JPH08188968A - 炭素繊維およびその製造方法 - Google Patents

炭素繊維およびその製造方法

Info

Publication number
JPH08188968A
JPH08188968A JP7018432A JP1843295A JPH08188968A JP H08188968 A JPH08188968 A JP H08188968A JP 7018432 A JP7018432 A JP 7018432A JP 1843295 A JP1843295 A JP 1843295A JP H08188968 A JPH08188968 A JP H08188968A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
carbon fiber
epoxy
sizing agent
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP7018432A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3557686B2 (ja
Inventor
Masanobu Kobayashi
正信 小林
Motoi Ito
基 伊藤
Yoji Matsuhisa
要治 松久
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP01843295A priority Critical patent/JP3557686B2/ja
Publication of JPH08188968A publication Critical patent/JPH08188968A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3557686B2 publication Critical patent/JP3557686B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧縮系の機械特性、特に高温高湿時の圧縮強
度に優れた繊維強化複合材料を成形可能な炭素繊維およ
びその製造方法を提供する。 【構成】 ハロゲンを含有する特定の化合物、縮合多環
芳香環を含有する特定の化合物あるいは吸水率が2.0
%以下のエポキシ化合物がサイジングされてなる炭素繊
維、およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭素繊維およびその製
造方法に関し、さらに詳しくは、繊維強化複合材料に成
形した際に、優れた機械特性、とくに優れた圧縮強度が
得られる炭素繊維およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】強化繊維とマトリックス樹脂からなる繊
維強化複合材料は、軽量で優れた機械特性を有するため
に、スポーツ用品用途、航空宇宙用途、一般産業用途に
広く用いられている。繊維強化複合材料の強化繊維とし
ては、炭素繊維が最も広く使用されている。
【0003】ところで、繊維強化複合材料を構造材料と
して用いる場合の重要な物性の一つに圧縮強度がある。
また、構造部材として用いる場合、ボルト穴を設けるこ
とが多いため、特に有孔板の圧縮強度が重要になる。
【0004】また、一般にポリマー系の材料は、高温お
よび/または高湿条件下で強度や弾性率が低下する。し
たがって、ポリマーをマトリックスとする繊維強化複合
材料の強度などの物性も、高温あるいは高湿条件下で低
下しやすい。しかし、複合材料を、航空機、車両、船舶
などの構造材料として適用する場合は、高温および/ま
たは高湿条件下でも物性を十分保持することが要求され
る。
【0005】繊維強化複合材料を構造材料として用いる
場合、圧縮強度は、特に重要な物性である。なかでも高
温、高湿条件での強度が重要になる。
【0006】しかし、従来の繊維強化複合材料では、軽
量という利点を有するものの、高温あるいは高湿条件化
での圧縮強度が十分でないことがあり、適用可能な用途
が制限されることがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、圧縮
系の機械特性、特に高温高湿時の圧縮強度に優れ、構造
材料として好適な繊維強化複合材料を成形可能な、炭素
繊維およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的に沿う本発明の
炭素繊維は、ハロゲンを含有する、エポキシ化合物、ポ
リエステル化合物、ポリイミド化合物、ビスマレイミド
化合物あるいはポリウレタン化合物のいずれかの化合
物、またはこれら化合物の混合物がサイジングされたも
のからなる(以下、第1発明に係る炭素繊維と言うこと
もある。)。このハロゲンとしては、たとえば臭素、フ
ッ素、塩素などが挙げられる。
【0009】また、本発明に係る炭素繊維は、縮合多環
芳香環を含有する、エポキシ化合物、ポリエステル化合
物、ポリイミド化合物、ビスマレイミド化合物あるいは
ポリウレタン化合物のいずれかの化合物、またはこれら
化合物の混合物がサイジングされたものからなる(以
下、第2発明に係る炭素繊維と言うこともある。)。
【0010】さらに、本発明に係る炭素繊維は、吸水率
が2.0%以下のエポキシ化合物がサイジングされたも
のからなる(以下、第3発明に係る炭素繊維と言うこと
もある。)。
【0011】上記のような炭素繊維においては、サイジ
ング剤付着前のX線光電子分光法により測定される表面
酸素濃度O/Cが0.20以下であり、かつ、表面窒素
濃度N/Cが0.02以上であることが、圧縮強度を一
層向上させる観点から好ましい。ここで、O/Cは、炭
素繊維表面における炭素(C)に対する酸素(O)の原
子数比であり、N/Cは、炭素(C)に対する窒素
(N)の原子数比である。
【0012】また、本発明の炭素繊維の製造方法は、ア
ンモニウム塩水溶液中で電解処理した後、ハロゲンを含
