JP4320827B2 - 車体挙動制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の走行状態に伴い、車輪制動力を自動制御して車体挙動を制御する車体挙動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来車両の走行状態に応じて車輪にかかる制動力(ホイールシリンダ圧)を自動制御する制動制御装置が開発されている。たとえば、特開平9−226555号公報では、車両の横加速度、車両の旋回する方向、および乗員による制動操作状態をそれぞれ検出し、非制動状態にある時には旋回内輪側前輪の車輪速度と横加速度から旋回外輪側従動輪の目標車輪速度を演算し、制動状態にある時には旋回外輪側前輪の車輪速度と横加速度から旋回内輪側前輪の目標車輪速度を演算するとともに、各々の目標車輪速度に応じて制動力の自動制御を実行している。すなわち簡単に言えば、横加速度に基づく内外輪速度差に対する制御を行う際の制御基準を、乗員による制動・非制動状態で切り換える制御を実行している。これにより、左右車輪速度をー定の関係に保つようたとえば同ースリップ率等に保つようにして車体の安定化を図る制御を実現している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のものでは、制動力の自動制御にあたり車両状態の推定を行っていないため、制動力の自動制御に伴い車体挙動の悪化を招いたり制動力の不足を生じたりする可能性がある。すなわち、各車輪毎に制御目標値を定める際に車体全体のバランスを考慮することなしに自動制御を行うと、この車体全体のバランスの悪化すなわち車体挙動の悪化を招くことがある。
【0004】
よって、本願発明は、車両状態の推定を的確に行い各種アクチュエータを駆動できる車体挙動制御装置を提供することを目的とする。また、この車両状態に基づいて適切に制御対象輪を設定しえるとともに適切な制動力を付与することが可能な車体挙動制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願発明による車体挙動制御装置では、各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、
各車輪に車輪制動力を与える車輪制動力発生手段と、
車両の横方向の運動量( stateV1、2)を検出する横方向運動量検出手段と、
前記各車輪の車輪速度と前記横方向の運動量とに基づいて、車両の挙動状態(S1、S2)を推定する状態推定手段と、
前記挙動状態に基づいて車輪制動力発生手段に対する車輪制動力付与量を設定する制御量設定手段と、
前記車輪制動力付与量に基づいて前記車輪制動力発生手段にかかる車輪制動力を調整する調整手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
このように、本発明による車体挙動制御装置では、状態推定手段により各車輪の車輪速度による情報と横方向運動による車体の挙動とに基づいて、車両の挙動状態を推定する。そして、この車体挙動の状態に基づいた制動力付与制御・調整を行うため、車体全体のバランスを良好に保つように適切に制動力付与の制御対象輪を設定することができる。
【0007】
具体的には、状態推定手段は、前記車体の左右車輪の車輪速度の差に基づく車輪状態量( stateW1、2)を演算する車輪状態量演算手段を備え、この車輪状態量と車両の横方向運動量との比較に基づいて、前記車両の挙動状態を推定することができる。また、状態推定手段における前記車輪状態量演算手段は、左右車輪の独立した組み合わせに伴い車体の前輪側の車輪状態量および車体の後輪側の車輪状態量の2値の車輪状態量( stateW1、2)を演算する。
【0008】
また、前記状態推定手段における前記車輪状態量演算手段は、左右車輪の独立した組み合わせに伴い車体の一方の対角輪側の車輪状態量および車体の他方の対角輪側の車輪状態量の2値の車輪状態量( stateW1、2)を演算するようにしてもよい。
さらに、状態推定手段は、前記車両の横方向の運動量( stateV1、2)を前記車輪状態量( stateW1、2)から引いた差を車輪位置に応じたそれぞれの車***置の状態量( state1、2)を演算している。
【0009】
そして、状態推定手段は、前記それぞれの車***置の状態量の和を取ることによって、車体全体の不安定状態を示す第1の判定値(S1)を算出すると共に、前記それぞれの車***置の状態量の差を取ることによって、不安定状態に陥っている車***置の状態を示す第2の判定値(S2)を算出することができる
【0010】
より具体的には、状態推定手段は、前記第2の判定値が第1判定定数(P2)よりも大きい状態が基第1基準継続時間継続すると車輪と路面の摩擦結合限界が前輪で発生している場合、前輪側の車***置の状態量が限界状態であると判定し、前記第2の判定値が第1判定定数(P2)より小さくかつ第2判定定数(P3)よりも大きい状態が第2基準継続時間継続すると車輪と路面の摩擦結合限界が前輪及び後輪で発生している場合、前輪側および後輪側の車***置の状態量が限界状態であると判定し、前記第2の判定値が第1判定定数より小さくかつ前記第2判定定数よりも小さい状態が第3基準継続時間継続すると車輪と路面の摩擦結合限界が後輪で発生している場合、後輪側の車***置の状態量が限界状態であると判定する判定手段(数15〜数18)を備える。
また、状態推定手段は、前記それぞれの車***置の状態量の和を取ることによって車体全体の不安定状態を示す第1の判定値(S1)と、前記それぞれの車***置の状態量の差を取ることによって不安定状態に陥っている車***置の状態を示す第2の判定値(S2)と、を算出することにより、車体不安定状態を複数に場合分けするようにしてもよい。
【0011】
この際には、車輪状態量と車体状態量である横方向運動量とに基づき車体挙動全体において、全体的に不安定なのか、たとえば車体前側が不安定なのか後ろ側が不安定なのか等場合分けした車体不安定状態を的確に判定できる。このように、車体全体の不安定状態に追加して車体のどの位置が不安定なのかを場合分けして不安定状態に基づいた車輪制動力付与を行えば、車体挙動の全体的および部分的なバランスを包括した車体挙動制御を実現できる。
【0012】
また、状態推定手段は、前記第1の判定値に対する基準値(P1)および第2の判定値に対する基準値(P2、P3)とを比較し、車体の不安定状態の場合分けを行うようにしてもよい。
また、制御量設定手段は、車両の旋回状態を検知する旋回状態検知手段を備え、この旋回状態に応じて前記各車輪に対する制動力付与量を設定するようにしてもよい。
【0013】
また、状態推定手段は、浮上状態判定手段にて、各車輪の車輪速度と横方向の運動量とに基づいて、各車輪のいずれかが路面から浮上状態にあるか否かを判定し、この浮上状態に応じて車輪制動力付与量を設定するようにしてもよい。すなわち、車体の各車輪の浮上状態を車体不安定状態として見るようにしても良い
【0015】
また、各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、各車輪に車輪制動力を与える車輪制動力発生手段と、車体に設けられ、車体の横方向の運動を車両状態(state V1、2)として直接検知する車両状態量検知手段と、前記車体の位置を複数に分割して状態量を考慮する際に、前記分割されたそれぞれの車***置の状態量(state1、2)を、前記車輪状態量(stateW1、2)から前記車両の横方向の運動である前記車両状態(stateV1、2)を引いた差として演算する車両状態量演算手段と、前記車***置の状態量のうちの前輪の状態量(state1)および後輪の状態量(state2)に対して重み付け係数(K1)を用いて重み付け演算(数13、数14)することにより車体全体の状態量判定値(S1)あるいは車体の部分的な状態量判定値(S2)を求める判定値演算手段と、前記判定値に基づいて車輪制動力発生手段に対する車輪制動力付与量を設定する制御量設定手段と、前記車輪制動力付与量に基づいて前記車輪制動力発生手段にかかる車輪制動力を調整する調整手段とを備えるようにしてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて、本発明にかかる車体挙動制御装置の具体的な実施例について説明する。
図1は車体挙動制御装置のハイドロユニットの構成を示す構成図である。本実施例においては、後輪駆動の4輪車において、左右前輪の車輪制動力を調整する第1の配管系統と、左右後輪の車輪制動力を調整する第2の配管系統とを備える車両に本発明による車体挙動制御装置を適用する。
【0017】
図1に示すように、車両に制動力を加える際に乗員によって踏み込まれるブレーキペダル1は、機械的なブレーキ液圧の発生源となるマスタシリンダ2に接続されている。なお、このマスタシリンダ2は油室が各配管系統毎に対して設けられるタンデムマスタシリンダの構造を採用している。乗員によるブレーキペダル1の踏み込み作用があると、この踏み込み作用(踏力)を倍力するブレーキブースタ1aを介してマスタシリンダ2にマスタシリンダ圧を発生する。なお、ブレーキペダル1、ブレーキブースタ1aおよびマスタシリンダはロッドにより機械的に連結されている。マスタシリンダ2内にはマスタピストン2a、2bが設けられており、ロッドによりマスタピストン2a、2bが押圧される。これらマスタピストン2a、2bとマスタシリンダ2の内壁との間は、各々図示しないシール部材により液密にシールされており、プライマリ室2Aとセカンダリ室2Bを形成している。各マスタピストン2a、2bは弾性体を成すスプリングによって結合されており、マスタシリンダ2のプライマリ室2Aとセカンダリ室2Bの両室には、ブレーキペダル1の踏み込みにより実質的に同圧が発生する。なお、ブレーキペダル1から遠いほうのマスタピストン2bとマスタシリンダ2の内端部との間にも弾性体を成すスプリングが配置されており、ブレーキペダル1の戻し操作時にはブレーキペダル位置を回復しマスタシリンダ圧の低下および大気圧への減少を促進するよう作用する。
【0018】
また、マスタシリンダ2の上部にはマスタリザーバ3が配置される。このマスタリザーバ3とマスタシリンダ2との間には、マスタシリンダ2のプライマリ室2Aおよびセカンダリ室2Bの双方と連通されるように通路が設けられている。そして、この通路によってマスタシリンダ2のプライマリ室2A、セカンダリ室2Bにマスタリザーバ2からブレーキ液が供給されたり、マスタシリンダ2側からの余剰ブレーキ液が貯留されたりする。なお、プライマリ室2A、セカンダリ室2B側から延びる各通路の管路直径は、マスタシリンダ内径の直径よりも非常に小さく、マスタシリンダ2側からマスタリザーバ3へのブレーキ液の流動に際しオリフィス効果を生ずる。また、ブレーキペダルの踏み込みによりマスタピストン2A、2Bがマスタシリンダ内端(図中右側)に移動し実質的に車輪制動力を付与するマスタシリンダ圧が発生した時点で、マスタピストン2A、2Bが前述の通路を塞ぎ、マスタリザーバ3とマスタシリンダ2間のブレーキ液の流動は禁止される。すなわち、ブレーキペダル踏み込み後は、マスタシリンダ2のプライマリ室2A、セカンダリ室2Bから下流側(ホイールシリンダ側)のみに存在するブレーキ液により車輪制動力が発生される。
