JPH10284340A - コンデンサ用熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents

コンデンサ用熱可塑性樹脂フィルム

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JPH10284340A
JPH10284340A JP9093684A JP9368497A JPH10284340A JP H10284340 A JPH10284340 A JP H10284340A JP 9093684 A JP9093684 A JP 9093684A JP 9368497 A JP9368497 A JP 9368497A JP H10284340 A JPH10284340 A JP H10284340A
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JP
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film
particles
capacitor
particle size
less
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JP9093684A
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English (en)
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Yoshiki Sato
嘉記 佐藤
Yoshio Meguro
義男 目黒
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Diafoil Co Ltd
Original Assignee
Diafoil Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蒸着工程でのフィルムの熱負け等のトラブル
を防止し、かつ高度な耐電圧特性、耐久性を与えること
のできる、コンデンサ誘電体用二軸配向熱可塑性樹脂フ
ィルムを提供する。 【解決手段】 平均粒径(d50)が0.3〜2.0μm
でかつ粒度分布値(d25/d75)が2.0以下の粒子A
を0.01〜1.0重量%含有し、フィルム表面の最大
高さ(Rmax)が1.5μm以下、フィルム厚みが
0.3〜3.0μmであることを特徴とするコンデンサ
用熱可塑性樹脂フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンデンサ用二軸
配向熱可塑性樹脂フィルムに関する。詳しくは、本発明
は、極めて薄いフィルムを用いて、蒸着コンデンサを製
造する場合に、蒸着工程でのフィルムの熱負け等のトラ
ブルを防止し、かつ高度な耐電圧特性、耐久性を与える
ことのできる、コンデンサ誘電体用二軸配向熱可塑性樹
脂フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器等の発達に伴い、それに
使用されるコンデンサへの要求特性も一段と厳しくなっ
ている。かかる要求特性として、良好な電気特性、耐久
性、小型化、および低価格等が挙げられる。かかる要求
に対応するため、近年極めて薄いフィルムに蒸着を施
し、ラッカリングで誘電体を形成して積層構造の素子形
成する、いわゆる積層コンデンサが用いられている。か
かるコンデンサに使用されるフィルムは、極めて薄いこ
とに加え、高度な要求特性を満足しなければならない。
すなわち、例えば3μm以下の薄いフィルムの場合は、
取扱い性や加工時の走行性を良好とし、傷の発生等によ
る特性低下を防止するため、フィルム表面の粗度を適当
な範囲に調節することが必要となる。一方、取扱い性を
向上するためフィルムに多量の粒子を含有させたり、大
きな粒子を含有させると電気的特性、耐久性に悪影響を
及ぼすようになる。したがって、かかる電気的悪影響が
なく、かつ取扱い性の優れたフィルムが、これからの電
子機器に用いる小型コンデンサの誘電体として要求され
ている。
【0003】特に向上の要求が強い電気的特性として、
耐電圧特性や絶縁抵抗特性が挙げられ、常温から高温ま
で広い温度範囲で高度な特性を有することが必要であ
る。フィルムの厚みが薄い場合は、特に良好な耐電圧特
性と、絶縁抵抗が要求される。耐電圧特性に悪影響を与
える因子としてフィルム中に存在する異物や、厚み斑等
が挙げられる。フィルムの取扱い性を向上させるため、
フィルム中に微粒子を添加する方法が採用されるが、か
かる微粒子に含まれる凝集物や粗大粒子等の異物が耐電
圧特性に影響する。さらに、フィルム表面の粗大突起や
フィルムの厚み斑が原因で、ラッカー層の均一性が低下
し、その耐電圧特性の低下を引き起こしてしまうことが
ある。これらの観点から、フィルムの表面は極めて均
一、かつ特定の突起形状を有する状態に保たれていなけ
ればならない。
【0004】最近は、かかる高度な電気的特性に加え、
フィルム自身の価格が低いことが要求され、高いコスト
がかかる方法は現実的には採用できないばかりか、さら
なるコスト削減が可能となる方法が求められている。二
軸配向熱可塑性樹脂フィルムの中でもポリエステルフィ
ルムは、機械的性質、耐熱性、電気的特性、耐薬品性
等、各種の特性を高度にバランス良く有し、コストパフ
ォーマンスの点で優れるため、コンデンサ用として使用
されているが、更なる特性向上の要求が強く、それらを
満足できるフィルムが望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、蒸着
フィルムコンデンサの誘電体として用いるフィルムにお
いて、蒸着工程でのフィルムの熱負け等のトラブルを防
止し、かつ高度な耐電圧特性、耐久性を与えることので
きる、コンデンサ誘電体用二軸配向熱可塑性樹脂フィル
ムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
鑑み鋭意検討を行った結果、特定の粒子を含有すること
により表面形状が設計された熱可塑性樹脂フィルムを用
いれば、極めて薄いフィルムとして製造した場合でも、
