JPH0732006A - 方向性けい素鋼板の冷間圧延方法および冷間圧延機のロール冷却装置 - Google Patents

方向性けい素鋼板の冷間圧延方法および冷間圧延機のロール冷却装置

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JPH0732006A
JPH0732006A JP5180982A JP18098293A JPH0732006A JP H0732006 A JPH0732006 A JP H0732006A JP 5180982 A JP5180982 A JP 5180982A JP 18098293 A JP18098293 A JP 18098293A JP H0732006 A JPH0732006 A JP H0732006A
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rolling
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道郎 小松原
Yasuyuki Hayakawa
康之 早川
Fumihiko Takeuchi
文彦 竹内
Masataka Yamada
政孝 山田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 方向性けい素鋼板の長手方向の磁気特性の変
動および板厚形状の変動を抑制し、磁気特性および鋼板
形状を向上させる。 【構成】 けい素鋼板を冷間圧延する際に、ワークロー
ルのロールバイト部から出た圧延後の鋼板温度を測定
し、ワークロールやバックアップロール等のクーラント
の量を制御して、該鋼板温度を一定温度に保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はけい素を含有する方向性
けい素鋼板の製造方法に係わり、特に磁束密度の高い材
料の製造技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】方向性けい素鋼板は変圧器および発電機
用鉄心に使用されるもので、磁気特性として磁束密度
( 800A/mの磁場の強さでの値B8 で示される)と鉄
損( 1.7Tの最大磁束密度における50Hz交流鉄損値W
17/50 で示される)が低いことが必要である。
【0003】この材料の低鉄損化への努力はこれまで種
々なされ、(1)鋼板の板厚を薄くする(2)Si含有量
を高める(3)最終製品の結晶粒径を低減するといった
改善の結果、板厚0.23mmのW17/50 で0.90W/kgの鉄損
の材料も得られるようになった。しかしながら、現状以
上に鉄損を低減することは容易でない。すなわち、鋼板
の板厚を現状以上に薄くすると後述する2次再結晶不良
を惹起し鉄損が逆に劣化し、Si含有量を高めると冷間圧
延が困難となり、結晶粒径を低減する方法も現状の平均
粒径4〜8mm以上に低減した場合、やはり2次再結晶不
良となって鉄損が劣化する。
【0004】しかし、近年鋼板表面に局部的に歪を導入
したり溝を形成する、いわゆる磁区細分化技術によって
大幅な鉄損の改善が可能となった。すなわち、前述のW
17/5 0 で0.90W/kgの鉄損材料の場合、鋼板表面にプラ
ズマジェット等適正な局部歪を導入することにより、0.
80W/kgの値まで低減することが可能となった。かかる
手法によって優れた鉄損の材料を得るためには、従来と
異なり、最終製品の結晶粒径を低減する必要はなく専ら
板厚を薄くし、Si含有量を高くし、磁束密度を高くする
ことが必要である。Si含有量をこれ以上増加することは
困難であることより、鉄損向上は如何に板厚の薄い材料
の磁束密度を向上させるかという技術課題の解決にかか
っている。
【0005】方向性けい素鋼板の磁束密度を向上させる
ためには製品の結晶粒方位を( 110) 〔 001〕方位いわ
ゆるゴス方位に高度に集積させる必要がある。方向性け
い素鋼板のゴス方位の結晶粒は最終仕上焼鈍において、
2次再結晶現象によって得られる。この2次再結晶を起
こさせるには( 110)〔 001〕方位に近い結晶粒のみを
成長させて、他の方位の結晶粒の成長を抑制する、いわ
ゆる選択成長をさせるが、この時、他の方位の結晶粒の
成長を抑制するための抑制剤(インヒビター)の添加が
必要である。すなわち、インヒビターは鋼中に析出分散
相を形成し、粒成長の抑制作用としての機能を発揮す
る。
【0006】インヒビターとして、最も抑制作用が強い
ものが、より選択成長効果が強く、磁束密度の高い材料
が得られるので、これまで多くの研究がなされてきた
が、最も効果の得られたものは AlNであった。すなわ