【0019】
マスタシリンダ圧は第1の配管系統Aおよび第2の配管系統Eに伝達される。なお、第1の配管系統A、と第2の配管系統Eとは同様の作用効果を奏する構成が存在するため、第1の配管系統にて説明した構成と同等の第2の配管系統の構成は説明を簡略化する。
第1の配管系統Aは、中途で分岐する管路A1、A2を備え、各管路A1、A2は右前輪FRのホイールシリンダ4および左前輪FLのホイールシリンダ5に接続される。この各ホイールシリンダ4、5はホイールシリンダ圧を発揮し、車輪制動力を発生する。
【0020】
第1の配管系統Aにおいて、前述の分岐点までの間には連通・差圧位置の2位置を備える2位置弁である前輪用差圧制御弁6が設けられるこの前輪用差圧制御弁6は弁体が差圧位置に有る場合には、マスタシリンダ2側からのブレーキ液の流動は禁止し、ホイールシリンダ4、5側からのブレーキ液の流動は原則的に禁止する。ただし、差圧位置においても、ホイールシリンダ4、5側のブレーキ液圧がマスタシリンダ圧よりも設定値以上大きくなった場合(たとえば設定値は50kgf/cmm2に設定される)のみ、ホイールシリンダ4、5側からマスタシリンダ2へのブレーキ液の流動を許容する。マスタシリンダ圧はある程度までの圧力にしかならないため、これによりホイールシリンダ4、5側の圧力もある程度の圧力までしか上がらず、管路保護を実現できる。なお、前輪用差圧制御弁6には並列に逆止弁6aが設けられており、この逆止弁6aはマスタシリンダ側からホイールシリンダ4、5へのブレーキ液の流動のみを許容し、逆方向のブレーキ液の流動は実質的に禁止する。この逆止弁により乗員の踏み込みによりマスタシリンダ圧が発生し、ホイールシリンダ圧がマスタシリンダ圧よりも高い場合には前輪用差圧制御弁6よりもホイールシリンダ4、5側へブレーキ液が流動する。
【0021】
前述の管路A1、A2には、それぞれアンチスキッド制御や車体挙動制御の際にホイールシリンダ4、5側とマスタシリンダ2あるいはポンプ吐出とを連通・遮断する増圧制御弁7、8が設けられている。また、増圧制御弁7、8には並列に逆止弁7a、8aが設けられており、ホイールシリンダ4、5側から前輪用差圧制御弁6側へのブレーキ液の流動のみを許容する。
【0022】
各ホイールシリンダ4、5と各増圧制御弁7、8との間から延びる管路Bはリザーバ10に接続され、この管路Bには、それぞれのホイールシリンダ4、5に対応して減圧制御弁11、12が設けられている。この減圧制御弁11、12は各ホイールシリンダ4、5からリザーバ10へのブレーキ液の流動を調整するための弁であり、ホイールシリンダ圧の減圧を調整する。
【0023】
ポンプ9はリザーバ10からブレーキ液を吸引可能なように管路Cに設けられ、ポンプ吐出先は管路Cにより管路Aにされている。なお、ポンプ9の吸引口および吐出口には吸引側から吐出側方向へのブレーキ液の流動のみを許容するように逆止弁9a、9bが設けられている。なお、この逆止弁9a、9bはポンプ9に内蔵されていてもよい。ポンプ9はピストンポンプあるいはトロコイドポンプによって構成される。トロコイドポンプによって構成された際には、吐出脈動が小さく、ブレーキペダル操作が無い場合の駆動時や頻繁にポンプ駆動が成されるブレーキアシスト機能を併有する場合には有利である。このポンプ9の第2の配管系統Eに備えられるポンプ39とともにモータMによって駆動される。
【0024】
ポンプ吐出は、ダンパ13を通過する。このダンパ13はポンプの吐出脈動を抑える役割を果たす。
ポンプ9の吸引先は、リザーバ10のみではなく、管路Dを通じてマスタリザーバ3およびマスタシリンダ2のプライマリ室2Aからも吸引する。管路Dは、ポンプ吸引口からみて中途で分岐し、マスタリザーバ3に接続される管路D2とプライマリ室2Aに接続される管路D1を備える。管路D1には、制御弁14が設けられ、管路D2にも制御弁15が設けられる。これら制御弁14、15は、プライマリ室2Aあるいはマスタリザーバ3からのポンプ吸引の許可・禁止を調整するためのものである。なお、管路D2には制御弁15を介してマスタリザーバ3にブレーキ液が逆流しないように、逆止弁15aが設けられる。また、ポンプ吸引口側の管路Cにおいてプライマリ室2A等からポンプ9の吸引口側へ流動するブレーキ液が、リザーバ10に流動しないようにするために、逆止弁9cが設けられる。これは、リザーバ10にプライマリ室2A等からブレーキ液が流動すると、アンチスキッド制御や車体挙動制御においてホイールシリンダ圧を減圧刷る際の妨げとなる可能性があるからである。
【0025】
このように構成される第1の配管系統A側の各弁は、ブレーキペダル1の操作のみによって制動操作が行われているノーマルブレーキ状態では、各弁位置は図示の位置にある。なお、このノーマルブレーキ状態では、プライマリ室2Aから、前輪用差圧制御弁6、各増圧制御弁7、8の連通位置を通過してホイールシリンダ圧が与えられる。
【0026】
第2の配管系統E側においては、管路Dにおける管路D2と、この管路D2に設けられる制御弁15、逆止弁15aが構成されていない点で第1の配管系統と構成が異なる。その他の点は第1の配管系統と第2の配管系統とは同等の構成を有しており、以下、各構成の対応関係を示す。後輪用差圧制御弁36は前輪用差圧制御弁6と、増圧制御弁37、38は増圧制御弁7、8と、減圧制御弁41、42は減圧制御弁11、12と、リザーバ40はリザーバ10と、ホイールシリンダ34、35はホイールシリンダ4、5と、ダンパ33はダンパ13と、管路Hは管路D1を備える管路Dと、制御弁44は制御弁14とポンプ39はポンプ9とそれぞれ対応する。
【0027】
なお、前輪の車輪制動力を調整する第1の配管系統Aにおいては、マスタリザーバ3からポンプ吸引する管路D2が設けられているが、これは以下の理由による。通常車両制動時には車体に発生する車体減速度によって車体荷重移動が生ずる。これにより左右前輪の方が左右後輪に比べて大きな車輪制動力を発揮することができる。これは周知の理想制動力配分曲線等からみても明らかである。すなわち、前輪側には大きな制動力を加えることができることで、車輪が発揮できる前後制動力(グリップ力)および左右制動力(サイドフォース)は後輪に比べて大きい。よって、車体挙動等を制御する場合には、左右前輪の少なくとも一方に対して大きなブレーキ液圧を加えるとが効果的である。しかしながら、乗員がブレーキペダルを踏んでいない場合等では、ポンプがプライマリ室2Aからブレーキ液を吸引する際には、プライマリ室2Aにおいて発生する負圧による流動抵抗(吸引抵抗)があり、ポンプ吐出しいてはホイールシリンダ圧の迅速な昇圧ができない。これを補充するために、管路D2が設けられ、吸引抵抗の少ないマスタリザーバ3からの吸引を可能とする。なお、後輪側では、もともと車体挙動に対する影響も小さく前輪側と比べて迅速な昇圧の必要性が低いため、管路D2に相当する管路を設けなくてもよい。
【0028】
以上のように構成される各アクチュエータは図2に示すように、電子制御装置(ECU)100によって制御される。なお、ECU100はROM、RAM、CPU、I/Oインターフェース等周知の構成を内蔵する。そして、横加速度センサ50、車輪速度センサ60からの信号を受けて、各アクチュエータ構成(前輪用差圧制御弁6等)を制御する。なお、車輪速度センサ60は右前輪FR、左前輪FL、右後輪RRおよび左後輪RLに対してそれぞれ設けられており、電磁ピックアップ式等の方法によって、各車輪の回転速度に応じた電気信号を出力する。また、横加速度センサ50は、車体の横運動状態を検出するものとして設けられておりヨーレートセンサ等によっても代用できる。
【0029】
次に、図3以降のフローチャートに基づいて、ECU100において実行される制御内容について説明する。
図3は、本実施形態における車体挙動制御を実行する際のメインフローを示すフローチャートである。
乗員により図示しないイグニッションスイッチがONされた際に演算が実行開始されると、ステップ10ではまず各センサすなわち車輪速度センサ60、横加速度センサ50からの入力を受ける。
【0030】
ステップ20では、基本状態量演算を行う。この基本状態量とは、具体的には図4のフローにおいて説明する推定車体速度および車体前後加速度を示す。
ステップ30では、車輪状態量の演算を行う。車輪状態量については図7等において後述する。
ステップ40では、車両状態の推定演算を行う。車両状態は、図10にて後述するフロー等において推定され、車体の不安定・安定状態を推定判定する。
【0031】
ステップ50では、各輪制御量を演算する。この各輪の制御量とは、図16等において後述するように、各ホイールシリンダに付与するホイールシリンダ圧を指す。
ステップ60では、各輪に対する制御出力を行う。すなわち、図21、図22において後述するように、各弁に対する出力パターンを決定し、各弁を制御する信号を出力する。
【0032】
次に、基本状態量演算について、図4〜図6に基づいて説明する。
図4は、基本状態量演算のためのサブフローである。ステップ100において車体速度の推定演算を行う。この車体速度の推定演算は、各車輪速度センサ出力に基づく各車輪速度を用いて実行する。たとえば、2番目に大きい車輪速度を車体速度としたり最大車輪速度を車体速度に採用したりしてもよく、周知の演算方法によって車体速度推定演算が行われる。なお、車体前後加速度センサ等が備えられていれば、車体前後加速度の積分値から車体速度を推定するようにしてもよい。また、絶対車体速度を検知することができるセンサを用いるようにしてもよい。この実施形態では、図5において具体的な車体速度推定の方法を示す。
【0033】
ステップ110では、車体前後加速度が推定演算される。この車体前後加速度も、各車輪の車輪速度に基づいて推定できるが、前後加速度を検出する前後加速度センサを備えるようにし、この出力を用いるようにしてもよい。
図5は、図4のステップ100で実行される車体速度推定演算の一例を示すフローである。
【0034】
ステップ200では、各車輪の車輪速度の補正演算が行われる。具体的には、車体速度を演算するために、各車輪の車輪速度を車体の重心位置に換算する補正演算を行う。
【0035】
【数1】
VWFRforVX =VWFR−Lf×YR
【0036】
【数2】
VWFLforVX =VWFL−Lf×YR
【0037】
【数3】
VWRRforVX =VWRR−Lr×YR
【0038】
【数4】
VWRLforVX =VWRL−Lr×YR
なお、VWFRforVX 、VWFLforVX 、VWRRforVX 、VWRLforVX は、各車輪の補正後の車輪速度を示し、VWFR、VWFL、VWRR、VWRLは補正前の各車輪の車輪速度(車輪速度センサからの出力信号に基づき演算された値)を示す。また、Lfは車体重心からフロント軸(フロントドライブシャフト)までの最短距離を示し、Lrは車体重心からリア軸(リアドライブシャフト)までの最短距離を示し、YRはヨーレートを示す。なお、本実施形態の如くヨーレートセンサではなく横加速度センサのみを備える車両では、
