JPH0710112Y2 - ドラムブレーキ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、駐車ブレーキが組み込まれているドラムブレ
ーキに関する。

（従来の技術） ドラムブレーキには、駐車時に使用する駐車ブレーキが
組み込まれているものがあり、この種のドラムブレーキ
としては、従来第４図ないし第６図に示すような構成の
ものがある。

これはリーディング・トレーリング型ドラムブレーキで
あり、車両の非回転部（図示せず）に、一対のブレーキ
シュー（リーディング側ブレーキシュー１とトレーリン
グ側ブレーキシュー２）を装着した裏板３が固定されて
いる。各ブレーキシュー1,2は、外周にライニング材4,5
がそれぞれ貼着されており、内側にはウェブ1a,2aが張
り出している。裏板３の表側に突設されたアンカ取付部
６にはリベット７でアンカ８が固定されており、アンカ
８はアンカ本体部8aとアンカ本体部8aに固定されたアン
カプレート8bとから構成されていて、アンカ本体部8aに
は、各ブレーキシュー1,2の一端部が摺接されている。
ブレーキシュー1,2の他端部は、２つのピストン（一方
は図示略）９を有するホイールシリンダ10の各ピストン
ロッド11,12に係合している。また、各ブレーキシュー
1,2の両端部近傍には、ブレーキシュー1,2を縮める方向
（非制動側）に付勢する２つのリターンスプリング13,1
4が装架されている。この構成により、ホイールシリン
ダ10に油圧を供給すると、ブレーキシュー1,2がアンカ
８を支点として拡開することになる。なお、図中15,16
は、シューホールドスプリングであり、裏板３に立設さ
れたシューホールドピン17,18に支持されて各ブレーキ
シュー1,2を裏板３側に付勢している。

裏板３の中心には、アクスルシャフト等の車両の回転軸
Ｓが貫通し、その軸の軸周りに車輪（ホイール、図示せ
ず）と共にブレーキドラム19が回転可能に取付けられて
いる。ブレーキドラム19の内周面は、ブレーキシュー1,
2の外方に所定のクリアランスをもって位置しているた
め、ブレーキシュー1,2が拡開したときにブレーキドラ
ム19の内周面に圧接して制動力を発生させる。

つぎに、駐車ブレーキ部の構成について説明すると、各
ブレーキシュー1,2の他端側近傍には、ブレーキシュー
1,2とブレーキドラム19との間のクリアランスを調整す
る自動調整機構を有するストラット20が掛け渡されてい
る。また、トレーリング側ブレーキシュー２の他端側に
は、パーキングレバー21の一端が回転可能に軸着されて
おり、パーキングレバー21は前記ストラット20に係合し
ている。パーキングレバー21の他端は、ガイド部材22で
案内されるケーブル23を介して図示しない車両室内の駐
車ブレーキレバーに接続されている。パーキングレバー
21とガイド部材22との間には、パーキングレバー21を元
の位置に戻すための、コイルスプリングからなる戻し用
ばね部材24がケーブル23を挿通させて介装されており、
パーキングレバー21の戻り位置では、パーキングレバー
21に一体に形成されている突起部21aにより位置決めさ
れる。

この構成により、駐車ブレーキレバーを操作すると、ケ
ーブル23を介してパーキングレバー21が回転してストラ
ット20をリーディング側ブレーキシュー１側へ押圧して
リーディング側ブレーキシュー１をブレーキドラム19に
圧接させ、その反力によりトレーリング側ブレーキシュ
ー２をブレーキドラム19に圧接させる。

クリアランスの自動調整機構は、第６図に示すように、
ストラット20の一方のロッド25にアジャストスクリュー
25aを設け、他方のロッド26に前記アジャストスクリュ
ー25aに噛合するアジャストギヤ26aを設けて、アジャス
トギヤ26aを回転させることによりストラット20が伸長
できるようにし、さらに、アジャスト戻し用スプリング
27（第７図に図示）によりブレーキシュー1,2が拡開し
たときに移動して、前記アジャストギヤ26aの外周に形
成されている調整歯に係合して回転させるアジャストレ
バー28を設けたものである。