ち、特公昭46−23820 号公報に開示されている如く、Al
を含有する鋼板において、最終冷延前の焼鈍の急冷処理
および最終冷延の圧下率を80〜95%の高圧下率とするこ
とにより、B10で1.92〜1.95Tの高磁束密度材料が得ら
れている。しかしながら、かかる方法は圧下率が高いた
め、2次再結晶の核となる( 110)〔 001〕方位の結晶
粒の出現頻度が低く2次再結晶が不安定であり、かつ2
次再結晶しても、磁気特性も不安定で、確実に良好な磁
気特性を得ることが困難であるとの問題を残していた。
これに対し、特公昭63−11406 号公報には、鋼中にSnお
よびCuを添加し、冷延1回法で製造する技術が開示され
ている。ここにSnは2次再結晶を安定化し、製品の結晶
粒度を小さくする作用をし、CuはSnを添加したことによ
る被膜への有害な作用を打消すために必要とされてい
る。しかしながら、この技術では2次再結晶は確かに安
定したが、逆に磁束密度は低下し、かつ鋼板の長手方向
での磁気特性の変動は、未解決のままであった。
【0007】本発明者らはかかる鋼板の長手方向におけ
る磁気特性の変動が冷間圧延の方法に依存していること
を発見し、これを防止する有効な手段を研究開発し、本
発明を完成させた。ところで、方向性けい素鋼板の圧延
技術に関しては、特公昭50−37130 号公報に少なくとも
最終冷延のロール径を 300mmφ以下とする技術が、また
特開平2−80106 号公報にはタンデム圧延において第1
スタンドにはロール径 250mm未満のワークロールを使用
する技術が開示されているが、これらロール径の小径化
によっても、鋼板の長手方向の磁気特性の安定化には至
らなかった。
【0008】また、特公昭54−13846 号公報および特公
昭54−29182 号公報に圧延パスとパスの間に時効効果を
与える熱処理を施す技術が開示されているが、これらの
パス間時効によっても、鋼板の長手方向の磁気特性の不
安定現象は解消されなかった。本発明者らは、圧延時の
鋼板温度に着目して本発明を着想したが、特公昭50−26
493 号公報には、冷延の前に行う高温焼純における冷却
後から冷延開始までの熱効果継続時間を制御し、かつ冷
間圧延の温度として鋼板温度を50〜 350℃の範囲とする
技術が開示されているが、冷間圧延を施す前にいずれも
加熱による熱効果処理を施しており、これは本発明者ら
の研究によれば、鋼板の長手方向の磁気特性の不安定の
要因のひとつとなるものであった。
【0009】また、特公平3−23607 号公報には、冷間
圧延における第1回目の圧延パスの温度を、下限として
はSi量xwt%に応じて(x−3.0)2 ×100 として与え、
上限として、圧延の歪速度y sec-1に応じて 200×log
yで与えられる温度範囲とする技術が開示されている
が、冷間圧延の前に加熱してかかる温度範囲とするた
め、これも本発明者らの研究によれば、鋼板の長手方向
の磁気特性の不安定の要因のひとつとなるものであっ
た。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、高圧下率の
冷間圧延に伴う、鋼板の長手方向に磁気特性の不安定の
解消に対して、ロール径の変更やパス間での時効処理は
効果がなく、特公昭50−26493 号公報や特公平3−2360
7 号公報に開示される圧延前における熱処理効果付与
は、鋼板の長手方向の磁気特性の変動を逆に増加させ、
逆効果であった。
【0011】さらに、高圧下率の冷間圧延に伴い、鋼板
の形状劣化が甚しく、特に圧延速度が変化した場合に鋼
板中央部の板厚が大きく変動する問題があった。本発明
は、かかる鋼板の長手方向の磁気特性の変動および板厚
形状の変動を抑制し、磁気特性および鋼板形状に優れた
方向性けい素鋼板の製造方法、特に冷間圧延方法および
それに有利に用いることのできる冷間圧延機のロール冷
却装置を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、含けい素
鋼板の冷間圧延に際し、圧延の入側鋼板温度よりも出側
温度を抑制することが、鋼板の長手方向の磁気特性の高
位安定化および板厚形状に極めて有効であることを見出
し、本発明を完成させたものである。すなわち、本発明
は、方向性けい素鋼板の製造方法において、該鋼板を冷
間圧延する際に、ワークロールのロールバイト部から出
た圧延後の鋼板温度を測定し、該鋼板温度の測定値に基
づいて、該鋼板温度を一定に保つように冷間圧延機にお
けるワークロール、バックアップロール、ベアリングロ
ール、中間ロールおよびワイパーロールの各クーラント
のうち、いずれか1種以上の油量を制御することを特徴