【0039】
【数5】
YR=GY/V(n-1)
により横加速度からヨーレートに換算する。なお、Vは推定車体速度を示し、nは演算回数を示すので、V(n-1) は前回演算時の推定定車体速度を示す。なお、現在のフロー中に算出された推定車体速度はV(n) =VXで表す。また、極低速の車両走行時(たとえば5km/s以下のような車輪速度センサ分解能の限界以下)には、数5においてV(n-1) をゼロとして演算しないように、V(n-1) に固定値(たとえば5km/s)を代入して演算する。
【0040】
次にステップ210では、現在車両が減速状態にあるか否かを判定する。ここでの減速状態の判定は、以下第1から第4のいずれかの方法の少なくとも1つを採用することができる。第1の方法として、車体の前後方向の加速度の値(車体速度センサを備えている装置では検出値、あるいは演算による推定値)が正か負か、第2に図示しなストップランプスイッチがONかOFFの状態か(ストップランプスイッチはブレーキペダルへの踏み込みが実質的に有る場合にONになる)、第3にIDL(アイドル)スイッチがONかOFFの状態か、第4に図1、図2におけるマスタシリンダ圧センサ70からのマスタシリンダ圧センサ70の値が基準以上であって実質的に車輪制動力を発生している状態か否か、を用いることができる。なおマスタシリンダ圧センサは、図1において管路Hにおけるマスタシリンダ2と制御弁44との間等に配置することができる。
【0041】
ステップ210において車両が減速状態であると判定された場合、ステップ220に進み、車体速度演算方法2により推定車体速度を演算し、ステップ210において否定判断された場合には、ステップ240に進み車体速度演算方法1により推定車体速度を演算する。ここで車体速度演算方法1として、現時点で最も車輪速度が小さい車輪の値を車体速度とする方法を採用する。また、車体速度演算方法2として、現時点で最も車輪速度が大きい車輪の値を車体速度とする方法を採用する。これは以下の理由による。車両が減速状態であればブレーキによる車輪への作用あるいはエンジンブレーキによる車輪への作用により車輪は減速スリップに陥ることがあり車輪速度が車体速度よりも極端に小さくなる可能性がある。また、減速状態でない場合としては車両の加速中が考えられ、この際には加速スリップによって車体速度よりも極端に大きい車輪速度となる可能性があるからである。
【0042】
ステップ230では、推定車体速度の変化勾配の制限を行う。すなわち、前後加速度値に応じて前回の推定車体速度から今回の推定車体速度への変化量を制限する。
図6は車体の前後加速度の推定演算のフローである。このフローは図4のステップ110における演算方法の具体例である。
【0043】
ステップ300では、図5に示した方法で推定演算された推定車体速度をローパスフィルタにてフィルタリングする。たとえば10HZ以下の周波数のみを通すローパスフィルタを用いて推定車体速度演算値の中のノイズを除去する。
ステップ310では、ステップ300においてフィルタリングされた推定車体速度値を微分処理する。
【0044】
ステップ320では、ステップ310で算出された値すなわち推定車体減速度をフィルタリングする。ここでは推定車体減速度値を2HZ以下のみを通過するローパスフィルタにかける。なお、推定車体減速度(=車体前後加速度)の値の演算上の極性は、減速側が正で加速側が負である。
図7は、図3のステップ30における車輪状態量演算の具体的なフローを示すものである。
【0045】
ステップ400では、各車輪速度値をフィルタリングする。これは、車輪速度信号にのる路面ノイズ(路面凹凸等によるもの)の車輪速度値への影響を取り除き、車輪速度を用いて車体挙動を推定する場合に演算上ノイズとなる周波数を除去する。具体的には車輪速度信号に対して5HZ以下のみを通すローパスフィルタをかける。
【0046】
ステップ410では、ステップ400にてフィルタリングされた車輪速度に対して補正処理を行う。この補正処理とは、たとえばテンパタイヤ装着輪やタイヤ空気圧が極端に減っている車輪等、他の車輪と車輪径が異なる車輪に対して同等の車輪径相当となるように補正演算処理する。なお、タイヤ空気圧の低下により異径タイヤとなった輪の判定及び特定は、車輪速度信号に含まれるタイヤの共振周波数成分を用いて行うようにしてもよい。すなわち、タイヤ空気圧低下に伴ってタイヤ径も減少するが、タイヤの共振周波数値も低下する。よって、タイヤ共振周波数値の移動(低下)の程度に応じて空気圧低下を判定し、空気圧低下輪を特定する。また、テンパタイヤ装着輪の特定は、直進走行状態における加速スリップ減速スリップのない状態における最も車輪速度の大きい輪をもって行ってもよい。なお、テンパタイヤ装着等における異径タイヤの車輪速度に対する補正については図8にて後述する。
【0047】
ステップ420、430では、各車輪の車輪状態量1および車輪状態量2の演算を行う。この車輪状態量1、2は各車輪の車輪速度から演算される値である。すなわち、各車輪全てがグリップ状態(たとえば、スリップ状態がμ−S特性のμピーク以前の状態)の通常走行状態であれば、車輪状態量1、2は車体の前輪側位置および後輪側位置のそれぞれの横加速度相当の値となる。また、各車輪の内少なくとも1つがグリップ状態を外れた走行状態では、車輪状態量1、2は車体の前輪側位置および後輪側位置の現在の走行限界値相当の値となる。なお、この車輪状態量1、2の値は後述する図11のフロー等において、車両の安定状態等の判定に用いられる。この車輪状態量1、2の演算については図9において後述する。
【0048】
図8では、図7のステップ410における車輪速度に対する補正処理の具体例について説明する。
ステップ500では、既に車輪速度に対して補正処理が済んでいるか否かを判定する。ここで否定判断された場合にはステップ510に進み肯定判断された場合にはこの図8のフローを抜ける。
【0049】
ステップ510では、車両の直進走行状態の検出を行う。この直進走行状態の判定は、
【0050】
【数6】
max(VW**)−min(VW**)<kv
に基づいて行う。ここでVW**は全車輪の車輪速度であり、**は各車輪を示すものである。max(VW**)は全車輪の車輪速度の中で最大車輪速度を示し、min(VW**)は全車輪速度の中で最小車輪速度を示す。また、kvは、基準速度であり、たとえば2km/s等を設定する。ステップ510では直進っ走行状態を示す状態量として数6の左側項を演算し、ステップ520において基準速度kvとの比較を行う。すなわち、全輪(4輪)の車輪速度が一定範囲内にあることをもって直進走行状態と判定する。
【0051】
ステップ520において肯定判定された場合にはステップ530に進み、否定判定された場合には、図8のフローを抜ける。すなわち、直進走行状態においてのみ異径タイヤに対する車輪速度の補正処理を行う。
ステップ530では、補正係数の演算を行う。この補正係数は、異径タイヤと判定された車輪の車輪速度に対してかける補正係数である。この補正係数C**は数7によって算出される。
【0052】
【数7】
C**=(VWFR+VWFL+VWRR+VWRL)/(4×VW**)
たとえば右前輪FRが異径タイヤであるとすると、C**はCFRであり、VW**はVWFRである。
ステップ540では、ステップ530において算出された補正係数を用いて異径タイヤの車輪速度に補正を行う。そして、このタイヤについて補正済状態とする。
【0053】
図9では、車輪状態量1、2の演算方法について説明する。フローでは、ステップ600において車輪状態量1、2の演算を行い、ステップ610ではこの演算結果をフィルタリングする。
車輪状態量1、2は次のように算出する。すなわち、車体の左右の車輪を鑑みて、右前輪FRと左前輪FLとの左右差で車輪状態量1を作成し、右後輪RRと左後輪RLとの左右差で車輪状態量2を作成する。なお、数8に示すように車輪状態量1は stateW1で表される。
【0054】
【数8】
Figure 0004320827
なお、TRはトレッド間隔である。また、数8における(VWFRC −VWFLC )/TRの項は車体のフロント側ヨーレート相当を示し、VW**C は補正後の車輪速度を示している。
【0055】
車輪状態量2は、数9に示すように stateW2で表される。
【0056】
【数9】
Figure 0004320827
数8と同様、数9における(VWRRC −VWRLC )/TRは、車体のリヤ側ヨーレートに相当する。
【0057】
次に図10に基づいて、車両状態推定演算について説明する。このフローは、図2のステップ40の具体例である。
ステップ700では、車両の旋回方向の判定を行う。この判定は、以下の第1から第5の方法の少なくとも1つにより行う。第1の方法は、横加速度センサの出力値の極性にて判定するものである。横加速度センサの極性は左旋回時に正、右旋回時に負の値が出力されるように設定する。(極性は任意に設定でき、この逆でもよい。)よって、横加速度センサの出力が正であれば、左旋回であると判定できる。第2の方法は、ヨーレートセンサを用いるものである。第3の方法は車両のステアリングセンサによる方法である。ステアリングセンサによる方法で
は、ステアリングに対する乗員の回動操作に伴ってステアリングシャフトの回動角度を検出する際に、方向を特定する。第4の方法は、前述の車輪状態量1、すなわち stateW1の値の正負によるものである。また、第5の方法は前述の車輪状態量2すなわち stateW2の値の正負によるものである。この車輪状態量1、2が正であれば左旋回状態、負であれば右旋回状態と判定する。
【0058】
ステップ710では、現在の車両状態の判定結果が不安定状態か安定状態かを判定する。すなわちこのステップでは、前回までのフローで、不安定状態と判定されていたか、安定状態と判定されていたかを判定する。なお、イグニッションスイッチONからの初期設定では、安定状態に設定される。
ステップ710において肯定判定された場合にはステップ720に進み、安定状態判定のサブフローに進む(図15)。また、否定判定された場合には、ステップ730において不安定状態の判定を行う。
【0059】
図11は、この不安定状態の判定について示すフローであり、車体全体としての不安定状態を判定する。ステップ800では、現在左旋回中で有るか否かを判定する。肯定判定された場合にはステップ810に進む。なお、否定判定された場合は右旋回中か直進中であるが、右旋回中では、左旋回中と同等の制御を実行すればよいので、説明を省略する。
【0060】
ステップ810では、不安定状態判定1を実行する、この判定は図12にて詳述するが、車輪速度に基づき作成した状態量と車体に設置されたセンサ、ここでは横加速度センサに基づく状態量との相互により車両全体としての不安定状態を判定する。
ステップ820では不安定状態判定2を実行する。この判定は図13において詳述するが、車体の不安定状態の場合分け(たとえば、車体前側が不安定か後ろ側が不安定か等)を行うフローである。
【0061】
図12に基づいて、不安定状態判定1について説明する。
