JPH0848069A

JPH0848069A - 孔版印刷装置

Info

Publication number: JPH0848069A
Application number: JP6185791A
Authority: JP
Inventors: Yuji Sato; 有司佐藤
Original assignee: Riso Kagaku Corp
Current assignee: Riso Kagaku Corp
Priority date: 1994-08-08
Filing date: 1994-08-08
Publication date: 1996-02-20
Also published as: EP0696512A1; DE69505609D1; EP0696512B1; DE69505609T2; US5566612A

Abstract

(57)【要約】【目的】クランプ手段の開放時に孔版印刷用原紙の先端
部がカールして発生する排版ジャムを解消し、孔版印刷
用原紙の先端部を確実に排版部へ導く。【構成】回動自在のクランプ板５は、版胴２に巻かれた
孔版印刷用原紙Ｓの先端部をステージ部４上に固定す
る。ねじに枢支された***作部材81はばね83に付勢され
て原紙Ｓの巻装範囲内に設定される。ばね83の一端は原
紙Ｐの先端部近傍の側部を押さえる保持部材85である。
クランプ板が原紙Ｓを固定した状態では、クランプ板５
が***作部材81を外方に押すので、保持部材85は原紙Ｓ
から離れる。クランプ板５が開放されると、ばね83の付
勢力によって***作部材81が内方に移動し、保持部材85
は自由となった原紙Ｓの先端部近傍をステージ部４上に
押さえる。原紙Ｓが版胴２の外周面から離れる方向にカ
ールしていると、保持部材85が原紙Ｓを適当な浮き上が
り状態に維持する。原紙Ｓは確実に排版部に導かれる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、版胴の外周面に巻装し
た孔版印刷用原紙の先端部をクランプ手段で版胴側に係
止する構造の孔版印刷装置に関し、特にクランプ手段に
よる孔版印刷用原紙の開放時に該原紙の先端部が浮き上
がるのを防止し、その後に排版処理が円滑に行われるよ
うにした孔版印刷装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】製版装置を有する従来の一般的な孔版印
刷装置においては、版胴の外周面に巻き付けられた孔版
印刷用原紙の先端部は開閉自在なクランプ板によって係
止される。そして版胴の回転に同期して印刷用紙が搬送
され、版胴に巻かれた孔版印刷用原紙の穿孔部を介して
この印刷用紙にインキを転写することにより印刷が行わ
れる。

【０００３】次の新たな原稿によって製版印刷処理を行
う場合には、現在版胴の外周面に巻き付けられている孔
版印刷用原紙を剥ぎ取り、剥ぎ取った使用済みの孔版印
刷用原紙を排版原紙収納部へ搬送して廃棄する所謂排版
処理が成される。この排版処理は、例えば次のように行
われる。まず前記クランプ板を開放して孔版印刷用原紙
の係止を解除する。この状態で版胴を回転し、版胴の外
周面から浮き上がった孔版印刷用原紙の先端部と版胴と
の間に排版位置において排版爪を挿入する。これによっ
て孔版印刷用原紙の先端部はローラ対間に導かれ、孔版
印刷用原紙はローラ対の回転駆動によって版胴から剥ぎ
取られ、排版原紙収納部に搬送されて廃棄される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前述した従来の一般的
な孔版印刷装置において、版胴に巻装されている孔版印
刷用原紙は、版胴の軸線方向に略平行な縁辺を有する先
端部を、版胴の軸線方向に平行な軸を中心に回動する開
閉自在なクランプ板によって係止されている。また、版
胴の回転方向について遅れ側の部分に位置する孔版印刷
用原紙の大部分は、版胴の開口部から供給されているイ
ンキの粘着力で版胴の外周面に保持されている。

【０００５】従ってクランプ板が開放されて孔版印刷用
原紙の先端部の保持が解除されると、孔版印刷用原紙の
内、その先端部から版胴の開口部までに位置する部分は
自由な状態となる。そして自由となった孔版印刷用原紙
のこの部分は、版胴の外周面から離れる方向にカールす
る（上カール）か、または版胴の外周面に近づく内側に
向けてカールする（下カール）。

【０００６】自由となった孔版印刷用原紙の先端部がい
ずれの向きにカールするかは、次に説明する幾つかの条
件によって定まる。まず、孔版印刷用原紙は一般にロー
ル状で供給されるが、その孔版印刷用原紙の巻き状態が
前記カールの方向を決める。孔版印刷用原紙は熱可塑性
合成樹脂フィルムと多孔性支持体の重合体であるが、こ
れをロール状に巻いた時に、最外周面に現れる部分が熱
可塑性合成樹脂フィルムか多孔性支持体かによって前記
カールの方向が定まるのである。また、前記カールの方
向を決める要因としては、温度、湿度の変化を挙げるこ
ともできる。

