JPH0791586B2 - 磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法Info
- Publication number
- JPH0791586B2 JPH0791586B2 JP2100632A JP10063290A JPH0791586B2 JP H0791586 B2 JPH0791586 B2 JP H0791586B2 JP 2100632 A JP2100632 A JP 2100632A JP 10063290 A JP10063290 A JP 10063290A JP H0791586 B2 JPH0791586 B2 JP H0791586B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rolling
- hot
- hot rolling
- steel sheet
- annealing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
- Soft Magnetic Materials (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、トランス等の鉄心として使用される一方向性
電磁鋼板の製造方法に関する。
電磁鋼板の製造方法に関する。
一方向性電磁鋼板は、主にトランスその他の電気機器の
鉄心材料として使用されており、励磁特性、鉄損特性等
の磁気特性に優れていることが要求される。励磁特性を
表す数値としては、磁場の強さ800A/mにおける磁束密度
B8が通常使用される。また、鉄損特性を表す数値として
は、周波数50Hzで1.7テスラー(T)まで磁化したとき
の1kg当りの鉄損W17/50を使用いている。磁束密度は、
鉄損特性の最大支配因子であり、一般的にいって磁束密
度が高いほど鉄損特性が良好になる。なお、一般的に磁
束密度を高くすると二次再結晶粒が大きくなり、鉄損特
性が不良となる場合がある。これに対しては、磁区制御
により、二次再結晶粒の粒径に拘らず、鉄損特性を改善
することができる。
鉄心材料として使用されており、励磁特性、鉄損特性等
の磁気特性に優れていることが要求される。励磁特性を
表す数値としては、磁場の強さ800A/mにおける磁束密度
B8が通常使用される。また、鉄損特性を表す数値として
は、周波数50Hzで1.7テスラー(T)まで磁化したとき
の1kg当りの鉄損W17/50を使用いている。磁束密度は、
鉄損特性の最大支配因子であり、一般的にいって磁束密
度が高いほど鉄損特性が良好になる。なお、一般的に磁
束密度を高くすると二次再結晶粒が大きくなり、鉄損特
性が不良となる場合がある。これに対しては、磁区制御
により、二次再結晶粒の粒径に拘らず、鉄損特性を改善
することができる。
この一方向性電磁鋼板は、最終仕上焼鈍工程で二次再結
晶を起こさせ、鋼板面に{110},圧延方向に〈001〉軸
をもったいわゆるゴス組織を発達させることにより、製
造されている。良好な磁気特性を得るためには、磁化容
易軸である〈001〉を圧延方向に高度に揃えることが必
要である。二次再結晶粒の方向性は、MnS,AlN等をイン
ヒビターとして利用し、最終強圧下圧延を施す方法によ
って大幅に改善され、それに伴って鉄損特性も著しく向
上する。
晶を起こさせ、鋼板面に{110},圧延方向に〈001〉軸
をもったいわゆるゴス組織を発達させることにより、製
造されている。良好な磁気特性を得るためには、磁化容
易軸である〈001〉を圧延方向に高度に揃えることが必
要である。二次再結晶粒の方向性は、MnS,AlN等をイン
ヒビターとして利用し、最終強圧下圧延を施す方法によ
って大幅に改善され、それに伴って鉄損特性も著しく向
上する。
ところで、近年タービン発電機用鉄心材料等の用途に、
現用の高級無方向性電磁鋼板にかわって、方向性電磁鋼
板を用いたいというニーズが高まってきた。上記用途に
関していえば、他の無方向性電磁鋼板の用途と比較し
て、一方向の磁気特性が重要とされるため、方向性電磁
鋼板を用いたいというニーズが高まってきたわけであ
る。一方、方向性電磁鋼板の熱延後の製造の主工程は、
熱延板焼鈍−冷延−脱炭焼鈍−仕上焼鈍となっており、
無方向性電磁鋼板の熱延後の主工程である冷延−焼鈍と
比較して、複雑となっている。そのため、製造コストか
らして方向性電磁鋼板の方が無方向性電磁鋼板よりかな
り高いものとなる。更に、主として0.5mm厚等の厚手を
必要とする上記用途においては、例えば0.08wt%程度の
Cを含有する通常の方向性電磁鋼用スラブを素材として
用いると、脱炭焼鈍工程で磁気時効の生じないCレベル
(例えば0.003wt%以下)まで脱炭するのに要する時間
がかかりすぎるため、当然製造コストが高くなってしま
う。
現用の高級無方向性電磁鋼板にかわって、方向性電磁鋼
板を用いたいというニーズが高まってきた。上記用途に
関していえば、他の無方向性電磁鋼板の用途と比較し
て、一方向の磁気特性が重要とされるため、方向性電磁
鋼板を用いたいというニーズが高まってきたわけであ
る。一方、方向性電磁鋼板の熱延後の製造の主工程は、
熱延板焼鈍−冷延−脱炭焼鈍−仕上焼鈍となっており、
無方向性電磁鋼板の熱延後の主工程である冷延−焼鈍と
比較して、複雑となっている。そのため、製造コストか
らして方向性電磁鋼板の方が無方向性電磁鋼板よりかな
り高いものとなる。更に、主として0.5mm厚等の厚手を
必要とする上記用途においては、例えば0.08wt%程度の
Cを含有する通常の方向性電磁鋼用スラブを素材として
用いると、脱炭焼鈍工程で磁気時効の生じないCレベル
(例えば0.003wt%以下)まで脱炭するのに要する時間
がかかりすぎるため、当然製造コストが高くなってしま
う。
また、方向性電磁鋼板の製造においては通常熱延後組織
の不均一化、析出処理等を目的として熱延板焼鈍が行わ
れている。例えばAlNを主インヒビターとする製造方法
