JPH08326862A - トロイダル式無段変速機用転動体およびその製造方法 - Google Patents

トロイダル式無段変速機用転動体およびその製造方法

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JPH08326862A
JPH08326862A JP13231495A JP13231495A JPH08326862A JP H08326862 A JPH08326862 A JP H08326862A JP 13231495 A JP13231495 A JP 13231495A JP 13231495 A JP13231495 A JP 13231495A JP H08326862 A JPH08326862 A JP H08326862A
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rolling element
continuously variable
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steel
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JP13231495A
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English (en)
Inventor
Sadayuki Nakamura
村 貞 行 中
Tatsumi Urita
田 龍 実 瓜
Shinji Fushimi
見 慎 二 伏
Takashi Matsumoto
本 隆 松
Shunzo Umegaki
垣 俊 造 梅
Ikuo Tani
意公男 谷
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Daido Steel Co Ltd
Nissan Motor Co Ltd
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Daido Steel Co Ltd
Nissan Motor Co Ltd
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H15/00Gearings for conveying rotary motion with variable gear ratio, or for reversing rotary motion, by friction between rotary members
    • F16H15/02Gearings for conveying rotary motion with variable gear ratio, or for reversing rotary motion, by friction between rotary members without members having orbital motion
    • F16H15/04Gearings providing a continuous range of gear ratios
    • F16H15/06Gearings providing a continuous range of gear ratios in which a member A of uniform effective diameter mounted on a shaft may co-operate with different parts of a member B
    • F16H15/32Gearings providing a continuous range of gear ratios in which a member A of uniform effective diameter mounted on a shaft may co-operate with different parts of a member B in which the member B has a curved friction surface formed as a surface of a body of revolution generated by a curve which is neither a circular arc centered on its axis of revolution nor a straight line
    • F16H15/36Gearings providing a continuous range of gear ratios in which a member A of uniform effective diameter mounted on a shaft may co-operate with different parts of a member B in which the member B has a curved friction surface formed as a surface of a body of revolution generated by a curve which is neither a circular arc centered on its axis of revolution nor a straight line with concave friction surface, e.g. a hollow toroid surface
    • F16H15/38Gearings providing a continuous range of gear ratios in which a member A of uniform effective diameter mounted on a shaft may co-operate with different parts of a member B in which the member B has a curved friction surface formed as a surface of a body of revolution generated by a curve which is neither a circular arc centered on its axis of revolution nor a straight line with concave friction surface, e.g. a hollow toroid surface with two members B having hollow toroid surfaces opposite to each other, the member or members A being adjustably mounted between the surfaces
    • F16H2015/383Gearings providing a continuous range of gear ratios in which a member A of uniform effective diameter mounted on a shaft may co-operate with different parts of a member B in which the member B has a curved friction surface formed as a surface of a body of revolution generated by a curve which is neither a circular arc centered on its axis of revolution nor a straight line with concave friction surface, e.g. a hollow toroid surface with two members B having hollow toroid surfaces opposite to each other, the member or members A being adjustably mounted between the surfaces with two or more sets of toroid gearings arranged in parallel

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 転動疲労特性に優れたトロイダル式無段変速
機用転動体を生産性良く低コストで提供する。 【構成】 C:0.50〜0.80重量%、Mn:0.