【０００７】前記上カールの度合いが大きい場合には、
この状態で版胴が回転しても、孔版印刷用原紙の先端部
を確実に前記ローラ対間に導くことは困難となり、排版
ミスが生じる原因となる。また、孔版印刷用原紙が上カ
ールした状態で排版処理のために版胴を回転させる場
合、孔版印刷用原紙の先端部から版胴の開口部までの長
さが長い程、また版胴の回転速度が速ければ速い程、風
圧による孔版印刷用原紙の先端部の浮き上がりが大きく
なり、孔版印刷用原紙の先端部を搬送手段であるローラ
対間に導くことが困難になる。

【０００８】また、下カールが大きい場合には、版胴と
孔版印刷用原紙の先端部との間には隙間ができないの
で、その先端部を排版爪によって搬送手段であるローラ
対間に導くことは困難であり、排版ジャムの原因とな
る。この下カールや静電気による孔版印刷用原紙の版胴
への貼り付きによる排版ジャムを解消するため、クラン
プ板の開放時に孔版印刷用原紙の先端部を持ち上げる隆
起部材が特公平４−６９０７３に記載されている。この
***部材はクランプ板の開閉に連動するものであり、ク
ランプ板を開いた時には孔版印刷用原紙の先端部近傍で
***して該先端部を版胴の外周面から強制的に持ち上げ
る。版胴の外周面と持ち上げられた孔版印刷用原紙の先
端部との間には隙間が生じ、これによって孔版印刷用原
紙の版胴への貼り付きが防止される。

【０００９】しかしながら、前記***部材の***動作に
よって孔版印刷用原紙の先端部は版胴の回転遅れ側にず
れ落ちてしまうので、版胴と孔版印刷用原紙の先端部と
の間に排版爪を挿入するだけの隙間を確保することがで
きなくなる。結果として、この***部材のみによる排版
ジャム対策も十分な効果を有するものとはなっていな
い。

【００１０】本願発明は、前記の点に鑑みてなされたも
ので、クランプ手段の開放時に孔版印刷用原紙の先端部
がカールして発生する排版ジャムを解消し、孔版印刷用
原紙の先端部を確実に排版部へ導くことができる孔版印
刷装置を提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載された孔
版印刷装置は、外周面に設けられた孔版印刷用原紙の穿
孔部を介してインキを印刷用紙に転写すべく回転駆動さ
れる円筒状の版胴と、前記版胴の外周面に設けられた孔
版印刷用原紙の先端部を係止するクランプ手段と、前記
版胴の外周面に設けられ、前記クランプ手段が前記孔版
印刷用原紙の係止を解除した際に該孔版印刷用原紙の先
端部の近傍を版胴側に保持する原紙押さえ手段とを有し
ている。

【００１２】請求項２に記載された孔版印刷装置は、外
周面に設けられた孔版印刷用原紙の穿孔部を介してイン
キを印刷用紙に転写すべく回転駆動される円筒状の版胴
と、前記版胴の外周面に設けられた孔版印刷用原紙の先
端部を係止するクランプ手段と、前記版胴の外周面に設
けられ、前記クランプ手段が前記孔版印刷用原紙の係止
を解除した際には該孔版印刷用原紙の先端部の近傍を版
胴側に保持し、前記クランプ手段が前記孔版印刷用原紙
を係止した際には前記保持を解除する原紙押さえ手段と
を有している。

【００１３】請求項３に記載された孔版印刷装置は、外
周面に設けられた孔版印刷用原紙の穿孔部を介してイン
キを印刷用紙に転写すべく回転駆動される円筒状の版胴
と、前記版胴の外周面に設けられた孔版印刷用原紙の先
端部を係止するクランプ手段と、前記版胴の外周面に設
けられ、前記クランプ手段が前記孔版印刷用原紙の係止
を解除した際には該孔版印刷用原紙の先端部の近傍を版
胴側に保持し、前記クランプ手段が前記孔版印刷用原紙
を係止した際には前記保持を解除する原紙押さえ手段
と、前記版胴の外周面に設けられ、前記クランプ手段が
前記孔版印刷用原紙の係止を解除した際に版胴の外周面
から外方に***して前記孔版印刷用原紙を版胴の外周面
から浮上させる***部材とを有している。