フィルム加工時のフィルム熱負け等のトラブルを防止で
き、高度な耐電圧特性と、広い温度範囲での良好な電気
的特性が得られ、コンデンサ誘電体として優れた特性を
有することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明の要旨は、平均粒径(d
50)が0.3〜2.0μmでかつ粒度分布値(d25/d
75)が2.0以下の粒子Aを0.01〜1.0重量%含
有し、フィルム表面の最大高さ(Rmax)が1.5μ
m以下、フィルム厚みが0.3〜3.0μmであること
を特徴とするコンデンサ用熱可塑性樹脂フィルムに存す
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるフィルムを構成する熱可塑性樹脂の例と
して、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリメチルペン
テン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイ
ド、ポリエーテルエーテルケトン等の樹脂が挙げられ
る。これらの中でも電気特性と機械的特性が良好で、比
較的安価である点からポリエステルが好ましい。
【0009】ここで言うポリエステルとは、芳香族ジカ
ルボン酸成分と、グリコール成分とからなるポリエステ
ルを指し、特に繰り返し単位の80%以上がエチレンテ
レフタレート単位またはエチレン−2,6−ナフタレー
ト単位または1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレ
フタレート単位を有するポリエステルが好適である。ま
た、かかるポリエステルは他の第三成分が共重合されて
いてもよい。芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフ
タル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸以外に、
例えば、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシ
ン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、オキシカル
ボン酸(例えば、p−オキシエトキシ安息香酸等)等を
用いることができる。グリコール成分としては、エチレ
ングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール以
外に、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネ
オペンチルグリコール等の一種または二種以上を用いる
ことができる。また、これらのポリエステルの混合物で
あってもよい。
【0010】かかるポリエステルの極限粘度は、通常
0.45以上、好ましくは0.50〜1.0、さらに好
ましくは0.52〜0.80の範囲である。極限粘度が
0.45未満では、フィルム製造時の生産性が低下した
り、フィルムの機械的強度が低下したりすることがあ
る。一方、ポリマーの溶融押出安定性の点から、極限粘
度は1.0を超えないことが好ましい。
【0011】また、本発明の熱可塑性樹脂は、フィルム
の絶縁抵抗特性を高度に満足するため、溶融時の体積固
有抵抗値(ρ値)が、5.0×108 Ω・cmを超える
ことが好ましい。ここでいうρ値は、フィルムを溶融し
て、その温度を押出成形温度に保ち、電極を挿入して測
定した抵抗値である。例えば、ポリエチレンテレフタレ
ートの場合は、285℃にて測定する。ρ値が5.0×
108 Ω・cm以下の場合は、フィルムの絶縁抵抗特性
が、特に80℃以上の温度範囲で低下する傾向がある。
ポリエステルの場合、ρ値を上記範囲とするために、ポ
リエステル製造時に添加する触媒金属の量を少なくす
る、あるいは金属の活性を低下させるために、リン酸、
あるいはリン酸エステル等のリン化合物を添加する方法
が用いられる。リン化合物の添加量[P]は、エステル
化またはエステル交換反応触媒の金属量[M]に対し、
モル比として[P]/[M]が0.8〜2.0の範囲と
なるように選択すればよい。
【0012】ポリエステルの製造時は反応触媒として金
属成分を使用し、それがポリエステル中に含有されるた
め、かかるρ値の上限は、通常1.0×1010Ω・cm
程度である。本発明においては、フィルムに滑り性を与
えて取扱い性を向上する目的や、フィルム製造時のキズ
の発生防止を目的として、フィルムに粒子を含有させ、
フィルム表面に適度な突起を形成させるが、本発明の特
徴は、かかる粒子として特定の粒子を用いることにあ
る。すなわち、本発明者らの知るところによると、特定
の粒子を含有させた場合に、フィルム取扱い性と電気特
性とが同時に向上される。すなわち、平均粒径(d50)
が0.3〜2.0μm、粒度分布値(d25/d75)が
2.0以下の粒子Aを0.01〜1.0重量%含有させ
た場合に、高度な特性が得られる。
【0013】粒子Aの平均粒径が上記した範囲より大き
い場合は、フィルム自身の絶縁抵抗低下や、粒子のフィ
ルム表面からの脱落による絶縁欠陥の発生、フィルム粗
面化によりラッカー層の厚み均一性が低下して、誘電体
として存在するラッカー層の絶縁抵抗特性が低下する等
の問題が発生するようになるため好ましくない。粒子A
の平均粒径は、好ましくは1.7μm以下、さらに好ま
しくは1.5μm以下である。
【0014】粒子Aの粒度分布値が上記した範囲より大
きいと、粗大粒子を含有するようになり、平均粒径が大
きすぎる場合と同様の問題を発生させてしまう。粒度分
布値は好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.7
以下である。粒度分布値の下限は、粒子製造効率、コス
ト等の点から通常1.1、好ましくは1.2である。一
方、粒子Aの平均粒径が0.3μm未満の場合は、フィ
ルムの走行性を向上させる効果が不十分になることに加
え、フィルムに傷が発生する等の理由で絶縁抵抗特性が
低下する問題が生ずるようになる。粒子Aの平均粒径
は、好ましくは0.4μm以上、さらに好ましくは0.
