共振振動数調整処理)
による感度トリミングについて説明する。まず、本実施
例の共振振動数調整処理により、振動片12a,12b
の平面振動の共振振動数とねじり振動体14,15のね
じり振動の共振振動数とを一致させることができる理由
について説明する。
【0066】振動子10に回転角速度が作用すると、音
叉型振動体12がコリオリの力を受けてねじり振動す
る。この音叉型振動体12とねじり振動体14,15の
両者はトーションバー16に結合しているので、ねじり
振動体14,15は音叉型振動体12に連動してねじり
振動を起こす。この場合に、両者のねじり振動に着目す
れば、音叉型振動体12とねじり振動体14,15は、
同一のねじり共振振動数で振動する。しかしながら、振
動子10における励振振動は音叉型振動体12のX軸方
向の平面振動であり、検出振動はねじり振動体14,1
5のZ軸方向のねじり振動であるので、音叉型振動体1
2とねじり振動体14,15とがトーションバー16に
結合しているとはいえ、音叉型振動体12の平面振動の
共振振動数とねじり振動体14,15のねじり振動の共
振振動数とが常に一致することはない。
【0067】その一方で、このねじり振動は、トーショ
ンバー16のねじりばね定数(ねじり剛性)kと慣性モ
ーメントJによって決定されることが知られており、慣
性モーメントJはねじり中心からの距離Lと質量mによ
り決定される。従って、ねじり中心(本実施例ではトー
ションバー16の軸心)から距離を隔てた部位で質量を
変化させることにより、このねじり振動の共振振動数を
変化させることができる。このことを利用することで、
励振振動たる音叉型振動体12の平面振動の共振振動数
と、検出振動たるねじり振動体14,15のねじり振動
の共振振動数とを所定の関係、例えば両共振振動数を一
致させることができる。
【0068】本実施例における共振振動数調整処理で
は、ねじり振動体14,15の両端に取付けられた質量
調整体14b,15b上面の皿状部に金属片を接着し質
量を増加させる、或いは質量調整体14b,15b自体
若しくは皿状部に付けられた金属の切削により質量を減
少させる等の質量の増減処置により、音叉型振動体12
の平面振動の共振振動数とねじり振動体14,15のね
じり振動の共振振動数とを調整する。以下、その詳細に
ついて説明する。
【0069】図5に本実施例における共振振動数調整処
理による共振振動数調整前後の振動子10の振動特性を
示し、図5(a)は共振振動数調整前の振動特性を、図
5(b)は共振振動数調整後の振動特性を示す。なお、
図中の点線は音叉型振動体12の平面振動についての振
動特性を、実線は音叉型振動体12とトーションバー1
6およびねじり振動体14,15の結合によって形成さ
れるねじり振動系でのねじり振動についての振動特性を
表わす。
【0070】この図5(a)に示すように、その伝達比
および位相の挙動から、共振振動数調整前には、平面振
動の共振振動数とねじり振動の共振振動数とは一致して
いない。このような現象は、上記した形状や構成を採っ
た本実施例の振動子10に特有に見られるものではな
く、平面振動とねじり振動を起こし得る振動子であれば
その程度の差はあるものの共通して表われる。ところ
が、このような特性の振動子10に、質量調整体14
b,15bの質量増減処置を行なうことで、図5(b)
に示すように、平面振動の共振振動数とねじり振動の共
振振動数とを一致させることができた。
【0071】この場合の質量調整体14b,15bの質
量増減処置は、調整前の平面振動の共振振動数がねじり
振動の共振振動数より低いことから、ねじり振動の共振
振動数を平面振動の共振振動数に一致するよう低下させ
ればよい。よって、質量調整体14b,15b上面の皿
状部に適宜な質量の金属片を接着して調整体の質量を増
加させた。一方、調整前の平面振動の共振振動数がねじ
り振動の共振振動数より高い場合の質量調整体14b,
15bの質量増減処置は、ねじり振動の共振振動数を平
面振動の共振振動数に一致するよう高くすればよい。よ
って、質量調整体14b,15b自体の切削やその皿状
部に接着済みの金属片の除去或いは切削して調整体の質
量を減少させればよい。なお、質量調整体14b,15
bの質量増減の程度は、振動子10の形状や材質等によ
って適宜決定すればよく、ねじり振動の共振振動数の推
移を測定しながら質量増減を行なえばよい。
【0072】この図5に示すように、上記した共振振動
数調整処理を行なっても、音叉型振動体12の平面振動
の共振振動数は調整前後でごく僅かしか変化していない
ので、平面振動とねじり振動の独立性が高いといえる。
このため、調整体の質量増減によりねじり振動の共振振
動数のみを特に大きく変化させて両共振振動数を一致さ
せることができることが判る。これは、ねじり振動体1
4,15の質量調整体14b,15bはねじり振動のみ
に関与し、音叉型振動体12の平面振動には直接関与し
ていないからである。
【0073】次に、上記した共振振動数調整処理を行な
って平面振動の共振振動数とねじり振動の共振振動数を
調整した場合の効果について説明する。図6に、平面振
動の共振振動数fxとねじり振動の共振振動数fzの振
動数差△fとセンサ出力(出力電圧)との関係を示す。
この図6から明らかなように、両共振振動数fx,fz
の振動数差△fが小さくなればなるほど、即ち両共振振
動数fx,fzが一致すればするほど、角速度センサの
検出感度を大幅に向上させることができる。このため、
図5に示したように両共振振動数fx,fzを一致させ
る共振振動数調整処理を行なった振動子10によれば、
高感度な角速度センサを供給することができるという利
点がある。
【0074】ここで、第1実施例の振動子10における
音叉型振動体12とねじり振動体14,15の大きさや
その設置位置等と平面振動およびねじり振動の両共振振
動数fx,fzの調整との関係について説明する。
【0075】振動子10は、図1に示すように、トーシ
ョンバー16の両端がフレームに固定された固定梁にほ
かならず、その梁の途中に二つの質量部として音叉型振
動体12とねじり振動体14,15を備える。このた
め、この振動子10におるねじり振動は、図7に示すね
じり振動系モデルで解析可能である。
【0076】この図7に示すねじり振動系モデルにおけ
るねじり振動の固有振動数fは、下記の数式2で表わさ
れる。
【0077】
【数2】
【0078】なお、この数式2におけるpは振動系モデ
ルの固有角振動数、k1 ,k2 はトーションバー16を
音叉型振動体12とねじり振動体14,15で区切った
各部位のトーションバーねじり剛性、J1 ,J2 は音叉
型振動体12とねじり振動体14,15のそれぞれの慣
性モーメントである。また、式中のp11,p22,p12
は、当該振動系モデルでのJ1 とそれに加わるねじりば
ね系の固有角振動数,J2 とそれに加わるねじりばね系
の固有角振動数,J1 とJ2 相互の固有角振動数であ
る。
【0079】トーションバー16のねじり剛性kは、そ
の断面を長辺の長さがa,短辺の長さがbの長方形と仮
