JP2007009112A - 二軸配向フィルムおよびそれからなるフィルムコンデンサー - Google Patents

二軸配向フィルムおよびそれからなるフィルムコンデンサー Download PDF

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Abstract

【課題】 耐電圧特性、耐熱性および製膜性などの取り扱い性に優れた二軸配向フィルムおよびそれからなるフィルムコンデンサーを提供する。
【解決手段】 ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)50〜97重量%と、誘電率3.0未満および誘電損失0.001未満のいずれか1つの特性を有する熱可塑性樹脂(b)3〜50重量%との熱可塑性樹脂組成物(c)からなり、該熱可塑性樹脂(b)が島状に分散しており、かつそのMD方向の平均長さが20μm以下である単層または積層の二軸配向フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は耐電圧特性、耐熱性および製膜性などの取り扱い性に優れた二軸配向フィルムに関するものであり、さらに詳しくは、耐電圧特性および耐熱性に優れ、フィルム厚みが薄い範囲においても製膜性などの取り扱い性に優れたコンデンサー用に好適な二軸配向フィルムおよびそれからなるフィルムコンデンサーに関するものである。
フィルムコンデンサーは、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂フィルムとアルミニウム箔等の金属薄膜とを重ね合わせ、巻回または積層する方法により製造されている。近年、電気あるいは電子回路の小型化の要求に伴い、フィルムコンデンサーについても小型化や実装化が進んでおり、電気特性に加えて更なる耐熱性が要求されるようになってきた。また、自動車用途においては、運転室内での使用のみならず、エンジンルーム内にまで使用範囲が拡大しており、電気特性に加え、より高温高湿下での寸法安定性に適したフィルムコンデンサーが要求されている。
そこで、コンデンサー用フィルムの耐熱性を解決する目的で、ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムを用いた方法が特開2000−173855号公報に開示されており、その電気特性を改良する目的で結晶状態、極限粘度などを制御する方法が提案されている。しかしながら、該方法では、極性ポリマーであるが故、更なる電気特性の改良には限界があった。
一方、電気特性に優れる熱可塑性樹脂として、シンジオタクチックポリスチレン系重合体が知られている。しかしながら、シンジオタクチックポリスチレン系重合体はポリエステル樹脂に較べて製膜が難しく、また得られたフィルムも裂けやすいことから、コンデンサー製造時のハンドリング性の改良が求められている。
ところで、シンジオタクチックポリスチレンとポリエチレン−2,6−ナフタレートを含むフィルムが、国際公開第97/32223号パンフレットで提案されている。しかしながらこれらのフィルムは反射率や透過率などの光学特性を制御する光学材料で、実質的に一軸配向フィルムであった。
また、特開平08−176329号公報などに、柔軟性やクッション性を得る目的で、ポリエステル樹脂に空洞発現剤としてシンジオタクチックポリスチレンを配合した、空洞含有ポリエステルフィルムが提案されており、延伸温度でのシンジオタクチックポリスチレンの変形のしにくさが空洞発現に影響することが開示されている。しかしながら、ポリエステル樹脂とシンジオタクチックポリスチレンとは相溶性に乏しいことから、シンジオタクチックポリスチレンの含有量が増えるに従い、製膜が難しくなり、またフィルム厚みが薄い範囲においてはその傾向が顕著となることがあり、さらに空洞が存在することで、さらに製膜性が不安定になることが懸念される。
特開2000−173855号公報 国際公開第97/32223号パンフレット 特開平08−176329号公報
本発明の目的は、耐電圧特性、耐熱性および製膜性などの取り扱い性に優れた二軸配向フィルムを提供することにある。さらに本発明の目的は、フィルム厚みが薄い範囲においても製膜性などの取り扱い性に優れ、また温度および湿度変化に対する寸法安定性に優れた、コンデンサー用に好適な二軸配向フィルムおよびそれからなるフィルムコンデンサーを提供することにある。
本発明者らは上記従来技術に鑑み鋭意検討を重ねた結果、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)と、誘電率3.0未満および誘電損失0.001未満のいずれか1つの特性を有する熱可塑性樹脂(b)との熱可塑性樹脂組成物(c)からなり、該熱可塑性樹脂組成物(c)における(a)成分の含有量が50〜97重量%の範囲、(b)成分の含有量が3〜50重量%の範囲にあり、しかも(b)成分が島状に分散しており、そのMD方向の平均長さが特定範囲にある単層または積層の二軸配向フィルムを用いることによって、耐熱性に優れ、熱可塑性樹脂(b)の配合量が少ないにも係らず熱可塑性樹脂(b)と同等の耐電圧特性を有し、同時に安定した製膜性を兼ね備えることを見出し、本発明の完成に至った。
かくして本発明によれば、本発明の目的は、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)50〜97重量%と、誘電率3.0未満および誘電損失0.001未満のいずれか1つの特性を有する熱可塑性樹脂(b)3〜50重量%との熱可塑性樹脂組成物(c)からなり、該熱可塑性樹脂(b)が島状に分散しており、かつそのMD方向の平均長さが20μm以下である単層または積層の二軸配向フィルムによって達成される。
また、本発明の二軸配向フィルムは、その好ましい態様として、絶縁破壊電圧が400V/μmを超え、かつ耐熱温度が110℃以上であること、熱可塑性樹脂組成物(c)がボイドを有さないこと、熱可塑性樹脂(b)の融点が230〜280℃であること、熱可塑性樹脂(b)がポリオレフィン樹脂であること、熱可塑性樹脂(b)がシンジオタクチックスチレン系重合体であること、の少なくともいずれか一つを具備するものも包含する。
また、本発明によれば、熱可塑性樹脂組成物(c)が、さらにポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)と熱可塑性樹脂(b)の中間の溶解性パラメーターを有する熱可塑性非晶性樹脂(d)を熱可塑性樹脂組成物の重量を基準として0.1〜10重量%含むこと、熱可塑性非晶性樹脂(d)が、アクリル酸共重合ポリオレフィンまたはビニルオキサゾリン共重合ポリオレフィン系樹脂であること、二軸配向フィルムが積層フィルムであって、その少なくとも1層がポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)と熱可塑性樹脂(b)との熱可塑性樹脂組成物(c)からなるフィルム層Aであり、その少なくとも片面にポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)からなるフィルム層Bが積層されてなること、フィルム厚みが1〜10μmであること、フィルムの幅方向の湿度膨張係数が0.1×10-6〜13×10-6%/RH%の範囲にあること、フィルムの幅方向の温度膨張係数が−5×10-6〜15×10-6%/℃の範囲にあること、フィルムの製膜方向および幅方向のヤング率がともに5GPa以上で、かつ両者の合計が高々22GPaであること、フィルムコンデンサーに用いられること、の少なくともいずれか一つを具備するものも包含する。