【００１４】請求項４に記載された孔版印刷装置は、請
求項３記載の孔版印刷装置において、前記クランプ手段
が、前記版胴の回転軸線に平行な該版胴の外周面上の軸
を中心に回動するクランプ板であることを特徴としてい
る。

【００１５】請求項５に記載された孔版印刷装置は、請
求項４記載の孔版印刷装置において、回動する前記クラ
ンプ板の端部に接触して移動するように前記版胴の外周
面に回動自在に設けられた***作部材と、前記クランプ
板が回動する範囲内に前記***作部材を設定する付勢部
材と、前記***作部材に設けられ、前記クランプ板が回
動する範囲内に該***作部材が設定されている場合に前
記孔版印刷用原紙の先端部の近傍を版胴側に保持する保
持部材とによって前記原紙押さえ手段が構成されてい
る。

【００１６】

【作用】孔版印刷用原紙の先端部を係止するクランプ手
段が開放されると、クランプ手段が版胴の外周面に係止
していた孔版印刷用原紙の先端部は自由となる。該先端
部が版胴の外周面から離れる方向にカールした場合、原
紙押さえ部材が該先端部の適当な浮き上がり状態を維持
するので、排版時の版胴の回転速度に影響されずに孔版
印刷用原紙の先端部を確実に搬送手段に導くことができ
る。また、前記先端部が版胴の外周面に接近する方向に
カールした場合、***部材によって孔版印刷用原紙の先
端部を浮き上がらせても、該先端部近傍は原紙押さえ部
材により版胴の外周面に押さえつけられているので、隆
起部材の***動作による孔版印刷用原紙の版胴回転遅れ
側へのずれ落ちは防止される。よって、版胴の外周面と
孔版印刷用原紙との間には排版爪を挿入するだけの隙間
が確実に形成され、孔版印刷用原紙の先端部は確実に搬
送手段へ導かれる。

【００１７】

【実施例】本発明の一実施例を図１〜図７を参照して詳
細に説明する。図１は、本発明の孔版印刷装置１の一実
施例を示している。この孔版印刷装置１は、原稿画像読
み取り部２０と、感熱式の製版部３０と、孔版印刷機構
部４０と、排版部５０と、給紙部６０と、排紙部７０と
を有している。

【００１８】図１に示すように、原稿画像読み取り部２
０は、印刷すべき原稿が載置される原稿セット台２１
と、原稿セット台２１に載置された原稿を搬送する原稿
搬送ローラ対２２と、原稿の画像を光学的に読み取り、
これを電気信号に変換する、例えば密着型のイメージセ
ンサ２３と、画像が読み取られた原稿を積載する原稿排
出トレー２４とを有している。

【００１９】図１に示すように、製版部３０は、図面に
おいて紙面に垂直な方向に整列した複数個の発熱体を備
えたサーマルヘッド３１と、サーマルヘッド３１に対向
して設けられたプラテンローラ３２を有しており、ロー
ル体Ｒから繰り出された孔版印刷用原紙Ｓに感熱式に穿
孔製版を施して後述する版胴２側に搬送することができ
る。サーマルヘッド３１及びプラテンローラ３２の隣に
は、上下一対の原稿搬送ローラ対３３と、製版済の孔版
印刷用原紙Ｓを一版分ごとに切断する上下に対をなす固
定刃３４と可動刃３５からなる原紙カッタ３６と、製版
済みの孔版印刷用原紙Ｓを後述する版胴２のクランプ部
へ搬送ガイドする原紙案内下板３７と原紙案内上板３８
とからなる原紙案内板３９とが設けられている。

【００２０】図１に示すように、孔版印刷機構部４０
は、自身の中心軸線の周りに回転可能でありインキ通過
領域を有する円筒状の版胴２を有している。版胴２はメ
インモータ３によって図１にて時計廻り方向へ回転駆動
される。版胴２のインキ不通過領域の外周面部には、ス
テージ部４と、このステージ部４と共働して孔版印刷用
原紙の一端を係止するクランプ板５とからなるクランプ
手段としての原紙クランプ部６が設けられている。クラ
ンプ板５は、ステージ部４上において略１８０°回動
し、孔版印刷用原紙Ｓの先端部を選択的に係止し又は開
放する。

【００２１】版胴２の内部には、スキージローラ７とド
クタロッド８とを含むインキ供給機構部９が設けられて
おり、版胴２の内周面にインキを供給することができ
る。版胴２の下方にはプレスローラ１０が上下動自在に
設けられている。該プレスローラ１０は、版胴２の回転
に同期して版胴２との間に供給されてきた印刷用紙Ｐを
版胴２の外周面に押し付け、版胴２のインキ通過領域及
び孔版印刷用原紙Ｓの穿孔部を介して供給されるインキ
を印刷用紙Ｐに転写させる。