50〜2.00重量%、P:0.040重量%以下、
S:0.040重量%以下を含み、場合によっては、S
i:0.25〜3.00重量%、V:0.05〜0.5
0重量%、Cr:2.00重量%以下を含み、残部Fe
および不純物よりなる鋼を素材として転動体形状に成形
したのち高周波焼入れ処理を施すことによって、転動疲
労特性に優れたトロイダル式無段変速機用転動体(入力
ディスク5,出力ディスク9,パワーローラー10)を
生産性良く低コストで製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車などの車両や回
転動力源等において、無段変速機として使用可能なトロ
イダル式(転がり式)無段変速機に関し、とくに、トロ
イダル式無段変速機を構成する転動体およびその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】変速機としては、歯車式のものが従来よ
り多方面でかつ大量に用いられ、歯車を成形するための
歯車用鋼として、JIS G 4051〜4202に制
定された機械構造用炭素鋼・合金鋼のうち、例えば、ク
ロム鋼であるSCr420や、クロムモリブデン鋼であ
るSCM420などの低合金鋼が用いられ、このような
機械構造用鋼を素材として歯車形状に成形したのち浸炭
あるいは窒化などの表面硬化処理を施して使われてき
た。
【0003】しかし、従来の歯車式有段変速機は、段階
的な変速であるため、動力伝達にロスが生じたり変速シ
ョックが発生したりするという欠点があった。
【0004】一方、無段変速機は、変速ショックがな
く、動力伝達性に優れていることから、実用化が種々検
討され、一部の乗用車には実用化されている(「新型車
解説書NISSAN マーチ」 平成4年1月 日産自
動車株式会社 編集発行 C−9頁〜C−48頁)。
【0005】無段変速機は大きく分けて、ベルトとプー
リーを組み合わせたベルトドライブ方式と転動体を用い
たトラクションドライブ方式とがある。前者は、伝達動
力の小さい場合について既に用いられている。トロイダ
ル式(転がり式)は後者の一つであり、高馬力に対応で
きる機構を有し、例えば、図1に示すように、潤滑油を
介して接触する金属製転動体を用いた構造を有するもの
であって、このトロイダル式無段変速機1は、入力軸2
に接続したローディングカム3および連結軸4を介して
一体で回転する入力ディスク5,5を備えていると共
に、歯車6,7を介して出力軸8を回転させる出力ディ
スク9,9をそなえ、入力ディスク5,5と出力ディス
ク9,9との間にパワーローラー10,10,10,1
0を設け、各パワーローラー10はボールベアリング1
1を介して各々支持体12により支持された構造を有す
るものである。
【0006】そして、このトロイダル式無段変速機1で
は、入力ディスク5と出力ディスク9との間で挟まれた
パワーローラー10の傾きを変化させ、入出力ディスク
5,9の相対回転速度を変えて変速しつつ、入力軸2か
ら出力軸8へと動力を伝達する仕組みになっている(特
開平1−229158号公報など)。
【0007】このような無段変速機においては、大きな
動力を伝達するため、トロイダル式無段変速機1の転動
体(入出力ディスク5,9,パワーローラー10)は、
高面圧下での転動疲労寿命に優れる高い表面硬度と深い
硬化層深さを得ることができるような材料と製造方法が
要求される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のトロイダル式無段変速機用転動体にあって
は、高面圧下での転動疲労寿命をもたせるため、従来の
浸炭用鋼を用い、長時間に渡る浸炭焼入れ焼もどし処理
を行っている(例えば、特開平7−71555号等)。
そのため、生産性が非常に悪く、コストアップを招いて
しまうという問題点があった。
【0009】また、深い硬化層を得る処理においては、
表面近傍に粒界酸化層が深くまで成長してしまうことか
ら、粒界酸化層を起点とした割れが発生しやすくなると
いう問題点があった。
【0010】一方、硬化層が浅い場合には、高い面圧に
より陥没してしまい、転動面に剥離が生じ、逆に、硬化