ステップ900では、状態量1を演算する。この状態量1は数10で示すように state1で表され、前輪側において、車輪状態量 stateW1と、車体に設置され車体挙動を示す状態値を直接出力するセンサ値に基づく車両状態量 stateV1との差に基づき演算される。
【0062】
【数10】
state1= stateW1− stateV1
ステップ910では、後輪側の状態量2(= state2)を数11に基づき演算する。
【0063】
【数11】
state2= stateW2− stateV2
ここで、 stateV1、 stateV2は数12のように表される。
【0064】
【数12】
stateV1= stateV2=GY
この state1は車両の前輪側(車体の前側)の安定性を示す値であり、 state2は車両の後輪側(車体の後ろ側)の安定性を示す値である。すなわち、 stateW1が車体の前輪側の左右輪に基づいて推定された値であり、この車輪位置に基づいて state1は車体の前輪側の部分(位置)の状態を示す値として演算される。同様に stateW2は車体の後輪側の左右輪に基づいて推定された値であり、この車輪位置に基づいて state2は車体の後輪側の部分(位置)の状態を示す値として演算される。なお、安定性が高い場合は小さい値になり不安定さが大きくなるにつれて、 state1、 state2の値も大きくなる。
【0065】
ステップ920では、後述するステップ940で使用する重み付け係数を演算設定する。この重み付け係数は固定値(K1=0.5)でもよく、また、アンダーステアやオーバステア等の車両状態あるいはステアリングの操作状態等によって、K1=0〜1.0までの値を採用するようにしてもよい。なお、この重み付け係数K1は、次に示す数13から分かるように、前輪側の状態量(安定性を示す値)である state1あるいは後輪側の状態量(安定性を示す値)である state2のどちら側を優先して後述する不安定状態の判定値S1を作成するかを決定する値である。よって、K1=0.5の場合は、前後の状態量の優先度を五分五分にみる関係である。また、前述の車両状態のさらなる具体例として、たとえば、車両の加速状態あるいは減速状態を鑑みてもよく、前置きエンジン前輪駆動(FF車)の場合では、加速時では駆動輪側に外部要因である加速状態が付加されるためK1を小さく(たとえばK1=0.2)し、また、減速状態では駆動輪に比較して従動輪に対して外部要因である減速状態が大きく付加されるため、K1を大きく(たとえばK1=0.8)とするようにしてもよい。このように駆動輪が前後輪のどちらであるかによって重み付け係数を設定するようにしてもよい。
【0066】
ステップ930では、判定定数P1を演算設定する。この判定定数P1は固定値(P1=2)でもよく、また、車両状態、ステアリング操作状態あるいは車両制動状態により正の値で可変するようにしてもよい。たとえば、状態がブレーキペダルを踏んでいる際あるいはエンジンブレーキがかかっている際には各車輪間の車輪速度差が発生しやすく制御の誤作動を防止するために、制動中では判定定数P1を大きくし、非制動中では判定定数P1を制動中と比べて小さくする。また、この判定定数P1を路面μに応じて可変するようにしてもよい。この路面μの推定方法は周知の方法を採用してもよいが、ここでは本制御装置のシステムハード構成として備えている横加速度センサ50の出力値(車体としての横加速度)を用いるようにしてもよい。そして、車体の横加速度の値が小さく路面μが小さい際程判定定数P1の値を小さくする。これは、路面μが小さいと各車輪速度の差が付きにくく、車体挙動の安定状態から不安定となる限界までの領域が小さいからである。なお、車体横加速度の値を路面μに相当する値として採用するのは以下の理由による。すなわち、全輪の路面μ限界までは車体の横加速度と各車輪の車輪横加速度とは1対1の関係となっていて路面限界までは判定定数P1まで後述の判定値S1が大きくなる可能性が略ない。しかしながら、少なくとも1輪が路面限界を越えた状態では、車体横加速度と車輪横加速度とに差ができて、且つその路面限界を越える時点の車体横加速度(=車輪横加速度)が路面μ相当の値となっているからである。
【0067】
ステップ940では、不安定状態判定1における判定値S1を演算する。
【0068】
【数13】
S1=K1× state1+(1−K1)× state2
このように判定値S1は前輪および後輪に対する車輪状態量と車両状態量とを鑑みて作成された状態量1、2に基づいて演算される。なお、前輪側の不安定状態と後輪側の不安定状態とを足し合わせることによって、的確に車両全体の不安定状態すなわち挙動状態を検知することができる。
【0069】
ステップ950では、不安定状態の判定値S1と判定定数P1との比較を行う。ここで肯定判定された場合にはステップ960に進み、否定判定された場合にはステップ970に進む。
ステップ950では、不安定状態であることを示すカウンタ=nをプラスし、ステップ970では、カウンタをクリアする。
【0070】
ステップ980では、カウンタ値=nが基準値n1よりも大きいか否かを判定する。ここで肯定判定された場合には、ステップ990に進み、車両全体として、現在不安定状態にあると判定する。なお、この基準値n1も車両の制動状態あるいは路面μ等の応じて可変してもよい。すなわち基準値n1を判定定数P1の値の大きさに応じて、判定定数P1が小さい場合には基準値n1は大きく、逆に判定定数P1が大きい場合には基準値n1は小さく可変される。たとえば、路面μが小さく判定定数P1が小さくされた場合に基準値n1を大きくすれば、判定値S1に対する判定すなわち車体全体の不安定さに対する判定の時間が長くなり、判定定数P1を小さくした際に懸念される誤判定および誤作動を、判定時間を長くする(たとえば10倍以上の時間にする)ことにより回避できる。
【0071】
次に図13に基づいて、不安定状態判定2について説明する。なお、イグニッションスイッチON時の初期設定では、後述する状態2に設定されている。
ステップ1000では、ステップ120において用いる重み付け係数K2を演算設定する。この重み付け係数K2は0〜1までの間の固定値(たとえばK2=0.5)でもよく、また0〜1までの可変定数でもよい。この際重み付け係数K2は、前述した重み付け係数K1と同等の設定方法を用いることができる。なお、重み付け係数K2は重み付け係数K1と共通でもよい。
【0072】
ステップ1010では、判定定数P2、P3を演算設定する。判定定数P2は0よりも大きい値でP3は0よりも小さい値に設定される。このP1、P2も判定定数P1と同等の設定方法を用いることができる。
ステップ1020では、判定値S2を数14を用いて演算する。
【0073】
【数14】
S2=K1 state1−(1−K1) state2
この判定値S2は、車両の前後においてどちら側が不安定状態が大きいかを表す値である。たとえば、判定値S2が正の値の場合前輪側の不安定状態が大きく、S2が負の値の場合後輪側の不安定状態が大きくなっている状態である。
【0074】
ステップ1030では、判定値S2と判定定数P2を比較する。ここで肯定判定された場合には、前輪側の不安定状態が基準以上に大きいとしてステップ1040に進む。また、否定判定された場合には、ステップ1090に進み、判定値S2と判定定数P3とを比較する。ここで肯定判定された場合には後輪側の不安定状態が基準以上に大きいとしてステップ1100に進み、否定判定された場合にはステップ1150に進む。
【0075】
ここで、ステップ1040、1100、において状態判定(状態1、状態2、状態3に対する判定)が行われるが、この状態判定は、図14に示す state1と state2との関係に示される領域に基づいて実行される。
図14に示すように、 state1と state2との関係において、直線P1および直線−P1、直線P2および直線−P2、直線P3および直線−P3にて敷きいられる領域▲1▼〜▲3▼が存在する。なお、このP1、P2、P3はステップ930、1010において定められた値もしくは関係である。領域▲1▼〜▲3▼を足した領域全体を示す式を数15に示し、領域▲1▼に表す式を数16、領域▲2▼を表す式を数17、領域▲3▼を表す式を数18として以下に示す。
【0076】
【数15】
|K1× state1+(1−K1)× state2|>P1
【0077】
【数16】
K2×| state1|−(1−K2)×| state2|>P2
【0078】
【数17】
P2>K2×| state1|−(1−K2)×| state2|>P3
【0079】
【数18】
P3>K2×| state1|−(1−K2)×| state2|
ここで数15は、図12のフローにおいても詳述したような車両全体として不安定な状態に陥っている状態を示す領域である。この車両全体として不安定な状態であることをさらに場合分けするものとして数16〜18が存在し、数16は前輪側が路面μ等に対して物理的限界に達し不安定状態に陥っている状態を示す領域( 領域▲1▼)で、数17は前輪および後輪側の双方とも限界に達した状態である領域( 領域▲2▼)、数18は後輪側が限界に達し不安定状態に陥っている状態を示す領域( 領域▲3▼)を示す。
【0080】
ステップ1040では、既に状態1と判定されているかどうかを判定し、状態1と判定されていない場合( 否定判定された場合)にはステップ1050に進みカウンタCS1をインクリメントし、ステップ1060ではカウンタCS2、CS3をクリアする。ステップ1070では、カウンタCS1の値と判定基準値nS1とを比較する。このカウンタ値であるCS1は車両が領域▲1▼にある状態の継続時間を示す。ここで肯定判定された場合にはステップ1080に進み領域▲1▼にある状態が基準継続時間以上継続したとして、車両全体が不安定である原因が前輪側の限界状態による状態1と判定する。なお、ステップ1040で肯定判定された場合は、領域▲1▼にないとしてフローを抜ける。
【0081】
ステップ1100では、既に状態2と判定されているかどうかを判定し、状態2と判定されていない場合(否定判定された場合)にはステップ1110に進み、肯定判定された場合には、このフローを抜ける。ステップ1110では、カウンタCS2をインクリメントし、ステップ1120では、カウンタCS1、CS2をクリアする。ステップ1130では、カウンタ値CS2と判定基準値nS2とを比較する。カウンタ値CS2は車両が領域▲3▼にある状態の継続時間を示し、この継続時間が基準以上である場合にはここで肯定判定されて、ステップ1140に進む。このステップ1140では、領域▲3▼の状態が基準継続以上継続し、車両全体が不安定である原因が、後輪側が限界状態による状態2であると判定する。
【0082】
ステップ1150では、既に状態3と判定されているかどうかを判定し、状態3と判定されていない場合(すなわち否定判定された場合)にはステップ1160に進む。ステップ1160では、カウンタ値CS3をインクリメントし、ステップ1170ではカウンタCS1、CS2をクリアする。ステップ1180ではカウント値CS3と判定基準値nS3とを比較する。このカウント値CS3は車両が領域▲2▼にある状態が継続した継続時間を示し、ステップ1180において肯定判定された場合には車両全体が不安定状態である原因が前後輪側が同程度限界状態であることによる状態3と判定する。なおこれらカウンタ値CS1、CS2、CS3に対する判定基準値nS1、nS2、nS3も図12の基準値n1と同様に可変設定してもよい。