【００２２】図１に示すように、排版部５０は排版爪５
１を有している。排版爪５１は軸５２によって枢支され
ており、その基端部には排版爪駆動用ソレノイド５３が
連動連結されている。排版爪駆動用ソレノイド５３を駆
動すれば、排版爪５１は軸５２を中心として所定角度範
囲内で回転駆動される。即ち、排版爪５１の先端部が、
版胴２の表面に近接した孔版印刷用原紙Ｓの剥ぎ取り位
置と、版胴２から所定距離離れた待機位置との間で移動
するように、排版爪５１は駆動される。剥ぎ取り位置に
おいて版胴２から剥ぎ取られた孔版印刷用原紙Ｓは、版
胴２から離れる方向（図１中右方向）に導かれる。

【００２３】排版爪５１が版胴２から剥ぎ取った孔版印
刷用原紙Ｓが導かれる排版爪５１の右方には、該孔版印
刷用原紙Ｓを搬送する上ローラ５４と下ローラ５５とか
らなる排版ローラ対５６が設けられている。排版ローラ
対５６による搬送方向の隣部には、排版ローラ対５６に
より搬送されてきた使用済み孔版印刷用原紙Ｓを廃棄、
収納する排版収納箱５７が設けられている。

【００２４】給紙部６０は、印刷用紙Ｐが積載されて不
図示の上下動機構により上下動される給紙台６１と、給
紙台６１より印刷用紙Ｐを一枚ずつ取り出すピックアッ
プローラ６２と、メインモータ３の回転をピックアップ
ローラ６２に断続的に伝達する給紙クラッチ６３と、印
刷用紙Ｐを版胴２とプレスローラ１０との間へ所定のタ
イミングをもって送り出す用紙搬送ローラ対６４とを有
している。

【００２５】排紙部７０は、印刷済みの印刷用紙Ｐを版
胴２から分離する分離爪７１と、分離爪７１により版胴
２から剥がされた印刷済みの印刷用紙Ｐを排紙台７２に
搬送するためのベルトコンベア式の排紙搬送装置７３と
を有している。

【００２６】ここで、図２〜図７を参照して前記版胴２
の構造をさらに詳細に説明する。版胴２は、円筒形の周
壁１１の開口した両端部に剛性を有する一対のフランジ
１２，１３が挿入され、周壁１１と両フランジ１２，１
３がねじ等の固定手段によって固定された構造とされて
おり、全体として円筒形状が保持されている。図示して
いないが、円筒形状が保持されている版胴２の外周面に
は、版胴２の内周面から供給されたインキを均一に分散
させるための１枚乃至は２枚のスクリーンが巻装されて
いる。

【００２７】版胴２の周壁１１は、多数の穴によって構
成されたインキ通過性の領域である矩形状の開口部Ｏ
と、インキ不通過性の領域である非開口部Ｎとを有して
いる。版胴２に孔版印刷用原紙Ｓを巻装すると、その穿
孔画像部分は開口部Ｏに対応する。従って、版胴２の内
部に設けられたインキ供給機構部９が印刷時に版胴２の
内面に供給するインキは、版胴２の開口部Ｏ及び孔版印
刷用原紙Ｓの穿孔画像部から外部に移行し、版胴２の外
周面に押しつけられる印刷用紙Ｐに転写される。

【００２８】版胴２の非開口部Ｎに対応する外周面に
は、版胴２の回転方向に並んだ二つの平坦面Ａ及びＢを
有するステージ部４がネジ等によって固定されている。
図２及び図４に示すように、版胴２の回転方向に並ぶ前
記平坦面Ａ，Ｂの間の領域には、版胴２の回転軸と平行
な方向に沿って、二種類の軸受１４，１５が並設されて
いる。前記クランプ板５の両端部には一対の枢軸１６，
１６が同軸に設けられている。これらの枢軸１６は前記
軸受け１４，１５にそれぞれ回転可能に支持されてお
り、クランプ板５はこの枢軸１６を中心に回動可能とさ
れている。