有する、エポキシ化合物、ポリエステル化合物、ポリイ
ミド化合物、ビスマレイミド化合物あるいはポリウレタ
ン化合物のいずれかの化合物、またはこれら化合物の混
合物をサイジング剤として炭素繊維の表面に付与するこ
とを特徴とする方法からなる(以下、第1発明に係る炭
素繊維の製造方法と言うこともある。)。
【0013】また、本発明に係る炭素繊維の製造方法
は、アンモニウム塩水溶液中で電解処理した後、縮合多
環芳香環を含有する、エポキシ化合物、ポリエステル化
合物、ポリイミド化合物、ビスマレイミド化合物あるい
はポリウレタン化合物のいずれかの化合物、またはこれ
ら化合物の混合物をサイジング剤として炭素繊維の表面
に付与することを特徴とする方法からなる(以下、第2
発明に係る炭素繊維の製造方法と言うこともある。)。
【0014】さらに、本発明に係る炭素繊維の製造方法
は、アンモニウム塩水溶液中で電解処理した後、吸水率
が2.0%以下のエポキシ化合物をサイジング剤として
炭素繊維の表面に付与することを特徴とする方法からな
る(以下、第3発明に係る炭素繊維の製造方法と言うこ
ともある。)。
【0015】上記第1発明におけるサイジング剤は、ハ
ロゲンを含有する、エポキシ、ポリエステル、ポリイミ
ド、ビスマレイミド、ポリウレタン化合物、またはこれ
らの混合物とするものである。ハロゲンとしてはフッ
素、塩素、臭素等があるが、特に実用上臭素が好まし
い。本発明のサイジング剤化合物の対象となるマトリッ
クスとしてはエポキシ、ポリエステル樹脂等の熱硬化性
樹脂、ポリイミド、ビスマレイミド、ナイロン、ポリエ
ーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹脂等のマトリック
スを適用できるが、取り扱い性および親和性を高めるた
め、サイジング剤化合物と、繊維強化複合材料にする際
のマトリックス樹脂が同種であることが好ましい。一方
で、特に反応性、親和性の高いエポキシ化合物をサイジ
ング剤とするのが好ましい。
【0016】また、本発明におけるハロゲンとしてはフ
ッ素、塩素、臭素等があるが、特に実用上臭素あるいは
フッ素が好ましい。具体的には、ブロム化フェノールノ
ボラック型エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノールAジ
グリシジルエーテル樹脂、ビスフェノールヘキサフルオ
ロアセトンジグリシジルエーテル、1,4−ビス[1−
(2,3−エポキシプロパキシ)−1−トリフルオロメ
チル−2,2,2−トリフルオロメチル]ベンゼン、
1,3−ビス[1−(2,3−エポキシプロパキシ)−
1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエ
チル]ベンゼン、4,4−ビス(2,3−エポキシプロ
ポキシ)オクタフルオロビフェニル等があるが、特にテ
トラブロムビスフェノールAジグリシジルエーテルが安
価で実用上好ましい。ハロゲンが高温高湿時の圧縮強度
の向上に有効な理由は明らかではないが、複合材料界面
への水の侵入を防ぐ役割、または水侵入後も界面劣化が
起こり難いためと考えられる。
【0017】また、上記エポキシ化合物としては、エポ
キシ基を複数持つことが好ましい。サイジング剤化合物
の有するエポキシ基が2つ未満であると、炭素繊維と、
複合材料のマトリックス樹脂との橋渡しを有効に行うこ
とができない。したがってエポキシ基の数は、炭素繊維
とマトリックス樹脂との橋渡しを有効に行うために2個
以上であることが必須である。一方、エポキシ基の数が
多すぎると、サイジング剤化合物の分子間架橋の密度が
大きくなり、脆性なサイジング層となって、結果として
コンポジット(複合材料)の引張強度が低下してしまう
ため、好ましくは6個以下、より好ましくは4個以下、
さらに好ましくは2個が良い。
【0018】このハロゲンを有するエポキシ化合物のエ
ポキシ当量は、圧縮強度の向上効果を十分なものとする
観点から、100〜2000、さらには200〜500
が好ましい。
【0019】さらに、前記第2発明におけるサイジング
剤は、縮合多環芳香環を含有する、エポキシ、ポリエス
テル、ポリイミド、ビスマレイミド、ポリウレタン化合
物、またはこれらの混合物とするものである。縮合多環
芳香環としてはナフタレン、アントラセン、ピレン等が
あるが、特に取り扱い性の良いナフタレンが好ましい。
具体的には、1,6−ナフタレンジグリシジルエーテル
等が好ましい。縮合多環芳香環が高温高湿時の圧縮強度
の向上に有効な理由は明らかでないが、耐熱性が高く、
炭素繊維との親和性も高いために高温下での接着性が高
く、水分の侵入を防いでいるものと考えられる。
【0020】さらに、前記第3発明におけるサイジング
剤は、吸水率が2.0%以下のエポキシ化合物とするも
のである。より好ましくは、吸水率1.5%以下とする
ものである。吸水率が2.0%を超えると、高温高湿状
態の複合材料における炭素繊維とマトリックス樹脂界面
への水分の侵入が、複合材料界面の剥離ないしは破壊を
促進し、その結果、高温高湿時圧縮強度の低下が大きく
なる。
【0021】なお、本発明において、サイジング剤には
油化シェルエポキシ社製エピコート828、エピコート
834といった臭素を含まないビスフェノール型エポキ
シ化合物、芳香環を含まない直鎖状エポキシ化合物、ポ
リエチレングリコール、ポリウレタン、ポリエステルあ
るいは界面活性剤などの他の成分を、粘度調整、耐擦過
性向上、耐毛羽性向上、収束性向上、高次加工性向上等
の目的で加えてもよい。
【0022】さらに、ブタジエンニトリルゴム等のゴム
あるいはエラストマーのエポキシ変性化合物等の直鎖状
化合物のエポキシ変性化合物を添加しても問題はない。
【0023】上記のようなサイジング剤の付着量は、高
温高湿時圧縮強度が低下するのを防ぐ観点から、一方、
サイジング剤の消費が過大にならないようにする観点か
ら、炭素繊維単位重量当たり0.2%以上10%以下が
好ましく、0.3%以上5%以下がより好ましく、0.