また本発明は、本発明の二軸配向フィルムの少なくとも片面にさらに酸素原子含有化合物を含む層Dが設けられ、かつフィルム全厚みに対する層Dの厚みが30%以下であり、X線光電子分光法により測定した、層D表面における(酸素原子/炭素原子)比が10%以上であるフィルムコンデンサー、本発明の二軸配向フィルムの少なくとも片面にさらに金属層が設けられたフィルムコンデンサー、の少なくともいずれかを包含するものである。
本発明によれば、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートと、誘電率3.0未満および誘電損失0.001未満のいずれか1つの特性を有する熱可塑性樹脂とが特定の配合比率で混合され、しかも熱可塑性樹脂が特定のサイズで樹脂組成物中に分散された二軸配向フィルムにすることによって、従来のポリエステルフィルム、シンジオタクチックポリスチレンフィルム、およびポリエステルとシンジオタクチックポリスチレンとからなるフィルムに比べ、極めて高い耐熱性と耐電圧特性とを兼ね備えると共に、優れた製膜性を有することから、フィルムコンデンサーのベースフィルムとして好適に用いることができる。
また、本発明のフィルムコンデンサーは耐熱性および耐電圧特性に優れ、小型化や耐熱性を要する電気・電子機器用および自動車部品用フィルムコンデンサーとして好適であり、その工業的価値は極めて高い。
以下、本発明を詳しく説明する。
<ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート>
本発明のポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)は、2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとの重縮合によって得られるポリマーである。
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートは、単独でも他のポリエステルとの共重合体、2種以上のポリエステルとの混合体のいずれであってもかまわないが、耐熱性の観点からは、単独の方が好ましい。共重合体または混合体における他の成分は、全繰返し構造単位のモル数を基準として10モル%以下、さらに5モル%以下であることが好ましい。共重合成分としては、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分が挙げられる。
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの固有粘度は、ο−クロロフェノール中、35℃において、0.40以上であることが好ましく、0.40〜0.80であることがさらに好ましい。固有粘度が0.4未満ではフィルム製膜時に切断が多発したり、成形加工後の製品の強度が不足することがある。一方固有粘度が0.8を超える場合は重合時の生産性が低下する。
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの融点は、200〜300℃であることが好ましく、更には260〜290℃であることが好ましい。融点が下限に満たないと二軸配向フィルムの耐熱性が不十分な場合がある。また融点が上限を超える場合は熱可塑性樹脂(b)と混合が難しくなることがある。
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの誘電率は、23℃、1MHzの条件において2.7〜3.4であることが好ましい。かかる誘電率はポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートに固有の特性である。
<熱可塑性樹脂>
本発明の熱可塑性樹脂(b)は、誘電率3.0未満および誘電損失0.001未満のいずれか1つの特性を有する熱可塑性樹脂である。かかる熱可塑性樹脂として、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリブチルスチレン、ポリフルオロエチレン、ポリクロロエチレン、ポリブロモスチレン、ポリ−2−メチル−4−フルオロスチレンなどのポリハロゲン化スチレン、ポリビニル−t−ブチルエーテル、セルローストリアセテート、セルローストリプロピオネート、ポリビニルフルオライド、およびポリクロロトリフルオロエチレンなどが挙げられる。これらの中でも耐熱性の点から、融点が230〜280℃である熱可塑性樹脂が好ましく、さらにポリオレフィン樹脂、特にシンジオタクチックスチレン系重合体が好ましい。
本発明におけるシンジオタクチックスチレン系重合体は、立体化学構造がシンジオタクチック構造を有するポリスチレンであり、核磁気共鳴法(13C−NMR法)により測定されるタクティシティーが、ダイアッド(構成単位が2個)で75%以上、好ましくは85%以上、ペンタッド(構成単位が5個)で30%以上、好ましくは50%以上である。
かかるシンジオタクチックスチレン系重合体としては、ポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)として、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(プロピルスチレン)、ポリ(ブチルスチレン)、ポリ(フェニルスチレン)が挙げられ、これらのうち、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−ターシャリーブチルスチレン)が好ましく例示される。シンジオタクチックスチレン系重合体は、単体でも、2種以上併用であってもよい。
また、本発明におけるシンジオタクチックスチレン系重合体は、重合平均分子量が10,000以上、さらに50,000以上であることが好ましい。重合平均分子量が下限に満たない場合、耐熱性や機械特性が不十分である。一方、重合平均分子量の上限は500,000以下であることが好ましい。かかる上限を超える場合、製膜性に乏しくなる場合がある。
本発明の熱可塑性樹脂(b)は、23℃、1MHzの条件における誘電率が3.0未満および誘電損失が0.001未満のいずれか1つの特性を有する。さらに熱可塑性樹脂(b)は、23℃、1MHzの条件における誘電率が2.2〜2.9であることが好ましい。誘電率が上限を超える場合、二軸配向フィルムの耐電圧特性が充分に改良されないことがあり、一方、誘電率が下限に満たない場合は加工性に乏しいことがある。また、誘電損失は、23℃、1MHzの条件における誘電正接(tanδ)で表される。誘電損失が0.001以上の場合、絶縁性が低下し、得られる二軸配向フィルムの耐電圧特性が充分に改良されないことがある。
本発明の熱可塑性樹脂(b)の融点は、230℃〜280℃であることが好ましく、更には240〜275℃であることが好ましい。融点が下限に満たないと二軸配向フィルムの耐熱性が不十分な場合がある。また融点が上限を超える場合はポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートとの混合が難しくなることがある。
<二軸配向フィルム>
本発明の二軸配向フィルムは、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)50〜97重量%と、誘電率3.0未満および誘電損失0.001未満のいずれか1つの特性を有する熱可塑性樹脂(b)3〜50重量%との熱可塑性樹脂組成物(c)からなる。
