JPH0717452U - クーラント噴出路を備えた工具ホルダ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】スピンドルスルークーラントにより、クーラン
トノズルを使用せず、しかも標準工具を使用して、高速
回転しても切削箇所に確実にクーラントを供給でき、工
具の刃先を効果的に冷却させ潤滑させ、切粉も確実に排
除する。 【構成】工作機械の基体に回転自在に支持された主軸の
工具装着部に着脱自在に装着されるとともに、前記主軸
に装着された時、前記主軸側または前記基体側のクーラ
ント通路と連通するようにクーラント通路が形成された
ホルダ本体２と、ホルダ本体２の内径部に嵌着されると
ともに前記主軸軸線方向に複数のすりわり部を形成し、
内径部に挿入された工具８を固定するコレット３と、ホ
ルダ本体２に螺着され、コレット３を前記主軸軸線方向
に押圧して固定するナット５と、ナット５と工具８との
あいだに設けられ、工具８の先端刃先に向けた複数のノ
ズル孔６ａまたは工具８外周部とのあいだに所定の間隔
を有するすきまが形成されたノズルディスク６とからな
るクーラント噴出路を備えた工具ホルダ１とした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、工具の刃先部と被加工物との加工部位に的確にクーラント（切削油 剤）を供給することが可能なクーラント噴出路を備えた工具ホルダに関するもの である。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、マシニングセンタ等工作機械で使用されるフラッドクーラント方式は 、工具を装着している主軸を回転自在に支持している主軸ヘッドの端部に設けら れたクーラントノズルにより加工部位に向けて噴出するようになっている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上述のようなフラッドクーラント方式では、工具径や長さによる様 々な加工部位にクーラントを供給できるようにクーラントノズルの噴出角度を設 定することはできず、全加工部位に的確にクーラントを供給することは困難であ った。 また、工具径や長さを限定してクーラントノズルを設定しても、治具との干渉 や、切粉によりクーラントノズルの位置が変わってしまう等の不具合があった。 更に、高速回転する場合には、加工部位近傍にクーラントノズルからクーラン トを噴出しても、高速回転のためクーラントが吹き飛んでしまい、うまく冷却で きないという問題点もあった。

【０００４】 内部にクーラント供給路を形成した主軸スルークーラントと呼ばれている実開 平４−１２５５５０号などで公知な方式の主軸に、実開平４−４２３１３号など で公知な油孔付工具を装着し、主軸および油孔付工具内と通過させて加工部位に クーラントを供給する方法も提案されている。しかしながら、上述した提案の方 法では、専用の油孔付工具を使用しなければならず、工具の剛性が低下するとと もに経済的でないという問題点を生じた。 この考案は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、下記の目 的を達成する。 この考案の目的は、専用工具を使用しなくても、加工部位に的確にクーラント の供給を行うことができるクーラント噴出路を備えた工具ホルダを提供すること を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上述事情に鑑みなされたものであって、工作機械の基体に回転自在 に支持された主軸の工具装着部に着脱自在に装着されるとともに、前記主軸に装 着された時、前記主軸側または前記基体側のクーラント通路と連通するようにク ーラント通路が形成されたホルダ本体と、このホルダ本体の内径部に嵌着される とともに前記主軸軸線方向に複数のすりわり部を形成し、前記主軸の径方向の弾 性変形によって内径部に挿入された工具を固定するコレットと、前記ホルダ本体 に螺着され、前記コレットを前記主軸軸線方向に押圧して固定するナットと、こ のナットと前記工具とのあいだに設けられ、前記工具の先端刃先に向けた複数の ノズル孔または前記工具外周部とのあいだに所定の間隔を有するすきまが形成さ れたノズルディスクとからなり、前記ホルダ本体のクーラント通路に供給された クーラントが、前記ホルダ本体内径部、前記コレットのすりわり部を経て、前記 複数のノズル孔または前記工具と前記ノズルディスクとのすきまから、前記工具 の先端刃先部に向けて噴出可能にしたことを特徴とするものである。

【０００６】

【作用】

上述構成に基づき、主軸端面等からホルダ本体のクーラント通路に供給された クーラントが、コレットの複数のすり割りを経て、ノズルディスクの複数のノズ ル孔または工具とノズルディスクとのすきまからツールの先端刃先部に向けて確 実に噴出される。

【０００７】

【実施例】

以下、図面に沿って、本考案による一実施例について説明する。 図１は本考案によるマシニングセンタ等工作機械で使用される工具ホルダを示 す断面図である。同図に示すように、工具ホルダ１はホルダ本体２を有し、ホル ダ本体２内にはテーパ式のコレット３が嵌着されている。該コレット３には軸線 方向に複数のすり割り部３ａ，３ａ，…が形成されている。すなわち、コレット ３はすりわり部３ａ，３ａ，……によって弾性変形可能となっている。

【０００８】 ホルダ本体２には、図示しない主軸ヘッド（基体）に回転自在に支持されてい る主軸（図示せず）の工具装着部に装着されるテーパシャンク部２ａが設けられ ている。この主軸は主軸スルークーラント方式の主軸であり、主軸前端部より工 具側にクーラントが供給されるが、この方式の主軸は公知な技術であり、ここで はこれ以上詳細な説明を行わない。また、ホルダ本体２には、外周部側とコレッ ト３が挿入される内径部であるテーパ孔部２ｃ側とを連通させるクーラント孔２ ａがあけられている。ホルダ本体２の先端部外周にはナット５が螺合される。す なわち、ナット５により主軸軸線方向に押圧されることにより径方向に閉じて工 具８を固定する。ナット５の先端部にはノズルディスク６が嵌着されている。ナ ット５とノズルディスク６との嵌着部分の後端にはクーラントが漏れることを防 止するためのシール部材であるＯリング７が装着されている。