5μm以上である。
【0015】粒子Aの含有量に関しては、上記した範囲
未満の場合は、フィルム表面の突起が不足して滑り性が
不十分となる。一方、含有量が多すぎると、粒子の脱落
が起こりやすくなったり、粒子が凝集して粗大突起を形
成し、絶縁欠陥等の問題が生ずるようになる。粒子Aの
含有量は、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ま
しくは0.1重量%以上であり、また、1.0重量%以
下が好ましく、0.8重量%以下がさらに好ましい。
【0016】また、上記した要件を満たす粒子Aに加
え、平均粒径0.5μm未満、粒径分布値3.0以下の
粒子Bを、2.0重量%以下、好ましくは1.0重量%
以下の範囲で含有させることができる。かかる平均粒径
の小さい粒子Bを同時に含有させることにより、フィル
ム製造工程や加工工程での表面の傷発生を防止すること
ができ、コンデンサの絶縁抵抗特性の低下を防止するこ
とができる。かかる粒子の平均粒径は、さらに好ましく
は0.4μm未満、特に好ましくは0.3μm未満であ
る。一方、粒子Bの平均粒径が0.1μm未満では、傷
防止の効果は小さくなる。かかる小粒子として、凝集形
態や連鎖状の粒子を使用する場合であっても、後述する
方法で測定した平均粒径が上記した範囲であれば使用で
きる。
【0017】本発明において使用できる粒子の例として
は、炭酸カルシウム、シリカ、リン酸カルシウム、カオ
リン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウ
ム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、
硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ
酸カルシウム等の有機粒子、およびポリエステルの場
合、重合時に生成させる析出粒子を挙げることができ
る。
【0018】本願発明においては、上記した平均粒径
0.3〜2.0μmおよび粒径分布値2.0以下の要件
を満たす粒子Aとして、炭酸カルシウム、シュウ酸カル
シウムを特に好ましく使用する。かかる粒子の場合、粒
子の脱落が起こりにくく、かつ良好な電気特性を与える
ことができる。一方、実質的に球状のシリカ粒子や、球
状の架橋高分子粒子を、平均粒径0.3〜2.0μmお
よび粒径分布値2.0以下の要件を満たす粒子Aとして
含有させることは好ましくない。ここで言う実質的に球
状の粒子とは、例えば特開昭63−317533号公報
に記載されているような球状のシリカ粒子や、特開昭6
3−178144号公報や特開昭63−191838号
公報に記載されているような球状の架橋高分子粒子を指
し、粒子が特定の長径と短径の比を有しているものや特
定範囲の体積形状係数を有するものを指す。かかる球状
の粒子は、フィルム製造工程やコンデンサ製造工程でフ
ィルムから脱落して、工程内を汚したり、絶縁欠陥の原
因となったりする問題が発生することがあり、好ましく
ない。特に球状のシリカ粒子は、脱落による工程内汚染
により、蒸着の生産性を著しく低下させることがあるた
め好ましくない。
【0019】ただし、本発明の要件を満たす粒子を含有
させ、それに加えて、粒子Aの平均粒径よりも小さい粒
径の球状粒子を含有させることはできる。この場合で
も、球状粒子の粒径は0.5μm未満が好ましく、0.