【0083】
図15は、図10のステップ720における安定状態判定の詳細なフローを示すフローチャートである。
ステップ1200では、重み付け係数K3(0≦K3≦1)を演算する。この重み付け係数K3は前述の重み付け係数K1と同等でもよく、またこの重み付け係数K1と同等の考え方で設定されるようにしてもよい。
【0084】
ステップ1210では、判定定数P4を演算するこの判定定数P4は後述するステップ1230において用いられるものであり、図12において車両全体としての不安定状態を判定する際に用いた判定定数P1よりも小さい値に設定されるようにし、このこと以外における判定定数P4の設定の方法は、操舵状態あるいは制御状態等を鑑みた判定定数P1と同等の方法を採用すればよい。
【0085】
ステップ1220では、判定値S3が下記数19に基づいて演算される。
【0086】
【数19】
S3=K3× state1+(1−K3)× state2
この判定値S3は、重み付け係数K3が重み付け係数K1と同ーであれば、判定値S1と同ーとなる。
ステップ1230では、この判定値S3と判定定数P4とを比較する。図12において用いた判定定数P1よりも小さいP4を用いていることにより、ここでは車体挙動の不安定状態を鑑みた本制御を開始する時点の状態よりも不安定状態が小さくなったかにより車両の安定状態(車両の安定状態への復帰)を判定する。ここで否定判定された場合にはこのフローを抜ける。
【0087】
ステップ1240では、ステップ1230において肯定判定されたとしてカウンタC2をインクリメントする。ステップ1250では、カウンタ値C2と基準値n2とを比較する。このカウンタ値C2は車両の不安定状態から安定状態への復帰後の安定状態継続時間を示し、安定状態の継続時間が基準値n2よりも大きくなったと判定された場合には、ステップ1260に進み安定状態と判定し、後述するアクチュエータ駆動制御等を中止する。なお、この基準値n2も基準値n1と同様の方法にて、判定定数P4の大きさに応じて可変設定されるようにしてもよい。また、カウンタ値C2および基準値n2が設けられていることによって、本車体挙動制御(すなわち各車輪に車輪制動力が加えられること)が実行されたことにより各車輪速度が変化し、この車輪速度変化により制御直後等において車体の挙動状態の判定が困難になる場合においてもー定時間は強制的に制御を実行継続し、制御ハンチングが発生することを防止する効果を有する。言い換えれば、本制御により車輪制動力が少なくとも1輪に付与されて、その直後以後制動力付与に伴い各車輪速度差等の関係が急激に変化し、これに伴い制動力付与等の制御が直ぐに終了されることを防止できる。
【0088】
以上、図3〜図15において、車両の安定、不安定状態を判定する制御フローについて説明したが、以下図16〜図24に基づいて、図3のステップ50、60における各アクチュエータに対する制御を説明する。
図16は、各車輪に対する制御量演算のメインフローである。
ステップ1300では、図18に詳述する制御フラグ判定を行う。ステップ1310では、基本制御量ΔPf、ΔPr(ΔPfは前輪に対する基本制御量であり、ΔPrは後輪に対する基本制御量である)を演算する。この基本制御量ΔPf、ΔPrは図17に示すマップによって判定値S1の絶対値に応じて与えられる。なお基本制御量ΔPf、ΔPrとは各ホイールシリンダに対して本制御により与えられる基本油圧である。
【0089】
ステップ1320では、この基本制御量ΔPf、ΔPrに対する補正係数Kf、Krが演算される。この補正係数Kf、Krは図19、20において後述する。
ステップ1330では、各輪制御量が演算される。この各輪制御量は図21において後述するように、各輪のホイールシリンダ4、5、34、35に対するブレーキ液圧である。
【0090】
次に図18に基づいて、制御フラグ判定について説明する。
ステップ1400では、各種の許可条件を満たしているか否かが判定される。この各種許可条件とは、たとえば各種センサ(車輪速度センサ、横加速度センサ等)がフェールしていないか、あるいは各アクチュエータ(たとえば前輪用差圧制御弁6、制御弁14、15、増圧制御弁7、8、減圧制御弁11、12等)がフェールしていないかを判定する。ここでセンサフェール等しておらず肯定判定された場合にはステップ1410に進み、否定判定された場合にはステップ1430に進み制御フラグFをOFFする。
【0091】
ステップ1410では車両が不安定状態であるか否かが判定される。このステップ1410での判定は、前述の図10のステップ710〜730および図11等においてなされて記憶された判定結果に基づいて、判定される。ここで、肯定判定された場合にはステップ1420において制御フラグFをONする
また、ステップ1410において否定判定された場合には、ステップ1440に進み、前回の制御フローにおいて車両不安定状態と判定されていたか否かを判定する。ここで肯定判定された場合には、ステップ1450に進み制御フラグFをOFFする。ステップ1460では、終了制御フラグFFをONする。
【0092】
ステップ1440において否定判定された場合には、ステップ1470に進み終了制御フラグがONされているか否かを判定する。ここで否定判定された場合にはこのフローを抜け、肯定判定された場合にはステップ1480に進む。ステップ1480では、カウンタCEをインクリメントする。ステップ1490では、カウンタCEが基準値neよりも大きくなったか否かを判定する。ステップ1490において肯定判定された場合にはステップ1500に進み、終了制御フラグをOFFする。また、ステップ1510では、カウンタCEをクリアする。なお、ステップ1490において否定判定された場合には制御フローをー旦抜ける。なお、終了制御フラグがONされた状態で行われる終了制御は、たとえばホイールシリンダ圧の緩増圧(パルス増圧)あるいは緩減圧(パルス減圧)により徐々にホイールシリンダ圧をマスタシリンダ圧に収束させる制御を行うようにする。すなわち、終了制御において、マスタシリンダ圧センサ等を備えている場合には、このマスタシリンダ圧値とホイールシリンダ圧値(制御油圧あるいはアクチュエータ駆動状態から推定する)の比較結果においてマスタシリンダ圧の方が大きい場合にはホイールシリンダ圧を緩増圧制御し、マスタシリンダ圧の方が小さい場合にはホイールシリンダ圧を緩減圧制御する。そして終了制御により各ホイールシリンダ圧をマスタシリンダ圧に収束させる。このような終了制御を行うようにし、終了制御フラグおよびカウンタ値CEを用いると、車両が安定状態に復帰した途端、急に制御を止める時と比較して車体挙動を乱す可能性が抑制される。
【0093】
図19に基づいて補正係数Kf、Krの演算フローについて説明する。ステップ1600では、ステップ1080において状態1と判定されているか否かが判定される。ここで肯定判定されるとステップ1610に進み、図20に示すマップに基づいて、補正係数Kfがf1f(S2)、補正係数Krがf1r(S2)に設定される。なお、図20に示すマップは、判定値S2の値に応じて設定されたものである。
【0094】
ステップ1600において否定判定された場合には、ステップ1620に進み、ステップ1190において状態3と判定されているか否かが判定される。ここで、肯定判定された場合にはステップ1630に進み、図20に示すマップに基づいて、補正係数Kfがf3f(S2)、補正係数Krがf3r(S2)に設定される。また、ステップ1620において否定判定された場合にはステップ1640に進み、Kf=Kr=f2f=f2r=1に設定される。
【0095】
次に図21に基づいて、各輪制御量演算について説明する。
ステップ1700では、制御フラグFがONされているか否かが判定される。ここで肯定判定された場合にはステップ1710に進み、左旋回中であるか否かが判定される。ここで肯定判定された場合にはステップ1720に進み係数KCを1に設定し、否定判定された場合にはステップ1730に進み係数KCを−1に設定する。
【0096】
ステップ1740では、各ホイールシリンダ圧の制御量を演算するここで、ΔPFRは右前輪FRのホイールシリンダ圧である。同様にΔPFFは左前輪FLのホイールシリンダ圧、ΔPRRは右後輪RRのホイールシリンダ圧およびΔPRLは左後輪RLのホイールシリンダ圧である。これら各ホイールシリンダ圧の制御量は以下数20〜22に示すように求められる。
【0097】
【数20】
ΔPFR=KC×Kf×ΔPf
【0098】
【数21】
ΔPFL=−KC×Kf×ΔPf
【0099】
【数22】
ΔPRR=KC×Kr×ΔPr
【0100】
【数23】
ΔPRL=−KC×Kr×ΔPr
このように求められた制御量に基づいて、ステップ1750では、各輪の制御パターンが設定される。このステップ1750の詳細は図22に基づいて説明する。
【0101】
ステップ1800では、目標油圧Pt**を各輪に対して演算する。この演算は数24に基づいて行われる。
【0102】
【数24】
Pt**=Pmc+ΔP**
ここでPmcはマスタシリンダ圧を示し、推定演算による値あるいはマスタシリンダ圧センサによる検出値を採用するようにしてもよい。また、ΔP**は数20〜22において演算される値を各車輪毎に採用する。
【0103】
ステップ1810では、ホイールシリンダ圧Pe**の推定油圧演算を行う。このステップでは、ホイールシリンダ圧の推定あるいは検出を行う。このホイールシリンダ圧の検出は、図示しないホイールシリンダ圧センサをホイールシリンダ4、5、34、35の近傍の管路(例えばホイールシリンダ4においては増圧制御弁7とホイールシリンダ4との間の管路A1)に設けるようにして行ってもよい。また、増圧制御弁7、8、37、38、減圧制御弁11、12、41、42におけるソレノイド出力パターンとアクチュエータモデルからホイールシリンダ圧を推定演算するようにしてもよい。
【0104】
ステップ1820では、一般的な制御であるPIDコントローラにおいてホイールシリンダ圧の増圧あるいは減圧を決定するパラメータR**を演算する。
【0105】
【数25】
R**=PID(Pt**、Pe**)
ステップ1830では、勾配制限をパラメータR**に対して加えホイールシリンダ圧の変化を制限する。
ステップ1840では、各弁に対する出力パターン(ソレノイドへの通電パターン)を決定する。この出力パターンの決定は、たとえば図23、24に示すマップに基づいて実行される。
【0106】
以上のような車体挙動制御が実行された際の作用効果について以下図25〜図29に基づいて説明する。
図25は、左旋回時の非制動状態においてタックイン現象が発生した際の車体の状態量(ここでは横加速度で示す)および、判定値S1〜S3、これらの状態に基づき調整される各車輪のホイールシリンダ圧について示す。
【0107】
