JPH08219961A - ブレーキホースの耐圧試験装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】試験工程数を少なくして生産性を向上させ、耐
圧試験後の製品の欠陥検出機能を有するブレーキホース
の耐圧試験装置を提供すること。 【構成】ブレーキホースの外面側にリークする欠陥（外
面フクレ等）を検出するための高圧試験系統と内面フク
レを検出するための低圧試験系統とを備え、高圧試験系
統及び低圧試験系統の何れにおいても、試験対象ホース
とその試験対象ホースと同一構造のマスターサンプルに
連絡する分岐配管を備え、高圧試験系統の分岐配管間に
高圧気密テスト用差圧センサーを連絡配置し、低圧試験
系統の分岐配管間に内径測定用差圧センサーを連絡配置
した。また、高圧・低圧両試験系統の分岐配管は試験対
象ホース毎に且つマスターサンプル毎に連絡合流させる
一方、何れの分岐配管においてもバルブを設け、このバ
ルブの切替え開閉により高圧試験と低圧試験とを共通の
配管上で分離して行えるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ブレーキホースの耐圧
試験装置に関し、とりわけ、外面側にリークする欠陥や
内面フクレによる圧力変化を利用してブレーキホースの
合否を判定するための装置の提供に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ブレーキホースは、図２（イ）
のように、ホース本体３の両端に継手金具１，２を締結
したもので、ホース本体３は、内層１０、補強糸層１
１、中間層１２、補強糸層１３及び外層１４からなる。
内層１０、中間層１２及び外層１４は普通ゴムで形成さ
れている。このような構造のブレーキホース４は、継手
金具を締結して完成とした後、完成品の全数について耐
圧試験を実施してその合否を判定し、合格したものを市
販に供している。

【０００３】ブレーキホースの耐圧試験は、一般にホー
ス内に水を圧入し、内面側に３００kgf/cm² ×３分間の
条件で加圧することにより実施されていた。この耐圧試
験は、ホースの外面側にリークする欠陥とりわけ、ホー
ス本体の加硫中に図３のように補強糸層１１の網目の乱
れで発生したピンホール１０ａと中間層１２の隙間１２
ａを通過してできた水溜まり１４ｂにより生じた外面フ
クレ１４ａを、加圧中または加圧後に目視または触手で
チェックしていた。それから、製品の内外面に付着して
いる水滴を除去した後、ホース本体の内面側の欠陥すな
わち、図４のようにホース本体の加硫中に補強糸層１１
の網目の乱れで発生したピンホール１０ａを通過してで
きた水溜まり１０ｂにより生じた内面フクレ１０ｃを検
出するために、所定の外径（例えばφ２．００〜φ２．
０５）を有する鋼線を製品の全長に通すかまたは所定の
直径を有する鋼球を通過させるなどの方法でホースの内
径が所定の寸法に確保されているか否かを確認して完成
品の合否を判定し合格品としていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来技術の試験例で
は、水圧による耐圧試験によって、水圧を加える作
業、脱水作業、内外径のチェック作業の３工程を必要と
し生産面で無駄があった。ブレーキホースを自動車に
取り付けた後の使用状態ではブレーキ液内の水分含有率
が高いとベイパーロック現象を起こし、ブレーキ性能を
著しく低下させる。従って、水圧による耐圧試験後には
ブレーキホース内に付着している水滴は完全に除去する
必要があるが、継手金具の形状が複雑になると水滴を残
留させてしまう難点があった。ホース内外に発生する
フクレ、継手金具からのリークは目視や触手など人間の
五感でチェックするために見逃してしまう難点があっ
た。

【０００５】本発明は、上記の従来技術の問題点を解消
し、試験工程数を少なくして生産性を向上させ、耐圧試
験後の製品の欠陥検出機能を有するブレーキホースの耐
圧試験装置を提供することに目的をおいたものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明により提供するブ
レーキホースの耐圧試験装置は、ブレーキホースの外面
側にリークする欠陥を検出するための高圧試験系統と内
面フクレを検出するための低圧試験系統とを備え、高圧
試験系統及び低圧試験系統の何れにおいても、試験対象
ホースとその試験対象ホースと同一構造のマスターサン
プルに連絡する分岐配管を備え、高圧試験系統の分岐配
管間に高圧気密テスト用差圧センサーを連絡配置し、低
圧試験系統の分岐配管間に内径測定用差圧センサーを連
絡配置したものである。

【０００７】また、好ましい態様として、高圧・低圧両
試験系統の分岐配管は試験対象ホース毎に且つマスター
サンプル毎に連絡合流させる一方、何れの分岐配管にお
いてもバルブを設け、このバルブの切替え開閉により高
圧試験と低圧試験とを共通の配管上で分離して行えるよ
うにしたものである。