【００２９】図６に示すように、クランプ板５の一方の
枢軸１６の外方の端部にはギア１７が取り付けられてい
る。図１中に示すクランプソレノイド１８は、同図中に
示していない固定部材である本体フレーム側に取り付け
られている。該クランプソレノイド１８は、駆動ギア１
９ａと該駆動ギア１９ａの駆動源である不図示のモータ
とを有するクランプ駆動ユニット１９を上下動させるこ
とができ、該駆動ギア１９ａを前記枢軸１６のギア１７
に選択的に噛合させることができる。ギア１７に噛合っ
た状態で駆動ギア１９ａが回転駆動されることにより、
クランプ板５は版胴２のステージ部４上において略１８
０°回動する。即ち、製版部３から搬送されてきた製版
済みの孔版印刷用原紙Ｓの先端部をステージ部４と共働
して係止するクランプ位置（図１〜図３に示された位
置）と、このクランプ位置から略１８０°回動されたノ
ンクランプ位置との間で、クランプ板５は枢軸１６を中
心に回転駆動される。

【００３０】図４、図６及び図７に示すように、ステー
ジ部４の平坦面Ａには、複数の矩形の磁石板４０が一列
に固定されている。孔版印刷用原紙Ｓの先端部を挟んで
磁石板４０の上面にクランプ板５が吸着されれば、クラ
ンプ板５はクランプ位置に固定され、該孔版印刷用原紙
Ｓの先端部は版胴２の外周面に係止される。また、図２
に示すように、ステージ部４の平坦面Ｂには帯状の磁石
板４１が版胴２の母線方向に沿って設けられている。こ
の磁石板４１の上面にクランプ板５が吸着されれば、ク
ランプ板５は孔版印刷用原紙Ｓを係止しないアンクラン
プ位置に固定される。

【００３１】即ち、クランプ板５は、磁石板４０に磁気
的に吸着されて孔版印刷用原紙Ｓの先端部を保持する図
２及び図３に示すクランプ位置と、前記クランプ位置か
ら略１８０°回転変位して他方の磁石板４１に磁気的に
吸着される図４及び図５に示すアンクランプ位置との間
を回動することができる。

【００３２】前記ステージ部４上には、クランプ板５の
両端部の近傍であって、孔版印刷用原紙Ｓのクランプ領
域から外れた両位置に、それぞれ原紙押え手段８０，９
０が設けられている。原紙押え手段８０，９０は、クラ
ンプ板５が開放された時に、孔版印刷用原紙Ｓの先端近
傍の両側部を版胴２の外周面、本実施例ではステージ部
４の上面に押さえ付けるための部材である。

【００３３】まず図６に示す一方の原紙押さえ手段８０
を説明する。略Ｌ字状の板部材である***作部材８１
は、ねじ８２によってステージ部４に対して回動自在に
取り付けられている。このねじ８２には、付勢部材とし
てねじりコイルばね８３が取り付けられている。ねじり
コイルばね８３の一方の腕８３ａはフランジ１３に係止
しており、他方の腕８３ｂは***作部材８１の立片８４
に形成された溝部８４ａに係止している。従って、***
作部材８１は、ねじ８２を中心として版胴２の中央部に
向けて付勢されているが、図６に示すように、軸受１５
の一部に係合してそれ以上の回動が阻止されている。ね
じりコイルばね８３の他方の腕８３ｂの先端は輪状に形
成され、この部分が孔版印刷用原紙Ｓを押さえる保持部
材８５とされている。

【００３４】図６に示す状態では、クランプ板５は開状
態にあり、輪状に形成された保持部材８５は、孔版印刷
用原紙Ｓの先端部より版胴２の回転遅れ側に所定距離は
なれた孔版印刷用原紙Ｓの側部を、ステージ部４の上面
に押さえつけている。

【００３５】クランプ板５がクランプ位置に向けて回動
すると、フランジ１３側に位置するクランプ板５の端部
が、***作部材８１の立片８４に設けられた傾斜部８４
ｂに係合する。クランプ板５に押された***作部材８１
は、孔版印刷用原紙Ｓの側部から離れる外方向に回動さ
れる。このため、輪状に形成された保持部材８５もフラ
ンジ１３側に移動し、孔版印刷用原紙Ｓの側部から離れ
て孔版印刷用原紙Ｓの側部の押さえを解除する。

【００３６】保持部材８５を輪状に形成した理由を説明
する。保持部材８５が押さえる孔版印刷用原紙Ｓの側部
の押さえ位置と、その押さえ位置から離れた位置との間
を保持部材８５が移動する際、特に離れた位置から押さ
え位置に保持部材８５が移動する場合に、保持部材８５
の先端が孔版印刷用原紙Ｓの側部に引っ掛かり、該孔版
印刷用原紙Ｓを捲り上げることを防止するためである。
このような不都合を解決できる形状であれば、輪状以外
の形状でもよい。あるいは、例えば球状の樹脂等の他の
部材を前記腕８３ｂ，９３ｂの先端部に取り付けてもよ
い。