4%以上2%以下付与するのがさらに好ましい。そし
て、本発明においては、サイジング剤は一様に被覆、コ
ーティングされているのが好ましい。
【0024】本発明における炭素繊維自身の機械的物性
としては、ストランド強度が350kgf/mm2
上、より好ましくは400kgf/mm2 以上、さらに
好ましくは450kgf/mm2 以上が望ましい。ま
た、炭素繊維の弾性率は22tf/mm2 以上が好まし
く、24tf/mm2 以上がより好ましく、28tf/
mm2 以上がさらに好ましい。ストランド強度あるいは
弾性率がそれぞれ、350kgf/mm2 未満あるいは
22tf/mm2 未満の炭素繊維の場合には、コンポジ
ットとしたときに、構造材として所望の特性が得られな
い場合がある。
【0025】本発明における炭素繊維は、X線光電子分
光法により測定される表面酸素濃度O/Cを0.20以
下、好ましくは0.15以下、さらに好ましくは0.1
0以下とすることが望ましい。O/Cが0.20を超え
ると、樹脂の官能基と炭素繊維最表面との化学結合は強
固になるものの、本来炭素繊維基質自身が有する強度よ
りもかなり低い酸化物層が炭素繊維表層を被うことにな
るため、結果として得られるコンポジットの圧縮特性は
低いものとなってしまう。
【0026】O/Cの下限としては、0.02以上、好
ましくは0.04以上、さらに好ましくは0.06以上
が望ましい。O/Cが0.02に満たないと、サイジン
グ剤との反応性および反応量が不足し、その結果コンポ
ジットの高温高湿時圧縮強度の向上が望めない場合があ
る。
【0027】また、X線光電子分光法により測定される
表面窒素濃度N/Cについては、0.02以上、好まし
くは0.03以上、より好ましくは0.04以上とする
ことが望ましい。N/Cが0.02未満の炭素繊維は、
本発明における特定のサイジング剤との反応性を向上さ
せることが、難しく、結果としてサイジング剤による高
温高湿時の圧縮強度の向上効果を発現できないことがあ
る。
【0028】N/Cの上限としては、0.30以下、好
ましくは0.25以下、さらに好ましくは0.20以下
が望ましい。すなわちN/Cが0.3を超えると、サイ
ジング剤との反応性および反応量が過剰になるだけで、
圧縮強度のさらなる向上は望めず、かつ引張強度が低下
する場合がある。
【0029】本発明に係る炭素繊維を用いて繊維強化複
合材料とする際に用いられるマトリックス樹脂には、熱
可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられる。これらマ
トリックス樹脂は特に限定されないが、熱可塑性樹脂と
しては、たとえば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポ
リアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミ
ドイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ
エーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどが用
いられる。
【0030】熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不
飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、マレイミド樹脂、シアネ
ート樹脂、ジアリルフタレート樹脂などの樹脂が用いら
れる。また、ポリイミドやポリスルホンなどの熱可塑性
樹脂のオリゴマーの末端に反応性の官能基を導入したも
のも用いられる。
【0031】これらのうちでは、エポキシ樹脂、マレイ
ミド樹脂、シアネート樹脂、マレイミド樹脂とシアネー
ト樹脂を予備反応した樹脂およびこれらの混合物が特に
好ましく用いられる。
【0032】エポキシ樹脂としては、分子内に複数のエ
ポキシ基を有する化合物が用いられる。例えば、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキ
シ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノ
ールB型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノ
ボラック型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポ
キシ樹脂、フェノール化合物とジシクロペンタジエンの
共重合体を原料とするエポキシ樹脂、ジグリシジルレゾ
ルシノール、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)
エタン、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタンの
ようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、テトラグリ
シジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミ
ノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テト
ラグリシジルキシレンジアミンのようなグリシジルアミ
ン型エポキシ樹脂あるいはこれらの組合わせが好適に用
いられる。
【0033】硬化剤としては、ジアミノジフェニルメタ
ン、ジアミノジフェニルスルホンのような芳香族アミ
ン、脂肪族アミン、イミダゾール誘導体、ジシアンジア
ミド、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、
メチルヘキサヒドロフタル酸無水物のようなカルボン酸
無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポ
リフェノール化合物、ノボラック樹脂、ポリメルカプタ