においては、特公昭46−23820号公報に示すように熱延
板焼鈍においてAlNの析出処理を行ってインヒビターを
制御する方法がとられている。
の不均一化、析出処理等を目的として熱延板焼鈍が行わ
れている。例えばAlNを主インヒビターとする製造方法
においては、特公昭46−23820号公報に示すように熱延
板焼鈍においてAlNの析出処理を行ってインヒビターを
制御する方法がとられている。
近年多量のエネルギー消費をするこのような方向性電磁
鋼板の製造工程に対する見直しが進められ、工程、エネ
ルギーの簡省略化の要請が強まってきた。このような要
請に応えるべく、AlNを主インヒビターとする製造方法
において、熱延板焼鈍でのAlNの析出処理を、熱延後の
高温巻取で代替する方法(特公昭59−45730号公報)が
提案された。確かにこの方法によって熱延板焼鈍を省略
しても磁気特性をある程度確保することはできるが、5
〜20トンのコイル状で巻取られる通常の方法において
は、冷却過程でコイル内での場所的な熱履歴の差が生
じ、必然的にAlNの析出が不均一となり、最終的な磁気
特性はコイル内の場所によって変動し、歩留が低下する
結果となる。
鋼板の製造工程に対する見直しが進められ、工程、エネ
ルギーの簡省略化の要請が強まってきた。このような要
請に応えるべく、AlNを主インヒビターとする製造方法
において、熱延板焼鈍でのAlNの析出処理を、熱延後の
高温巻取で代替する方法(特公昭59−45730号公報)が
提案された。確かにこの方法によって熱延板焼鈍を省略
しても磁気特性をある程度確保することはできるが、5
〜20トンのコイル状で巻取られる通常の方法において
は、冷却過程でコイル内での場所的な熱履歴の差が生
じ、必然的にAlNの析出が不均一となり、最終的な磁気
特性はコイル内の場所によって変動し、歩留が低下する
結果となる。
そこで本発明者らは、従来ほとんど注目されていなかっ
た仕上熱延最終パス後の再結晶現象に着目し、この現象
を利用して80%以上の強圧下1回冷延による製造法にお
いて熱延板焼鈍を省略することを検討した。
た仕上熱延最終パス後の再結晶現象に着目し、この現象
を利用して80%以上の強圧下1回冷延による製造法にお
いて熱延板焼鈍を省略することを検討した。
一方向性電磁鋼板の熱延に関しては、高温スラブ加熱
(例えば1300℃以上)時のスラブ結晶粒の粗大成長に起
因する二次再結晶不良(圧延方向に連なった線状細粒発
生)を防止するために、熱延時の960〜1190℃での温度
で1パス当り30%以上の圧下率で再結晶化高圧下圧延を
施し、粗大結晶粒を分断する方法が提案されている(特
公昭60−37172号公報)。確かにこの方法によって線状
細粒発生が減少するが、熱延板焼鈍を施す製造プロセス
を前提としている。
(例えば1300℃以上)時のスラブ結晶粒の粗大成長に起
因する二次再結晶不良(圧延方向に連なった線状細粒発
生)を防止するために、熱延時の960〜1190℃での温度
で1パス当り30%以上の圧下率で再結晶化高圧下圧延を
施し、粗大結晶粒を分断する方法が提案されている(特
公昭60−37172号公報)。確かにこの方法によって線状
細粒発生が減少するが、熱延板焼鈍を施す製造プロセス
を前提としている。
また、MnS,MnSe,Sbをインヒビターとする製造方法にお
いて、熱延時の950〜1200℃の温度で圧下率10%以上で
連続して熱延し、引き続き3℃/sec以上の冷却速度で冷
却することによってMnS,MnSeを均一微細に析出させ、磁
気特性を向上させる方法が提案されている(特開昭51−
20716号公報)。また、熱延を低温で行い、再結晶の進
行を抑制し、剪断変形で形成される{110}〈001〉方向
粒が引き続く再結晶で減少するのを防止することによっ
て磁気特性を向上させる方法が提案されている(特公昭
59−32526号公報、特公昭59−35415号公報)。これらの
方法においても、熱延板焼鈍無しの1回冷延法での製造
は検討さえされていない。また超低炭素を含有する珪素
鋼スラブの熱延において、熱延板で歪を蓄積させる低温
大圧下熱延を行い、引き続く熱延板焼鈍での再結晶によ
り超低炭素材特有の粗大結晶粒を分断する方法が提案さ
れている(特公昭59−34212号公報)。しかしこの方法
においても、熱延板焼鈍なしの1回冷延法での製造は検
討さえされていない。
いて、熱延時の950〜1200℃の温度で圧下率10%以上で
連続して熱延し、引き続き3℃/sec以上の冷却速度で冷
却することによってMnS,MnSeを均一微細に析出させ、磁
気特性を向上させる方法が提案されている(特開昭51−
20716号公報)。また、熱延を低温で行い、再結晶の進
行を抑制し、剪断変形で形成される{110}〈001〉方向
粒が引き続く再結晶で減少するのを防止することによっ
て磁気特性を向上させる方法が提案されている(特公昭
59−32526号公報、特公昭59−35415号公報)。これらの
方法においても、熱延板焼鈍無しの1回冷延法での製造
は検討さえされていない。また超低炭素を含有する珪素
鋼スラブの熱延において、熱延板で歪を蓄積させる低温
大圧下熱延を行い、引き続く熱延板焼鈍での再結晶によ
り超低炭素材特有の粗大結晶粒を分断する方法が提案さ
れている(特公昭59−34212号公報)。しかしこの方法
においても、熱延板焼鈍なしの1回冷延法での製造は検
討さえされていない。
そこで本発明者らは、従来ほとんど注目されていなかっ
た仕上熱延の最終パス後の再結晶現象に着目し、この現
象を利用して80%以上の強圧下1回冷延による製造法に
おいて熱延板焼鈍を省略して優れた磁気特性をもつ一方
向性電磁鋼板を得ることを目的として研究を行った。
た仕上熱延の最終パス後の再結晶現象に着目し、この現
象を利用して80%以上の強圧下1回冷延による製造法に
おいて熱延板焼鈍を省略して優れた磁気特性をもつ一方
向性電磁鋼板を得ることを目的として研究を行った。
本発明は、かかる目的を達成するために、重量でC:0.01
0〜0.060%、Si:2.5〜4.5%ならびに通常のインヒビタ
