JPH08198076A - 制動力制御装置 - Google Patents

制動力制御装置

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JPH08198076A
JPH08198076A JP1317295A JP1317295A JPH08198076A JP H08198076 A JPH08198076 A JP H08198076A JP 1317295 A JP1317295 A JP 1317295A JP 1317295 A JP1317295 A JP 1317295A JP H08198076 A JPH08198076 A JP H08198076A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は制動力制御装置に関し、車両の旋回
挙動の安定と停止距離の短縮を両立し、かつ旋回運動量
を検出するセンサを不要とすることを目的とする。 【構成】 車輪速度検出手段M1は、車両の各輪の車輪
速度を検出する。旋回運動量演算手段M2は、制動直前
の左右輪の車輪速度から車両の旋回運動量を演算する。
目標車輪速度演算手段M3は、演算された旋回運動量と
旋回外輪の車輪速度から左右輪がほぼ同一スリップ率と
なるような旋回内輪の目標車輪速度を演算する。制動力
制御手段M4は、旋回内輪の車輪速度を目標車輪速度と
するように旋回内輪の制動力を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は制動力制御装置に係り、
特に旋回走行中の制動操作時に各車輪のスリップ率が同
じになるように各車輪の制動力を制御するよう構成した
制動力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の各車輪を制動する制動力制御装
置では、路面状態(例えば、乾燥した路面、濡れた路
面、凍結した路面等)によって制動時の制動力を制御し
ており、特に滑りやすい路面での急制動により車輪がロ
ックして車両の操縦が困難になることを防止するため、
アンチロック制動力制御システム(ABS)が採用され
ている。
【0003】この種のアンチロック制動力制御システム
では、増圧用電磁弁と減圧用電磁弁とを有し、増圧用電
磁弁と減圧用電磁弁との開閉動作により増圧モード、保
持モード、減圧モードのいずれかに切り換えるようにな
っている。従って、運転者がブレーキペダルを踏み込み
各車輪にブレーキ圧力が供給される際、車両が走行中で
あれば各車輪へのブレーキ圧を増圧または保持する増圧
モードまたは保持モードにして車輪の制動力を増大さ
せ、車両走行中で車輪がロックする直前であればブレー
キ圧を減圧する減圧モードにして車輪がロックすること
を防止するように動作する。そして、車両が停止すると
き、各車輪が同時にロックするように各車輪へのブレー
キ圧を調整するように増圧用電磁弁、減圧用電磁弁を開
閉制御する。
【0004】さらに、コーナリング走行中の車両におい
て、車両の外側車輪には横加速度による荷重が大となる
反面、内側車輪への荷重が小となる。そのため、車両旋
回時に運転者がブレーキペダルを踏み込んだ場合、各車
輪へのブレーキ圧を等しく増圧させてしまうと、内側車
輪が外側車輪よりも先にロックしてしまうことになる。
そのため、アンチロック制動力制御システムを有する制
動力制御装置では、旋回制動時には内側車輪へ供給され
るブレーキ圧が外側車輪へ供給されるブレーキ圧よりも
小さくなるようにブレーキ圧(制動力)を制御してい
た。
【0005】このような、旋回制動時に横加速度が所定
値以上になったとき旋回内側車輪へのブレーキ圧が小さ
くなるように各車輪の制動力を制御して車両の挙動を安
定させることが考えられている。この種の制動力の制御
を行う制動力制御装置としては、例えば特開昭1−17
8059号公報にみられるような装置がある。
【0006】上記公報の装置では、車両が旋回中に制動
が検出されると、内側車輪の増圧用電磁弁を閉弁させる
とともに同車輪の減圧用電磁弁を一定時間開弁させてブ
レーキ圧を低下させるように各車輪の制動力を制御す
る。従って、旋回制動時は、内側車輪のブレーキ圧低下
により車両をスピンさせようとする方向のモーメントと
逆方向のアンチスピンモーメントを発生させて旋回制動
時の走行安定性を高めている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記公報の
装置では、旋回制動時、内側車輪の増圧用電磁弁を閉弁
させるとともに同車輪の減圧用電磁弁を一定時間開弁さ
せてブレーキ圧を低下させて内側車輪にアンチスピンモ
ーメントを発生させるようにしているが、ブレーキ圧を
どの程度低下させるのか制動力低下量(あるいはブレー
キ圧低下量)に関する説明がない。
【0008】従って、上記公報の装置において、例えば
旋回制動時に内側車輪のブレーキ圧を低下させるように
してもブレーキ圧の低下が充分でないと内側車輪と外側
車輪との制動力の差により旋回制動時の走行安定性が維
持できなくなり、逆にブレーキ圧を下げ過ぎると内側車
輪の制動性能の低下により制動距離が延びてしまったり
外側車輪にスピンモーメントを発生させることなるとい
った課題がある。
【0009】本発明は上記の点に鑑みなされたもので、
左右輪の車輪速度から求めた旋回運動量と、旋回外輪の
車輪速度とから左右輪がほぼ同一スリップ率となるよう
な旋回内輪の目標車輪速度を求め制動力配分制御を行う
ことにより、車両の旋回挙動の安定と停止距離の短縮を
両立し、かつ旋回運動量を検出するセンサを不要とする
制動力制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、図1に示す如く、車両の各輪の車輪速度を検出する
車輪速度検出手段M1と、制動直前の左右輪の車輪速度
から車両の旋回運動量を演算する旋回運動量演算手段M
2と、演算された旋回運動量と旋回外輪の車輪速度から
左右輪がほぼ同一スリップ率となるような旋回内輪の目
標車輪速度を演算する目標車輪速度演算手段M3と、旋
回内輪の車輪速度を上記目標車輪速度とするように旋回
内輪の制動力を制御する制動力制御手段M4とを有す
る。
【0011】請求項2に記載の発明は、請求項1記載の
制動力制御装置において、車両の車速の低下に従って、
前記旋回運動量を減少補正する補正手段を有する。請求
項3に記載の発明は、車両の各輪の車輪速度を検出する
車輪速度検出手段と、制動直前の左右輪の車輪速度から
車両の旋回運動量を演算する旋回運動量演算手段と、演
算された旋回運動量を増大補正する増大補正手段と、増
大補正された旋回運動量と旋回外輪の車輪速度から旋回
内輪の目標車輪速度を演算する目標車輪速度演算手段
と、旋回内輪の車輪速度が上記目標車輪速度未満となっ
たとき増大補正前の旋回運動量と旋回外輪の車輪速度か
ら左右輪がほぼ同一スリップ率となるような旋回内輪の
目標車輪速度を演算して変更する目標車輪速度変更手段
と、旋回内輪の車輪速度を上記変更された目標車輪速度
とするように旋回内輪の制動力を制御する制動力制御手
段とを有する。
【0012】請求項4に記載の発明は、車両の各輪の車
輪速度を検出する車輪速度検出手段と、左右輪の車輪速
度から車両の旋回運動量を演算する旋回運動量演算手段
と、制動開始前の所定期間の旋回運動量のピーク値を検
出するピーク値検出手段と、上記ピーク値と制動直前の
旋回運動量との偏差を演算する偏差演算手段と、上記制