3μm未満がさらに好ましい。また、球状粒子の含有量
は0.5重量%以下が好ましく、0.3重量%以下がさ
らに好ましい。
【0020】また、平均粒径0.5μm未満、粒径分布
3.0以下の要件を満たす粒子Bとして、本願発明にお
いては、実質的に球形ではない、微細シリカ粒子あるい
は架橋高分子粒子が好ましい。かかる粒子は、電気的特
性に優れるため、フィルムの絶縁抵抗、耐電圧特性を良
好にすることができる。粒子を含む熱可塑性樹脂の製造
に際して、粒子は樹脂の製造中に添加しても樹脂に直接
添加してもよい。特にポリエステルの場合、合成反応中
に添加する場合は、粒子をエチレングリコール等に分散
させたスラリーとして、ポリエステル合成の任意の段階
で添加する方法が好ましい。一方、樹脂に直接添加する
場合は、乾燥した粒子として、または、水あるいは沸点
が200℃以下の有機溶媒中に分散したスラリーとし
て、2軸混練押出機を用いて樹脂に添加混合する方法が
好ましい。なお、添加する粒子は、必要に応じ、事前に
解砕、分散、分級、濾過等の処理を施しておいてもよ
い。
【0021】粒子の含有量を調節する方法としては、上
記した方法で高濃度に粒子を含有するマスター原料を作
っておき、それを製膜時に、実質的に粒子を含有しない
原料で希釈して粒子含有量を調節する方法が有効であ
る。また、上記の突起形成剤以外の添加剤として、必要
に応じて、帯電防止剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロ
ッキング防止剤、酸化防止剤、着色剤、光線遮断剤、紫
外線吸収剤などを、コンデンサ特性を悪化させない範囲
内で含有していてもよい。
【0022】本発明のフィルムは上記した要件を満たす
ことにより優れた電気特性を有するコンデンサを与える
が、フィルムの厚みが0.3〜3.0μmという極めて
薄いものの場合にその効果を発揮する。すなわち、本願
発明のフィルムの表面特性の効果が特に発揮されるの
は、誘電体層として薄いラッカー層をフィルム表面に塗
布する工法のコンデンサの場合である。厚いフィルムの
場合にはかかる用途にはあまり用いられず、また、ラッ
カー層を厚くして絶縁特性を向上する対策が採用できる
ため、本願発明のように平坦な表面とする必要性は低
い。一方、フィルム厚みが0.3μm未満の薄いフィル
ムは、強度や厚みムラの問題からフィルム製造の生産性
が極めて悪く、実用できる範囲ではない。フィルム厚み
は、好ましくは0.5〜2.5μm、さらに好ましくは
1.0〜2.5μmの場合、本発明の効果がより高度に
発揮され、しかもコンデンサの小型化への寄与が大きく
なる。
【0023】本発明のフィルムは、最終的に得られる特
性が本発明の用件を満足する限り、多層構造となってい
ても構わない。また、目的とするフィルムと剥離可能な
ポリマー層と、本発明の樹脂層とを共押出法等により積
層したフィルムを製造し、二軸配向フィルムとした後で
剥離する方法を用いてもよい。本発明のフィルムは、蒸
着金属との接着性を高めるため、フィルムの片面または
両面に塗布層を設けてもよい。塗布層を構成する成分と
しては、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポ
リアクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルブチ
ラール、ポリビニルアルコール、ポリウレタンなどの樹
脂およびこれらの樹脂の共重合体などを挙げることがで
きる。かかる樹脂の一種または二種以上の樹脂を同時に
含有してもよく、また必要に応じて微粒子等の突起形成
剤、帯電防止剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキン
グ防止剤、酸化防止剤、消泡剤、増粘剤、塗布性改良剤
などを、コンデンサ特性を悪化させない範囲内で含有し
ていてもよい。
【0024】上述の塗布液をフィルムに塗布する方法と
しては原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーテ
ィング方式」に示されるリバースロールコーター、グラ
ビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター
あるいはこれら以外の塗布装置を用いることができる。
塗布層は、フィルム製造工程内で設けてもよいし、フィ
ルム製造後に塗布してもよい。特に塗布厚みの均一性
や、生産効率の点で、フィルム製造工程内で塗布する方
法が好ましい。
【0025】フィルム製造工程内で塗布する方法として
は、未延伸フィルムに塗布液を塗布し、逐次あるいは、
同時に二軸延伸する方法、一軸延伸されたフィルムに塗
布し、さらに先の一軸延伸方向と直角の方向に延伸する
方法、あるいは二軸延伸フィルムに塗布し、さらに横お
よび/または縦方向に延伸する方法などがある。塗布層
の厚さは、通常0.005〜0.5μmの範囲であり、
好ましくは0.01〜0.2μmの範囲である。塗布層
の厚さは、コンデンサ小型化の要請からも薄くすること
が好ましい。特に塗布層厚みが0.5μmを超えると電
気的特性を悪化させることがある。一方、塗布層の厚み
が0.005μm未満の場合には、塗布ムラや塗布ヌケ
が生じやすくなる傾向がある。