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの含有量は、熱可塑性樹脂組成物(c)の重量を基準として好ましくは55〜97重量%、さらに好ましくは55〜95重量%、特に好ましくは70〜95重量%である。ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの含有量が下限に満たない場合、延伸製膜が充分に改良されないことがあり、またフィルム厚みが薄い範囲においてはその傾向が顕著となる。一方、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの含有量が上限を超えると、耐電圧特性が充分でないことがある。
また、熱可塑性樹脂組成物(c)において、熱可塑性樹脂(b)の含有量は、フィルムの重量を基準として好ましくは3〜45重量%、さらに好ましくは5〜45重量%、特に好ましくは5〜30重量%である。熱可塑性樹脂(b)の含有量が下限に満たない場合、耐電圧特性が充分に改良されないことがある。一方、熱可塑性樹脂(b)の含有量が上限を超えると延伸製膜が難しくなることがあり、またフィルム厚みが薄い範囲においてはその傾向が顕著となる。
本発明の二軸配向フィルムは、単層フィルムまたは積層フィルムである。単層フィルムは、上述の熱可塑性樹脂組成物(c)からなる二軸配向フィルムである。積層フィルムの場合は、その少なくとも1層がポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)と熱可塑性樹脂(b)との熱可塑性樹脂組成物(c)からなるフィルム層Aであり、その少なくとも片面にポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)からなるフィルム層Bが積層された二軸配向フィルムであることが好ましい。ここで、フィルム層Bは、実質的にポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)からなるフィルム層であればよく、本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂、例えば熱可塑性樹脂(b)を含有していても良い。フィルム層Bにおけるポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)の含有量は、フィルム層Bの重量を基準として、好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上である。
積層二軸配向フィルムは、好ましい層構成として、i)フィルム層Aの片面にフィルム層Bが積層された2層構成、ii)フィルム層Aの両面にフィルム層Bが積層された3層構成、iii)フィルム層Aとフィルム層Bとが全層数で少なくとも4層積層された多層構成が例示される。ii)の3層構成の場合、耐カール性がさらに改良される。また、iii)の多層構成の場合、異質の樹脂からなるフィルム層の積層であっても、層間の剥離などによる工程の悪化を生じることなく製膜することができる。iii)の多層構成の場合、好ましい全層数は、8層以上、さらに16層以上、特に32層以上であり、上限は特に制限されないが、工程の煩雑化を防ぐ観点から500層程度、好ましくは250層である。ここで、フィルム層Aとフィルム層Bとは、好ましくは交互に積層され、本発明の目的を阻害しない範囲で、他の樹脂からなるフィルム層が積層されていてもよい。iii)の多層構成の場合、フィルム層Aの1層あたりの厚みは、0.02〜1.5μm、さらに0.04〜1.0μmの範囲にあることが好ましく、他方フィルム層Bの1層あたりの厚みは0.02〜1.5μm、さらに0.04〜1.0μmの範囲にあることが好ましい。フィルム層Aまたはフィルム層Bの1層あたりの厚みが下限を下回ると、極めて多くの層を積層させる必要があり、工程が煩雑化しやすい。他方、フィルム層Aまたはフィルム層Bの1層あたりの厚みが上限を超えると、層間の剥離が生じることがある。これらの厚みは、積層フィルムを厚み方向にミクロトームなどで切断して超薄片とし、それを透過型電子顕微鏡で観察することによって測定できる。
これらの層構成の中でも、単層または2〜3層の積層のいずれかが好ましい。2層構成の場合はフィルム層Bが積層されることで、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)による優れた力学特性と製膜性が発現しやすくなる。また3層構成の場合は2層構成に較べて耐カール性に優れる。
<熱可塑性樹脂(b)の分散状態>
本発明の熱可塑性樹脂組成物(c)からなる二軸配向フィルムにおいて、熱可塑性樹脂(b)は島状に分散しており、かつそのMD方向の平均長さは20μm以下である。ここで「島状の分散形状」とは、球状、楕円状、棒状のいずれでも良い。本発明においては、MD方向に引き伸ばされた棒状の分散形状が多く観察される。かかる平均長さは、得られたフィルムのMD方向に平行な厚み断面を光学顕微鏡(Nikon社製OPTPHOT−2)を用いて200倍で観察し、100個のオレフィン(b)からなる分散相のMD方向の長さを測定して求めたものである。
MD方向の平均長さは、好ましくは15μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。平均長さが上限を超えると、フィルムの延伸工程において破断しやすくなる。またフィルム厚みが薄くなるに従って分散相の大きさの影響が顕著になり、フィルムの延伸工程において破断しやすくなる。MD方向の平均長さの下限は、小さければ小さい方が好ましく、特に制限されないが、0.1μm以上であればよい。
MD方向の平均長さを20μm以下にする方法として、混練方法による物理的方法や、相溶化剤等の化学的方法が挙げられる。既存の装置で対応できることから、熱可塑性樹脂組成物(c)に相溶化剤をさらに含有させることがより好ましい。
ここで相溶化剤とは、通常の相溶化剤の定義に加えて、熱可塑性樹脂(b)からなる分散相のサイズを小さくする機能を有するものを含む。そのような機能を有するものであれば特に限定されないが、例えばポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)と熱可塑性樹脂(b)の中間の溶解性パラメーター(以下、SP値と略記することがある)を有する熱可塑性非晶性樹脂(d)が挙げられる。ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)および熱可塑性樹脂(b)のSP値は、用いる樹脂の種類および共重合成分によって定まるものである。一例を挙げると、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートは、共重合体を含まない場合、Fedor法により算出されたSP値(以下、Fedor法と略記する)が24.8(MJ/m0.5であり、また熱可塑性樹脂(b)のうち、ポリスチレンは20.7(MJ/m0.5(Fedor法)である。
熱可塑性非晶性樹脂(d)は、例えばアクリル酸共重合ポリオレフィン、ビニルオキサゾリン共重合ポリオレフィン系樹脂などが挙げられ、該共重合体のうち、オレフィン成分を構成する単量体は、スチレンであることがさらに好ましい。また、該共重合体のうち、アクリル酸成分を構成する単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートが例示される。熱可塑性非晶性樹脂(d)は、相溶化効果を高めるために、さらにエポキシ基が導入されていてもよい。