定すると、その材料の横弾性係数をGとして一般に下記
の数式3で表わされる。
【0080】
【数3】
【0081】ここで、kabは断面の辺比a/bにより規
定される変数であり、a/b=1、即ち断面が正方形の
場合は、kab=0.140である。
【0082】また、ねじり振動体14,15の慣性モー
メントJ1 は、物体中の任意の微小質量dmから回転軸
までの垂直距離をrとすれば、下記の数式4で示され
る。
【0083】
【数4】
【0084】音叉型振動体12の如く音叉形状を有する
質量部についての慣性モーメントJ2 は、音叉の剛性の
影響が無視できず理論的な数式による推定が難しいた
め、有限要素法(FEM)の手法を用いた計算値を用い
ればよい。
【0085】これらの数式を基に第1実施例の振動子1
0における平面振動およびねじり振動の振動を解析した
ところ、ねじり振動体14,15の慣性モーメントJ1
と音叉型振動体12の慣性モーメントJ2 との間には、
図8に示す関係があることが判明した。この場合、振動
子10の各部の寸法は、以下の通りである(図1参
照)。
【0086】 トーションバー16の全長L:99.5mm 音叉型振動体12とねじり振動体14,15との間の距
離L2 :5mm 上部トーションバー16a側固定端から音叉型振動体1
2(結合部)までの距離L1 :45mm 下部トーションバー16b側固定端からねじり振動体1
4,15(結合部)までの距離L1 :45mm トーションバー16の断面の長辺の長さa:3mm トーションバー16の断面の短辺の長さb:3mm 音叉型振動体12の振動片12a,12bの有効長l:
4mm 音叉型振動体12の開口間隔w:3mm 振動片12a,12bの幅w0 :2.8mm
【0087】この振動子10について音叉型振動体12
の慣性モーメントJ2 を有限要素法(FEM)の手法を
用いて求めたところ、J2 =8.07x10-9kgs2
mであった。そして、音叉型振動体12の慣性モーメン
トJ2 を一定(8.07x10-9kgs2 m)とし、ね
じり振動体14,15の慣性モーメントJ1 を質量調整
体14b,15bの質量増減を経て変化させ、慣性モー
メントJ1 とねじり振動モデルの固有振動数fとの関係
を求めた。その結果を図8に示す。このようにねじり振
動体14,15の慣性モーメントJ1 を経て変化させて
も、音叉型振動体12の平面振動とねじり振動体14,
15のねじり振動の振動の方向は図1に示した振動子1
0の外観図からも明らかなように互いに直交しているた
め、理論的にはこの慣性モーメントJ1 の変化は音叉型
振動体12の平面振動の固有振動数に影響を与えない。
【0088】なお、慣性モーメントJ1 および固有振動
数fとの関係を求めるに当たっては、慣性モーメントJ
1 をその初期慣性モーメントJ10から変化させたときの
固有振動数fの変化の様子を調べた。つまり、慣性モー
メントJ1 を初期慣性モーメントJ10で規格化した規格
化値(J1 /J10)と、固有振動数fについてもその初
期固有振動数f0 で規格化した規格化値(f/f0 )に
ついて求めた。
【0089】まず、ねじり振動体14,15の慣性モー
メントJ1 が音叉型振動体12の慣性モーメントJ2 に
一致するよう初期設定(J1 =J2 )し、質量調整体1
4b,15bの質量増減を通して、慣性モーメントJ1
のみをその時の初期慣性モーメントJ10(=J2 )に対
して±30%の範囲で変化させ、その間の慣性モーメン
トJ1 (J1 /J10)と固有振動数f(f/f0 )との
関係を求めた。この結果を、図8中に−◆−◆−で示
す。なお、初期固有振動数f0 は、上記初期設定時(J
1 =J2 )における固有振動数fである。
【0090】この初期設定(J1 =J2 )の場合には、
慣性モーメントJ1 のみを初期慣性モーメントJ10(=
J2 )に対して±30%の範囲で変化させることで、ね
じり振動による固有振動数fを約±7%変化させること
ができた。
【0091】次に、ねじり振動体14,15の慣性モー
メントJ1 の初期設定をJ1 =6x J2 として、慣性
モーメントJ1 のみを初期慣性モーメントJ10(=6
xJ2 )に対して±30%の範囲で変化させ、その間の
慣性モーメントJ1 (J1/J10)と固有振動数f(f
/f0 )との関係を求めた。この結果を、図8中に−□
−□−で示す。なお、この場合の初期固有振動数f0
は、上記初期設定時(J1 =6 x J2 )における固有
振動数fである。
【0092】この初期設定(J1 =6 x J2 )の場合
には、慣性モーメントJ1 のみを初期慣性モーメントJ
10(=6 x J2 )に対して±30%の範囲で変化させ
ることで、ねじり振動による固有振動数fを約±2%変
化させることができた。
【0093】また、ねじり振動体14,15の慣性モー
メントJ1 の初期設定をJ1 =(1/6) x J2 とし
て、慣性モーメントJ1 のみを初期慣性モーメントJ10
(=(1/6) x J2 )に対して±30%の範囲で変
化させ、その間の慣性モーメントJ1 (J1 /J10)と
固有振動数f(f/f0 )との関係を求めた。この結果
を、図8中に−■−■−で示す。なお、この場合の初期
固有振動数f0 は、上記初期設定時(J1 =(1/6)
x J2 )における固有振動数fである。
【0094】この初期設定(J1 =(1/6) x J2
)の場合には、慣性モーメントJ1のみを初期慣性モー
メントJ10(=(1/6) x J2 )に対して±30%
の範囲で変化させることで、ねじり振動による固有振動
数fを約±12%変化させることができた。
【0095】従って、ねじり振動体14,15の初期慣
性モーメントJ10を音叉型振動体12の慣性モーメント
J2 に対して1〜0.1倍の値にすることで、具体的に
は振動子10の寸法や材料等をこのように設計すること
で、ねじり振動の共振振動数を広い範囲に亘って調整す
ることができる。つまり、共振振動数調整処理の前に平
面振動とねじり振動の両共振振動数が隔たっていても、
広範囲なねじり振動の共振振動数調整により両共振振動
数を一致させることができる。
【0096】一方、調整範囲を狭くして僅かな調整で平
面振動とねじり振動の両共振振動数を精度良く一致させ
るには、ねじり振動体14,15の初期慣性モーメント
J10を音叉型振動体12の慣性モーメントJ2 に対して
6倍以上の値にすればよい。つまり、本実施例の共振振
動数調整処理方法によれば、共振振動数の調整範囲を変
えることができるという利点がある。
【0097】次に、第1実施例の振動子10における音
叉型振動体12とねじり振動体14,15との位置関係
と平面振動およびねじり振動の両共振振動数fx,fz
の調整との関係について説明する。つまり、トーション
バー16の全長Lが一定でも、慣性モーメントを生じる
音叉型振動体12とねじり振動体14,15との位置関
係が異なると、上記したねじり振動系においてねじり振
動特性も変化する。そこで、音叉型振動体12とねじり
振動体14,15との間隔L2 を全長Lが一定(99.