動直前の旋回運動量が所定の閾値を越えたとき、制動直
前の旋回運動量と旋回外輪の車輪速度から左右輪がほぼ
同一スリップ率となるような旋回内輪の目標車輪速度を
演算する第1の目標車輪速度演算手段と、上記制動直前
の旋回運動量が上記閾値を越えず、かつ上記演算された
偏差が所定値を越えたとき、上記偏差と旋回外輪の車輪
速度から旋回内輪の目標車輪速度を演算する第2の目標
車輪速度演算手段と、旋回内輪の車輪速度を上記目標車
輪速度とするように旋回内輪の制動力を制御する制動力
制御手段とを有する。
【0013】請求項5に記載の発明は、ダイアゴナル配
管の第1系統配管と第2系統配管を有する車両に設けら
れた請求項1乃至4のいずれかに記載の制動力制御装置
において、上記第1系統配管と第2系統配管のいずれか
一方の失陥を検出する失陥検出手段と、上記失陥の検出
時に旋回内輪の制動力の制御を禁止する禁止手段とを有
する。
【0014】請求項6に記載の発明は、アンチロック制
御を行う車両に設けられた請求項5記載の制動力制御装
置において、前記失陥検出手段は、前輪及び後輪のいず
れか一方の旋回内輪の制動力の制御が行われ、かつ他方
の旋回外輪のアンチロック制御が行われたとき、失陥を
検出する。
【0015】
【作用】請求項1に記載の発明においては、制動直前の
左右輪の車輪速度から求めた旋回運動量と、旋回外輪の
車輪速度とから左右輪がほぼ同一スリップ率となるよう
な旋回内輪の目標車輪速度を求め、旋回内輪の車輪速度
が上記目標車輪速度となるように制動力を制御するた
め、車両の旋回挙動が安定すると共に、左右輪に大きな
制動力を与え停止距離を短縮することができ、かつ旋回
運動量を検出するセンサが不要となり簡単な構成とする
ことができる。
【0016】請求項2に記載の発明においては、車速の
低下に従って旋回運動量を減少補正するため、旋回運動
量が最適な値に補正され、更に適切な旋回内輪の制動力
制御が可能となる請求項3に記載の発明においては、制
動直前の左右輪の車輪速度から求めた旋回運動量を増大
補正し、この補正された旋回運動量に基づく旋回内輪の
目標車輪速度より旋回内輪の車輪速度が小さくなったと
き、旋回内輪の車輪速度が増大補正前の旋回運動量に基
づいて変更された目標車輪速度となるよう旋回内輪の制
動力が制御されるため、路面μを反映する制動時の車輪
速度と増大補正をした旋回運動量に基づく目標車輪速度
との比較から制動力の制御開始判断を行うことができる
ので旋回運動量と路面μとの比の大きさを反映すること
ができ、制動力の制御が必要な走行状態において制御を
行うことができる。
【0017】請求項4に記載の発明においては、制動開
始前の所定期間の旋回運動量のピーク値と制動直前の旋
回運動量の偏差を求め、制動直前の旋回運動量が閾値を
越えなくても偏差が所定値を越えるときはこの偏差に基
づく旋回内輪の制動力の制御が行われるため、制動直前
の旋回運動量が小さくても、切り返し操作により車両挙
動が不安定な状態で制動力の制御が行われ、車両挙動を
安定化することができる。
【0018】請求項5に記載の発明においては、ダイア
ゴナル配管で1系統が失陥した場合に旋回内輪の制動力
の制御が禁止されるため、失陥時に旋回内輪の制動力の
低下を防止でき、制動距離の短縮化を図ることができ
る。請求項6に記載の発明においては、前輪と後輪のい
ずれか一方の旋回内輪の制動力の制御の実行と、他方の
旋回内輪のアンチロック制御の実行とからダイアゴナル
配管の1系統の失陥を判断できる。
【0019】
【実施例】図2は本発明の制動力制御装置を適用したア
ンチロック制動力制御システムの構成図を示す。同図
中、1はブレーキペダル、2はバキュームブースタ、3
はブレーキペダル1の踏込力やバキュームブースタ2の
倍力作用に応じたブレーキ圧を発生するマスタシリンダ
(アクチュエータ)、4,5はブレーキ液(作動油)を
後述する還流系路に補充するリザーバ、6〜9はマスタ
シリンダ3からのブレーキ圧を受けて各車輪を制動する
ブレーキ機構のホイールシリンダである。
【0020】ブレーキペダル1が踏み込まれてマスタシ
リンダ3より発生したブレーキ圧は、第1,第2ブレー
キ管路10,11を介して各ホイールシリンダ6〜9に
接続されている。12〜15は常開の電磁弁よりなる増
圧用液圧切換弁で、通常弁体12a〜15aが開弁位置
に付勢されており、マスタシリンダ3からのブレーキ圧
を各ホイールシリンダ6〜9に供給している。しかし、
増圧用液圧切換弁12〜15は、車輪のロック直前にソ
レノイド12b〜15bが励磁されて弁体12a〜15
aが閉弁位置に切り換わり、マスタシリンダ3からのブ
レーキ圧供給を止めるように動作する。
【0021】16〜19は常閉の電磁弁よりなる減圧用
液圧切換弁で、通常弁体16a〜19aが閉弁位置に付
勢されており、各ホイールシリンダ6〜9へのブレーキ
圧を保持している。しかし、減圧用液圧切換弁16〜1
9は、車輪のロック直前にソレノイド16b〜19bが
励磁されて弁体16a〜19aが開弁位置に切り換わ
り、各ホイールシリンダ6〜9へのブレーキ圧をリザー
バ4,5に逃がしてブレーキ圧を減圧するように動作す
る。
【0022】第1,第2ブレーキ管路10,11に連通
された供給用管路20〜23及び、一端が増圧用液圧切
換弁12〜15及び減圧用液圧切換弁16〜19に連通
され他端が各ホイールシリンダ6〜9に連通された供給
用管路24〜27は、各ホイールシリンダ6〜9毎の供
給系路28a〜28dを形成している。
【0023】また、一端が減圧用液圧切換弁16〜19
に連通し他端がリザーバ4,5に連通された還流用管路
29〜32、及びリザーバ4,5から第1,第2ブレー
キ管路20,21に接続されるように延在する還流用管
路33,34は、還流系路35a,35bを形成してい
る。
【0024】上記増圧用液圧切換弁12〜15は、供給
側の管路20〜23に連通する流路に設けられた絞り3
6〜39と、絞り36〜39をバイパスするバイパス流
路40〜43と、バイパス流路40〜43を介して各ホ
イールシリンダ6〜9側のブレーキ液をマスタシリンダ
3側に戻すことを許容するとともにブレーキ液がマスタ
シリンダ3側から各ホイールシリンダ6〜9側へ流れる
ことを防止する逆止弁44〜47と、を有する。
【0025】また、減圧用液圧切換弁26〜29は、下
流の還流用管路29〜32に連通する流路に各ホイール
シリンダ6〜9から還流されるブレーキ液量を所定量に
絞る絞り50〜53を有する。各還流用管路33,34
には、リザーバ4,5のブレーキ液を吸引してマスタシ
リンダ3側は還流させる吸引ポンプ54,55と、吸引
ポンプ54,55の上流側に配設された逆止弁56,5
7と、吸引ポンプ54,55の下流側に配設された逆止
弁58,59と、が配設されている。
【0026】各吸引ポンプ54,55は、アンチロック
制動力制御が実行されている間は常時ポンプモータ(図
示せず)により駆動される。そして、吸引ポンプ54,
55はポンププランジャ(図示せず)が下動すると吸入
工程となり、ポンププランジャ(図示せず)が上動する
と吐出工程となる。
【0027】そして、吸入工程では、上記吸引ポンプ5
4,55の上流に配設され逆止弁56,57が開弁する
とともに、吸引ポンプ54,55の下流に配設され逆止
弁58,59が閉弁する。そして、吐出工程では、上記
吸引ポンプ54,55の上流に配設され逆止弁56,5
7が閉弁するとともに、吸引ポンプ54,55の下流に
配設され逆止弁58,59が開弁する。
【0028】このように、吸引ポンプ54,55のポン