とする方向性けい素鋼板の冷間圧延方法であり、また、
本発明はワークロールのロールバイト部から出た鋼板の
上面もしくは下面の温度を測温する測温センサーと該測
温センサーの測定信号に対し、該信号が指示された一定
値になるように負帰還信号を発信する温度制御器と該温
度制御器の発信する信号に基づいてロールクーラントの
流量を制御する流量制御器を配設したことを特徴とする
冷間圧延機のロール冷却装置である。
【0013】
【作用】まず本発明を着想するに至った実験について詳
細に説明する。Si: 3.0%、C:0.07%、Mn:0.07%、
Al:0.02%を含有する板厚1.90mmの熱延コイルを4コイ
ル1150℃で 60secの熱延板焼純を施した後、ミストを用
いて40℃/sec の速度で冷却した。
【0014】これら4コイルは、下記の(a)、
(b)、(c)、(d)の4種類の条件で冷間圧延を行
い0.30mmの最終板厚とした。まず、第1番目のコイルは
条件(a)として、コイル加熱BOX炉において 200℃
に加熱した後80mmφのワークロール径を有するゼンジマ
ー圧延機で、 第1パス目 1.90→1.40mm(圧下率26%) 第2パス目 1.40→1.00mm(圧下率29%) 第3パス目 1.00→0.70mm(圧下率30%) 第4パス目 0.70→0.50mm(圧下率29%) 第5パス目 0.50→0.38mm(圧下率24%) 第6パス目 0.38→0.30mm(圧下率21%) の圧延を行い0.30mmの板厚に仕上げた。
【0015】圧延に際しては、ワイパーロール、ワーク
ロールへのクーラント油量を絞って、一定流量となるよ
うに調節した。その結果、ワークロールバイト入側の温
度は1パス目で 185〜 206℃、2パス目で 215〜 225
℃、3パス目で 232〜 246℃、4パス目で 241〜 253
℃、5パス目で 216〜 223℃、6パス目で 186〜 193℃
となった。
【0016】第2番目のコイルは条件(b)として、同
じく80mmφのワークロール径を有するゼンジマー圧延機
で条件(a)と同一の圧延パススケジュールで0.30mmの
板厚に仕上げた。また、圧延に際しては、ワイパーロー
ル、ワークロールへのクーラントの油量を条件(a)と
同様に絞って、一定流量となるように調節した。その結
果、ワークロールバイト出側の温度は1パス目で 135〜
167℃、2パス目で 188〜 203℃、3パス目で 198〜 2
23℃、4パス目で 184〜 218℃、5パス目で 178〜 197
℃、6パス目で 103〜 146℃となった。
【0017】第3番目のコイルは条件(c)として、同
じく80mmφのワークロール径を有するゼンジマー圧延機
で、条件(a)と同一の圧延パススケジュールで0.30mm
の板厚に仕上げた。また圧延に際しては、ワークロール
バイト出側の鋼板の表面温度を測定して、かかる温度が
一定となるように、ワイパーロール、ワークロールへの
クーラントの油の流量を制御した。その結果、ワークロ
ールバイト出側の温度は1パス目で 154〜 155℃、2パ
ス目で 192〜 193℃、3パス目で 193〜 194℃、4パス
目で 202〜 203℃、5パス目で 196〜 197℃、6パス目
で 140〜 141℃の温度範囲に制御できた。
【0018】第4番目のコイルは条件(d)として、同
じく80mmφのワークロール径を有するゼンジマー圧延機
で条件(a)と同一の圧延パススケジュールで0.30mmの
板厚に仕上げた。また圧延に際してはワークロールバイ
ト入側の鋼板の表面温度を測定して、かかる温度が一定
となるように、ストリップクーラントおよびワイパーロ
ールへのクーラントの油の流量を制御した。その結果、
ワークロールバイト入側の温度は1パス目で25〜26℃、
2パス目で 136〜 137℃、3パス目で 198〜 199℃、4
パス目で 198〜 199℃、5パス目で 203〜 204℃、6パ
ス目で 168〜 169℃の温度範囲に制御できた。
【0019】これら(a)〜(d)の4種類の条件での
冷間圧延後の板幅中央部の板厚偏差の値を図1に示す。
図1に示されるように、ワークロールバイト出側の鋼板
温度を制御した条件(c)の板厚偏差が極めて良好で、
鋼板形状に格段に優れていることがわかる。次に、これ
らの4コイルは脱脂後、露点60℃、H2 55%、N2 バラ
ンスの湿水素雰囲気で 850℃で2分間の脱炭焼鈍を施し
た。この後、TiO2を5%、 Sr(OH)2・8H2O を2%含有
するMgO を焼鈍分離剤として塗布しコイル状に巻取った
後、840℃でN2 中40時間、その後、15℃/hrの昇温速
度で1200℃までN2 25%、H 2 75%の雰囲気中での2次