5mm)のままで変更した場合について、このL2 とね
じり振動モデルの固有振動数fの変動量との関係を求め
た。その結果を、図9に示す。なお、この場合の音叉型
振動体12の慣性モーメントJ2 は8.07x10-9
gs2 mであり、ねじり振動体14,15の慣性モーメ
ントJ1 はその約6倍の値である5.05x10-8kg
2 mである。
【0098】図9に示すグラフは、全長L(=99.5
mm)一定の条件下で次のようにして求めた。まず、音
叉型振動体12とねじり振動体14,15との間隔L2
がグラフ横軸の値のものである振動子10をそれぞれ用
意し、各振動子10について、既述したようにねじり振
動体14,15の慣性モーメントJ1 と音叉型振動体1
2の慣性モーメントJ2 とが一定な初期状態に調整す
る。例えば、J1 =6x J2 とする。次いで、それぞ
れの振動子10について、慣性モーメントJ1を初期状
態から10%増加させたときのねじり振動の固有振動数
fの変動量を測定した。そして、この測定値を各振動子
10について、間隔L2 と対応付けてプロットした。
【0099】この図9から判るように、音叉型振動体1
2とねじり振動体14,15との間隔L2 を短くして両
者を接近して設けるほど、即ちL2 /Lが小さいほど、
ねじり振動体14,15の慣性モーメントJ1 を変化さ
せたときのねじり振動の固有振動数を大きく変化させる
ことができる。よって、L2 /Lが小さくなるよう音叉
型振動体12およびねじり振動体14,15の位置関係
を定めることでねじり振動の固有振動数を大きく変化さ
せることができ、共振振動数の調整効率を高めることが
できる。具体的に、L2 /Lを0.5(42.5/9
5)以下とすることが望ましい。
【0100】次に、第2実施例について説明する。図1
0に示すように、この第2実施例の振動子10Aは、上
記の振動子10とその外観形状や音叉型振動体12等の
構成部材については同一であるものの、ねじり振動検出
用圧電体20a,20bの設置位置において振動子10
と異なる。つまり、この振動子10Aは、図10および
その11−11線拡大断面図である図11に示すよう
に、ねじり振動検出用圧電体20a,20bを音叉型振
動体12の股部近傍における各振動片12a,12bの
根元部の上下面に備える。
【0101】そして、回転角速度が作用して振動子10
Aのねじり振動系にねじり振動が起きると、このねじり
振動により音叉型振動体12の振動片12a,12bに
は、Z軸方向の曲げ応力が発生することが解析により判
明した。このように振動片12bにねじり振動に応じた
曲げ応力が発生すれば、当該応力に伴う曲げ歪みを、振
動片12a,12bの根元部に設けたねじり振動検出用
圧電体20a,20bの圧電効果により、振動片12
a,12bの根元部において検知する。このように構成
しても、振動子10Aには上記した振動子10と同じね
じり振動系が形成されているので、第1実施例の振動子
10と同様の効果を奏することは勿論である。
【0102】また、この第2実施例の振動子10Aで
は、ねじり振動検出用圧電体20a,20bと振動励起
用圧電体18a,18bとを互いに干渉することなくす
ぐ近くに配置することができる。このため、第2実施例
の振動子10Aによれば、圧電体の接着作業や配線作業
の簡略化を通して工数低減やコスト低減を図ることがで
きる。
【0103】次に、第3実施例について説明する。この
第3実施例の振動子100は、その上面からの概略斜視
図である図12とその下面からの概略斜視図である図1
3に示すように、第1実施例の振動子10と当該振動子
におけるねじり振動体の外観形状や、振動子形成に用い
た材料等について振動子10と異なる。つまり、この振
動子100は、振動子10と同様に、平面振動を行なう
振動片112a,112bを有する音叉型振動体112
と両端がフレームに固定されたトーションバー116と
を、音叉型振動体112の股部において結合して備え、
これらで形成されたねじり振動系を有する。また、振動
子100は、振動子10におけるねじり振動体14,1
5と異なる形状、即ち図示するように棒状のねじり振動
体114,115を、ねじり振動系に付加されるよう、
トーションバー116の左右に突出して備える。
【0104】この振動子100では、振動子10におけ
る材料であるアルミ合金に替えて、振動用材料として優
れた機械物性を持つ単結晶材である水晶を用いた。そし
て、水晶板(水晶ウエハ)に周知の写真蝕刻法を施すこ
とにより、上記した音叉型振動体112,トーションバ
ー116およびねじり振動体114,115を水晶ウエ
ハから一体形成して、振動子100が作成されている。
このように水晶ウエハを用いているので、振動子100
では、水晶の持つ特性により、音叉型振動体112の振
動片112a,112bの平面振動や、ねじり振動系を
形成するねじり振動体114,115等のねじり振動
が、共に効率良くしかも安定して起きる。
【0105】振動子100を作成するための水晶ウエハ
としては、水晶の結晶軸のZ軸に垂直な面からX軸周り
に2〜3度回転した面にZカット面を有する水晶ウエハ
を用いた。そして、この水晶ウエハから音叉型振動体1
12等を写真蝕刻法により形成するに際しては、水晶ウ
エハのZカット面をエッチングすることとした。エッチ
ング後における水晶ウエハ上では、音叉型振動体112
の各振動片112a,112bおよびトーションバー1
16の長手方向が水晶の結晶軸のY軸方向となる。
【0106】水晶はそれ自体が圧電材料であるため、水
晶表面に電極を配置することにより逆圧電効果による励
振や、圧電効果による振動検出を行なうことができる。
このため、この第3実施例では、電極材料として金、ニ
ッケルークロム合金を用い、その積層蒸着膜を写真蝕刻
法,マスク蒸着法等により下記のように該当する部位に
形成して、当該合金の積層蒸着膜を振動励起用電極およ
びねじり振動検出用電極とした。
【0107】音叉型振動体112の振動片112a,1
12bには、これら振動片にX軸方向の平面振動を励起
するための振動励起用電極がその長手方向に沿って形成
されている。つまり、図12,図13およびその14−
14線拡大断面図である図14に示すように、振動片1
12aには、その上下面に負電極122が、左右の側面
に正電極121がそれぞれ対向して形成されている。一
方、振動片112bには、その上下面に正電極123
が、左右の側面に負電極124がそれぞれ対向して形成
されている。この電極配置は、音叉型振動体112の各
振動片の長手方向が水晶の結晶軸のY軸方向であるの
で、既述した数式1の行列式で与えられる水晶の圧電定
数のうち、1行2列目の値を用いるものである。
【0108】また、トーションバー116における上部
トーションバー116aの上下面には、2本の配線用電
極125,126が形成されている。なお、それぞれの
電極の形成箇所は、図中にハッチングで示し、連続形成
されている電極につては、同一のハッチングを付して示
す。
【0109】振動片112aの正電極121と振動片1
12bの負電極124は、それぞれの振動片の自由端側
とトーションバー116との結合部で対向する電極同士
が互いに連結されている。そして、正電極121,12
3は上部トーションバー116aの上面の配線用電極1
25により、負電極122,124は下面の配線用電極
126によりそれぞれ上部トーションバー116aの固