ン、三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなルイス酸
錯体などが挙げられる。
【0034】これらの硬化剤には、硬化活性を高めるた
めに適当な硬化助剤を組合わせることができる。好まし
い例としては、ジシアンジアミドに、3−(3,4−ジ
クロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(DCMU)
を硬化助剤として組合わせる例、カルボン酸無水物やノ
ボラック樹脂に第三アミンを硬化助剤として組合わせる
例などが挙げられる。
【0035】マレイミド樹脂は分子内に複数のマレイミ
ド基を有する化合物で、メチレンビス−p−フェニレン
ジマレイミドなどが挙げられる。マレイミド樹脂は共反
応物や硬化触媒と組合わせて使用することができる。共
反応物には、アルケニル基、エポキシ基、アミノ基、フ
ェノール性水酸基、シアナト基などの官能基を有する化
合物が用いられる。硬化触媒としては、イミダゾール誘
導体やジアザビシクロオクタンなどの強塩基性化合物を
用いることができる。
【0036】シアネート樹脂はビスフェノールA、ビス
フェノールFやノボラックなどの多価フェノールのシア
ン酸エステルである。シアネート樹脂は硬化触媒とし
て、コバルト、銅、亜鉛、マンガンなどの遷移金属の錯
体を加えて用いることができる。硬化触媒は硬化温度を
低下させるのに有用である。
【0037】シアネート樹脂とマレイミド樹脂とを予備
反応した樹脂、特にメチレンビス−p−フェニレンジマ
レイミドとビスフェノールAジシアネートを予備反応し
た樹脂が好ましい。この場合、硬化触媒として、遷移金
属錯体や有機過酸化物を用いることができる。
【0038】これらはまた、適宜組合わせて用いること
ができる。たとえば、シアネート樹脂とマレイミド樹脂
とを予備反応した樹脂とエポキシ樹脂を配合した樹脂
は、エポキシ樹脂を配合しないものと比べて硬化温度が
低下するため好ましい。
【0039】熱硬化性マトリックス樹脂には、モノエポ
キシ化合物などの反応性希釈剤、ポリスルホン、ポリエ
ーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリビニルブチ
ラールなどの熱可塑性樹脂、ブタジエン−アクリロニト
リル共重合体などのエラストマーなどを添加して改質す
ることができる。
【0040】次に本発明の炭素繊維を得るための方法に
ついて説明する。炭素繊維の表面処理およびサイジング
処理については次に記載するとおりであるが、炭素繊維
の重合、製糸、焼成条件については拘束されるものでは
ない。
【0041】本発明の方法に供せられる原料炭素繊維と
しては、アクリル系、ピッチ系、レーヨン系等の公知の
炭素繊維を適用できる。好ましくは高強度の炭素長繊維
が得られやすいアクリル系炭素繊維がよい。アクリル系
炭素繊維の場合を例にとって以下詳細に説明する。
【0042】紡糸方法としては湿式、乾式、乾湿式等を
採用できるが高強度糸が得られ易い湿式あるいは乾湿式
が好ましい。紡糸原液にはポリアクリロニトリルのホモ
ポリマーあるいは共重合成分の溶液あるいは懸濁液等を
用いることができるが、ろ過を強化して不純物をポリマ
ーから除去することが、高性能炭素繊維を得るために重
要である。
【0043】該紡糸原液を凝固、水洗、延伸、油剤付与
して前駆体原糸とし、さらに耐炎化、炭化、さらに必要
に応じて黒鉛化処理を行って炭素繊維とする。製糸、焼
成工程を通して、用役あるいは雰囲気から塵埃、異物と
いった不純物を最小限に抑え、繊維への欠陥導入を防ぐ
こと、張力をかけて配向を高くすることが高性能炭素繊
維を得るために重要である。炭化あるいは黒鉛化条件と
して、本発明炭素繊維を得るには最高熱処理温度は11
00℃以上、好ましくは1400℃以上がよい。
【0044】強度および弾性率の高い炭素繊維を得るた
めには細繊度の炭素繊維が好ましく、炭素繊維の単糸径
で7.5μm以下、好ましくは6μm以下、さらに好ま
しくは5.5μm以下がよい。得られた炭素繊維はさら
に表面処理および所定のサイジング処理がなされて炭素
繊維となる。
【0045】X線光電子分光法により測定される表面酸
素濃度O/Cおよび表面窒素濃度N/Cを前記した特定
の範囲とする炭素繊維は、アンモニウム塩水溶液中で電
解処理することにより得ることができる。
【0046】この場合の電解液としては、アンモニウム
イオンを含む水溶液であれば良く、具体的には、電解質
として、例えば硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、
過硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニ
ウム、燐酸2水素アンモニウム、燐酸水素2アンモニウ
ム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム等あるい
はそれらの混合物などを用いることができるが、なかで
も硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニ
ウム、炭酸アンモニウムおよび炭酸水素アンモニウムが
好ましく、特に炭酸アンモニウムおよび炭酸水素アンモ
ニウムは、水洗後および乾燥後の炭素繊維表面に残査が
少なく好ましい。
【0047】電解液の濃度としては、0.01〜5モル
/l、好ましくは0.1〜1モル/lがよい。すなわ
ち、濃度が濃いほど電解処理電圧が下がるが、臭気が強
くなり環境が悪化するのでそれらから最適化することが
好ましい。
【0048】電解液温度としては0〜100℃、好まし
くは10〜40℃がよい。すなわち温度が高いと臭気が
強くなり環境が悪化するため低温が好ましいので、運転
コストとの兼ね合いで最適化することが好ましい。
【0049】電気量は被処理炭素繊維の炭化度に合わせ
て最適化することが好ましく、高弾性率糸はより大きな
電気量が必要である。表層の結晶性の低下を進ませ、生