【0026】かくして得られた本発明のフィルムの表面
の最大高さ(Rmax)は1.5μm以下であり、好ま
しくは1.3μm以下、さらに好ましくは1.1μm以
下である。Rmaxが1.5μmを超えると、表面が粗
れすぎてフィルム自身の耐電圧特性が低下したり、コン
デンサの耐湿熱特性が悪化する問題や、ラッカー層の厚
み均一性が低下して、ラッカー層の絶縁抵抗特性が低下
する問題が発生することがある。
【0027】一方、Rmaxの下限は、フィルムの取り
扱い性、巻き特性等を満足させるため通常0.3μm、
好ましくは0.5μmとする。また、フィルム表面の最
大突起高さに加え、中心線平均粗さ(Ra)が好ましく
は0.020〜0.20μm、さらに好ましくは0.0
30〜0.12μmの範囲である場合、フィルム取り扱
い性が良好となり、傷発生によるコンデンサ絶縁特性低
下を防止することができる。
【0028】さらに、本発明のフィルムの表面の形状に
ついて、三次元粗度計を用いて後述する方法で測定した
突起数に関して、フィルム表面の高さ0.1μm以上の
突起数が1000個/mm2 以上、好ましくは1500
個/mm2 以上、高さ1.2μm以上の突起数が50個
/mm2 以下、好ましくは30個/mm2 以下である場
合、取り扱い性と電気特性を高度に満足することができ
るため好ましい。高さ0.1μm以上の突起数が100
0個/mm2 未満の場合は、フィルムの取り扱い性、加
工時の走行性が不良となることがあり、傷発生等による
コンデンサ絶縁特性が低下する恐れがある。一方、高さ
1.2μm以上の突起数が50個/mm 2 を超える場合
は、Rmaxが大きすぎる場合と同様に、ラッカー層の
絶縁抵抗特性が低下するようになる恐れがある。
【0029】かかるフィルムの表面特性に加え、フィル
ムの長手方向のヤング率が4.5GPa以上、好ましく
は5.0GPa以上である場合、電気特性および蒸着時
の取扱い性がさらに高度となる。すなわち、フィルムに
金属蒸着を行う工程では、フィルムを巻出し、一定の張
力をかけて走行させながら蒸着する。したがって、かか
る張力に対して十分な強度、すなわち高ヤング率を持っ
ていなければ、フィルムは張力に耐えられず、しかも蒸
着による熱により大きなダメージを受けることがある。
本発明者らの知るところによれば、かかるダメージを受
けた場合、蒸着フィルムの耐熱寸法安定性が低下するた
め、コンデンサ製造時の歩留まりが低下したり、得られ
たコンデンサの電気的特性が低下してしまう傾向があ
る。フィルムの長手方向のヤング率が本発明の範囲にあ
るならば、かかる電気特性が高度に満足されるのであ
る。
【0030】また、本発明のフィルムは、180℃で3
分間処理した後の長手方向の収縮率が5.0%以下であ
ることが好ましく、4.0%以下がさらに好ましい。か
かる長手方向の熱収縮率が大き過ぎる場合は、コンデン
サ製造時の熱を受ける工程でフィルムが寸法変化を起こ
し、生産性が悪化したり、コンデンサの寿命が短縮され
てしまう等の問題が起こる。一方、同熱収縮率は好まし
くは1.0%以上、さらには2.0%以上であることが
望ましい。かかる熱収縮率が小さすぎると、蒸着工程で
フィルムと冷却キャンとの密着が不十分になり、熱ダメ
ージを受けやすくなったり、フィルムを積層してコンデ
ンサとする際に、フィルム間の密着を高める効果が得ら
れ難くなる傾向がある。一方、同条件での幅方向の収縮
率は、長手方向の収縮率よりも小さいことが好ましく、
かつ2%未満であることが好ましい。
【0031】次に、本発明のフィルムの製造法を、本発
明の最も好ましい実施態様であるポリエステルフィルム
に関して具体的に説明する。まず、ポリエステル原料を
押出装置に供給し、ポリエステルの融点以上の温度で溶
融押出してスリット状のダイから溶融シートとして押し
出す。次に、溶融シートを、回転冷却ドラム上でガラス
転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に
非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平
面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密
着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印
加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用
される。 本発明においては、このようにして得られた
シートを二軸方向に延伸してフィルム化するが、その延
伸および熱処理条件を適切な範囲とすることにより、本
発明のフィルムの特徴である配向とヤング率を達成させ
ることができる。二軸延伸条件について具体的に述べる
と、前記未延伸シートをまず第一軸方向にその複屈折率
(Δn)が通常0.08以上、好ましくは0.09以上
となるように延伸する。延伸温度範囲は70〜150
℃、延伸倍率は2.5〜6倍の範囲とし、温度と倍率を
適宜組み合わせることにより、所望の複屈折率となるよ
うにする。延伸は一段階または二段階以上で行うことが
できる。次に第二軸方向、すなわち第一軸方向と直交す
る方向に一軸配向フィルムを一旦ガラス転移点以下に冷
却するか、または冷却することなく、例えば80〜15