定端116dを経て外部に至り、第1実施例におる励振
側回路40と同一機能を果たす図示しない励振側回路と
接続されている。
【0110】ねじり振動体114,115には、これら
ねじり振動体がY軸回りねじり振動を起こした場合に各
ねじり振動体に発生する曲げ歪みを検出するためのねじ
り振動検出用電極が形成されている。図12に示すよう
に、ねじり振動により各ねじり振動体114,115に
曲げ歪みが起きると、これらねじり振動体に曲げ応力が
発生する。この曲げ応力は、トーションバー116とね
じり振動体との結合部と、ねじり振動体の両端との間に
生じる。この応力によりこの結合部とねじり振動体両端
との間において、水晶の圧電効果によりねじり振動体上
に電位差が生じるので、この電位差をねじり振動体11
4,115上に形成されたねじり振動検出用電極により
取り出すことができる。つまり、図12おけるねじり振
動体114,115の上面でトーションバー116との
結合部から隔てた位置には、ねじり振動検出用電極12
7,128が、トーションバー116の上面でねじり振
動体114,115との結合部には、ねじり振動検出用
電極129が、それぞれ形成されている。また、トーシ
ョンバー116における下部トーションバー116bの
上下面には、2本の配線用電極130,131が形成さ
れている。なお、それぞれの電極の形成箇所は、図中に
ハッチングで示し、連続形成されている電極につては、
同一のハッチングを付して示す。
【0111】各ねじり振動体114,115のねじり振
動検出用電極127,128は、それぞれのねじり振動
体側面に形成された配線用電極132,133を介して
下部トーションバー116b下面の配線用電極131と
接続されている。また、トーションバー116における
ねじり振動検出用電極129は、下部トーションバー1
16b上面の配線用電極130と接続されている。そし
て、これらねじり振動検出用電極127〜129は、該
当する配線用電極130,131によりそれぞれ下部ト
ーションバー116bの固定端116eを経て外部に至
り、第1実施例におる検出側回路50と同一機能を果た
す図示しない検出側回路と接続されている。
【0112】このため、正電極121,123および負
電極122,124が励振側回路から所定周波数の交流
電圧の印加を受けると、音叉型振動体112の振動片1
12a,112bには水晶の逆圧電効果により平面振動
が起きる。この平面振動は、電極配置が数式1の行列式
における1行2列目の圧電定数を用いたものであること
に起因して起きる動作である。そして、この状態で回転
角速度が作用してコリオリの力が生じると、ねじり振動
体114,115におけるねじり振動検出用電極127
〜129からは、ねじり振動に対応した出力が水晶の圧
電効果により検出側回路を経て取り出される。この出力
の取り出しに有効となる圧電定数は、数式1の行列式に
おける1行1列目の値である。
【0113】振動子100におけるねじり振動体11
4,115には、その先端に所定範囲に亘って金属膜が
蒸着法、或いは鍍金法等により形成されている。本実施
例では、金の薄膜を0.1〜10μmの厚みで形成し
た。その範囲を、図12,図13中に点線のハッチング
で示す。そして、振動子100では、この金属膜形成箇
所を、トーションバー116から離間し金薄膜分の質量
増大済みの振動調整用部位114b,115bとする。
つまり、この振動調整用部位114b,115bの金属
膜をレーザートリミング法により部分的に除去したり、
蒸着法等により部分的に金属を付着すれば、ねじり振動
体114,115の質量増減ができるので、第1実施例
と同様にねじり振動の共振振動数を調整した。この方法
により50から5000Hzのねじり共振振動数の変化
が実現でき、音叉型振動体12の平面振動の共振振動数
とねじり振動体114,115のねじり振動の共振振動
数とを予め定めた関係に設定することができた。これに
より、高感度で安定した出力の得られるセンサが実現で
きた。
【0114】ここで、レーザートリミング法や蒸着法に
よる振動調整用部位114b,115bの質量増減の様
子について説明する。これらの方法により質量を増減す
る際に、トリミング量或いは金属、例えば金の蒸着量が
同一でも、そのトリミング位置や蒸着位置を変えれば重
心が移動するので、ねじり振動の共振振動数の調整範囲
を変更することができる。つまり、トリミングや蒸着の
際のトリミング量や蒸着量或いはトリミング位置や蒸着
位置を適宜変更することで、広い範囲で精度のよいねじ
り振動の共振振動数の調整を行なうことができる。しか
も、蒸着法では、真空中で蒸着処理を行うので、気体の
存在によるダンピングを受けずに蒸着位置や金属の蒸着
量を調整できることから、センサの使用環境に近い状態
でこれらを調整できる。また、この質量増加をもたらす
蒸着量は、蒸着膜厚や蒸着面積で容易に制御することが
できるので、調整精度が高いという利点がある。
【0115】次に、第4実施例について説明する。図1
5,図16に示すようにこの第4実施例の振動子100
Aは、上記の振動子100とその外観形状や音叉型振動
体112等の構成部材および音叉型振動体112の各振
動片とトーションバー116の長手方向が水晶の結晶軸
のY軸方向であることについては同一である。しかし、
ねじり振動検出用電極の形成位置およびそのパターンに
おいて振動子100と異なる。なお、図15は振動子1
00Aの上面からの概略斜視図であり、図16はその下
面からの概略斜視図である。
【0116】図示するように、この振動子100Aは、
音叉型振動体112とねじり振動体114,115との
間におけるトーションバー116の中央トーションバー
部116cにおいて、音叉型振動体112との結合部近
傍に一方のねじり振動検出用電極140を、ねじり振動
体114,115との結合部近傍に他方のねじり振動検
出用電極141を備える。つまり、ねじり振動検出用電
極140,141は、トーションバー116の上面にお
いてねじり振動により発生する剪断応力を検出する。
【0117】このようにトーションバー116の剪断応
力を当該バーに設けたねじり振動検出用電極140,1
41にて検出できることは、次のような理由による。
【0118】米国特許4,538,461号にあって
も、その枢軸において剪断応力を検出するのであるが、
枢軸の長手方向が水晶の結晶軸のX軸方向であるため、
数式1の行列式における2行4列目の圧電定数を用いる
ことになる。これに対して、この第4実施例の振動子1
00Aでは、トーションバー116の長手方向が水晶の
結晶軸のY軸方向であることから、バーの剪断応力の検
出には、数式1の行列式における2行5列目の圧電定数
を用いることになる。この2行5列目の圧電定数はその
値がゼロではないため、効率よく剪断応力を検出するこ
とができるのである。
【0119】なお、図15,図16に示すように、この
ねじり振動検出用電極140は下部トーションバー11
6b下面の配線用電極131と、ねじり振動検出用電極
141は下部トーションバー116b上面の配線用電極
130とそれぞれ接続されている。これら電極の形成箇
所は、図中にハッチングで示し、連続形成されている電
極につては、同一のハッチングを付して示す。そして、
このねじり振動検出用電極140,141により、音叉
型振動体112,トーションバー116およびねじり振
