JPH07130469A - エレクトロルミネッセンス素子及びエレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

エレクトロルミネッセンス素子及びエレクトロルミネッセンス素子の製造方法

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JPH07130469A
JPH07130469A JP5301093A JP30109393A JPH07130469A JP H07130469 A JPH07130469 A JP H07130469A JP 5301093 A JP5301093 A JP 5301093A JP 30109393 A JP30109393 A JP 30109393A JP H07130469 A JPH07130469 A JP H07130469A
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真澄 荒井
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有 服部
Hajime Ishihara
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Nobue Ito
信衛 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】絶縁破壊電圧が高く、破壊し難い信頼性の高い
高輝度・高効率なEL素子を提供すること。 【構成】EL素子100は、ガラス基板1上に下部電極
2、下部絶縁層3、発光層4、上部絶縁層5及び上部電
極6を順次積層し形成されている。上記発光層4は硫化
亜鉛(ZnS) を母体材料としている。この発光層4の成膜
後、発光層表面に発生する凹凸を発光層表面を酸化し、
その酸化層を除去することにより発光層の表面粗さを低
減して発光層表面を平坦化させると、発光層表面の凹凸
が無くなり、大きな表面粗さに起因するとみられる上部
絶縁層5中のクラックや歪みの発生が抑制でき、EL素子
の絶縁破壊電圧が向上する。これにより、EL素子100
は、絶縁破壊電圧が高く、破壊し難い高い信頼性が得ら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、計器類の自発
光型のセグメント表示やマトリックス表示、或いは、各
種情報端末機器のディスプレイなどに使用されるエレク
トロルミネッセンス素子(以下、EL素子と記す)に関
し、特に、絶縁破壊電圧が高く、破壊し難い、信頼性が
向上した高輝度・高効率なEL素子に関する。
【0002】
【従来の技術】EL素子は、硫化亜鉛(ZnS) などの蛍光
体に電界をかけたときに発光する現象を利用したもの
で、従来より自発光型の平面ディスプレイを構成するも
のとして注目されている。図10は、従来のEL素子1
00の典型的な断面構造を示した模式図である。EL素
子100は、絶縁性基板であるガラス基板1上に、光学
的に透明なITO(Indium Tin Oxide)膜から成る下部電極
2、や五酸化タンタル(Ta2O5) などから成る下部絶縁層
3、発光層4、上部絶縁層5及びITO 膜またはアルミニ
ウム膜から成る上部電極6を順次積層して形成されてい
る。ITO 膜は、酸化インジウム(In2O3) に錫(Sn)をドー
プした透明の導電膜で、低抵抗率であることから従来よ
り透明電極用として広く使用されている。発光層4とし
ては、例えば、次に示すような材料が用いられ、硫化亜
鉛(ZNS) を母体材料とし、発光中心材料としては、例え
ば、遷移金属元素のマンガン(Mn)としたものは黄橙色、
希土類元素のうちテルビウム(Tb)としたものは緑色、サ
マリウム(Sm)としたものは赤色、ツリウム(Tm)としたも
のは青色の発光が得られ、添加される発光中心材料の種
類により異なる発光色を呈する。
【0003】通常、発光層4は蒸着法又はスパッタ法を
用いて、アモルファス又は多結晶体である下部絶縁層3
上に形成される。そのため、母体材料が硫化亜鉛などに
て形成される発光層4は、必然的に多結晶体となり発光
層4中には結晶同士の結合が不連続な多数の結晶粒界が
存在する。このような結晶粒界は、発光層4中を流れる
キャリヤ(電子又はホール)に対して散乱体として働