層が深すぎる場合、肉厚の薄い部分にあっては、内部ま
で硬化されているため、曲げ応力による割れが発生しや
すくなるという問題点があった。また、表面硬さが低い
場合、転動体表面が変形してしまうことがあるという問
題点があった。さらに、転動体は、摩擦および繰返し応
力による発熱を受けることから、軟化しやすいという問
題点があった。
【0011】
【発明の目的】本発明は、このような従来の問題点に着
目してなされ、転動疲労寿命に優れたトロイダル式無段
変速機用転動体およびその製造方法を提供することを目
的としてなされたものであって、従来におけるような浸
炭による粒界酸化の発生を防止し、粒界酸化層を起点と
した割れが生じないようにすると共に、短時間で深い硬
化層を得ることができる高周波焼入れを適用し、摩擦熱
による軟化を防止するための合金設計を行うことによっ
て、転動疲労特性に優れたトロイダル式無段変速機用転
動体を生産性良く低コストで提供できるようにすること
を目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるトロイダ
ル式無段変速機用転動体は、請求項1に記載しているよ
うに、C:0.50〜0.80重量%、Mn:0.50
〜2.00重量%、P:0.040重量%以下、S:
0.040重量%以下を含み、残部Feおよび不純物よ
りなる鋼で成形されている構成としたことを特徴として
いる。
【0013】そして、本発明に係わるトロイダル式無段
変速機用転動体は、請求項2に記載しているように、鋼
中にSi:0.25〜3.00重量%を含む鋼で成形さ
れているものとしたり、請求項3に記載しているよう
に、鋼中にV:0.05〜0.50重量%を含む鋼で成
形されているものとしたり、請求項4に記載しているよ
うに、鋼中にCr:2.00重量%以下を含む鋼で成形
されているものとしたりすることができ、請求項5に記
載しているように、請求項1ないし4のいずれかに記載
のトロイダル式無段変速機用転動体において高周波焼入
れ処理による表面硬化層が形成されているものとするこ
とが可能である。
【0014】また、本発明に係わるトロイダル式無段変
速機用転動体の製造方法は、請求項6に記載しているよ
うに、C:0.50〜0.80重量%、Mn:0.50
〜2.00重量%、P:0.040重量%以下、S:
0.040重量%以下を含み、残部Feおよび不純物よ
りなる鋼を素材として転動体形状に成形したのち高周波
焼入れ処理を施すようにした構成としたことを特徴とし
ている。
【0015】そして、本発明に係わるトロイダル式無段
変速機用転動体の製造方法の実施態様においては、請求
項7に記載しているように、鋼中にSi:0.25〜
3.00重量%を含む鋼を素材として転動体形状に成形
するようにしたり、請求項8に記載しているように、鋼
中にV:0.05〜0.50重量%を含む鋼を素材とし
て転動体形状に成形するようにしたり、請求項9に記載
しているように、鋼中にCr:2.00重量%以下を含
む鋼を素材として転動体形状に成形したりするようにな
すことができる。
【0016】
【発明の作用】本発明に係わるトロイダル式無段変速機
用転動体は、請求項1に記載しているように、C:0.
50〜0.80重量%、Mn:0.50〜2.00重量
%、P:0.040重量%以下、S:0.040重量%
以下を含み、残部Feおよび不純物よりなる鋼で成形さ
れている構成としたことを特徴とするものであり、本発
明に係わるトロイダル式無段変速機用転動体の製造方法
は、請求項6に記載しているように、C:0.50〜
0.80重量%、Mn:0.50〜2.00重量%、
P:0.040重量%以下、S:0.040重量%以下
を含み、残部Feおよび不純物よりなる鋼を素材として
転動体形状に成形したのち高周波焼入れ処理を施す構成
としたことを特徴とするものであるが、ここにおける各
成分の作用および含有量の限定理由は次に示すとおりで
ある。
【0017】C:0.50〜0.80重量% C(炭素)は、転動体の強度を十分良好なものとする作
用をする元素であり、とくに、高周波焼入れ後において
転動体の強度を十分なものに保持するために必須の元素