動体114,115で形成されるねじり振動系のねじり
振動を、次のようにして検出する。
【0120】回転角速度が作用して振動子100Aのね
じり振動系にねじり振動が起きると、そのねじり振動
は、音叉型振動体112およびねじり振動体114,1
15により増幅される。しかも、このねじり振動体11
4,115におけるねじり振動と音叉型振動体112に
おけるねじり振動は、既述したようにその振動の向きが
逆向きなので、この両者が結合されたトーションバー1
16の中央トーションバー部116cには、大きなねじ
りによる歪みが起きて剪断応力が発生することが解析に
より判明した。このように中央トーションバー部116
cに剪断応力が発生すれば、音叉型振動体112との結
合部と、ねじり振動体114,115との結合部の間に
おいて、この剪断応力に応じた大きさの電位差が水晶の
圧電効果により生じる。よって、この電位差を上記のね
じり振動検出用電極140,141を用いて検出するこ
とができる。
【0121】そして、こうしてねじり振動検出用電極1
40,141により検出された電圧は、回転角速度に対
応した出力として、下部トーションバー116bの上下
面における配線用電極130,131および図示しない
検出側回路を経て外部に取り出される。
【0122】この第4実施例の振動子100Aでは、回
転角速度に伴って起きるねじり振動によるトーションバ
ー116の剪断応力を、当該応力に応じて発生する電位
差にて検出し、回転角速度に対応した出力を得ることが
できる。このため、第4実施例の振動子100Aによれ
ば、加速度等の外乱による曲げ応力の影響を受けること
がなく、検出感度を向上させることができるという利点
がある。
【0123】また、この第4実施例の振動子100Aで
は、第3実施例の振動子100と異なりねじり振動体1
14,115に検出用電極を持たないため、各ねじり振
動体のほぼ全面に金属膜の振動調整用部位114b,1
15bを形成することができる。つまり、ねじり振動共
振振動数調整時において、振動調整用部位における質量
変化をより大きくできる。このため、第4実施例の振動
子100Aによれば、共振振動数調整の粗調時には振動
調整用部位の先端側金属膜をレーザトリミングにより大
まかに除去し、微調時にはトーションバー結合付近を除
去することにより、ねじり振動の共振振動数を上げる方
向に広範囲に且つ精度良く調整して、平面振動とねじり
振動の両共振振動数を所定の関係に調整設定できるとい
う利点を有する。
【0124】更に、蒸着法により質量を増加して共振振
動数を下げる側に調整するには、既述したように蒸着面
積や膜厚と蒸着位置により調整度合いを容易に制御する
ことができる。そして、粗調時にはねじり振動体11
4,115先端側に広い面積で金属を蒸着し、微調時に
はねじり振動体114,115のトーションバー結合部
付近に狭い面積で蒸着することにより、広範囲に精度良
くしかも容易に、ねじり振動の共振振動数を調整設定で
きるという利点がある。
【0125】次に、第5実施例について説明する。図1
7,図18に示すようにこの第5実施例の振動子100
Bは、上記の振動子100,100Aとその外観形状や
音叉型振動体112等の構成部材については同一である
ものの、ねじり振動の検出を音叉型振動体112の一方
の振動片において行なう点で振動子100,100Aと
異なる。このため、以下に説明するように、ねじり振動
検出用電極の形成位置およびその形状が振動子100,
100Aと異なる。なお、図17は振動子100Bの上
面からの概略斜視図であり、図18はその下面からの概
略斜視図である。
【0126】図示するように、この振動子100Bは、
音叉型振動体112の振動片112aのみに上記した振
動子100Aと同一の正電極123および負電極124
を備え、これを振動励起用電極とする。そして、振動子
100Bは、励振側回路から所定周波数の交流電圧の印
加を、上部トーションバー116a上下面の配線用電極
125,126を介して正電極123および負電極12
4に受け、振動片112aに水晶の逆圧電効果により平
面振動を励起する。一方、振動子100Bは、図17,
図18およびその19−19線断面拡大図に示すよう
に、音叉型振動体112の他方の振動片112bの上下
面に、ねじり振動検出用電極をその長手方向に沿って備
える。
【0127】このねじり振動検出用電極は、振動片11
2bの上下面に並んで形成された正電極135と負電極
136とからなり、この正電極135と負電極136は
上下面で反転して形成されている。そして、両正電極1
35はそれぞれが下部トーションバー116b下面の配
線用電極131に接続され(図18参照)、両負電極1
36は、図17に示すように振動片112a側面の配線
用電極137により一旦導通されてから下部トーション
バー116b上面の配線用電極130に接続されてい
る。これら電極の形成箇所は、図中にハッチングで示
し、連続形成されている電極につては、同一のハッチン
グを付して示す。そして、この正電極135と負電極1
36からなるねじり振動検出用電極により、音叉型振動
体112,トーションバー116およびねじり振動体1
14,115で形成されるねじり振動系のねじり振動
を、次のようにして検出する。
【0128】回転角速度が作用して振動子100Bのね
じり振動系にねじり振動が起きると、このねじり振動に
より音叉型振動体112の振動片112a,112bに
は、Z軸方向の曲げ応力が発生することが解析により判
明した。このように振動片112bに曲げ応力が発生す
れば、ねじり振動による曲げ応力により振動片112b
表面の左右間に、当該曲げ応力に応じた大きさの電位差
が水晶の圧電効果により生じる。よって、この電位差を
振動片112bの上下面に形成した正電極135と負電
極136からなるねじり振動検出用電極を用いて検出す
ることができる。
【0129】そして、こうしてねじり振動検出用電極に
より検出された電圧は、回転角速度に対応した出力とし
て、下部トーションバー116b下面の配線用電極13
1および図示しない検出側回路を経て外部に取り出され
る。
【0130】この第5実施例の振動子100Bによれ
ば、ねじり振動体114,115に検出用電極を必要と
しないので、第4実施例の振動子100Aと同様に、ね
じり振動の共振振動数の広範囲で高精度の調整を通し
て、平面振動とねじり振動の両共振振動数を所定の関係
に調整設定できるという利点を有する。
【0131】ここで、上記した各実施例の振動子の固定
について、図17に示した振動子100Bを例に採り説
明する。
【0132】図20の概略斜視図に示すように、振動子
100Bは、トーションバー116両端の固定端116
d,116eにおいてフレーム180に結合されてい
る。このフレーム180は、振動子100Bを取り囲む
矩形の枠体であり、振動子100Bと同じ材料(水晶単
結晶材)から一体に形成されている。つまり、この実施
例では、振動子100Bとフレーム180は、周知の写
真蝕刻法を水晶ウエハーに施すことにより一体に形成さ
れる。
【0133】フレーム180の上面には、トーションバ
ー116の上下面に形成されている配線用電極125,
126,130,131に接続したフレーム上配線用電
極150,151,152,153が形成されている。
このフレーム上配線用電極は、配線用電極125等と同
様に、電極材料として金、ニッケルークロム合金が用い