産性を向上させる一方、炭素繊維基質の強度低下を防ぐ
観点から、電解処理は小さい電気量で複数回処理を繰り
返し行うのが好ましい。具体的には、電解槽1槽当たり
の通電電気量は5クーロン/g・槽(炭素繊維1g,1
槽当たりのクーロン数)以上、100クーロン/g・槽
以下が好ましく、より好ましくは10クーロン/g・槽
以上、80クーロン/g・槽以下、さらに好ましくは2
0クーロン/g・槽以上、60クーロン/g・槽以下が
よい。また、表層の結晶性の低下を適度な範囲とする観
点からは通電処理の総電気量は5〜1000クーロン/
g、さらには10〜500クーロン/gの範囲とするの
が好ましい。
【0050】槽数としては2以上が好ましく、4以上が
より好ましい。設備コストの面から10槽以下が好まし
く、電気量、電圧、電流密度等から最適化することが好
ましい。
【0051】電流密度としては、炭素繊維表面を有効に
酸化し、かつ安全性を損なわない観点から、電解処理液
中の炭素繊維の表面積1m2 当たり1.5アンペア/m
2 以上1000アンペア/m2 以下、好ましくは3アン
ペア/m2 以上500アンペア/m2 がよい。処理時間
は、数秒から十数分が好ましく、さらには10秒から2
分程度が好ましい。
【0052】電解電圧は安全性の観点から25V以下、
さらには0.5〜20Vが好ましい。電解処理時間は電
気量、電解質濃度により最適化すべきであるが、生産性
の面から数秒〜10分、好ましくは10秒〜2分程度が
よい。電解処理方式としてはバッチ式、連続式いずれで
もよいが、生産性がよくバラツキが小さくできる連続式
が好ましい。通電方法としては、炭素繊維を電極ローラ
に直接接触させて通電させる直接通電、あるいは炭素繊
維と電極の間に電解液等を介して通電させる間接通電の
いずれも採用することができるが、電解処理時の毛羽立
ち、電気スパーク等が抑えられる間接通電が好ましい。
【0053】また、電解処理方法は、電解槽を必要槽数
並べて1度通糸しても、1槽の電解槽に必要回数通糸し
てもよい。電解槽の陽極長は5〜100mmが好まし
く、陰極長300〜1000mm、さらには350〜9
00mmが好ましい。
【0054】電解処理または洗浄処理を行った後、水洗
および乾燥することが好ましい。この場合、乾燥温度が
高すぎると炭素繊維の最表面に存在する官能基は熱分解
により消失し易いため、できる限り低い温度で乾燥する
ことが望ましく、具体的には乾燥温度が250℃以下、
さらに好ましくは210℃以下で乾燥することが望まし
い。
【0055】サイジング剤の付与手段としては特に限定
されるものではないが、例えばローラを介してサイジン
グ液に浸漬する方法、サイジング液の付着したローラに
接する方法、サイジング液を霧状にして吹き付ける方法
などがある。また、バッチ式、連続式いずれでもよい
が、生産性がよくバラツキが小さくできる連続式が好ま
しい。この際、炭素繊維に対するサイジング剤有効成分
の付着量が適正範囲内で均一に付着するように、サイジ
ング液濃度、温度、糸条張力などをコントロールするこ
とが好ましい。また、サイジング剤付与時に炭素繊維を
超音波で加振させることはより好ましい。
【0056】乾燥温度と乾燥時間は化合物の付着量によ
って調整すべきであるが、サイジング剤の付与に用いる
溶媒の完全な除去、乾燥に要する時間を短くし、一方、
サイジング剤の熱劣化を防止し、炭素繊維束が固くなっ
て束の拡がり性が悪化するのを防止する観点から、乾燥
温度は、150℃以上350℃以下であることが好まし
く、180℃以上250℃以下であることがより好まし
い。
【0057】[特性の測定方法] (1)吸水率 本発明で用いた特性および物性の測定方法は以下の通り
である。吸水率は以下の方法により求めた。サイジング
剤に用いるエポキシ化合物のエポキシ価(仕込み部数を
エポキシ当量で除する値)と硬化剤に用いる4,4′−
ジアミノジフェニルスルホン(住友化学(株)社製スミ
キュアS(アミン当量62))のアミン価(仕込み部数
をアミン当量で除する値)が等しくなるように混錬して
調整する。引き続き、樹脂組成物を真空脱泡した後、熱
風オーブン中で130℃、2時間、引き続き180℃、
2時間反応させて硬化板を調整した。得られた樹脂板
(60×10×2mm)を熱風オーブン中で120℃、
2時間乾燥させた吸水前の重量と、100℃の水中で2
0時間煮沸した吸水後の重量より吸水率を求めた。
【0058】(2)炭素繊維の表面酸素濃度(O/C) 表面酸素濃度O/C(炭素Cに対する酸素Oの原子数
比)は、次の手順に従ってX線光電子分光法により求め
た。先ず、溶媒でサイジング剤などを除去した炭素繊維
束をカットしてステンレス製の試料支持台上に拡げて並
べた後、光電子脱出角度を90゜とし、X線源としてM
gKα1,2を用い、試料チャンバー内を1×10-8
orrの真空度に保つ。測定時の帯電に伴うピークの補
正として、まずC1Sの主ピークの結合エネルギー値を2
84.6eVに合わせる。C1Sピーク面積は、282〜
296eVの範囲で直線のベースラインを引くことによ
り求め、O1Sピーク面積は、528〜540eVの範囲
で直線のベースラインを引くことにより求めた。表面酸
素濃度O/Cは、上記O1Sピーク面積とC1Sピーク面積
の比を、装置固有の感度補正値で割ることにより算出し
た原子数比で表した。なお、本実施例では島津製作所
(株)製、ESCA−750を用い、上記装置固有の感
度補正値は2.85であった。
【0059】(3)炭素繊維の表面窒素濃度(N/C) 表面窒素濃度N/C(炭素Cに対する窒素Nの原子数
比)は、次の手順に従ってX線光電子分光法により求め
た。先ず、溶媒でサイジング剤などを除去した炭素繊維
束をカットしてステンレス製の試料支持台上に拡げて並
べた後、光電子脱出角度を90゜とし、X線源としてM
gKα1,2を用い、試料チャンバー内を1×10-8
orrの真空度に保つ。測定時の帯電に伴うピークの補
正として、まずC1Sの主ピークの結合エネルギー値を2
84.6eVに合わせる。C1Sピーク面積は、282〜