左旋回が時刻t0において開始され、時刻t1において車体の横加速度がG1に達し、横加速度は以後G1をほぼ持続するとする。時刻t2において判定値S1が判定定数P1を超えたとする。すると、この時刻t2からt3の間すなわち時間T1=n1×ΔT(ここでΔTは制御フローの演算周期であり、n1は不安定状態判定1のステップ980において定めた基準値n1である。この時間T1経過後、時刻t3において制御フラグがONされる。これに伴って右前輪FRと右後輪RRに対してホイールシリンダ圧(Kf×ΔPfおよびKr×ΔPr)が加えられる。この右前輪FRと右後輪RRに対する車輪制動力により、車輪状態量 stateW1(実線で示す)と stateW2(点線で示す)とが、図25に示すように時刻t3付近以後、値G2まで増大した値が減少していき、時刻t4の時点で判定値S1が判定定数P4を下回り、時間T2経過後、時刻t5において制御フラグFがOFFされる。なお、時間T2はT2=n2×ΔTで表され、ここのn2は安定状態判定を行う図15のステップ1250における基準値n2である。そして、この制御フラグFがOFFされると略同時に終了制御フラグがONされる。なお、終了制御フラグFFは、時刻t6までの時間T3の間継続され、この時間T3はT3=ne×ΔT(neはステップ1490における基準値ne)で表される。
【0108】
次に図26に基づいて左旋回時の制動状態における車体の状態量(ここでは横加速度で示す)および、判定値S1〜S3、これらの状態に基づき調整される各車輪のホイールシリンダ圧について示す。
左旋回が時刻t0において開始され、時刻t1において車体の横加速度がG1に達し、横加速度は以後G1をほぼ持続するとする。時刻t2において乗員がブレーキペダルを踏みはじめ、マスタシリンダ圧Pmcおよび各輪ホイールシリンダ圧が発生したとし、以後ブレーキペダルは踏み続けられているものとする。
【0109】
時間t3において判定値S1が判定定数P1を超えたとする。すると、この時刻t3からt4の間すなわち時間T1=n1×ΔT(ここでΔTは制御フローの演算周期であり、n1は不安定状態判定1のステップ980において定めた基準値n1である。この時間T1経過後、時刻t4において制御フラグがONされる。これに伴って右前輪FRと右後輪RRに対して時間t4時点のホイールシリンダ圧(W/C圧)にプラス(増圧するように)してKf×ΔPfおよびKr×ΔPrの分が加えられる。また、左前輪FLと左後輪RLに対しても、時間t4の時点のホイールシリンダ圧に対して−Kf×ΔPfおよび−Kr×ΔPr分が減圧される。これにより、車輪状態量 stateW1(実線で示す)と stateW2(点線で示す)とが、図26に示すように時刻t4付近以後、値G3まで増大した値が減少していき、時刻t5の時点で判定値S2が0以下となる。なお、この範値値S2は判定定数P3を下回ることなく、時間t6において判定値S1が判定定数P4を下回り、時間T2経過後、時刻t7において制御フラグFがOFFされる。なお、時間T2はT2=n2×ΔTで表され、ここのn2は安定状態判定を行う図15のステップ1250における基準値n2である。そして、この制御フラグFがOFFされると略同時に終了制御フラグがONされる。なお、終了制御フラグFFは、時刻t8までの時間T3の間継続され、この時間T3はT3=ne×ΔT(neはステップ1490における基準値ne)で表される。なお、各ホイールシリンダ圧は、時間t7以後徐々にマスタシリンダ圧に収束され、たとえば左前輪FLおよび左後輪RLでは傾きΔAでホイールシリンダ圧の増圧が行われる。なお、この傾きΔAは、車体挙動が変動し易い走行状態あるいは路面状態に応じて可変するようにしてもよい。たとえば、急操舵状態や路面μが小さい時(融雪路や氷上路)等では制御の終了に伴う車体挙動の急変を防ぐため、ΔAを小さくしてパルス増圧あるいはパルス減圧を緩やかに行うようにしてもよい。また、判定値S2が大きい時あるいは車体横加速度が大きい時にも傾きΔAを小さくし、パルス増圧パルス減圧を緩やかにし、車体挙動の回復後においてパルス増圧あるいはパルス減圧の実行に際する車体挙動の悪化を防止するようにしてもよい。なお、傾きΔAを、前述の路面μ、急操舵状態、判定値S2あるいは車体横加速度の複数の組み合わせに基づき可変してもよいし、あるいはそれぞれのパラメータの値の大きさに応じた可変を行うようにしてもよい。
【0110】
以上のように、車両全体としての不安定・安定状態を示す判定値S1、車両の前後側の何方が不安定かを示す判定値2、車両安定状態を判定する判定値S3を用いて車両制御を行うことにより、車輪の限界状態が車体挙動に与える影響を十分反映したブレーキ液圧制御による車体挙動制御を実行することができる。
さらに、旋回内輪側におけるタイヤの浮上を検出し、タイヤの浮上を防止するように車輪制動力を発生させることによって車両の横転を防止することもできる。以下、このタイヤの浮上検出方法について説明する。
【0111】
荷重がかかる旋回外輪はグリップ状態にあるため、車輪速度が安定した速度となり、安定した変化を示すため、この旋回外輪速度と横加速度から旋回内輪速度を推定し、旋回内輪速度の変位に基づいて旋回内輪の浮上状態を検出することができる。
具体的には、旋回内輪速度の変位を表すパラメータは、以下に示す数26〜数28に基づいて演算することができる。
【0112】
数26は、旋回内外輪差を表す内外輪差パラメータPTrを示している。
【0113】
【数26】
PTr=(VWFR +VWRR )−(VWFL +VWRL )
この旋回内外輪差パラメータPTrは、各車輪の車輪速度から求められるパラメータである。
また、数27は、横加速度から推定した旋回内外輪差を表す内外輪差パラメータPTを示している。
【0114】
【数27】
PT=GY×A/(1+B・z-1
内外輪差パラメータPTは、横加速度の1次遅れで伝達されるものであるため、数27にて横加速度の1次遅れの伝達式を演算して、内外輪差パラメータとしたものである。なお、A,Bは定数、z は変換の符号を示す。
【0115】
そして、旋回内輪が車両右側の車輪であるとすれば、旋回内輪側の車輪速度VR (=VWFR +VWRR )は、数26と数27より、PT=PTr とすると数28のように示される。
【0116】
【数28】
VR =VWFR +VWRR =VWFL +VWRL −GY×A/(1+B・z-1
このため、VR /2を推定内輪速度とし旋回内輪側における前後輪の速度差をタイヤ浮上パラメータPFR、PRRとすると、このタイヤ浮上パラメータPFR、PRRは、それぞれ数29、数30のように示される。
【0117】
【数29】
PFR=|VWFR −VR /2|
【0118】
【数30】
PRR=|VWRR −VR /2|
このように、旋回内輪速度を旋回外輪速度と横加速度から推定することができ、この旋回内輪速度の変位に基づいてタイヤの浮上を検出することができる。
参考として、上記したタイヤ浮上パラメータによってタイヤ浮上状態を検出した結果を図27に示す。但し、図27(a)は、各車輪の車輪速度の変化を示しており、図27(b)は、その車輪速度の変化に対するタイヤ浮上パラメータの変化を示している。
【0119】
図27(a)に示されるように、旋回内輪側の前後輪のタイヤのいずれかが浮上状態となった場合、車輪速度の変化があまりなくなり車輪速度の落ち込みがない状態となる。
そして、このときには、図27(b)に示されるように、タイヤ浮上パラメータが瞬間的に立ち上がった状態となっている。このため、旋回内輪側のいずれかの車輪におけるタイヤ浮上パラメータが所定のしきい値を超えた場合には、タイヤが浮上状態にあると検出され、これに基づいて旋回外輪側の前輪若しくは両輪に制動力を発生させることによって、車両の横転を防止することができる。この場合、上述した不安定状態の際よりも車輪制動力を大きくかけるようにすると効果的である。
【0120】
なお、ここでは、横加速度センサによって検出される横加速度に基づいて旋回内輪の浮きを防止するように車輪制動力の制御を行ったが、ヨーレートセンサによって検出されるヨーレートに基づいて上記車輪制動力の制御を行うようにしてもよい。この場合においても、内外輪差を表すパラメータがヨーレートの1次遅れで伝達されるため、ヨーレートから内外輪差を同定したのち、このヨーレートに基づく内外輪差と各車輪速センサにて検出される車輪速度とから各車輪のタイヤ浮上パラメータを求め、このタイヤ浮上パラメータが所定のしきい値を超えたか否かによって上記車輪制動力の制御を行うようにすることができる。
【0121】
このようにヨーレートに基づいてタイヤ浮上パラメータを求めた場合、以下の効果が得られる。
すなわち、車輪速度センサは、タイヤ回転方向にしか感度が無いため、タイヤの横滑り方向の速度は検出できない。従って、車両が横滑りした場合には、車両の回転方向の動きが伝わらないが、横加速度には横滑りが検出されるので、その差を取ると、タイヤ浮上パラメータに誤差が発生し、横滑り時にはタイヤの浮上状態が正確に判定できない場合が発生しうるが、ヨーレートの場合には車両の回転方向の動きのみ検出されるため、また、車両の回転方向の動きはタイヤの回転方向でタイヤの回転方向で感知できる動きであるため、車輪速度センサの左右差PTと検出内容が同等であり、このような場合にも正確にタイヤの浮上状態が判定できるという効果が得られる。
【0122】
なお、本実施形態では、上述した不安定状態判定(図3のステップ40)と共に、横加速度やヨーレートから求めたタイヤ浮上パラメータによってタイヤが浮上状態にある際に車輪制動力の制御を行うようにしているが、不安定状態判定とは別個に、タイヤ浮上状態が検出された場合にのみ車輪制動力を制御するようにしてもよい。
【0123】
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、以下の如く種々変形可能である。
たとえば、前述の実施形態では、図9において車輪状態量1、2の算出を右前輪FRと左前輪FLとの左右差および右後輪RRと左後輪RLとの左右差でを用いて実行していた。しかしながらこれに代わり、車体の左右車輪を鑑みるのは同様だが、右前輪FRと左後輪にて車輪状態量1を演算し、左前輪FLと右後輪RRとで車輪状態量2を演算するようにしてもよい。この際には以下数31、数32に基づいて算出する。
【0124】
【数31】
stateW1=(VWFRC −VWRLC )×VX/TR
【0125】
【数32】
stateW2=(VWRRC −VWFLC )×VX/TR
なお、このように車体の対角輪を対として車輪状態量1、2を算出した場合には、前述の状態量1、2は以下のような値として算出される。すなわち state1は、右前輪FR−左後輪RLを対として車体のこの方向の対角位置に関する状態量を示すこととなり、 state2は、左前輪FL−右後輪RRの対角位置に関する状態量を示すこととなる。
【0126】
また、上述の実施形態では、車体の挙動を直接検知するセンサとして車体の横加速度を検出する横加速度センサあるいはヨーレートセンサのどちらか一方を車体に備えた際を例にして実施形態を説明したが、横加速度センサとヨーレートセンサを双方とも備えるようにしてもよい。この際には、図12において数11のように表されていた車両状態量 stateV1、 stateV2を以下の数33、数34のように表すことができる。