再結晶焼鈍、引続いて1200℃で5時間、H2 中での純化
焼鈍からなる最終仕上焼鈍を施した。この後、未反応の
焼鈍分離剤を除去した後、張力コーティングを塗布し平
坦化焼純を兼ねて 800℃で1分間の焼付け処理を行っ
た。これらのコイルの鋼板長手方向の連続鉄損値の測定
結果を図2に示す。
【0020】図1および図2の条件(a)に示されるよ
うに圧延開始の前に特別な熱効果付与の処理を行った場
合は鋼板の板厚偏差も大きく、磁気特性の変動量も大き
い。これに対して、各圧延パスにおいて圧延出側の温度
が一定となるように圧延ロールの冷却用クーラント油量
を制御した場合、板厚の偏差も小さく、鉄損の変動も小
さく安定して良好な磁性の材料が得られている。こうし
た好結果が得られた原因は各パスにおいて、圧延出側の
鋼板の温度が一定となるように制御したことにあると思
われる。因みに、圧延入側の鋼板温度を一定にした条件
(d)の場合、板厚の偏差や、鉄損の変動も大きく所期
の効果が得られていない。
【0021】圧延出側の鋼板の温度を一定とする圧延に
よって鋼板の板形状や磁気特性の高位安定が得られた理
由を見出すために本発明者らは次に述べる実験を行っ
た。すなわち、0.75mmの厚さのC:0.06%、Si: 3.2
%、Mn:0.07%、Al:0.02%、N: 0.008%を含有する
冷間圧延板を一定温度に保持しつつ、引張試験を行っ
た。この時の結果を図3に示す。
【0022】図3に示されるように、変形時の温度が常
温から上昇することによって 200℃までは急激に引張強
度(Tensile Strength)が減少して、 200℃以上からま
た増加している。このことは、圧延加工における材料の
変形抵抗が圧延温度によって大きく変化することを意味
している。通常、鋼板の板厚の制御は一定の材料の変形
抵抗を仮定して圧延出側の鋼板の板厚を連続測定して圧
延ロールに対する荷重を制御することによって行われる
が、この時、圧延温度の変動によって材料の変形抵抗が
大きく変動するので、通常の荷重制御では圧延の板厚を
十分に制御できないことによると考えられる。
【0023】また、磁気特性の高位安定化が得られた理
由は下記のように考察できる。すなわち図3のように加
工温度の変化によって引張強度が変わることは、加工時
の温度が変われば、材料のすべり変形のモードが変化し
たことを意味する。すなわち、一般的に強度が高温化に
よって低下した時は、すべり変形のモードが増加して多
重すべりが発生したことを意味する。材料の変形モード
が変化することは圧延変形による圧延集合組織、ひいて
は再結晶集合組織を変化させることになるので、最終的
に磁気特性を変動させることになる。したがって磁気特
性の安定化を図るためには、圧延温度を一定に制御する
ことが必要となるのである。
【0024】この圧延温度を一定にする上で、各種ロー
ルのクーラント油量を調整する方法が、最も有効である
ことを見出した点に本発明の特徴があり、さらにこの油
量調整の指標として圧延出側の鋼板温度を一定にするこ
とが有用であることを見出したことが本発明の第二の特
徴である。すなわち、圧延の変形時の温度は圧延入側の
材料温度、接触しているワークロールの表面温度および
加工発熱による温度上昇分等の要因によって定まる。
【0025】ここで、圧延温度の変動分に最も寄与する
のは、圧延入側の材料温度や加工発熱量分の変動でな
く、ワークロールの表面からの抜熱量の変動分であるこ
とが前述の実験で明らかになったものである。したがっ
て圧延出側の温度を一定にするのに最も効果があるの
は、各種ロールのクーラント油量を調整することであ
る。すなわち、材料の圧延入側の温度制御は、このよう
にワークロールの表面からの抜熱量の変動が大きい場合
には、ほとんど意味をなさないのである。
【0026】本発明者らはかかる知見に基づき、本発明
を完成させた。次に本発明が対象とする方向性けい素鋼
のスラブ成分について以下に述べる。Cはγ変態を利用
して熱延組織を改善するために0.02%以上必要である。
一方0.09%を超えると脱炭不良となるので0.02〜0.09%
の範囲が好ましい。Siは電気抵抗を高めて鉄損を向上さ
せるため 2.5%以上必要である。一方 5.0%を超すと脆
化が激しく冷間圧延が困難となるので、 2.5〜 5.0%の
範囲が好ましい。
【0027】この他に、インヒビター成分として、Al、
S、Seのうちから選ばれるひとつ以上の成分が必要であ
る。インヒビターとしての機能のためにはAlは0.01%以
上必要であるが、0.04%を超すと逆に抑制力が劣化す
る。SやSeは 0.005%以上必要であるが、0.03%を超え
るとインヒビターの溶解が困難になるので、 0.005〜0.