ププランジャの動作方向に応じて吸引ポンプ54,55
の上流,下流に配設された各逆止弁56,57及び逆止
弁58,59が開閉することにより、ブレーキ液がマス
タシリンダ3へ還流される。上記構成になるアンチロッ
ク制動力制御システムを有するブレーキ装置では、ブレ
ーキペダル1が踏み込まれると、マスタシリンダ3によ
りブレーキ圧が増圧されて増圧モードになる。この増圧
モードでは、増圧用液圧切換弁12〜15が開弁状態に
保持されるとともに、減圧用液圧切換弁16〜19が閉
弁状態に保持される。そのため、増圧されたブレーキ圧
は、第1,第2ブレーキ管路10,11,供給用管路2
0〜23,供給用管路24〜27を介して各ホイールシ
リンダ6〜9に供給され、各車輪は制動される。
【0029】そして、例えば低μ路を走行しているとき
に車輪がロックする直前まで制動されると、アンチロッ
ク制動力制御システムは減圧モード又は保持モードに切
り換わる。この減圧モードでは、ロック直前の車輪に対
応する増圧用液圧切換弁12〜15のソレノイド12b
〜15bが励磁されて閉弁状態に切り換わるとともに、
減圧用液圧切換弁16〜19のソレノイド16b〜19
bが開弁状態に切り換わる。これにより、ホイールシリ
ンダ6〜9のブレーキ圧が還流用管路29〜32を介し
てリザーバ4,5に逃げるため、当該車輪への制動力が
解除されて車輪のロックが防止される。
【0030】また、保持モードでは、増圧用液圧切換弁
12〜15及び減圧用液圧切換弁16〜19が閉弁状態
の保持され、ホイールシリンダ6〜9のブレーキ圧が保
持される。このようなアンチロック制動動作中は、マス
タシリンダ3がブレーキ液不足にならないようにするた
め、常に吸引ポンプ54,55が起動される。そのた
め、アンチロック制動動作中に減圧モードになって減圧
用液圧切換弁16〜19が開弁すると、ホイールシリン
ダ6〜9側からのブレーキ液が還流用管路29〜32へ
流出する。そして、還流用管路29〜32のブレーキ液
は、吸引ポンプ54,55の吸引動作により還流用管路
33,34に吸引される。
【0031】その後、吸引ポンプ54,55に吸引され
たブレーキ液は、逆止弁58,59を通過して第1,第
2ブレーキ管路10,11へ戻される。しかるに、アン
チロック制動動作中は、例えば各車輪の回転数が高くな
ると、減圧モードから増圧モード又は保持モードに切り
換わり減圧用液圧切換弁16〜19が閉弁するととも
に、増圧用液圧切換弁12〜15が開弁する。
【0032】このように減圧モードから増圧モード又は
保持モードに切り換わると、吸引ポンプ54,55の吸
引動作によりブレーキ液がマスタシリンダ3側に還流さ
れ続けるため、リザーバ4,5に充填されたブレーキ液
が還流用管路33,34に吸引される。
【0033】上記増圧用液圧切換弁12〜15及び、減
圧用液圧切換弁16〜19及び、吸引ポンプ54,55
は、アンチロック制動力制御回路60からの指令により
作動する。また、アンチロック制動力制御回路60に
は、車両の走行速度を検出する車速センサ61と、各車
輪の車輪速を検出する車輪速センサ63〜66と、ブレ
ーキペダル1が踏み込まれたときオフからオンに切り換
わるブレーキスイッチ67とが接続されている。
【0034】尚、車速センサ61を独立して設ける必要
はなく、車速センサ61を設ける代わりに車輪速センサ
63〜66から検出される各車輪の車輪速度から車体速
度を推定するよう構成しても良い。従って、アンチロッ
ク制動力制御回路60は、ブレーキスイッチ67がオン
になると、車速センサ61、車輪速センサ63〜66か
ら出力された各信号に基づいて上記増圧用液圧切換弁1
2〜15及び減圧用液圧切換弁16〜19の切換制御を
行い車両が走行中に各車輪がロックしないように各車輪
へのブレーキ圧を調整する。
【0035】ここで、旋回走行時はコーナリングの内側
と外側で各車輪に作用する荷重が変動する。一般に、横
加速度により旋回内側車輪への荷重が小さくなるととも
に、旋回外側車輪への荷重が大きくなる。そのため、旋
回制動時に各車輪に同一の制動力を付与すると、旋回外
側車輪より旋回内側車輪が先にロックして車両の走行状
態が不安定になることがある。
【0036】また、旋回外側車輪が走行する路面摩擦係
数(μa )が旋回内側車輪が走行する路面摩擦係数(μ
b )より小さい(μa <μb )またぎ路である場合、旋
回制動時に各車輪に同一の制動力を付与すると、旋回方
向のモーメントが発生してオーバステアになり、これに
より走行状態が不安定になることがある。
【0037】アンチロック制動力制御回路60のROM
(図示せず)には、旋回制動時の各車輪の制動力を制御
する制動力制御プログラムが記憶されている。そして、
制動力の制御モードは、増圧モード、保持モード、減圧
モードの3パターンに分類できる。
【0038】先ず、増圧モードの場合、増圧用液圧切換
弁12〜15及び減圧用液圧切換弁16〜19を制御せ
ず、マスタシリンダ3からのブレーキ圧が開弁状態の増
圧用液圧切換弁12〜15を介して直接ホイールシリン
ダ6〜9に供給される。また、保持モードの場合、増圧
用液圧切換弁12〜15のソレノイド12b〜15bが
励磁されて弁体12a〜15aが閉弁位置に切り換わ
る。これにより、ホイールシリンダ6〜9へのブレーキ
圧が保持される。
【0039】また、減圧モードの場合、増圧用液圧切換
弁12〜15及び減圧用液圧切換弁16〜19を制御し
て制動力を弱める。即ち、車輪がロックする直前に増圧
用液圧切換弁12〜15のソレノイド12b〜15bが
励磁されて弁体12a〜15aが閉弁位置に切り換わる
とともに、減圧用液圧切換弁16〜19のソレノイド1
6b〜19bが励磁されて弁体16a〜19aが開弁位
置に切り換わり、各ホイールシリンダ6〜9へのブレー
キ圧をリザーバ4,5に逃がしてブレーキ圧を減圧す
る。
【0040】図3はアンチロック制動力制御回路60が
実行する制動力制御処理の第1実施例のフローチャート
を示す。この処理は例えば5msec毎に割込み実行され
る。同図中、旋回運動量演算手段としてのステップS1
0では車輪速度検出手段としての車輪速センサ63,6
4により検出された前輪の車輪速VL(n),VR(n)と、ホ
イールトレッドdとを用いて(1)式により横加速度G
y(n)を推定する。ここで添字のnは今回のタイミングで
得られた値である。
【0041】
【数1】
【0042】なお、Gy =γ・VBB =(VL +VR )/2 γ=V0 −VI /d 但し、γはヨーレート、VB は車体速度、V0 は旋回外
輪車輪速(=VL 又はV R )、VI は旋回内輪車輪速
(=VR 又はVL )であり、これらの式から(1)式が
得られる。
【0043】ステップS12ではブレーキスイッチ67
の信号がオンか否か、つまりブレーキペダル1が踏み込
まれたか否かを判別する。ブレーキオンではない場合は
ステップS14に進み、今回のタイミングで算出した横
加速度Gy(n)を前回タイミングの横加速度Gy(n-1)にセ
ット、処理を終了する。
【0044】ブレーキオンの場合はステップS16に進
み、制動直前の横加速度GyTに前回タイミングの横加速
度Gy(n-1)をセットする。この後、ステップS18で制
動直前の横加速度GyTが所定の閾値Aを越えるか否かを
判別する。GyT>Aの左急旋回時にはステップS22に
進み、目標左車輪速度VL(n) *を(2)式により算出す
る。
【0045】
【数2】
【0046】この(2)式は(1)式を変形したもので
ある。この後、ステップS24で左前輪の車輪速VL(n)