（考案が解決しようとする課題） しかし、従来の駐車ブレーキが組み込まれたドラムブレ
ーキでは、パーキングレバー21の戻り位置を規制するた
めの部材（上記従来例では突起部21a）は設けられてい
るが、パーキングレバー21の最大回転位置を規制する部
材は設けられていない。そのため、駐車ブレーキレバー
を強く引き過ぎた場合などに、パーキングレバー21が回
転して裏板３の中央を貫通する軸としての回転軸Ｓに当
たってしまう虞れがあり、回転軸Ｓに傷を付けて錆を発
生させたり、パーキングレバー21が曲がってしまい作動
不良を起すという問題点があった。

本考案は、以上の問題点に鑑みてなされたもので、その
目的とするところは、パーキングレバーの最大回転位置
を規制することにより、裏板の中央を貫通する軸および
パーキングレバーの破損を防止したドラムブレーキを規
制することにある。

（課題を解決するための手段） 本考案のドラムブレーキは、車両の非回転部に取付けら
れる裏板と、 該裏板に拡開可能に装着された一対のブレーキシュー
と、 前記裏板を貫通する軸の軸周りに車輌と共に回転可能に
設けられ、前記ブレーキシューが拡開して圧接されるこ
とにより制動力を発生させるブレーキドラムと、 駐車ブレーキレバーの操作によりケーブルを介して前記
ブレーキシューを拡開させるパーキングレバーと、 を備えてなるドラムブレーキにおいて、 前記パーキングレバーに、前記ケーブルの端部に設けた
掛合部が掛合して該パーキングレバーに該ケーブルを接
続するための接続部を形成し、該接続部の端部を、前記
パーキングレバーが前記ケーブルに引かれて回転する方
向と反対側に延長し先端を折曲して前記裏板側に延ばし
て位置決め部を形成し、前記裏板には、前記パーキング
レバーが回転時に摺接可能であるとともに、前記位置決
め部が当接して最大回転位置を規制するためのストッパ
部を設けたことを特徴とするものである。

また、車両の非回転部に取付けられる裏板と、 該裏板に拡開可能に装着された一対のブレーキシュー
と、 前記裏板を貫通する軸の軸周りに車輪と共に回転可能に
設けられ、前記ブレーキシューが拡開して圧接されるこ
とにより制動力を発生させるブレーキドラムと、 前記一対のブレーキシューの間にストラットを介装し、
一方のブレーキシューにパーキングレバーを軸支して、
駐車ブレーキレバーの操作によりケーブルを介して前記
パーキングレバーを回転させることによりブレーキシュ
ーを拡開させて制動力を発生する駐車ブレーキ部と、 を備えてなるドラムブレーキにおいて、 前記パーキングレバーにおける前記一方のブレーキシュ
ーのブレーキドラム側に位置決め部を形成し、前記裏板
には、パーキングレバーが当接してパーキングレバーの
最大回転位置を規制するストッパ部を、そのパーキング
レバーとの当接面がパーキングレバーの非動作時にパー
キングレバーと裏板との間に位置するように配置したこ
とを特徴とするものである。

（作用） パーキングレバーのケーブルとの接続部に位置決め部を
設けたものでは、パーキングレバーを回転させたとき
に、パーキングレバーの接続部に形成されている位置決
め部が裏板に設けたストッパ部に当接してパーキングレ
バーの最大回転位置が規制されるため、パーキングレバ
ーが回転し過ぎて裏板の中央を貫通する軸に当ることが
なくなる。

また、この場合パーキングレバーは、軸着位置から最も
離れた位置をケーブルで引かれるため、軸着部分の緩み
やパーキングレバー自体の撓み等によって裏板側に寄っ
てしまうことがあるが、回転時にストッパ部が摺接する
ことによって、パーキングレバーが裏板側に寄ってしま
うのを押さえることができ、パーキングレバーの側部が
位置決め部よりも先にストッパ部に当たってしまうのを
防止することができる。

さらに、ケーブルとの接続部に設けた位置決め部をスト
ッパ部に当接させて位置規制するため、パーキングレバ
ーの他の個所をストッパ部に当接させて位置規制させる
場合よりもストッパ部から加わる反力が小さくてすみ、
パーキングレバーの変形等を防止できる。