熱可塑性非晶性樹脂(d)は、熱可塑性樹脂組成物(c)の重量を基準として0.1〜10重量%の範囲で含有されることが好ましい。熱可塑性非晶性樹脂(d)の含有量は、さらに好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.3〜3重量%である。含有量が下限に満たない場合、相溶化剤としての効果が発現しないため、フィルム中の熱可塑性樹脂(b)の平均長さが所望の範囲にならず、製膜性が良化しないことがある。一方、含有量が上限を超える場合、架橋反応によるゲルが発生することがある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物(c)からなる二軸配向フィルムは、ボイドを有さないことが好ましい。ここで、ボイドとは、マトリックス相を形成するポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)と島相を形成する熱可塑性樹脂(b)との界面に生じる空洞を指す。ボイドは、熱可塑性樹脂(b)の平均長さを求める方法と同様に、光学顕微鏡(Nikon社製OPTPHOT−2)を用いて200倍で観察して求めることができる。また、「ボイドを有さない」とは、上述の光学顕微鏡による観察において、100個のオレフィン(b)からなる分散相のうち、分散相のまわりにボイドが観察される分散相数が10個以下、さらに好ましくは5個以下の状態を指す。
ボイドが存在すると、フィルムの延伸工程においてフィルムが破断しやすくなることがある。またフィルム厚みが薄くなるに従ってボイドの影響が大きくなり、製膜性が不安定になりやすい。さらに、フィルム厚みが薄い範囲では、ボイドの部分が欠陥となって耐電圧特性が低下することがある。
ボイドを有さないためには、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)のガラス転移点(Tg)よりも低いTgを有する熱可塑性樹脂(b)を選択し、かつフィルムの延伸温度がポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)のTg以上であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂(b)の中でもポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートに近い相溶性パラメーターを有する樹脂を用いることが好ましい。さらに、相溶化剤を含有させることによってもボイドをなくすことが可能である。
<不活性粒子>
本発明の二軸配向フィルムは、製膜時の巻き取り性を付与するために、フィルム中に不活性粒子、例えば、周期律表第IIA、第IIB、第IVA、第IVBの元素を含有する無機粒子(例えば、カオリン、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素など)、架橋シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂粒子等のごとき耐熱性の高いポリマーよりなる微粒子などを含有させることができる。
不活性粒子を含有させる場合、不活性粒子の平均粒径は、0.001〜5μmの範囲が好ましく、フィルム全重量に対して0.01〜10重量%の範囲で含有されることが好ましい。
本発明の二軸配向フィルムは、フィルム中にボイドが存在しないこと、また不活性粒子の含有量を調整することによって、全光線透過率が50%以上、さらに60%以上であることが好ましい。
<添加剤>
本発明の二軸配向フィルムは、必要に応じて少量の紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、熱安定剤を含んでいてもよい。
また、本発明の二軸配向フィルムは、リン化合物を含んでいてもよい。かかるリン化合物としては、熱安定剤として作用するリン化合物であれば特に種類は限定されないが、例えばリン酸、メチルフォスフェートやエチルフォスフェート系といったリン酸エステル、亜リン酸および亜リン酸エステルが例示され、かかるリン化合物の中でもトリエチルフォスフォノアセテートが特に好ましく挙げられる。
リン化合物の好ましい含有量は、リン化合物中のリン元素のポリエステル全ジカルボン酸成分に対するモル濃度として、20〜300ppm、さらに30〜250ppm、特に50〜200ppmである。リン化合物の含有量が下限未満では、エステル交換反応触媒が完全に失活せず熱安定性が悪く、力学的特性が低下することがある。一方リン化合物の含有量が上限を超えると、熱安定性が悪く、力学的特性が低下する場合がある。
<絶縁破壊電圧>
本発明の二軸配向フィルムは、絶縁破壊電圧が400V/μmを超えることが好ましい。絶縁破壊電圧は、より好ましくは410V/μm以上、さらに好ましくは460V/μm以上、特に好ましくは470V/μm以上である。絶縁破壊電圧が下限以下であると、コンデンサーに用いたときの電気特性が十分ではないことがある。ここで、絶縁破壊電圧は、JIS C2151に記載の平板電極法に準拠して、東京精電株式会社製、装置名ITS−6003を用いて160V/sの直流電流で測定した値である。
<耐熱温度>
本発明の二軸配向フィルムは、耐熱温度が110℃以であることが好ましい。耐熱温度は、より好ましくは115℃以上、特に好ましくは120℃以上である。耐熱温度が下限未満であると、コンデンサーに用いたときの耐熱性が十分ではないことがある。ここで、耐熱温度はIEC60216の温度指数に準拠し、絶縁破壊電圧の半減期の時間と温度の関係をアレニウスプロットして、20000時間に耐えうる温度で定義されるものである。
<幅方向の湿度膨張係数>
本発明の二軸配向フィルムは、フィルムの幅方向(以下、横方向またはTD方向と称することがある。)の湿度膨張係数αhが0.1×10-6〜13×10-6/%RHの範囲にあることが好ましい。さらに好ましいαhは、0.5×10-6〜11×10-6/%RH、特に好ましくは、0.5×10-6〜10×10-6/%RHの範囲である。
αhを下限よりも小さくするには、過度に熱可塑性樹脂(b)を存在させたりすることになり、製膜性が低下することがある。一方上限を超えると、湿度変化によってフィルムが伸びてしまい、フィルムコンデンサーに用いた時に自動車のエンジンルームといった高湿度の環境が要求される用途でコンデンサー特性が十分でないことがある。このようなαhは、測定方向のヤング率を延伸により向上させ、かつ熱可塑性樹脂(b)を混在させることによって達成される。幅方向が未延伸の場合、幅方向のヤング率が低いため、熱可塑性樹脂(b)が混在していても上述の範囲の湿度膨張係数は得られない。
<幅方向の温度膨張係数>
本発明の二軸配向フィルムは、フィルムの幅方向の温度膨張係数αtが-10×10-6〜+15×10-6/℃の範囲にあることが好ましい。好ましいαtは、-8×10-6〜+10×10-6/℃、特に-5×10-6〜+5×10-6/℃の範囲である。αtが、下限よりも小さいと収縮してしまい、一方上限を超えると、温度変化によってフィルムが伸びてしまい、フィルムコンデンサーに用いた時に自動車のエンジンルームといった高温の環境が要求される用途でコンデンサー特性が十分でないことがある。このようなαtは、測定方向のヤング率を延伸により向上させ、かつ熱可塑性樹脂(b)の存在量を前述の上限以下にすることによって達成される。幅方向が未延伸の場合、幅方向のヤング率が低いため、熱可塑性樹脂(b)が混在していても上述の範囲の温度膨張係数は得られない。