が上記目標左車輪速VL(n) * となるように左前輪のブレ
ーキ制御を行い、処理を終了する。このステップS24
ではVL(n)>VL(n) * の場合、増圧用液圧切換弁13を
開弁し、かつ、減圧用液圧切換弁17を閉弁して旋回内
輪である左前輪のブレーキ圧を増圧させる。また、V
L(n)=VL(n) *の場合、増圧用液圧切換弁13及び減圧
用液圧切換弁17を共に閉弁して左前輪のブレーキ圧を
保持させる。また、V L(n)<VL(n) * の場合、増圧用液
圧切換弁13を閉弁し、かつ、減圧用液圧切換弁17を
開弁して旋回内輪である左前輪のブレーキ圧を減圧させ
る。
【0047】また、ステップS18でGyT≦Aの場合は
ステップS20に進んで、制動直前の横加速度GyTが所
定の閾値−A未満であるか否かを判別する。−A≦GyT
≦Aの場合はそのまま処理を終了する。GyT<−Aの右
急旋回時にはステップS26に進み、目標右車輪速V
R(n) * を(3)式により算出する。
【0048】
【数3】
【0049】この(3)式は(1)式を変形したもので
ある。この後、ステップS24と同様にステップS28
で右前輪の車輪速VR(n)が上記目標右車輪速VR(n) *
なるように右前輪のブレーキ制御を行い、処理を終了す
る。上記のステップS22,S26が目標車輪速度演算
手段に対応し、ステップS24,28が制動力制御手段
に対応する。
【0050】後輪についても上記と同様の処理が行われ
る。このように、旋回内輪の車輪速が旋回内輪の目標車
輪速と等しくなるように増圧用液圧切換弁12〜15及
び減圧用液圧切換弁16〜19が開閉制御されて内輪側
へのブレーキ圧が増圧、保持、減圧のいずれかに切り換
えられ旋回内輪と旋回外輪とが同じスリップ率となるよ
うに制御力が制御される。
【0051】従って、各車輪のスリップ率が同じになる
ようにブレーキ圧が制御されることにより、旋回制動時
の内輪側と外輪側とのスリップ率の偏差がゼロになるよ
うに各車輪の制動力を制御して旋回制動時の内輪側と外
輪側とを同時にロックさせること、あるいは、アッチロ
ック制動力制御(ABS制御)を行うものでは内輪側と
外輪側を同時にアンチロック制動力制御に突入させるこ
とができる。よって、旋回制動時に発生しやすいヨーモ
ーメントを打ち消して旋回制動時の走行安定性を高める
ことができるとともに、制動性能をより高めることがで
き、制動距離を短縮することができる。
【0052】ここで、旋回中の非制動時では、実際の横
加速度と(1)式で推定した横加速度Gy(n)が略一致す
ることが実験的に知られている。このため、制動開始直
前に推定した横加速度Gy(n-1)をGyTとして保持し、こ
の横加速度GyTに基づいて旋回内輪の目標車輪速を求
め、内輪減圧制御を行うと、制動開始から車速がある程
度速い期間T1 では、図4に破線Iaで示す実際の横加
速度と、実線Ibで示す推定した横加速度Gy(n)とが略
一致しているために、算出される内輪の目標車輪速も実
際の横加速度を用いた場合と略一致するので何ら問題は
ない。なお、図4で一点鎖線Icは制動開始後にブレー
キ減圧制御を行わない場合の推定した横加速度を示して
いる。
【0053】例えば、推定した制動後の横加速度が保持
している制動前の横加速度GyTより大となれば、図5に
実線IIaに示す旋回内輪の車輪速が破線IIbで示す内輪
の目標車輪速より小さくなり、内輪の減圧制御を行われ
る。また、推定した制動後の横加速度が保持している横
加速度GyTより小となれば、旋回内輪の車輪速が内輪の
目標車輪速より大きくなり、内輪の増圧が行われて減圧
制御が終了する。なお、図5の実線IIcは旋回外輪の車
輪速を示している。
【0054】この実施例では車輪速度から旋回運動基準
値としての横加速度を演算しているため、横加速度セン
サやヨーレートセンサを必要とせず構成が簡単となり、
コストダウンが可能となる。ところで、第1実施例の図
3の制御では制動直前の横加速度をGyTとして保持し、
このGyTに基づいて旋回内輪の目標車輪速を求め、内輪
の車輪速がこの目標車輪速となるよう制御を行う。これ
は、制動後の横加速度は制動直前の横加速度と一致する
ように制御することであり、制動によって車速が低下す
るため、図6に示す如く、半径R0 で旋回中の車両C0
が制動を開始すると、その旋回半径が小さくなり、半径
1 となってしまう。
【0055】ここで、制動前の横加速度,車速をGyT
BTとし、制動後の横加速度,車速をGyA,VBAとする
と、GyT=VBT 2 /R0 、GyA=VBA 2 /R1 であるか
ら、制動後の旋回半径R2 を制動前の旋回半径R0 と同
一にするためにはR0 =R2として、GyA=(VBA/V
BT2 yTとするように制御を行えば良い。
【0056】図7はアンチロック制動力制御回路60が
実行する制動力制御処理の第2実施例のフローチャート
を示す。この処理は例えば5msec毎に割込み実行され
る。同図中、ステップS30では車輪速センサ63,6
4により検出された前輪の車輪速VL(n),VR(n)と、ホ
イールトレッドdとを用いて(1)式により横加速度G
y(n)を推定し、車速VB(n)=(VR(n)+VL(n))/2を
算出する。
【0057】ステップS32ではブレーキスイッチ67
の信号がオンか否か、つまりブレーキペダル1が踏み込
まれたか否かを判別する。ブレーキオンではない場合は
ステップS34に進み、今回のタイミングで算出した横
加速度Gy(n),車速VB(n)夫々を前回タイミングの横加
速度Gy(n-1),車速VB(n-1)にセットして、処理を終了
する。
【0058】ブレーキオンの場合はステップS36に進
み、制動直前の横加速度GyT,車速VBT夫々に前回タイ
ミングの横加速度Gy(n-1),車速VB(n-1)をセットす
る。この後、ステップS38で制動直前の横加速度GyT
が所定の閾値Aを越えるか否かを判別する。
【0059】GyT>Aの左急旋回時にはステップS42
に進み、目標左車輪速度VL(n) * を(4)式により算出
する。
【0060】
【数4】
【0061】この後、ステップS44で左前輪の車輪速
L(n)が上記目標左車輪速VL(n) *となるように左前輪
のブレーキ制御を行い、処理を終了する。このステップ
S44ではVL(n)>VL(n) *の場合、増圧用液圧切換弁
13を開弁し、かつ、減圧用液圧切換弁17を閉弁して
旋回内輪である左前輪のブレーキ圧を増圧させる。ま
た、VL(n)=VL(n) * の場合、増圧用液圧切換弁13及
び減圧用液圧切換弁17を共に閉弁して左前輪のブレー
キ圧を保持させる。また、V L(n)<VL(n) * の場合、増
圧用液圧切換弁13を閉弁し、かつ、減圧用液圧切換弁
17を開弁して旋回内輪である左前輪のブレーキ圧を減
圧させる。
【0062】また、ステップS38でGyT≦Aの場合は
ステップS40に進んで、制動直前の横加速度GyTが所
定の閾値−A未満であるか否かを判別する。−A≦GyT
≦Aの場合はそのまま処理を終了する。GyT<−Aの右
急旋回時にはステップS26に進み、目標右車輪速V
R(n) * を(5)式により算出する。
【0063】
【数5】
【0064】この後、ステップS48で右前輪の車輪速
R(n)が上記目標右車輪速VR(n) * となるように右前輪
のブレーキ制御を行い、処理を終了する。上記のステッ
プS42,48が補正手段及び目標車輪速度演算手段に
対応する。後輪についても上記と同様の処理が行われ
