JPH08298142A - ばねクランプ型端子及びそれを使用するコネクタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 被接続導体を電気的且つ機械的に接続保持可
能なばねクリンプ型端子のばねクランプ部材の過変形を
阻止して接続及び保持の信頼性を維持すること。 【解決手段】 ばねクランプ型端子（２）は、基部
（４）の一端からループ状に形成されたばねクランプ部
材（６、８、１０、１２）の基部４との対向部にばねク
ランプ部材の過応力阻止部材（４２、４２’、４
２’’）を形成する。被接続導体３６は、ばねクランプ
部材の自由端（１４）近傍の切欠き（２２）に基部
（４）の他端（１６）と共に挿入する。コネクタ５０に
あっては、端子の一部となる基板（３０）の先端に、こ
のばねクランプ型端子（２）の基板（４）を載置固定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は電気端子、弾性によ
り導体にクランプ（固定）されるばねクランプ型端子及
びそれを使用するコネクタに関する。

【０００２】

【従来の技術とその課題】ばねクリンプ型端子（以下単
に端子という場合もある）は例えばドイツ特許第２７０
６４８２号等に開示されている。斯る端子は基部（ベー
ス）、Ｕ字状ばねアーム及びアクチュエーション（作
動）部材を有する。この作動部材は基部上にループ状に
形成され、切欠きを介して基部の前縁を受ける構成とな
っている。

【０００３】作動部材を押圧すると、前縁の下の切欠き
部が拡大して、そこに導体の挿入を可能にする。次に、
作動部材は解放され、切欠きが上方に偏奇するようにす
る。よって、切欠きの底縁が導体を基部の底面に対して
クランプ（固定）する。

【０００４】この従来端子の欠点は、ばね部に過応力
（オーバーストレス）を受けることである。作動部材の
押圧自体は基部に当接する切欠きの上縁により制限され
るが、ばね部材の作動は一般にドライバー等の工具をば
ねクランプ上のハウジング空洞内に挿入して作動部材を
押圧することにより行う。そこで、作動部材自体の押圧
はばね素子自体の押圧により制限されていても、ばね阻
止の過応力を生じ得る。

【０００５】この問題は既に周知であって、例えば米国
特許第４，１７１，８６１号（特に図１２参照）では、
ボタン５２をばねアームの下にモールドして、その過応
力を阻止している。しかし、この設計の新たな問題は、
別部品を必要とすることである。或はもしボタンをハウ
ジングに直接モールドすると、組立（製造）が複雑且つ
高価となる。更に、プラスチックでモールドした、この
過応力阻止手段は十分な破壊強度を有しない。

【０００６】

【発明の目的】従って、本発明の目的は、ばね部の過度
の変形を阻止する過応力阻止機能を有する安価且つ高信
頼性のばねクランプ型端子を提供することである。

【０００７】本発明の別の目的は、構成及び製造組立が
簡単安価である過応力阻止機能付ばねクランプ端子を使
用する電気コネクタを提供することである。

【０００８】

【課題解決の為の手段】本発明のばねクランプ型端子
は、略平坦な基部の一端から他端側へ折り返して自由端
近傍の切欠きに被接続導体と基部他端とを受けるばねク
ランプ部材を有し、このばねクランプ部材と基部との対
向部に、ばねクランプ部材の過応力阻止部材を形成した
ことを特徴とする。

【０００９】また本発明のコネクタはハウジング内の略
平板状の基板のワイヤ挿入端部に前述したばねクランプ
型端子の基部を、ばねクランプ部材の自由端をワイヤ挿
入端側、固定端側をワイヤ挿入端から遠い端にして載置
して端子を形成し、ワイヤ導体を着脱自在に接続するよ
う構成したことを特徴とする。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明のばねクランプ型端
子及びそれを使用するコネクタの実施の形態を添付図を
参照して詳細に説明する。

【００１１】先ず図１乃至図５を参照する。ばねクラン
プ型端子２は金属板を打抜き折曲げ加工により形成さ
れ、略平板状の基部（ベース）４及びこの基部から略Ｕ
字状に反対向きに折り返したばね部６を有する。このば
ね部６は更にオーバーヘッドレバーアーム部８に延び、
更にまた作動（アクチュエーション）部１０に延びてい
る。この作動部１０は更に導体受容部１２内に延びてい
る。

【００１２】ばね部６、レバーアーム部８、作動部１０
及び導体受容部１２は基部４から連続したループ状に形
成される。端子受容部１２の自由端１４は基部４のばね
部６の反対側の先端１６近傍に位置される。初期形成状
態では、ばねクランプは図１に示すように、ループ状部
は基部４の先端１６と離れている。ここで、導体受容部
１２は基部４の先端１６から僅かに離れている。図５に
示す如く、端子２は全長にわたり略一様な幅Ｗを有する
細長い金属ストリップを折曲げられる。側縁１８、２０
は略平行である。