【0127】
【数33】
stateV1=GY+Lf×δyr
【0128】
【数34】
stateV2=GY−Lr×δyr
ここでLf、Lrは車体の重心位置からのフロント車輪軸およびリヤ車輪軸までの距離を示し、δyrはヨーレート値の微分値を示す。このように横加速度センサとヨーレートセンサとの双方の検出値を用いて車体状態量を演算し、この車体状態量を用いて安定・不安定状態を図る状態量1、2を算出すれば、ー層車体挙動の判定を正確にできる。
【0129】
また、前述までの実施形態では、後輪駆動の車両に適用した例を示したが、これに関わらず、右前輪FR−左後輪RLと左前輪FL−右後輪RRの組み合わせの配管系統を備える前輪駆動の車両に本発明を適用してもよい。この際には、図1におけるホイールシリンダ5が左後輪RLのホイールシリンダとなり、また図1におけるホイールシリンダ35は左前輪FLのホイールシリンダとなる。
【0130】
また、数26から数30および図27(a)(b)において説明したタイヤ浮上判定を用いて別のアクチュエータを駆動するようにしてもよい。この別のアクチュエータとして運転席、助手席あるいはサイドのエアバッグを挙げることができる。なお、このようにエアバッグの駆動制御にタイヤの浮上判定を用いる場合には、この浮上判定により車両の横転に至る過渡状態を推定するようにしてもよい。すなわち、タイや浮上が検知された場合には車両が横転に至る可能性が高いとしてエアバッグを開くようにしてもよい。このようなアクチュエータ駆動の具体的な制御フローを図28に示す。
【0131】
図28のフローにおいてステップ1900、1910では、各種センサからの信号を受け各種状態値を演算する。具体的には車体の重心近傍に設けられるのが好ましいロールレートセンサ、前述までの実施例においても信号が採用される横加速度センサ、乗員のステアリング操作状態を検知するためのステアリング角度センサからの信号を受け、少なくとも一つのパラメータを演算する。なお、ロールレートあるいは横加速度などは、車体速度や車輪速度などの別パラメータからの推定演算により求めるようにしてもよい。
【0132】
ステップ1920では各パラメータに対して予め定められている閾値と演算結果の比較を行う。具体的には、ロールレート値と閾値との大小比較を行い、閾値以上である場合にはステップ1930に進む。あるいは横加速度が閾値以上であればステップ1930に進む。あるいはステアリング角度と車体速度とから推定演算した横加速度あるいはヨーレートが閾値以上の場合にはステップ1930に進む。
【0133】
ステップ1930では、前述の実施例において詳述したタイヤ浮上判定と同様の判定方法においてタイヤの浮上を判定し、タイヤが浮上しているすなわち路面とタイヤが接地していないと判断された場合にはステップ1940に進み、否定判断された場合にはステップ1960に進む。この際、車体の左右において1輪でも浮上していないと判断された車輪が存在する場合にはステップ1960にすすみ横転過渡状態ではないと判断する。すなわち、車両が左旋回していて車両が走行方向右側に横転する状態を想定すると、車両の旋回内輪側の2 輪である左前輪あるいは左後輪のうちの少なくとも1輪が接地していれば横転過渡状態でないと判断する。なお、ステップ1960では、車両が横転過渡状態でないとして、ステップ1900に戻る。ステップ1940に進んだ場合には車両が横転過渡状態に有るとして、ステップ1950に進み、アクチュエータの駆動を行う。このアクチュエータの駆動の具体的な例としては、前述の如くエアバックを開くようにしてもよいし、さらに少なくとも前輪に対して自動制動加圧を行うようにしてもよい。前輪への自動制動加圧は、スリップ率を大きくしてサイドフォースを減らし、横転の軸となる車輪の路面からの反力を減らすことで横転を防止するものである。この際、乗員のブレーキペダル踏込み中においては、乗員のブレーキペダルの踏込みにより発生されるマスタシリンダ圧よりも高い圧力を生起して前輪あるいは後輪の少なくとも一方のタイヤ浮上していない方の車輪に強い制動力を加えるようにしても良い。
【0134】
また、図27(b)に示す時間t1と時間t2の間すなわち、タイや浮上パラメータが所定以上の値( ここでは実質的にゼロ以上の値)をとっている時間の長さの閾値との比較をステップ1930の浮上判定に追加してもよい。すなわち、このt1とt2との間が所定以上であることも条件に追加して横転過渡状態と判定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制御を実施する際のハイドロユニット構成の一例である。
【図2】各アクチュエータを制御するECUおよび各センサ系を示すブロック図である。
【図3】本実施形態における車体挙動制御を実行する際のメインフローを示すフローチャートである。
【図4】基本状態量演算のためのサブフローである。
【図5】車体速度推定演算の一例を示すフローである。
【図6】車体の前後加速度の推定演算のフローである。
【図7】図3のステップ30における車輪状態量演算の具体的なフローを示すものである。
【図8】図7のステップ410における車輪速度に対する補正処理の具体例を示すフローチャートである。
【図9】車輪状態量1、2の演算方法を示すフローチャートである。
【図10】車両状態推定演算について示すフローチャートである。
【図11】不安定状態の判定について示すフローチャートである。
【図12】不安定状態判定1を推定演算するためのフローチャートである。
【図13】不安定状態判定2を推定演算するためのフローチャートである。
【図14】不安定状態の領域を示す領域特性図である。
【図15】安定状態判定のためのフローチャートである。
【図16】各車輪に対する制御量演算のメインフローである。
【図17】各車輪のホイールシリンダに与えられるホイールシリンダ圧の基本制御量ΔPf、ΔPrに関するマップである。
【図18】制御フラグ判定について示すフローチャートである。
【図19】補正係数Kf、Krの演算フローを示すフローチャートである。
【図20】補正係数Kfがf1f(S2)、補正係数Krがf1r(S2)設定のための、マップである。
【図21】各輪制御量演算のフローチャートである。
【図22】各輪にホイールシリンダ圧に対する制御パターンを設定するフローチャートである。
【図23】出力パターン設定のためのマップである。
【図24】出力パターン設定のためのマップである。
【図25】左旋回非制動時における各パラメータの変化を示す特性図である。
【図26】左旋回制動時における各パラメータの変化を示す特性図である。
【図27】旋回内輪側のタイヤの浮上状態検出を行った際における車輪速度とタイヤ浮上パラメータを示す図である。
【図28】タイヤの浮上状態検出を横転過渡状態の判定に適用し、アクチュエータの駆動制御を行う具体例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ブレーキペダル
2 マスタシリンダ
4、5、34、35 ホイールシリンダ
50 横加速度センサ
60 車輪速センサ
70 マスタシリンダ圧センサ

Claims (12)

  1. 各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、
    各車輪に車輪制動力を与える車輪制動力発生手段と、
    車両の横方向の運動量( stateV1、2)を検出する横方向運動量検出手段と、
    前記各車輪の車輪速度と前記横方向の運動量とに基づいて、車両の挙動状態(S1、S2)を推定する状態推定手段と、
    前記挙動状態に基づいて車輪制動力発生手段に対する車輪制動力付与量を設定する制御量設定手段と、
    前記車輪制動力付与量に基づいて前記車輪制動力発生手段にかかる車輪制動力を調整する調整手段とを備え、
    前記状態推定手段は、前記車体の左右車輪の車輪速度の差に基づく車輪状態量(stateW1、2)を演算する車輪状態量演算手段を備え、この車輪状態量と車両の横方向運動量との比較に基づいて、前記車両の挙動状態を推定し、
    前記状態推定手段は、前記車両の横方向の運動量(stateV1、2)を前記車輪状態量(stateW1、2)から引いた差を車輪位置に応じたそれぞれの車***置の状態量(state1、2)として演算し、前記それぞれの車***置の状態量の和を取ることによって、車体全体の不安定状態を示す第1の判定値(S1)を算出すると共に、前記それぞれの車***置の状態量の差を取ることによって、不安定状態に陥っている車***置の状態を示す第2の判定値(S2)を算出し、前記第2の判定値が第1判定定数(P2)よりも大きい状態が第1基準継続時間継続すると車輪と路面の摩擦結合限界が前輪で発生している場合、前輪側の前記車***置の状態量が限界状態であると判定し、前記第2の判定値が第1判定定数(P2)より小さくかつ第2判定定数(P3)よりも大きい状態が第2基準継続時間継続すると車輪と路面の摩擦結合限界が前輪及び後輪で発生している場合、前輪側および後輪側の前記車***置の状態量が限界状態であると判定し、前記第2の判定値が第1判定定数より小さくかつ前記第2判定定数よりも小さい状態が第3基準継続時間継続すると車輪と路面の摩擦結合限界が後輪で発生している場合、後輪側の前記車***置の状態量が限界状態であると判定する判定手段(数15〜数18)を備え、
    前記状態推定手段における前記車輪状態量演算手段は、左右車輪の独立した組み合わせに伴い車体の前輪側の車輪状態量および車体の後輪側の車輪状態量の2値の車輪状態量(stateW1、2)を演算することを特徴とする車体挙動制御装置。
  2. 各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、
    各車輪に車輪制動力を与える車輪制動力発生手段と、
    車両の横方向の運動量( stateV1、2)を検出する横方向運動量検出手段と、
    前記各車輪の車輪速度と前記横方向の運動量とに基づいて、車両の挙動状態(S1、S2)を推定する状態推定手段と、
    前記挙動状態に基づいて車輪制動力発生手段に対する車輪制動力付与量を設定する制御量設定手段と、
    前記車輪制動力付与量に基づいて前記車輪制動力発生手段にかかる車輪制動力を調整する調整手段とを備え、
    前記状態推定手段は、前記車体の左右車輪の車輪速度の差に基づく車輪状態量(stateW1、2)を演算する車輪状態量演算手段を備え、この車輪状態量と車両の横方向運動量との比較に基づいて、前記車両の挙動状態を推定し、