る。このように、旋回内輪の車輪速が旋回内輪の目標車
輪速と等しくなるように増圧用液圧切換弁12〜15及
び減圧用液圧切換弁16〜19が開閉制御されて内輪側
へのブレーキ圧が増圧、保持、減圧のいずれかに切り換
えられ旋回内輪と旋回外輪とが同じスリップ率となるよ
うに制御力が制御される。
【0065】従って、各車輪のスリップ率が同じになる
ようにブレーキ圧が制御されることにより、旋回制動時
の内輪側と外輪側とのスリップ率の偏差がゼロになるよ
うに各車輪の制動力を制御して旋回制動時の内輪側と外
輪側とを同時にロックさせることができる。よって、旋
回制動時に発生しやすいヨーモーメントを打ち消して旋
回制動時の走行安定性を高めることができるとともに、
制動性能をより高めることができ、制動距離を短縮する
ことができる。
【0066】上記の(4),(5)式におけるF(VB)
車速VB(n)の関数であり、F(VB)=(VB(n)/VBT2
とすることにより旋回半径を制動前と制動後で同一とす
ることができる。この他にも例えばF(VB)=VB(n)/V
BTと設定して制動後の旋回軌跡を任意に設定できる。
【0067】ここで、図8の破線IIIaで示す実際の横加
速度に対して、ブレーキオン後のG yTは実線IIIbに示す
如くなり、このGyTを用いて推定した横加速度は実線II
Icの如く変化する。これに対して、GyT・(VB
BT2 は実線IIIdの如くなり、このGyT・(VB /V
BT2 を用いて推定した横加速度は実線IIIeの如く変化
する。
【0068】なお、上記の実施例において、旋回内外輪
の車速度VI ,VO からヨーレートγ=(VO −VI
/dを求め、制動直前のヨーレートをγT に保持してお
き、旋回内輪の目標車輪速VI * =VO −γTdを算出し
て同様の制御を行っても良い。
【0069】旋回制動時に上記第1実施例の制御を行っ
たとき、制動直前のGyTは以下のように表わされる。 GyT=(Vo 2 −VI 2 )/2d=(VO −VI )・VB /2d…(6) また、制動直後のGy は以下のように表わされる。
【0070】 Gy =(Vo' 2 −VI' 2 )/2d=(VO'−VI')・VB'/2d…(7) 但し、Vo',VI',VB'夫々は制動直後のVo ,VI
B 夫々の値を表わす。更に、VB'≒VB である。制動
直後は旋回の内外輪に同一の制動トルクが与えられるた
め、タイヤと路面との間には内外輪で同一の制動力(路
面反力)FI ,FO が発生する。このとき旋回の横加速
度による内外輪の荷重差が発生し、一方FI =Fo であ
るため、内外輪のスリップ率SI ,SO は図9に示す如
くSO <SI の関係となる。従って、 VO'=(1−SO )VO I'=(1−SI )VI O'−VI'=VO −VI +(SI I −SO O ) …(8) ここで、旋回内外輪の荷重をWI ,WO とすると、 SO /SI =WI /WO >VI /VO 故に、SI I −SO O >0 …(9) (8),(9)式から VO'−VI'>VO −VI …(10) (6),(7),(9)から (VO −VI )VB /2d<(VO'−VI')VB'/2d …(11) この(11)式から明らかなように、図10に示す如く、制
動開始と同時にGy >G yTとなる。このことは、図11
に示す如く、制動開始と同時にVI <VI * (V I *
内輪の目標車輪速)となり、内輪の制動力を減少させる
制動力配分制御に入ることを意味している。
【0071】ところが、制動力配分制御が必要となるの
は、旋回制動によって車両挙動が乱れる可能性が高い場
合、つまり横加速度Gy /路面μの値が大の場合だけで
ある。例えば路面μ=1.0で横加速度0.4Gの旋回
を行う場合は、横加速度Gy/路面μの値が小であるた
め、内輪の制動力を減圧する制動力配分制御に入る必要
はない。これを解決するのが次に述べる第3実施例であ
る。
【0072】図12はアンチロック制動力制御回路60
が実行する制動力制御処理の第3実施例のフローチャー
トを示す。この処理は例えば5msec毎に割込み実行され
る。同図中、ステップS50では車輪速センサ63,6
4により検出された前輪の車輪速VL(n),VR(n)と、ホ
イールトレッドdとを用いて(1)式により横加速度G
y(n)を推定する。
【0073】ステップS52ではブレーキスイッチ67
の信号がオンか否か、つまりブレーキペダル1が踏み込
まれたか否かを判別する。ブレーキオンではない場合は
ステップS54に進み、今回のタイミングで算出した横
加速度Gy(n)を前回タイミングの横加速度Gy(n-1)にセ
ットして、処理を終了する。ブレーキオンの場合は増大
補正手段としてのステップS56に進み、前回タイミン
グの横加速度Gy(n-1)に所定倍率K1 (例えばK1
1.2程度の値)を乗算して制動直前の横加速度GyT
セットする。この後、ステップS58でK1 倍された制
動直前の横加速度GyTが所定の閾値Aを越えるか否かを
判別する。
【0074】ステップS58でGyT≦Aの場合はステッ
プS60に進んで、K1 倍された制動直前の横加速度G
yTが所定の閾値−A未満であるか否かを判別する。−A
≦G yT≦Aの場合はそのまま処理を終了する。ステップ
S58でGyT>Aの左急旋回時にはステップS62に進
み、目標左車輪速VL(n) * を(2)式により算出する。
この後、ステップS64で検出左車輪速VL(n)が目標左
車輪速VL(n) * 未満か否かを判別する。ここではK1
された制動直前の横加速度GyTに基づいて目標左車輪速
L(n) * が算出されているため、制動直後にVL(n)<V
L(n) * とならず、制動力配分制御に入ることはない。
【0075】ステップS64でVL(n)≧VL(n) * の場合
はそのまま処理を終了する。一方、VL(n)<VL(n) *
場合はステップS66に進み、制動直前の横加速度G
y(n-1)を横加速度GyTにセットする。この後、ステップ
S68において目標左車輪速V L(n) * を(2)式により
再び算出する。そしてステップS70で左前輪の車輪速
L(n)が上記目標左車輪速VL(n) * となるように左前輪
のブレーキ制御を行い、処理を終了する。
【0076】このステップS70では増圧用液圧切換弁
13を閉弁し、かつ、減圧用液圧切換弁17を開弁して
旋回内輪である左前輪のブレーキ圧を減圧させる。ま
た、ステップS60でGyT<−Aの右急旋回時にはステ
ップS72に進み、目標右車輪速VR(n) * を(3)式に
より算出する。この後、ステップS74で検出右車輪速
R(n)が目標右車輪速VR(n) * 未満か否かを判別する。
ここではK1倍された制動直前の横加速度GyTに基づい
て目標右車輪速VR(n) * が算出されているため、制動直
後にVR(n)<VR(n) * とならず、制動力配分制御に入る
ことはない。
【0077】ステップS74でVR(n)≧VR(n) * の場合
はそのまま処理を終了する。一方、VR(n)<VR(n) *
場合はステップS76に進み、制動直前の横加速度G
y(n-1)を横加速度GyTにセットする。この後、ステップ
S78において目標右車輪速V R(n) * を(3)式により
再び算出する。そしてステップS80でステップS70
と同様に右前輪の車輪速VR(n)が上記目標右車輪速V
R(n) * となるように右前輪のブレーキ制御を行い処理を
終了する。上記のステップS64〜68、S74〜78
が目標車輪速度変換手段に対応する。
【0078】後輪についても上記と同様の処理が行われ