<ヤング率>
本発明の二軸配向フィルムは、フィルムの製膜方向(MD方向)および幅方向のヤング率がともに5GPa以上であることが好ましい。どちらか一方でもヤング率が下限よりも小さいと、フィルムコンデンサーに用いたときの力学的特性が充分でないことがあり、また温湿度変化で変形してしまうことがある。また、製膜方向と幅方向のヤング率の和は、高々22GPaであることが好ましい。製膜方向のヤング率と幅方向のヤング率の和が、上限を超えると、フィルム製膜時、延伸倍率が過度に高くなり、フィルム破断が多発し、製品歩留りが著しく悪くなることがある。好ましい製膜方向と幅方向のヤング率の和の上限は、20GPa以下、さらに18GPa以下である。
なお、本発明におけるフィルム製膜方向および幅方向は、配向軸によっても求めることができ、主たる配向軸が観察される方向を製膜方向、主たる配向軸に直交する方向を幅方向、とそれぞれ定義される。ここで主たる配向軸とは、フィルム面内の全ての方向において最も配向が高い方向であり、通常フィルムの製膜方向と一致するが、連続製膜方向に直交する方向の延伸倍率が高い場合、連続製膜方向に直交する方向が主たる配向軸となる場合もある。主たる配向軸は、フィルム面内の屈折率の分布を測定し、最も屈折率の高い方向により求められる。
<塗膜層>
本発明の二軸配向フィルムは、最外層の少なくとも一方の面に塗膜層(以下、塗布層と称することがある。)を有してもよい。かかる塗膜層は、バインダー樹脂および溶媒からなるコーティング塗剤を二軸配向フィルムに塗布することによって得られる。バインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の各種樹脂を用いることができ、例えばポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリウレタンおよびポリスチレン、ならびにこれらの共重合体や混合体が挙げられる。これらのバインダー樹脂の中でも、ポリエステル共重合体が特に好ましく例示される。溶媒としては、例えばトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどの有機溶媒および混合物が挙げられ、更に水であってもよい。
本発明における塗膜層は、塗膜を形成する成分として、さらに架橋剤、界面活性剤および不活性粒子を含んでいてもよい。かかる界面活性剤としてはポリアルキレンオキサイドが例示される。
本発明における塗膜層は、上記成分以外にメラミン樹脂などの他樹脂、軟質重合体、フィラー、熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、ラベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、乳化剤、硬化剤および難燃剤などをさらに含んでもよく、その配合割合は本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択される。
本発明において、塗膜層を二軸配向フィルムに積層させる方法は、二軸延伸されたフィルムの少なくとも片面に塗剤を塗布し乾燥する方法、延伸可能なフィルムに塗剤を塗布した後、乾燥、延伸し、必要に応じて熱処理する方法のいずれでもよい。ここで、延伸可能なフィルムとは、未延伸フィルム、一軸延伸フィルムまたは二軸延伸フィルムであり、これらの中でもフィルム押出方向(縦方向)に一軸延伸された縦延伸フィルムが特に好ましく例示される。
また、フィルムに塗剤を塗布する場合、クリーンな雰囲気での塗布、すなわちフィルム製膜工程での塗布が好ましく、塗膜のフィルムへの密着性が向上する。通常の塗工工程、すなわち二軸延伸後、熱固定したフィルムに対し、該フィルムの製造工程と切り離した工程で塗布する場合、埃、ちりなどを巻き込みやすくなる。
フィルムに塗剤を塗布する方法としては、公知の任意の塗布方法を用いることができ、例えばロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法およびカーテンコート法を単独または組み合わせて用いることができる。
<フィルム厚み>
本発明の二軸配向フィルムは、フィルム厚みが1〜10μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは、2〜10μm、さらに好ましくは2〜7μm、特に好ましくは2〜5μmである。この厚みが上限を超えると、フィルム厚みが厚くなりすぎ、例えばコンデンサーに用いた場合はコンデンサーの小型化が難しくなる。一方、下限未満ではフィルム厚みが薄いが故に、フィルム製膜時にフィルム破断が多発したり、またフィルムの巻取性が不良となったりすることがある。
<表面層>
本発明の二軸配向フィルムは、少なくとも一方の面に、他の機能を付与する目的でさらに他層が積層された積層体であってもよい。
フィルムコンデンサーに用いられる場合、例えば、セルフヒーリング性を更に改善する目的で、二軸配向フィルムの少なくとも片面に、酸素原子含有化合物を含む層Dをさらに有してもよい。X線光電子分光法により測定した、該表面の炭素原子に対する酸素原子の比率は、10%以上、さらには15%以上であることが好ましい。(酸素原子/炭素原子)比が下限に満たないと、電圧負荷時のセルフヒーリング性が不良になることがある。酸素原子含有化合物としては、例えばセルロース、SiOが挙げられる。セルロースの場合は、前記の塗膜層のバインダー成分のうち、5〜50重量%の範囲でセルロースを含有させて塗布する方法によって積層することができる。SiOの場合は真空蒸着、イオンプレーティングまたはスパッタリングのいずれかの方法によって積層することができる。
また、酸素原子含有化合物を含む層Dの厚みは、フィルム全厚みに対して30%以下であることが好ましい。30%より厚い場合には、静電容量や誘電正接の温度、周波数特性等の電気特性が不良になることがある。厚みの下限については特に限定されないが、0.005μmより薄くなるとセルフヒーリング性の改良効果が得られにくくなることがある。
<表面粗さWRa>
本発明の二軸配向フィルムは、用いる用途に応じて、用途に適した表面粗さWRa(中心面平均粗さ)を有することが好ましい。
フィルムコンデンサーに用いられる場合、二軸配向フィルムの表面粗さWRa(中心面平均粗さ)は、1〜150nm、さらには10〜120nm、特に30〜100nmであることが好ましい。この表面粗さWRaが上限より大きいと、コンデンサーに加工したとき、フィルムの突起が大き過ぎてフィルム間に介在する空気により誘電特性が不安定化したり、突起によって絶縁破壊電圧が低下し易くなることがある。一方、表面粗さWRaが下限未満では、フィルムが平坦すぎて、金属蒸着工程、フィルム巻回工程での作業性、コンデンサー熱処理工程、プレス工程での変形、フィルム間の密着等の不具合が起こる可能性があり、その結果、コンデンサー容量のバラツキが大きくなることがある。
<製膜方法>
本発明の二軸配向フィルムは、以下の方法にて製造するのが好ましい。
本発明の二軸配向フィルムは、単層フィルムの場合、上述のポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)と熱可塑性樹脂(b)とを原料とし、これを溶融状態でシート状に押出した後、テンター法、インフレーション法など公知の製膜方法を用いて製造することができ、例えばポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)と熱可塑性樹脂(b)とを所定量混合し、乾燥後、300℃に加熱された押出機に供給して、Tダイよりシート状に成形する方法が挙げられる。