03%が好ましい。
【0028】本発明の目的とする高磁束密度は AlNのイ
ンヒビターによって達成されるが、本発明の適用範囲
は、この範囲にとどまらず、一般に圧延後の鋼板の形状
の向上と磁気特性の安定化の上で有効である。Mnは熱間
圧延時の割れを防止するために必要な元素でそのために
0.02%以上必要で、その他、 MnSやMnSe等、インヒビタ
ー成分としても、利用されるが、 0.3%を超えるとこれ
ら MnSやMnSeの溶解が困難となるので、その範囲を0.02
〜 0.3%とすることが好ましい。
【0029】Nは AlN析出のための基本成分であるが、
冷延工程における窒化処理で補給することも可能である
ので下限の限定は必要でない。但し、 0.011%を超える
とスラブ加熱の段階でガス化し、鋼のフクレを発生させ
るので 0.011%以下が好ましい。この他、インヒビター
補強元素として従来より知られているSb、P、Sn、Bi、
As、B、Ge、V、Nb等を含有しても良いことは勿論であ
る。またけい素鋼特有の熱間圧延での割れ防止のために
Moを含有させることも可能である。
【0030】次に本発明で冷間圧延の対象とする方向性
けい素鋼板の製造方法について説明する。上記成分を含
有するけい素鋼スラブは通常の連続鋳造で鋳造されたも
のや、シートバーキャスターなどで鋳造された薄厚スラ
ブや、インゴットを再圧延してスラブとなしたものを含
むが、常法によりスラブ加熱された後、熱間圧延され
る。
【0031】熱間圧延後のコイルは必要に応じて熱延板
焼鈍を行い、1回の冷間圧延か中間焼純を挟む複数回の
冷間圧延で最終板厚とされる。本発明の冷間圧延の方法
は、かかるいずれの圧延にも適用可能で、それなりの効
果が得られるが特に最終圧延に適用した場合に最も効果
が著しい。また、本発明の冷間圧延の適用にあたってパ
ス間時効処理や、低潤滑圧延や、小ロール径圧延等、公
知の冷間圧延法との併用は本発明の効果を妨げないどこ
ろか加算的な効果が期待できる。
【0032】本発明の冷間圧延の方法の特徴は圧延のワ
ークロールのロールバイト部から出た圧延加工後の鋼板
温度を連続的に測定することにある。測定にあたっては
較正済の放射温度計や、ロール接触式の温度計を用いる
ことができる。かかる鋼板の測定温度に対して、あらか
じめ一定温度を設定しておき、両者の差異が零になるよ
うに、冷間圧延機のワークロール、バックアップロー
ル、ベアリングロール、中間ロールおよびワイパーロー
ルの各クーラントのうちいずれか1種以上の油量を負帰
還方式で制御することである。これによって圧延出側の
鋼板温度を一定値に保つことができ、ひいては圧延加工
中の材料の温度を一定に保つことができる。
【0033】ここに、圧延前の鋼板温度を制御すること
は圧延加工中の材料温度を一定に保つのに有効ではある
が、大きな寄与はなく、圧延加工中の材料温度を測定す
ることは不可能である。したがって、ロールバイト部か
ら出た鋼板温度を測定し、これを一定値とすることが本
発明の鋼板形状の向上と磁気特性の高位安定化の効果を
挙げるのに必要である。
【0034】かかる圧延加工温度の制御としてはロール
温度の制御を行うことが有効で、このためには、冷間圧
延機のワークロール、バックアップロール、ベアリング
ロール、中間ロールおよびワイパーロールの各クーラン
トの油量を調節することが有効である。ここで、ワーク
ロールとは直接材料と接触して材料のロール加工を施す
ロールのことであり、バックアップロールとはワークロ
ールの圧延加工に基づく変形を荷重を印加して矯正する
ために、ワークロールに外接もしくは中間ロールを介し
て設けられたロールである。中間ロールはワークロール
とバックアップロールとの中間に設置して上記矯正力の
伝達を行うためのロールである。ベアリングロールはゼ
ンジマー圧延機によく使用されるバックアップロールの
1種でロール軸方向に複数個に分割されたロールからな
るものである。またワイパーロールは鋼板のワークロー
ルへの入側、出側に設備されていて鋼板表面に付着した
異物等を除去するためのロールである。これらのロール
はクーラントによって常時冷却洗浄されているが、各ロ
ールクーラントは各ロール部のみにとどまらず、流下し
たり、ロールの回転によって巻込まれて、複雑な流路に
よって、結局ワークロールの冷却に関与することにな
る。したがって少なくともこれらのロールクーラントの
ひとつ以上の油量を制御することによってワークロール
の温度を制御でき、ひいては圧延加工温度を制御するこ
とが可能となる。圧延加工温度を制御する手段として、
圧延パス間におけるストリップクーラントの流量を制御
して行う方法も考えられるが、ストリップクーラントの
流量を大きく変化させることは圧延における潤滑性を大
きく変えることになるので、圧延荷重や、圧延集合組織
を変動させることになり、結局、板厚偏差や磁気特性を
変動させることになるので好ましくない。したがってス
トリップクーラントの流量を制御する技術はあくまでも
本発明の技術に加える補助的手段として用いることが推
奨される。
【0035】一般に圧延加工においては、加工発熱量と
ロール抜熱量の釣合いで加工温度が大きく決まるため、
圧延速度を変えた時にはそれに応じて大きく変化する。
しかしながら、本発明における冷間圧延を採用すれば、
自動的に圧延温度を一定に保つことができるので、圧延
速度が変化しても、鋼板形状や磁気特性が変動すること
はない。
【0036】かかる冷間圧延方法を実現するための設備
としては、図4に示されるように通常の冷間圧延機に、
ロールバイト部から出た鋼板5の温度を測定するための
測温センサー1およびかかる測温センサー1の測定信号
に対し、該信号が指示された一定値となるように負帰還
信号を発信する温度制御器2およびかかる温度制御器2
の発する信号に基づいてロールクーラント4の油量を制
御する流量制御器3を付設したことを特徴とする。な
お、6はワークロールである。
【0037】ここで、測温センサー1とは、鋼板温度を