0℃の温度範囲に予熱して、さらに同温度範囲で2.5
〜5倍、好ましくは3.0〜4.5倍に延伸を行い、二
軸に配向したフィルムを得る。
【0032】なお、第一軸方向の延伸を2段階以上で行
うことは、良好な厚さ均一性を達成できるので好まし
い。また、横延伸した後、さらに長手方向に再延伸する
方法も可能であるが、いずれにしても長手方向の総合延
伸倍率を3.5倍以上とすることが好適である。かくし
て得られたフィルムを、20%以内の伸長、制限収縮、
または定長下で1秒〜5分間熱処理する。この際、熱処
理工程内または熱処理後に長手方向または横方向、ある
いは両方向に再延伸を行ってもよい。
【0033】本発明においては、ポリエステルフィルム
の場合、密度を1.4050g/cm3 未満、さらには
1.4030g/cm3 未満とすることが望ましく、か
かる特性を満足するため、上記した熱処理工程の温度を
適宜選択する。熱処理温度は、延伸条件にもよるが、好
ましくは180〜250℃、さらに好ましくは200〜
240℃の範囲である。熱処理温度が250℃を超える
と、フィルム密度が高くなりすぎて高度な電気的特性が
得られなくなることがある。一方、熱処理温度が180
℃未満では、フィルムの熱収縮率が大きくなって、コン
デンサ製造時に熱を受ける工程で寸法変化を起こし、コ
ンデンサの生産性を悪化させたり、耐電圧等のコンデン
サ特性が低下する等の問題が生ずることがある。
【0034】本発明のフィルムを用いてコンデンサを製
造する際、金属蒸着により電極を形成する場合は、蒸着
する金属として、アルミニウム、パラジウム、亜鉛、ニ
ッケル、金、銀、銅、インジウム、錫、クロム、チタン
等が挙げられ、特に好ましい金属はアルミニウムであ
る。なお、上記の金属には金属の酸化物も含まれる。複
数種類の金属を、混合または積層状に蒸着してもよい。
【0035】金属蒸着膜の厚さは1〜200nmの範囲
が好ましく、蒸着の方法は、一般的には真空蒸着法であ
るが、エレクトロプレーティング法、スパッタリング法
等の方法によってもよい。なお、金属蒸着層はフィルム
の両面または片面に設ける。また、金属蒸着後に蒸着金
属層の表面処理や他の樹脂による被覆処理を行ってもよ
い。
【0036】このようにして得られた金属蒸着フィルム
にラッカー層を塗布により形成し、得られたフィルムを
多数枚積層してコンデンサ素子を作り、常法に従って、
例えば、メタリコン、電圧処理、両端面封止、外装形成
などを行ってコンデンサとすることができるが、もちろ
んこれらに限定されるわけではない。
【0037】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下
の実施例によって限定されるものではない。なお、実施
例中の評価方法は下記のとおりである。実施例および比
較例中、「部」とあるのは「重量部」を示す。 (1)ポリマーの極限粘度 [η] (dl/g) ポリマー1gをフェノール/テトラクロロエタン=50
/50(重量比)の混合溶媒100mlに溶解し、30
℃で測定した。 (2)粒子の平均粒径(d50)(μm)および粒度分布
値(d25/d75) 島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP
3型)で測定した等価球形分布において大粒子側から積
算した積算体積分率50%の粒径を平均粒径(d50)と
した。また、積算体積分率25%、および75%の値を
それぞれd25、d75とし、その比の値(d25/d75)を
粒径分布値とした。粒径分布値が小さいほど粒子の粒径
分布がシャープであることを示す。 (3)溶融時の体積固有抵抗値(ρ値)(Ω・cm) フィルムを285℃にて溶融し、系内を減圧にする等の
方法で気泡を除去した。同温度に保ったポリマー中に、
ステンレス製の1cm2 の面積を有する電極を2本5m
mの間隔で固定して挿入した。電極間に100Vの電圧
をかけ、流れた電流値から比抵抗値を算出した。電流値
は記録計に記録し、電圧をかけ始めてから1秒後の値を
読みとった。 (4)最大高さ(Rmax)および中心線平均粗さ(R
a)(μm) (株)小坂研究所製表面粗さ測定機(SE−3F)を用
いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲
線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の
部分を抜きとり、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦
倍率の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x)で表した
とき、次式で与えられた値を中心線平均粗さ(Ra)と
し、〔μm〕で表した。
【0038】最大高さ(Rmax)は、上記で得られた
フィルム断面曲線の抜き取り部分の、平均線に平行な2
直線で抜き取り部分を挟んだ時、この2直線の間隔を断
面曲線の縦倍率の方向に測定した値を最大高さ(Rma
x)とし、〔μm〕で表した。 最大高さ、中心線平均
粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求