である。そして、高周波焼入れ後の表面硬度を維持する
ためには0.50%重量%以上含有させることが必要で
ある。
【0018】しかし、Cの含有量がFe−C系状態図に
おける0.80重量%の共析点を超えて含有させるとむ
しろ表面硬度が低下し、強度向上の劣化を招くこととな
る。また、初析セメンタイトが生成して靭性を損うばか
りでなく、素材状態における材料硬度を高め、被削性を
低下させて、転動体への成形性を悪化させるなどの弊害
をもたらすこととなるので、C含有量の上限を0.80
重量%とする。
【0019】Mn:0.50〜2.00重量% Mn(マンガン)は、鋼溶製時の脱酸剤・脱硫剤として
作用すると共に、鋼の熱間加工性を向上し、焼入れ性を
良好なものとする作用を有する元素であるので、このよ
うな熱間加工性の向上および良好な焼入れ性の確保のた
めに0.50重量%以上含有させる。
【0020】しかし、過剰に含有させると素材の被削性
を劣化させ、転動体への成形性を悪化させるなどの弊害
をもたらすこととなるので、Mn含有量の上限を2.0
0重量%とする。
【0021】P:0.040重量%以下 P(燐)は、鋼の靭性を低下させるので、0.040重
量%以下に制限する。
【0022】S:0.040重量%以下 S(いおう)は、鋼の加工性や靭性を低下させる作用を
有しているので、0.040重量%以下に制限する。
【0023】Fe:残部 Fe(鉄)は、高強度・高靭性の転動体を安価に得るた
めのマトリックス成分として有用な元素であるので残部
としている。
【0024】本発明に係わるトロイダル式無段変速機用
転動体およびその製造方法では、さらに、鋼中に次の成
分を含有させたものとすることができる。
【0025】Si:0.25〜3.00重量% Si(ケイ素)は、鋼溶製時の脱酸剤として作用すると
共に、鋼の焼戻し軟化抵抗を増大させる作用を有する元
素であり、このような作用・効果を十分に発揮させるた
めには0.25重量%以上含有させることが必要であ
る。しかし、過剰に含有させてもその効果が飽和するの
みならず、鍛造性および被削性を損なうなどの不具合を
もたらすので、Si含有量の上限は3.00重量%とす
るのがよく、請求項2,7に記載しているように、鋼中
にSi:0.25〜3.00重量%含有させたものとす
ることができる。
【0026】V:0.05〜0.50重量% V(バナジウム)は、鋼の結晶粒界を微細化する作用を
有し、強度および靭性の向上に寄与する元素であると共
に、転動疲労によって短寿命で破壊を生じる現象を阻止
するのに有効な元素であるので、このような作用・効果
を得るためには0.05重量%以上含有させることが必
要である。しかし、過剰に含有させてもその効果は飽和
するので、V含有量の上限は0.50重量%とするのが
よく、請求項3,8に記載しているように、鋼中にV:
0.05〜0.50重量%含有させたものとすることが
できる。
【0027】Cr:2.00重量%以下 Cr(クロム)は、鋼の焼入れ性を向上し、焼戻し軟化
抵抗を増大させる作用を有しているので、このような作
用を有するCrを含有させることもできる。しかし、過
剰に含有させてもその効果は飽和するので、Cr含有量
の上限は2.00重量%とするのがよく、請求項4,9
に記載しているように、鋼中にCr:2.00重量%以
下含有させたものとすることができる。
【0028】そして、本発明に係わるトロイダル式無段
変速機用転動体では、請求項5に記載しているように、
高周波焼入れ処理による硬化層が形成されているものと
しており、本発明に係わるトロイダル式無段変速機用転
動体の製造方法では、請求項6に記載しているように、
上記成分組成の鋼を素材として転動体形状に成形したの
ち高周波焼入れ処理を施すようにしているが、この高周
波焼入れ処理における誘電体(コイル)形状,電力,周
波数,加熱速度,加熱温度,加熱時間,冷却方法および
冷却剤,ならびにその後の焼もどし方法等は適宜に選定
することが可能である。
【0029】かくして、浸炭処理による粒界酸化の防止
をはかると共に、短時間で深い硬化層が得られる高周波
焼入れを適用し、摩擦熱による軟化を防止するための合
