JPH078887Y2 - パイプクランプ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案はブレーキ装置その他の配管の固定に使用するパ
イプクランプ装置に関するものである。

＜従来の技術＞ 前記ブレーキ装置における配管としては、例えば第13図
に示す如く、ホイールブレーキ装置１のバックプレート
２に取付けたジョイント３から２個のホイールシリンダ
（図示せず）にブレーキパイプ４、５により配管するも
のがある。

このような配管では、車両の振動等により前記ブレーキ
パイプ４、５の殊に中間部において移動乃至変形を生ず
るおそれがあり、このため中間部をパイプクランプ機構
６を介して例えばダストカバー７に固定している。

上記パイプクランプ機構６として従来使用されてきたも
のとしては第９図乃至第12図に示すものがあり、これら
を順次説明する。

第９図のものは、上に開いたフォーク状部分8aをもつＬ
字ブラケット８を、ダストカバー７に配管方向に向けて
方向規制用突起8b及びリベット９等で固定するととも
に、両側にフランジ10aを、また中間に円周溝10bを形成
し、且つ中心にパイプ保持穴10cを、また該穴10cから周
囲に向かってスリット10dを各々形成したクランプラバ
ー10を用意し、パイプ４、５をクランプラバー10のスリ
ット10dを通してパイプ保持穴10cに保持した後、円周溝
10b部分を前記Ｌ字ブラケット８のフォーク状部分8aに
嵌合させて、クランプラバー10を固定するものである。
第10図のものは、板状の折り返し可能なクリップバンド
11の折り返し部分に管材保持部11aを形成し、該管材保
持部11aにパイプ４、５を後、前記管材保持部11aと反対
側の端部付近をボルトナット12によりダストカバー７に
固定するものである。

第11図のものは、スリット13aを形成しブラケット14を
介してダストカバー７に溶接固定したボックス状クラン
プ13と、中心にパイプ保持穴15aを、また該穴15aから周
囲に向かってスリット15bを各々形成した角状のクラン
プラバー15を用意し、パイプ４、５をクランプラバー15
のスリット15bを通してパイプ保持穴15aに保持した後、
クランプラバー15を前記ボックス状クランプ13内に嵌合
させて固定するものである。

第12図のものは、比較的硬質の合成ゴム等からなるクラ
ンプラバー16で、中心にパイプ保持穴16aを形成し、且
つここから上方へスリット16bを設けながらストッパア
ーム16cと折曲げアーム16dを形成するとともに、下面に
ダストカバー７への装着部16eを形成したもので、パイ
プ４、５は前記折曲げアーム16dを開きながら、スリッ
ト16bを通して前記パイプ保持穴16aに保持するものであ
る。

＜考案が解決しようとする課題＞ しかしながら、上記第９図乃至第11図のものは部品点数
が多く管理が煩雑になるばかりでなく、その組付けに手
間がかかる。

上記以外、第９図のものでは、クランプラバー10はその
円周溝10bとＬ字ブラケット８のフォーク状部分8aとの
摩擦で保持されているので、前記車両の振動等によりＬ
字ブラケット８から外れるおそれがある。また第10図の
ものでは、クリップバンド11の管材保持部11aと反対側
の端部付近をボルトナット12によりダストカバー７に固
定したのみであるから、パイプ４、５の振動によってボ
ルトナット12が弛み、遂には外れてしまうおそれがあ
る。また第11図のものでは、クランプラバー15をブラケ
ット14に、またブラケット14をダストカバー７に夫々溶
接する必要があり、多くの手間を要する。

第12図のものでは、上記の如き管理の煩雑さや組付けの
手間の問題はないが、パイプ４、５の方向を規制するこ
とができず、またクランプラバー16が合成ゴム等からな
るので、経年変化によりまたパイプ４、５に予期しない
力がかかったとき、パイプ４、５が前記折曲げアーム16
dを開いて抜けてしまうおそれがある。

本考案は上記不都合を解消すべくなされたものであり、
その目的とするところは部品点数が少なく且つ組付け及
びその準備の手間がかからず、また車両の振動等によっ
て外れるおそれがない信頼性の高いパイプクランプ装置
を提供することにある。

＜課題を解決するための手段＞ 前記目的を達成するための本考案パイプクランプ装置の
構成は、取付板から切起し先端を曲げた抑え板と、側面
に該抑え板が嵌入する溝を形成し、且つ前記取付板と平
行で前記抑え板と直角になるよう管材保持孔を貫通せし
めて周面まで切り割るとともに、下面に前記抑え板の切
起し孔に嵌合する突出部を形成したクランプラバーから
なる。

＜作用＞ 上記構成の本考案パイプクランプ装置では、まず前記ク
ランプラバーを前記切り割り部分から左右に開いて管材
の中間部に掛け、更に前記クランプラバーを押し下げて
（或は管材を引き入れて）管材を前記管材保持孔に嵌入
せしめる。

上記の如く前記クランプラバーを取付けた管材の両端を
後記ジョイント及び後記ホイールシリンダに取付けられ
るように、前記クランプラバーの位置を調整し、ここで
前記クランプラバーの前記溝を前記抑え板に嵌装しつ
つ、該抑え板の先端下に押入し、且つ前記突出部を前記
切起し穴に圧入すれば、前記管材は前記クランプラバー
を介して取付板に固定される。