め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分のそれぞ
れの値の平均値で表した。なお、触針の先端半径は2μ
m、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mm
とした。
【0039】
【数1】 (5)表面突起個数 (株)小坂研究所製三次元表面粗さ測定機(SE−3A
K)を用い、触針の先端半径5μm、針圧30mg、測
定長0.5mm、サンプリングピッチ1.0μm、カッ
トオフ0.25mm、縦倍率20000倍、横倍率20
0倍、走査本数500本の条件で突起高さと突起数を測
定した。ここで言う突起高さ(X,μm)は、突起個数
が最大となる点の高さを0レベルとし、このレベルから
の高さをもって突起高さとし、各突起高さにおける突起
数(Y,個/mm2 )の関係を図式化し、分布曲線とし
て表わした。
【0040】突起高さ0.5μm以上、および1.0μ
m以上の突起は、上記方法による突起高さが0.5μm
および1.0μmを越えた突起に対応する突起数のそれ
ぞれの総数をもって表わす。測定は、フィルム長手方向
に3点、それと直角方向に3点、計6点行い、その平均
値を測定値とした。なお、測定フィルムは、平滑なガラ
ス製サンプル台にセットされるが、フィルムとガラスと
の間には液体、空気等を存在させずにガラスに密着させ
るものとする。 (6)フィルム厚み(μm) フィルムの厚みは重量法により求めた。すなわち、10
cm×10cmの正方形に切り出したフィルム100枚
の合計重量を測定し、フィルムの密度を用いて算出し
た。なお、フィルムの密度はn−ヘプタン/四塩化炭素
による密度勾配管を用いて、25℃にて測定した。 (7)収縮率(%) フィルムを無張力状態で、180℃に保ったオーブン中
で3分間熱処理し、その熱処理前後のフィルムの長さを
測定することにより次式にて計算した。
【0041】
【数2】 (上記式中、L0は熱処理前のフィルム長(mm)、L
1は熱処理後のフィルム長(mm)を意味する) 測定は、長手方向、幅方向それぞれ10点ずつ行い、そ
の平均値を求めた。 (8)ヤング率(GPa) (株)インテスコ製 引張試験機インテスコモデル20
01型を用いて、温度23℃、湿度50%RHに調節さ
れた室内において測定した。すなわち、長さ300m
m、幅25mmの試料フィルムを、10%/分のひずみ
速度で引張り、引張応力−ひずみ曲線の初めの直線部分
を用いて次の式によって計算する。
【0042】
【数3】E=Δσ/Δε (上記式中、Eは引張弾性率、Δσは直線上の2点間の
元の平均断面積による応力差、Δεは同じ2点間のひず
み差である) (9)電気的特性評価 (コンデンサの製造)以下のようにしてコンデンサを製
造して評価した。すなわち、フィルム両面に、抵抗加熱
型金属蒸着装置を用い、真空室の圧力を10-4Torr
以下としてアルミニウムを40nmの厚みに蒸着した。
その際、フィルムの長手方向にマージン部を有するスト
ライプ状に蒸着した。得られた蒸着ポリエステルフィル
ムの表面にポリフェニレンオキサイドからなるラッカリ
ング誘電体膜を塗布により設けた。該フィルムを複数枚
積層し、その両面にポリエステルフィルムの表面にポリ
フェニレンオキサイド膜を有するカバーフィルムを設け
た。かくして得られた複数条のコンデンサ母体を条方向
に分割した。得られたコンデンサ母体を熱処理、メタリ
コン処理した後、条方向と直角方向に鋸刃を用いて切断
し、さらに各コンデンサ素子にリード付け、電圧処理、
エポキシ外装処理を施して、コンデンサを作成した。 (i)耐電圧特性 10kV直流耐電圧試験機を用い、23℃、50%RH
の雰囲気下にて、10V/秒の昇圧速度で上昇させ、コ
ンデンサが短絡し、コンデンサとしての機能をた持たな
くなった時の電圧を読み取った。測定は、110個のコ
ンデンサについて行い、数値の大きい方から5点、小さ
い方から5点を除外して、100点の値の平均値を算出
した。 (ii)絶縁抵抗特性 (静電容量の測定)横河ヒューレットパッカード社製の
LCRメータ4284A(商品名)を用い、得られたコ
ンデンサの静電容量C[F]を測定した。測定は23
℃、50%RHの雰囲気下で行った。 (絶縁抵抗値の測定)横河ヒューレットパッカード社製
の高抵抗計4329A(商品名)を用い、得られたコン
デンサの電極間に100Vの直流電圧を印加し、コンデ
ンサの抵抗値R[Ω]を測定した。電圧印加は1分間行
い、その間電流値をレコーダーに記録した。電流値は電
圧印加直後に最大値を示した後低下するが、その最大値
を測定値Rとした。測定は23℃、および130℃にて
行った。コンデンサの絶縁抵抗の評価は、C×R(CR
値)[Ω・F]にて行った。CR値が大きい方が絶縁抵
抗が良好であることを示す。
【0043】実施例1 ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール
60部および酢酸カルシウム1水塩0.09部を反応器
にとり、加熱昇温するとともにメタノールを留去してエ
ステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して2
30℃まで昇温し、実質的にエステル交換反応を終了し
た。
【0044】次いで、粒径1.4μm、粒径分布値1.