ー成分を含み、残余はFeおよび不可避的不純物よりなる
珪素鋼スラブを熱延し、熱延板焼鈍をすることなく、引
き続き圧下率80%以上の冷延、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍
を施して0.4〜1.0mm厚の厚手一方向性電磁鋼板を製造す
る方法において、仕上熱延の最終3パスの累積圧下率を
50%以上とし、熱延終了温度を750〜1150℃とし、熱延
終了後少くとも1秒以上、700℃以上の温度に保持し、
巻取温度を700℃未満とすることを特徴とする磁気特性
の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法を提供
するものである。
0〜0.060%、Si:2.5〜4.5%ならびに通常のインヒビタ
ー成分を含み、残余はFeおよび不可避的不純物よりなる
珪素鋼スラブを熱延し、熱延板焼鈍をすることなく、引
き続き圧下率80%以上の冷延、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍
を施して0.4〜1.0mm厚の厚手一方向性電磁鋼板を製造す
る方法において、仕上熱延の最終3パスの累積圧下率を
50%以上とし、熱延終了温度を750〜1150℃とし、熱延
終了後少くとも1秒以上、700℃以上の温度に保持し、
巻取温度を700℃未満とすることを特徴とする磁気特性
の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法を提供
するものである。
更にこの特徴に加えて、仕上熱延の最終パスの圧下率を
20%以上にすることによって、一層磁気特性の優れた一
方向性電磁鋼板が得られるようにしたものである。
20%以上にすることによって、一層磁気特性の優れた一
方向性電磁鋼板が得られるようにしたものである。
本発明が対象としている一方向性電磁鋼板は、従来用い
られている製鋼法で得られた溶鋼を連続鋳造法或いは造
塊法で鋳造し、必要に応じて分塊工程を挟んでスラブと
し、引き続き熱間圧延して熱延板とし、次いで熱延板焼
鈍を施すことなく圧下率80%以上の冷延、脱炭焼鈍、最
終仕上焼鈍を順次行うことによって製造される。
られている製鋼法で得られた溶鋼を連続鋳造法或いは造
塊法で鋳造し、必要に応じて分塊工程を挟んでスラブと
し、引き続き熱間圧延して熱延板とし、次いで熱延板焼
鈍を施すことなく圧下率80%以上の冷延、脱炭焼鈍、最
終仕上焼鈍を順次行うことによって製造される。
本発明者らは、仕上熱延の最終パス後の再結晶現象に注
目して、種々の観点から広範囲にわたって研究したとこ
ろ、この現象と磁気特性が密接に関係していることを確
かめた。以下、実験結果を基に詳細に説明する。
目して、種々の観点から広範囲にわたって研究したとこ
ろ、この現象と磁気特性が密接に関係していることを確
かめた。以下、実験結果を基に詳細に説明する。
第1図は熱延終了温度及び熱延終了後700℃以上に鋼板
が保持された時間が製品の磁束密度に与える影響を表し
たグラフである。ここでは、C:0.034重量%、Si:3.23重
量%、酸可溶性Al:0.027重量%、N:0.0079重量%、S:0.
006重量%、Mn:0.14重量%を含有し、残部Fe及び不可避
的不純物からなる20〜80mm厚のスラブを1150〜1400℃に
加熱し、6パスで3.4mm厚の熱延板に熱延し、ただちに
水冷、一定時間空冷後に水冷、空冷等の種々の冷却を行
い、550℃で冷却を終了し550℃に1時間保持した後炉冷
する巻取シミュレーションを行った。次いで、熱延板焼
鈍を施すことなく約85%最終強圧下圧延を行って最終板
厚0.5mmの冷延板とし、830〜1000℃の温度で脱炭焼鈍を
行い、引き続きMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し
て最終仕上焼鈍を行った。
が保持された時間が製品の磁束密度に与える影響を表し
たグラフである。ここでは、C:0.034重量%、Si:3.23重
量%、酸可溶性Al:0.027重量%、N:0.0079重量%、S:0.
006重量%、Mn:0.14重量%を含有し、残部Fe及び不可避
的不純物からなる20〜80mm厚のスラブを1150〜1400℃に
加熱し、6パスで3.4mm厚の熱延板に熱延し、ただちに
水冷、一定時間空冷後に水冷、空冷等の種々の冷却を行
い、550℃で冷却を終了し550℃に1時間保持した後炉冷
する巻取シミュレーションを行った。次いで、熱延板焼
鈍を施すことなく約85%最終強圧下圧延を行って最終板
厚0.5mmの冷延板とし、830〜1000℃の温度で脱炭焼鈍を
行い、引き続きMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し
て最終仕上焼鈍を行った。
第1図から明らかなように熱延終了温度750〜1150℃
で、かつ熱延終了後、少くとも1秒以上、700℃以上に
鋼板を保持する場合にB8≧1.88Tの高い磁束密度が得ら
れている。また本発明者らはこの新知見をさらに詳細に
検討した。
で、かつ熱延終了後、少くとも1秒以上、700℃以上に
鋼板を保持する場合にB8≧1.88Tの高い磁束密度が得ら
れている。また本発明者らはこの新知見をさらに詳細に
検討した。
第2図は第1図で磁束密度が良好であった熱延終了温度
750〜1150℃で、かつ熱延終了後、少くとも1秒以上、7
00℃以上に鋼板を保持した場合における仕上熱延の最終
3パスの累積圧下率と磁束密度との関係を表したグラフ
である。
750〜1150℃で、かつ熱延終了後、少くとも1秒以上、7
00℃以上に鋼板を保持した場合における仕上熱延の最終
3パスの累積圧下率と磁束密度との関係を表したグラフ
である。
第2図から明らかなように仕上熱延の最終3パスの累積
圧下率が50%以上の場合にB8≧1.90Tの高い磁束密度が
得られている。また本発明者らはこの新知見をさらに詳
細に検討した。