測定するためのもので、一般に接触タイプの温度計や放
射温度計が用いられる。設置場所としては、ロールバイ
ト部から出た鋼板の上面もしくは下面または双方の温度
を測温すべく設置される。次に、温度制御器2は、各
種、熱処理の温度制御に使用されているもので良い。ク
ーラント油の流量制御器3も、通常の流体制御に用いら
れている電気式、磁気式や機械的のいずれの方式のもの
でも有効である。
【0038】次に、本発明が対象としている冷間圧延機
としては、公知のあらゆるものが該当し、例えば図5
(a)に示されるような、ワークロール対のみからなる
もの(2Hi型)や、(b)に示されるバックアップロ
ール対を設えたもの(4Hi型)さらに(c)に示され
る中間ロールを設えたもの(6Hi型)や(d)のバッ
クアップロールが複数対存在するプラネタリー型や
(e)のゼンジマー型が存在する。また圧延スタンド
も、リバース方式の1スタンドのみのものから、一方向
圧延を行う、タンデム方式のものまで適用可能である。
但し、リバース方式の場合、鋼板の温度センサーは出
側、入側の両側に設置する必要があることは云うまでも
ない。
【0039】なお、本発明の冷間圧延方法は方向性けい
素鋼板の冷間圧延を対象としたものであるが、冷間圧延
の設備としては、鉄鋼の圧延以外にも鋼や、アルミニウ
ム、チタン等、広く金属のロール加工に適用できる。最
終冷延後の鋼板は一般に脱炭焼純に供されるか、1次再
結晶焼純に供される。脱炭焼純は公知の湿水素雰囲気下
で 750〜 900℃で60〜180secで行われる。
【0040】その後、鋼板は連続焼純で2次再結晶焼純
を施すか、焼純分離剤を塗布した後、コイル状に巻きと
り、最終仕上焼純に供される。最終仕上焼純後は絶縁抵
抗を高める必要のある場合には絶縁コーティングを施
し、製品とされる。
【0041】
【実施例】
実施例1 表1に示される鋼塊記号Aのスラブを1420℃で均熱15分
間の加熱をした後、常法にしたがって 1.8mmの熱延コイ
ルとした。熱延コイルは1130℃で 60secの熱延板焼純を
施した後、酸洗し、 120mmφのワークロール径を有する
ゼンジマー圧延機で0.30mmの板厚に冷間圧延した。
【0042】圧延のパススケジュールは第1パス目1.35
mm(圧下率25%)、第2パス目0.95mm(圧下率30%)、
第3パス目0.65mm(圧下率32%)、第4パス目0.45mm
(圧下率31%)、第5パス目0.30mm(圧下率33%)と
し、0.30mmの板厚に仕上げた。コイルはeとfとに2分
割し、eのコイルは実施例として圧延出側に光ファイバ
ー式放射温度計を設置し、鋼板温度を連続的に測定し温
度調節器で設定温度に一致するようにクーラント油流量
計に対して負帰還信号を発信した。
【0043】クーラントはワイパーロールを一定とし、
ワークロール、中間ロールおよびベアリングロールへの
クーラントに対して流量調節計で自動流量調節した。こ
の時の各パスにおける圧延出側の温度設定は第1パス目
が 155℃、第2パス目が 185℃、第3パス目を 201℃、
第4パス目を 215℃、第5パス目を95℃とした。また、
各圧延パス後はコイル状に高温で巻きとりつつ、次のリ
バース圧延パスまでの間、保温して自然時効させた。さ
らに圧延に際しては、 50mpmから漸次500mpmまで圧延速
度を上げていき、最高速度500mpmに達した時点で漸次 5
0mpmまで速度を低下させて圧延を終了させた。
【0044】分割した他のコイルfは比較例として圧延
の入側に光ファイバー式放射温度計を設置し、鋼板温度
を連続的に測定し、温度調節器で設定温度に一致するよ
うにクーラント油流量計に対して負帰還信号を発信し
た。クーラントはワイパーロールへのクーラントに対し
て流量調節計で自動流量調節し、他のワークロール、中
間ロールおよびベアリングロールへのクーラントはでき
るだけ油量を絞り一定とした。この時の各パスにおける
圧延入側の温度設定は第1パス目が25℃、第2パス目が
146℃、第3パス目が 185℃、第4パス目が205℃、第
5パス目が 195℃とした。
【0045】また、各圧延パス後はコイル状に高温で巻
きとりつつ、次のリバース圧延パスまでの間、保温して
自然時効させた。さらに圧延に際しては 50mpmから漸次
500mpmまで圧延速度を上げていき、最高速度500mpmに達
した時点で漸次 50mpmまで速度を低下させて圧延を終了
させた。これら2コイルは脱脂後湿水素雰囲気下で 850
℃で2分間の脱炭焼純を施し、Sr(OH)2・8H2O を1
%、TiO2を5%含有する MgOを焼純分離剤として塗布
し、コイル状に巻きとって最終仕上焼純を施した。最終
仕上焼純は 840℃で25時間N 2 中で保持した後、15℃/h
の速度で1200℃まで昇温したが1150℃まではN225 %、
2 75%の雰囲気とし、1150℃から1200℃までかつ1200
℃10時間の保持の間H 2 の雰囲気とした。
【0046】最終仕上焼純後は未反応分離剤を除去し、
平坦化焼純を兼ねて 800℃1分間で張力付与型絶縁コー
ティングを焼付けた。各コイルは、長手方向に20分割
し、磁気特性と平均板厚(ta)と板幅方向での板厚差
(Δt:コイルエッジ100mm 部での板厚からコイル中央
部での板厚を差引いた値)の測定値の平均値と標準偏差
を表2に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】表2に示されるように、圧延出側の鋼板温
度を圧延パス毎に一定に制御した実施例において、磁気
特性も鋼板の形状も極めて優れており改善効果が著し
い。 実施例2 表1に示される鋼塊記号Bのスラブを1400℃で均熱30分
間の加熱をした後、常法にしたがって、4コイル 1.9mm
の熱延コイルとした。各熱延コイルは1000℃で60secの
熱延板焼純を施した後、酸洗し、4スタンドのタンデム
圧延機で0.62mmに圧延した。
【0050】圧延のパススケジュールは第1パス目が1.