296eVの範囲で直線のベースラインを引くことによ
り求め、N1Sピーク面積は、398〜410eVの範囲
で直線のベースラインを引くことにより求めた。表面窒
素濃度N/Cは、上記N1Sピーク面積とC1Sピーク面積
の比を、装置固有の感度補正値で割ることにより算出し
た原子数比で表した。なお、本実施例では島津製作所
(株)製、ESCA−750を用い、上記装置固有の感
度補正値は1.7であった。
【0060】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。なお、以下の実施例中、炭素繊維の性能(強
度、弾性率)はJIS R−7601に準じて測定した
エポキシ樹脂を含浸したストランド物性であり、測定回
数n=10の平均から求めた値である。
【0061】実施例1 アクリロニトリル(AN)99.5モル%とイタコン酸
0.5モル%からなる固有粘度[η]が1.80の共重
合体にアンモニアを吹き込み、共重合体のカルボキシル
基末端水素をアンモニウム基で置換して変性ポリマを作
成し、この変性ポリマの濃度が20重量%のジメチルス
ルホキシド(DMSO)溶液を作成した。この溶液を温
度60℃に調整し、温度60℃、濃度50%のDMSO
水溶液に吐出した。凝固糸条を水洗し、熱水中で4倍に
延伸した後、シリコーン系油剤処理を行った。この糸条
を130〜160℃に加熱されたローラ表面に接触させ
て乾燥緻密化後、4.0kg/cm2 の加圧スチーム中
で3倍に延伸して単糸繊度0.7d(デニール)、トー
タルデニール12000Dの繊維束を得た。
【0062】上記アクリル系繊維束を230〜260℃
の空気中で、延伸率1.00で加熱して耐炎化度が水分
率で4.2%の耐炎化繊維に転換した。次いで、最高温
度が1500℃の窒素雰囲気中で300〜700℃の温
度域における昇温速度を約400℃/分、1000〜1
200℃の温度域における昇温速度を約400℃/分の
条件下で炭素化して原料炭素繊維を得た。
【0063】上記原料炭素繊維を通常の電解処理装置に
より、先ず2.0モル%の炭酸アンモニウム水溶液を電
解液として炭素繊維1g当たり20クーロンの電気量で
電解表面処理し、水洗、乾燥し、続けて、臭素原子を含
有するブロム化フェノールノボラック型エポキシ(日本
化薬(株)製BREN301;臭素含有率41%)のジ
メチルアセトアミド溶液(濃度1.2重量%)に浸漬し
た後、180℃で乾燥した。付着量は0.8重量%で、
得られた炭素繊維の強度、弾性率はそれぞれ、542k
gf/mm2 、29.8tf/mm2 であった。また、
サイジング剤付着前の炭素繊維のO/Cは0.18、N
/Cは0.07であった。
【0064】(A)樹脂組成物の調製 下記原料を混練し、樹脂組成物を得た。 (1)テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(エポキシ当量120) (ELM434、住友化学工業(株)製) : 90.0部 (2)ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量172) (エピクロン830、大日本インキ(株)製) : 10.0部 (3)ポリエーテルスルホン (PES5003P、三井東圧化学(株)製) : 12.7部 (4)4,4′−ジアミノジフェニルスルホン (スミキュアS、住友化学(株)製) : 35.0部 この組成においては、4,4′−ジアミノジフェニルス
ルホンのモル数はエポキシ基のモル数の0.175倍で
ある。
【0065】(B)プリプレグの作製 (A)で調製した樹脂をリバースロールコーターを用い
て離型紙上に塗布量が51.7g/m2 になるよう塗布
して樹脂フィルムを作製した。一方向に引き揃えた前記
炭素繊維を両側から、前記の樹脂フィルムではさみ、加
熱加圧して樹脂を含浸させたプリプレグを積層し、AS
TM−D695に規定する試験片および試験方法に従っ
て測定した。成形は、オートクレーブ中で、温度180
℃、圧力6kgf/cm2 の条件で2時間行った。
【0066】(C)圧縮強度の測定 室温圧縮強度(24℃)、および高温高湿時圧縮強度
(24時間煮沸後、82℃で測定)をインストロン11
28型試験機を用いて測定した。結果は以下の通りであ
る。 室温圧縮強度 : 170kgf/mm2 高温高湿時圧縮強度 : 166kgf/mm2
【0067】実施例2 フッ素原子を含有する4,4−ビス(2,3−エポキシ
プロポキシ)オクタフルオロビフェニルを付与した以外
は実施例1と同様に処理して炭素繊維を得た。付着量は
0.7重量%であった。圧縮強度の測定結果は以下の通
りである。 室温圧縮強度 : 172kgf/mm2 高温高湿時圧縮強度 : 168kgf/mm2
【0068】比較例1 サイジング剤を付与しなかった以外は実施例1と同様に
処理して炭素繊維を得た。圧縮強度の測定結果は以下の
通りである。 室温圧縮強度 : 168kgf/mm2 高温高湿時圧縮強度 : 158kgf/mm2
【0069】比較例2 サイジング剤に臭素原子を含有しないフェノールノボラ
ック型エポキシ(油化シェルエポキシ社製エピコート1
54)を用いた以外は実施例1と同様に処理して炭素繊
維を得た。圧縮強度の測定結果は以下の通りである。 室温圧縮強度 : 171kgf/mm2 高温高湿時圧縮強度 : 156kgf/mm2
【0070】実施例3 1,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ナフタレ
ンを付与した以外は実施例1と同様に処理して炭素繊維
を得た。付着量は0.7重量%であった。圧縮強度の測
定結果は以下の通りである。 室温圧縮強度 : 171kgf/mm2 高温高湿時圧縮強度 : 169kgf/mm2
【0071】比較例3 1,6−ジヒドロキシナフタレンを付与した以外は実施
例1と同様に処理して炭素繊維を得た。付着量は0.5
重量%であった。圧縮強度の測定結果は以下の通りであ