き、電界加速によるキャリヤの高エネルギー化の妨げと
なる。
【0004】従って、発光層4に電界を印加し、加速さ
れたキャリヤのエネルギーによってMn,Tb,Sm,Tm などの
発光中心を励起するEL素子では、多数の結晶粒界の存
在によって発光中心の励起効率が著しく低下し、発光輝
度の低下を招いていた。一般的には、発光層4を蒸着法
又はスパッタ法で形成する際の基板温度を、可能な限り
高める方法や、又は、発光層4を形成後、温度400 〜60
0 ℃で2〜5時間、真空中、又は硫化水素(H2S) 雰囲気
下で熱処理する方法などにより、発光層4の結晶粒径の
大粒径化及び結晶性の改善が行われている。さらに、発
光層4の結晶粒径の大粒径化及び結晶性の改善のため様
々な成膜方法も検討されており、例えば発光層の母体材
料と発光中心材料とから成る複数のスパッタターゲット
や蒸着源を用いたスパッタリング法や共蒸着法、MOCVD
(Metal Organic Chemical Vaper Deposition)法やALE(A
tomic Layer Epitaxial)法を用いた成膜法の利用など
発光輝度及び発光効率を高めるための様々な研究が行わ
れている。
【0005】しかしながら、上記のようにして製作され
たEL素子100における発光層4の表面42には、発
光層4の結晶粒径の大粒径化及び結晶性の改善に伴い凹
凸が発生し、表面粗さが大きくなってしまう。そのた
め、EL素子への電圧印加時に、発光層4の表面42の
表面粗さに起因するとみられる絶縁破壊電圧の低下のた
め、EL素子の駆動電圧での絶縁破壊の発生する確率が
増加し、信頼性を損なうことがある。
【0006】EL素子は、発光駆動電圧を低く、かつ電
圧−発光輝度特性を急峻な特性にする上で、絶縁層は、
できるだけ薄くすることが必要である。そこで、EL素
子の安定性を確保するために絶縁層材料としては、Al20
3,SiO2,Ta205等の酸化物、Si3N4,AlN 等の窒化物やPbTi
O3,PZTのような複合酸化物等が提案されている。又それ
らを複数組み合わせた積層構造の複合膜や混合膜も提案
されている。
【0007】しかし元々、絶縁層材料の絶縁破壊電界強
度は、通常用いられるEL素子内での絶縁層の内部電界
強度と同じ106V/cm 程度であるため、発光層4の表面4
2の大きな表面粗さに起因するわずかな歪やクラックが
絶縁層に発生するだけでもそこに電界が集中して絶縁破
壊が発生し易くなり、この絶縁破壊はEL素子の致命的
な表示不良となるので、信頼性を著しく低下させてい
る。
【0008】この問題の解決方法の手段のひとつとし
て、特開平4-215292号公報「エレクトロルミネツセンス
表示パネルおよびその製造方法」にて開示されたものが
知られている。このものは、有機シリコン化合物等の液
状材料を塗布し、熱処理により絶縁膜を形成する方法、
或いは、ポリイミド等の耐熱性高分子樹脂膜を塗布する
ことにより、絶縁膜を形成する方法で、LSI プロセスの
絶縁膜平坦化技術として無機膜塗布法及び有機膜塗布法
として以前から知られている技術である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようにして製作された絶縁膜は、クラックが発生しやす
く、又、ポリイミド等の絶縁膜は水分などを透過しやす
いなど高い絶縁破壊電界強度や信頼性を必要とするEL
素子の絶縁膜に用いるのは極めて困難であった。さら
に、上記のようにして製作されたEL素子の絶縁膜は、
流動性のある液状材料が下地膜の凹部を埋めた上で絶縁
層表面を平坦にするため下地膜の凹凸により形成された
絶縁層膜の膜厚が異なり、表面粗さの大きさにより凸部
では絶縁層膜の膜厚が薄くなり、より絶縁層の電界強度
が局部的に高くなってしまう。そのため、絶縁破壊の問
題は本質的には残したままである。特に、EL素子の駆
動電圧を低くさせるため、絶縁層の膜厚を薄くした場合
にはEL素子の絶縁破壊電圧が著しく低下してしまうの
で、EL素子の駆動電圧での絶縁破壊の発生する確率が
増加し、素子の信頼性を大きく損なっている。
【0010】又、そのほかの手段としては、LSI プロセ
スの絶縁膜平坦化技術である、エッチ・バック法という
方法が知られている。このものは、凹凸を有する絶縁膜
表面にフォトレジスト等の塗布膜を形成し、次いで、塗
布膜と下地絶縁層のエッチング速度が等しくなる条件に