    前記状態推定手段は、前記車両の横方向の運動量(stateV1、2)を前記車輪状態量(stateW1、2)から引いた差を車輪位置に応じたそれぞれの車***置の状態量(state1、2)として演算し、前記それぞれの車***置の状態量の和を取ることによって、車体全体の不安定状態を示す第1の判定値(S1)を算出すると共に、前記それぞれの車***置の状態量の差を取ることによって、不安定状態に陥っている車***置の状態を示す第2の判定値(S2)を算出し、前記第2の判定値が第1判定定数(P2)よりも大きい状態が第1基準継続時間継続すると車輪と路面の摩擦結合限界が前輪で発生している場合、前輪側の前記車***置の状態量が限界状態であると判定し、前記第2の判定値が第1判定定数(P2)より小さくかつ第2判定定数(P3)よりも大きい状態が第2基準継続時間継続すると車輪と路面の摩擦結合限界が前輪及び後輪で発生している場合、前輪側および後輪側の前記車***置の状態量が限界状態であると判定し、前記第2の判定値が第1判定定数より小さくかつ前記第2判定定数よりも小さい状態が第3基準継続時間継続すると車輪と路面の摩擦結合限界が後輪で発生している場合、後輪側の前記車***置の状態量が限界状態であると判定する判定手段(数15〜数18)を備え、
    前記状態推定手段における前記車輪状態量演算手段は、左右車輪の独立した組み合わせに伴い車体の一方の対角輪側の車輪状態量および車体の他方の対角輪側の車輪状態量の2値の車輪状態量(stateW1、2)を演算することを特徴とする車体挙動制御装置。
  3. 各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、
    各車輪に車輪制動力を与える車輪制動力発生手段と、
    車両の横方向の運動量( stateV1、2)を検出する横方向運動量検出手段と、
    前記各車輪の車輪速度と前記横方向の運動量とに基づいて、車両の挙動状態(S1、S2)を推定する状態推定手段と、
    前記挙動状態に基づいて車輪制動力発生手段に対する車輪制動力付与量を設定する制御量設定手段と、
    前記車輪制動力付与量に基づいて前記車輪制動力発生手段にかかる車輪制動力を調整する調整手段とを備え、
    前記状態推定手段は、前記車体の左右車輪の車輪速度の差に基づく車輪状態量(stateW1、2)を演算する車輪状態量演算手段を備え、この車輪状態量と車両の横方向運動量との比較に基づいて、前記車両の挙動状態を推定し、
    前記状態推定手段は、前記車両の横方向の運動量(stateV1、2)を前記車輪状態量(stateW1、2)から引いた差を車輪位置に応じたそれぞれの車***置の状態量(state1、2)として演算し、前記それぞれの車***置の状態量の和を取ることによって、車体全体の不安定状態を示す第1の判定値(S1)を算出すると共に、前記それぞれの車***置の状態量の差を取ることによって、不安定状態に陥っている車***置の状態を示す第2の判定値(S2)を算出することにより、車体不安定状態を複数に場合分けし、前記第2の判定値が第1判定定数(P2)よりも大きい状態が第1基準継続時間継続すると車輪と路面の摩擦結合限界が前輪で発生している場合、前輪側の前記車***置の状態量が限界状態であると判定し、前記第2の判定値が第1判定定数(P2)より小さくかつ第2判定定数(P3)よりも大きい状態が第2基準継続時間継続すると車輪と路面の摩擦結合限界が前輪及び後輪で発生している場合、前輪側および後輪側の前記車***置の状態量が限界状態であると判定し、前記第2の判定値が第1判定定数より小さくかつ前記第2判定定数よりも小さい状態が第3基準継続時間継続すると車輪と路面の摩擦結合限界が後輪で発生している場合、後輪側の前記車***置の状態量が限界状態であると判定する判定手段(数15〜数18)を備え、
    前記状態推定手段における前記車輪状態量演算手段は、左右車輪の独立した組み合わせに伴い車体の前輪側の車輪状態量および車体の後輪側の車輪状態量の2値の車輪状態量(stateW1、2)を演算することを特徴とする車体挙動制御装置。
  4. 各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、
    各車輪に車輪制動力を与える車輪制動力発生手段と、
    車両の横方向の運動量( stateV1、2)を検出する横方向運動量検出手段と、
    前記各車輪の車輪速度と前記横方向の運動量とに基づいて、車両の挙動状態(S1、S2)を推定する状態推定手段と、
    前記挙動状態に基づいて車輪制動力発生手段に対する車輪制動力付与量を設定する制御量設定手段と、
    前記車輪制動力付与量に基づいて前記車輪制動力発生手段にかかる車輪制動力を調整する調整手段とを備え、
    前記状態推定手段は、前記車体の左右車輪の車輪速度の差に基づく車輪状態量(stateW1、2)を演算する車輪状態量演算手段を備え、この車輪状態量と車両の横方向運動量との比較に基づいて、前記車両の挙動状態を推定し、
    前記状態推定手段は、前記車両の横方向の運動量(stateV1、2)を前記車輪状態量(stateW1、2)から引いた差を車輪位置に応じたそれぞれの車***置の状態量(state1、2)として演算し、前記それぞれの車***置の状態量の和を取ることによって、車体全体の不安定状態を示す第1の判定値(S1)を算出すると共に、前記それぞれの車***置の状態量の差を取ることによって、不安定状態に陥っている車***置の状態を示す第2の判定値(S2)を算出することにより、車体不安定状態を複数に場合分けし、前記第2の判定値が第1判定定数(P2)よりも大きい状態が第1基準継続時間継続すると車輪と路面の摩擦結合限界が前輪で発生している場合、前輪側の前記車***置の状態量が限界状態であると判定し、前記第2の判定値が第1判定定数(P2)より小さくかつ第2判定定数(P3)よりも大きい状態が第2基準継続時間継続すると車輪と路面の摩擦結合限界が前輪及び後輪で発生している場合、前輪側および後輪側の前記車***置の状態量が限界状態であると判定し、前記第2の判定値が第1判定定数より小さくかつ前記第2判定定数よりも小さい状態が第3基準継続時間継続すると車輪と路面の摩擦結合限界が後輪で発生している場合、後輪側の前記車***置の状態量が限界状態であると判定する判定手段(数15〜数18)を備え、
    前記状態推定手段における前記車輪状態量演算手段は、左右車輪の独立した組み合わせに伴い車体の一方の対角輪側の車輪状態量および車体の他方の対角輪側の車輪状態量の2値の車輪状態量(stateW1、2)を演算することを特徴とする車体挙動制御装置。
  5. 前記状態推定手段は、前記第1の判定値に対する基準値(P1)および第2の判定値に対する基準値(P2、P3)とを比較し、車体の不安定状態の場合分けを行うことを特徴とする請求項3または4に記載の車体挙動制御装置。
  6. 前記制御量設定手段は、車両の旋回状態を検知する旋回状態検知手段を備え、この旋回状態に応じて前記各車輪に対する制動力付与量を設定することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の車体挙動制御装置。
  7. 前記状態推定手段は、前記各車輪の車輪速度と前記横方向の運動量とに基づいて、各車輪のいずれかが路面から浮上状態にあるか否かを判定する浮上状態判定手段を有していることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1つに記載の車体挙動制御装置。
  8. 前記横方向運動量検出手段は、車体に設けられ、車体の運動を直接検知する横加速度センサあるいはヨーレートセンサであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の車体挙動制御装置。
  9. 各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、
    各車輪に車輪制動力を与える車輪制動力発生手段と、
    車体に設けられ、車体の横方向の運動を車両状態(state V1、2)として直接検知する車両状態量検知手段と、
    前記車体の位置を複数に分割して状態量を考慮する際に、前記分割されたそれぞれの車***置の状態量(state1、2)を、前記車輪状態量(stateW1、2)から前記車両の横方向の運動である前記車両状態(stateV1、2)を引いた差として演算する車両状態量演算手段と、
    前記車***置の状態量のうちの前輪の状態量(state1)および後輪の状態量(state2)に対して重み付け係数(K1)を用いて重み付け演算(数13、数14)することにより車両全体の状態量判定値として車両全体の不安定状態を示す第1の判定値(S1)あるいは車両の前後においてどちら側が不安定状態が大きいかを表す値である車体の部分的な状態量判定値として第2の判定値(S2)を求める判定値演算手段と、
    前記第1の判定値に基づき、該第1の判定値の大きさに応じて旋回方向と逆の前後輪を制動力が大きくなるように車輪制動力付与量を設定すると共に、前記第2の判定値に基づき前輪側が相対的に不安定な場合は前輪と後輪の両方に車輪制動力付与量を設定し、後輪側が相対的に不安定な場合は前輪側の車輪制動力付与量を大きく、後輪側の車輪制動力付与量を小さくする制御量設定手段と、
    前記車輪制動力付与量に基づいて前記車輪制動力発生手段にかかる車輪制動力を調整する調整手段とを備えることを特徴とする車体挙動制御装置。
  10. 各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、
    各車輪に車輪制動力を与える車輪制動力発生手段と、
    車両の横方向の運動量(stateV1、2)を検出する横方向運動量検出手段と、
    前記各車輪の車輪速度と前記横方向の運動量とに基づいて、各車輪のいずれかが路面から浮上状態にあるか否かを判定する浮上状態判定手段と、
    前記浮上状態判定手段の判定結果に応じて、アクチュエータを駆動する駆動手段を備え、
    前記横方向運動量検出手段にて、横方向の運動量として横加速度を検出し、
    前記浮上状態判定手段にて、前記各車輪のうちの旋回外輪の車輪速度と前記横加速度から旋回内輪の車輪速度を推定し、推定された前記旋回内輪の車輪速度と前記車輪速度検出手段で検出された前記各車輪のうちの前記旋回内輪の車輪速度とを比較することにより、前記旋回内輪が路面から浮上状態にあるか否かを判定しており、時間遅れ運動量と車両の旋回外輪側前後輪の車輪速度の和との差分から、車両の旋回内輪側前後輪の車輪速度の和を推定し、前記旋回内輪側前後輪の車輪速度の和の1/2の値と前記旋回内輪側前輪の車輪速度との差分および旋回内輪側前後輪の車輪速度の和の1/2の値と旋回内輪側後輪の車輪速度との差分に基づいて旋回内輪における浮上状態を判定することを特徴とする車体挙動制御装置。
  11. 前記浮上状態判定手段は、前記各車輪の車輪速度と前記横方向の運動量に基づいて各車輪のいずれかが路面から浮上状態にあるか否かを判定し、且つ車体のロールレート、車体速度と操舵角等の別パラメータと前記浮上状態の判定結果との相関関係により車両の横転過渡状態を判定する横転過渡状態判定手段を有していることを特徴とする請求項10に記載の車体挙動制御装置。
  12. 前記横方向運動量検出手段は、車体に設けられ、車体の運動を直接検知する横加速度センサあるいはヨーレートセンサであることを特徴とする請求項10または11に記載の車体挙動制御装置。
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