る。 室温圧縮強度 : 168kgf/mm2 高温高湿時圧縮強度 : 158kgf/mm2
【0072】実施例4 低吸水率のエポキシである大日本インキ(株)製エピク
ロン152を付与した以外は実施例1と同様に処理して
炭素繊維を得た。付着量は0.8重量%で、得られた炭
素繊維の強度、弾性率はそれぞれ、558kgf/mm
2 、29.9tf/mm2 であった。圧縮強度の測定結
果は以下の通りである。 室温圧縮強度 : 174kgf/mm2 高温高湿時圧縮強度 : 172kgf/mm2
【0073】(A)サイジング剤の樹脂物性 なお、本実施例においては、サイジング剤として大日本
インキ(株)製エピクロン152(エポキシ当量36
0)85.3部、4,4′−ジアミノジフェニルスルホ
ン(アミン当量62)14.7部を混練して硬化板を調
製し、得られた吸水率は1.2%であった。
【0074】比較例4 サイジング剤にビスフェノールAジグリシジルエーテル
(油化シェルエポキシ社製エピコート828)を用いた
以外は実施例1と同様に処理して炭素繊維を得た。圧縮
強度の測定結果は以下の通りである。また、サイジング
剤の樹脂物性は、エピコート828(エポキシ当量18
9)75部、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン
(アミン当量62)25部を混練して硬化板を調製し、
得られた吸水率は3.1%であった。 室温圧縮強度 : 172kgf/mm2 高温高湿時圧縮強度 : 156kgf/mm2
【0075】実施例5 電解液として0.1モル%の硫酸水溶液、電気量として
炭素繊維1g当り10クーロンで処理した以外は実施例
4と同様に処理して炭素繊維を得た。付着量は0.7重
量%で、強度、弾性率はそれぞれ545kgf/m
2 、29.8tf/mm2 であった。また、サイジン
グ剤付着前の炭素繊維のO/Cは0.17、N/Cは
0.01であった。得られた圧縮強度の測定結果は以下
の通りである。 室温圧縮強度 : 168kgf/mm2 高温高湿時圧縮強度 : 164kgf/mm2
【0076】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の炭素繊維
およびその製造方法によるときは、炭素繊維に特定の化
合物からなるサイジング剤を付与するようにしたので、
圧縮系の機械特性、特に高温高湿時の圧縮強度に優れた
繊維強化複合材料を実現することができる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲンを含有する、エポキシ化合物、
    ポリエステル化合物、ポリイミド化合物、ビスマレイミ
    ド化合物あるいはポリウレタン化合物のいずれかの化合
    物、またはこれら化合物の混合物がサイジングされてな
    る炭素繊維。
  2. 【請求項2】 ハロゲンが臭素あるいはフッ素である、
    請求項1の炭素繊維。
  3. 【請求項3】 縮合多環芳香環を含有する、エポキシ化
    合物、ポリエステル化合物、ポリイミド化合物、ビスマ
    レイミド化合物あるいはポリウレタン化合物のいずれか
    の化合物、またはこれら化合物の混合物がサイジングさ
    れてなる炭素繊維。
  4. 【請求項4】 吸水率が2.0%以下のエポキシ化合物
    がサイジングされてなる炭素繊維。
  5. 【請求項5】 サイジング剤付着前のX線光電子分光法
    により測定される表面酸素濃度O/Cが0.20以下で
    あり、かつ、表面窒素濃度N/Cが0.02以上である
    請求項1ないし4のいずれかに記載の炭素繊維。
  6. 【請求項6】 アンモニウム塩水溶液中で電解処理した
    後、ハロゲンを含有する、エポキシ化合物、ポリエステ
    ル化合物、ポリイミド化合物、ビスマレイミド化合物あ
    るいはポリウレタン化合物のいずれかの化合物、または
    これら化合物の混合物をサイジング剤として炭素繊維の
    表面に付与することを特徴とする、炭素繊維の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 ハロゲンが臭素あるいはフッ素である、
    請求項6の炭素繊維の製造方法。
  8. 【請求項8】 アンモニウム塩水溶液中で電解処理した
    後、縮合多環芳香環を含有する、エポキシ化合物、ポリ
    エステル化合物、ポリイミド化合物、ビスマレイミド化
    合物あるいはポリウレタン化合物のいずれかの化合物、
    またはこれら化合物の混合物をサイジング剤として炭素
    繊維の表面に付与することを特徴とする、炭素繊維の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 アンモニウム塩水溶液中で電解処理した
    後、吸水率が2.0%以下のエポキシ化合物をサイジン
    グ剤として炭素繊維の表面に付与することを特徴とす
    る、炭素繊維の製造方法。
JP01843295A 1995-01-09 1995-01-09 炭素繊維およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3557686B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP01843295A JP3557686B2 (ja) 1995-01-09 1995-01-09 炭素繊維およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP01843295A JP3557686B2 (ja) 1995-01-09 1995-01-09 炭素繊維およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08188968A true JPH08188968A (ja) 1996-07-23
JP3557686B2 JP3557686B2 (ja) 2004-08-25