る。このように、旋回内輪の車輪速が旋回内輪の目標車
輪速と等しくなるように増圧用液圧切換弁12〜15及
び減圧用液圧切換弁16〜19が開閉制御されて内輪側
へのブレーキ圧が増圧、保持、減圧のいずれかに切り換
えられ旋回内輪と旋回外輪とが同じスリップ率となるよ
うに制御力が制御される。
【0079】従って、各車輪のスリップ率が同じになる
ようにブレーキ圧が制御されることにより、旋回制動時
の内輪側と外輪側とのスリップ率の偏差がゼロになるよ
うに各車輪の制動力を制御して旋回制動時の内輪側と外
輪側とを同時にロックさせること、あるいはABS制御
を行うものでは、内輪側と外輪側を同時にABS制御に
突入させることができる。よって、旋回制動時に発生し
やすいヨーモーメントを打ち消して旋回制動時の走行安
定性を高めることができるとともに、制動性能をより高
めることができ、制動距離を短縮することができる。
【0080】このように、ステップS56でGyTの値を
制動直前のGy の値より大として目標車輪速VL(n) *
R(n) * を小とすることにより、制動直後に制動力配分
制御に入ることがなくなる。そして、横加速度Gy /路
面μの値が小で車両挙動が乱れない場合は、横加速度G
yT,Gy 夫々は図13の破線IVa,IVb に示す如くなり、
旋回内輪の目標車輪速VI * 、車輪速VI は図14の破
線Va,Vb夫々に示す如くなって制動力配分制御に入
ることはない。
【0081】これに対して、横加速度Gy /路面μの値
が大で車両挙動が乱れるおそれのある場合は、図14の
実線Vcに示す内輪の車輪速VI が目標車輪速VI *
満となった時点で、横加速度GyTは図13の実線IVc に
示す如く制動直前の横加速度の値に減少される。これと
同時に制動力配分制御に入る。これによって内輪の目標
車輪速VI * は図14の実線Vdに示す如く増大し、車
輪速VI が増大した目標車輪速VI * に近付くように制
御され、これによって横加速度Gy は図13の実線IVd
に示す如くなる。
【0082】つまり、制動旋回時に車両挙動が乱れるお
それのある場合にのみ旋回内輪の制動力を減少させる制
動力配分制御を行って車両挙動の乱れを防止し、車両挙
動が乱れるおそれがない場合はいたずらに旋回内輪の制
動力を減少させることなく制動を実行する。
【0083】ところで、第1実施例の制御において、左
旋回から右旋回、あるいはその逆の急な切り返し操舵を
行った場合の制動について考える。このような場合の制
動開始時点での横加速度GyTの値が閾値A,−Aに対し
て−A<GyT<Aであると、即ち、図15の期間T3
おいて制動を開始すると、期間T2 と同様に制動力配分
制御は開始されない。しかし、高い横加速度を受けてい
る状態から急な切り返しを行っている最中に制動を行っ
た場合は車両挙動が不安定となることが一般に知られて
おり、上記の期間T3 においては制動力配分制御を実行
して車両挙動を安定化させる必要がある。これを解決す
るのが次に述べる第4実施例である。図16乃至図18
は、アンチロック制動力制御回路60が実行する制動力
制御処理の第4実施例のフローチャートを示す。この処
理は例えば5msec毎に割込み実行される。まず、図16
のステップでは車輪速センサ63,64により検出され
た前輪の車輪速VL(n),VR(n)と、ホイールトレッドd
とを用いて(1)式により横加速度Gy(n)を推定する。
【0084】次にステップS92で今回のタイミング、
前回のタイミング夫々で得られた横加速度Gy(n),G
y(n-1)の絶対値を比較する。|Gy(n-1)|≧Gy(n)|の
場合はステップS94に進み、タイマtが0か否かを判
別する。t=0の場合はステップS96で前回タイミン
グの横加速度Gy(n-1)をピーク横加速度Gypにセットす
る。t≠0の場合はステップS98に進む。この後、ス
テップS98でタイマtを1だけインクリメントし、ス
テップS100でタイマtが所定期間T4 を越えるか否
かを判別する。
【0085】t>T4 の場合はステップS102に進
み、今回タンミングの横加速度Gy(n)をピーク横加速度
ypにセットし、かつタイマtをゼロにリセットしてス
テップS104に進む。ステップS92で|Gy(n-1)
<|Gy(n)|の場合もステップS102に進む。また、
ステップS100でt≦T4 の場合はステップS104
に進む。上記のステップS92〜S102により、横加
速度Gy の正又は負のピーク値がピーク横加速度Gyp
セットされ、このピーク値の検出時点からタイマt4
カウントが開始される。ピーク横加速度Gypは所定期間
4 だけ保持される。上記のステップS92〜S102
がピーク値検出手段に対応する。
【0086】ステップS104ではブレーキスイッチ6
7の信号がオンか否か、つまりブレーキペダル1が踏み
込まれたか否かを判別する。ブレーキオンではない場合
はステップS106に進み、今回のタイミングで算出し
た横加速度Gy(n)を前回タイミングの横加速度Gy(n-1)
にセットして、処理を終了する。
【0087】ブレーキオンの場合はステップS108に
進み、制動直前の横加速度GyTに前回タイミングの横加
速度Gy(n-1)をセットする。この後、図17のステップ
S110で制動直前の横加速度GyTが所定の閾値Aを越
えるか否かを判別する。GyT>Aの左急旋回時には図1
8のステップS22に進み、図18の目標左車輪速度V
L(n) *を(2)式により算出する。
【0088】この後、ステップS116で左前輪の車輪
速VL(n)が上記目標左車輪速VL(n) * となるように左前
輪のブレーキ制御を行い、処理を終了する。このステッ
プS116ではVL(n)>VL(n) * の場合、増圧用液圧切
換弁13を開弁し、かつ、減圧用液圧切換弁17を閉弁
して旋回内輪である左前輪のブレーキ圧を増圧させる。
また、VL(n)=VL(n) *の場合、増圧用液圧切換弁13
及び減圧用液圧切換弁17を共に閉弁して左前輪のブレ
ーキ圧を保持させる。また、VL(n)<VL(n) * の場合、
増圧用液圧切換弁13を閉弁し、かつ、減圧用液圧切換
弁17を開弁して旋回内輪である左前輪のブレーキ圧を
減圧させる。
【0089】また、図17のステップS110でGyT
Aの場合はステップS112に進んで、制動直前の横加
速度GyTが所定の閾値−A未満であるか否かを判別す
る。−A≦GyT≦Aの場合はステップS124に進む。
yT<−Aの右急旋回時には図18のステップS118
に進み、目標右車輪速VR(n) * を(3)式により算出す
る。上記のS114,S118が第1の目標車輪速度演
算手段に対応する。
【0090】この後、ステップS114と同様にステッ
プS120で右前輪の車輪速VR(n)が上記目標右車輪速
R(n) * となるように右前輪のブレーキ制御を行い、処
理を終了する。偏差演算手段に対応する図17のステッ
プS124では制動直前の横加速度G yTからピーク横加
速度Gypを減算して偏差GyT1 にセットする。次にステ
ップS126で偏差GyT1 が閾値Cを越えるか否かを判
別する。GyT1 >Cの左急切り返し時にはステップS1
30に進んで(12)式により目標左車輪速VL(n) *
算出する。
【0091】
【数6】
【0092】この後ステップS116と同様にステップ
S132で左前輪の車輪速VL(n)が上記目標左車輪速V
L(n) * となるように左前輪のブレーキ制御を行い、処理
を終了する。一方、ステップS126でGyT1 ≦Cの場