【００３７】次に図７に示す他方の原紙押さえ手段９０
を説明する。この原紙押さえ部材９０も、ねじ９２でス
テージ部４に回動自在に支持された***作部材９１を有
している。このねじ９２には、付勢部材としてねじりコ
イルばね９３が取り付けられている。ねじりコイルばね
９３の一方の腕９３ａは軸受１６に係止しており、他方
の腕９３ｂは***作部材９１の立片９４に形成された溝
部９４ａに係止している。従って、***作部材９１は、
ねじ９２を中心として版胴２の中央部に向けて付勢され
ているが、図７に示すように、***作部材９１の立片９
４に形成された係止部９４ｃがフランジ１２側に位置す
るステージ部４の側部に係合しており、それ以上の回動
が阻止されている。ねじりコイルばね９３の他方の腕９
３ｂの先端は輪状に形成され、この部分が孔版印刷用原
紙Ｓを押さえる保持部材９５とされている。

【００３８】図７に示す状態では、クランプ板５は開状
態にあり、輪状に形成された保持部材９５は、孔版印刷
用原紙Ｓの先端部より版胴２の回転遅れ側に所定距離は
なれた孔版印刷用原紙Ｓの側部を、ステージ部４の上面
に押さえつけている。

【００３９】クランプ板５がクランプ位置に向けて回動
すると、フランジ１２側に位置するクランプ板５の端部
が、***作部材９１の立片９４に設けられた傾斜部９４
ｂに係合する。クランプ板５に押された***作部材９１
は、孔版印刷用原紙Ｓの側部から離れる外方向に回動す
る。このため、輪状に形成された保持部材９５もフラン
ジ１２側に移動し、孔版印刷用原紙Ｓの側部から離れて
孔版印刷用原紙Ｓの側部の押さえを解除する。

【００４０】以上説明した一対の押さえ手段８０，９０
によれば、図２に示すようにクランプ板５がクランプ位
置にあり、ステージ部４のＡ面上に設けられた磁石板４
０とクランプ板５との間に孔版印刷用原紙Ｓの先端部が
クランプされている状態では、原紙押さえ手段８０，９
０の保持部材８５，９５による原紙押さえは解除されて
いる。

【００４１】クランプ板５がステージ部４の平坦面Ｂ上
に保持されている状態、即ちクランプ板５が孔版印刷用
原紙Ｓを開放しているアンクランプ位置にある場合に
は、図４、図６及び図７に示すように、原紙押さえ手段
の保持部材８５，９５が孔版印刷用原紙Ｓの先端部近傍
の両側部をステージ部４に押さえ付ける。

【００４２】前記ステージ部４上には、クランプ板５の
開閉動作に伴って機能する***部材１００が設けられて
いる。この***部材１００は、クランプ板５が開放され
た時に、孔版印刷用原紙Ｓの先端近傍をステージ部４上
から強制的に持ち上げ、以後に行われる孔版印刷用原紙
Ｓを版胴２から引き剥がす作業を容易に行わせるための
部材である。***部材１００は弾性を有するシート状の
部材であり、例えば厚さ０．５〜０．００５ｍｍ程度の
ポリエステルシートや、炭素繊維シート等を利用して構
成できる。

【００４３】図４及び図５に示すように、前記ステージ
部４の平坦面Ａには***部材１００の基部１０１が固定
されている。***部材１００の基部１０１は、版胴２の
軸線方向を長手方向とした帯状の部材であり、その長手
方向の長さは孔版印刷用原紙Ｓの幅に相当する寸法とさ
れている。***部材１００の基部１０１のクランプ板５
側の縁辺からは、複数本の細長い帯状の***部１０２が
一体に延設されている。帯状の各***部１０２は、複数
の磁石板の間隙に相当する位置に設けられている。ま
た、前記平坦面Ａ，Ｂの間のステージ部４上には、版胴
２の軸線に平行な軸１０３が設けられている。そして、
前記各***部１０２は軸１０３の下側を通って他方の磁
石板４１の側に導かれており、各***部１０２の先端部
はクランプ板５に固定されている。

【００４４】図２及び図３に示すように、クランプ板５
が磁石板４０に磁気的に吸着され、孔版印刷用原紙Ｓの
先端部がクランプ板５と磁石板４０に挟まれてステージ
部４に固定された時、***部１０２は磁石板４０，４０
の隙間に入り込み、クランプ板５とステージ部４の間に
固定された状態となる。