6の炭酸カルシウム粒子1.0部をエチレングリコール
スラリーとして添加した。スラリー添加後、さらにリン
酸0.06部、三酸化アンチモン0.04部を加え、徐
々に反応系を減圧とし、温度を高めて重縮合反応を4時
間行い、極限粘度0.66のポリエステル(a)を得
た。
【0045】同様にして、平均粒径0.20μm、粒径
分布値1.9のシリカ粒子を0.6重量%含有する極限
粘度0.65のポリエステル(b)を得た。また、粒子
を含有しないこと以外は同様にして極限粘度0.66の
ポリエステル(c)を得た。ポリエステル(a)20部
とポリエステル(b)70部とポリエステル(c)10
部とを混合した原料を常法により乾燥して押出機に供給
し、290℃で溶融してシート状に押出し、静電印加密
着法を用いて冷却ロール上で急冷し、無定形シートとし
た。得られたシートを、ロール延伸法を用いて縦方向に
84℃で2.9倍延伸した後、さらに70℃で1.5倍
延伸した。次いでフィルムをテンターに導いて、横方向
に110℃で4.1倍延伸し、225℃で熱処理を行
い、さらに200℃のゾーンで3%の横方向弛緩処理を
行って、フィルムの厚み2.0μmの二軸延伸ポリエス
テルフィルムを得た。中心線平均粗さ(Ra)は0.0
60μm であった。
【0046】得られたフィルムを用いて作成した金属蒸
着フィルムコンデンサは、下記表1に示すとおり、耐電
圧特性に優れ、絶縁抵抗特性に優れる金属蒸着ポリエス
テルフィルムコンデンサであった。 実施例2〜5および比較例1〜4 実施例1と同様にして粒子を含有するポリエステルを製
造し、製膜条件は実施例と同様にして厚み2.0μmの
ポリエステルフィルムを得た。なお、フィルム中に含有
する粒子の平均粒径、粒径分布、および含有量は表1に
示したとおりである。
【0047】まお、実施例5においては、フィルムの蒸
着工程で走行時にフィルムと接触する部分で白粉の発生
があり、生産性は他の実施例に比べると劣るものであっ
た。ただし、比較例3は、フィルムの取り扱い性が著し
く劣るため、フィルムを良好なロール状で得ることがで
きなかった。従って少量のフィルムを得て特性測定は行
ったが、コンデンサを作成して評価することはできなか
った。
【0048】実施例6 実施例1において、フィルム延伸条件を次のように変更
した。すなわち、ロール延伸法による縦方向の延伸を、
まず85℃にて2.4倍、次いで75℃にて1.2倍と
し、テンターで110℃にて4.5倍横延伸し、さらに
245℃で熱処理を行いつつ、横方向に3%の弛緩処理
を行って、厚み2.0μmの二軸配向ポリエステルフィ
ルムを得た。
【0049】実施例7 実施例1において、ポリエステル製造時、エステル交換
反応後に加えるリン酸の添加量を0.035部としたこ
と以外は実施例1と同様にして得たポリエステル原料を
用いて、製膜条件は実施例1と同様にして厚み1.8μ
mの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0050】比較例5 原料およびフィルム製造条件は実施例1と同様にして、
原料押出量を変更してフィルム厚み4.0μmの二軸延
伸フィルムを得た。該フィルムを用いてコンデンサを作
成したが、実施例の場合と同等の容量にしようとすると
コンデンサ自体が大きくなってしまい、実用に共するこ
とはできず、本発明の効果を発揮できなかった。
【0051】比較例6 原料およびフィルム製造条件は実施例1と同様にして、
原料押出量を変更してフィルム厚み0.2μmの二軸延
伸フィルムを得ようとしたが、フィルム厚みが薄すぎる
ため破断やテンタークリップ抜けが頻発し、著しく生産
性が悪く、評価の対象となるフィルムは得られなかっ
た。
【0052】実施例および比較例で得られたポリエステ
ルとそのフィルム物性およびそれらを用いて作成した蒸
着コンデンサの特性評価結果を下記表1〜3にまとめて
示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【発明の効果】本発明のフィルムは、極めて薄いフィル
ムであるにもかかわらず、金属蒸着フィルムコンデンサ
の誘電体として用いるときに、蒸着工程での熱負け等の
トラブルを起こすことなく、かつ得られたコンデンサは
高度な耐電圧特性と絶縁抵抗特性を有し、コンデンサの
小型化と信頼性向上に寄与することができ、その工業的
価値は高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 105:16 B29L 7:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径(d50)が0.3〜2.0μm
    でかつ粒度分布値(d25/d75)が2.0以下の粒子A
    を0.01〜1.0重量%含有し、フィルム表面の最大
    高さ(Rmax)が1.5μm以下、フィルム厚みが
    0.3〜3.0μmであることを特徴とするコンデンサ
    用熱可塑性樹脂フィルム。
  2. 【請求項2】 平均粒径(d50)が0.5μm未満でか
    つ粒度分布値(d25/d75)が3.0以下の粒子Bを
    0.1〜2重量%含有することを特徴とする請求項1記
    載のコンデンサ用熱可塑性樹脂フィルム。
  3. 【請求項3】 180℃で3分間処理した後のフィルム
    長手方向の収縮率が1.0〜5.0%であることを特徴
    とする請求項1または2に記載のコンデンサ用熱可塑性
    樹脂フィルム。
  4. 【請求項4】 二軸に配向されていることを特徴とする
    請求項1〜3の何れかに記載のコンデンサ用熱可塑性樹
    脂フィルム。
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