合は、ステップS128で偏差GyT 1 が閾値−C未満か
否かを判別する。GyT1 <−Cの右急切り返し時にはス
テップS134に進んで(13)式により目標右車輪速
R(n) * を算出する。
【0093】
【数7】
【0094】この後ステップS120と同様にステップ
S136で右前輪の車輪速VR(n)が上記目標右車輪速V
R(n) * となるように右前輪のブレーキ制御を行い、処理
を終了する。ステップS128で−C≦GyT1 ≦Cの場
合にはそのまま処理を終了する。上記のステップS13
0,S134が第2の目標車輪速度演算手段に対応す
る。
【0095】後輪についても上記と同様の処理が行われ
る。このように、旋回内輪の車輪速が旋回内輪の目標車
輪速と等しくなるように増圧用液圧切換弁12〜15及
び減圧用液圧切換弁16〜19が開閉制御されて内輪側
へのブレーキ圧が増圧、保持、減圧のいずれかに切り換
えられ旋回内輪と旋回外輪とが同じスリップ率となるよ
うに制御力が制御される。
【0096】従って、各車輪のスリップ率が同じになる
ようにブレーキ圧が制御されることにより、旋回制動時
の内輪側と外輪側とのスリップ率の偏差がゼロになるよ
うに各車輪の制動力を制御して旋回制動時の内輪側と外
輪側とを同時にロックさせることができる。よって、旋
回制動時に発生しやすいヨーモーメントを打ち消して旋
回制動時の走行安定性を高めることができるとともに、
制動性能をより高めることができ、制動距離を短縮する
ことができる。
【0097】図19に示す如く、制動直前の横加速度G
yTが閾値Aから−Aの範囲であった場合、制動開始前の
期間T4 内のピーク横加速度Gypと制動直前の横加速度
yTとの偏差GyT1 を求め、偏差GyT1 の絶対値が閾値
Cを越えていれば急切り返しと判断して、この偏差G
yT1 を用いて旋回内輪の目標車輪速VI * を算出し、内
輪の車輪速VI がVI * となるように制御を行なう。こ
のため、急な切り返しにより車両挙動が不安定になるこ
とを防止できる。
【0098】ところで、一般に車両のヨー共振周波数は
1Hz程度であるため、期間T4 =1秒程度に設定して
おけば、T4 内で横加速度Gy の極性が変化するような
大きな変化は存在しない。また、偏差GyT1 の絶対値が
大であるということは期間T 4 における横加速度Gy
変化率が大であることを意味しており、これは急な切り
返し操舵を行った結果である。
【0099】ここで、2系統ブレーキシステムのうち、
右前輪と左後輪とを第1系統配管でマスタシリンダ3に
配管し、左前輪と右後輪とを第2系統配管でマスタシリ
ンダ3に配管し、かつ制動力配分制御を行うダイアゴナ
ル配管の車両について考える。
【0100】図20(A),(B)に示す如く、車両8
9の実線で示す第1系統配管90が正常であり、破線で
示す第2系統配管が失陥した場合を想定する。同図
(A)に示す如く、右旋回で急制動を行うと、旋回内輪
である右前輪(FR)は制動により車輪速が落ちるた
め、制動力配分制御に入り減圧を開始する。しかし、左
前輪(FL)は第1系統配管91の失陥により制動がか
からない。左前輪スリップ率≧右前輪スリップ率となる
ように制動力配分制御がなされるため、右前輪は減圧し
続け右前輪も制動がかからなくなってしまう。また、旋
回外輪の左後輪(RL)は急制動のため、ABS作動状
態となり、右後輪(RR)は失陥により制動がかからな
い。このときは、左後輪スリップ率≧右後輪スリップ率
であるため、右後輪は制動力配分制御に入らない。つま
り、この場合は左後輪の制動力だけで車両89の制動が
行われることとなり、制動力が大幅に低下してしまう。
【0101】また、同図(B)に示す如く、左旋回で急
制動を行うと、旋回内輪である左後輪(RL)は制動に
より車輪速が落ちるため、制動力配分制御に入り減圧を
開始する。しかし右後輪(RR)は第1系統配管91の
失陥により制動がかからない。右後輪スリップ率≧左後
輪スリップ率となるように制動力配分制御がなされるた
め、左後輪は減圧し続け左後輪も制動がかからなくなっ
てしまう。
【0102】また、旋回外輪の右前輪(FR)は急制動
のためABS作動状態となり、左前輪(FL)は失陥に
より制動がかからない。このときは右前輪スリップ率≧
左前輪スリップ率であるため、左前輪は制動力配分制御
に入らない。つまり、この場合は右前輪の制動力だけで
車両89の制動が行われることとなり、制動力が大幅に
低下してしまう。そこで、一定時間以上、制動力配分制
御による減圧が続いたときはこの制御を終了し増圧を行
う方法も考えられるが、上記一定時間を1秒程度にしな
ければならないため、急制動時には効果がない。こを解
決するのが第5実施例である。
【0103】図21はダイアゴナル配管の車両における
アンチロック制動力制御回路60が実行する失陥検出処
理のフローチャートを示す。この処理は例えば5msec毎
に割込み実行される。同図中、まず、ステップS150
で前輪の制動力配分制御中か否かを判別する。ここで、
前輪制動力配分制御中であれば、ステップS152に進
み、後輪の制動力配分制御中か否かを判別する。ここ
で、後輪の制動力配分制御中でなければ、ステップS1
54に進み、旋回外側の後輪つまり後外輪がABS作動
中か否かを判別する。
【0104】ここで後外輪がABS作動中であれば図2
0(A)に示す如き状態で第1,第2系統配管90,9
1のいずれかが失陥しているためステップS156に進
み、制動力配分制御を強制的に終了し処理を終了する。
これによって、旋回内側の前輪の制動力の減少が停止さ
れ、車両の制動力低下が防止される。
【0105】一方、ステップS150で前輪の制動力配
分制御中でなければ、ステップS158に進み、後輪の
制動力配分制御中か否かを判別する。ここで、後輪の制
動力配分制御中であれば、ステップS160に進み、旋
回外側の前輪つまり前外輪がABS作動中か否かを判別
する。
【0106】ここで、前外輪がABS作動中であれば図
20(B)に示す如き状態で第1,第2系統配管90,
91のいずれかが失陥しているためステップS156に
進み、制動力配分制御を強制的に終了し処理を終了す
る。これによって、旋回内側の前輪の制動力の減少が停
止され、車両の制動力低下が防止される。上記のステッ
プS150〜S160が失陥検出手段に対応し、ステッ
プS156が禁止手段に対応する。
【0107】上記ステップS152で後輪の制動力配分
制御中である場合、又はステップS154で後外輪のA
BSが作動してない場合、又はステップS158で後輪
の制動力配分制御中でない場合、又はステップS160
で前外輪のABSが作動してない場合は、失陥なしと判
断してこの処理を終了する。
【0108】
【発明の効果】上述の如く、請求項1に記載の発明によ
れば、制動直前の左右輪の車輪速度から求めた旋回運動
量と、旋回外輪の車輪速度とから左右輪がほぼ同一スリ
ップ率となるような旋回内輪の目標車輪速度を求め、旋
回内輪の車輪速度が上記目標車輪速度となるように制動
力を制御するため、車両の旋回挙動が安定すると共に、
左右輪に大きな制動力を与え停止距離を短縮することが
でき、かつ旋回運動量を検出するセンサが不要となり簡
単な構成とすることができる。
【0109】また、請求項2に記載の発明によれば、車
速の低下に従って旋回運動量を減少補正するため、旋回
運動量が最適な値に補正され、更に適切な旋回内輪の制
動力制御が可能となる また、請求項3に記載の発明によれば、制動直前の左右
輪の車輪速度から求めた旋回運動量を増大補正し、この