【００４５】図２及び図３に示す状態からクランプ板５
が約１８０°回動すると、図４及び図５に示すように、
クランプ板５は他方の磁石板４１に吸着され、孔版印刷
用原紙Ｓの固定が解除される。このようにクランプ板５
が孔版印刷用原紙Ｓを開放する方向に回動すると、前記
軸１０３を取り巻いている***部１０２は孔版印刷用原
紙Ｓの側に押し出される。***部１０２は基部１０１と
共にステージ部４に固定されているので、軸１０３を境
としてステージ部４の平坦面Ａ側において、***部１０
２は上方に湾曲した形状に浮き上がる。クランプ板５の
係止を解除された後、孔版印刷用原紙Ｓの先端部が静電
気その他の理由によって磁石板４０の上面に密着してい
ても、上方に***する***部１０２の動作によって該孔
版印刷用原紙Ｓは磁石板４０の上面から強制的に引き離
され、ステージ部４から浮き上がった状態となる。

【００４６】本実施例の孔版印刷装置１における排版動
作を説明する。孔版印刷用原紙Ｓは、その先端部をクラ
ンプ板５に固定され、版胴２に巻き付けられた状態で印
刷に供される。孔版印刷用原紙Ｓがクランプ板５に係止
された状態においては、原紙押さえ手段８０，９０の保
持部材８５，９５による原紙押さえは解除されているた
め、印刷処理に支障をきたすことはない。印刷終了後、
版胴２は図１に示す位置に位置決めされる。

【００４７】クランプソレノイド１８が作動し、クラン
プ駆動ユニット１９の駆動ギア１９ａがクランプ板５の
枢軸１６のギア１７にかみ合わされる。クランプ駆動ユ
ニット１９の駆動ギア１９ａが駆動され、それによって
ギア１７が回転駆動されると、孔版印刷用原紙Ｓを係止
していたクランプ板５は孔版印刷用原紙Ｓから離れる方
向に回動する。クランプ板５は磁石板４１に磁着し、孔
版印刷用原紙Ｓの係止は解除される。

【００４８】次に、版胴２が図１において時計回り方向
に回転する。版胴２の回転に同期して排版爪駆動用ソレ
ノイド５３が作動し、排版爪５１が版胴２に近接する方
向に移動して孔版印刷用原紙Ｓの剥ぎ取り位置に設定さ
れる。開放された孔版印刷用原紙Ｓの先端部が排版爪５
１に案内され、排版ローラ対５６に誘導される。版胴２
と排版ローラ対５６の回転によって孔版印刷用原紙Ｓは
版胴２から引き剥がされ、排版収納箱５７内に収納され
る。

【００４９】ここで、クランプ板５が開放された時の隆
起部材１００と原紙押さえ手段８０，９０の作用につい
て説明する。まず、クランプ板５の開放動作に伴って隆
起部１０２が***し、クランプ板５に係止されていた孔
版印刷用原紙Ｓの先端部は、たとえステージ部４に張り
付いていても、***部１０２に持ち上げられてステージ
部４から浮き上がった状態となる。

【００５０】また、クランプ板５が開放された状態にお
いては、図４、図６及び図７に示すように、原紙押さえ
手段８０，９０の保持部材８５，９５が孔版印刷用原紙
Ｓの先端部近傍の両側部をステージ部４に押さえ付け
る。

【００５１】従って、孔版印刷用原紙Ｓが版胴２の外周
面から離れる方向にカールしている場合（上カールして
いる場合）でも、この原紙押さえ手段８０，９０が孔版
印刷用原紙Ｓを適当な浮き上がり状態に維持する。この
ため、排版時の版胴２の回転速度に影響されることな
く、孔版印刷用原紙Ｓは確実に排版ローラ対５６に導か
れる。

【００５２】また、孔版印刷用原紙Ｓが版胴２の外周面
に近づく方向にカールしている場合（下カールしている
場合）には、***部１０２が孔版印刷用原紙Ｓの先端部
を浮き上がらせると、孔版印刷用原紙Ｓの先端部が版胴
２の回転方向と反対方向にずれ落ちてしまう場合があり
うる。しかしながら、本実施例では***部材１００と共
に原紙押さえ手段８０，９０が設けられているので、隆
起部１０２が孔版印刷用原紙Ｓの先端部を浮き上がらせ
た時に、その先端部の近傍は原紙押さえ手段８０，９０
によって版胴２の外周面に押さえ付けられる。従って、
前記孔版印刷用原紙Ｓのずれ落ちは防止され、版胴２と
孔版印刷用原紙Ｓの間には排版爪５１を挿入できるだけ
の隙間が確実に形成される。よって、孔版印刷用原紙Ｓ
の先端部は確実に排版ローラ対５６に導かれる。尚、原
紙押さえ手段８０，９０の保持部材８５，９５が孔版印
刷用原紙Ｓの先端部の近傍を押さえる位置は、***部１
０２の基端部と開口部Ｏとの間であって***部１０２の
***を阻害しない位置に設定される。