金設計をすることにより、転動疲労特性に優れたトロイ
ダル式無段変速機用転動体が生産性良く低コストで提供
されることとなる。
【0030】
【実施例】図1に示した構造のトロイダル式無段変速機
1の構成部品である入力ディスク5,出力ディスク9お
よびパワーローラー10よりなる金属製転動体を製造す
るに際し、表1の実施例4に示す化学成分の鋼を素材と
して使用した。
【0031】そして、実施例4の鋼を素材としてそれぞ
れの転動体形状に機械加工を行って成形すると共に、転
動疲労寿命試験のために用いるローラーピッチング試験
片形状に機械加工を行って成形した。
【0032】次いで、各転動体形状品およびローラーピ
ッチング試験片形状品に対して表3に示す高周波焼入れ
条件で高周波焼入れを実施し、その後170℃×2時間
の焼もどし処理を施して、研磨による仕上げ加工を行っ
た。
【0033】なお、表3に示す高周波焼入れ条件におい
て、ディスクA面とは、図2に示す入力ディスク5およ
び出力ディスク9における裏面および穴面側の面であ
り、ディスクB面とは、同じく図2における転動面側の
面である。また、パワーローラーA面とは、図3に示す
パワーローラー10における裏面および穴面側の面であ
り、パワーローラーB面とは、同じく図3における転動
面側の面である。そして、高周波焼入れに際しては、先
ず、A面(裏面および穴面)に合わせた形状のコイルで
加熱焼入れし、次いで、B面(転動面)を焼入れすると
いう2回に分けた焼入れ工法とした。そして、B面を焼
入れするときには、A面が誘導加熱の伝導熱で焼なまし
されないように十分に冷却を行った。
【0034】このようにして、高周波焼入れ・焼もどし
処理を実施した後において、ディスク5,9の断面にお
ける硬度分布を測定したところ、図4に示す結果であっ
た。この場合、測定位置は、図4の矢印方向とし、この
矢印方向における表面からの距離と硬度との関係を図4
に示した。
【0035】また、高周波焼入れ・焼もどし処理を実施
した後におけるディスク5,9の表面硬度(HV)およ
び( )内に示す有効硬化層深さ(mm)は、図5に示
す結果であり、同じく、パワーローラー10の表面硬度
(HV)および( )内に示す有効硬化層深さ(mm)
は、図6に示す結果であった。
【0036】次に、前記実施例4の鋼を用いた場合と同
様にして、実施例1〜3,5〜7および比較例2〜9の
鋼を素材としてそれぞれの転動体形状に機械加工により
成形すると共にローラーピッチング試験片形状に機械加
工により成形し、表3に示す高周波焼入れ条件で高周波
焼入れを実施し、その後170℃×2時間の焼もどし処
理を施して、研磨による仕上げ加工を行った。
【0037】また、比較例1の組成よりなる浸炭用鋼
(SCM420H鋼)を素材として転動体形状およびロ
ーラーピッチング試験片形状に成形したのち、40時間
の浸炭および拡散焼入れを施して、研磨による仕上げ加
工を行った。
【0038】このようにして得た実施例1〜7および比
較例1〜9の転動体について、表面硬化処理後の表面硬
度(HV),300℃×1時間焼もどし後の表面焼もど
し硬度,最大せん断応力発生位置(表面下0.8mm)
の硬度,内部硬さおよび有効硬化層深さを調べたとこ
ろ、表4および表5に示す結果であった。
【0039】また、図7に示すように、小ローラー21
aをそなえたローラーピッチング試験片21の小ローラ
ー21aと大ローラー21とを転動させ、大ローラー2
1に荷重を加えて表6に示す条件でローラーピッチング
試験を行い、表面剥離が発生するまでの寿命を測定し
た。この結果を表8のローラーピッチング試験寿命の欄
に示す。
【0040】さらに、各転動体を図1に示したユニット
に組み込んで、表7に示す条件で実機耐久試験を行い、
表面剥離が発生するまでの寿命を測定した。この結果を
表8の実機試験寿命の欄に示す。
【0041】さらに、各転動体への加工性を評価するた
めに、表9に示す旋削試験条件で旋削試験を行ったとこ
ろ、表10に示す被削性特性の結果が得られた。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】
【表7】