よって全面をエッチング(非選択エッチング)をし、こ
れにより絶縁膜表面の凸部はエッチングされて平坦にな
る方法である。
【0011】しかしながら、上記の非選択エッチング法
としては、アルゴン(Ar)ガスなどによるスパッタ・エッ
チング(物理的なエッチング)法を用いるため、EL素
子の発光層の平坦化に応用した場合発光層中にアルゴン
(Ar)が混入し発光層の結晶性を乱し、発光特性に悪影響
を及ぼしていた。本発明は、上記の種々の課題を解決す
るために成されたものであり、その目的とする所は、発
光層上に発生する表面粗さを低減、又は除去し、大きな
表面粗さに起因するとみられる絶縁層の絶縁破壊電圧の
低下を無くし、素子の駆動時での絶縁破壊の発生確率が
低い、信頼性に優れたEL素子を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の発明の構成は、絶縁性基板上に下部電極、下部絶縁
層、母体材料に発光中心材料が添加された発光層、上部
絶縁層及び上部電極を順次積層し、少なくとも前記発光
層から光取り出し側の材料を光学的に透明なものにて形
成したEL素子であって、前記発光層の表面粗さ(Rma
x)が50nm未満となっていることである。また関連発
明の構成は、前記発光層がII族元素の硫化物又はセレン
化物となっていることである。
【0013】第二発明の構成は、絶縁性基板上に下部電
極、下部絶縁層、母体材料に発光中心材料が添加された
発光層、上部絶縁層及び上部電極を順次積層し、少なく
とも前記発光層から光取り出し側の材料を光学的に透明
なものにて形成するEL素子の製造方法であって、該発
光層形成後の前記発光層表面を酸化させた後、該酸化層
を除去して、前記発光層表面の表面粗さ(Rmax)を、5
0nm未満にする発光層表面形成工程を有することであ
る。第二発明の関連発明の構成は、前記発光層表面形成
工程が、前記発光層の所望膜厚より100nm以下少な
い膜厚に形成した以降、塩素(Cl)を含むガスを導入し
て、残りの発光層を形成する工程であることを特徴と
し、また別の構成は、前記発光層表面形成工程が、前記
発光層形成後に、該発光層表面を研磨する工程であるこ
とを特徴とする。
【0014】
【作用及び発明の効果】高輝度・高効率なEL素子にお
ける発光層の表面に発生する凹凸を、発光層表面を酸化
させた後、酸化層を除去し発光層表面を平坦化させるこ
とにより、大きな表面粗さに起因するとみられる、絶縁
層中のクラックや歪みの発生を抑制し、絶縁破壊電圧の
低下を防止するものである。
【0015】さらに、本発明は、発光層表面に発生する
凹凸自体を除去するので、発光層表面の表面粗さの大き
さのために起こる発光層上に形成される絶縁層の膜厚の
厚い、薄いも無く均一な膜厚の絶縁層を形成することが
可能となるため、発光層上に形成される上部絶縁層を均
一にかつ薄膜化することが可能となる。そのため、薄い
膜厚でも絶縁破壊電圧の低下が無く、さらにEL素子の
発光開始電圧も低くできるので、駆動電圧を低くした
り、又同じ駆動電圧で素子を駆動することにより変調電
圧(駆動電圧から発光開始電圧を引いた電圧値)が大き
くすることが可能となり、より高い発光輝度で駆動する
ことができるという利点も有する。
【0016】発明者らは、EL素子の発光層の表面に発
生する凹凸を除去し、発光層の表面粗さ(Rmax)を所定
値にする方法として、以下のことを見い出した。即ち、
EL素子の発光層の表面の凹凸の凸部を酸化させること
により、酸化亜鉛(ZnO) 或いは硫酸亜鉛(ZnSO4) 等の酸
化層を形成する。この酸化層は溶液に対するエッチング
速度が非酸化層と異なることに着目し、例えば、弱酸性
の希酢酸溶液に対するエッチング速度は、図11に示し
たように、約100 〜1000倍も異なり、このエッチング速
度の差を利用して凸部を除去する。
【0017】又、発光層表面の凸部を優先的に酸化させ
る方法としては、発光層成膜後、フォトレジスト等の塗
布膜を発光層表面の凹部に薄く形成して、凸部は塗布膜
から露出するようにして、酸素プラズマによる酸化や酸
化性のガス雰囲気中での熱処理による酸化で、凸部を優
先的に酸化させることができる。さらには、発光層を酸
化して除去する酸化層の膜厚分を加えて厚く成膜した
後、発光層の表面の凹凸部全面を酸化させ、酸化層を除
去することにより所望の膜厚の発光層を形成すること
で、フォトレジスト等の塗布膜を形成せずに凹凸を除去