好ましくは、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの融点(Tm:℃)ないし(Tm+70)℃の温度で押出し、急冷固化して未延伸フィルムとし、さらに該未延伸フィルムを一軸方向(縦方向または横方向)に(Tg-10)〜(Tg+70)℃の温度で所定の倍率に延伸し、次いで上記延伸方向と直角方向(一段目が縦方向の場合には二段目は横方向となる)にTg〜(Tg+70)℃の温度で所定の倍率に延伸し、さらに熱処理する方法を用いて製造することができる。その際、延伸倍率、延伸温度、熱処理条件等は上記フィルムの特性から選択、決定される。面積延伸倍率は6〜35倍が好ましく、コンデンサー用の場合は6〜25倍、さらには7〜16倍にするのが好ましい。さらに、コンデンサー用の場合、縦延伸倍率は、好ましくは2.5倍以上5.0倍以下、更に好ましくは2.8倍以上3.9倍以下である。また、横延伸倍率は、好ましくは2.5倍以上5.0倍以下、更に好ましくは2.8倍以上4.0倍以下である。縦、横方向それぞれの延伸倍率が下限に満たない場合フィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られないことがあり、一方上限を超える場合は製膜中に破断が発生しやすくなる。
熱固定温度は190〜250℃の範囲内から、また処理時間は1〜60秒の範囲内から決めるとよい。特に、耐熱性が必要とされる場合、高温条件下での寸法安定性を向上させるために、210〜240℃の範囲で熱固定を行うことが好ましい。このような熱固定処理を行うことによって、得られた二軸配向フィルムの200℃における熱収縮率を−3.5〜3.5%、より好ましくは−3〜3%、特に好ましくは0〜3%とすることができる。熱収縮率がこれらの範囲にあることで、コンデンサーに加工した時にフィルムにしわが発生しにくくなる。また、熱収縮を抑えるために、さらにオフライン工程において150〜220℃で1〜60秒間熱処理した後、50〜80℃の温度雰囲気下で徐冷するアニール処理を施しても構わない。
かかる逐次二軸延伸法のほかに、同時二軸延伸法を用いることもできる。また逐次二軸延伸法において縦方向、横方向の延伸回数は1回に限られるものではなく、縦-横延伸を数回の延伸処理により行うことができ、その回数に限定されるものではない。
2層または3層の積層フィルムを製造する場合、共押出し法による方法が挙げられる。好ましくは、それぞれの層を構成する原料を溶融状態で共押出し法によりダイ内で積層してからシート状に押出すか、または2種以上の溶融ポリエステルをダイから押出した後に積層し、急冷固化して積層未延伸フィルムとし、ついで単層フィルムの場合と同じ方法、条件で二軸延伸、熱処理を行って積層二軸配向フィルムとする。
また、塗布層を設ける場合、前記した未延伸フィルムまたは一軸延伸フィルムの片面または両面に所望の塗布液を塗布するのが好ましい。
<フィルムコンデンサー>
本発明によれば、本発明の上記二軸配向フィルムをベースフィルムとし、その少なくとも片面上に金属層を有するフィルムコンデンサーが提供される。金属層の材質については、特に制限はないが、例えばアルミニウム、亜鉛、ニッケル、クロム、錫、銅およびこれらの合金が挙げられる。また、セルフヒーリング性を改良するために酸素原子含有化合物を含む層Dを設ける場合、フィルムコンデンサーの構成は、ベースフィルム/層D/金属層、層D/ベースフィルム/金属層が例示される。
フィルムコンデンサーとしては、上記本発明の二軸配向フィルムをベースフィルムとしていれば特に限定されず、例えば、小型化が要求される電気・電子用途、自動車用途の運転室内・耐熱性と耐湿性が求められるエンジンルーム内などにおける電気機器に使用される。なお、ベースフィルムが耐熱性および絶縁破壊電圧で表わされる耐電圧特性に優れ、さらに温度・湿度変化による寸法変化が極めて小さいため、よりフィルムコンデンサーの小型化が可能になり、また高温高湿度下で好適に使用することができる。
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により限定されるものではない。各特性値ならびに評価法は、下記の方法によって測定、評価した。また、実施例における部および%は、それぞれ重量部および重量%を意味する。
(1)融点、ガラス転移点
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)または熱可塑性樹脂(b)10mgを、測定用のアルミニウム製パンに封入し、TAinstruments社製示差熱量計DSC2920を用いて25℃から300℃まで20℃/minの昇温速度で測定し、それぞれの融点(ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)の融点:Tma、熱可塑性樹脂(b)の融点:Tmb)およびガラス転移点(ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)のガラス転移点:Tga、熱可塑性樹脂(b)のガラス転移点:Tgb)を求めた。
(2)耐熱性
フィルムサンプルを用い、IEC60216の温度指数に準拠し、絶縁破壊電圧の半減期の時間と温度の関係をアレニウスプロットして、20000時間に耐えうる温度を求めた。
(3)誘電率
熱可塑性樹脂を用い、JIS C2151に準拠して23℃、1MHzにおける誘電率を測定した。
(4)誘電損失
熱可塑性樹脂を用い、JIS C2151に準拠して23℃、1MHzにおける誘電損失を測定した。
(5)絶縁破壊電圧
フィルムサンプルを用い、JIS C2151記載の平板電極法に準拠して、東京精電株式会社製 ITS−6003を用いて、直流電流、160V/sの昇圧条件で絶縁破壊電圧を測定した。
(6)熱可塑性樹脂(b)の分散性、ボイド
フィルムサンプルのMD方向に平行な厚み断面を光学顕微鏡(Nikon社製OPTPHOT−2)を用いて200倍で観察し、100個の熱可塑性樹脂(b)からなる分散相のMD方向の長さを測定して平均長さを求めた。
また、その時の熱可塑性樹脂(b)からなる分散相の周囲のボイドを観察し、100個の熱可塑性樹脂(b)からなる分散相のうち、ボイドが発生している分散相の数を求め、下記基準により判定した。
○:ボイドを有する分散相が10個以下。
×:ボイドを有する分散相が10個を超える。
(7)湿度膨張係数(αh)
フィルムサンプルを幅方向が測定方向となるように長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、30℃、窒素雰囲気下(0%RH)から、湿度30%RH、および湿度70%RHのそれぞれの湿度条件下で一定に保ち、その時のサンプルの長さを測定し、次式(1)にて湿度膨張係数を算出する。10個の試料について測定を行い、その平均値をαhとした。
αh=(L70−L30)/(L30×△H) ・・・(1)
ここで、L30:30%RHのときのサンプル長(mm)
70:70%RHのときのサンプル長(mm)
△H:40(=70-30)%RHである。
(8)温度膨張係数(αt)