40mm(圧下率26%)、第2パス目が1.05mm(圧下率25
%)、第3パス目0.80mm(圧下率24%)、第4パス目が
0.62mm(圧下率23%)とした。4コイルのうち、コイル
gとhは各スタンドのワークロール出側に光ファイバー
式放射温度計を設置して、鋼板温度を連続的に測定し、
温度調節器で設定温度に一致するようにクーラント油流
量計に対して負帰還信号を発信した。各クーラントはス
トリップクーラントの油量を一定とし、ワークロール、
中間ロールおよびバックアップロールへのクーラントに
対して、流量調節計で自動流量調節した。この時の各パ
スにおける圧延出側の温度設定は第1パス目が95℃、第
2パス目が97℃、第3パス目が 115℃、第4パス目が 1
26℃とした。圧延後の鋼板はコイル状に高温で巻きと
り、保温して自然時効させた。
【0051】4コイルのうち、残るiとjの2コイルは
各種クーラントの油量一定のもとに0.62mmに圧延し、圧
延後の鋼板は同じくコイル状に高温で巻きとり、保温し
て自然時効させた。この時、各パスにおける圧延出側の
温度は第1パス目が65〜 107℃、第2パス目が65〜 115
℃、第3パス目が 104〜 126℃、第4パス目が 122〜15
4℃の間で変動した。
【0052】次に、g、h、i、jの4コイルは脱脂後
1050℃で40sec の中間焼純の後、第2回目の冷間圧延を
同じく4スタンドからなるタンデム圧延機で0.22mmの最
終板厚に圧延した。圧延のパススケジュールは第1パス
目が0.49mm(圧下率21%)、第2パス目が0.38mm(圧下
率22%)、第3パス目が0.30mm(圧下率21%)、第4パ
ス目が0.22mm(圧下率27%)とした。
【0053】4コイルのうち、コイルgとiは各スタン
ドのワークロール出側に、光ファイバー式放射温度計を
設置して鋼板温度を連続的に測定し、温度調節器で設定
温度に一致するようにクーラント油流量計に対して負帰
還信号を発信した。各クーラントはストリップクーラン
トの油量を一定とし、ワークロール、中間ロールおよび
バックアップロールへのクーラントに対して流量調節計
で自動流量調節した。この時の各パスにおける圧延出側
の温度設定は第1パス目が85℃、第2パス目が93℃、第
3パス目が 102℃、第4パス目が 122℃とした。圧延後
の鋼板はコイル状に高温で巻きとり、保温して自然時効
させた。
【0054】4コイルのうち、残るhとjの2コイルは
各種クーラントの油量一定のもとに0.22mmに圧延し、圧
延後の鋼板は同じくコイル状に高温で巻きとり、保温し
て自然時効させた。この時、各パスにおける圧延出側の
温度は第1パス目が64〜92℃、第2パス目が60〜 103
℃、第3パス目が82〜 118℃、第4パス目が 105〜 133
℃の間で変動した。
【0055】圧延後のコイルは脱脂した後、湿水素雰囲
気下で 820℃で2分間の脱炭焼純を施し、 SrSO4を1
%、TiO2を7%含有する MgOを焼純分離剤として塗布
し、コイル状に巻きとって最終仕上焼純を施した。最終
仕上焼純はN2 中で 850℃で50時間保持した後、H2 75
%、N2 25%雰囲気中で1200℃まで昇温した後、H2
1200℃、5時間保持した。
【0056】最終仕上焼純後は、未反応の分離剤を除去
し、平坦化焼純を兼ねて 820℃、1分間で張力付与型絶
縁コーティングを焼付けた。各コイルは長手方向に20分
割し、磁気特性と平均板厚(ta)と板幅方向での板厚
差(Δt:コイルエッジ100mm 部での板厚からコイル中
央部での板厚を差引いた値)を測定した。その平均値と
標準偏差を表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】表3に示されるように、本発明の冷間圧延
を採用したg、h、iは、従来の方法のjに比べて磁気
特性も鋼板の形状も優れており、特に第1回目、第2回
目ともに、本発明の冷間圧延を適用したgのコイルは格
段に優れた結果を得た。 実施例3 表1に示される鋼塊記号Cのスラブを1410℃で均熱20分
間の加熱をした後、常法にしたがって、 2.2mmの熱延コ
イルとした。熱延コイルは酸洗後、タンデム圧延機で1.