し、発光層の表面粗さ(Rmax)を所定値にすることがで
きる。
【0018】以上述べたように、発光層表面の凹凸部を
酸化させ、その酸化層を除去することにより、発光層表
面を平坦化しその上に絶縁層を形成するので絶縁破壊電
圧の低下を防止することができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説
明する。図1は本発明に係るEL素子100の縦断面を
示した模式図である。EL素子10は、絶縁性基板であ
るガラス基板1(例えば、厚さ1.1mm HOYA製NA40:ノン
アルカリガラス)上に順次、以下の薄膜が積層形成され
構成され、それぞれの薄膜の形成法は一般的な成膜法で
ある。
【0020】まず、図2に示すようにガラス基板1上に
は、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム−錫)、酸
化亜鉛(ZnO) などの透明電極膜から成る膜厚200nm の下
部電極2が形成され、その上面には、五酸化タンタル(T
a2O5) から成る下部絶縁層3が高周波スパッタリング法
にて成膜される。膜厚は400nm である。その下部絶縁層
3上に、発光層4を、ZnS:Mnの焼成ペレットを用いて、
電子ビーム蒸着法で成膜した。Mn濃度は 0.5wt%であ
り、膜厚は600nm である。
【0021】その後、図3の発光層4の表面42の拡大
図に示すようにホトリソ・プロセスで一般に用いられる
ホトレジスト等の塗布膜7を発光層表面に塗布する。こ
の塗布膜7としては、例えばポジレジストを溶剤によ
り、その粘度を1cSt(センチストークス)程度に調整
し、5000rpm の回転条件にて塗布し、その後、100 ℃程
度の温度にて乾燥させ、発光層4の表面42の凹部に膜
厚10nm程度の塗布膜7を形成して、発光層の表面の凸部
8が塗布膜7から露出するようにした。
【0022】次に、塗布膜7から露出した凸部を、塗布
膜7と共に酸素プラズマに曝すことにより露出した凸部
8を酸化させた。この酸素プラズマによる酸化にはドラ
イエッチング装置を用い、酸素ガス導入量 200sccm、ガ
ス圧力1.5Torr 、高周波電力1W/cm2により発生させた酸
素プラズマを用いて、10分間曝した。
【0023】さらにその後、25℃の 3%酢酸水溶液によ
り酸化させた発光層4の表面の凸部8を図4に示すよう
に除去する。そして、ホトリソ・プロセスで一般に用い
られるポジレジストの剥離液を用いてポジレジストを剥
離させ、発光層4の表面の凸部8を除去した発光層9を
形成した。
【0024】さらに、その表面の凸部を除去した発光層
4上に五酸化タンタル(Ta2O5) から成る膜厚400nm の上
部絶縁層5が高周波スパッタリング法にて成膜される
(図1)。さらに、上部絶縁層5の上にアルミニウム(A
l)などの金属電極あるいはITO、酸化亜鉛(ZnO) などの
透明電極膜から成る上部電極6が形成されている。この
ように構成されたEL素子は、発光層上に発生する凹凸
の凸部を除去するため、表面粗さに起因するとみら1る
上部絶縁層5中のわずかな歪みやクラックの発生が抑え
られるので、図5の絶縁破壊テスト結果に示すように、
EL素子の絶縁破壊電圧が向上し、図示しないが変調電
圧もまた約30v大きくすることが可能となり、EL素子
を高輝度にし、かつ信頼性を向上させることができる。
【0025】この結果、得られる表面粗さ(Rmax)は50
nm以下となるが、この粗さの値は図6で示されるように
(図6では、表面粗さの単位はオングストローム、25nm
は250A)絶縁破壊の発生率が30%以下となり、それ以上
の粗さに比べ、比較的絶縁破壊の起きにくい値となって
いる。さらにまた図6から明らかなように、さらにこの
表面粗さ(Rmax)が25nm未満であれば、変調電圧が120v
の駆動電圧においてEL素子の絶縁破壊の発生する割合
が約25%から約10%に低減でき、さらに信頼性を向上さ
せることが可能となる。
【0026】(第二実施例)次に、発光層4を酸化して
除去する膜厚分を加えて厚く成膜した後、発光層の表面
の凹凸部全面を酸化させ、酸化層を除去することにより
所望の膜厚の発光層を形成することで、ホトレジスト等
の塗布膜を形成せずに凹凸を除去し、発光層の表面粗さ
(Rmax)を所定値にする構成の第二実施例を説明する。