フィルムサンプルを幅方向が測定方向となるように長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、窒素雰囲気下(0%RH)、60℃で30分間前処理し、その後室温まで降温させる。その後25℃から70℃まで2℃/minで昇温し、各温度でのサンプル長を測定し、下記式(2)により温度膨張係数(αt)を算出する。10個の試料について測定を行い、その平均値を用いた。
αt={(L60−L40)/(L40×△T)}+0.5×10−6 ・・(2)
ここで、L40:40℃のときのサンプル長(mm)
60:60℃のときのサンプル長(mm)
△T:20(=60-40)℃
0.5×10-6:石英ガラスの温度膨張係数である。
(9)ヤング率
フィルムを試料幅10mm、長さ15cmに切り、チャック間100mmにして引張速度10mm/min、チャート速度500mm/minでインストロンタイプの万能引張試験装にて引張り、得られる荷重-伸び曲線の立上り部の接線よりヤング率を計算する。
フィルムの製膜方向、幅方向それぞれ10回測定し、それぞれの方向の平均値を用いた。
(10)製膜性
製膜時の状況を観察し、以下の基準でランク分けする。
◎:製膜する上で切断などの問題がなく、12時間以上の連続製膜が可能。
○:製膜可能である条件が狭く限定されるが、長尺のロールの採取は可能。
×:連続製膜性に劣り、極短時間でしか製膜ができない。
(11)コンデンサーの耐湿性
ヒューレットパッカード社製、4192A LF IMPEDANCE ANALYZERを用いて、60℃、95%RHの温湿度下で100V(DC)の電圧を印加し500時間エージングして、コンデンサーでの静電容量変化率を測定し、以下の基準で評価した。ここで、静電容量変化率は、△C/C(%)で表され、Cはエージング前の静電容量、△Cはエージング後の静電容量からエージング前の静電容量を引いた値の絶対値である。
○:△C/C(%)が5以下である。
×:△C/C(%)が5を超える。
[実施例1]
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチルおよびエチレングリコールを酢酸マンガンの存在下、常法によりエステル交換反応を行った後、トリエチルフォスフォノアセテートを添加した。次いで三酸化アンチモンを添加して、常法により重縮合させてポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂(PEN)を得た。本樹脂中の各元素の濃度を原子吸光法によって測定した結果、Mn=50ppm、Sb=300ppm、P=50ppmであった。
得られたポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂(固有粘度0.62)89重量%とシンジオタクチックポリスチレン(出光石油化学株式会社製、グレード;130ZC)10重量%、相溶化剤としてオキサゾリン基含有ポリスチレン(日本触媒株式会社製、エポクロスRPS−1005、SP値22.2(Fedor法))1重量%を均一にブレンドした熱可塑性樹脂組成物(c1)を180℃で6時間乾燥後、300℃に加熱された押出機に供給し、290℃のダイスよりシート状に成形した。さらにこのシートを表面温度60℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを140℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向)に3.6倍で延伸した後、60℃のロール群で冷却した。
続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き、横延伸最高温度が150℃に加熱された雰囲気中で長手方向に垂直な方向(横方向)に4.0倍で延伸した。その後テンター内で220℃で5秒間熱固定を行い、さらに200℃で1%熱弛緩を行った後、均一に除冷して、室温まで冷却し、3μm厚みの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。なお、PENのSP値は24.8(Fedor法)、シンジオタクチックポリスチレンのSP値は20.7(Fedor法)であった。また、得られたフィルムのヤング率は縦方向6.0GPa、横方向6.5GPaであった。
得られた二軸配向フィルムの片面にアルミニウムを500Å真空蒸着し、4.5mm幅のテープ状に巻取りリールにした。得られたリールを重ね合わせて巻回し、巻回体を得た後、150℃、1MPaで5分間プレスし、両端面にメタリコンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して巻回型フィルムコンデンサーを作成した。
得られたコンデンサーの耐湿性は評価は良好(5%以下)であった。
用いたポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂(a)、熱可塑性樹脂(b)の特性および得られた二軸配向フィルムの特性を表1に示す。
[実施例2]
熱可塑性樹脂組成物(c1)の代わりに、PENの含有量を89重量%から79重量%に変更し、シンジオタクチックポリスチレン(出光石油化学株式会社製、グレード;130ZC)の含有量を10重量%から20重量%に変更した熱可塑性樹脂組成物(c2)を用いた以外は実施例1と同様の操作を繰り返した。
得られた二軸配向フィルムの特性を表1に示す。
[実施例3]
熱可塑性樹脂組成物(c1)の代わりに、シンジオタクチックポリスチレンの種類をメチルスチレン10モル%共重合シンジオタクチックポリスチレンに変更した熱可塑性樹脂組成物(c3)を用い、また一軸延伸後のフィルムの片面に、D層として下記組成の水溶性塗液を延伸乾燥後の厚みが20nmになるように塗布した以外は実施例1と同様の操作を繰り返した。
(塗布層の組成)
バインダー樹脂A:イソフタル酸共重合PEN 50wt%
バインダー樹脂B:ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株)HPC-SL) 40重量%
界面活性剤:アルキルノニルフェニルエーテル 10重量%
得られた二軸配向フィルムの特性を表1に示す。
また、得られたフィルムサンプルの片面に厚さ600Åのアルミニウムを蒸着したフィルム積層体を、一辺1cmの正方形に切り、2枚重ね合わせて更に1辺2cmのゴム板に挟み、2kgの荷重をかけた。この状態で、フィルム積層体に電圧を印加して絶縁破壊を発生させたところ、セルフヒーリング性が観察された。
[比較例1]
熱可塑性樹脂組成物(c1)の代わりに、PENの含有量を89重量%から100重量%に変更し、シンジオタクチックポリスチレンおよび相溶化剤を用いなかった以外は実施例1と同様の操作を繰り返した。
得られた二軸配向フィルムの特性を表1に示す。
[比較例2]
熱可塑性樹脂組成物(c2)の代わりに、PENの含有量を79重量%から80重量%に変更し、相溶化剤の含有量を1重量%から0重量%に変更した熱可塑性樹脂組成物(c4)を用いた以外は実施例2と同様の操作を繰り返した。
3.0μm厚みの二軸配向フィルムを得ることを試みたが、製造時に非常に破断が多く発生した。
[比較例3]
熱可塑性樹脂組成物(c1)の代わりに、PENをポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)に変更し、かつポリエステル樹脂の含有量を89重量%から90%に変更し、相溶化剤の含有量を1重量%から0重量%に変更した熱可塑性樹脂組成物(c5)を用い、170℃で3時間乾燥後、280℃に加熱された押出機に供給し、290℃のダイスよりシート状に成形した。さらにこのシートを表面温度20℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを90℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向)に3.6倍で延伸した後、20℃のロール群で冷却した。