50mmに圧延した後、1100℃で 60secの均熱と45℃/sec
の冷却速度のミスト冷却からなる中間焼純を施した後、
ゼンジマー圧延機で0.22mmの最終板厚に圧延した。
【0059】圧延のパススケジュールは第1パス目が1.
00mm(圧下率33%)、第2パス目が0.75mm(圧下率25
%)、第3パス目が0.55mm(圧下率26%)、第4パス目
が0.40mm(圧下率27%)、第5パス目が0.30mm(圧下率
25%)、第6パス目が0.22mm(圧下率27%)とした。ゼ
ンジマー圧延機の圧延に際して、圧延出側の鋼板の温度
を光ファイバー式放射温度計を設置して連続的に測定
し、温度調節器で設定温度に一致するように、クーラン
ト油流量計に対して負帰還信号を発信した。各クーラン
トはワイパークーラントの油量を一定とし、ワークロー
ル、中間ロールおよびベアリングロールへのクーラント
に対して流量調節計で自動流量調節した。この時の各パ
スにおける圧延出側の温度設定は第1パス目が 153℃、
第2パス目が 185℃、第3パス目が 207℃、第4パス目
が 226℃、第5パス目が 192℃、第6パス目が 124℃と
した。各パスでの圧延後の鋼板はコイル状に高温で巻き
とり、保温して自然時効させた。
【0060】冷間圧延後、脱脂して湿水素雰囲気下で 8
40℃で2分間の脱炭焼純を施し、SrSO4 を1%、TiO2
5%含有する MgOを焼純分離剤として塗布し、コイル状
に巻きとって最終仕上焼純を施した。最終仕上焼純は 8
40℃で20時間N2 中で保持した後15℃/hの速度で1200
℃まで昇温したが、1150℃まではN2 25%、H2 75%の
雰囲気とし、1150℃から1200℃までかつ1200℃10時間の
保持の間、H2 の雰囲気とした。
【0061】最終仕上焼純後は、未反応分離剤を除去
し、平坦化焼純を兼ねて 800℃1分間で張力付与型絶縁
コーティングを焼付けた。その後、長手方向に20分割
し、磁気特性と平均板厚(ta)と板幅方向での板厚差
(Δt)の測定値の平均値および標準偏差を表4に示
す。
【0062】
【表4】
【0063】
【発明の効果】以上説明した本発明の冷間圧延方法と冷
間圧延機のロール冷却装置によれば、鋼板の長手方向の
磁気特性と鋼板形状が安定しかつ優れた方向性けい素鋼
板を製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種冷間圧延におけるコイル長手方向の板厚の
バラツキを示す実測図。
【図2】各種冷間圧延におけるコイル長手方向の鉄損値
の変化(連続鉄損)を示す実測図。
【図3】引張強度試験における引張強度と材料温度との
関係を示すグラフ。
【図4】本発明装置の1実施例を示す説明図。
【図5】本発明が適用される冷間圧延機の例を示す説明
図。
【符号の説明】
1 測温センサー 2 温度制御器 3 流量調節器 4 クーラント 5 被圧延物 6 ワークロール 7 中間ロール 8 バックアップロール 9 ベアリングロール 10 ワイパーロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 文彦 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 山田 政孝 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通2番88号 川崎製鉄株式会社阪神製造所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 方向性けい素鋼板の製造方法において、
    該鋼板を冷間圧延する際に、ワークロールのロールバイ
    ト部から出た圧延後の鋼板温度を測定し、該鋼板温度の
    測定値に基づいて、該鋼板温度を一定に保つように冷間
    圧延機におけるワークロール、バックアップロール、ベ
    アリングロール、中間ロールおよびワイパーロールの各
    クーラントのうち、いずれか1種以上の油量を制御する
    ことを特徴とする方向性けい素鋼板の冷間圧延方法。
  2. 【請求項2】 ワークロールのロールバイト部から出た
    鋼板の上面もしくは下面の温度を測温する測温センサー
    と該測温センサーの測定信号に対し、該信号が指示され
    た一定値になるように負帰還信号を発信する温度制御器
    と該温度制御器の発信する信号に基づいてロールクーラ
    ントの流量を制御する流量制御器を配設したことを特徴
    とする冷間圧延機のロール冷却装置。
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