補正された旋回運動量に基づく旋回内輪の目標車輪速度
より旋回内輪の車輪速度が小さくなったとき、旋回内輪
の車輪速度が増大補正前の旋回運動量に基づいて変更さ
れた目標車輪速度となるよう旋回内輪の制動力が制御さ
れるため、路面μを反映する制動時の車輪速度と増大補
正をした旋回運動量に基づく目標車輪速度との比較から
制動力の制御開始判断を行うことができるので旋回運動
量と路面μとの比の大きさを反映することができ、制動
力の制御が必要な走行状態において制御を行うことがで
きる。
【0110】また、請求項4に記載の発明によれば、制
動開始前の所定期間の旋回運動量のピーク値と制動直前
の旋回運動量の偏差を求め、制動直前の旋回運動量が閾
値を越えなくても偏差が所定値を越えるときはこの偏差
に基づく旋回内輪の制動力の制御が行われるため、制動
直前の旋回運動量が小さくても、切り返し操作により車
両挙動が不安定な状態で制動力の制御が行われ、車両挙
動を安定化することができる。
【0111】また、請求項5に記載の発明によれば、ダ
イアゴナル配管で1系統が失陥した場合に旋回内輪の制
動力の制御が禁止されるため、失陥時に旋回内輪の制動
力の低下を防止でき、制動距離の短縮化を図ることがで
きる。また、請求項6に記載の発明によれば、前輪と後
輪のいずれか一方の旋回内輪の制動力の制御の実行と、
他方の旋回内輪のアンチロック制御の実行とからダイア
ゴナル配管の1系統の失陥を判断でき、実用上きわめて
有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理図である。
【図2】本発明を適用したアンチロック制動力制御シス
テムの構成図である。
【図3】制動力制御処理のフローチャートである。
【図4】図3の処理を説明するための図である。
【図5】図3の処理を説明するための図である。
【図6】制動による旋回半径の変化を説明するための図
である。
【図7】制動力制御処理のフローチャートである。
【図8】図7の処理を説明するための図である。
【図9】旋回内外輪のスリップ率を示す図である。
【図10】制動によるGy とGyTの関係を示す図であ
る。
【図11】制動によるVI とVI * との関係を示す図で
ある。
【図12】制動力制御処理のフローチャートである。
【図13】図12の処理を説明するための図である。
【図14】図12の処理を説明するための図である。
【図15】急な切り返しを説明するための図である。
【図16】制動力制御処理のフローチャートである。
【図17】制動力制御処理のフローチャートである。
【図18】制動力制御処理のフローチャートである。
【図19】図16乃至図18の処理を説明するための図
である。
【図20】ダイアゴナル配管の車両の旋回制動動作を説
明するための図である。
【図21】失陥検出処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1 ブレーキペダル 3 マスタシリンダ 4,5 リザーバ 6〜9 ホイールシリンダ 10 第1ブレーキ管路 11 第2ブレーキ管路 12〜15 増圧用液圧切換弁 16〜19 減圧用液圧切換弁 20〜27 供給用管路 28a〜28d 供給系路 29〜34 還流用管路 54,55 吸引ポンプ 60 アンチロック制動力制御回路 61 車速センサ 62 加速度センサ 63〜66 車輪速センサ 67 ブレーキスイッチ M1 車輪速度検出手段 M2 旋回運動量演算手段 M3 目標車輪速度演算手段 M4 制動力制御手段

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の各輪の車輪速度を検出する車輪速
    度検出手段と、 制動直前の左右輪の車輪速度から車両の旋回運動量を演
    算する旋回運動量演算手段と、 演算された旋回運動量と旋回外輪の車輪速度から左右輪
    がほぼ同一スリップ率となるような旋回内輪の目標車輪
    速度を演算する目標車輪速度演算手段と、 旋回内輪の車輪速度を上記目標車輪速度とするように旋
    回内輪の制動力を制御する制動力制御手段とを有するこ
    とを特徴とする制動力制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の制動力制御装置におい
    て、 車両の車速の低下に従って、前記旋回運動量を減少補正
    する補正手段を有することを特徴とする制動力制御装
    置。
  3. 【請求項3】 車両の各輪の車輪速度を検出する車輪速
    度検出手段と、 制動直前の左右輪の車輪速度から車両の旋回運動量を演
    算する旋回運動量演算手段と、 演算された旋回運動量を増大補正する増大補正手段と、 増大補正された旋回運動量と旋回外輪の車輪速度から旋
    回内輪の目標車輪速度を演算する目標車輪速度演算手段
    と、 旋回内輪の車輪速度が上記目標車輪速度未満となったと
    き増大補正前の旋回運動量と旋回外輪の車輪速度から左
    右輪がほぼ同一スリップ率となるような旋回内輪の目標
    車輪速度を演算して変更する目標車輪速度変更手段と、 旋回内輪の車輪速度を上記変更された目標車輪速度とす
    るように旋回内輪の制動力を制御する制動力制御手段と
    を有することを特徴とする制動力制御装置。
  4. 【請求項4】 車両の各輪の車輪速度を検出する車輪速
    度検出手段と、 左右輪の車輪速度から車両の旋回運動量を演算する旋回
    運動量演算手段と、 制動開始前の所定期間の旋回運動量のピーク値を検出す
    るピーク値検出手段と、 上記ピーク値と制動直前の旋回運動量との偏差を演算す
    る偏差演算手段と、 上記制動直前の旋回運動量が所定の閾値を越えたとき、
    制動直前の旋回運動量と旋回外輪の車輪速度から左右輪
    がほぼ同一スリップ率となるような旋回内輪の目標車輪
    速度を演算する第1の目標車輪速度演算手段と、 上記制動直前の旋回運動量が上記閾値を越えず、かつ上
    記演算された偏差が所定値を越えたとき、上記偏差と旋
    回外輪の車輪速度から旋回内輪の目標車輪速度を演算す
    る第2の目標車輪速度演算手段と、 旋回内輪の車輪速度を上記目標車輪速度とするように旋
    回内輪の制動力を制御する制動力制御手段とを有するこ
    とを特徴とする制動力制御装置。
  5. 【請求項5】 ダイアゴナル配管の第1系統配管と第2
    系統配管を有する車両に設けられた請求項1乃至4のい
    ずれかに記載の制動力制御装置において、 上記第1系統配管と第2系統配管のいずれか一方の失陥
    を検出する失陥検出手段と、 上記失陥の検出時に旋回内輪の制動力の制御を禁止する
    禁止手段とを有することを特徴とする制動力制御装置。
  6. 【請求項6】 アンチロック制御を行う車両に設けられ
    た請求項5記載の制動力制御装置において、 前記失陥検出手段は、前輪及び後輪のいずれか一方の旋
    回内輪の制動力の制御が行われ、かつ他方の旋回外輪の
    アンチロック制御が行われたとき、失陥を検出すること
    を特徴とする制動力制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009012632A (ja) * 2007-07-05 2009-01-22 Toyota Motor Corp 車両の制御装置

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