圧下率が50%以上の場合にB8≧1.90Tの高い磁束密度が
得られている。また本発明者らはこの新知見をさらに詳
細に検討した。
第3図は第2図で磁束密度が良好であった熱延終了温度
750〜1150℃で、かつ熱延終了後、少くとも1秒以上、7
00℃以上に鋼板を保持し、かつ仕上熱延の最終3パスの
累積圧下率が50%以上の場合における仕上熱延の最終パ
スの圧下率と磁束密度との関係を表したグラフである。
750〜1150℃で、かつ熱延終了後、少くとも1秒以上、7
00℃以上に鋼板を保持し、かつ仕上熱延の最終3パスの
累積圧下率が50%以上の場合における仕上熱延の最終パ
スの圧下率と磁束密度との関係を表したグラフである。
第3図から明らかなように仕上熱延の最終パスの圧下率
が20%以上の場合にB8≧1.92Tの高い磁束密度が得られ
ている。
が20%以上の場合にB8≧1.92Tの高い磁束密度が得られ
ている。
熱延終了温度、熱延後700℃以上に鋼板を保持する時
間、仕上熱延の最終3パスの累積圧下率、仕上熱延の最
終パスの圧下率と製品の磁束密度との間に第1図、第2
図及び第3図に示した関係が成立する理由については必
ずしも明らかではないが、本発明者らは次のように推察
している。
間、仕上熱延の最終3パスの累積圧下率、仕上熱延の最
終パスの圧下率と製品の磁束密度との間に第1図、第2
図及び第3図に示した関係が成立する理由については必
ずしも明らかではないが、本発明者らは次のように推察
している。
従来から{110}〈001〉二次再結晶粒の母体は熱延時表
面層での剪断変形で形成されると考えられており、熱延
板での{110}〈001〉方位粒を冷延再結晶後に富化する
ためには、熱延板での{110}〈001〉方位粒を粗粒で、
かつ歪の少ない状態にすることが有効と考えられてい
る。他方、通常行われる熱延板焼鈍の役割は、AlN等の
析出処理、冷却時の変態相の形成、冷却時の固溶C、固
溶N、微細炭窒化物の生成等が考えられるが、これらの
役割に加えて、再結晶による歪の低下も熱延板焼鈍の重
要な役割と考えられる。
面層での剪断変形で形成されると考えられており、熱延
板での{110}〈001〉方位粒を冷延再結晶後に富化する
ためには、熱延板での{110}〈001〉方位粒を粗粒で、
かつ歪の少ない状態にすることが有効と考えられてい
る。他方、通常行われる熱延板焼鈍の役割は、AlN等の
析出処理、冷却時の変態相の形成、冷却時の固溶C、固
溶N、微細炭窒化物の生成等が考えられるが、これらの
役割に加えて、再結晶による歪の低下も熱延板焼鈍の重
要な役割と考えられる。
そこで本発明者らは、熱間加工シミュレーターを用い
て、熱間加工再結晶挙動を詳細に検討した。第4図は、
熱間加工後の再結晶挙動を示すグラフである。この場
合、重量でC:0.040%、Si:3.27%、Mn:0.14%、S:0.007
%、酸可溶性Al:0.027%、N:0.0076%を含有する粗圧延
材より試料を切り出し、1150℃×10分の加熱後、各温度
で75%の1パス圧下を加え、加工した温度で所定の時間
保持した後水焼入れした。しかる後、本発明者らが開発
したECP(Electron channelling pattern)を画像解析
して結晶歪を測定する方法(日本金属学会秋期講演大会
概要集(1988.11)P289)を用いて再結晶率を測定し
た。ここでは、標準試料の焼鈍板に1.5%の圧下率の冷
延を施した場合のECPの鮮明度より高い値を示す粒の面
積率(低歪粒の面積率)を再結晶率と呼んでいる。この
方法は従来の金属組織を目視判定して再結晶率を測定す
る方法と比較して格段に精度がよい。第4図からわかる
ように、1000〜1050℃の温度範囲で最も再結晶の進行が
速いことがわかる。
て、熱間加工再結晶挙動を詳細に検討した。第4図は、
熱間加工後の再結晶挙動を示すグラフである。この場
合、重量でC:0.040%、Si:3.27%、Mn:0.14%、S:0.007
%、酸可溶性Al:0.027%、N:0.0076%を含有する粗圧延
材より試料を切り出し、1150℃×10分の加熱後、各温度
で75%の1パス圧下を加え、加工した温度で所定の時間
保持した後水焼入れした。しかる後、本発明者らが開発
したECP(Electron channelling pattern)を画像解析
して結晶歪を測定する方法(日本金属学会秋期講演大会
概要集(1988.11)P289)を用いて再結晶率を測定し
た。ここでは、標準試料の焼鈍板に1.5%の圧下率の冷
延を施した場合のECPの鮮明度より高い値を示す粒の面
積率(低歪粒の面積率)を再結晶率と呼んでいる。この
方法は従来の金属組織を目視判定して再結晶率を測定す
る方法と比較して格段に精度がよい。第4図からわかる
ように、1000〜1050℃の温度範囲で最も再結晶の進行が
速いことがわかる。
また、同一素材の試料を用いて、同一条件の加熱を行
い、10〜90%の圧下率で1000℃で圧下し、1000℃の温度
に10秒間保持した後水焼入れした。しかる後上記と同一
の方法で再結晶粒を判定し、その再結粒の粒径(円相当
直径)を画像解析機を用いて測定した。圧下率と粒径の
関係を第5図に示す。第5図からわかるように、圧下率
が大きいほど粒径が小さくなる。
い、10〜90%の圧下率で1000℃で圧下し、1000℃の温度
に10秒間保持した後水焼入れした。しかる後上記と同一
の方法で再結晶粒を判定し、その再結粒の粒径(円相当
直径)を画像解析機を用いて測定した。圧下率と粒径の
関係を第5図に示す。第5図からわかるように、圧下率
が大きいほど粒径が小さくなる。
本発明の条件である、仕上熱延の最終3パスの累積圧下
率を50%以上とし、熱延終了温度を750〜1150℃とし、
少くとも熱延後1秒以上、700℃以上に保持すること、
さらに加えて、最終パスの圧下率を20%以上とすること
は、第4図、第5図からわかるように、いずれも仕上熱
延の最終パス後に再結晶を容易ならしめ、再結晶粒径を
微細とする要件となっていると考えられる。
率を50%以上とし、熱延終了温度を750〜1150℃とし、
少くとも熱延後1秒以上、700℃以上に保持すること、
さらに加えて、最終パスの圧下率を20%以上とすること
は、第4図、第5図からわかるように、いずれも仕上熱
延の最終パス後に再結晶を容易ならしめ、再結晶粒径を
微細とする要件となっていると考えられる。
従って、本発明の場合、熱延板の結晶粒径は小さいが歪
が少ない状態となり、{110}〈001〉方位粒を冷延再結
晶後に富化する点では、粒径の点で不利であるが、歪の
点で有利であり、結果的には、脱炭焼鈍後の状態で{11
0}〈001〉方位粒に大きな影響を与えないと考えられ
る。
が少ない状態となり、{110}〈001〉方位粒を冷延再結
晶後に富化する点では、粒径の点で不利であるが、歪の
点で有利であり、結果的には、脱炭焼鈍後の状態で{11
0}〈001〉方位粒に大きな影響を与えないと考えられ
る。
他方脱炭板の主方位である{111}〈112〉,{100}〈0
25〉は{110}〈001〉二次再結晶粒の粒成長に影響を与
える方位として知られており、{111}〈112〉が多いほ
ど{100}〈025〉が少ないほど{110}〈001〉二次再結
晶粒の粒成長が容易となると考えられる。本発明におい
ては、最終パス後に引き続く再結晶において、再結晶が
進みやすく、結晶粒も微細化されやすくなる。この本発
明の熱延板を引き続き冷延再結晶させると冷延前の粒径
が小さいがために粒界近傍から{111}〈112〉が多く核
生し、粒内から核生する{100}〈025〉が相対的に減少
する。
25〉は{110}〈001〉二次再結晶粒の粒成長に影響を与
える方位として知られており、{111}〈112〉が多いほ
ど{100}〈025〉が少ないほど{110}〈001〉二次再結
晶粒の粒成長が容易となると考えられる。本発明におい
ては、最終パス後に引き続く再結晶において、再結晶が
進みやすく、結晶粒も微細化されやすくなる。この本発
明の熱延板を引き続き冷延再結晶させると冷延前の粒径
が小さいがために粒界近傍から{111}〈112〉が多く核
生し、粒内から核生する{100}〈025〉が相対的に減少
する。
従って、本発明においては熱延最終パス後に引き続く再
結晶によって熱延板が低歪で、かつ結晶粒径が小さい状
態となったがために、脱炭板の状態で{110}〈001〉方
位粒に影響を与えることなく、{110}〈001〉方位粒の
粒成長に有利な{111}〈112〉方位粒を増加させ、{11
0}〈001〉方位粒の粒成長を妨げる{100}〈025〉方位
粒を減少させることに成功した。これにより熱延板焼鈍
を省略しても良好な磁気特性を得ることが可能となるも
のと考えられる。
結晶によって熱延板が低歪で、かつ結晶粒径が小さい状
態となったがために、脱炭板の状態で{110}〈001〉方
位粒に影響を与えることなく、{110}〈001〉方位粒の
粒成長に有利な{111}〈112〉方位粒を増加させ、{11
0}〈001〉方位粒の粒成長を妨げる{100}〈025〉方位
粒を減少させることに成功した。これにより熱延板焼鈍
を省略しても良好な磁気特性を得ることが可能となるも
のと考えられる。
次いで、本発明の各要件について説明する。
本発明で使用されるスラブは重量でC:0.010〜0.060%、
Si:2.5〜4.5%ならびに通常のインヒビター成分を含み
残余はFeおよび不可避的不純物よりなる。
Si:2.5〜4.5%ならびに通常のインヒビター成分を含み
残余はFeおよび不可避的不純物よりなる。
次に上記成分の限定理由について述べる。Cは0.010%
未満になると二次再結晶が不安定となり、二次再結晶し
た場合でもB8≧1.80(T)が得がたいので、0.010%以
上とした。また、0.060%を超えると板厚が0.4〜1.0と
厚いために脱炭不良が発生して好ましくない。また、Si
については4.5%を超えると冷延が困難となり好ましく
なく、2.5%未満では良好な磁気特性を得ることが困難
となり好ましくない。また、インヒビター構成元素とし
て、必要に応じてAl,N,Mn,S,Se,Sb,B,Cu,Bi,Nb,Cr,Sn,T
i等を添加することもできる。
未満になると二次再結晶が不安定となり、二次再結晶し
た場合でもB8≧1.80(T)が得がたいので、0.010%以
上とした。また、0.060%を超えると板厚が0.4〜1.0と
厚いために脱炭不良が発生して好ましくない。また、Si
については4.5%を超えると冷延が困難となり好ましく
なく、2.5%未満では良好な磁気特性を得ることが困難
となり好ましくない。また、インヒビター構成元素とし
て、必要に応じてAl,N,Mn,S,Se,Sb,B,Cu,Bi,Nb,Cr,Sn,T
i等を添加することもできる。
このスラブの加熱温度は、特に限定されるものではない
が、コストの面から1300℃以下とすることが好ましい。
が、コストの面から1300℃以下とすることが好ましい。
加熱されたスラブは引き続き熱延されて熱延板となる。
本発明の特徴はこの熱延工程にある。つまり、仕上熱延
の最終3パスの累積圧下率を50%以上とし、熱延終了温
度を750〜1150℃とし、熱延終了後少くとも1秒以上、7
00℃以上の温度に保持し、巻取温度を700℃未満とする
ことが良好な磁気特性を得る上で必要である。また、さ
らに加えて、仕上熱延の最終パスの圧下率を20%以上に
することは、良好な磁気特性を得る上で一層好ましい。
本発明の特徴はこの熱延工程にある。つまり、仕上熱延
の最終3パスの累積圧下率を50%以上とし、熱延終了温
度を750〜1150℃とし、熱延終了後少くとも1秒以上、7
00℃以上の温度に保持し、巻取温度を700℃未満とする
ことが良好な磁気特性を得る上で必要である。また、さ
らに加えて、仕上熱延の最終パスの圧下率を20%以上に
することは、良好な磁気特性を得る上で一層好ましい。
熱延工程は通常100〜400mm厚のスラブを加熱した後、い
づれも複数回のパスで行う粗圧延と仕上圧延より成る。
粗圧延の方法については特に限定するものではなく通常
の方法で行われる。本発明の特徴と粗圧延に引き続く仕
上圧延にある。仕上圧延は通常4〜10パスの高速連続圧
延で行われる。通常仕上圧延の圧下配分は前段が圧下率
が高く、後段に行くほど圧下率を下げて形状を良好なも
のとしている。圧延速度と通常100〜300m/minとなって
おり、パス間の時間は0.01〜100秒となっている。本発
明で限定しているのは、熱延終了温度と熱延後の冷却と
巻取温度と最終3パスの累積圧下率であり、さらに好ま
しくは最終パスの圧下率だけであり、その他の条件は特
に限定するものではないが、最終3パスのパス間時間を
1000秒以上と異常に長くとるとパス間の回復、再結晶で
歪が開放され、蓄積歪の効果が得られにくくなるので好
ましくない。その他仕上熱延前段の数パスでの圧下率に
ついては、最終パスまで加えた歪が残っていることが期
待しにくいので特に限定せず、最終3パスだけを重視す
れば十分である。
づれも複数回のパスで行う粗圧延と仕上圧延より成る。
粗圧延の方法については特に限定するものではなく通常
の方法で行われる。本発明の特徴と粗圧延に引き続く仕
上圧延にある。仕上圧延は通常4〜10パスの高速連続圧
延で行われる。通常仕上圧延の圧下配分は前段が圧下率
が高く、後段に行くほど圧下率を下げて形状を良好なも
のとしている。圧延速度と通常100〜300m/minとなって
おり、パス間の時間は0.01〜100秒となっている。本発
明で限定しているのは、熱延終了温度と熱延後の冷却と
巻取温度と最終3パスの累積圧下率であり、さらに好ま
しくは最終パスの圧下率だけであり、その他の条件は特
に限定するものではないが、最終3パスのパス間時間を
1000秒以上と異常に長くとるとパス間の回復、再結晶で
歪が開放され、蓄積歪の効果が得られにくくなるので好
ましくない。その他仕上熱延前段の数パスでの圧下率に
ついては、最終パスまで加えた歪が残っていることが期
待しにくいので特に限定せず、最終3パスだけを重視す
れば十分である。
次いで上記熱延条件の限定理由について述べる。熱延終
了温度を750〜1150℃とし、熱延条件後少くとも1秒以
上、700℃以上の温度に保持すると規定したのは、第1
図から明らかなように、この範囲でB8≧1.88(T)の高
い磁束密度B8をもつ製品が得られるためである。なお、
熱延終了後、鋼板が700℃以上に保持される時間の上限
値については特に限定するものではないが、通常、熱延
終了後巻取られるまでの時間が0.1〜1000秒程度であ
り、1000秒以上鋼板をストリップ状で700℃以上に保持
することは設備の点で困難である。
了温度を750〜1150℃とし、熱延条件後少くとも1秒以
上、700℃以上の温度に保持すると規定したのは、第1
図から明らかなように、この範囲でB8≧1.88(T)の高
い磁束密度B8をもつ製品が得られるためである。なお、
熱延終了後、鋼板が700℃以上に保持される時間の上限
値については特に限定するものではないが、通常、熱延
終了後巻取られるまでの時間が0.1〜1000秒程度であ
り、1000秒以上鋼板をストリップ状で700℃以上に保持
することは設備の点で困難である。
熱延後の巻取温度については、700℃以上となると冷却
時のコイル内の熱履歴の差に起因して、コイル内にAlN
等の析出状態のバラツキ、表面脱炭状態のバラツキ、金
属組織のバラツキ等が生じ、製品の磁気特性にバラツキ
が生じて好ましくないので、700℃未満としなければな
らない。
時のコイル内の熱履歴の差に起因して、コイル内にAlN
等の析出状態のバラツキ、表面脱炭状態のバラツキ、金
属組織のバラツキ等が生じ、製品の磁気特性にバラツキ
が生じて好ましくないので、700℃未満としなければな
らない。
上記の条件とともに、本発明では仕上熱延の最終3パス
の累積圧下率を50%以上と限定する。これは、第2図よ
り明らかなように、この範囲でB8≧1.90(T)の良好な
磁束密度B8をもつ製品が得られるためである。なお最終
3パスの累積圧下率の上限については特に限定するもの
ではないが工業的には99.9%以上の累積圧下を加えるこ
とは困難である。
の累積圧下率を50%以上と限定する。これは、第2図よ
り明らかなように、この範囲でB8≧1.90(T)の良好な
磁束密度B8をもつ製品が得られるためである。なお最終
3パスの累積圧下率の上限については特に限定するもの
ではないが工業的には99.9%以上の累積圧下を加えるこ
とは困難である。
また、さらに好ましくは最終パスの圧下率を20%以上と
したのは、第3図から明らかなように、この範囲におい
てB8≧1.92(T)の一層良好な磁束密度B8をもつ製品が
得られるためである。なお最終パスの圧下率の上限は特
に限定するものではないが、工業的には90%以上の圧下
を加えることは困難である。
したのは、第3図から明らかなように、この範囲におい
てB8≧1.92(T)の一層良好な磁束密度B8をもつ製品が
得られるためである。なお最終パスの圧下率の上限は特
に限定するものではないが、工業的には90%以上の圧下
を加えることは困難である。
この熱延板は熱延板焼鈍を施すことなく80%以上の圧下
率で冷延される。圧下率を80%以上としたのは、圧下率
を上記範囲とすることによって、脱炭板において尖鋭な
{110}〈001〉方位粒と、これに蚕食され易い対応方位
粒({111}〈112〉方位粒等)を適正量得ることがで
き、磁束密度を高める上で好ましいためである。
率で冷延される。圧下率を80%以上としたのは、圧下率
を上記範囲とすることによって、脱炭板において尖鋭な
{110}〈001〉方位粒と、これに蚕食され易い対応方位
粒({111}〈112〉方位粒等)を適正量得ることがで
き、磁束密度を高める上で好ましいためである。
冷延板の板厚を0.4〜1.0mmと規定したのは、厚手一方向
性電磁鋼板を得る本発明の目的のためである。また、1.
0mm超では、脱炭焼鈍に時間がかかりすぎて好ましくな
い。
性電磁鋼板を得る本発明の目的のためである。また、1.
0mm超では、脱炭焼鈍に時間がかかりすぎて好ましくな
い。
冷延後鋼板は通常の方法で脱炭焼鈍、焼鈍分離剤塗布、
仕上焼鈍を施されて最終製品となる。なお脱炭焼鈍後の
状態で二次再結晶に必要なインヒビター強度が不足して
いる場合には、仕上焼鈍等においてインヒビターを強化
する処理が必要となる。インヒビター強化法の一例とし
ては、Alを含有する鋼において仕上焼鈍雰囲気ガスの窒
素分圧を高めに設定する方法が知られている。
仕上焼鈍を施されて最終製品となる。なお脱炭焼鈍後の
状態で二次再結晶に必要なインヒビター強度が不足して
いる場合には、仕上焼鈍等においてインヒビターを強化
する処理が必要となる。インヒビター強化法の一例とし
ては、Alを含有する鋼において仕上焼鈍雰囲気ガスの窒
素分圧を高めに設定する方法が知られている。
以下実施例を説明する。
−実施例1− C:0.045重量%、Si:3.23重量%、Mn:0.15重量%、S:0.0
07重量%、酸可溶性Al:0.028重量%、N:0.0080重量%を
含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる40mm厚のス
ラブを1150℃の温度で加熱した後、6パスで熱延して2.
3mmの熱延板とした。この時圧下配分を40→21→14→10
→7.3→4.1→3.4(mm)とし、熱延開始温度を1000
℃、900℃、800℃、700℃の4条件とした。熱延
終了後4秒空冷した後に100℃/秒の冷速で550℃まで水
冷し、550℃に1時間保持した後炉冷する巻取りシミュ
レーションを施した。
07重量%、酸可溶性Al:0.028重量%、N:0.0080重量%を
含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる40mm厚のス
ラブを1150℃の温度で加熱した後、6パスで熱延して2.
3mmの熱延板とした。この時圧下配分を40→21→14→10
→7.3→4.1→3.4(mm)とし、熱延開始温度を1000
℃、900℃、800℃、700℃の4条件とした。熱延
終了後4秒空冷した後に100℃/秒の冷速で550℃まで水
冷し、550℃に1時間保持した後炉冷する巻取りシミュ
レーションを施した。
この熱延板を酸洗して圧下率約85%で厚さ0.5mmの冷延
板とし、830℃で250秒保持する脱炭焼鈍を施した。得ら
れた脱炭焼鈍板に、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗
布し、N225%,H275%の雰囲気ガス中で10℃/時の速度
で1200℃まで昇温し、引き続きH2100%雰囲気ガス中で2
0時間保持する最終仕上焼鈍を行った。
板とし、830℃で250秒保持する脱炭焼鈍を施した。得ら
れた脱炭焼鈍板に、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗
布し、N225%,H275%の雰囲気ガス中で10℃/時の速度
で1200℃まで昇温し、引き続きH2100%雰囲気ガス中で2
0時間保持する最終仕上焼鈍を行った。
熱延条件と製品の磁気特性を第1表に示す。
−実施例2− C:0.030重量%、Si:3.20重量%、Mn:0.14重量%、S:0.0
06重量%、酸可溶性Al:0.028重量%、N:0.0080重量%を
含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる70mm厚のス
ラブを1150℃の温度で加熱した後1000℃で熱延を開始
し、圧下配分を70→45→30→15→7.5→4.5→3(mm)と
し、熱延終了後2秒空冷後、100℃/秒で550℃まで水
冷し、550℃で1時間保持した後炉冷、2秒空冷後、5
0℃/秒で750℃まで水冷し、750℃で1時間保持した後
炉冷、なる2条件で冷却した。この熱延板を熱延板焼鈍
を施すことなく酸洗し、引き続く最終仕上焼鈍までの工
程条件は実施例1と同じ条件で行った。
06重量%、酸可溶性Al:0.028重量%、N:0.0080重量%を
含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる70mm厚のス
ラブを1150℃の温度で加熱した後1000℃で熱延を開始
し、圧下配分を70→45→30→15→7.5→4.5→3(mm)と
し、熱延終了後2秒空冷後、100℃/秒で550℃まで水
冷し、550℃で1時間保持した後炉冷、2秒空冷後、5
0℃/秒で750℃まで水冷し、750℃で1時間保持した後
炉冷、なる2条件で冷却した。この熱延板を熱延板焼鈍
を施すことなく酸洗し、引き続く最終仕上焼鈍までの工
程条件は実施例1と同じ条件で行った。
熱延条件と製品の磁気特性を第2表に示す。
−実施例3− C:0.018重量%、Si:3.00重量%、Mn:0.15重量%、S:0.0
06重量%、酸可溶性Al:0.030重量%、N:0.0081重量%を
含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる60mm厚のス
ラブを1150℃の温度で加熱した後、5パスで熱延して3.
8mmの熱延板とした。この時圧下配分を60→35→22.7→1
3.6→6.8→3.8(mm)とし、熱延開始温度を1150℃、
1100℃、750℃の3条件とした。熱延終了後は実施
例2と同じ条件で冷却した。この熱延板を酸洗して圧下
率約87%で0.5mmの冷延板とし、830℃で200秒保持し、
引き続き850℃に20秒保持する脱炭焼鈍を施した。次い
で、この脱炭板に、750℃×30秒の熱処理を施し、この
時NH3ガスを雰囲気ガスに混合させ、鋼板に窒素吸収を
生ぜしめた。しかる後、鋼板にMgOの主成分とする焼鈍
分離剤を塗布し、N225%、H275%の雰囲気ガス中で15℃
/時の速度で900℃まで昇温し、引き続きN275%、H225
%の雰囲気ガス中で15℃/時の速度で1200℃まで昇温
し、引き続きH2100%の雰囲気ガス中で1200℃で20時間
保持する最終仕上焼鈍を行った。
06重量%、酸可溶性Al:0.030重量%、N:0.0081重量%を
含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる60mm厚のス
ラブを1150℃の温度で加熱した後、5パスで熱延して3.
8mmの熱延板とした。この時圧下配分を60→35→22.7→1
3.6→6.8→3.8(mm)とし、熱延開始温度を1150℃、
1100℃、750℃の3条件とした。熱延終了後は実施
例2と同じ条件で冷却した。この熱延板を酸洗して圧下
率約87%で0.5mmの冷延板とし、830℃で200秒保持し、
引き続き850℃に20秒保持する脱炭焼鈍を施した。次い
で、この脱炭板に、750℃×30秒の熱処理を施し、この
時NH3ガスを雰囲気ガスに混合させ、鋼板に窒素吸収を
生ぜしめた。しかる後、鋼板にMgOの主成分とする焼鈍
分離剤を塗布し、N225%、H275%の雰囲気ガス中で15℃
/時の速度で900℃まで昇温し、引き続きN275%、H225
%の雰囲気ガス中で15℃/時の速度で1200℃まで昇温
し、引き続きH2100%の雰囲気ガス中で1200℃で20時間
保持する最終仕上焼鈍を行った。
熱延条件と製品の磁気特性を第3表に示す。
〔発明の効果〕 以上説明したように本発明においては、熱延最終3パス
の累積圧下率、熱延終了温度と熱延終了後鋼板を700℃
以上に保持する時間及び熱延後の巻取温度、またさらに
好ましくは、熱延の最終パスの圧下率を制御することに
より、熱延板焼鈍を施すことなく、1回冷延法で良好な
磁気特性を有する厚手一方向性電磁鋼板を製造すること
ができるので、その工業的効果は極めて大である。
の累積圧下率、熱延終了温度と熱延終了後鋼板を700℃
以上に保持する時間及び熱延後の巻取温度、またさらに
好ましくは、熱延の最終パスの圧下率を制御することに
より、熱延板焼鈍を施すことなく、1回冷延法で良好な
磁気特性を有する厚手一方向性電磁鋼板を製造すること
ができるので、その工業的効果は極めて大である。
【図面の簡単な説明】 第1図は熱延終了温度及び熱延終了後700℃以上に鋼板
が保持された時間と製品の磁束密度との関係を表したグ
ラフであり、第2図は仕上熱延の最終3パスの累積圧下
率と磁束密度との関係を表したグラフであり、第3図は
仕上熱延の最終パスの圧下率と磁束密度との関係を表し
たグラフであり、第4図は熱間加工再結晶挙動を示すグ
ラフであり、第5図は再結晶粒径に対する圧下率の影響
を示すグラフである。
が保持された時間と製品の磁束密度との関係を表したグ
ラフであり、第2図は仕上熱延の最終3パスの累積圧下
率と磁束密度との関係を表したグラフであり、第3図は
仕上熱延の最終パスの圧下率と磁束密度との関係を表し
たグラフであり、第4図は熱間加工再結晶挙動を示すグ
ラフであり、第5図は再結晶粒径に対する圧下率の影響
を示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 高橋 延幸 福岡県北九州市八幡東区枝光1―1―1 新日本製鐵株式會社第3技術研究所内 (56)参考文献 特公 昭58−35245(JP,B2)
Claims (2)
- 【請求項1】重量でC:0.010〜0.060%、Si:2.5〜4.5%
ならびに通常のインヒビター成分を含み、残余はFeおよ
び不可避的不純物よりなる珪素鋼スラブを熱延し、熱延
板焼鈍をすることなく、引き続き圧下率80%以上の冷
延、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施して0.4〜1.0mm厚の厚
手一方向性電磁鋼板を製造する方法において、仕上熱延
の最終3パスの累積圧下率を50%以上とし、熱延終了温
度を750〜1150℃とし、熱延終了後少くとも1秒以上、7
00℃以上の温度に保持し、巻取温度を700℃未満とする
ことを特徴とする磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性
電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項2】仕上熱延の最終パスの圧下率が20%以上で
あることを特徴とする請求項1記載の磁気特性の優れた
厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2100632A JPH0791586B2 (ja) | 1990-04-17 | 1990-04-17 | 磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2100632A JPH0791586B2 (ja) | 1990-04-17 | 1990-04-17 | 磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04323A JPH04323A (ja) | 1992-01-06 |
JPH0791586B2 true JPH0791586B2 (ja) | 1995-10-04 |
Family
ID=14279211
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2100632A Expired - Lifetime JPH0791586B2 (ja) | 1990-04-17 | 1990-04-17 | 磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0791586B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103695619B (zh) * | 2012-09-27 | 2016-02-24 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种高磁感普通取向硅钢的制造方法 |
CN103834856B (zh) * | 2012-11-26 | 2016-06-29 | 宝山钢铁股份有限公司 | 取向硅钢及其制造方法 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5835245B2 (ja) * | 1976-10-19 | 1983-08-01 | 川崎製鉄株式会社 | 磁束密度の高い一方向性珪素鋼板の製造方法 |
JPS5835245A (ja) * | 1981-08-25 | 1983-03-01 | Toyota Motor Corp | エンジン自動停止始動装置 |
JPS6037172A (ja) * | 1983-08-08 | 1985-02-26 | Nec Corp | 電界効果トランジスタの製造方法 |
JPS6473023A (en) * | 1987-09-16 | 1989-03-17 | Nippon Steel Corp | Production of grain oriented electrical steel sheet having excellent iron loss |
-
1990
- 1990-04-17 JP JP2100632A patent/JPH0791586B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04323A (ja) | 1992-01-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPS6250529B2 (ja) | ||
JPH0832929B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH0730397B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3531996B2 (ja) | 一方向性電磁鋼帯の製造方法 | |
JP2607331B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2787776B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2784687B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH0791586B2 (ja) | 磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH0757888B2 (ja) | 磁束密度の高い無方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3359385B2 (ja) | 一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2521585B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH0794689B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH08269553A (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2784661B2 (ja) | 高磁束密度薄手一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3311021B2 (ja) | 鉄損の低い高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2521586B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH0742504B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH07118746A (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 | |
JPH0788531B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH0742506B2 (ja) | 磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2002129236A (ja) | 一方向性電磁鋼板の安定製造方法 | |
JP2948454B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 | |
JP2948455B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 | |
JP2562254B2 (ja) | 薄手高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH04362133A (ja) | 磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071004 Year of fee payment: 12 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081004 Year of fee payment: 13 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091004 Year of fee payment: 14 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101004 Year of fee payment: 15 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term | ||
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101004 Year of fee payment: 15 |