発光層4を成膜するまでの工程は、第一実施例と同じ工
程にて、ガラス基板1上に下部電極2、下部絶縁層3を
形成する。
【0027】次に、図7に示すように、発光層4は、第
一実施例のように凸部だけ酸化してを除去するのではな
く、ホトレジスト等の塗布膜を形成せずに、発光層4の
全面を酸化させ、酸化層を発光層表面に形成しその酸化
層10が除去される。そのため下部絶縁層3上に形成さ
れる発光層4の膜厚は、発光層4を酸化して除去する酸
化層10の膜厚分を加えて厚く成膜する。そこで、発光
層4は、第一実施例と同様に、Mn濃度0.5wt %のZnS:Mn
の焼成ペレットを作製し、電子ビーム蒸着法で成膜し
た。膜厚は除去される酸化層10の100nm を加えた700n
m である。
【0028】次に、図8に示すように、発光層4成膜
後、第一実施例と同様な方法にて酸素プラズマに曝すこ
とにより発光層4の表面を酸化させた。この酸化させた
酸化層10の厚さは100nm である。この酸素プラズマに
よる酸化には、ドライエッチング装置を用い、酸素ガス
導入量 200sccm、ガス圧力 0.5Torr、高周波電力3W/cm2
により発生させた酸素プラズマを用いて、15分間曝し
た。
【0029】さらにその後、図9に示すように、酸化さ
せた発光層4の表面の酸化層10を凹凸部ごと第一実施
例と同様な方法にて25℃の 3%酢酸水溶液により除去
し、発光層4の表面の凹凸部を除去した発光層11を形
成した。
【0030】さらにその後、表面の凹凸部を除去した発
光層4上に、第一実施例と同様な方法にて、五酸化タン
タル(Ta2O5) から成る膜厚400nm の上部絶縁層5を高周
波スパッタリング法にて成膜し、さらに、上部絶縁層5
にアルミニウム(Al)などの金属電極あるいはITO 、酸化
亜鉛(ZnO) などの透明電極膜から成る上部電極6が形成
されている。
【0031】このように構成されたEL素子は、フォト
レジスト等の塗布膜を形成することなく、発光層4を酸
化して除去する膜厚分を加えて厚く成膜しただけで、発
光層上に発生する凹凸部を除去することができる。その
ため、EL素子の製造工程が第一実施例よりもフォトレ
ジスト等の塗布膜を形成および、剥離の工程を少なくす
ることが可能となり、且つ第一実施例と同様におおきな
表面粗さに起因するとみられる上部絶縁層5中のわずか
な歪みやクラックの発生が抑えられるので、第一実施例
と同様な効果が得られる。
【0032】又さらに、この第二実施例では、発光層表
面42に発生する凹凸自体を除去して表面粗さを低減し
て発光層表面42を平坦化するので、発光層4上に形成
される上部絶縁層5を薄膜化することが可能となり、発
光開始電圧を低電圧化することが可能となる。例えば、
上記実施例中の五酸化タンタル(Ta2O5) から成る膜厚40
0nm の上部絶縁層5の膜厚を200nm に薄膜化した場合で
も同様な絶縁破壊電圧を保ったまま、EL素子の駆動電
圧を約20v低くできる。さらにその電圧分を変調電圧に
加えることによりさらに高輝度なEL素子となる。
【0033】また、発光層の表面粗さ(Rmax)を所定値
にする方法としては、この他に発光層を研磨することに
よっても可能であり、この方法によっても上記実施例と
同様な効果が得られる。
【0034】さらに、発光層成膜時に、塩素(Cl)を含む
ガスを導入しても所望の表面粗さが得られる。具体的に
は、スパッタ法に於いて、発光層4の膜厚600nm のうち
アルゴン(Ar)とヘリウム(He)の混合ガスを用いて発光層
4を膜厚500nm 形成した後にアルゴン(Ar)希釈の1%塩
化水素(HCl) ガスを用いて残りの100nm を形成した。こ
の時のスパッタの条件は両者ともスパッタガス圧力4Pa
、2w/cm2の高周波電力である。この方法によっても上
記実施例と同様な効果が得られる。
【0035】なお、以上に説明した実施例に限らず、本
発明は上記発光母体材料を硫化亜鉛(ZnS) に限定するも
のではなく、硫化亜鉛(ZnS) 以外のII族元素の硫化物又
はセレン化物としても良い。又、発光中心材量としての
上記マンガン(Mn)以外に、希土類元素であるテルビウム
(Tb)、サマリウム(Sm)、ツリウム(Tm)、セリウム(Ce)、
ユウロピウム(Eu)、プラセオジム(Pr)などを発光層の発
光中心材料として用いた薄膜ELディスプレイ素子にも
適用可能なことは勿論のことである。又、これら発光層