【００５３】

【発明の効果】本発明の孔版印刷装置は、版胴に巻装さ
れた孔版印刷用原紙の先端部を係止するクランプ手段が
開放された時に、該先端部の近傍を版胴側に保持する原
紙押さえ手段を有している。

【００５４】このため、本発明によれば、クランプ手段
の開放時に孔版印刷用原紙の先端部がカールして発生す
る排版ジャムが解消され、孔版印刷用原紙の先端部を確
実に排版部へ導くことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】一実施例の孔版印刷装置の全体構成を示す模式
的な断面図である。

【図２】一実施例の孔版印刷装置の版胴において、クラ
ンプ板が孔版印刷用原紙を係止した状態を示す平面図で
ある。

【図３】図２のＡ−Ａ切断線における断面図である。

【図４】一実施例の孔版印刷装置の版胴において、クラ
ンプ板が孔版印刷用原紙を開放した状態を示す平面図で
ある。

【図５】図４のＢ−Ｂ切断線における断面図である。

【図６】一実施例の孔版印刷装置の版胴の一部を示す斜
視図である。

【図７】一実施例の孔版印刷装置の版胴の一部を示す斜
視図である。

【符号の説明】

１孔版印刷装置２版胴５クランプ板６クランプ手段としてのクランプ部８０，９０原紙押さえ手段８１，９１ ***作部材８３，９３付勢部材としてのねじりコイルばね８５，９５保持部材Ｐ孔版印刷用原紙Ｓ印刷用紙

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】外周面に設けられた孔版印刷用原紙の穿
孔部を介してインキを印刷用紙に転写すべく回転駆動さ
れる円筒状の版胴と、前記版胴の外周面に設けられた孔
版印刷用原紙の先端部を係止するクランプ手段と、前記
版胴の外周面に設けられ、前記クランプ手段が前記孔版
印刷用原紙の係止を解除した際に該孔版印刷用原紙の先
端部の近傍を版胴側に保持する原紙押さえ手段とを有す
る孔版印刷装置。
【請求項２】外周面に設けられた孔版印刷用原紙の穿
孔部を介してインキを印刷用紙に転写すべく回転駆動さ
れる円筒状の版胴と、前記版胴の外周面に設けられた孔
版印刷用原紙の先端部を係止するクランプ手段と、前記
版胴の外周面に設けられ、前記クランプ手段が前記孔版
印刷用原紙の係止を解除した際には該孔版印刷用原紙の
先端部の近傍を版胴側に保持し、前記クランプ手段が前
記孔版印刷用原紙を係止した際には前記保持を解除する
原紙押さえ手段とを有する孔版印刷装置。
【請求項３】外周面に設けられた孔版印刷用原紙の穿
孔部を介してインキを印刷用紙に転写すべく回転駆動さ
れる円筒状の版胴と、前記版胴の外周面に設けられた孔
版印刷用原紙の先端部を係止するクランプ手段と、前記
版胴の外周面に設けられ、前記クランプ手段が前記孔版
印刷用原紙の係止を解除した際には該孔版印刷用原紙の
先端部の近傍を版胴側に保持し、前記クランプ手段が前
記孔版印刷用原紙を係止した際には前記保持を解除する
原紙押さえ手段と、前記版胴の外周面に設けられ、前記
クランプ手段が前記孔版印刷用原紙の係止を解除した際
に版胴の外周面から外方に***して前記孔版印刷用原紙
を版胴の外周面から浮上させる***部材とを有する孔版
印刷装置。
【請求項４】前記クランプ手段が、前記版胴の回転軸
線に平行な該版胴の外周面上の軸を中心に回動するクラ
ンプ板である請求項３記載の孔版印刷装置。
【請求項５】回動する前記クランプ板の端部に接触し
て移動するように前記版胴の外周面に移動可能に設けら
れた***作部材と、前記クランプ板が回動する範囲内に
前記***作部材を設定する付勢部材と、前記***作部材
に設けられ、前記クランプ板が回動する範囲内に該***
作部材が設定されている場合に前記孔版印刷用原紙の先
端部の近傍を版胴側に保持する保持部材とによって前記
原紙押さえ手段が構成された請求項４記載の孔版印刷装
置。