【０００８】

【作用】ブレーキホースの外面側にリークする欠陥及び
内面フクレを高圧試験系統及び低圧試験系統の分岐配管
からの圧力媒体つまり気体をブレーキホース内へ圧入
し、その時の試験対象品とマスターサンプルとの圧力差
を高圧気密テスト用差圧センサー及び内径測定用差圧セ
ンサーにてチェックすることにより、試験対象品の合否
を判定することができる。上記のように気体の圧入によ
れば、ブレーキホースへの脱水作業を必要としない。

【０００９】

【実施例】図１は、本発明にかかるブレーキホースの耐
圧試験装置の好ましい一実施例を示したもので、図中４
が耐圧試験に供する試験対象ホース（図２参照）であ
り、５がその試験対象ホースと同一構造で不良のない完
成されたマスターサンプルである。これら試験対象ホー
ス４とマスターサンプル５に対して、高圧試験系統２８
と低圧試験系統３９とを備えている。

【００１０】高圧試験系統２８は、高圧エアー発生源２
０、フィルター２１、圧力調整弁２２及び圧力計２３を
具備させた一本の配管を持ち、その配管より二股に分か
れさせた分岐配管２６，２７を有している。各分岐配管
２６，２７には、高圧印加用のバルブＶ１，Ｖ２とスト
ップ用のバルブＶ３，Ｖ４とを前後に配備し、また、分
岐配管２６と分岐配管２７との間には、高圧気密テスト
用差圧センサー２４を連絡配置してある。連絡部は前後
のバルブＶ１とＶ３、Ｖ２とＶ４の間の配管部としてあ
る。

【００１１】一方、低圧試験系統３９は、低圧エアー発
生源３０、フィルター３１、圧力調整弁３２及び圧力計
３３を具備させた一本の配管を持ち、その配管より二股
に分かれさせた分岐配管３７，３８を有している。各分
岐配管３７，３８には、オリフィス３４，３５とストッ
プ用のバルブＶ５，Ｖ６とを前後に配備し、また、分岐
配管３７と分岐配管３８との間には、内径測定用差圧セ
ンサー３６を連絡配置してある。連絡部はオリフィスと
バルブとの前後間つまり３４とＶ５、３５とＶ６の間の
配管部としてある。なお、この低圧試験系統の配管に
は、装置配管内の低圧エアー流れ抵抗を小さくするため
に内径をφ６mm以上とすることが望ましい。

【００１２】上記のような高圧試験系統２８と低圧試験
系統３９は、分岐配管の一本ずつつまり、２６と３７、
２７と３８を合流させ、前者２６と３７は試験対象ホー
ス４を介して共通の配管４０に連絡させると共に、後者
２７と３８はマスターサンプル５を介して共通の配管４
１へ連絡させることにより、一連の配管系統を構成して
いる。Ｖ７は共通の配管４０に具備させた開放用のバル
ブ、Ｖ８は共通の配管４１に具備させた開放用のバルブ
である。また、２５は圧力スイッチにして高圧側の一つ
の分岐配管２６に連絡してある。

【００１３】さて、以上のように構成された本実施例の
耐圧試験装置について、その操作手順及び試験要領につ
いて説明すると、先ず、試験対象ホース４を共通の配管
４０に且つマスターサンプル５を共通の配管４１に連絡
させつつエアー漏れのないようにしっかりとセットし試
験に備える。

【００１４】そして、高圧試験系統２８から作動させ
る。すなわち、先ず、低圧試験系統３９のストップ用バ
ルブＶ５，Ｖ６と共通の配管４０，４１のバルブＶ７，
Ｖ８を閉じておく。次いで、高圧エアー発生源２０作動
させることにより得られた高圧エアーを圧力調整弁２２
で検査圧力に調整した後に分岐配管２６，２７に分岐す
る。分岐された高圧エアーは、高圧印加用のバルブＶ
１，Ｖ２とストップ用のバルブＶ３，Ｖ４を通してから
試験対象ホース４とマスターサンプル５に印加される。

【００１５】圧力スイッチ２５が検査圧力に達してから
所定時間が経過した後、高圧印加用のバルブＶ１，Ｖ２
が閉じられて試験対象ホース４側及びマスターサンプル
５側各々のエアー回路が密封される。密封されてから所
定時間が経過した後、分岐配管２６と２７との間の圧力
差を高圧気密テスト用差圧センサー２４で測定する。測
定結果において、圧力差が認められない場合には試験対
象ホース４を合格とし、一方、圧力差が認められた場合
には試験対象ホース４側に連絡する分岐配管２６の圧力
が低下し、この時の試験対象ホース４を不良品と判定す
るのである。

【００１６】上記の高圧試験によれば、試験対象ホース
の外面側にリークする欠陥とりわけ、外面フクレ（図３
の１４ａ）を生じているか否かをチェックすることがで
きる。