の成膜方法も上述した電子ビ−ム蒸着法に限定されるも
のではなく、上記従来技術で説明した全ての薄膜製作法
やまた熱処理などの後処理にも適用できることは言うま
でもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体的な一実施例に係るEL素子の縦
断面を示した模式図である。
【図2】同実施例に係るEL素子の製造工程を示した模
式的な詳細説明図である。
【図3】同実施例に係るEL素子の図2に続く製造工程
を示した模式的な詳細説明図である。
【図4】同実施例に係るEL素子の図3に続く製造工程
を示した模式的な詳細説明図である。
【図5】同実施例に係るEL素子と従来構造のEL素子
とにおける発光開始電圧に加えた電圧値(変調電圧)と
EL素子の絶縁破壊発生個数との関係を示した説明図で
ある。
【図6】同実施例に係るEL素子の発光層の表面粗さ(R
max)と変調電圧が120Vに於けるEL素子の絶縁破壊の発
生確率との関係を示した説明図である。
【図7】第二実施例に係るEL素子の製造工程を示した
模式的な詳細説明図である。
【図8】第二実施例の図7に続く製造工程を示した模式
的な詳細説明図である。
【図9】第二実施例の図8に続く製造工程を示した模式
的な詳細説明図である。
【図10】従来技術によるEL素子の縦断面を示した模
式図である。
【図11】酸化亜鉛とその酸化物の3%酢酸水溶液に対
するエッチング速度を示した説明図である。
【符号の説明】
1 −ガラス基板(絶縁性基板) 2 −下部電極 3 −下部絶縁層 4 −発光層 42 −発光層表面 5 −上部絶縁層 6 −上部電極 7 −塗布膜 8 −発光層の表面の凸部 9 −発光層の表面の凸部を除去した発光層 10 −酸化層 11 −発光層の表面の凹凸部を除去した発光層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石原 元 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内 (72)発明者 伊藤 信衛 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性基板上に下部電極、下部絶縁層、
    母体材料に発光中心材料が添加された発光層、上部絶縁
    層及び上部電極を順次積層し、少なくとも前記発光層か
    ら光取り出し側の材料を光学的に透明なものにて形成し
    たエレクトロルミネッセンス素子であって、 前記発光層の表面粗さ(Rmax)が50nm未満であるこ
    とを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
  2. 【請求項2】 前記発光層がII族元素の硫化物又はセレ
    ン化物であることを特徴とする請求項1記載のエレクト
    ロルミネッセンス素子。
  3. 【請求項3】 絶縁性基板上に下部電極、下部絶縁層、
    母体材料に発光中心材料が添加された発光層、上部絶縁
    層及び上部電極を順次積層し、少なくとも前記発光層か
    ら光取り出し側の材料を光学的に透明なものにて形成す
    るエレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、 該発光層形成後の前記発光層表面を酸化させた後、該酸
    化層を除去して、前記発光層表面の表面粗さ(Rmax)
    を、50nm未満にする発光層表面形成工程を有するこ
    とを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記発光層表面形成工程が、前記発光層
    の所望膜厚より100nm以下少ない膜厚に形成した以
    降、塩素(Cl)を含むガスを導入して、残りの発光層を形
    成する工程であることを特徴とする請求項3記載のエレ
    クトロルミネッセンス素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記発光層表面形成工程が、前記発光層
    形成後に、該発光層表面を研磨する工程であることを特
    徴とする請求項3に記載のエレクトロルミネッセンス素
    子の製造方法。
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