これにより管材の振動は前記クランプラバーに吸収さ
れ、また前記管材に何らかの力がかかりその位置が移動
しようとするときも、前記抑え板及び前記切起し穴とこ
れに圧入された前記突出部によって前記移動が防止され
る。

＜実施例＞ 本考案の実施例を第１図乃至第８図により詳細に説明す
る。尚、第９図以下と同符号は同一部材、同一部品、ま
たは同一箇所を示す。

図において、20は本考案に係るバックプレートで、第８
図に示すごとくブレーキパイプ４（ブレーキパイプ５も
同様）の中間部付近に延長形成した部分20aには、20の
プレス成形時、パイプ４とほぼ直角方向の切り割りを入
れ、これを斜めに起こして抑え板21が形成され、その先
端21aは前記バックプレート20の面と平行に曲げられて
いる。

22は耐候性の合成ゴム等からなるクランプラバーで、全
体として山形のブロック状をなし、その側面の一方には
前記抑え板21が嵌入する溝22aが形成され、また装着時
に前記バックプレート20と平行で前記抑え板21と直角と
なるように管材保持孔22bを貫通せしめ、ここから下面
まで符号22cで示すように切り割るとともに、下面には
前記抑え板21の切起し穴20bと比較的きつく嵌合する矩
形状の突出部22dが形成されている。

尚、本実施例においては前記切り割り部分22cは、管材
保持孔22bからクランプラバー22の下面までに形成され
ているが、下面に限ることはなく、前記管材保持孔22b
から該保持孔22bと直角方向の周面、例えば上面、側面
間に形成することができる。しかし、下面以外の前記周
面としては前記抑え板21に囲まれた周面がパイプ４の保
持の確実性からは望ましい。また、図中22eは前記突出
部22dにおける前記切り割り部分22cに形成したパイプ導
入溝である。

上記の如く構成された本考案のパイプクランプ装置は、
まず第７図のようにクランプラバー22を前記切り割り部
分22cから左右に開いて例えばパイプ４の中間部に掛
け、更にクランプラバー22を押し下げて（或はパイプ４
を引き入れて）パイプ４を管材保持孔22bに嵌入せしめ
る。

上記のようにクランプラバー22を取付けたパイプ５の両
端を前記ジョイント３及び前記ホイールシリンダ（図示
せず）に取付けられるように前記クランプラバー22の位
置を調整し、ここでクランプラバー22の前記溝22aを前
記抑え板21に嵌装しつつ、該抑え板21の先端21a下に押
入し、且つ前記突出部22dを前記切起し穴20bに圧入すれ
ば、前記パイプ４はクランプラバー22を介してバックプ
レート20に固定される。

これによりパイプ４の振動はクランプラバー22に吸収さ
れ、また前記パイプ４に何らかの力がかかりその位置が
移動しようとするときも、前記抑え板21及び前記切起し
穴20bとこれに圧入された前記突出部22dによって前記移
動が防止される。

＜考案の効果＞ 本考案のパイプクランプ装置は、取付板から切起し先端
を曲げた抑え板と、側面に該抑え板が嵌入する溝を形成
し、且つ前記取付板と平行で前記抑え板と直角になるよ
う管材保持孔を貫通せしめて周面まで切り割るととも
に、下面に前記抑え板の切起し穴に嵌合する突出部を形
成したクランプラバーからなるので、前記抑え板は例え
ば前記バックプレート等の取付け板のプレス成形時に同
時に形成し得、実質的にクランプラバーのみを準備すれ
ばよいから部品点数が少なくて済み、且つその方向性が
一義的に定まるとともに、その組付けは、管材にクラン
プラバーを嵌装した状態で前記抑え板及び切起し穴に嵌
装乃至は圧入するのみでよいから、組付け及びその準備
の手間がかからず、更に車両の振動等によって管材に何
らかの力がかかったとしても、前記抑え板及び前記切起
し穴とこれに圧入された前記突出部によって前記移動が
防止され、管材が外れるおそれがなく、以上により著し
く信頼性の高いパイプクランプ装置を提供することがで
きる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案パイプクランプ装置の一部破断正面図、
第２図は同平面図、第３図は同斜視図、第４図は本考案
パイプクランプ装置におけるクランプラバーの平面図、
第５図は同正面図、第６図は同底面図、第７図はクラン
プラバーの管材への取付け状態と抑え板を示す斜視図、
第８図は本考案パイプクランプ装置を備えた車両用ブレ
ーキ装置の部分的正面図、第９図乃至第12図は従来のパ
イプクランプ装置を示し、第９図（ａ）は側面図、他は
正面図により示したものであり、第13図は従来のパイプ
クランプ装置を備えた車両用ブレーキ装置を示すもので
ある。 1;ブレーキ装置、3;ジョイント、４、5;パイプ、20;取
付板（バックプレート等） 21;抑え板、22;クランプラバー、22a;溝、22b;切起し
穴、22c;切り割り部分、22d;突出部、22e;パイプ導入
溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】取付板から切起し先端を曲げた抑え板と、
   側面に該抑え板が嵌入する溝を形成し、且つ前記取付板
   と平行で前記抑え板と直角になるよう管材保持孔を貫通
   せしめて周面まで切り割るとともに、下面に前記抑え板
   の切起し穴に嵌合する突出部を形成したクランプラバー
   からなるパイプクランプ装置。