一方のブレーキシューに軸支したパーキングレバーの一
方のブレーキシューのブレーキドラム側に位置決め部を
設けたものでは、上記構成の作用と同様に、パーキング
レバーを回転させたときに、パーキングレバーの接続部
に形成されている位置決め部が裏板に設けたストッパ部
に当接してパーキングレバーの最大回転位置が規制され
るため、パーキングレバーが回転し過ぎて裏板の中央を
貫通する軸に当ることがなくなる。

また、ストッパ部の当接面が常にパーキングレバーと裏
板との間に位置するため、パーキングレバーが一方のブ
レーキシューとストッパ部との間でガイドされることに
なり、パーキングレバーの回転時に撓み等が生じても確
実に駐車ブレーキを作動させることができる。

つぎに、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。な
お、本実施例では、第４図ないし第６図に示した従来の
ドラムブレーキと同一または相当する部材には同一の符
号を付して詳細な説明は省略する。

パーキングレバー21のブレーキシュー２との軸着側とは
反対側の先端に、ケーブル23の端部に設けられている連
結部29が掛合してケーブル23を接続するための、Ｕ字状
に折り曲げられた接続部21bが形成されている。接続部2
1bの端部には、パーキングレバー21がケーブル23に引か
れて回転する方向と反対側に延長し先端を折曲して裏板
３側に延ばした位置決め部21cが形成されている。

一方、裏板３には、パーキングレバー21が回転したとき
に裏板３の中央を貫通する軸としての回転軸Ｓに当る前
に前記位置決め部21cに当って、パーキングレバー21の
回転が止められ、かつ、パーキングレバー21の回転時
に、平坦面に形成されているパーキングレバー21の裏板
３側の面が常時摺接可能な位置にストッパ部30が取付け
られている。これは、パーキングレバー21の位置決め部
21cを回転方向と反対側に延長させたことによって、常
時パーキングレバー21がストッパ部30に摺接可能な状態
で所定の回転ストロークを確保できるようにしている。

ストッパ部30は、溶接により裏板３にブロックを固定し
た構造としたものであるが、ネジなどでブロックを固定
する構造でも、ナットやボルトの六角部をストッパ部30
とする構造であってもよい。または、絞りにより裏板３
から一体に突設する構造としてもよい。

以上の構成とすると、駐車ブレーキレバーを引き過ぎて
もパーキングレバー21の接続部21bに形成した位置決め
部21cが裏板３に設けられたストッパ部30に当接してパ
ーキングレバー21の回転が規制されるため、裏板３の中
央を貫通する軸としての回転軸Ｓに当たることがなく、
回転軸Ｓに傷を付けたり、パーキングレバー21が曲がっ
てしまって作動不良を起すことがない。

さらに、パーキングレバー21は、軸着位置から最も離れ
た位置をケーブル23で引かれるため、軸着部分の緩みや
パーキングレバー21自体の撓み等が生じた場合に、ブレ
ーキシュー２のウェブ2aによって裏板３から離れる側の
変形は押さえられているので裏板３側に寄ってしまうこ
とがあるが、パーキングレバー21が回転時に裏板３側に
寄ってもストッパ部30に摺接して押さえられ、そのた
め、パーキングレバー21の側部21dが位置決め部21cより
も先にストッパ部30に当たってしまって回転ストローク
が制限されてしまい駐車ブレーキの機能を果たさなくな
るのを防止することができる。

なお、本実施例では、固定されたアンカ８によって一対
のブレーキシュー1,2を拡縮可能に装着したドラムブレ
ーキに本考案を適用した例を示したが、本考案は、これ
に限定されるものではなく、パーキングレバーをケーブ
ルによって操作する駐車ブレーキが組み込まれているド
ラムブレーキであればどのような形態のものであっても
適用することができる。

（考案の効果） 以上詳細に説明したように本考案のパーキングレバーの
ケーブルを接続する接続部に位置決め部を形成し、裏板
にパーキングレバーが摺接可能なストッパ部を設けたも
のでは、位置決め部がストッパ部に当接することにより
パーキングレバーの最大回転位置を規制することがで
き、パーキングレバーが裏板の中央を貫通する軸として
の回転軸に当たって、回転軸が傷つけられたり、パーキ
ングレバーが曲がってしまって作動不良を起すことを防
止することができる。