【００１７】次いで、低圧試験系統３９を作動させる。
すなわち、先ず、前段の高圧試験を終了したら引き続き
開放バルブＶ７，Ｖ８を開け且つ高圧側のストップ用バ
ルブＶ３，Ｖ４を閉じる。これらの操作で高圧エアーの
排気が行われたら、低圧側の分岐配管３７，３８上のス
トップ用バルブＶ５，Ｖ６を開ける。そして、低圧エア
ー発生源３０を作動させる。それにより得られた低圧エ
アーは、圧力調整弁３２でエアー圧力を調整した後に分
岐配管３７，３８に分岐する。それぞれの分岐配管３
７，３８上では、オリフィス３４，３５でエアーの流量
を調整し、得られた検査エアー圧力を試験対象ホース４
とマスターサンプル５に供給する。エアーの流れが安定
したら分岐配管３７と３８との間の圧力差を内径測定用
差圧センサー３６にて測定する。測定結果において、圧
力差が認められない場合には試験対象ホース４を合格と
し、一方、圧力差が認められた場合には試験対象ホース
４を不良品と判定するのである。この低圧試験によれ
ば、試験対象ホース４に内面フクレ（図４の１０ｃ）を
生じているか否かをチェックすることができる。

【００１８】上述した本実施例の耐圧試験装置によれ
ば、両端に継手金具を締結したブレーキホースを共通の
配管上に一回装着しただけでホース内への検査圧力印加
とその後に発生する内面フクレや外面フクレ等の異常を
検出することができる。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したような本発明にかかるブレ
ーキホースの耐圧試験装置によれば、気体圧力差を利用
することで従来の水圧利用による耐圧試験に比して試験
工程数を少なくでき、生産性の向上に寄与でき、また、
ホース内外の欠陥を差圧センサーによりチェックするこ
とで見逃すことがなく而もホース内に水滴を残すような
こともなくなり、ひいては、品質保証を顕著に向上でき
る。また、ホース外面側にリークする欠陥（外面フクレ
等）をチェックする機能とホース内面フクレをチェック
する機能とを有することができる。

【００２０】なおまた、ホース内外の欠陥検出のための
試験つまり高圧試験と低圧試験とを共通の配管上で実施
することもできるので、試験装置構成の簡単化、試験手
順の単純化及び試験操作の容易性に貢献できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかるブレーキホースの耐圧試験装置
の一実施例を示す説明図。

【図２】一般的なブレーキホースの例を示し、（イ）は
ブレーキホースの外観図、（ロ）はホース本体の段剥ぎ
状態説明図。

【図３】ブレーキホースに外面フクレを有した状態の断
面説明図。

【図４】ブレーキホースに内面フクレを有した状態の断
面説明図。

【符号の説明】

１，２ 継手金具 ３ ホース本体 ４ ブレーキホース；試験対象ホース ５ マスターサンプル １０ 内層 １０ａ ピンホール １０ｂ 内層側水溜まり １０ｃ 内面フクレ １１ 補強糸層 １２ 中間層 １２ａ 隙間 １３ 補強糸層 １４ 外層 １４ａ 外面フクレ １４ｂ 外層側水溜まり ２０ 高圧エアー発生源 ２１ フィルター ２２ 圧力調整弁 ２３ 圧力計 ２４ 高圧気密テスト用差圧センサー ２５ 圧力スイッチ ２６，２７ 分岐配管（高圧側） ２８ 高圧試験系統 ３０ 低圧エアー発生源 ３１ フィルター ３２ 圧力調整弁 ３３ 圧力計 ３４，３５ オリフィス ３６ 内径測定用差圧センサー ３７，３８ 分岐配管（低圧側） ３９ 低圧試験系統 ４０ 共通の配管（試験対象ホース側） ４１ 共通の配管（マスターサンプル側） Ｖ１，Ｖ２，Ｖ３，Ｖ４，Ｖ５，Ｖ６，Ｖ７，Ｖ８ バ
ルブ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ブレーキホースの外面側にリークする欠陥
   を検出するための高圧試験系統と内面フクレを検出する
   ための低圧試験系統とを備え、高圧試験系統及び低圧試
   験系統の何れにおいても、試験対象ホースとその試験対
   象ホースと同一構造のマスターサンプルに連絡する分岐
   配管を備え、高圧試験系統の分岐配管間に高圧気密テス
   ト用差圧センサーを連絡配置し、低圧試験系統の分岐配
   管間に内径測定用差圧センサーを連絡配置した、ブレー
   キホースの耐圧試験装置。
2. 【請求項２】請求項１記載の構成において、高圧・低圧
   両試験系統の分岐配管は試験対象ホース毎に且つマスタ
   ーサンプル毎に連絡合流させる一方、何れの分岐配管に
   おいても開閉バルブを設け、この開閉バルブの切替えに
   より高圧試験と低圧試験とを共通の配管上で分離して行
   えるようにした、ブレーキホースの耐圧試験装置。