られており、その積層蒸着膜のマスク蒸着法,写真蝕刻
法等を経て上記の各配線用電極と共に形成される。この
場合、図示するように、フレーム上配線用電極150,
153は、フレーム180上面において配線用電極12
5,130とそれぞれ接続して形成されている。また、
フレーム上配線用電極151,152は、フレーム18
0の上面から下面にかけて形成されており、図18に示
すトーションバー116下面の配線用電極126,13
1とフレーム180下面において接続されている。
【0134】これらフレーム上配線用電極150,15
1,152,153は、トーションバー116と平行な
フレーム180の枠体長片部180a,180bの中央
部に、ボンディング用の電極154,155,156,
157を備える。そして、このフレーム上配線用電極1
50,151,152,153は、ボンディング用の電
極154,155,156,157で、ボンディングワ
イヤー160,161,162,163を介して図示し
ないケース側の端子と接続され、図3と同様の信号処理
回路に接続される。
【0135】フレーム180は、その枠体長片部180
a,180bの中央に固定部170,171を備え、こ
の固定部170,171を介してケースに固定されてい
る。ケースへの固定に当たっては、接着剤による接着,
半田付け,共晶接合,静電接合,圧着,機械的なクラン
プ等の適宜な固定の手法を用いることができる。
【0136】振動子をフレームに固定すれば、一般に、
振動子の振動、この場合には音叉型振動体112の平面
振動やねじり振動体114,115のねじり振動に伴い
フレームも振動したりねじれたりする。しかし、ケース
への固定箇所たる枠体長片部180a,180bの中央
は振動の中立点、即ち振動変位が発生しない部位に当た
るため、振動変位が発生しない部位で振動子100Bお
よびフレーム180を固定部170,171を介してケ
ースに固定支持することができる。よって、振動子10
0Bの振動がケースに漏れにくくなり、振動子のQ値が
向上し感度が高くなる。逆に外部の外乱振動のケースを
通した伝播を抑制できるので、この外乱振動が振動子1
00Bに及ぼす悪影響(精度低下等)を防ぐことができ
る。
【0137】また、フレーム180による応力の緩和効
果のため、ケースと振動子100Bの熱膨張係数の差に
よる応力が振動素子に伝わりにくくなる。よって、熱応
力による振動数の変化を回避でき、振動子の振動を広い
温度範囲にわたり安定に保つことができる。
【0138】更に、ボンディングワイヤー160,16
1,162,163をボンディングするためのボンディ
ング用電極154,155,156,157固定部17
0,171の上にあり、ボンディング箇所が補強されて
いる。よって、ボンディングワイヤー160,161,
162,163のボンディングに支障はなく、しかもボ
ンディングが容易に行える。
【0139】加えて、このようにフレーム180により
振動子100Bを固定すれば、振動子100Bの保持が
容易なため動作が安定するばかりでなく、フレームがあ
るために振動子が壊れにくくなる。しかも、取り扱いが
容易となるために、歩留まり良く振動子を製作できる。
【0140】次に、変形例について説明する。第1実施
例の振動子10では、トーションバー16をその両端で
固定するよう構成したが、次のように変形することもで
きる。つまり、図21に示すように、トーションバー1
6を上部トーションバー16aを有しないものとし、こ
のトーションバー16をその下部トーションバー16b
の端部でフレームに固定した片持ち支持形状の振動子2
00とすることもできる。この変形例の振動子200に
よれば、トーションバー16の固定箇所が少なくなると
共に構造が簡単になり、工数低減やコスト低減を図るこ
とができる。
【0141】また、第2実施例の振動子10Aでは、ね
じり振動検出用圧電体20a,20bを音叉型振動体1
2の振動片12a,12bの根元部上下面に設けたが、
次のように変形することもできる。つまり、図10に示
すように、トーションバー16を挟んだ音叉型振動体1
2の左右の股部12mの上下面にねじり振動検出用圧電
体20a,20bを設けることもできる。この変形例に
よっても、振動子10Aと同様、圧電体の接着作業や配
線作業の簡略化を通して工数低減やコスト低減を図るこ
とができる。
【0142】更に、第3実施例の振動子100では、ね
じり振動体114,115にその質量増減用に振動調整
用部位114b,115bを設けたが、この振動調整用
部位114b,115bを設けない構成の変形例を採る
こともできる。つまり、この場合には、ねじり振動体1
14,115の適宜な箇所、例えばその先端を写真蝕刻
法等により直接エッチングしてその質量の増減を行なう
こともできる。
【0143】また、第3ないし第5実施例の各振動子の
形状を次のように変形することもできる。つまり、図2
2の模式図に示すように、音叉型振動体112をトーシ
ョンバー116に結合するに当たり、音叉型振動体11
2の開口端側がねじり振動体114,115に向くよう
にする。このように変形すれば、音叉型振動体112の
結合部とねじり振動体114,115の結合部との間の
トーションバー部を長くすることができるので、その分
ねじり振動の振動数を低くすることができる。よって、
この振動数の低下に合わせて音叉型振動体112の平面
振動の振動数も低下させることができるので、低い振動
数で駆動する振動子を提供することができる。なお、こ
の変形例にあっても、ねじり振動体114,115にお
ける振動調整用部位114b,115bの範囲を図中点
線で示す。
【0144】更に、図23,図24の模式図に示すよう
に、二つの音叉型振動体112をねじり振動体114,
115を挟んで対向するよう設けることもできる。この
ようにすれば、音叉型振動体112がねじり振動系に二
つあるため平面振動の振動エネルギーが高くとれ、この
結果、回転角速度によるねじり振動が大きくなり、セン
サの感度をより向上させることができるという利点があ
る。なお、これら変形例にあっても、ねじり振動体11
4,115における振動調整用部位114b,115b
の範囲を図中点線で示す。
【0145】以上本発明の一実施例について説明した
が、本発明はこの様な実施例になんら限定されるもので
はなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々な
る態様で実施し得ることは勿論である。
【0146】例えば、第1実施例における振動子10の
トーションバー16を方形断面の棒状体とし、このトー
ションバー16に音叉型振動体12とねじり振動体1
4,15を設けて回転角速度に依存したねじり振動を起
こすねじり振動系を形成したが、これに限るわけではな
い。つまり、トーションバー16やねじり振動体14,
15におけるねじり振動ビーム14a,15aを、おり
曲げ形状,ら旋形状,ループ形状等のねじり振動を容易
とするねじりばね構造体とすることもできる。このよう
な構成にすれば、トーションバー16等のねじりばね定
数を下げることができるので、トーションバー16の全
長やねじり振動体14,15の長さを短くして振動子1
0、延いては角速度センサの小型化を推進できるという
利点がある。
【0147】また、上記した各実施例のトーションバ
ー,音叉型振動体,ねじり振動体等については、振動を