また、パーキングレバーの回転時には、ストッパ部より
裏板側に寄るのを押さえられるため、パーキングレバー
が円滑に移動することができて駐車ブレーキの作動不良
を防止することができる。

さらに、ケーブルとの接続部に設けた位置決め部を裏板
に設けたストッパ部に当接させて最大回転位置が規制さ
れるため、パーキングレバーの他の個所をストッパ部に
当接させて規制される場合よりもストッパ部から加わる
力が小さくてすみ、パーキングレバーの変形や破損を防
止することができる。

一方のブレーキシューに軸支したパーキングレバーの一
方のブレーキシューのブレーキドラム側に位置決め部を
設け、非作動時にパーキングレバーとの当接面をパーキ
ングレバーと裏板との間に位置させて裏板にストッパ部
を設けたものでは、上記同様に、位置決め部がストッパ
部に当接することによりパーキングレバーの最大回転位
置を規制することができ、パーキングレバーが裏板の中
央を貫通する軸としての回転軸に当たって、回転軸が傷
つけられたり、パーキングレバーが曲がってしまって作
動不良を起すことを防止することができるとともに、常
時、一方のブレーキシューとストッパ部との間でパーキ
ングレバーがガイドされることになるため、パーキング
レバーの作動が確実となり、駐車ブレーキの信頼性を向
上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案のドラムブレーキの一実施例を示す正
面図、 第２図は、第１図のII−II線断面図、 第３図は、（ａ），（ｂ），（ｃ）は、第１図に示した
パーキングレバーを示す図であり、第３図（ａ）は、パ
ーキングレバーの正面図、第３図（ｂ）は、第３図
（ａ）の右側面図、第３図（ｃ）は、第３図（ａ）のII
I−III線断面図、 第４図は、従来のドラムブレーキの断面図（第５図のIV
−IV線断面図）、 第５図は、第４図に示した従来のドラムブレーキの正面
図、 第６図は、第５図のVI−VI線断面図である。 1,2……ブレーキシュー ３……裏板 21……パーキングレバー 21b……接続部 21c……位置決め部 23……ケーブル 30……ストッパ部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車両の非回転部に取付られる裏板と、 該裏板に拡開可能に装着された一対のブレーキシュー
   と、 前記裏板を貫通する軸の軸周りに車輪と共に回転可能に
   設けられ、前記ブレーキシューが拡開して圧接されるこ
   とにより制動力を発生させるブレーキドラムと、 駐車ブレーキレバーの操作によりケーブルを介して前記
   ブレーキシューを拡開させるパーキングレバーと、 を備えてなるドラムブレーキにおいて、 前記パーキングレバーのケーブルとの接続部に、パーキ
   ングレバーがケーブルに引かれて回転する方向と反対側
   に延長し先端を折曲して前記裏板側に延ばした位置決め
   部を設け、前記裏板には、前記パーキングレバーが回転
   時に摺接可能であるとともに、前記位置決め部が当接し
   てパーキングレバーの最大回転位置を規制するためのス
   トッパ部を設けたことを特徴とするドラムブレーキ。
2. 【請求項２】車両の非回転部に取付られる裏板と、 該裏板に拡開可能に装着された一対のブレーキシュー
   と、 前記裏板を貫通する軸の軸周りに車輪と共に回転可能に
   設けられ、前記ブレーキシューが拡開して圧接されるこ
   とにより制動力を発生させるブレーキドラムと、 前記一対のブレーキシューの間にストラットを介装し、
   一方のブレーキシューにパーキングレバーを軸支して、
   駐車ブレーキレバーの操作によりケーブルを介して前記
   パーキングレバーを回転させることによりブレーキシュ
   ーを拡開させて制動力を発生する駐車ブレーキ部と、 を備えてなるドラムブレーキにおいて、 前記パーキングレバーにおける前記一方のブレーキシュ
   ーのブレーキドラム側に位置決め部を形成し、前記裏板
   には、パーキングレバーが当接してパーキングレバーの
   最大回転位置を規制するストッパ部を、そのパーキング
   レバーとの当接面がパーキングレバーの非動作時にパー
   キングレバーと裏板との間に位置するように配置したこ
   とを特徴とするドラムブレーキ。