続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き、横延伸最高温度が120℃に加熱された雰囲気中で長手方向に垂直な方向(横方向)に4.0倍で延伸した。その後テンター内で220℃で5秒間熱固定を行い、さらに200℃で1%熱弛緩を行った後、均一に除冷して、室温まで冷却し、3μm厚みの二軸配向フィルムを得た。
用いたポリエチレンテレフタレート、熱可塑性樹脂(b)の特性および得られた二軸配向フィルムの特性を表1に示す。
Figure 2007009112
[実施例4]
ナフタレン-2,6-ジカルボン酸ジメチルおよびエチレングリコールを酢酸マンガンの存在下、常法によりエステル交換反応を行った後、トリエチルフォスフォノアセテートを添加した。次いで三酸化アンチモンを添加して、常法により重縮合させてポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート樹脂(a)(以下、PEN(a)と略記する)を得た。PEN(a)中の各元素の濃度を原子吸光法によって測定した結果、Mn=50ppm、Sb=300ppm、P=50ppmであった。
得られたPEN(a)(固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)0.62)69重量%、シンジオタクチックポリスチレン(b)(出光石油化学株式会社製、グレード:130ZC)30重量%、相溶化剤としてオキサゾリン基含有ポリスチレン(日本触媒株式会社製、エポクロスRPS−1005)1重量%を均一にブレンドした熱可塑性樹脂組成物(c6)、PEN(a)とを、それぞれ180℃で6時間乾燥後、300℃に加熱された押出機に供給し、マルチマニホールド型共押出ダイを用いて、熱可塑性樹脂組成物(c6)がフィルム層A、PEN(a)がフィルム層Bとなるようにダイ内で積層して押出し、表面温度60℃に保持したキャスティングドラム上で急冷固化せしめて、未延伸フィルムを得た。
この未延伸フイルムを、延伸倍率を変更した以外は、実施例1と同様な操作を繰り返して、二軸配向積層フィルムを得た。なお、積層フィルム中のフィルム層Aとフィルム層Bの厚みは、吐出量によって調整し、フィルム層Aが3μm、フィルム層Bが2μmであった。
得られた二軸配向積層フィルムの特性を表2に示す。
[実施例5]
フィルム層A/フィルム層Bの2層構成に代えて、フィルム層B/フィルム層A/フィルム層Bの3層構成を用い、二軸延伸後の各フィルム層厚みを1.0μm/3.0μm/1.0μmにそれぞれ変更し、延伸倍率を変更した以外は実施例4と同様な操作を繰り返した。
得られた二軸配向積層フィルムの特性を表2に示す。得られた二軸配向積層フィルムは、縦30mm×横200mmおよび縦200mm×横30mmに、それぞれサンプリングして平板に自然放置した状態でほとんどカールが見られなかった。
[比較例4]
実施例5で得られた未延伸フィルムをフィルムの製膜方向に3.6倍に延伸をし、製膜方向にのみ延伸された一軸配向フィルムを得た。
得られた一軸配向フィルムの特性を表2に示す。
Figure 2007009112
本発明によって得られた二軸配向フィルムは、耐熱性および絶縁破壊電圧で表される耐電圧特性に優れ、同時に製膜性にも優れることから、フィルムコンデンサーのベースフィルムとして好適に用いることができる。
また、本発明のフィルムコンデンサーは耐熱性および耐電圧特性に優れ、小型化や耐熱性を要する電気・電子機器用および自動車部品用フィルムコンデンサーとして好適に使用される。

Claims (16)

  1. ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)50〜97重量%と、誘電率3.0未満および誘電損失0.001未満のいずれか1つの特性を有する熱可塑性樹脂(b)3〜50重量%との熱可塑性樹脂組成物(c)からなり、該熱可塑性樹脂(b)が島状に分散しており、かつそのMD方向の平均長さが20μm以下であることを特徴とする単層または積層の二軸配向フィルム。
  2. 絶縁破壊電圧が400V/μmを超え、かつ耐熱温度が110℃以上である請求項1記載の二軸配向フィルム。
  3. 熱可塑性樹脂組成物(c)がボイドを有さない請求項1記載の二軸配向フィルム。
  4. 熱可塑性樹脂(b)の融点が230〜280℃である請求項1記載の二軸配向フィルム。
  5. 熱可塑性樹脂(b)がポリオレフィン樹脂である請求項1記載の二軸配向フィルム。
  6. 熱可塑性樹脂(b)がシンジオタクチックスチレン系重合体である請求項5記載の二軸配向フィルム。
  7. 熱可塑性樹脂組成物(c)が、さらにポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)と熱可塑性樹脂(b)の中間の溶解性パラメーターを有する熱可塑性非晶性樹脂(d)を熱可塑性樹脂組成物の重量を基準として0.1〜10重量%含む請求項1記載の二軸配向フィルム。
  8. 熱可塑性非晶性樹脂(d)が、アクリル酸共重合ポリオレフィンまたはビニルオキサゾリン共重合ポリオレフィン系樹脂である請求項7に記載の二軸配向フィルム。
  9. 二軸配向フィルムが積層フィルムであって、その少なくとも1層がポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)と熱可塑性樹脂(b)との熱可塑性樹脂組成物(c)からなるフィルム層Aであり、その少なくとも片面にポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(a)からなるフィルム層Bが積層されてなる請求項1記載の二軸配向フィルム。
  10. フィルム厚みが1〜10μmである請求項1記載の二軸配向フィルム。
  11. フィルムの幅方向の湿度膨張係数が0.1×10-6〜13×10-6%/RH%の範囲にある請求項1記載の二軸配向フィルム。
  12. フィルムの幅方向の温度膨張係数が−5×10-6〜15×10-6%/℃の範囲にある請求項1に記載の二軸配向フィルム。
  13. フィルムの製膜方向および幅方向のヤング率がともに5GPa以上で、かつ両者の合計が高々22GPaである請求項1に記載の二軸配向フィルム。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の二軸配向フィルムがフィルムコンデンサーに用いられることを特徴とするフィルムコンデンサー用二軸配向フィルム。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の二軸配向フィルムと、その少なくとも片面に設けられた酸素原子含有化合物を含む層Dとからなり、かつフィルム全厚みに対する層Dの厚みが30%以下であり、X線光電子分光法により測定した、層D表面における(酸素原子/炭素原子)比が10%以上であることを特徴とするフィルムコンデンサー。
  16. 請求項1〜13のいずれかに記載の二軸配向フィルムと、その少なくとも片面に設けられた金属層とからなることを特徴とするフィルムコンデンサー。
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