安定に維持できる材料を用いればよく、ステンレス,鉄
ニッケル系の合金,恒弾性体合金などの種々の金属のほ
か、水晶,PZTなどの誘電体やシリコンなどの半導
体、および粉末燒結体,結晶体,セラミックスなどを適
宜用いればよいことは勿論である。
【0148】更に、音叉型振動体12等を平面振動させ
る励振手段としてPZTの逆圧電効果を用いたが、Zn
Oなど他の圧電材料を用いてもよく、また静電力,磁
力,電磁力等を発生して音叉型振動体12等に及ぼしこ
れを励振させるよう構成することもできる。また、角速
度検出のためのねじり振動検出手段としてPZTの圧電
効果を用いたが、ZnOなど他の圧電材料を用いてもよ
く、このほか、ねじり振動により変化する静電力,磁
力,電磁力等を検出する構成や、ねじり振動により変化
する歪みを検出する歪みゲージ等を用いることができ
る。
【0149】また、共振振動数調整処理におけるねじり
振動体14,15の質量増減を行なうに当たり、金属片
の接着,金属の切削という処置を用いたが、半田,銀蝋
等の低融点金属や有機系接着材を質量調整体14b,1
5bに固着させて質量を変化させる処置を採ることもで
きる。
【0150】また、振動子100,100A,100B
を水晶(水晶ウエハ)から形成した実施例について説明
したが、圧電材料であればよく水晶に限らない。つま
り、水晶に替わり、PZT,PLZTなどの圧電セラミ
クスや、エチレンジアミンタータレート(EDT),デ
ィポタジュウムタータレート(DKT),アルミニウム
ヂハイドロジェンホスファレート(ADP),LiTa
3 ,LiNbO3 などの圧電単結晶材或いは合成圧電
結晶等を用いることもできる。
【0151】また、上記した各実施例では、X方向に音
叉型振動体12,112を励振し、Y軸周りの回転角速
度が作用したときに発生するY軸周りのねじり振動を回
転角速度信号として検出した。しかし、これとは逆にY
軸周りのねじり振動を励振させておき、Y軸周りの回転
角速度印加により発生するX方向の振動を検出してもよ
い。このように構成しても、ねじり振動体によりねじり
振動の効果的且つ増幅等ができると共に、平面振動の増
幅等が可能なため、上記した実施例と同様の効果、例え
ば、検出感度の向上、共振振動数の調整の簡略化等の効
果を奏することができる。なお、このように構成した場
合には、上記した各実施例における振動子の入力端子で
ある振動励起用圧電体や電極を出力端子として検出側回
路に接続し、出力端子であるねじり振動検出用圧電体や
電極を入力端子として励振側回路に接続すればよい。
【0152】また、上記した各実施例では、音叉型振動
体112の振動片112bに正電極123と負電極12
4からなる振動励起用電極を、振動片112aに正電極
135と負電極136からなるねじり振動検出用電極を
形成したが、これに限るわけではない。つまり、振動片
112bには、この振動励起用電極に加えてねじり振動
検出用電極を設け、振動片112aには、ねじり振動検
出用電極に加えて振動励起用電極を設けることもでき
る。つまり、各振動片は振動励起用電極とねじり振動検
出電極を同時に備えることになる。なお、この場合に
は、振動励起用電極およびねじり振動検出用電極は、各
振振動片の長手方向に沿って並べて配置・形成される。
そして、各電極への配線は、各振動片の表面においてパ
ターン形成され、振動励起用電極の正電極と負電極、ね
じり振動検出用電極の正電極と負電極にまとめられ、既
述した振動子100Bと同様、トーションバー116,
フレーム180の表面を介してケース上の端子につなが
れる。
【0153】このように各振動片に振動励起用電極とね
じり振動検出用電極とを備える構成によれば、音叉型振
動体112の二つの振動片112a,112bの両方に
励振用部位があるので、この二つの振動片の振動方向を
逆相に励振できる。よって、両振動片を安定して励振で
きると共に、効率よく大きな振幅の平面振動を励起する
ことができる。また、音叉型振動体112の二つの振動
片112a,112bの両方に検出用部位があるので、
角速度印加により発生するねじれ振動の振動状態を二つ
の検出部位から出力信号として得ることができる。よっ
て、両出力信号を差動的に処理することにより、高感度
で安定した出力が得られる。また、加速度などの外乱が
加わった場合でも、各振動片に振動励起用電極とねじり
振動検出用電極とを備える構成によれば、この外乱を両
検出部位からの両出力信号にて相殺できるので、回転角
速度のみに依存した出力信号を正確に得ることができ
る。
【0154】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1記載の振動
子では、平面振動させる音叉型振動体とは別個のねじり
振動体に、回転角速度に依存したねじり振動を起こさせ
このねじり振動を検出することができる。そして、この
ねじり振動を、支持体にその股部で結合して第1,第2
の振動片をこの支持体を挟んで位置させる音叉型振動体
と、支持体から突出したビームと質量体部とを有するね
じり振動体とにより増幅する。この結果、請求項1記載
の振動子によれば、ねじり振動の振幅増幅を通して、検
出感度をより一層向上することができる。
【0155】請求項1記載の振動子では、X軸方向に振
動を起こさせるためだけの音叉型振動体を支持体に結合
して支持し、回転角速度に依存したねじり振動の検出の
ためだけのねじり振動体を支持体に設ければよい。この
ため、次の利点がある。
【0156】つまり、発生する歪み量が大きい根元で音
叉型振動体を平面振動させたり、発生する歪み量が大き
いねじり振動体の根元でねじり振動を検出することがで
きるので、請求項1記載の振動子によれば、効率のよい
振動体の振動と検出感度の向上とを図ることができる。
また、音叉型振動体にはこれを平面振動させるための手
段を設け、ねじり振動体にはねじり振動を検出するため
の手段を設けるだけでよいので、請求項1記載の振動子
によれば、振動子の小型や構成の簡略化を図ることがで
きる。
【0157】また、請求項1記載の振動子では、支持体
にその股部で結合した音叉型振動体と支持体から突出し
たねじり振動体とによりねじり振動を増幅すると共に、
ねじり振動体に起きるねじり振動と音叉型振動体のねじ
り振動とを逆回転の関係として、両ねじり振動に伴う支
持体回りの慣性モーメントをバランスさせ、振動のエネ
ルギを外部の固定部材へ漏洩させない。よって、請求項
1記載の振動子によれば、振動の増幅や安定化を通し
て、より一層の検出感度の向上および感度の維持を図る
ことができる。
【0158】また、請求項1記載の振動子では、回転角
速度に比例したコリオリの力を、音叉型振動体の第1の
振動片には支持体を中心として+Z方向に、第2の振動
片には−Z方向に同じタイミングで生じてねじり振動を
起こさせる。このため、請求項1記載の振動子によれ
ば、ねじり振動の振幅増幅を介して、より一層の検出感
度の向上を図ることができる。
【0159】請求項2記載の振動子の振動状態調整方法
によれば、ビーム又は質量体部の少なくとも一方でのね
じり振動体の質量増減を通して、ねじり振動の共振振動
数のみを独立に変化させ、音叉型振動体の平面振動の共
振振動数とねじり振動体のねじり振動の共振周波数とを
所定の関係に容易に調整できる。また、請求項2記載の
振動子の振動状態調整方法によれば、両共振振動数の調
整を経て、検出感度の向上を容易に図ることができる。