【0049】
【表8】
【0050】
【表9】
【0051】
【表10】
【0052】表4および表5に示すように、実施例1〜
7の内部硬さは、比較例1(浸炭用鋼を素材としたも
の)の内部硬さに比較して、実施例1〜3では約HV1
00程度、実施例4〜7では約HV50程度低いほか
は、すべてにおいて同等であるかむしろそれを上回って
いる。すなわち、表面での硬さが大であると共に内部で
の硬さが適度にやわらかいものとなっており、表8に示
すように寿命特性が良好であると共に、表10に示すよ
うに被削性も良好なものとなっていた。
【0053】これに対して、比較例2の場合には、鋼中
のC含有量が少なすぎるため、表5に示すように表面,
内部および300℃焼もどしの硬さが低いものとなって
おり、表10に示すように被削性は良好であるものの、
表8に示すように寿命特性に劣るものとなっていた。
【0054】また、比較例3の場合には、鋼中のC含有
量が多すぎるため、表5に示すように硬さ特性は良好で
ありかつまた表8に示すように寿命特性は良好であるも
のの、表10に示すように被削性が劣っており、旋削性
が約35%低下しているため量産の面で問題が発生し
た。
【0055】さらに、比較例4の場合は、Si含有量が
少なすぎるため、表5に示すように300℃焼もどし硬
さが低く、表8に示すように耐久寿命は低下したものと
なっていた。
【0056】また、比較例5の場合は、Si含有量が多
すぎるため、硬さ特性や寿命特性は良好であるものの、
表10に示すように被削性に劣ったものとなっており、
旋削性が約30%低下しているため量産の面で問題が発
生した。
【0057】さらに、比較例6の場合は、Mn含有量が
少なすぎるため、表5に示すように有効硬化層深さがや
や浅めであり、表8に示すように耐久寿命が劣ったもの
になっていた。
【0058】また、比較例7の場合は、Mn含有量が多
すぎるため、硬さ特性や寿命特性には優れているもの
の、表10に示すように被削性が劣ったものとなってお
り、旋削性が約25%低下していて、量産性の面で問題
があった。
【0059】さらにまた、比較例8の場合は、V含有量
が少なすぎるため、硬さの点では問題はないものの、旧
オーステナイト結晶粒度がJIS Gc5.0と大きい
ため、表8に示すように寿命特性は低下したものとなっ
ていた。
【0060】さらにまた、比較例9の場合は、V含有量
が多すぎるため、硬さや耐久寿命は良好なものとなるも
のの、材料コストが約30%高くなるため、コストの上
昇に見合う特性を得るようにする場合に問題があった。
【0061】このように、短時間で深い硬化層を得るこ
とができる高周波焼入れを適用し、かつまた、高周波焼
入れであっても硬化層パターンおよび各部の硬度,硬化
層深さが浸炭焼入れ品と同等かそれ以上のものを得るこ
とができる合金設計としたため、ローラーピッチング試
験寿命および実機耐久寿命とも長時間浸炭焼入れ品に比
べて著しく耐久寿命が向上するという良好なる結果を得
ることが可能であった。
【0062】そして、従来の浸炭焼入れ品に比べて、熱
処理コストを1/3〜1/4程度、また、浸炭+高周波
焼入れ品に比べても、熱処理コストを約30%程度低減
させることが可能であった。
【0063】
【発明の効果】本発明に係わるトロイダル式無段変速機
用転動体は、請求項1に記載しているように、C:0.
50〜0.80重量%、Mn:0.50〜2.00重量
%、P:0.040重量%以下、S:0.040重量%
以下を含み、残部Feおよび不純物よりなる鋼で成形さ
れている構成としたものであるから、転動疲労特性に優
れたトロイダル式無段変速機用転動体を生産性良く低コ
ストで提供することが可能であるという著しく優れた効
果がもたらされる。
【0064】そして、本発明に係わるトロイダル式無段
変速機用転動体の実施態様においては、請求項2に記載
しているように、鋼中にSi:0.25〜3.00重量
%を含む鋼で成形されているものとすることによって、
焼もどし軟化抵抗性を向上させることができ、焼もどし
後の表面硬さの低下を防止することが可能であり、請求
項3に記載しているように、鋼中にV:0.05〜0.