【０００９】 また、コレット３には工具８のシャンク部８ａが把持され、工具の先端刃先部 は前記ノズルディスク６の孔６ｂを貫通して前方に突出しており、ノズルディス ク６の該孔６ｂにはクーラントが漏れることを防止するためのＯリング９が嵌着 されている。更に、ノズルディスク６には工具の先端刃先部すなわち加工部位に 向けて軸線が傾斜している複数のノズル孔６ａ，６ａ…があけられている。 また、コレット３前端とノズルディスク６の後端との間にはクーラント室１０ が形成されている。

【００１０】 本考案は以上のような構成よりなるので、主軸端面よりツールクーラントホル ダ１に供給された所定の圧力のクーラントが、ホルダ本体２のクーラント孔２ａ 、コレット３の複数のすり割り部３ａを通過し、クーラント室１０に供給され、 ノズルディスク６の複数のノズル孔６ａから工具８の先端刃先部に向けて噴出さ れる。 これにより、加工部位に的確にクーラントの供給ができ、刃先部等の冷却と潤 滑を効率よく行うことができ、切粉も確実に排除できる。 また、ホルダ本体１の内部は密閉化され、Ｏリング７，９等によりシール性が 保たれるので、クーラントを確実に加工部位に向けて噴出させることができる。

【００１１】 次に、図２に沿って一部変更した他の実施例を示す。 図２はノズルディスク１６のナット１５への固定方法が雄螺子型アダプタ２０ である例を示す部分断面図であり、ストレート式のコレット１３がナット１５に 嵌着され、ナット１５の先端部内周には雌螺子１５ａが螺刻されている。ノズル ディスク１６はアダプタ２０に嵌着され、アダプタ２０のノズルディスク１５と の嵌着部分の後端にはＯリング１９が装着されている。アダプタ２０の外周には 雄螺子２０ａが螺刻され、アダプタ２０の端部にはＯリング溝が刻設されＯリン グ１７が装着されている。そして、ナット１５の雌螺子１５ａとアダプタ２０の 雄螺子２０ａを螺合させ、アダプタ２０の締付用孔２１で締付けるようになって おり、クーラント室に供給されたクーラントはノズルディスク１６の内径部１６ ａと工具８のシャンク部８ａとのすきま２２から噴出される。その他は上述した 第１実施例と同様に構成されている。 なお、本考案の工具ホルダはマシニングセンタだけでなく、ＮＣ旋盤の割出し 刃物台等の工具装着部に装着される回転工具にも使用することができる。

【００１２】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案によれば、クーラントをノズルディスクの複数の ノズル孔またはノズルディスクと工具とのすきまから工具の先端刃先部に向けて 噴出できるので、加工部位の近傍に的確にクーラントの供給ができ、工具の刃先 部の冷却および潤滑を効率よく行うことができ、工具寿命を向上させることがで きる。 また、クーラントを確実に加工部位に向けて噴出できるので、切粉も確実に排 除でき、切粉のかみ込みによる工具の損傷を防止することができる。 また、工具ホルダ自体に固有のノズルディスクのノズル孔を内蔵しているため 、ノズル位置の設定が不要である。 また、本考案の工具ホルダは、簡素な構造であり、しかも特別な専用工具でな く標準工具を使用することができるので、コストの削減を図り、作業性を向上さ せることができる。 更に、本考案の工具ホルダは、外観が標準工具用の工具ホルダと同一であるた め、作業性がよく、作業を円滑に遂行することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による工具ホルダのノズルディスクのナ
ットへの固定方法が内蔵型である例を示す断面図であ
る。

【図２】本考案による工具ホルダのノズルディスクのナ
ットへの固定方法が雄螺子型アダプタである例を示す部
分断面図である。

【符号の説明】

１ 工具ホルダ ２ ホルダ本体 ２ａ クーラント孔 ３ コレット ３ａ すり割り部 ５ ナット ６ ノズルディスク ６ａ ノズル孔 ７ Ｏリング ８ 工具 ９ Ｏリング １０ クーラント室

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 工作機械の基体に回転自在に支持された
   主軸の工具装着部に着脱自在に装着されるとともに、前
   記主軸に装着された時、前記主軸側または前記基体側の
   クーラント通路と連通するようにクーラント通路が形成
   されたホルダ本体と、 このホルダ本体の内径部に嵌着されるとともに前記主軸
   軸線方向に複数のすりわり部を形成し、前記主軸の径方
   向の弾性変形によって内径部に挿入された工具を固定す
   るコレットと、 前記ホルダ本体に螺着され、前記コレットを前記主軸軸
   線方向に押圧して固定するナットと、 このナットと前記工具とのあいだに設けられ、前記工具
   の先端刃先に向けた複数のノズル孔または前記工具外周
   部とのあいだに所定の間隔を有するすきまが形成された
   ノズルディスクとからなり、 前記ホルダ本体のクーラント通路に供給されたクーラン
   トが、前記ホルダ本体内径部、前記コレットのすりわり
   部を経て、前記複数のノズル孔または前記工具と前記ノ
   ズルディスクとのすきまから、前記工具の先端刃先部に
   向けて噴出可能にしたことを特徴とするクーラント噴出
   路を備えた工具ホルダ。