しかも、ねじり振動体のビーム又は質量体部での質量増
減だけでよいことから、工程の簡略化を通して工数低減
やコスト低下を図ることができる。
【0160】請求項3又は請求項4記載の角速度センサ
では、励振手段の音叉型振動体の根元への設置、ねじり
振動検出手段のねじり振動体の根元への設置、およびね
じり振動体に起きるねじり振動の増幅を通して、回転角
速度の検出感度をより向上させることができる。
【0161】しかも、請求項3記載の角速度センサで
は、用いる振動子における音叉型振動体やねじり振動体
に励振手段とねじり振動検出手段を個別に設置すればよ
いことから、励振手段等への配線の干渉を各振動体にお
いて考慮する必要がない。このため、請求項3記載の角
速度センサによれば、配線を太くして高い電圧を印加す
ることができるので、振動体を大きな振幅で振動させて
回転角速度に依存したねじり振動の振幅も大きくし、回
転角速度の検出感度をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例である角速度センサに用い
る振動子10の概略斜視図。
【図2】図1の2−2線拡大断面端面図。
【図3】振動励起用圧電体18a,18bに接続される
励振側回路40とねじり振動検出用圧電体20a,20
bに接続される検出側回路50からなる信号処理回路の
ブロック図。
【図4】第1実施例の振動子10を用いた角速度センサ
の出力特性を示すグラフ。
【図5】第1実施例における共振振動数調整処理による
共振振動数調整の様子を説明するために用いた、平面振
動の共振振動数とねじり振動の共振振動数との関係を表
わすグラフ。
【図6】実施例の共振振動数調整処理による効果を説明
するために用いた、平面振動の共振振動数fxとねじり
振動の共振振動数fzの振動数差△fとセンサ出力(出
力電圧)との関係を表わしたグラフ。
【図7】振動子10における音叉型振動体12とねじり
振動体14,15の位置関係等と平面振動およびねじり
振動の両共振振動数fx,fzの調整との関係を説明す
るためのねじり振動系を表わすモデル図。
【図8】ねじり振動体14,15の慣性モーメントJ1
と音叉型振動体12の慣性モーメントJ2 との関係を示
すグラフ。
【図9】音叉型振動体12とねじり振動体14,15と
の間隔L2 とねじり振動の固有振動数fの変動量との関
係を示すグラフ。
【図10】第2実施例の振動子10Aの概略斜視図。
【図11】図10の11−11線一部拡大断面図。
【図12】第3実施例の振動子100の上面からの概略
斜視図。
【図13】振動子100の下面からの概略斜視図。
【図14】図13の14−14線拡大断面図。
【図15】第4実施例の振動子100Aの上面からの概
略斜視図。
【図16】第4実施例の振動子100Aの下面からの概
略斜視図。
【図17】第5実施例の振動子100Bの上面からの概
略斜視図。
【図18】第5実施例の振動子100Bの下面からの概
略斜視図。
【図19】図18の19−19線拡大断面図。
【図20】第5実施例の振動子100Bをそのフレーム
と共に表わした概略斜視図。
【図21】第1実施例の振動子10の変形例における振
動子200の概略斜視図。
【図22】振動子の形状を変更した場合の変形例を示す
模式図。
【図23】振動子の形状を変更した場合の変形例を示す
模式図。
【図24】振動子の形状を変更した場合の変形例を示す
模式図。
【符号の説明】
10…振動子 10A…振動子 12…音叉型振動体 12a,12b…振動片 14,15…ねじり振動体 14a,15a…ねじり振動ビーム 14b,15b…質量調整体 16…トーションバー 18a,18b…振動励起用圧電体 20a,20b…ねじり振動検出用圧電体 40…励振側回路 50…検出側回路 100,100A,100B…振動子 112…音叉型振動体 112a,112b…振動片 114,115…ねじり振動体 114b,115b…振動調整用部位 116…トーションバー 121,123…正電極 122,124…負電極 127,128,129…ねじり振動検出用電極 135…正電極 136…負電極 140,141…ねじり振動検出用電極 150,151,152,153…フレーム上配線用電
極 154,155,156,157…ボンディング用電極 160,161,162,163…ボンディングワイヤ
ー 170,171…固定部 180…フレーム 180a,180b…枠体長片部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大▲桑▼ 政幸 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 塚田 厚志 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対となる第1の振動片と第2の振動片と
    を結合して音叉形状をなし、平面における所定の一方向
    に沿った振動を起こし得る音叉型振動体を、外部の固定
    部材に固定された支持体に支持して備える振動子であっ
    て、 前記固定された支持体と前記音叉型振動体とで前記支持
    体を中心とするねじり振動系を形成するよう、前記支持
    体を前記音叉型振動体の音叉形状股部において前記監査
    型振動体に結合して前記音叉型振動体を前記支持体に支
    持して備え、 更に、前記支持体に突出して設けられて前記ねじり振動
    系に付加され、該ねじり振動系に励起されたねじり振動
    に伴ってねじり振動を起こすねじり振動体を備え、 該ねじり振動体は、 前記支持体から突出して設けられたビームと、前記支持
    体から距離をおいて該ビームに設けられた質量体部とを
    有することを特徴とする振動子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の振動子の調整方法であっ
    て、 前記ねじり振動体の質量をビーム又は質量体部の少なく
    とも一方で増減することで、前記音叉型振動体の前記平
    面における振動の共振振動数と前記ねじり振動体のねじ
    り振動の共振周波数とを所定の関係に調整する工程を有
    する振動子の調整方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の振動子を用いて回転角速
    度を検出する角速度センサであって、 前記音叉型振動体を平面における所定の一方向に沿って
    励振する励振手段と、 前記ねじり振動体に発現したねじり振動の振動状態を検
    出し、該振動状態に応じた信号を出力するねじり振動検
    出手段とを備えることを特徴とする角速度センサ。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の振動子を用いて回転角速
    度を検出する角速度センサであって、 前記ねじり振動系において前記支持体を中心とするねじ
    り振動を励起するねじり振動励起手段と、 該励起されたねじり振動に伴って前記音叉型振動体が前
    記平面における所定の一方向に沿って振動した際の振動
    状態を検出し、該振動状態に応じた信号を出力する振動
    検出手段とを備えることを特徴とする角速度センサ。
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