50重量%を含む鋼で成形されているものとすることに
よって、強度および靭性をさらに向上させることが可能
であって、転動疲労特性をより一層向上させることが可
能であり、請求項4に記載しているように、鋼中にC
r:2.00重量%以下を含む鋼で成形されているもの
とすることによって、焼入れ性を向上し、焼もどし軟化
抵抗性を増大させることが可能であり、請求項5に記載
しているように、高周波焼入れ処理による硬化層が形成
されているものとすることによって、転動疲労特性の良
好なトロイダル式無段変速機用転動体を低コストで提供
することが可能であるという著しく優れた効果がもたら
される。
【0065】本発明に係わるトロイダル式無段変速機用
転動体の製造方法によれば、請求項6に記載しているよ
うに、C:0.50〜0.80重量%、Mn:0.50
〜2.00重量%、P:0.040重量%以下、S:
0.040重量%以下を含み、さらに請求項7に記載し
ているように鋼中にSi:0.25〜3.00重量%含
み、請求項8に記載しているように鋼中にV:0.05
〜0.50重量%含み、請求項9に記載しているように
鋼中にCr:2.00重量%以下含み、残部Feおよび
不純物よりなる鋼を素材として転動体形状に成形したの
ち高周波焼入れ処理を施すようにしたから、転動疲労特
性に優れたトロイダル式無段変速機用転動体を生産性良
く低コストで製造することが可能であるという著しく優
れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トロイダル式無段変速機の基本構成を示す断面
説明図である。
【図2】入力ディスクおよび出力ディスクの高周波焼入
れ面(A面,B面)を示す説明図である。
【図3】パワーローラーの高周波焼入れ面(A面,B
面)を示す説明図である。
【図4】高周波焼入れ後における入・出力ディスクの表
面からの距離と硬度との関係を例示するグラフである。
【図5】高周波焼入れ後における入・出力ディスクの表
面硬度および有効硬化層深さ(かっこ内)を示す説明図
である。
【図6】高周波焼入れ後におけるパワーローラーの表面
硬度および有効硬化層深さ(かっこ内)を示す説明図で
ある。
【図7】ローラーピッチング試験の概要を示す説明図で
ある。
【符号の説明】
1 トロイダル式無段変速機 2 入力軸 5 入力ディスク 8 出力軸 9 出力ディスク 10 パワーローラー
フロントページの続き (72)発明者 伏 見 慎 二 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 松 本 隆 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 梅 垣 俊 造 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 谷 意公男 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.50〜0.80重量%、Mn:
    0.50〜2.00重量%、P:0.040重量%以
    下、S:0.040重量%以下を含み、残部Feおよび
    不純物よりなる鋼で成形されていることを特徴とするト
    ロイダル式無段変速機用転動体。
  2. 【請求項2】 鋼中にSi:0.25〜3.00重量%
    を含む鋼で成形されていることを特徴とする請求項1に
    記載のトロイダル式無段変速機用転動体。
  3. 【請求項3】 鋼中にV:0.05〜0.50重量%を
    含む鋼で成形されていることを特徴とする請求項1また
    は2に記載のトロイダル式無段変速機用転動体。
  4. 【請求項4】 鋼中にCr:2.00重量%以下を含む
    鋼で成形されていることを特徴とする請求項1ないし3
    のいずれかに記載のトロイダル式無段変速機用転動体。
  5. 【請求項5】 高周波焼入れ処理による硬化層が形成さ
    れていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか
    に記載のトロイダル式無段変速機用転動体。
  6. 【請求項6】 C:0.50〜0.80重量%、Mn:
    0.50〜2.00重量%、P:0.040重量%以
    下、S:0.040重量%以下を含み、残部Feおよび
    不純物よりなる鋼を素材として転動体形状に成形したの
    ち高周波焼入れ処理を施すことを特徴とするトロイダル
    式無段変速機用転動体の製造方法。
  7. 【請求項7】 鋼中にSi:0.25〜3.00重量%
    を含む鋼を素材として転動体形状に成形することを特徴
    とする請求項6に記載のトロイダル式無段変速機用転動
    体の製造方法。
  8. 【請求項8】 鋼中にV:0.05〜0.50重量%を
    含む鋼を素材として転動体形状に成形することを特徴と
    する請求項6または7に記載のトロイダル式無段変速機
    用転動体の製造方法。
  9. 【請求項9】 鋼中にCr:2.00重量%以下を含む
    鋼を素材として転動体形状に成形することを特徴とする
    請求項6ないし8のいずれかに記載のトロイダル式無段
    変速機用転動体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6740175B2 (en) 2001-02-01 2004-05-25 Sanyo Special Steel Co., Ltd. High strength steel for induction hardening
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