Family

ID=11971494

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP01843295A Expired - Fee Related JP3557686B2 (ja) 1995-01-09 1995-01-09 炭素繊維およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3557686B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008095241A (ja) * 2006-10-12 2008-04-24 Mitsubishi Rayon Co Ltd 炭素繊維用サイジング剤、サイジング処理炭素繊維、シート状物
JP2010512440A (ja) * 2006-12-11 2010-04-22 アストリウム エスアーエス 有機基質に対する炭素繊維の接着を改良するためのプロセス
JP2010222739A (ja) * 2009-03-24 2010-10-07 Toray Ind Inc 炭素繊維およびその製造方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6385167A (ja) * 1986-09-22 1988-04-15 東レ株式会社 表面改質炭素繊維とその製造方法
JPH01272867A (ja) * 1988-04-22 1989-10-31 Toray Ind Inc 高次加工性の優れた炭素繊維
JPH02169763A (ja) * 1988-12-12 1990-06-29 Mitsubishi Rayon Co Ltd 表面改質炭素繊維及びその製造方法
JPH03185139A (ja) * 1989-09-14 1991-08-13 Toho Rayon Co Ltd 炭素繊維コード及びその製造方法
JPH04228671A (ja) * 1990-09-17 1992-08-18 Yuka Shell Epoxy Kk 繊維基材へ樹脂を含浸する方法および装置
JPH0853620A (ja) * 1993-08-18 1996-02-27 Mitsui Toatsu Chem Inc ポリイミド系樹脂組成物

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6385167A (ja) * 1986-09-22 1988-04-15 東レ株式会社 表面改質炭素繊維とその製造方法
JPH01272867A (ja) * 1988-04-22 1989-10-31 Toray Ind Inc 高次加工性の優れた炭素繊維
JPH02169763A (ja) * 1988-12-12 1990-06-29 Mitsubishi Rayon Co Ltd 表面改質炭素繊維及びその製造方法
JPH03185139A (ja) * 1989-09-14 1991-08-13 Toho Rayon Co Ltd 炭素繊維コード及びその製造方法
JPH04228671A (ja) * 1990-09-17 1992-08-18 Yuka Shell Epoxy Kk 繊維基材へ樹脂を含浸する方法および装置
JPH0853620A (ja) * 1993-08-18 1996-02-27 Mitsui Toatsu Chem Inc ポリイミド系樹脂組成物

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008095241A (ja) * 2006-10-12 2008-04-24 Mitsubishi Rayon Co Ltd 炭素繊維用サイジング剤、サイジング処理炭素繊維、シート状物
JP2010512440A (ja) * 2006-12-11 2010-04-22 アストリウム エスアーエス 有機基質に対する炭素繊維の接着を改良するためのプロセス
JP2010222739A (ja) * 2009-03-24 2010-10-07 Toray Ind Inc 炭素繊維およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3557686B2 (ja) 2004-08-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100333246B1 (ko) 탄소섬유및그제조방법
KR101532194B1 (ko) 프리프레그 및 탄소 섬유 강화 복합 재료
TWI595030B (zh) 高模數纖維強化聚合物複合物及其製造方法
JP3003513B2 (ja) 炭素繊維およびその製造方法
US5543212A (en) Prepregs comprising a reinforcing fiber layer, a knitted fabric of thermoplastic fibers and a matrix resin
JP3440615B2 (ja) プリプレグおよび繊維強化複合材料
JP3656864B2 (ja) 炭素繊維およびその製造方法ならびにその炭素繊維を使用したプリプレグ
WO2016157933A1 (ja) 炭素繊維強化複合材料製管状体およびゴルフクラブシャフト
KR100383455B1 (ko) 프리프래그및탄소섬유강화복합재료
JP3003521B2 (ja) 炭素繊維およびその製造方法
JP2014181418A (ja) サイジング剤塗布炭素繊維、サイジング剤塗布炭素繊維の製造方法、プリプレグおよび炭素繊維強化複合材料
JP2002212320A (ja) プリプレグおよび極低温タンク
JP3557686B2 (ja) 炭素繊維およびその製造方法
JPH10231372A (ja) プリプレグおよびその製造方法
JP3755255B2 (ja) 炭素繊維およびその製造方法
JP6846868B2 (ja) 炭素繊維、およびサイジング剤付着炭素繊維の製造方法
JP3136883B2 (ja) 炭素繊維強化樹脂複合材料およびプリプレグ
JPS62225539A (ja) 変性アラミド材料の製造法
JPH0434569B2 (ja)
JPS6236427A (ja) 一方向炭素繊維強化高強度複合材料
JP2000355883A (ja) 強化繊維用サイジング剤
JP2008106245A (ja) 炭素繊維強化複合材料
JPS63135232A (ja) 炭素繊維強化プラスチツク
JP2001031781A (ja) プリプレグ及び繊維強化複合材料
JP3145183B2 (ja) プリプレグ

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040210

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040407

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040427

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040510

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080528

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090528

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090528

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100528

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees