JP2948455B2 - 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 - Google Patents
磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法Info
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Description
て使用される磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造
方法に関する。
他の電気機器の鉄心材料として使用されており、励磁特
性、鉄損特性等の磁気特性に優れていることが要求され
る。励磁特性を表わす数値としては、通常磁場の強さ8
00A/m における磁束密度B8が使用される。また、鉄
損特性を表わす数値としては、周波数50Hzで1.7テ
スラー(T)まで磁化した時の1kg当りの鉄損W17/50
を使用している。磁束密度は、鉄損特性の最大支配因子
であり、一般的にいって磁束密度が高いほど鉄損特性が
良好になる。なお、一般的に磁束密度を高くすると二次
再結晶粒が大きくなり、鉄損特性が不良となる場合があ
る。これに対しては、磁区制御により、二次再結晶粒の
粒径に拘らず、鉄損特性の改善をすることができる。
程で二次再結晶を起こさせ、鋼板面に{110}、圧延
方向に〈001〉軸を持ったいわゆるゴス組織を発達さ
せることにより製造されている。良好な磁気特性を得る
ためには、磁化容易軸である〈001〉を圧延方向に高
度に揃えることが必要である。
製造技術として代表的なものに特公昭40−15644
号公報及び特公昭51−13469号公報記載の方法が
ある。前者においては主なインヒビターとしてMnS及
びAlNを、後者ではMnS,MnSe,Sb等を用い
ている。従って現在の技術においてはこれらのインヒビ
ターとして機能する析出物の大きさ、形態及び分散状態
を適正に制御することが不可欠である。MnSに関して
言えば、現在の工程では熱延前のスラブ加熱時にMnS
を一旦完全固溶させた後、熱延時に析出する方法がとら
れている。二次再結晶に必要な量のMnSを完全固溶す
るためには1400℃程度の温度が必要である。
00℃以上も高く、この高温スラブ加熱処理には以下に
述べるような不利な点がある。1)方向性電磁鋼専用の
高温スラブ加熱炉が必要。2)加熱炉のエネルギー原単
位が高い。3)溶融スケール量が増大し、いわゆるノロ
かき出し等に見られるように操業上の悪影響が大きい。
ブ加熱温度を普通鋼並みに下げれば良いわけであるが、
このことは同時にインヒビターとして有効なMnSの量
を少なくするかあるいは全く用いないことを意味し、必
然的に二次再結晶の不安定化をもたらす。このため低温
スラブ加熱化を実現するためには何らかの形でMnS以
外の析出物等によりインヒビターを強化し、仕上焼鈍時
の正常粒成長の抑制を充分にする必要がある。
他、窒化物、酸化物及び粒界析出元素等が考えられ、公
知の技術として例えば次のようなものがあげられる。特
公昭54−24685号公報ではAs,Bi,Sn,S
b等の粒界偏析元素を鋼中に含有することにより、スラ
ブ加熱温度を1050〜1350℃の範囲にする方法が
開示され、特開昭52−24116号公報ではAlの
他、Zr,Ti,B,Nb,Ta,V,Cr,Mo等の
窒化物生成元素を含有することによりスラブ加熱温度を
1100〜1260℃の範囲にする方法を開示してい
る。また、特開昭57−158322号公報ではMn含
有量を下げ、Mn/Sの比率を2.5以下にすることに
より低温スラブ加熱化を行い、さらにCuの添加により
二次再結晶を安定化する技術を開示している。
金属組織の側から改良を加えた技術も開示された。すな
わち特開昭57−89433号公報ではMnに加えS,
Se,Sb,Bi,Pb,Sn,B等の元素を加え、こ
れにスラブの柱状晶率と二次冷延圧下率を組み合わせる
ことにより1100〜1250℃の低温スラブ加熱化を
実現している。さらに特開昭59−190324号公報
ではSあるいはSeに加え、Al及びBと窒素を主体と
してインヒビターを構成し、これに冷延後の一次再結晶
焼鈍時にパルス焼鈍を施すことにより二次再結晶を安定
化する技術を公開している。
温スラブ加熱化実現のためには、これまでに多大な努力
が続けられてきている。さらに、特開昭59−5652
2号公報においてはMnを0.08〜0.45%、Sを
0.007%以下にすることにより低温スラブ加熱化を
可能にする技術が開示された。この方法により高温スラ
ブ加熱時のスラブ結晶粒粗大化に起因する製品の線状二
次再結晶不良発生の問題が解消された。
方法は元来、製造コストの低減を目的としているもの
の、当然のことながら良好な磁気特性を安定して得る技
術でなければ、工業化できない。本発明者らは、低温ス
ラブ加熱の工業化のため、最終仕上焼鈍前の一次再結
晶の平均粒径制御と、熱延後、最終仕上焼鈍の二次再
結晶開始までの間に鋼板に窒化処理を施すことを柱とす
る技術を構築してきた。この窒化処理により形成される
窒化物は、二次再結晶開始時点では、主にAlNになっ
ている。高温で変化しにくいインヒビターとして、Al
Nを選択しているわけであり、その意味において、スラ
ブ中にAlが含有されることは必須条件となる。
ることは、本技術体系からして、再考の余地があった。
つまり、スラブ中に必須のAlと、ある程度以上のN量
があれば、スラブ加熱から脱炭焼鈍までの工程で、Al
Nが形成され、脱炭焼鈍時の一次再結晶粒の粒成長に影
響を与えることとなる。本発明の目的は、この上工程で
のAlNの析出制御方策を検討し、低温スラブ加熱で、
かつ、熱延板焼鈍を省略して、なお優れた特性を有する
一方向性電磁鋼板の製造方法を提供することにある。
ろは下記の通りである。 (1)重量比で、C:0.075%以下、Si:2.2
〜4.5%、酸可溶性Al:0.010〜0.060%、
N:0.0130%以下、S+0.405Se:0.0
14%以下、Mn:0.05〜0.8%を含有し、残部
がFe及び不可避的不純物からなるスラブを1280℃
未満の温度で加熱し、熱延を行い、引き続き熱延板焼鈍
を施すことなく、圧下率80%以上の最終強圧下冷延を
行い、次いで、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施して一方向
性電磁鋼板を製造する方法において、粗熱延の累積圧下
率を60%以上とし、粗熱延と仕上熱延の間の時間を1
秒以上とし、スラブの酸可溶性Al,Nの含有量(重量
%)、仕上熱延の開始温度FoT(℃)を下記(1)式
の範囲に制御し、脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍開始ま
での一次再結晶粒の平均粒径を18〜35μmとし、熱
延後、最終仕上焼鈍の二次再結晶開始までの間に鋼板に
0.0010重量%以上の窒素吸収を行わせる窒化処理
を施すことを特徴とする磁気特性の優れた一方向性電磁
鋼板の安定製造方法。 800 ≦FoT(℃)≦900 +9500×{Al(%)−(27/14)×N(%)}…(1) 但し、Al:酸可溶性Al (2)前項において、スラブの成分としてさらにSn:
0.01〜0.15%を含有せしめることを特徴とする
磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法。
従来用いられている製鋼法で得られた溶鋼を連続鋳造法
あるいは造塊法で鋳造し、必要に応じて分塊工程をはさ
んでスラブとし、引き続き熱間圧延して熱延板とし、熱
延板を焼鈍することなく、次いで圧下率が80%以上と
なる最終冷延を施し、次いで、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍
を順次行うことによって製造される。
冷延法で低温スラブ加熱材を製造する場合の磁性の変動
の原因とその解決策について詳細に検討した。そしてそ
の結果、スラブの酸可溶性Al量、N量に応じて仕上熱
延開始温度を制御し、粗熱延の累積圧下率、粗熱延と仕
上熱延の間の時間を制御することによって、その磁性変
動を激減できることをつきとめた。
明する。図1に、スラブにおけるAl(%)−(27/
14)×N(%)量(但しAl:酸可溶性Al)、仕上
熱延開始温度FoT(℃)と製品の磁束密度の変動の関
係を示す。この場合、重量比で、C:0.024〜0.
035%、Si:2.5〜3.2%、酸可溶性Al:
0.026〜0.040%、N:0.0050〜0.0
078%、S:0.005〜0.007%、Mn:0.
10〜0.14%を含有し、残部Fe及び不可避的不純
物からなる250mm厚のスラブを作成した。
0分保持した後、7パスで粗熱延を行い、40mm厚と
し、次いで6パスで仕上熱延を行い、2.3mm厚の熱延
板とした。この熱延において、粗熱延でのパス間に水冷
を施したり、パス間時間を変更したり、粗熱延と仕上熱
延の間の時間を積極的に変更し、仕上熱延開始温度を広
範囲にとった。
約85%の圧下率で強圧下圧延を行って最終板厚0.3
35mmの冷延板とし、810℃、820℃、83
0℃、840℃の各温度に150秒保持する4条件の
脱炭焼鈍を施し、次いで、750℃に30秒保持する焼
鈍時、焼鈍雰囲気中にNH3 ガスを混入させ、鋼板に窒
素吸収を生ぜしめた。
0.0247重量%であり、一次再結晶粒の平均粒径
(円相当直径の平均値)は、20〜28μmであった。
かかる窒化処理後の鋼板にMgOを主成分とする焼鈍分
離剤を塗布し、最終仕上焼鈍を行った。しかる後、製品
の磁束密度を測定し、同一成分、同一熱延条件の熱延板
に対してとった4つの脱炭焼鈍条件でのB8 の最高値と
最低値の差ΔB8 を求めた。
(℃)≦900+9500×{Al(%)−(27/1
4)×N(%)}の範囲で、ΔB8 ≦0.02Tとな
り、安定した磁気特性となっている。図1に示したスラ
ブの酸可溶性Al,Nの量に対応して仕上熱延開始温度
を制御する効果のメカニズムについて、必ずしも明らか
ではないが、本発明者らは、以下のように推定してい
る。
866号公報で開示した脱炭焼鈍後の結晶組織を適切な
ものにすることを基本とする技術体系に属する。一方、
スラブ加熱完了時に固溶していたNは、熱延中、または
脱炭焼鈍時(特に昇温時)微細な窒化物(主にAlN)
となると考えられる。この微細な窒化物は、脱炭焼鈍時
のわずかの温度変化においても、サイズ、析出量が変動
すると考えられる。
果(Zener因子)は、析出物のサイズに逆比例し、
その体積分率に比例する。従って、スラブ加熱完了時の
固溶N量を減少しすぎても、析出物の粒成長抑制効果が
小さくなりすぎ、その結果、脱炭焼鈍時の粒成長が顕著
になりすぎ、結晶組織の制御が困難となる。
0+9500×{Al(%)−(27/14)×N
(%)}は、スラブの酸可溶性Al量、N量に応じて、
仕上熱延開始温度を規定することを意味する。ここで、
Al(%)−(27/14)×N(%)が大きい程、仕
上熱延開始時の固溶N量は減少するので、固溶N量が少
ない成分系の場合、仕上熱延開始温度の許容範囲が広い
ことを意味する。FoTの下限は、AlNの析出の観点
よりむしろ熱延時の再結晶の点から理解される。つまり
800℃未満の温度で仕上熱延を行った場合、熱延再結
晶が生じ難く、この結果磁気特性が不安定となるものと
考えられる。
述べる。先ず、スラブの成分と、スラブ加熱温度に関し
て限定理由を詳細に説明する。Cは、多くなりすぎると
脱炭焼鈍時間が長くなり経済的でないので0.075重
量%(以下単に%と略述)以下とした。なお磁気特性の
面で特に好ましい範囲は0.020〜0.070%であ
る。Siは4.5%を超えると冷延時の割れが著しくな
るので4.5%以下とした。又、2.2%未満では素材
の固有抵抗が低すぎ、トランス鉄心材料として必要な低
鉄損が得られないので2.2%以上とした。
もしくは(Al,Si)Nを確保するため、酸可溶性A
lとして0.010%以上が必要である。酸可溶性Al
が0.060%を超えると熱延板のAlNが不適切とな
り二次再結晶が不安定になるので0.060%以下とし
た。Nについては、0.0130%を超えるとブリスタ
ーと呼ばれる鋼板表面のふくれが発生するので0.01
30%以下とした。
造工程の条件を適正に選ぶことによって磁気特性を良好
にすることが可能である。しかしながらSやSeが高い
と線状細粒と呼ばれる二次再結晶不良部が発生する傾向
があり、この二次再結晶不良部の発生を予防するために
は(S+0.405Se)≦0.014%とすべきであ
る。SあるいはSeが上限値を超える場合には、製造条
件をいかに変更しても二次再結晶不良部が発生する確率
が高くなり好ましくない。また最終仕上焼鈍で純化する
のに要する時間が長くなりすぎて好ましくなく、このよ
うな観点からSあるいはSeを不必要に増すことは意味
がない。
5%未満では、熱間圧延によって得られる熱延板の形状
(平坦さ)、つまりストリップの側縁部が波形状となり
製品歩留りを低下させる問題が発生する。一方、Mn量
が0.8%を超えると製品の磁束密度を低下させ、好ま
しくないので、Mn量の上限を0.8%とした。
粒成長を抑制する元素である。一方スラブ加熱時Snは
完全固溶しており、通常考えられる数10℃の温度差を
有する加熱時のスラブ内でも、一様に固溶していると考
えられる。従って、温度差があるにもかかわらず加熱時
のスラブ内で均一に分布しているSnは、脱炭焼鈍時の
粒成長抑制効果についても、場所的に均一に作用すると
考えられる。このため、AlNの場所的不均一に起因す
る脱炭焼鈍時の粒成長の場所的不均一を、Snは希釈す
る効果があるものと考えられる。従って、Snを添加す
ることはさらに製品の磁気特性の変動を低減させるのに
有効である。このSnの適正範囲を0.01〜0.15
%とした。この下限値未満では、粒成長抑制効果が少な
すぎて好ましくない。一方、上限値を超えると鋼板の窒
化が難しくなり、二次再結晶不良の原因となるため好ま
しくない。
ているSb,Cu,Cr,Ni,B,Ti,Nb等を微
量に含有することはさしつかえない。特に、B,Ti,
Nb等窒化物構成元素は、スラブ加熱時の鋼中の固溶N
量を低減するために積極的に添加してもかまわない。こ
れらのAlよりNとの親和力の高い元素がある場合に
は、後述する仕上熱延開始温度を規定する式を計算する
際に、全N量から含有するB,Ti,Nbのために形成
される窒化物のN量を差し引きすることは、本発明にお
ける制御効果の精度を高める上で好ましい。スラブ加熱
温度は、普通鋼並にしてコストダウンを行うという目的
から1280℃未満と限定した。好ましくは1200℃
以下である。
熱延板となる。熱延工程は、通常100〜400mm厚の
スラブを加熱した後、いずれも複数回のパスで行う粗熱
延と仕上熱延よりなる。この粗圧延の累積圧下率を60
%以上とする必要がある。本発明の如きAlN析出制御
技術の場合、AlNの析出核としての転位を多く導入す
る必要がある。累積圧下率が60%未満ではこの転位の
導入が不十分であるので、60%以上と規定した。この
累積圧下率の上限は、特に限定されるものではなく、9
9.9%程度まで許容される。
と規定した。これは、このパス間でのAlNの析出を生
ぜしめるためであり、1秒未満では、その効果が少な
い。パス間時間の上限については、特に限定するもので
はないが、1時間以上もパス間時間をとることは、生産
性の点で好ましくない。
FoT(℃)≦900+9500×{Al(%)−(2
7/14)×N(%)}と規定した。これは、図1に示
すとおり、この範囲にすることが、磁気特性を安定化す
るために必要なためである。仕上熱延開始温度を上記範
囲にする方策については特に限定するものではない。ス
ラブ加熱温度を調整する方法、粗熱延のパス間時間の調
整、粗熱延と仕上熱延のパス間時間の調整、粗熱延及び
そのパス間の冷却制御、粗熱延と仕上熱延の間の保温又
は水冷等による温度制御等を実施することができる。
高速連続圧延で行われる。通常仕上熱延の圧下配分は前
段が圧下率が高く後段に行くほど圧下率を下げて形状を
良好なものとしている。圧延速度は通常100〜300
0m/minとなっており、パス間の時間は0.01〜10
0秒となっている。
ものではないが、AlN析出を行わしめるため、本発明
の特徴の1つである仕上熱延開始温度の制御に加え、仕
上熱延終了温度を調整したり、圧下配分を調整すること
は積極的に行うべきである。AlNの析出しやすい温度
域(800〜950℃)、またはその近傍で積極的に圧
下率を高め、加工誘起析出を生ぜしめることも、AlN
析出量制御に有効な手段となる。
00秒程度空冷された後水冷され300〜700℃の温
度で巻取られ、徐冷される。この冷却プロセスについて
は特に限定されるものではないが、熱延後1秒以上空冷
等を行い、鋼板をAlNの析出温度域にできるだけ長時
間保持する等の方法をAlN析出量制御に利用すること
は好ましい。
となく圧下率80%以上の最終冷延を行う。最終冷延の
圧下率を80%以上としたのは、圧下率を上記範囲とす
ることによって、脱炭板において尖鋭な{110}〈0
01〉方位粒と、これに蚕食されやすい対応方位粒
({111}〈112〉方位粒等)を適正量得ることが
でき、磁束密度を高める上で好ましいためである。かか
る冷延後の鋼板は、通常の方法で脱炭焼鈍、焼鈍分離剤
塗布、最終仕上焼鈍を施されて最終製品となる。ここで
脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍開始までの間の一次再結
晶粒の平均粒径を18〜35μmに制御することは、必
要である。その理由はこの平均粒径の範囲で良好な磁束
密度が得られやすく、かつ粒径変動に対する磁束密度の
変化が少ないからである。
開始までの間に鋼板に窒化処理を施すと規定したのは、
本発明の如き低温スラブ加熱を前提とするプロセスで
は、二次再結晶に必要なインヒビター強度が不足がちに
なるからである。窒化の方法としては特に限定するもの
ではなく、脱炭焼鈍後引き続き焼鈍雰囲気にNH3 ガス
を混入させ窒化する方法、プラズマを用いる方法、焼鈍
分離剤に窒化物を添加し、最終仕上焼鈍の昇温中に窒化
物が分離してできた窒素を鋼板に吸収させる方法、最終
仕上焼鈍の雰囲気のN2 分圧を高めとし、鋼板を窒化す
る方法等いずれの方法でもよい。窒化量については二次
再結晶を安定して発現させるために10ppm 以上は必要
である。
溶性Al:0.032%、N:0.0060%、Mn:
0.14%、S:0.006%を含有する250mm厚の
スラブに対して、Z(℃)=900+9500×{Al
(%)−(27/14)×N(%)}を計算したとこ
ろ、1094であった。図1より、仕上熱延開始温度を
800〜1094℃にすることが良好な磁気特性を得る
ために必要なことが予測できた。そこで、スラブ(1)
1100℃、及び、比較のために、(2)1250℃の
各温度で90分保持した後、7パスで40mm厚まで粗熱
延し(累積圧下率:84%)、しかる後、仕上熱延開始
まで、15秒空冷した後、6パスで仕上熱延を行い、
2.3mm厚の熱延板とした。この時の仕上熱延開始温度
は、各スラブ加熱温度に対して、(1)1002℃、
(2)1142℃であった。
下率で冷延して、0.335mm厚の冷延板とし、81
0℃、820℃、830℃、840℃の各温度に
150秒保持する脱炭焼鈍(25%N2 +75%H2 、
露点62℃)を施し、しかる後、770℃で30秒保持
する焼鈍を行い、焼鈍雰囲気中にNH3 ガスを混入させ
鋼板に窒素を吸収せしめた。窒化後の鋼板のN量は0.
0198〜0.0212%であり、鋼板の一次再結晶粒
の平均粒径は、19〜28μmであった。
焼鈍分離剤を塗布し、公知の方法で、最終仕上焼鈍を施
した。実験条件と磁気特性の結果を表1に示す。
溶性Al:0.029%、N:0.0068%、Mn:
0.14%、S:0.007%を含有する250mm厚の
スラブに対して、Z(℃)=900+9500×{Al
(%)−(27/14)×N(%)}を計算したとこ
ろ、1051であった。図1より、仕上熱延開始温度を
800〜1051℃にすることが良好な磁気特性を得る
ために必要なことが予測できた。そこで、(1)スラブ
を1150℃に60分保持した後、7パスで50mm厚ま
で粗熱延し(累積圧下率:80%)、しかる後、仕上熱
延開始まで、20秒空冷した後、6パスで仕上熱延を行
い、2.3mm厚の熱延板とした。この時の仕上熱延開始
温度は、1038℃であった。また、比較のため、
(2)同一成分のスラブを1150℃に60分保持した
後、7パスで60mm厚まで粗熱延し(累積圧下率:76
%)、しかる後、仕上熱延開始まで、10秒間保熱カバ
ーを鋼板にかぶせ、かつ、保熱カバーの内側のバーナー
で加熱した後、6パスで仕上熱延を行い、2.3mm厚の
熱延板とした。この時の仕上熱延開始温度は、1107
℃であった。
く酸洗し、約85%の圧下率で冷延して、0.335mm
厚の冷延板とした。しかる後、810℃、820
℃、830℃、840℃の各温度に150秒保持す
る脱炭焼鈍(25%N2 +75%H2 、露点60℃)を
施し、しかる後、750℃で30秒保持する焼鈍を行
い、焼鈍雰囲気中にNH3 ガスを混入させ鋼板に窒素を
吸収せしめた。窒化後の鋼板のN量は0.0215〜
0.0228%であり、鋼板の一次再結晶粒の平均粒径
は、21〜30μmであった。次いで、この鋼板にMg
Oを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、公知の方法で、
最終仕上焼鈍を施した。実験条件と磁気特性の結果を表
2に示す。
溶性Al:0.025%、N:0.0074%、Mn:
0.14%、S:0.007%を含有し、さらに、
(1)Sn<0.005%、(2)Sn:0.05%を
含有する150mm厚の2種類のスラブに対して、Z
(℃)=900+9500×{Al(%)−(27/1
4)×N(%)}を計算したところ、1002であっ
た。図1より、仕上熱延開始温度を800〜1002℃
にすることが良好な磁気特性を得るために必要なことが
予測できた。そこで、(A)スラブを1000℃に60
分保持した後、7パスで50mm厚まで粗熱延し(累積圧
下率:67%)、しかる後、仕上熱延開始まで、15秒
空冷した後、6パスで仕上熱延を行い、2.3mm厚の熱
延板とした。
あった。また、比較のため、(B)同一成分のスラブを
1000℃に60分保持した後、7パスで65mm厚まで
粗熱延し(累積圧下率:57%)、しかる後、仕上熱延
開始まで、15秒空冷した後、6パスで仕上熱延を行
い、2.3mm厚の熱延板とした。この時の仕上熱延開始
温度は、923℃であった。さらに、比較のため、
(C)同一成分のスラブを1000℃に60分保持した
後、7パスで30mm厚まで粗熱延し(累積圧下率:80
%)、しかる後、仕上熱延開始まで、25秒水冷した
後、6パスで仕上熱延を行い、2.3mm厚の熱延板とし
た。この時の仕上熱延開始温度は、782℃であった。
く酸洗し、約88%の圧下率で冷延して、0.285mm
厚の冷延板とした。しかる後、810℃、820
℃、830℃、840℃の各温度に150秒保持す
る脱炭焼鈍(25%N2 +75%H2 、露点64℃)を
施し、しかる後、750℃で30秒保持する焼鈍を行
い、焼鈍雰囲気中にNH3 ガスを混入させ鋼板に窒素を
吸収せしめた。窒化後の鋼板のN量は0.0221〜
0.0239%であり、鋼板の一次再結晶粒の平均粒径
は、19〜30μmであった。次いで、この鋼板にMg
Oを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、公知の方法で、
最終仕上焼鈍を施した。実験条件と磁気特性の結果を表
3に示す。
率、粗熱延と仕上熱延間の時間を制御し、酸可溶性Al
量、N量を基に仕上熱延開始温度を制御し、一次再結晶
粒の平均粒径を制御し、熱延後、最終仕上焼鈍の二次再
結晶開始までの間に鋼板に窒化処理を施し、さらには、
Sn添加を行うことにより、低温スラブ加熱でかつ熱延
板焼鈍を省略してもなお良好な磁気特性を安定して得る
ことができるので、その工業的効果は大である。
束密度の変動の関係を表わす図表である。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量比で C :0.075%以下、 Si:2.2〜4.5%、 酸可溶性Al:0.010〜0.060%、 N :0.0130%以下、 S+0.405Se:0.014%以下、 Mn:0.05〜0.8%、 残部がFe及び不可避的不純物からなるスラブを128
0℃未満の温度で加熱し、熱延を行い、引き続き熱延板
焼鈍を施すことなく、圧下率80%以上の最終強圧下冷
延を行い、次いで脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施して一方
向性電磁鋼板を製造する方法において、粗熱延の累積圧
下率を60%以上とし、粗熱延と仕上熱延の間の時間を
1秒以上とし、スラブの酸可溶性Al,Nの含有量(重
量%)、仕上熱延の開始温度FoT(℃)を下記(1)
式の範囲に制御し、脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍開始
までの一次再結晶粒の平均粒径を18〜35μmとし、
熱延後、最終仕上焼鈍の二次再結晶開始までの間に鋼板
に0.0010重量%以上の窒素吸収を行わせる窒化処
理を施すことを特徴とする磁気特性の優れた一方向性電
磁鋼板の安定製造方法。 800 ≦FoT(℃)≦900 +9500×{Al(%)−(27/14)×N(%)}…(1) 但し、Al:酸可溶性Al - 【請求項2】 スラブの成分としてさらにSn:0.0
1〜0.15%を含有せしめることを特徴とする請求項
1記載の磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造
方法。
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JP5261344A JP2948455B2 (ja) | 1993-10-19 | 1993-10-19 | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 |
US08/322,909 US5472521A (en) | 1933-10-19 | 1994-10-13 | Production method of grain oriented electrical steel sheet having excellent magnetic characteristics |
DE69425406T DE69425406T2 (de) | 1993-10-19 | 1994-10-17 | Verfahren zum Herstellen von kornorientiertem Elektrostahlblech mit hervorragenden magnetischen Eigenschaften |
EP94116331A EP0648847B1 (en) | 1993-10-19 | 1994-10-17 | Production method of grain oriented electrical steel sheet having excellent magnetic characteristics |
KR1019940026613A KR0139247B1 (ko) | 1993-10-19 | 1994-10-18 | 자성이 우수한 일방향성 전기강판의 제조방법 |
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