JPH081516Y2 - 原子炉格納容器の外壁構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、原子炉圧力容器を格納するコンクリート製
の原子炉格納容器に係り、特にコンクリート外壁の内周
のライナープレートを支持するライナーアンカーの支持
強度を高めた原子炉格納容器の外壁構造に関するもので
ある。

［従来の技術］ 原子炉圧力容器を格納する鉄筋コンクリート製の原子
炉格納容器は、第３図に示すように、基礎１上に、筒状
の外壁２と、その内側に原子炉格納容器３を支持するペ
デスタル４が構築され、外壁２とペデスタル４間にダイ
ヤフラムフロア５、外壁２の上部にトップスラブ６が構
築されて形成され、原子炉格納容器内に上部ドライウエ
ル７、下部ドライウエル８及びサプレッションチャンバ
９がそれぞれ形成される。

この原子炉格納容器の外壁２は、第４図に示したよう
に内側にライナープレート10が配置されると共にその背
面に、円周方向に間隔を置いて多数のライナーアンカー
11が一体に設けられ、このライナープレート10を内枠と
し、外側に形枠（図示せず）が配置され、その間に上下
方向、円周方向及び径方向に延びる鉄筋12を配筋した
後、コンクリート13を打設して外壁12を構築するように
している。

［考案が解決しようとする課題］ このライナープレート10が略理想的に製作されている
場合には、ライナーアンカー11に荷重は発生しないが、
ライナープレート10を理想的に製作することは困難であ
り、このためライナープレート10に内向変形荷重が掛か
りやすくなり、ライナープレート10の円周の一部に応力
集中が起こり図示の二点鎖線10aで示すような変形が生
じやすく、またその変形力でその近傍のライナーアンカ
ー11に曲げモーメントが生じると共にライナーアンカー
11のフランジ部11aの接線方向のコンクリート13にクラ
ックＣが生じ、外壁２の強度が弱くなる問題がある。

本考案は上記事情を考慮してなされたもので、外壁の
ライナープレートに変形荷重が生じてもこれを支持でき
る原子炉格納容器の外壁構造を提供することを目的とす
る。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、上記の目的を達成するために、ライナープレ
ートの背面にライナーアンカーを、円周方向に間隔を置
いて一体に設けると共にその背面に鉄筋コンクリートを
打設してコンクリート外壁を形成した原子炉格納容器に
おいて、上記コンクリートの打設時、上記ライナープレ
ート背面の円周方向に沿ってかつその背面に近接して延
びると共に上記ライナーアンカーを包囲するようコ字状
の覆い部が形成されたアンカー保護用フープ筋を上下方
向に多段に設け、かつライナーアンカー間のアンカー保
護用フープ筋の凹部に位置して上下に延びると共に径方
向外方に折り曲げられたＬ字状の補強筋を設けたもので
ある。

［作用］ 上記の構成によれば、ライナープレートの背面にアン
カー保護用フープ筋を近接して設け、かつそのコ字状の
覆い部でライナーアンカーを覆うと共にアンカー保護用
フプ筋の凹部に位置してＬ字状の補強筋を設けること
で、ライナープレートに変形荷重が掛かりライナーアン
カーに曲げモーメントなどが掛ってもこれを確実に支持
でき、変形なクラックなどが生じない。

［実施例］ 以下、本考案の好適実施例を添付図面に基づいて説明
する。

先ず原子炉格納容器の全体構成は第３図で説明したと
おりである。

第１図は原子炉格納容器の外壁２の部分拡大平断面図
を示す。

先ずライナープレート10の背面には断面Ｔ字状のライ
ナーアンカー11がその円周方向に沿って所定間隔、例え
ば500mm間隔で融接固定される。このライナープレート1
0の背面にはアンカー保護用フープ筋15が近接して設け
られる。アンカー保護用フープ筋15は、ライナーアンカ
ー11を覆うコ字状の覆い部15aとライナーアンカー11間
に位置しその覆い部15a間を連結する連結部15bからな
り、連結部15bがライナーアンカー11のフランジ部11aよ
り内周に位置してライナープレート10と近接するように
配置される。このアンカー保護用フープ筋15は第２図に
示すように上下方向に多段に配設される。このアンカー
保護用フープ筋15の連結部15bの背面側に形成される凹
部16に、その凹部16に位置して上下に延びる縦筋部17と
その縦筋部17から径方向外方に折り曲げられた横筋18と
からなるＬ字状の補強筋19が設けられる。またアンカー
保護用フープ筋15の外周には第４図で説明した鉄筋12が
上下方向、円周方向及び上下方向に配筋され、ライナー
プレート10と外側型枠（図示せず）間にコンクリート13
が打設されて外壁２が構築される。

次に本実施例の作用を説明する。

ライナープレート10に内向変形荷重が作用し、ライナ
ーアンカー11に曲げモーメントが作用した場合、ライナ
ーアンカー11のフランジ部11aの接線方向にコンクリー
ト13を破損する荷重が作用するが、このライナーアンカ
ー11はアンカー保護用フープ筋15の覆い部15aで覆わ
れ、かつその凹部16にＬ字状の補給筋19が設けられるた
め、その荷重を確実に受けることができ、そのライナー
アンカー11の曲げモーメントにより生じるコンクリート
13の破損や亀裂を防止できる。

［考案の効果］ 以上説明したことから明らかなように本考案によれば
次のごとき優れた効果を発揮する。

（１） ライナープレートの背面にアンカー保護用フー
プ筋を近接して設け、かつそのコ字状の覆い部でライナ
ーアンカーを覆うと共にアンカー保護用フープ筋の凹部
に位置してＬ字状の補強筋を設けることで、ライナープ
レートに変形荷重が掛かりライナーアンカーに曲げモー
メントなどが掛ってもこれを確実に支持でき、変形やク
ラックなどが生じない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す部分平断面図、第２図
は第１図の拡大側断面図、第３図は原子炉格納容器の全
体断面図、第４図は従来の原子炉格納容器の外壁の部分
平断面図である。 図中、２は外壁、10はライナープレート、11はライナー
アンカー、13はコンクリート、15はアンカー保護用フー
プ筋、15aは覆い部、16は凹部、19は補強筋である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ライナープレートの背面にライナーアンカ
   ーを、円周方向に間隔を置いて一体に設けると共にその
   背面に鉄筋コンクリートを打設してコンクリート外壁を
   形成した原子炉格納容器において、上記コンクリートの
   打設時、上記ライナープレート背面の円周方向に沿って
   かつその背面に近接して延びると共に上記ライナーアン
   カーを包囲するようコ字状の覆い部が形成されたアンカ
   ー保護用フープ筋を上下方向に多段に設け、かつライナ
   ーアンカー間のアンカー保護用フープ筋の凹部に位置し
   て上下に延びると共に径方向外方に折り曲げられたＬ字
   状の補強筋を設けたことを特徴とする原子炉格納容器の
   外壁構造。