JPH0751301Y2 - 電動式射出成形機の樹脂圧力検出機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は電動式射出成形機の成形
時の樹脂圧力の検出機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、知られている電動式射出成形機の
樹脂圧力検出機構のものは図２に示すようにシリンダ１
を取付けた固定台１０上で移動可能に設けられている押
さえ板２にはシリンダ中心に回転のみ可能にスクリュー
３が軸承されており、射出スクリュー押さえ板２に取付
けたモータ４によってギヤー５を介して回転される。そ
してこの射出スクリュー押さえ板２にはスクリュー３と
同一軸上の後方でロードセル６を介してボールナット７
が取付けられていて、これに螺合するボールねじ８が固
定台上のモータ９によって回転され、モータ４，９の回
転によってスクリュー３が前進して射出成形を行う。そ
の時のスクリュー３にかかる樹脂の圧力をロードセル６
によって検出するものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】このようにロードセル
がスクリュー回転軸３と同一軸上後方に配置されている
ので樹脂圧力の全圧力がロードセルにかかり、検出範囲
の広い大型のロードセルが必要であるためコスト高とな
る。またロードセルの厚みも増し、厚み分後方に余分に
突出して後方にスペースを広げたシリンダ押さえ板が必
要で機械が大型化する。またスクリュー回転軸の直後に
ロードセルが入っているためシリンダ部で発生させた熱
がスクリュー回転軸を伝わってロードセルに悪影響を及
ぼし、圧力検出に誤差が生じる。さらにボールナットの
前にロードセルを取付けているのでナット部で発生した
回転慣性力が荷重としてロードセルに伝わり実際の樹脂
圧力との誤差が発生するという問題がある。本考案は従
来の技術の有するこのような問題点に鑑みなされたもの
で、その目的とすることろはロードセル検出値の信頼性
を向上させるとともに小形のものが使用でき機械を大型
化しないようになした樹脂圧力検出機構を提供しようと
するものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに本考案は、シリンダ中心で回転されるボールねじに
よって軸移動されるスクリューにより射出成形される電
動式射出成形機において、前記ボールねじは前記スクリ
ューに対して平行位置に複数本配列し、前記スクリュー
のスラスト受け部材と前記ボールねじのうち一本のスラ
スト軸受けとの間にロードセルを介在させ、該ロードセ
ルの出力に前記ボールねじの本数にもとづく係数を乗じ
た値を樹脂圧力とするものである。

【０００５】

【作用】ボールねじの回転で前進されるスクリューによ
り樹脂が射出される。このときの樹脂圧力がスクリュ
ー、射出スクリュー押さえ板を介して複数本のボールね
じでうける。一本のボールねじの軸受部に介装したロー
ドセルによってねじ本数分の１の圧力が検出され、検出
値をねじ本数倍することにより全圧力を知ることができ
る。

【０００６】

【実施例】以下本実施例を図１にもとづき説明する。図
は縦形電動式射出成形機の駆動部を示し、溶融樹脂が供
給されたシリンダ１１を固定したシリンダ固定板１２は
図示しない台上に設立した複数本のねじを螺合するナッ
トを介して設けられており、ナットを図示しないモータ
で回転することによって図示しない金型と接続，離間さ
れるようになっている。そしてシリンダ１１に対して対
称位置に複数個のボールナット１３がシリンダ１１の軸
心と平行に固着されている。またシリンダ１１の中心に
はスクリュー１４が回転且軸方向移動可能に挿通されて
いて、移動可能に設けられた射出スクリュー押さえ板１
５にラジアル軸受１６，スラスト軸受１７を介して回転
可能に軸承され後端にプーリ１８を取付けられたスクリ
ュー回転軸１９と一体に連結されている。

【０００７】射出スクリュー押さえ板１５にはそれぞれ
のボールナット１３に螺装されたボールねじ２０をラジ
アル軸受２１，スラスト軸受２２で回転可能に軸承して
いる。このボールねじ２０の内の一本を軸承するスラス
ト軸受２２の外輪と射出スクリュー押さえ板１５の穴１
５ａの段部との間にはロードセル２３が介装されてい
る。各ボールねじ２０の後端にはそれぞれプーリ２４が
キー着されており、図示しない一本のタイミングベルト
が掛けられ、射出スクリュー押さえ板１５上に設けたモ
ータで同方向に同期回転されている。またスクリュー回
転軸１９のプーリ１８は射出スクリュー押さえ板１５上
の図示しないモータとタイミングベルトで連結されてい
る。２５はラジアル軸受１６の外輪押さえ板、２６はラ
ジアル軸受の内輪、２７は外輪の押さえ板である。

【０００８】このような構成になる本考案の動作を説明
する。シリンダ固定板１２を移動させてシリンダ１１の
先を図示しない金型の鋳込み口に押し当てる。シリンダ
１１内に供給された溶融樹脂はプーリ１８を回転してス
クリュー１４で先端部に送られる。プーリ２４を回転し
て複数本のボールねじ２０を同期回転し、射出スクリュ
ー押さえ板１５を下降させる。この下降によってスクリ
ュー１４が下降され樹脂をシリンダ１１先端から金型に
注入させる。樹脂の内圧はスクリュー１４に伝達され、
スクリュー回転軸１９，スラスト軸受１７，射出スクリ
ュー押さえ板１５の穴１５ａ段部よりロードセル２３に
作用し、スラスト軸受２２のボールねじ２０で受け止め
る。複数本のボールねじ２０には同じ大きさの力を受け
ることになる。ロードセル２３には全圧のボールねじ本
数分の１の圧力が検出される。したがってこの検出値に
対してボルーねじ本数分を掛けることによって樹脂の全
圧力を知ることができる。

【０００９】

【考案の効果】上述のようであるので本考案は以下の効
果を奏する。全樹脂圧力の一部を検出しその値から全体
の樹脂圧力を算出するので、従来の全樹脂圧力を検出す
るレンジのロードセルよりレンジの狭い小型のロードセ
ルで検出でき経済的である。スクリュー回転軸と同一軸
上から外れた位置に、射出スクリュー押さえ板を移動さ
せるボルねじナット機構を配置し、スクリュー回転軸と
同一軸上からはずれた位置にロードセルを組み込めるの
で熱が伝わりにくくなり、ロードセルの熱による誤差の
発生を抑えることができ、安定した検出精度をうること
ができる。また前後位置関係をずらすことができるの
で、射出スクリュー押さえ板がうすくなりスペースが小
さくでき機械の小型化に寄与する。さらにボールねじナ
ット機構の発生させる推力は軸受を介してからロードセ
ルに伝わるので、ロードセルは回転による慣性力の影響
を受けずに正確に樹脂の圧力を検出できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の縦形射出成形機のスクリュー，ボール
ねじ駆動部分を示す断面図である。

【図２】従来の同種の成形機の駆動部の断面説明図であ
る。

【符号の説明】

１１ シリンダ １２ シリンダ固定
板 １３ ボールナット １４ スクリュー １５ 射出スクリュー押さえ板 １７，２２ スラス
ト軸受 １８，２４ プーリ ２３ ロードセル

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シリンダ中心で回転されボールねじによ
   って軸移動されるスクリューにより射出成形される電動
   式射出成形機において、前記ボールねじは前記スクリュ
   ーに対して平行位置に複数本配列し、前記スクリューの
   スラスト受け部材と前記ボールねじのうち一本のスラス
   ト軸受けとの間にロードセルを介在させ、該ロードセル
   の出力に前記ボールねじの本数にもとづく係数を乗じた
   値を樹脂圧力とすることを特徴とする電動式射出成形機
   の樹脂圧力検出機構。