【００１３】導体受容部１２は切欠き２２がストリップ
に沿って形成されている。基部４の先端１６から延びる
部分は、図２に示す如く切欠き２２内に挿入されるよう
減幅されている。切欠き２２は底縁２４から上縁２６間
に延び、図２に示す仮組立状態では底縁２４が基部４の
底面２８と当接する。この位置で、ばね部材は僅かに予
応力（プレストレス）が付与されている。図３に示す如
く、ばねクランプ型端子２の基部４は上向きの先端３２
と、ワイヤ圧着部が鋸歯状に形成された底面３４とを有
する基板（ベースプレート）３０に取付けられる。ま
た、基板３０の先端３２は幅が徐々に狭くなり、切欠き
２２に挿入可能である。これにより、取付けられると、
切欠き底縁２４は鋸歯状クランプ面３４と弾性的に当接
する。

【００１４】次に図４を参照して説明する。図４は作動
部１０が完全に押圧されたばねクランプの平面図であ
る。この状態で、導体３８の内部撚り線３６を受ける鋸
歯状クランプ面３４の下方に切欠き２２が延びる。作動
部１０の押圧を解除すると、ばね部６の弾性により、導
体撚り線３６は切欠き底縁２４と鋸歯状クランプ面３４
間にクランプされる。鋸歯状面３４と切欠き底縁２４の
コーナー４０の鋭い縁（エッジ）が導体撚り線３６内に
食い込み、良好な電気的接触を確立する。更に、ワイヤ
導体３８に沿う張力に抗して、この導体３８を保持す
る。

【００１５】図１乃至図５の実施形態にあっては、更に
過応力阻止部材４２を有する。この部材４２は作動部１
０とばね部６間のオーバーヘッドレバーアーム部８の側
部に略直角に形成されたタブ状部材である。ばねクラン
プの側縁２０には凹部４４が形成され、凹部４４間に過
応力阻止部材４２が取付けられ、タブ４２の当接端４６
がオーバーヘッド基部４となるようにする。これによ
り、作動部１０が図４に示す如く完全に押圧されると基
部４に当接又は係止する。この当接端４６は弧状であ
る。強力な当接力を得る為に、図５に示す如くばねクラ
ンプ部材の他の側縁１８に第２過応力阻止部材４２を形
成してもよい。

【００１６】図９には他の過応力阻止部材４２’が図示
されている。この例にあっては、図１乃至図５の過応力
阻止部材４２と類似するが、この過応力阻止部材４２’
はレバーアーム部８’から垂下する代りに基部４’から
起立している点で相違する。尚、他の構成素子は図１乃
至図５に示す実施形態と同じであるので、同じ参照符号
にプライム（’）を附して図示している。

【００１７】次に、図６及び図７を参照して、本発明の
ばねクランプ型端子２’’の他の実施形態を説明する。
この端子２’’はコネクタの絶縁ハウジング５０のキャ
ビティ４８内に取付けられている。同図は、このハウジ
ング５０の一部分のみを示す。このコネクタハウジング
５０は更にカバー部５２を有し、キャビティ４８の導体
受容端５６において、主ハウジング５４にラッチ（係
合）される。このカバー部５２は内方にテーパが形成さ
れたキャビティ５８が貫通形成され、導体３６を内部に
案内して端子２’’へ接続可能にする。このカバー部
（又はインサート）５２はハウジング５０のキャビティ
４８内に挿入された端子２’’を確実に固定する固定
（又は保持）手段としても作用する。図１乃至図５又は
図９の端子２、２’についても同様に、ここに説明した
ハウジング５０に取付け可能である。

【００１８】ばねクランプ型端子２’’は前述した端子
２、２’と多くの類似点を有するが、過応力阻止部材４
２’’において相違する。この実施形態においては、過
応力阻止部材４２’’はオーバーヘッドレバーアーム部
８’’に直接形成されている。即ち、作動部１０’’と
Ｕ字状ばね部６’’間に形成されている。

【００１９】この過応力阻止部材４２’’はＶ字状であ
って、作動部１０’’とばね部６’’に向う２本のアー
ムを有する当接端４６’’を具える。これらアームは相
互に約９０°の角度に形成されているが、勿論他の角度
であってもよい。特に重要な特徴はオーバーヘッドレバ
ーアーム８’’から下方に十分突出しており、当接面４
６’’がばね部６’’の過変形を阻止することである。
この変形はたとえば図７に示す如く制限される。切欠き
２２’’の上縁２６’’が作動部１０’’の押圧を制限
するが、平ドライバ６０等の工具キャビティ４８の部分
６２内のばねクリップ上に十分に挿入し過ぎると、レバ
ーアーム又はばね部を押し下げて、ばね部６’’の過変
形を生じさせる虞れがある。作動部１０’’とばね部
６’’間に過応力阻止部材４６、４６’、４６’’を配
置すると、ばね部の過応力阻止機能が得られる。

【００２０】導体３８をコネクタ５０の端子２’’に接
続する作業を図６及び図７を参照して説明する。図６に
おいて、平ドライバ６０等の工具をばねクリップの作動
部１０’’上のキャビティ領域６２に挿入し、次にドラ
イバ６０を図７に示す如く旋回するとドライバ６０の先
端は作動部１０’’を、過応力阻止部材４２’’の当接
端４６’’が端子２’’の反対側に当接する迄押圧す
る。そこで、導体３６を基板３０の下側に延びる切欠き
２２に挿入する。次に、ドライバ６０を引き抜くと導体
受容部１２は上方に偏奇して、ワイヤ３８を基板３０に
クランプする。

【００２１】以上、本発明のばねクランプ型端子及びそ
れを使用するコネクタの好適実施形態を詳述したが、本
発明は斯る実施形態のみに限定するべきではなく、必要
及び用途に応じて本発明の要旨を逸脱することなく種々
の変形変更が可能であることが理解できよう。

【００２２】

【発明の効果】上述の説明から理解される如く、本発明
のばねクランプ型端子によると、過応力阻止部材を設け
ているので、平ドライバ等の既存の適当な工具によりば
ねクランプ部を押圧することにより、これを永久変形す
ることなく接続導体の挿入に必要な寸法のみの変形を生
じさせることができる。従って、接続された導体に対し
て十分高信頼性の電気的接続が可能となるのみならず、
ワイヤの引張り力に対して十分な抗力を有する。

【００２３】更に、本発明のばねクランプ型端子は細長
い金属ストリップを折曲げ加工により形成される簡単な
構成であるので、安価であるという実用上の顕著な効果
を有する。コネクタハウジング内の基板又は平板状の端
子と共に組合せ使用することにより、ワイヤ導体を着脱
自在に接続するワイヤ接続型電気コネクタが得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のばねクランプ型端子の好適実施形態の
未応力状態の側面図。

【図２】図１のばねクランプ型端子の仮組立状態の側面
図。

【図３】図１のばねクランプ型端子を基板に取付けた状
態を示す側面図。

【図４】図３のばねクランプ型端子を押圧して被接続導
体を挿入している状態を示す側面図。

【図５】図１乃至図４に示したばねクランプ型端子の平
（上）面図。

【図６】本発明の他の実施形態のばねクランプ型端子を
コネクタハウジング内に挿入し、工具によりばねクラン
プを変形させ始めた状態を示す側断面図。

【図７】図６のコネクタ端子に被接続導体を挿入した状
態を示す側断面図。

【図８】図７の工具を抜去して端子に導体を接続した状
態を示す側断面図。

【図９】ばねクランプ型端子の変形例の図７と同様の側
断面図。

【符号の説明】

２、２’、２’’ ばねクランプ型端子 ４、４’、４’’ 基部 ６、８、１０、１２ ばねクランプ部材 １４ 自由端 ２２ 切欠き ３０ 基板 ４２、４２’、４２’’ 過応力阻止部材 ５０ コネクタ ５４ ハウジング

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジグリッド・シュトルツ ドイツ国 アルスバッハ ヘーンライン 64665 ヘーンライナー シュトラッセ 48

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 略平板状の基部の一端から他端側へ折り
   返して自由端近傍の切欠きに前記基部の前記他端と被接
   続導体とを受けるばねクランプ部材を有し、該ばねクラ
   ンプ部材と前記基部との対向部に過応力阻止部材を形成
   したことを特徴とするばねクランプ型端子。
2. 【請求項２】 ワイヤ導体に着脱自在に接続される少な
   くとも１個の端子をハウジング内に有するコネクタにお
   いて、 該コネクタの前記端子は略平板状の基板と、該基板の先
   端部に取付けられるばねクランプ型端子とを具え、 該ばねクランプ型端子は前記基板に載置される略平坦な
   基部と、該基部のワイヤ挿入端から離れた端から前記ワ
   イヤ挿入端に折り返されたばねクランブ部材とを有し、
   該ばねクランプ部材と前記基部との対向部に過応力阻止
   部材が形成されていることを特徴とするコネクタ。